説明

再生装置、日時情報提供装置およびプログラム

【課題】
所定の有効期限内のみに映像ソフトを視聴できるようにするためには、日時の管理が非常に重要である。時計が狂ったり、ユーザーによって日付が変更されたりした場合には、これを検出して、誤った動作をしないように制御する必要がある。従来、ネットワークを使用して時刻の設定を行う例があるが、ネットワークに接続されていない機器でも、正確な日時の情報を得ることが出来るようにする必要がある。
【解決手段】
日時を計時する時計と、時計に日時を設定する日時設定手段と、時計の計時する日時の信頼性を評価する日時信頼性評価手段とを設け、時計から出力される日時情報の信頼性に応じて映像ソフトの再生処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の再生を行う再生装置に関するものであり、特に、日時情報を提供する日時情報提供装置、およびそれを含んだ再生装置、それらを制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVDに代表される映像ソフトを再生する際に、予め期間を定めておき、その期間だけ再生を行うことが出来るようなレンタルサービスが考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、DVDソフトの使用期限を限定するための装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−85462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、使用期限を設けて再生の管理を行う場合には、日時の管理が非常に重要である。例えば、悪意あるユーザーが、時刻や日付をずらすことによって不正にソフトの視聴を行うことが考えられる。また、停電や電池切れなどにより、内部時計の日時が異常な値となった場合には、正常な制御が出来なくなる。
【0006】
特許文献1では、正確な日付情報を得るために、常時ネットワーク上に接続された日付提供装置から日付情報を得るように構成している。
【0007】
しかしながら、常時ネットワークに接続されない再生装置やネットワーク接続機能を有しない再生装置では、日付提供装置からの正確な日付および時刻の情報を得ることが出来ない。
【0008】
本発明の目的は、ネットワークに接続されていない状態でも、ユーザーにより不正に時刻や日時が変更されることを防ぐとともに、正常に日時の管理が行われていない場合に、これを判別し、不適切な利用を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、記録媒体から情報を再生する情報再生手段と、日時を計時する時計と、時計に日時を設定する日時設定手段と、時計の計時する日時の信頼性を評価する日時信頼性評価手段を有する再生装置とする。
【0010】
また、日時の信頼性を取得する信頼性取得ステップと、現在日時を取得する現在日時取得ステップと、再生有効期限を取得する再生有効期限取得ステップと、現在日時と再生有効期限とを比較する比較ステップとを有するプログラムによって再生制御を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる再生装置では、所定のインターフェースやネットワークを介して外部から信頼できる日時情報が入力され、この値にしたがって日時を設定する日時設定手段を有しているので、ユーザーが日時の設定を行う必要がなく、信頼性が高く、精度の良い日時を設定することが出来る。
【0012】
また、日時信頼性評価手段を有しており、日時がどのようにして設定されたのか、日時を設定してからどの程度時間が経過したのかなどの情報を得ることが出来る。これにより
、日時が正当に設定されているか、精度が低下していないかなど、時計の出力する日時情報の信頼性を判断することが出来る。
【0013】
したがって、日時情報に異常が生じた場合には、ユーザーに対して日時設定を行うように促したり、日時情報の使用を禁止したりすることで、日時情報の精度を高めることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1に本発明を適用した第1の実施例である再生装置のブロック図を示す。
【0016】
