冷蔵庫
【課題】 冷凍用板を裏返すという簡単な操作で緩慢冷凍および急速冷凍を簡単に実行できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】 上段冷凍容器11の底面上に緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23を重ね合わせてフレーム17で保持した薄板部材15を載置し、被冷凍物を緩慢冷凍するときには、緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し、被冷凍物を急速冷凍するときには、急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。
【解決手段】 上段冷凍容器11の底面上に緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23を重ね合わせてフレーム17で保持した薄板部材15を載置し、被冷凍物を緩慢冷凍するときには、緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し、被冷凍物を急速冷凍するときには、急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫として、通常の冷凍処理以外に、例えば生野菜などのような被冷凍物を緩慢に時間をかけて冷凍する緩慢冷凍と、例えば炊きたてのごはんなどの熱い状態の被冷凍物を急速に冷凍する急速冷凍とを行うことができる冷蔵庫が開発され実用化されている。
【0003】
このような緩慢冷凍および急速冷凍を行うにあたっては、この緩慢冷凍および急速冷凍を行うための冷凍室内に収納される冷凍容器内の底面上に、緩慢冷凍を行う場合には、断熱性の高いポリエチレン(PE)製の断熱シートからなる緩慢冷凍用シートが載置され、また急速冷凍を行う場合には、熱伝導率の高い熱良導体のアルミニウム材からなる急速冷凍用トレイが載置される。
【0004】
すなわち急速冷凍を行う急速冷凍モードと緩慢冷凍を行う緩慢冷凍モードとでは、それぞれ異なる冷凍用補助部材が択一的に選択されて、この冷凍用補助部材上に被冷凍物が載置されて冷凍が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−121938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、2種類の緩慢冷凍用シートと急速冷凍用トレイは、緩慢冷凍を行うのかまたは急速冷凍を行うのかによって択一的に選択されて冷凍容器の底面上に載置されるが、例えば緩慢冷凍用シートを使用して緩慢冷凍を行った後に、急速冷凍を行おうとする場合には、冷凍容器の底面上に載置されている緩慢冷凍用シートを取り外してから、新たに急速冷凍用トレイを載置しなければならないというように冷凍用補助部材の取り換えという繁雑さがあるとともに、また取り外した緩慢冷凍用シートをどこか別の場所に収納しなければならないという繁雑さもある。また逆に、急速冷凍の後に緩慢冷凍を行う場合も同様である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、冷凍用シートを裏返すという簡単な操作で緩慢冷凍モードと急速冷凍モードとを簡単に実行できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の冷蔵庫では、緩慢冷凍用シートと急速冷凍用シートを対向する面同士が互いに重ね合わせられて構成される薄板部材を有し、被冷凍物を緩慢冷凍するときには、緩慢冷凍用シートが上側になるように冷凍室の冷凍容器の底面上に薄板部材を載置し、被冷凍物を急速冷凍するときには、急速冷凍用シートが上側になるように冷凍室の冷凍容器の底面上に薄板部材を載置する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わる冷蔵庫の縦断面図である。
【図2】図1に示す冷蔵庫の上段冷凍室に収納されている上段冷凍容器を示す断面図である。
【図3】図2に示す上段冷凍容器を示す斜視図である。
【図4】図3に示した上段冷凍容器から薄板部材を取り出した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示すように上段冷凍容器から取り出した薄板部材の表側および裏側を示す斜視図である。
