説明

冷凍加工食品提供方法

【課題】冷凍米飯と調理用冷凍具材を使用して、食する人の好みや摂取制限等に応じた手作り風の異なる各種調理を簡単に製することができる冷凍加工食品提供方法を提供する。
【解決手段】冷凍状態で保存され、解凍または冷凍状態で調理される冷凍加工食品提供方法であって、冷凍米飯Rと、該冷凍米飯Rに混ぜる調理用冷凍具材50を別体にして提供するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍加工食品提供方法に関するものであり、特に、冷凍米飯を用いて異なる料理を簡単に製することができる冷凍加工食品提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に販売されている冷凍加工食品、例えばチャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、牛丼、天丼、カツ丼等の冷凍加工食品は、既に米飯と具材とを混ぜ合わせて調理された状態で提供されている(例えば、特許文献1参照)。したがって、食する人の側で冷凍米飯に混ざる具材の量を自由に調整したりすることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−150936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、料理は、食する人の好みや摂取制限等がある。このため、好みや摂取制限に応じた料理を作ることができない等の理由から、冷凍加工食品そのものの使用を敬遠している人も少なくないという問題点があった。
【0005】
そこで、冷凍米飯と調理用冷凍具材を使用して、食する人の好みや摂取制限等に応じた手作り風の異なる各種調理を簡単に製することができる冷凍加工食品提供方法を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、冷凍状態で保存され、解凍または冷凍状態で調理される冷凍加工食品提供方法であって、冷凍米飯と、該冷凍米飯に混ぜる調理用冷凍具材を別体にして提供する冷凍加工食品提供方法にある。
【0007】
この方法によれば、食する人の好みや摂取制限等に応じて、冷凍米飯に調理用冷凍具材を所定量だけ混ぜることができ、手作り風の料理を製することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の方法において、上記冷凍米飯は、炊飯された米飯を一度水に浸してバラ化し、その後、ベルトコンベアに乗せて水切りしながら冷却・冷凍室内に搬送し、該冷却・冷凍室内で表面水分を取り除いた後に凍結してなる冷凍加工食品提供方法にある。
【0009】
この方法によれば、炊飯後のα化された米飯を一度水に浸すことにより、米飯表面のネバが洗い落され、その後、水切り及びバラ化し、かつ冷却、冷凍されることにより、細かく単粒状に分割された冷凍米飯を調理用冷凍具材と共に提供できる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の方法において、上記冷凍米飯は白米飯であり、上記調理用冷凍具材はチャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼用のいずれかである冷凍加工食品提供方法にある。
【0011】
この方法によれば、好み等に合わせて調理用冷凍具材の種類及び量を変えることにより、チャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼等のいずれかの料理を、手作り風にして簡単に製することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、食する人の好みや摂取制限等に応じて、冷凍米飯に調理用冷凍具材を所定量だけ混ぜることにより、手作り風の料理を簡単に製することができるので、冷凍食品の利用拡大が期待できる。
【0013】
請求項2記載の発明は、細かく単粒状に分割された冷凍米飯を調理用冷凍具材と共に提供できることにより、米飯粒と具材との絡みが良くなり、料理の味の向上も図れる。これにより、さらに冷凍食品の利用拡大が期待できる。
【0014】
請求項3記載の発明は、好み等に合わせて調理用冷凍具材の種類及び量を変えることにより、チャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼用等のいずれかの料理を、手作り風にして簡単に製することができるので、さらに冷凍食品の利用拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る冷凍加工食品提供方法を説明する図。
