説明

写真フィルム処理装置

【課題】写真フィルムの現像処理と画像の読取りとを一連に処理する場合において、操作者の作業効率の低下を可及的に低減する。
【解決手段】写真フィルムの現像処理装置2と、現像された写真フィルム1の画像を読取るフィルムスキャナ3とが、写真フィルム1の搬送経路が一連に接続された状態で備えられ写真フィル処理装置において、操作者による入力操作の待ち受け状態にあるときに、後続の写真フィルム1が写真フィルム接近警告用の設定位置まで搬送されてきたことを検知したとき、前記待ち受け状態を維持するか、又は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行するかを操作者に問い合わせる表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真フィルムを現像処理する現像処理装置と、その現像処理装置にて現像された写真フィルムの画像を読取るフィルムスキャナとが備えられ、前記現像処理装置における写真フィルムの搬送経路と前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの搬送経路とが一連に接続されて構成され、前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの読取り動作を制御する読取り制御装置が備えられ、前記読取り制御装置は、写真フィルムの読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行可能に構成されている写真フィルム処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる写真フィルム処理装置は、下記特許文献1にも記載のような、写真フィルムの現像処理装置と、その現像処理装置にて現像処理した写真フィルムの画像を読取るフィルムスキャナとを備える装置であり、現像処理装置からフィルムスキャナまで一連の写真フィルムの搬送経路を有して、写真フィルムの現像から画像読取までを一連に処理する装置である。
このような写真フィルム処理装置では、フィルムスキャナにおいて読取り制御装置の制御下で写真フィルムの画像の自動読取りが行われている状態では、原則として、現像処理装置に次々に投入される写真フィルムが、現像処理装置にて現像処理され、更に、フィルムスキャナにて画像が読取られて排出されるという一連の流れが滞りなく実行される。
但し、画像の自動読取りで何らかのトラブルが発生したときに操作者に適切な入力操作を求める場合や、写真フィルムの検定作業(写真プリントを作製する際の露光条件の設定作業)を操作者が手動操作で行うように設定した場合等に対応するために、読取り制御装置は、適宜に、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行できるようにしている。
【0003】
このように待ち受け状態に移行したとき、操作者が装置から離れている場合であるとか、あるいは、操作者が写真フィルムの検定作業に手間取ってしまった場合、読取り制御装置が待ち受け状態で待機したままで写真フィルムの画像読取作業が停滞してしまうことになる。
フィルムスキャナでの画像読取作業が停滞している場合でも、現像処理装置では後続の写真フィルムを現像処理しており、現像処理の性質上それを途中で停止させることはできないため、従来は、現像処理の完了した写真フィルムをフィルムスキャナへは送らずに、写真フィルムの搬送経路外へ排出してしまう構成としていた。
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現像処理の完了した写真フィルムをフィルムスキャナへ送らずに搬送経路外へ排出してしまうと、その排出された写真フィルムは、現像処理から写真フィルムの画像読取に至る一連の処理の流れから外れてしまうことになり、排出された写真フィルムについては、再度の画像の読取り作業を操作者に強いることになる。