光ピックアップ102は、光ディスク101から信号を読み出す。再生信号処理回路103は、光ディスク101から読み出された信号に所定の復調処理を行い、データを再生する。出力制御部104は、再生されたデータを所定のタイミングで出力する。サーボ部105は、光ディスク101の回転速度や光ピックアップ102の位置制御を行う。ドライブ制御部106は、再生信号処理回路103およびサーボ部105を制御する。音声デコーダ107は、出力制御部104から出力された音声データをデコードし、音声出力端子108にデコードされた音声信号を出力する。映像デコーダ109は、出力制御部104から出力された映像データをデコードし、映像出力端子110にデコードされた映像信号を出力する。システム制御部111は、再生装置全体を制御する。リモコン受信部112はリモコン(図示せず)からの信号を受信する。電源モニター部113は、電源の状態を監視する。時計部114は日時を計時する。メモリー部115には、後述する拡充情報が記憶される。ネットワークインターフェース部116はネットワーク入出力端子117を介して外部ネットワークとの接続を行う。
【0017】
図1に示した再生装置では、光ディスク101を再生する際に、パスワードを解析して得られる所定の再生有効期限に基づいて、光ディスク101の再生期間を管理する。詳細については後述する。なお、現在日時はネットワーク入出力端子117を介して接続される日時情報提供サーバー(図示せず)から与えられる日時情報を取得し、時計部114に設定を行うことで、現在日時が正しく計時される。ここで、時計部114は、時刻だけでなく、カレンダー機能も有しており、日付の管理も行う。
【0018】
まず、日時設定時の動作を説明する。
ユーザーは、ネットワーク入出力端子117に、ネットワークケーブル(図示せず)を接続し、再生装置と外部ネットワークとの接続を行ったのち、日時設定の開始指示を行う
。これは、例えば、リモコンの日時設定ボタン(図示せず)を押すことにより行われる。リモコンからの信号は、リモコン受信部112により受信され、システム制御部111に入力される。
【0019】
システム制御部111は、入力された日時設定開始指示にしたがい、日時設定動作を開始する。
【0020】
まず、システム制御部111は、ネットワークインターフェース部116を制御してネットワーク上の日時情報提供サーバーへと接続する。この際、所定の通信プロトコルを使用して、認証手続きや日時情報の受信を行う。日時情報提供サーバーから提供された日時情報は、システム制御部111により、時計部114にセットされるとともに、メモリー115に日時設定日時情報として記憶される。日時情報の受信後、システム制御部111は、日時情報提供サーバーとの通信を終了する。
【0021】
ここで、日時情報提供サーバーから提供される日時情報は、現在時刻とともに、その時点の日付も含んでいる。これにより時計部114内のカレンダーも正確に設定される。
【0022】
時計部114は、上述した動作によりセットされた日時を現在日時に設定し、計時動作を継続する。これにより、日時情報提供サーバーから提供された正確な日時が時計部114にセットされ、これ以降、精度の高い日時情報が、時計部114より出力される。
【0023】
ネットワーク入出力端子117とネットワークを接続するネットワークケーブルは、これ以降、取り外されても時計部114の動作には影響を与えない。ネットワークとの接続がなくとも時計部114は正確な日時を刻むことができる。したがって、本実施例にかかる再生装置では、持ち運びを行うポータブル機器や、車載機器のように、常時ネットワークと接続することの出来ない機器においても、正確な日時情報を提供できる。
【0024】
ここで、時計部114は、内部に水晶発振器などを用いたある程度正確なクロック源を持っており、電源が正しく供給されている限り、日時を刻む。時計部114の誤差は、1ヶ月に30秒程度であり、1年間日時設定を行わなくとも、数分程度の誤差に収まる。
【0025】
なお、前記実施例では、日時設定動作をユーザーによる明示的な指示により行っているが、これは限定されるものではなく、システム制御部111が、ネットワークとの接続の有無を判断して、ネットワークと接続されているときに自動的に行うように制御を行っても良い。また、再生動作開始時に自動的に行うようにしてもよい。
【0026】
また、前記実施例では、ネットワークという言葉を使っているが、これはインターネットなどの回線のみを指すわけではなく、無線を使ったネットワーク接続や電話回線など、様々な回線に適用されるものである。
【0027】
次に、電源モニター部113について説明する。
【0028】
電源モニター部113は、本実施例の再生装置を動作させる電源が正常に供給されているかどうかを判断し、電源の異常の有無を検出する回路である。
【0029】
例えば、停電が起こったり、電源ケーブルが抜かれたりした場合には、電源供給が停止する。この時、時計部114は正常に時刻や日付を刻むことが出来なくなる。電源モニター部113は、電源供給が停止したことを判断して、電源異常信号をシステム制御部111に供給する。システム制御部111は、この電源異常信号の有無を判別することにより