【図6】図5に示す薄板部材の冷凍用シート部を保持しているフレームと冷凍用シート部の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係わる冷蔵庫の縦断面図である。同図においては、左側が冷蔵庫の前側であり、右側が冷蔵庫の後側である。この冷蔵庫は、通常の冷凍処理以外に、緩慢冷凍および急速冷凍をおこなうことができるものであり、その最上部に冷蔵室1が設けられ、この冷蔵室1の下側に野菜室3が設けられている。また、この野菜室3の下側には、上段冷凍室5が設けられ、この上側冷凍室5の下側の最下部に下段冷凍室7が設けられている。なお、緩慢冷凍および急速冷凍は、上段冷凍室5に収納されている被冷凍物に対して行われるものである。
【0012】
また、下段冷凍室7の後側には、冷却器8が設けられ、この冷却器8の真上であって、上段冷凍室5の後側には、ファン9が設けられていて、冷却器8で冷却された冷気は、ファン9を介して上段冷凍室5および下段冷凍室7内に送風され、上段冷凍室5および下段冷凍室7内の被冷凍物を冷凍するようになっている。
【0013】
図2は、図1に示した冷蔵庫の上段冷凍室5内に収納されている上段冷凍容器11を示す断面図であり、図2において右側が冷蔵庫の前側であり、左側が冷蔵庫の後側である。図2に示すように、上段冷凍容器11の底部の中程には、上段冷凍容器11の底部を前後に分けるように上方に突出した突起13が形成され、この突起13よって上段冷凍容器11の底面を前半分と後半分に分割している。そして、図2において右側となる前半分における上段冷凍容器11の底面上には、薄板部材15が載置されている。
【0014】
この薄板部材15は、図2の断面からわかるように、緩慢冷凍用部材としての緩慢冷凍用板21と急速冷凍用部材としての急速冷凍用板23の2枚の冷凍用板を互いに重ね合わせて構成される冷凍用板部16と、この2枚の冷凍用板を重ね合わせて構成される冷凍用板部16の全周縁部を表裏の両側から挟んで固定的に保持しているフレーム17とから構成されている。
【0015】
薄板部材15は、図3に示す上段冷凍容器11の斜視図から分かるように、上段冷凍容器11の底面の前半分を全体的に覆う長方形に構成され、この長方形の薄板部材15の全周縁部をフレーム17が両側から挟んで固定している。なお、図3においては、奥側が冷蔵庫の前側であり、手前側が冷蔵庫の後側である。この薄板部材15は、上段冷凍容器11の前半分の底面上に単に載置されているだけのものであるので、図4に示すように、上段冷凍容器11から取り出すことができる。
【0016】
図5(a)および図5(b)は、図4に示すように、上段冷凍容器11から取り出した薄板部材15の緩慢冷凍用板21が見える表側と急速冷凍用板23が見える裏側をそれぞれ示す斜視図である。
【0017】
図6は、薄板部材15の全周縁部を表裏の両側から挟んで固定的に保持しているフレーム17の詳細な構造を示す断面図である。同図に示すように、フレーム17は、第1の半枠体31と第2の半枠体33とを組み合わせて構成されるものであり、断面においてそれぞれの一端31a、33aは、斜めに延出するように形成され、この斜めに延出したそれぞれの一端31a、33aの両方が突き合うように当接し、またそれぞれの他端31b、33bは、直角に曲折し、この曲折したそれぞれの先端で緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23からなる冷凍用板部16を表裏の両側から挟んで保持している。
【0018】
また、第1の半枠体31および第2の半枠体33の互いに対向する面の中程には、それぞれ相手側に向かうように突出した第1の突起31cと第2の突起33cがそれぞれ形成され、この第1の突起31cの先端の折れ曲がった鉤部31dが第2の突起33cの先端寄りに形成された係合孔33dに嵌合している。この鉤部31dと係合孔33dとの嵌合した部分は、図6のように組み合せられた場合の第1の半枠体31と第2の半枠体33の全体の梃子として作用し、第1の半枠体31および第2の半枠体33の他端31b、33bの間に挟んだ緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23からなる冷凍用板部16を固定的に保持するようになっている。
【0019】
そして、上述したように、第1の半枠体31および第2の半枠体33は、両者の一端31a、33aが突き合うように当接し、鉤部31dと係合孔33dが嵌合し、他端31b、33bの間に冷凍用板部16を挟むことにより、両者が堅固に組み合わさり、このように組み合わせられた後は、第1の半枠体31と第2の半枠体33の両者は簡単に外れないようになっている。
【0020】