このため、操作者の作業効率の低下を招いていた。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、写真フィルムの現像処理と画像の読取りとを一連に処理する場合において、操作者の作業効率の低下を可及的に低減する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、写真フィルムを現像処理する現像処理装置と、その現像処理装置にて現像された写真フィルムの画像を読取るフィルムスキャナとが備えられ、前記現像処理装置における写真フィルムの搬送経路と前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの搬送経路とが一連に接続されて構成され、前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの読取り動作を制御する読取り制御装置が備えられ、前記読取り制御装置は、写真フィルムの読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行可能に構成されている写真フィルム処理装置において、前記現像処理装置側からの後続の写真フィルムの接近を検出するフィルム接近検知手段が備えられ、前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態にあるときに、前記フィルム接近検知手段の検出情報に基づいて、後続の写真フィルムが写真フィルム接近警告用の設定位置まで搬送されてきたことを検知したときに、前記待ち受け状態を維持するか、又は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行するかを操作者に問い合わせる表示を行うと共に、操作者によって前記待ち受け状態の解除を指示入力されたときに、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させるように構成されている。
【0006】
すなわち、読取り制御装置の制御状態が待ち受け状態となってフィルムスキャナで作業中の写真フィルムに対する操作が停止しているとき、後続の写真フィルムが接近してくると、その待ち受け状態を維持するか、又は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行するかを操作者に問い合わせる表示がなされるので、それを見た操作者は、後続の写真フィルムを読取り処理しなければならない状況が近づいていることを認識できる。
この段階で、操作者は、多少でも余裕をもって作業を進めたいときは、待ち受け状態を解除し、フィルムスキャナで作業中の写真フィルムを自動読取りに移行させてフィルムスキャナでの処理を迅速に終了させ、後続の写真フィルムを受入れる態勢にもって行く。
待ち受け状態を解除して自動読取りした部分については、写真フィルムの読取り結果に問題がなければその読取り結果をそのまま利用できるし、もし何らかの不都合な点があれば、その部分について読取り処理をやり直せば良い。
一方、少しでも長く待ち受け状態での作業を継続したいと考えれば、そのまま待ち受け状態を維持させる。

【0007】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態にあるときに、前記フィルム接近検知手段の検出情報に基づいて、後続の写真フィルムが前記写真フィルム接近警告用の設定位置よりも写真フィルムの画像読取位置に近い写真フィルム強制排除用の設定位置まで搬送されてきたことを検知したときに、強制的に前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させるように構成されている。
【0008】
すなわち、後続の写真フィルムが前記写真フィルム接近警告用の設定位置よりも更に搬送されて前記写真フィルム強制排除用の設定位置まで搬送されてきたときは、それ以上搬送されてしまうとフィルムスキャナで処理中の写真フィルムと後続の写真フィルムとが干渉してしまうため、フィルムスキャナで処理中の写真フィルムについては、操作者の意思に拘わらず強制的に自動読取りに移行させてフィルムスキャナでの処理を迅速に終了させる。
【0009】
又、本出願の第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させたときに、それまでの操作者による入力操作の履歴情報を記憶保存するように構成されている。
従って、操作者の指示入力によって待ち受け状態を解除してフィルムスキャナで作業中の写真フィルムを自動読取りに移行したとき、あるいは、強制的に待ち受け状態を解除してフィルムスキャナで作業中の写真フィルムを自動読取りに移行したときに、その時点までの操作者の入力操作の情報が保存されるので、その写真フィルムについて読取り処理を再度やり直す必要があると判断した場合に、既に操作者が必要な入力操作を行っている部分についてまで再度やり直すというような事態を回避できる。