、時計部114に異常が生じていないかどうかを判断できる。電源モニター部113は、電源供給の停止のほか、電源電圧の低下、電源への異常なノイズなどの有無を常時監視し
、問題が生じれば、電源異常信号をシステム制御部111に供給する。
【0030】
システム制御部111は、時計部114への日時設定を行った際には、電源モニター部113に、電源異常信号をリセットするように指示を行う。これにより、時計への日時設定後に生じた電源の異常の有無のみを判断できる。
【0031】
ここで、前記実施例では、再生装置の電源が時計部114にも供給されているとして説明を行ったが、時計部の精度を高めるために、時計部114を独立した電源で動作するようにしてもよい。例えば、時計部を独立した電池により動作するように構成すれば、停電が生じたり、再生装置本体のコンセントが抜かれた場合にも、時計部114は計時を継続することが出来る。この時、電源モニター部113は、時計部114の電池の有無を監視すればよい。もちろん、停電の有無も同時に監視しても良い。
【0032】
次に、ディスクの再生時の動作を説明する。
【0033】
図2は、本実施例にかかる再生装置での、システム制御部111によるディスクの再生動作のプログラムを示すフローチャートである。
【0034】
まず、ユーザーは、光ディスク101をセットし、リモコンの再生ボタンにより再生指示を行う。システム制御部111は、リモコン受信部112から入力された再生指令にしたがい、以下に示した再生動作のプログラムを実行する。なお、以下に示すプログラムは
、システム制御部111のメモリー内に予め記録されていても良いし、光ディスク101上にプログラムとして記録しておき、このプログラムを読み出して実行するように構成しても良い。
【0035】
まず、再生動作が開始すると(S1)、ディスク上のディスク識別番号の読み取りを行
う(S2)。次に、ディスク識別番号により、このディスクが有効期限のあるレンタルデ
ィスクか、無条件に再生できる通常のディスクかを判別する(S3)。無条件に再生でき
る通常のディスクの場合には、再生動作に遷る(S12)。
【0036】
ステップS2でのディスク識別番号の取得では、システム制御部111がドライブ制御部106に対して、ディスク識別番号取得指令を行う。ドライブ制御部106は、ディスク識別番号取得指令を受信すると、ディスク識別番号を光ディスク101から読み出すために、サーボ105の制御を行う。
【0037】
ディスク識別番号は、BCA(Burst Cutting Area)と呼ばれるディスクの内周部に書かれた情報を用いる。これは、ディスク1枚ごとに異なる番号を、強力なレーザー光線を用いて書き込むものである。光ディスクの表面にレーザー光線による傷を付けることにより、光ディスク表面の反射率が変化し、情報として読み出すことが出来る。ドライブ制御部106は、サーボ105を制御し、BCA読み出しに適したディスク回転速度で光ディスク101を回転させるとともに、BCA書き込み領域に光ピックアップ102を移動させる。
【0038】
BCA領域からの読み出し信号が光ピックアップ102を介して再生信号処理回路103に入力され、所定の復調処理が行われ、ディスク識別番号情報としてドライブ制御部106に出力される。ドライブ制御部106は、ディスク識別番号取得指令への応答として
、ディスク識別番号をシステム制御部111に返す。
【0039】
前記のような処理により、ディスク識別番号の取得が行われる。
【0040】
なお、前記の例では、BCA情報をディスク識別番号として、用いているがこれは限定されるものではない。例えば、光ディスク上の所定のセクターに記録されている情報を、ディスク識別番号として用いても良い。
【0041】
次に、レンタルディスクの場合には、日時情報を参照するので、日時情報の信頼性を確認する(S4)。具体的には、電源モニター部113からの電源異常信号の有無を判断し
、電源に異常がある場合には、日時情報の信頼性が低いと判断する。さらに、メモリー上に記憶している日時設定日時と、時計部114から出力される日時情報との差分を計算し
、日時設定後、所定の期間内であるかどうかを判断する。例えば、日時設定後、1年以上経過していた場合には、日時がずれている可能性があるとして、信頼性が低いと判断する
。信頼性が低い場合には、日時情報が有効ではないとして、日時情報無効エラーを表示する(S5)。また、ユーザが不正に日時を改ざんしたとしても、それを信頼性判断基準に
せずに、システム制御部111が設定した日時設定後の期間を信頼性判断基準にすることで、ユーザの不正使用を防ぐことができる。
【0042】
ここで、信頼性により再生の可否を判断しているが、所定の時点で急に再生が出来なくなると、ユーザーにとって不親切なので、例えば、日時設定後6ヶ月が経過している場合には、日時設定動作を再度行うように注意を促したり、何日以内に日時設定動作を行うべきかを、図示しない表示装置や再生装置のフロントパネルに表示するようにシステム制御部111が制御する構成にすれば、ユーザーにも分かりやすい。