なお、薄板部材15の冷凍用板部16を構成する緩慢冷凍用板21は、例えば生野菜などのような被冷凍物を緩慢に時間をかけて、例えば3時間のように時間をかけて冷凍するときに、すなわち被冷凍物を緩慢冷凍するときに当該緩慢冷凍用板21上に被冷凍物が載置されるものであり、そのために薄板部材15は、図2に示すように、緩慢冷凍用板21が上側になるように上段冷凍容器11の底面上に載置される。
【0021】
また、薄板部材15の冷凍用板部16を構成する急速冷凍用板23は、例えば炊きたてで熱々のごはんなどのような被冷凍物を急速に冷凍するときに、すなわち被冷凍物を急速冷凍するときに当該急速冷凍用板23上に被冷凍物が載置されるものであり、そのために薄板部材15は、図2に示す状態から表裏逆にして、急速冷凍用板23が上側になるように上段冷凍容器11の底面上に載置される。
【0022】
なお、緩慢冷凍用板21は、独立気泡を有する断熱性が高く、剛性があり、破れにくい断熱板である、例えば発泡ポリプロピレンで構成され、また急速冷凍用板23は、熱伝導率が高く、軽量の熱良導体の板であるアルミニウム板で構成されている。
【0023】
また、薄板部材15の冷凍用板部16は、2枚の冷凍用板である緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23とを対向する面同士が互いに重ね合うようにして構成されるものであるが、この重ね合わせでは、緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23の両者は、その対向する面同士が互いに貼り付けられてもよいし、または接着剤などで接着されてもよいが、緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23とは、上述したように、重ね合わされた緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23がフレーム17によって両者の全周縁部が表裏の両側から挟まれて固定的に保持されているものであるため、両者は貼り合わされたり、または接着される必要もないが、両者を更に強固に一体的に構成する場合には、両者を貼り合せたり、または接着した後に、フレーム17で固定的に保持してもよいものである。
【0024】
以上のように構成される冷蔵庫において、例えば生の野菜などの被冷凍物を緩慢冷凍しようとする場合には、まず上段冷凍室5内の上段冷凍容器11の底面に載置されている薄板部材15の冷凍用板部16を構成する緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。この場合、直前に上段冷凍室5を使用した状態によって、薄板部材15の急速冷凍用板23が上面となって、上段冷凍室5の上段冷凍容器11内に載置されていた場合には、薄板部材15を裏表逆さにひっくり返して、緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し直す。
【0025】
このように直前の使用状態によって冷凍用板部16の表裏が反対となっていたとしても、単に薄板部材15を裏表逆さにひっくり返すだけで、簡単に緩慢冷凍か急速冷凍かの所望の方に設定することができるとともに、従来のように緩慢冷凍用板と急速冷凍用板とが別々になっていた場合に、既に載置されている別の冷凍用板を取り外したり、この取り外した方の冷凍用板をどこに置くかなどに迷ったり、置く手間を省くことができ、円滑に冷凍処理を行うことができる。
【0026】
それから、次に冷蔵庫の本体などに設けられている図示しない緩慢冷凍用の操作部を操作して、冷蔵庫の上段冷凍室5に対する冷凍動作を緩慢冷凍に設定してから、緩慢冷凍の開始操作を行い、急速冷凍を開始させる。すると、冷蔵庫の図示しない制御部により冷却器8およびファン9が上段冷凍室5の上段冷凍容器11内の被冷凍物に対して緩慢冷凍を行うべく作動し、所定の時間、例えば3時間などが経過すると、被冷凍物は緩慢冷凍される。この緩慢冷凍が終了したことは、図示しない操作部により冷蔵庫の使用者に通知される。
【0027】
一方、例えば炊きたてで高温状態にあるごはんなどの被冷凍物を急速冷凍しようとする場合には、まず上段冷凍容器11の底面に載置されている冷凍用板部16を構成する急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。この場合、直前に上段冷凍室5を使用した状態によって、薄板部材15の緩慢冷凍用板21が上面となって、上段冷凍容器11内に載置されていた場合には、薄板部材15を裏表逆さにひっくり返して、急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し直す。