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の発明によれば、操作者の判断で、待ち受け状態を解除し、フィルムスキャナで作業中の写真フィルムを自動読取りに移行させることができるので、フィルムスキャナに受け入れることができなくなった後続の写真フィルムをそれの搬送経路外へ排出してしまうというような事態を回避することができ、もって、写真フィルムの現像処理と画像の読取りとを一連に処理する場合において、処理のやり直しを極力抑制して操作者の作業効率の低下を可及的に低減できるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、直ちに先行の写真フィルムを自動読取りで処理しないと後続の写真フィルムをフィルムスキャナに受け入れられない、というような状況まで写真フィルムが搬送されてきたときには、操作者の意思に拘わらず強制的に自動読取りに移行させるので、操作者がぎりぎりまで待ち受け状態での作業を行いたいと考えている場合や、操作者が装置から離れて必要な処置がとれないような場合でも、後続の写真フィルムの受け入れが可能な状態を的確に作り出すことができる。
又、上記第3の発明によれば、前記待ち受け状態を解除して自動読取りに移行させた写真フィルムについて、読取り処理を再度行う必要があると判断した場合でも、前記待ち受け状態で操作者が行った入力操作の記録が保存されているので、必要以上の入力操作のやり直しを回避することができ、作業効率の低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の写真フィルム処理装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の写真フィルム処理装置FTは、内部構造を概略的に示す図1及び概略ブロック図である図3に示すように、写真フィルム1を現像処理する現像処理装置2と、その現像処理装置2にて現像された写真フィルム1の画像を読取るフィルムスキャナ3と、これらを管理する主制御装置4とを主要部として構成されている。
図1では図示を省略しているが、主制御装置4はいわゆるパーソナルコンピュータにて構成され、各種の情報を表示するモニタ4aと、種々の指示入力を行うための操作卓4b及びマウス4cとが接続されている。
フィルムスキャナ3は、現像処理装置2の上部に取付けられ、詳しくは後述するが、現像処理装置2における写真フィルム1の搬送経路とフィルムスキャナ3における搬送経路とは一連に接続されており、現像処理装置2にパトローネPに収納された状態で投入された写真フィルム1は、現像処理装置2とフィルムスキャナ3とを連続的に搬送されて、現像及び画像の読取りが一挙に実行される。
【0012】
〔現像処理装置2の構成〕
現像処理装置2には、図1に示すように、パトローネPを支持するホルダー11と、パトローネPから引き出された写真フィルム1の後端を切断するためのカッタ12と、写真フィルム1に対して現像,漂白,定着及び安定等の一連の現像処理を順次に行うための複数の現像処理槽13aが一体にユニット化された現像処理ユニット13と、現像処理ユニット13を通過した写真フィルム1を乾燥させるための送風ファン14と、現像処理装置2にて現像処理の完了した写真フィルム1をフィルムスキャナ3へ送り込むための中継搬送装置15とが備えられている。
【0013】
パトローネPのホルダー11から現像処理ユニット13に至るまで、現像処理ユニット13内、及び、現像処理ユニット13の出口部から中継搬送装置15に至るまでの各箇所には、写真フィルム1を搬送するための多数の搬送ローラ16が備えられている。
更に、現像処理ユニット13内には、それの上部位置に、現像処理槽13a間で写真フィルム1の受渡し搬送をする上部ローラユニット13bが取付けられている。
図示を省略するモータにて回転駆動される上記の搬送ローラ16と、図示を省略するガイドとによって、現像処理装置2内で写真フィルム1を搬送する搬送経路が構成されており、図1において写真フィルム1の搬送位置を2点鎖線にて示している。
写真フィルム1の搬送経路の始端付近には、発光素子と受光素子とを一対に備える光学式のフィルム検出センサ17が設置され、フィルム検出センサ17の検出情報が写真フィルム1の搬送位置の検知に利用される。フィルム検出センサ17は、未現像の写真フィルム1の感光を防止できる発光波長域及び光強度に設定されている。
現像処理装置2における写真フィルム1の搬送経路の終端に位置する中継搬送装置15については、詳しくは後述する。
【0014】
〔フィルムスキャナ3の構成〕