【0043】
日時情報の信頼性が確認されると、続いて、再生のためのパスワードの入力を求める(
S6)。ここで、パスワードは、ディスク識別番号と有効期限の情報を合わせて暗号化を
行ったものであり、10桁から20桁程度の数値で与えられる。ユーザーは、予め与えられたパスワードを、リモコンの数字キーなどを用いて入力する。
【0044】
パスワードに対して所定の演算処理を行い、パスワードを解析すると、ディスク識別番号と有効期限の2つの情報が得られる(S7)。ここで、パスワードは、ディスクの貸し
出し、あるいは販売時に与えられるものであり、厳格に管理された所定の計算機により計算が行われる。
【0045】
次に、システム制御部111は、パスワードを解析して得られたディスク識別番号と、実際にディスク上に書かれているディスク識別番号との一致を確認する(S8)。ディス
ク識別番号が一致しない場合は、他のディスクに対応したパスワードであり、不適切なパスワードなので、再生を行わず、ディスク識別番号不一致エラーを表示する(S9)。必
要に応じて、再度パスワードの入力を求めるステップS6に戻ってもよい。
【0046】
ディスク識別番号の一致を確認した後、パスワードを解析して得られた再生有効期限と
、時計部の出力する現在日時とを比較し、再生有効期限内かどうかを判断する(S10)
。現在日時が、有効期限を過ぎている場合には、有効期限切れとして、有効期限切れエラーを出力する(S11)。現在日時が、有効期限内であると判断された場合にのみ、ディ
スク再生を行う(S12)。
【0047】
ディスクの再生動作のステップでは、システム制御部111は、まず、ディスク上に記録されているファイル管理情報の読み出しを行う。ファイル管理情報には、ディスク上に記録されているファイル名(ファイル識別子)やファイル記録位置などの情報が記録されており、これを用いることにより、光ディスク上のファイルの読み出しを行うことが出来る。
【0048】
光ディスク上には、映像および音声情報の記録されたストリームファイル、ストリームファイルの再生順序を示すプレイリストファイル、メニュー画面を表示するためのメニュー情報ファイルなどが、所定のファイル名で記録されている。システム制御部は、予め決められた手順で、前記のファイルの読み出しを行ない、ストリームファイルの再生を行う

【0049】
ここで、ストリームファイルは、MPEG2方式で映像および音声が符号化されたものである。MPEG2方式のストリームファイルは、188バイトのMPEG2−TSと呼ばれるパケット形式のデータである。各パケットの出力タイミングを制御するために、出力タイミングに応じた30ビットのタイムスタンプ(時間情報)をパケットの先頭に付加し、192バイトのパケットデータとして光ディスク上に記録しておく。
【0050】
ストリームファイルの読み出しでは、読み出されたストリームファイルが出力制御部104に供給され、前記のタイムスタンプに応じたタイミングで、音声デコーダ107および映像デコーダ109にパケットが供給される。
【0051】
音声デコーダ107は、受信したパケットデータをデコードし、音声情報として、音声出力端子108に出力する。同様に、映像デコーダ109は、受信したパケットデータをデコードし、映像情報として、映像出力端子110に出力する。
【0052】
以上のような処理により、光ディスク上から再生されたデータがデコードされ、音声および映像データとして出力される。
【0053】
以上説明したとおり、本実施例によれば、日時情報が有効である場合にのみ、再生処理を行うことが出来る。
【0054】
ところで、図1に示した再生装置では、日時情報の取得に、ネットワークに接続された日時情報提供サーバーからの情報を使用している。しかしながら、これは限定されるものではない。例えば、日時情報を電波によって提供するサービスが行われている。日本では
、具体的には、行政独立法人通信総合研究所の提供するJJY(標準周波数局)の電波を受信するものである。JJYの電波は、福島県田村郡都路村にある「おおたかどや山標準電波送信所」より40kHzの長波信号として、A1B方式の信号で送信されている。
【実施例2】
【0055】
図3に、本発明を適用した第2の実施例である再生装置のブロック図を示す。
【0056】
図3に示した再生装置では、ネットワークインターフェース部116の代わりに、電波時計の電波を受信する受信部118を設けた。
【0057】
受信部118では、内蔵したアンテナで、JJYの電波を受信し、日時情報に変換して