【0028】
このように直前の使用状態によって冷凍用板部16の表裏が反対となっていたとしても、単に薄板部材15を裏表逆さにひっくり返すだけで、簡単に所望の急速冷凍に設定することができるとともに、薄板部材15を取り外して別の場所に置くなどの手間を省くことができ、円滑に冷凍処理を行うことができる。
【0029】
次に、冷蔵庫の本体などに設けられている図示しない急速冷凍用の操作部を操作して、冷蔵庫の上段冷凍室5に対する冷凍動作を急速冷凍に設定してから、急速冷凍を開始操作を行い、急速冷凍を開始させる。すると、冷蔵庫の図示しない制御部により冷却器8およびファン9が上段冷凍室5の上段冷凍容器11内の被冷凍物に対して急速冷凍を行うべく作動し、所定の時間が経過すると、被冷凍物は急速冷凍される。この急速冷凍が終了したことは、図示しない操作部により冷蔵庫の使用者に通知される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
5 上段冷凍室
7 下段冷凍室
8 冷却器
9 ファン
11 上段冷凍容器
13 突起
15 薄板部材
16 冷凍用板部
17 フレーム
21 緩慢冷凍用板
23 急速冷凍用板
31 第1の半枠体
31c 第1の突起
31d 鉤部
33 第2の半枠体
33c 第2の突起
33d 係合孔
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫として、通常の冷凍処理以外に、例えば生野菜などのような被冷凍物を緩慢に時間をかけて冷凍する緩慢冷凍と、例えば炊きたてのごはんなどの熱い状態の被冷凍物を急速に冷凍する急速冷凍とを行うことができる冷蔵庫が開発され実用化されている。
【0003】
このような緩慢冷凍および急速冷凍を行うにあたっては、この緩慢冷凍および急速冷凍を行うための冷凍室内に収納される冷凍容器内の底面上に、緩慢冷凍を行う場合には、断熱性の高いポリエチレン(PE)製の断熱シートからなる緩慢冷凍用シートが載置され、また急速冷凍を行う場合には、熱伝導率の高い熱良導体のアルミニウム材からなる急速冷凍用トレイが載置される。
【0004】
すなわち急速冷凍を行う急速冷凍モードと緩慢冷凍を行う緩慢冷凍モードとでは、それぞれ異なる冷凍用補助部材が択一的に選択されて、この冷凍用補助部材上に被冷凍物が載置されて冷凍が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−121938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、2種類の緩慢冷凍用シートと急速冷凍用トレイは、緩慢冷凍を行うのかまたは急速冷凍を行うのかによって択一的に選択されて冷凍容器の底面上に載置されるが、例えば緩慢冷凍用シートを使用して緩慢冷凍を行った後に、急速冷凍を行おうとする場合には、冷凍容器の底面上に載置されている緩慢冷凍用シートを取り外してから、新たに急速冷凍用トレイを載置しなければならないというように冷凍用補助部材の取り換えという繁雑さがあるとともに、また取り外した緩慢冷凍用シートをどこか別の場所に収納しなければならないという繁雑さもある。また逆に、急速冷凍の後に緩慢冷凍を行う場合も同様である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、冷凍用シートを裏返すという簡単な操作で緩慢冷凍モードと急速冷凍モードとを簡単に実行できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の冷蔵庫では、緩慢冷凍用シートと急速冷凍用シートを対向する面同士が互いに重ね合わせられて構成される薄板部材を有し、被冷凍物を緩慢冷凍するときには、緩慢冷凍用シートが上側になるように冷凍室の冷凍容器の底面上に薄板部材を載置し、被冷凍物を急速冷凍するときには、急速冷凍用シートが上側になるように冷凍室の冷凍容器の底面上に薄板部材を載置する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わる冷蔵庫の縦断面図である。
【図2】図1に示す冷蔵庫の上段冷凍室に収納されている上段冷凍容器を示す断面図である。
【図3】図2に示す上段冷凍容器を示す斜視図である。
【図4】図3に示した上段冷凍容器から薄板部材を取り出した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示すように上段冷凍容器から取り出した薄板部材の表側および裏側を示す斜視図である。