フィルムスキャナ3には、フィルムスキャナ3内において写真フィルム1を搬送駆動するフィルムキャリア21と、フィルムキャリア21にて搬送される写真フィルム1の画像を読取るために写真フィルム1を照明する照明用光源ユニット22と、写真フィルム1の画像を読取るための画像読取ユニット23と、写真フィルム1の画像を画像読取ユニット23の受光面に結像させるズームレンズユニット24とが備えられている。
【0015】
フィルムキャリア21には、写真フィルム1を搬送する搬送ローラ21aと、その搬送ローラ21aを回転駆動するモータ(図示を省略)と、そのモータを制御する搬送制御部21bとが備えられている。
フィルムキャリア21では、図1において破線の矢印Aで示すように、フィルムキャリア21内における写真フィルム1の搬送経路の中央位置付近が写真フィルム1の画像読取位置となっている。
【0016】
照明用光源ユニット22は、赤色光発光ダイオード,緑色光発光ダイオード,及び,青色光発光ダイオードを備えて、それらの照明色成分にて写真フィルム1のカラー画像を色分解して検出できるように構成されている。
画像読取ユニット23には、赤色光,緑色光及び青色光の成分を個別に検出する3列のCCDラインセンサと、そのCCDラインセンサの検出画像をデジタル画像データとして出力する信号処理回路とが備えられている。
【0017】
〔中継搬送装置15〕
現像処理装置2における写真フィルム1の搬送経路の終端に位置する中継搬送装置15は、図2に示すように、送風ファン14による写真フィルム1の乾燥用空間内の搬送ローラ16から写真フィルム1を受け取る一対のガイド31a,31bと、図示を省略するモータにて回転駆動される搬送ローラ32と、中継ユニット33と、搬送される写真フィルム1の先端に貼着されているリーダ部を切断するためのカッタ34とを主要部として構成されている。
写真フィルム1の先端に貼着されるリーダ部は、写真フィルム1を現像処理装置2内で安定して高速に搬送させるためのものであり、例えば、比較的に腰の強い樹脂製のフィルム等が使用される。
一対のガイド31a,31bのうちの下方側のガイド31bは、搬送ローラ32間の部分が揺動開閉式に構成され、図2において2点鎖線で示す位置では通常のガイドとして写真フィルム1を搬送案内し、図2において実線で示すように下方に開いた状態では、写真フィルム1のループ状に垂下させることができる。
中継ユニット33には、図示を省略するモータに回転駆動される搬送ローラ33aと、写真フィルム1を搬送案内するガイド33bとが備えられ、図示を省略するアクチュエータによって中継ユニット33全体がα軸芯回りで揺動駆動されるように構成されている。
【0018】
この中継搬送装置15では、送風ファン14による乾燥用空間から写真フィルム1を受け取ると、ガイド31bを閉じ姿勢(図2において2点鎖線で示す姿勢)とした状態で、写真フィルム1の先端に貼着したリーダ部がカッタ34の設置位置を通過するまで搬送した後、ガイド31bを開き姿勢(図2において実線で示す姿勢)として、リーダ部と写真フィルム1の接続部分付近をカッタ34にて切断する。
切断されたリーダ部は、リーダトレイ18(図1参照)に落下する。
この後、写真フィルム1の先端を中継ユニット33まで搬送し、その先端を搬送ローラ33aにて挟持した状態で停止させ、図2に示すような写真フィルム1のループを形成させる。
適切な長さのループが形成されると、中継ユニット33が図2において2点鎖線で示す姿勢に揺動駆動されて、中継ユニット33がフィルムキャリア21の搬送経路の一端に接近する姿勢となり、搬送ローラ33aを回転駆動して写真フィルム1をフィルムスキャナ3内の搬送経路へ送り込む。
この中継搬送装置15の動作によって、現像処理装置2における搬送経路とフィルムスキャナ3における搬送経路とが一連に接続されることになる。
【0019】
〔フィルムスキャナ3における処理〕
現像処理装置2における写真フィルム1は、写真フィルム1の化学的処理を伴う関係で、写真フィルム1を一定速度で停止させることなく搬送するように構成しており、又、上記のように現像処理装置2での写真フィルム1の搬送経路とフィルムスキャナ3での写真フィルム1の搬送経路とが一連に接続されていることから、現像処理の完了した写真フィルム1の退避機構等を設けない限り、フィルムスキャナ3は、現像処理装置2から排出された写真フィルム1を遅滞なく受け入れる必要がある。
【0020】
フィルムスキャナ3は、写真フィルム1の画像の読取り動作を全自動で行えるように構成されており、その全自動での読取り処理の所要時間は、現像処理装置2から写真フィルム1を順次に排出するインターバルよりも短くなるように設計されているので、全自動での写真フィルム1の画像の読取りが順調に実行されている状態では、現像処理装置2から受け入れた写真フィルム1の画像読取り処理を、次の写真フィルム1を受け入れる時点までに完了している。