【図2】凍結白米飯を製造する装置の一例を示す概略図
【図3】同上装置におけるほぐし体の説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は冷凍米飯と調理用冷凍具材を使用して、食する人の好みや摂取制限等に応じた手作り風の異なる各種調理を簡単に製することができる冷凍加工食品提供方法を提供するという目的を達成するために、冷凍状態で保存され、解凍または冷凍状態で調理される冷凍加工食品提供方法であって、冷凍米飯と、該冷凍米飯に混ぜる調理用冷凍具材を別体にして提供することにより実現した。
【0017】
以下、本発明の実施形態による冷凍加工食品提供方法について説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の冷凍加工食品提供方法の一実施例を説明する図で、この実施例では、冷凍白米飯Rと、この冷凍白米飯Rと混ぜて使用される調理用冷凍具材50とを用意する。
【0019】
前記冷凍白米飯Rは、常法により炊きあげられ、それをバラ化し、かつ冷却・冷凍されてなる白米飯が用いられる。
【0020】
前記調理用冷凍具材50は、必要な味付け及び加熱調理が既になされ、その後、冷凍されてなる具材であり、例えばチャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼等の具材であるが、これに限定されるものではない。
【0021】
そして、これら冷凍白米飯R及び調理用冷凍具材50は、所定量ずつ容器、あるいは袋等に入れられて別々に梱包され、販売に供される。なお、ここでの梱包は、前記冷凍白米飯Rと前記調理用冷凍具材50を完全に別体の状態にする場合と、同じ袋あるいは容器内ではあるが、その中で別の状態にされて収容されている場合も含む。また、使用時は、人数等に応じて必要量を取り出して使用できるように、冷凍白米飯Rは、例えば500g、1000g入りと大袋で、また料理の具材に合わせて硬い米飯、柔らかい米飯等が用意される。なお、調理用冷凍具材50も、人数等に応じて必要量を取り出して使用できるように大袋で用意される。
【0022】
冷凍白米飯R及び調理用冷凍具材50を購入したユーザーは、その調理に際して、冷凍白米飯Rと調理用冷凍具材50をそれぞれ必要な量だけ取り出し、解凍後、あるいは解凍しながら混合し、また電子レンジで加熱、あるいはフライパン等で攪拌しながら加熱して最終調理を行う。これにより、白米飯Rに必要量の具材50が混ざり合った手作り風の料理を、食する人の好みや摂取制限等に応じて簡単に製することができる。
【0023】
すなわち、調理用冷凍具材50を選択して冷凍白米飯Rと組み合わせて調理することにより、チャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼等の料理を簡単に手作り風にして製することができる。
【0024】
なお、バラ化して冷凍された白米飯Rは、図2に示すような凍結米飯製造装置を用いて製造すると、容易に米粒同士がバラ化或いは米粒が単粒化され、白米飯Rの表面全体が前記調理用冷凍具材50で包まれたより美味しい料理を作ることができる。
【0025】
図2に示す凍結米飯製造装置を以下に説明する。同図において、凍結米飯製造装置10は、炊飯システム11内で炊飯された直後で、α化された白米飯(玄米も含む。)Rの表面に付着しているネバを取り除いた後、その白米飯を乾燥・冷却・冷凍室12内で凍結させて単粒化した状態の凍結米飯を連続手的に作るものである。
【0026】
その凍結米飯製造装置10は、前記乾燥・冷却・冷凍室12の他に、水浸漬手段13、供給コンベア14、第1室内搬送用コンベア15、第2室内搬送用コンベア16、ほぐし体17、剥離装置18,19等により構成されている。
【0027】
前記乾燥・冷却・冷凍室12の内部は、庫内温度が+5℃程度に保持される冷却乾燥室20と、庫内温度が−35℃程度に保持される第1冷凍室21a及び第2冷凍室21bとに分けられている。また、前記冷却乾燥室20と、前記第1冷凍室21a及び前記第2冷凍室21b内には、各室20,21a,21b内を上記温度に調整・保持しておくための冷却器22a,22b,22cが設けられている。
【0028】