【図6】図5に示す薄板部材の冷凍用シート部を保持しているフレームと冷凍用シート部の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係わる冷蔵庫の縦断面図である。同図においては、左側が冷蔵庫の前側であり、右側が冷蔵庫の後側である。この冷蔵庫は、通常の冷凍処理以外に、緩慢冷凍および急速冷凍をおこなうことができるものであり、その最上部に冷蔵室1が設けられ、この冷蔵室1の下側に野菜室3が設けられている。また、この野菜室3の下側には、上段冷凍室5が設けられ、この上側冷凍室5の下側の最下部に下段冷凍室7が設けられている。なお、緩慢冷凍および急速冷凍は、上段冷凍室5に収納されている被冷凍物に対して行われるものである。
【0012】
また、下段冷凍室7の後側には、冷却器8が設けられ、この冷却器8の真上であって、上段冷凍室5の後側には、ファン9が設けられていて、冷却器8で冷却された冷気は、ファン9を介して上段冷凍室5および下段冷凍室7内に送風され、上段冷凍室5および下段冷凍室7内の被冷凍物を冷凍するようになっている。
【0013】
図2は、図1に示した冷蔵庫の上段冷凍室5内に収納されている上段冷凍容器11を示す断面図であり、図2において右側が冷蔵庫の前側であり、左側が冷蔵庫の後側である。図2に示すように、上段冷凍容器11の底部の中程には、上段冷凍容器11の底部を前後に分けるように上方に突出した突起13が形成され、この突起13よって上段冷凍容器11の底面を前半分と後半分に分割している。そして、図2において右側となる前半分における上段冷凍容器11の底面上には、薄板部材15が載置されている。
【0014】
この薄板部材15は、図2の断面からわかるように、緩慢冷凍用部材としての緩慢冷凍用板21と急速冷凍用部材としての急速冷凍用板23の2枚の冷凍用板を互いに重ね合わせて構成される冷凍用板部16と、この2枚の冷凍用板を重ね合わせて構成される冷凍用板部16の全周縁部を表裏の両側から挟んで固定的に保持しているフレーム17とから構成されている。
【0015】
薄板部材15は、図3に示す上段冷凍容器11の斜視図から分かるように、上段冷凍容器11の底面の前半分を全体的に覆う長方形に構成され、この長方形の薄板部材15の全周縁部をフレーム17が両側から挟んで固定している。なお、図3においては、奥側が冷蔵庫の前側であり、手前側が冷蔵庫の後側である。この薄板部材15は、上段冷凍容器11の前半分の底面上に単に載置されているだけのものであるので、図4に示すように、上段冷凍容器11から取り出すことができる。
【0016】
図5(a)および図5(b)は、図4に示すように、上段冷凍容器11から取り出した薄板部材15の緩慢冷凍用板21が見える表側と急速冷凍用板23が見える裏側をそれぞれ示す斜視図である。
【0017】
図6は、薄板部材15の全周縁部を表裏の両側から挟んで固定的に保持しているフレーム17の詳細な構造を示す断面図である。同図に示すように、フレーム17は、第1の半枠体31と第2の半枠体33とを組み合わせて構成されるものであり、断面においてそれぞれの一端31a、33aは、斜めに延出するように形成され、この斜めに延出したそれぞれの一端31a、33aの両方が突き合うように当接し、またそれぞれの他端31b、33bは、直角に曲折し、この曲折したそれぞれの先端で緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23からなる冷凍用板部16を表裏の両側から挟んで保持している。
【0018】
また、第1の半枠体31および第2の半枠体33の互いに対向する面の中程には、それぞれ相手側に向かうように突出した第1の突起31cと第2の突起33cがそれぞれ形成され、この第1の突起31cの先端の折れ曲がった鉤部31dが第2の突起33cの先端寄りに形成された係合孔33dに嵌合している。この鉤部31dと係合孔33dとの嵌合した部分は、図6のように組み合せられた場合の第1の半枠体31と第2の半枠体33の全体の梃子として作用し、第1の半枠体31および第2の半枠体33の他端31b、33bの間に挟んだ緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23からなる冷凍用板部16を固定的に保持するようになっている。
【0019】
そして、上述したように、第1の半枠体31および第2の半枠体33は、両者の一端31a、33aが突き合うように当接し、鉤部31dと係合孔33dが嵌合し、他端31b、33bの間に冷凍用板部16を挟むことにより、両者が堅固に組み合わさり、このように組み合わせられた後は、第1の半枠体31と第2の半枠体33の両者は簡単に外れないようになっている。