【0021】
但し、フィルムスキャナ3の処理には、全自動での処理以外に、何らかの操作者の入力操作を必要として、操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態とする場合がある。
具体的には、写真フィルム1から読取った画像を写真プリント装置(図示せず)で印画紙に焼き付ける際の露光条件(厳密には、フィルムスキャナ3にて読取った画像の画像処理条件)について、読取り画像から自動的に算出した露光条件をそのまま使用するのではなく、操作者が読取り画像をモニタ4aに表示させて自動的に算出した露光条件に対して適宜に修正を加える作業を行うように動作設定されている場合である。
又、上記のように待ち受け状態が必ず発生するように動作設定されている場合の他に、装置側で発生した事象に起因して待ち受け状態となる場合もある。
例えば、フィルムスキャナ3では、画像の読取り以外に、写真フィルム1に記録されているいわゆるDXコードを読取っており、DXコードの記録箇所が何らかの理由により露光されてしまい、DXコードを正常に読み取れない場合に、操作者にDXコードの入力操作を求める場合がある。
更には、例えば、花火大会等の花火の撮影写真のように撮影画像の端部付近での露光量が低く駒画像の輪郭が明確でないために、写真フィルム1上での1駒の画像の存在範囲を正確には特定できない場合に、操作者に1つの駒画像の範囲の指定を求める場合がある。
【0022】
このように、操作者に何らかの入力操作を求めている状態では、それに対応する操作者の指示入力がない限り、フィルムスキャナ3では画像の読取り作業を停止していることになる。
その停止の間も、後続の写真フィルム1については現像処理が進行しているので、その後続の写真フィルム1を円滑にフィルムスキャナ3に受け入れるための処理が必要となる。
主制御装置4は、フィルムスキャナ3における写真フィルム1の読取り動作を一連に制御する読取り制御装置RCとして機能しており、図4乃至図7のフローチャートに示す処理を実行して、これに対応している。
【0023】
主制御装置4は、中継搬送装置15によって写真フィルム1がフィルムスキャナ3に送り込まれると、図4及び図5に「フィルム検定処理」として示す処理を開始する。
先ず、搬送制御部21b及び画像読取ユニット23に対して、写真フィルム1のプレスキャンの実行を指示する(ステップ#1)。
このプレスキャンは、写真フィルム1の全体を比較的低解像度で読取る操作であり、DXコードの読取りも含まれる。
【0024】
プレスキャンが完了すると、DXコードが正確に認識できたか否かの確認(ステップ#2)や写真フィルム1の各駒画像の駒位置が正確に特定できたか否かの確認(ステップ#6)をする。尚、DXコードの認識や駒位置の特定処理については、画像読取ユニット23内に十分な容量のメモリや制御装置等を備えて、画像読取ユニット23内で実行させても良いし、フィルムスキャナ3で読取った写真フィルム1の全体の画像を主制御装置4に取込んで、主制御装置4側で処理するようにしても良い。
【0025】
DXコードを正確に読み取れなかったときは(ステップ#2)、モニタ4aの画面にDXコードの入力を求めるための入力画面を表示し(ステップ#3)、操作者が必要な手動入力操作を行う(ステップ#4)のを待ち受ける待ち受け状態に移行する。
すなわち、写真フィルム1の読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行する。
この待ち受け状態の間では、後続の写真フィルム1の搬送状況についての監視をする「後続フィルム確認処理」を実行している(ステップ#5)。
【0026】
この「後続フィルム確認処理」の処理内容は、図6及び図7のフローチャートに示す処理であり、後続の写真フィルム1が写真フィルム接近警告用の設定位置まで搬送されているか否か、あるいは、後続の写真フィルム1が写真フィルム強制排除用の設定位置まで搬送されているか否かを確認する(ステップ#21,#22)。
この「写真フィルム強制排除用の設定位置」は、現像処理装置2内の写真フィルム1の搬送経路において、その位置からフィルムスキャナ3の入口部分まで写真フィルム1を搬送する時間が、露光条件の演算処理と写真フィルム1の本スキャンに要する時間よりもわずかに長い時間となる位置に設定されている。