前記水浸漬手段13は、前記炊飯システム11おいて炊飯された直後のα化された白米飯Rを水に浸してほぐし、バラ化するための手段である。該水浸漬手段13は、例えば炊飯された白米飯Rを入れて回転する回転カゴを有し、該回転カゴに白米飯Rを入れて水に浸した状態で回転させ、この白米飯Rの表面を水で洗うことにより、白米飯R表面に付着しているネバを取り除いて単粒状化した状態にほぐしてバラ化する。
【0029】
前記供給コンベア14は、前記水浸漬手段13で表面を水洗いしてバラ化された直後の白米飯Rが載せられ、該白米飯Rを乾燥・冷却・冷凍室12側に搬送するものであり、平ベルト等でなる食品コンベアで形成されている。
【0030】
前記ほぐし体17は、前記供給コンベア14の排出端部に対応して、該供給コンベア14上に隣接して設けられている。該ほぐし体17では、該供給コンベア14で運ばれて来たバラ化済みの白米飯Rを、前記第1室内搬送用コンベア15の上方空間に飛ばして該第1室内搬送用コンベア15上に落下させることにより、さらに単粒状化した状態にほぐすものである。そのほぐし体17は、例えば図2に示すように、回転軸23の外周面から外側に向かって延びる複数本の棒24を、該回転軸23の長手方向に沿って設けてなる櫛状をしたパドル部材等である。このほぐし体17の構造は、これ以外の構造であってもよい。
【0031】
前記第1室内搬送用コンベア15は、前記ほぐし体17で上方空間に飛ばされた白米飯Rを受け、これを前記冷却乾燥室20を通って前記第1冷凍室21a内に搬送するものであり、無数の孔が開けられて通気性を有するネット状のベルト(以下、「ネットベルト」と言う)で形成されている。したがって、該第1室内搬送用コンベア15は、前記供給コンベア14の下側から前記冷却乾燥室20を通って前記第1冷凍室21a内まで配設されている。
【0032】
また、前記冷却乾燥室20及び第1冷凍室21a内には、前記第1室内搬送用コンベア15で搬送されて行く白米飯Rに対して、前記ネットベルトの下側からベルトの孔を通して風を吹き付けるファン25が、該ネットベルトに沿って複数台(実施例では各エリア20,21aに2台ずつ)設けられている。なお、該ファン25による白米飯Rへの風の吹き付け量は、ネットベルト上に載せられている白米飯Rが風で飛ばされずに、僅かに舞い上がらせ、該ネットベルト上で白米飯Rが多少上下に踊るような状態になる大きさとし、例えば0.5〜1.0m/s程度が好ましい。
【0033】
前記剥離装置18は、前記第1室内搬送用コンベア15の排出端部に対応して設けられており、該第1室内搬送用コンベア15で第1冷凍室21aの端まで運ばれて来た冷凍白米飯Rを、該第1室内搬送用コンベア15上から剥離し、次の前記第2室内搬送用コンベア16上に滑り落下させるものであり、例えば平板状をした滑り板である。
【0034】
前記第2室内搬送用コンベア16は、前記剥離装置18を通って前記第1室内搬送用コンベア15から排出されて来る冷凍白米飯Rを受け、これを前記第1冷凍室21aから前記第2冷凍室21b内に搬送するものであり、前記第1搬送用ベルト15と同様に前記ネットベルトで形成されている。
【0035】
また、前記第2冷凍室21b内には、前記第2室内搬送用コンベア16で搬送されて行く白米飯Rに対して、ネットベルトの下側からベルトの孔を通して風を吹き付けるファン25が、該ネットベルトに沿って複数台(実施例では2台)設けられている。なお、この場合も、該ファン25による白米飯Rへの風の吹き付け量は、ネットベルト上に載せられている白米飯Rが風で飛ばされずに、僅かに舞い上がらせ、該ネットベルト上で白米飯Rが多少上下に踊るような状態になる大きさとし、例えば0.5〜1.0m/s程度が好ましい。
【0036】
前記剥離装置19は、前記第2室内搬送用コンベア16の排出端部に対応して設けられており、該第2搬送用コンベア16で前記第2冷凍室21bの端まで運ばれて来た冷凍白米飯Rを、該第2搬送用コンベア16上から剥離し、次の袋詰め工程用のベルトコンベア(図示せず)上に滑り落下させるものであり、例えば平板状をした滑り板である。
【0037】
次に、本発明に係る凍結米飯製造装置10の作用を説明する。まず、炊飯システム11で炊飯されたα化された白米飯Rを、水浸漬工程となる前記水浸漬手段13の回転カゴ等に入れて水に浸す、そして、白米飯Rの表面を水洗いしてネバを一時的に取り除いてバラ化し、それを供給コンベア14上に載せる。
【0038】
前記供給コンベア14上に載せられた白米飯Rは、該供給コンベア14で乾燥・冷却・冷凍室12側へ搬送される。また、該供給コンベア14の端部まで運ばれた白米飯Rは、バラ撒き工程となるほぐし体17で空気中に飛ばされ、前記第1室内搬送用コンベア15上にバラ撒かれることにより、粒状化された状態に撒きほぐされる。