、システム制御部111に入力する。システム制御部111では、受信部118で受信された信号を所定のタイミングで時計部114に設定する。この時、設定を行った日時を日時設定日時としてメモリー115に記憶する。またこの時、電源モニター部113からの電源異常信号があれば、これをリセットしておく。
【0058】
日時情報の取得以外は第1の実施例と同じであるので、ディスク再生時の動作についての説明は省略する。
【0059】
電波を受信して日時設定を行うことにより、ネットワーク接続機能を持たない再生装置でも、正確な日時設定を行うことが出来る。
【0060】
なお、受信する電波は、前記のような標準電波の他に、テレビ番組として放送されている電波でもよい。この場合には、放送電波中から日時情報を抽出して使用するように受信部を構成する。
【0061】
図1及び図3に示した再生装置では、時計部114を再生装置中に内蔵していたがこれは限定されるものではない。例えば、時計部114をICカードのように脱着可能なものとすることもできる。
【実施例3】
【0062】
以下、本発明を適用した第3の実施例として、まず、時計部114を独立させた日時情報提供装置の具体例を示す。
図4は、本実施例にかかる日時情報提供装置のブロック図である。
【0063】
図4中、401はマイコン、402は表示部、403は通信部、404は入出力端子であり、その他の記号は図1と同等である。各部の詳細については後述する。
【0064】
図1に示した再生装置では、再生装置自体に時計部114や電源モニター部113、ネットワークインターフェース部116を有しており、ネットワークを介して日時情報の設定を行っていた。しかしながら、すべての再生装置がネットワークに接続できるというわけではない。
【0065】
図4に示した日時情報提供装置は、ICカードのように独立した機器であり、それ自体に時計部114と電源モニター部113、通信部403を有している。この日時情報提供装置は、必要に応じて再生装置に取り付けられ、日時情報を提供する。この日時情報提供装置を使用することによりネットワークに接続されていない機器にも正確な日時情報を提供することが出来る。
【0066】
次に、本発明を適用した第3の実施例として、図4の日時情報提供装置に対応した再生装置のブロック図を示す。
図5は、図4の日時情報提供装置に対応した再生装置のブロック図である。
【0067】
図5に示した再生装置では、時計部114の代わりに、日時情報提供装置と通信を行う通信部119を有している。
【0068】
ここで、再生装置の入出力端子120と、日時情報提供装置404の入出力端子は、情報をやりとりするために、電気的に接続される。
【0069】
まず、日時情報提供装置(図4)から日時情報を提供する際の動作について、上述した図2を参照しながら説明する。
【0070】
再生装置に光ディスク101がセットされ、ユーザーによる再生指示が行われると、図2に示したフローチャートにしたがい、再生動作が行われる。ディスク識別番号取得ステップ(S2)およびディスク種別判別ステップ(S3)は、図1に示した再生装置と同じ動作である。
【0071】
日時情報が有効かどうかの判別ステップ(S4)では、日時情報の信頼性を確認するため、図4の日時情報提供装置からデータを取得する。
【0072】
具体的には、まず、システム制御部111が通信部119を介して、図4の日時情報提供装置との認証を行う。これは、図4の日時情報提供装置が正式なものであるか否かを判断するための処理である。認証作業では、お互いに所定の鍵を所有しているかどうかなどを確認し、正当性を評価すればよい。鍵を公開せずに認証するための方法として、ゼロ知識認証などの方法がある。この認証作業は、正確を期すため、数回繰り返してもよい。認証作業が終わり、互いの正当性が確認されると、情報のやりとりを行うことが出来る。認証作業に失敗すると、正当な日時情報提供装置が接続されていないものと判断して、エラーを表示して終了する(図示せず)。
【0073】
認証後、システム制御部111は、図4の日時情報提供装置に対し、日時情報の出力を行うように通信部119を介して指令を行う。
【0074】
日時情報提供装置では、再生装置のシステム制御部111からの日時情報出力指令が、入出力端子404および通信部403を介してマイコン401に入力される。マイコン401は、通信部403から入力された日時情報出力指令を受け、まず、日時情報の信頼性確認を行う。
【0075】
図4の日時情報提供装置には、電源モニター部113が含まれている。電源モニター部113は、日時情報提供装置の動作に必要な電池の状態を随時モニターしており、電池電圧の低下や、電源へのノイズ混入などの異常があると、電源異常信号を発し、マイコン401に電源異常を通知する。電源異常が生じた場合に、マイコン401のリセット動作を行うように構成しても良い。
【0076】