【0020】
なお、薄板部材15の冷凍用板部16を構成する緩慢冷凍用板21は、例えば生野菜などのような被冷凍物を緩慢に時間をかけて、例えば3時間のように時間をかけて冷凍するときに、すなわち被冷凍物を緩慢冷凍するときに当該緩慢冷凍用板21上に被冷凍物が載置されるものであり、そのために薄板部材15は、図2に示すように、緩慢冷凍用板21が上側になるように上段冷凍容器11の底面上に載置される。
【0021】
また、薄板部材15の冷凍用板部16を構成する急速冷凍用板23は、例えば炊きたてで熱々のごはんなどのような被冷凍物を急速に冷凍するときに、すなわち被冷凍物を急速冷凍するときに当該急速冷凍用板23上に被冷凍物が載置されるものであり、そのために薄板部材15は、図2に示す状態から表裏逆にして、急速冷凍用板23が上側になるように上段冷凍容器11の底面上に載置される。
【0022】
なお、緩慢冷凍用板21は、独立気泡を有する断熱性が高く、剛性があり、破れにくい断熱板である、例えば発泡ポリプロピレンで構成され、また急速冷凍用板23は、熱伝導率が高く、軽量の熱良導体の板であるアルミニウム板で構成されている。
【0023】
また、薄板部材15の冷凍用板部16は、2枚の冷凍用板である緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23とを対向する面同士が互いに重ね合うようにして構成されるものであるが、この重ね合わせでは、緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23の両者は、その対向する面同士が互いに貼り付けられてもよいし、または接着剤などで接着されてもよいが、緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23とは、上述したように、重ね合わされた緩慢冷凍用板21と急速冷凍用板23がフレーム17によって両者の全周縁部が表裏の両側から挟まれて固定的に保持されているものであるため、両者は貼り合わされたり、または接着される必要もないが、両者を更に強固に一体的に構成する場合には、両者を貼り合せたり、または接着した後に、フレーム17で固定的に保持してもよいものである。
【0024】
以上のように構成される冷蔵庫において、例えば生の野菜などの被冷凍物を緩慢冷凍しようとする場合には、まず上段冷凍室5内の上段冷凍容器11の底面に載置されている薄板部材15の冷凍用板部16を構成する緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。この場合、直前に上段冷凍室5を使用した状態によって、薄板部材15の急速冷凍用板23が上面となって、上段冷凍室5の上段冷凍容器11内に載置されていた場合には、薄板部材15を裏表逆さにひっくり返して、緩慢冷凍用板21が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し直す。
【0025】
このように直前の使用状態によって冷凍用板部16の表裏が反対となっていたとしても、単に薄板部材15を裏表逆さにひっくり返すだけで、簡単に緩慢冷凍か急速冷凍かの所望の方に設定することができるとともに、従来のように緩慢冷凍用板と急速冷凍用板とが別々になっていた場合に、既に載置されている別の冷凍用板を取り外したり、この取り外した方の冷凍用板をどこに置くかなどに迷ったり、置く手間を省くことができ、円滑に冷凍処理を行うことができる。
【0026】
それから、次に冷蔵庫の本体などに設けられている図示しない緩慢冷凍用の操作部を操作して、冷蔵庫の上段冷凍室5に対する冷凍動作を緩慢冷凍に設定してから、緩慢冷凍の開始操作を行い、急速冷凍を開始させる。すると、冷蔵庫の図示しない制御部により冷却器8およびファン9が上段冷凍室5の上段冷凍容器11内の被冷凍物に対して緩慢冷凍を行うべく作動し、所定の時間、例えば3時間などが経過すると、被冷凍物は緩慢冷凍される。この緩慢冷凍が終了したことは、図示しない操作部により冷蔵庫の使用者に通知される。
【0027】
一方、例えば炊きたてで高温状態にあるごはんなどの被冷凍物を急速冷凍しようとする場合には、まず上段冷凍容器11の底面に載置されている冷凍用板部16を構成する急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置する。この場合、直前に上段冷凍室5を使用した状態によって、薄板部材15の緩慢冷凍用板21が上面となって、上段冷凍容器11内に載置されていた場合には、薄板部材15を裏表逆さにひっくり返して、急速冷凍用板23が上面となるように薄板部材15を上段冷凍容器11の底面上に載置し直す。