又、「写真フィルム接近警告用の設定位置」は、現像処理装置2内の写真フィルム1の搬送経路において、上記の「写真フィルム強制排除用の設定位置」に対してある程度搬送上流側に設定されている。換言すると、「写真フィルム強制排除用の設定位置」は、「写真フィルム接近警告用の設定位置」よりも、フィルムスキャナ3における写真フィルム1の画像読取り位置(図1において破線の矢印Aで示す位置)に近い位置に設定されていることになる。
【0027】
写真フィルム1の搬送位置の検知のために、主制御装置4は、別途の処理にて、写真フィルム1の先端がフィルム検出センサ17の検出作用位置を通過したことを示す信号を受け取った時点からの経過時間を写真フィルム1毎に計時しており、その計時情報と写真フィルム1の搬送速度とから写真フィルム1の搬送位置を特定している。従って、フィルム検出センサ17及び主制御装置4は、フィルムスキャナ3へ現像処理装置2側から送られてくる後続の写真フィルム1の接近を検出するフィルム接近検知手段NFとして機能している。
【0028】
写真フィルム1が「写真フィルム接近警告用の設定位置」まで搬送されていない状態では、直ちに図4の処理に戻って待ち受け状態を維持するが、写真フィルム1が「写真フィルム接近警告用の設定位置」まで搬送されてきたことを検知すると(ステップ#22)、既に警告済みでないことを確認した上で(ステップ#23)、図8に示すような、後続の写真フィルム1が接近してきていることを警告する旨の表示と、自動処理に移行するか否かを問い合わせる表示とを含むウィンドウ表示をモニタ4aの画面に表示する(ステップ#24)。
この自動処理に移行するか否かを問い合わせる表示は、上記の待ち受け状態を維持するか、又は、待ち受け状態を解除して写真フィルム1の自動読取り動作に移行するかを問い合わせる表示である。
【0029】
図8のウィンドウ表示で、操作者が「いいえ」の表示をマウス4c等にて操作して、待ち受け状態を維持する意思を指示入力したとき(ステップ#25,#27)は、直ちに図4の処理に戻って待ち受け状態を維持する。
これに対して、図8のウィンドウ表示で、操作者が「はい」の表示をマウス4c等にて操作して、待ち受け状態を解除して写真フィルム1の自動読取り動作に移行する意思を指示入力したとき(ステップ#25,#27)は、ステップ#4で構成される待機ループには戻らずに待ち受け状態を解除して、それまでの操作者の入力操作の履歴情報を主制御装置4に備えられたハードディスク装置等の記憶装置に記憶保存した後(図7のステップ#28)に、ステップ#29以降の自動読取り動作に移行する。
尚、待ち受け状態を維持するかあるいは自動読取り動作に移行するかの操作者の意思を確認しているステップ#25においても、操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態になっているので、自分自身の処理である図6及び図7の「後続フィルム確認処理」を呼び出して(ステップ#26)、操作者が何も入力操作しないまま写真フィルム1が「写真フィルム強制排除用の設定位置」まで搬送されてしまうようなケースに対処している。
【0030】
自動読取り動作に移行したステップ#29からの処理では、先ず、プレスキャンでの写真フィルム1の読取りデータから、写真フィルム1の各駒画像の露光条件を算出しているか否かを確認する(ステップ#29)。
この時点では、図4のステップ#5で呼び出された処理をしているので、露光条件の算出は未だ行っていないため、ステップ#30〜#32で各駒画像の露光条件を算出する。
この露光条件の算出手法は公知のものを利用すれば良く、例えば、駒画像の平均濃度から求めた露光条件を、駒画像の特徴部分(人物の顔等)の画像濃度で補正をする等の算出手法を用いることができる。
各駒画像の露光条件の算出が完了すると、主制御装置4は、フィルムスキャナ3の搬送制御部21b及び画像読取ユニット23に対して本スキャンを指示して(ステップ#33)、この写真フィルム1の読取り制御を終了する。
本スキャンを指示された搬送制御部21bは、フィルムキャリア21にセットされている写真フィルム1をプレスキャンとは逆方向に搬送し、画像読取ユニット23は、写真フィルム1の各駒画像をプレスキャンのときよりも高解像度で読取る。
尚、ステップ#30〜#32の露光条件の算出処理や本スキャンにおいて使用する駒画像の存在位置の情報が確定できていないときは、確定できていない駒の前後の駒画像の存在位置や、写真フィルム1全体の画像の並び状態から推定する。又、検出できなかったDXコードの情報を必要とするときには、最もよく利用される写真フィルム1についての情報を流用する。
【0031】