電源モニター部113からの電源異常信号がない場合には、時計部114も正常に動作しているものと考えられるので、日時情報信頼性は有効であると判断する。この場合には
、時計部114から日時情報を取得し、通信部403を介して図5の再生装置へ現在日時を返す。
【0077】
万一、電源モニター部113からの電源異常信号が入力されている場合には、時計部114の動作に異常が生じている可能性が高く、日時情報の信頼性が低いので、マイコン401は、通信部403を介して、再生装置へ「日時情報無効」との返答を行う。
【0078】
システム制御部111では、日時情報提供装置からの応答を確認し、正確な日時情報が提供されたかどうかを判断する。日時情報が無効である場合には、日時情報無効エラーを表示する(S5)。正しい日時情報が提供された場合には、パスワード取得処理(S6)
に遷る。
【0079】
なお、図5の再生装置と図4の日時情報提供装置との間の通信においては、通信する情報に暗号化を行なうことにより、通信内容を傍受されないようにすることが望ましい。これにより、日時情報提供装置を偽造したり、情報を変更したりすることが困難になる。
【0080】
パスワード取得処理(S6)以降の動作は、図1に示した再生装置の動作と同様であり説明は省略する。
【0081】
以上のようにして、日時情報提供装置が再生装置から独立している場合にも、日時情報が有効かどうかを判断し、正しい日時を取得することが出来る。
【0082】
ところで、図5に示した再生装置は、ネットワークに接続する手段を有していないので
、図4に示した日時情報提供装置に日時を設定するには、ネットワークに接続するための手段として日時設定装置が必要である。
【0083】
以下、図4の日時情報提供装置に日時を設定する手順を説明する。
【0084】
図6は、図4の日時情報提供装置に日時を設定するための日時設定装置のブロック図である。
【0085】
図6中、601は制御部、602は通信部、603は入出力端子であり、その他の記号は図1と同様である。
【0086】
ここで、通信部の入出力端子603は、図4の日時情報提供装置の入出力端子404と電気的に接続され、図4の日時情報提供装置と日時情報提供サーバー等のネットワーク接続装置との間で通信が行われる。
【0087】
日時情報提供装置とネットワーク接続装置が接続されると、図4の日時情報提供装置と図6のネットワーク接続装置との間で、認証作業が行われ、互いの正当性が確認される。
【0088】
認証作業完了後、制御部601は、ネットワークインターフェース部117を介して、ネットワーク上に接続されている日時情報提供サーバーに接続を行う。日時情報提供サーバーからは、現在日時に関する情報が提供される。
【0089】
制御部601は、日時情報提供サーバーから提供された現在日時の情報を、通信部602および入出力端子603を介して図4の日時情報提供装置に提供し、現在日時として設定するように指令を行う。
【0090】
図4の日時情報提供装置では、入出力端子404と通信部403を介して入力された日時設定指令をマイコン401が受信し、時計部114に設定する。このとき、日時設定日時をメモリー115上に記憶するとともに、電源モニター部113からくる電源異常信号をクリアしておく。
【0091】
以上のような処理により、図4の日時情報提供装置内の時計部114に日時が設定される。
【0092】
なお、日時情報提供装置内の表示部402に、現在日時を表示するようにすれば、ユーザーにとって便利である。また、表示部402には、日時情報が有効であるかどうかなどの付加情報も表示することも可能である。これにより、ユーザーは、再生装置で実際に再生動作を行う前に、日時情報の有効性を確認できる。
【0093】
もちろん、図6に示した日時設定装置でも、ネットワーク接続機能の代わりに、電波で送信される日時情報を受信するように構成しても良い。
【0094】
ところで、前記実施例では、光ディスクの再生を行うたびに、パスワードの取得を行っている(S6)。この時、前記実施例では、ユーザーによるパスワード入力を行っている
が、これは数々の変形が可能である。
【0095】
例えば、パスワードをメモリー115上に記憶しておくことも出来る。ユーザーにより
、パスワードが入力された際に、これをメモリー115上に記憶する。2回目からはメモリー上のパスワードを参照して使用するように制御を行えば、毎回ユーザーがパスワードを入力する手間を省くことが出来る。
【0096】
また、前記パスワードの記憶を、日時情報提供装置中のメモリー115に記憶しておくことも出来る。日時情報提供装置は、再生装置から取り外すことができるので、光ディスクとともに日時情報提供装置を移動すれば、他の再生装置でも容易に再生処理を行うことが出来る。
【0097】