【0039】
前記第1室内搬送用コンベア15上にバラ撒かれた白米飯Rは、該第1室内搬送用コンベア15に載せられ、冷却・冷凍室12の入口26から+5℃に保たれている乾燥・冷却工程となる前記冷却乾燥室20内に送り込まれ、更に該冷却乾燥室20から−35℃に保たれている凍結工程となる前記第1冷凍室21aの出口付近まで運ばれる。そして、乾燥・冷却工程となる冷却乾燥室20内では、+5℃まで冷却されて、乾燥している空気と前記ファン25での風により白米飯Rの表面の水分が取り除かれる。続いて、凍結工程となる前記第1冷凍室21a内では、−35℃に冷やされた冷気と前記ファン25での風により、前記冷却エリア20で冷却された白米飯Rの表面側を更に冷やして凍結させる。この状態では、白米飯Rの芯までは凍結してない。
【0040】
また、前記第1室内搬送用コンベア15の端部、すなわち前記第1冷凍室21aの出口付近まで搬送された凍結白米飯Rは、該第1室内搬送用コンベア15の端部に設けられている前記剥離装置18によって該第1室内搬送用コンベア15から剥離され、該剥離装置18上を滑って前記第2室内搬送用コンベア16上へ順次移される。また、この滑りにより凍結白米飯Rはさらに単粒状化される。
【0041】
前記第2室内搬送用コンベア16上に移された凍結白米飯Rは、−35℃に保たれている同じく冷凍工程となる前記第2冷凍室21b内を通って更に芯まで凍結される。
【0042】
また、該第2冷凍室21bの外側まで運ばれた凍結白米飯Rは、該第2室内搬送用コンベア16の端部に設けられている前記剥離装置19によって該第2室内搬送用コンベア16から剥離され、該剥離装置19上を滑って次の袋詰め工程用のベルトコンベア(図示せず)上に滑り落下される。なお、この第2室内搬送用コンベア16を設けずに、該第1室内搬送用コンベア15から袋詰め工程用のベルトコンベア上に移る場合もある。
【0043】
したがって、本実施例による凍結米飯製造装置10を使用した場合では、α化された米飯は、ベルトコンベア上に載せられるとき、その部半表面のネバは既に取り除かれているので、細かくバラ化する際、スムーズにバラ化することができる。
【0044】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、チャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼を製する料理以外にも応用できる。
【符号の説明】
【0046】
10 凍結米飯製造装置
11 炊飯システム
12 乾燥・冷却・冷凍室
13 水浸漬手段
14 供給コンベア
15 第1室内搬送用コンベア
16 第2室内搬送用コンベア
17 ほぐし体
18 剥離装置
19 剥離装置
20 冷却乾燥室
21a 第1冷凍室
21b 第2冷凍室
22a〜22c 冷却器
23 回転軸
24 棒
25 ファン
26 入口
27 出口
R 白米飯
50 調理用冷凍具材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍状態で保存され、解凍または冷凍状態で調理される冷凍加工食品提供方法であって、
冷凍米飯と、該冷凍米飯に混ぜる調理用冷凍具材を別体にして提供することを特徴とする冷凍加工食品提供方法。
【請求項2】
上記冷凍米飯は、炊飯された米飯を一度水に浸してバラ化し、その後、ベルトコンベアに乗せて水切りしながら冷却・冷凍室内に搬送し、該冷却・冷凍室内で表面水分を取り除いた後に凍結してなることを特徴とする冷凍加工食品提供方法。
【請求項3】
上記冷凍米飯は白米飯であり、上記調理用冷凍具材はチャーハン、チキンライス、ドライカレー、お粥、五目ご飯、ピラフ、牛丼、天丼、カツ丼用のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の冷凍加工食品提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−239385(P2012−239385A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108724(P2011−108724)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(390026974)株式会社東洋製作所 (132)
【Fターム(参考)】