以上のように、写真フィルム1が「写真フィルム接近警告用の設定位置」まで搬送されてきた段階では、操作者の意思を問い合わせるのであるが、写真フィルム1が「写真フィルム強制排除用の設定位置」まで搬送されてきたことを検知すると(図6のステップ#21)、図8に示すような操作者の意思を問い合わせる表示は行わず、強制的に待ち受け状態を解除して、直ちにステップ#28以降の処理を実行して、自動読取り動作に移行する。
【0032】
図4のステップ#6において、写真フィルム1の駒画像の存在位置を正確に特定できなかった場合も、DXコードを正確に読み取れなかったとき(ステップ#2)と類似の処理を行う。
すなわち、モニタ4aの画面に駒画像の存在位置の指定を求めるための入力画面を表示し(ステップ#7)、操作者が必要な手動入力操作を行う(ステップ#8)のを待ち受ける待ち受け状態に移行する。
すなわち、写真フィルム1の読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行する。 この待ち受け状態の間では、後続の写真フィルム1の搬送状況についての監視をする「後続フィルム確認処理」を実行している(ステップ#9)。
ステップ#9の「後続フィルム確認処理」は、既に説明した図6及び図7の処理であり、説明を省略する。
【0033】
図4の処理で、DXコードを正常に取得でき、又、駒画像の存在位置を適正に検出できたとき、あるいは、それらの検出が異常であって、操作者が迅速に必要な手動入力操作を行ったときは、ステップ#10〜#12で各駒画像の露光条件を算出する。
この処理は、上述のステップ#30〜#32の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0034】
各駒画像毎の露光条件の算出が完了すると(ステップ#12)、写真フィルム1の画像の読取り作業が、操作者の手動入力操作を必要とせずに自動読取り動作を行う自動モードに設定されているか、あるいは、ステップ#10〜#12の処理で算出した各駒画像の露光条件を操作者が適宜に修正する手動修正モードに設定されているかを確認する(図5のステップ#13)。
前記自動モードに設定されているときは、フィルムスキャナ3の搬送制御部21b及び画像読取ユニット23に対して本スキャンを指示して(ステップ#18)、この写真フィルム1の読取り制御を終了する。
ステップ#18の処理は、図7のステップ#33と同一であるので説明を省略する。
【0035】
一方、ステップ#13の判断で、前記手動修正モードに設定されているときは、図9に例示するような補正作業用のウィンドウ表示をモニタ4aの画面に表示し(ステップ#14)。操作者が必要な手動入力操作を行う(ステップ#15)のを待ち受ける待ち受け状態に移行する。
すなわち、写真フィルム1の読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行する。
この待ち受け状態の間では、後続の写真フィルム1の搬送状況についての監視をする「後続フィルム確認処理」を実行している(ステップ#16)。
ステップ#16の「後続フィルム確認処理」は、既に説明した図6及び図7の処理であり、説明を省略する。
図9の表示画面で操作者が作業を行っている状態で、後続の写真フィルム1が「写真フィルム接近警告用の設定位置」又は「写真フィルム強制排除用の設定位置」まで搬送されて、操作者の意思によって又は操作者の意思に依らずに強制的に自動読取り動作に移行したときは、図7のステップ#28の処理によって、図9の表示画面で操作者が入力した露光条件の補正値等の情報は主制御装置4に記憶保存されるので、その写真フィルム1について、図9の補正作業用のウィンドウ表示を利用して再度露光条件の修正入力作業を行う必要があるときには、主制御装置4はその記憶保存したデータを読出して、図9の画面に初期値として表示する。
これによって、操作者は補正値の重複入力を回避できる。
図9の表示画面を利用して、必要な入力操作が全て完了すると(ステップ#15,#17)、フィルムスキャナ3の搬送制御部21b及び画像読取ユニット23に対して本スキャンを指示して(ステップ#18)、この写真フィルム1の読取り制御を終了する。
この本スキャンについては、既に説明した通りである。
【0036】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、現像処理装置2側からの後続の写真フィルム1の接近を検出するフィルム接近検知手段NFは、設定位置からの写真フィルム1の搬送時間を計時して写真フィルム1の搬送位置を検出する場合を例示しているが、写真フィルム1を搬送する搬送ローラ16を回転駆動するモータの回転量を検出して写真フィルム1の搬送位置を検出する等、その具体構成は種々に変更可能である。