また、パスワードの取得をネットワークを介して行うように構成すれば、ユーザーがパスワードを直接入力する必要はなく、操作が容易になる。この場合にも、パスワードを再生装置中のメモリーや日時情報提供装置中のメモリーに記憶しておけば、再度ネットワークに接続することなく、再生動作を行うことが出来る。
【0098】
以上、音声・映像情報が記録された光ディスクの再生を行う再生装置を説明した。しかしながら、これは限定されるものではなく、光ディスク以外の記録媒体を用いても同様に実現可能である。例えば、磁気ディスク装置や半導体メモリなどの記録媒体が考えられる

【0099】
また、予め光ディスク上に情報が記録されているものとして説明したが、放送を受信して記録し、再生を行う記録再生装置にも適用可能であり、ネットワークから情報をダウンロードして再生を行う場合にも、全く同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施例である再生装置のブロック図
【図2】第1の実施例である再生装置の再生動作プログラムのフローチャート
【図3】第2の実施例である再生装置のブロック図
【図4】第3の実施例である日時情報提供装置のブロック図
【図5】第3の実施例である再生装置のブロック図
【図6】第3の実施例である日時情報設定装置のブロック図
【符号の説明】
【0101】
113 電源モニター部
114 時計部
115 メモリー
116 ネットワークインターフェース部
117 入出力端子
118 受信部
119 通信部
120 入出力端子
401 マイコン
402 表示部
403 通信部
404 入出力端子
601 制御部
602 通信部
603 入出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から情報を再生する再生装置であって、
記録媒体から情報を再生する情報再生手段と、
日時を計時する時計と、
前記時計の日時を設定する日時設定手段と、
前記時計の計時する日時の信頼性を評価する日時信頼性評価手段とを有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再生装置であって、
前記日時信頼性評価手段は、前記時計の動作に必要な電源の異常を検出する電源異常検出手段を有することを特徴とする再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の再生装置であって、
前記日時設定手段により前記時計に設定した設定日時を記憶する記憶手段を有し、
前記日時信頼性評価手段は、時計の示す現在日時と、前記記憶手段に記憶した設定日時との差分から日時の信頼性を評価することを特徴とする再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の再生装置であって、
前記日時設定手段は、ネットワークに接続するネットワーク接続手段を有することを特徴とする再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の再生装置であって、
前記日時設定手段は、日時情報を含む電波を受信する受信手段を有することを特徴とする再生装置。
【請求項6】
日時の信頼性を取得する信頼性取得ステップと、
現在日時を取得する現在日時取得ステップと、
再生有効期限を取得する再生有効期限取得ステップと、
現在日時と再生有効期限とを比較する比較ステップとを有するプログラム。
【請求項7】
情報を記録した記録媒体であって、
請求項6に記載のプログラム記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
記録媒体から情報の再生を行う再生装置であって、
再生制御プログラムは、請求項6に記載のプログラムを含むことを特徴とする再生装置

【請求項9】
日時情報を提供する日時情報提供装置であって、
日時を計時する時計と、
時計に日時を設定する日時設定手段と、
時計の計時する日時の信頼性を評価する日時信頼性評価手段を有することを特徴とする日時情報提供装置。
【請求項10】
請求項9に記載の日時情報提供装置であって、
前記日時信頼性評価手段は、前記時計の動作に必要な電源の異常を検出する電源異常検出手段を有することを特徴とする日時情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−75122(P2009−75122A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279068(P2008−279068)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【分割の表示】特願2003−351511(P2003−351511)の分割
【原出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】