【0028】
このように直前の使用状態によって冷凍用板部16の表裏が反対となっていたとしても、単に薄板部材15を裏表逆さにひっくり返すだけで、簡単に所望の急速冷凍に設定することができるとともに、薄板部材15を取り外して別の場所に置くなどの手間を省くことができ、円滑に冷凍処理を行うことができる。
【0029】
次に、冷蔵庫の本体などに設けられている図示しない急速冷凍用の操作部を操作して、冷蔵庫の上段冷凍室5に対する冷凍動作を急速冷凍に設定してから、急速冷凍を開始操作を行い、急速冷凍を開始させる。すると、冷蔵庫の図示しない制御部により冷却器8およびファン9が上段冷凍室5の上段冷凍容器11内の被冷凍物に対して急速冷凍を行うべく作動し、所定の時間が経過すると、被冷凍物は急速冷凍される。この急速冷凍が終了したことは、図示しない操作部により冷蔵庫の使用者に通知される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
5 上段冷凍室
7 下段冷凍室
8 冷却器
9 ファン
11 上段冷凍容器
13 突起
15 薄板部材
16 冷凍用板部
17 フレーム
21 緩慢冷凍用板
23 急速冷凍用板
31 第1の半枠体
31c 第1の突起
31d 鉤部
33 第2の半枠体
33c 第2の突起
33d 係合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷凍物を緩慢に時間をかけて冷凍する緩慢冷凍モードと被冷凍物を急速に冷凍する急速冷凍モードとを切り替えて冷凍することができる冷凍室を備えている冷蔵庫であって、
前記冷凍室に収容される冷凍容器内の底面上に載置される薄板部材であって、当該薄板部材の第1の面側は、緩慢冷凍モードのときに被冷凍物が載置される断熱性に優れた緩慢冷凍用部材で構成され、前記薄板部材の前記第1の面の裏面側の第2の面側は、急速冷凍モードのときに被冷凍物が載置される熱伝導率の高い急速冷凍用部材で構成される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記薄板部材の全周縁部を当該薄板部材の表裏の両側から挟んで固定的に保持するフレームを有することを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記薄板部材の緩慢冷凍用部材と急速冷凍用部材は、対向する面同士を互いに合わせて一体に構成されることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記緩慢冷凍用部材は、独立気泡の発泡ポリプロピレンで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項1】
被冷凍物を緩慢に時間をかけて冷凍する緩慢冷凍モードと被冷凍物を急速に冷凍する急速冷凍モードとを切り替えて冷凍することができる冷凍室を備えている冷蔵庫であって、
前記冷凍室に収容される冷凍容器内の底面上に載置される薄板部材であって、当該薄板部材の第1の面側は、緩慢冷凍モードのときに被冷凍物が載置される断熱性に優れた緩慢冷凍用部材で構成され、前記薄板部材の前記第1の面の裏面側の第2の面側は、急速冷凍モードのときに被冷凍物が載置される熱伝導率の高い急速冷凍用部材で構成される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記薄板部材の全周縁部を当該薄板部材の表裏の両側から挟んで固定的に保持するフレームを有することを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記薄板部材の緩慢冷凍用部材と急速冷凍用部材は、対向する面同士を互いに合わせて一体に構成されることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記緩慢冷凍用部材は、独立気泡の発泡ポリプロピレンで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−7508(P2013−7508A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139263(P2011−139263)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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