(2)上記実施の形態では、印画紙に画像を露光形成して写真プリントを作製する場合を想定しているが、写真フィルム1から読取った画像をインクジェット式プリンタ等の露光によらないプリント装置で写真プリントを作製する場合にも本発明を適用できるのはもちろんのことである。
(3)上記実施の形態では、読取り制御装置RCとして機能する主制御装置4を、フィルムスキャナ3とは別個に備える場合を例示しているが、主制御装置4の機能をフィルムスキャナ3に内蔵させた構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態にかかる写真フィルム処理装置の概略断面図
【図2】本発明の実施の形態にかかる要部動作説明図
【図3】本発明の実施の形態にかかる写真フィルム処理装置の概略ブロック構成図
【図4】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図5】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図6】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図7】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図8】本発明の実施の形態にかかるモニタ画面に表示するウィンドウ表示例
【図9】本発明の実施の形態にかかるモニタ画面に表示するウィンドウ表示例
【符号の説明】
【0038】
2 現像処理装置
3 フィルムスキャナ
NF フィルム接近検知手段
RC 読取り制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フィルムを現像処理する現像処理装置と、その現像処理装置にて現像された写真フィルムの画像を読取るフィルムスキャナとが備えられ、
前記現像処理装置における写真フィルムの搬送経路と前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの搬送経路とが一連に接続されて構成され、
前記フィルムスキャナにおける写真フィルムの読取り動作を制御する読取り制御装置が備えられ、
前記読取り制御装置は、写真フィルムの読取り動作を一連に制御する途中において、一連の読取り制御動作を中断して操作者からの手動入力操作を待ち受ける待ち受け状態に移行可能に構成されている写真フィルム処理装置であって、
前記現像処理装置側からの後続の写真フィルムの接近を検出するフィルム接近検知手段が備えられ、
前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態にあるときに、前記フィルム接近検知手段の検出情報に基づいて、後続の写真フィルムが写真フィルム接近警告用の設定位置まで搬送されてきたことを検知したときに、前記待ち受け状態を維持するか、又は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行するかを操作者に問い合わせる表示を行うと共に、操作者によって前記待ち受け状態の解除を指示入力されたときに、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させるように構成されている写真フィルム処理装置。
【請求項2】
前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態にあるときに、前記フィルム接近検知手段の検出情報に基づいて、後続の写真フィルムが前記写真フィルム接近警告用の設定位置よりも写真フィルムの画像読取位置に近い写真フィルム強制排除用の設定位置まで搬送されてきたことを検知したときに、強制的に前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させるように構成されている請求項1記載の写真フィルム処理装置。
【請求項3】
前記読取り制御装置は、前記待ち受け状態を解除して写真フィルムの自動読取り動作に移行させたときに、それまでの操作者による入力操作の履歴情報を記憶保存するように構成されている請求項1又は2記載の写真フィルム処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−245163(P2008−245163A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86055(P2007−86055)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】