説明

分散剤

分散作用を有する成分として(a)0.1〜99.9%の質量割合を有するポリカルボキシレートエーテルからの少なくとも1つの代表例、(b)0〜99.8%の質量割合を有するポリカルボキシレートエステルからの少なくとも1つの代表例、および(c)0.1〜99.9質量%の質量割合を有する荷電されていないコポリマーからの少なくとも1つの代表例の組合せ物を含有し、個々の成分の共乾燥によって得られ、かつ水性の建築化学的懸濁液の流動能の制御に適している、特に粉末状の分散剤の特許保護が請求されている。本発明によれば、インサイチュー(in−situ)で形成される分散剤によって、分散剤の制御可能な事後の計量供給が付加的な処理工程なしに達成されうる。更に、事後の流れ調整剤の計量供給によって、ポリマーの上昇された計量供給効率が達成され、分散の程度は、多数の段階で制御されることができ、新しいモルタルの加工性の持続時間は、殊に高められた温度で増大する鹸化により延長されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、分散剤、その製造法ならびに該分散剤の使用である。
【0002】
ポリカルボキシレートは、殊にポリカルボキシレートエーテルの形で、ポリアクリレート、リグニンスルホネート、メラミンスルホネートおよびナフタリンスルホネートと共に、他の点で同じ組成において水に対する要求を減少させるため、または他の点で同じ組成において加工可能性を改善するために、建築化学的調製物のための分散剤(流れ調整剤)として極めて幅広く使用されている。
【0003】
記載された全ての分散剤は、高分子電解質であり、この高分子電解質は、電荷キャリアのためにポリマー中で水和物無機結合剤(例えば、セメント、しかし、石膏および硬石膏)の表面上に吸着し、それによって鉱物質粒子の表面電荷を変化させる(静電分散機構)。櫛形ポリマー(ポリカルボキシレートエーテル)は、主鎖("骨格")に沿って吸着能を有する官能基、一般にカルボキシレートが配置されている主鎖と、記載された別の分散剤とは異なり、例えば荷電されていない親水性酸化エチレン単位から形成された側鎖とからなる。この側鎖は、大きな空間を取り(原子の空間的配置に関する要求)、それゆえに、付加的に分散作用に影響を及ぼす(立体化学的分散機構)。このポリマーは、陰イオン性基を介して結合剤粒子のプラスに荷電された領域上に吸着され、一方、側鎖は、混合水で充填された孔空間内に突出し、こうして立体障害によって固体粒子の凝集を阻止し、このことは、分散作用を説明する。いわゆる飽和用量になるまで、分散剤の分散作用(例えば、スランプによって測定可能)は、添加された量の増加と共に増大するか、または吸着された高分子電解質の量の増加と共に増大する。
【0004】
これに関連して、殊にポリカルボキシレートエーテルは一部分がモルタル処方およびコンクリート処方における変化に対して極めて敏感に反応することが判明したが、このことは、分子構造における相応する微細な変化をもたらし、それゆえに、公知の多数の適した分散剤をももたらす。こうして、構造/効果の関係を認識することにより、分散作用を有する多種多様な注文通りの添加剤が可能になった。
【0005】
分散剤の異なる組成は、建築材料混合物のレオロジーに対する異なる効果および無機結合剤の水和反応の仕組みを結果として生じた。ポリマーの電荷密度が高くなればなるほど、固体表面に対する親和力は、ますます大きくなり、かつ直接の分散は、ますます強くなる。
【0006】
分散剤の化学組成と共に、なかんずく、建築化学調製物(殊に、急速に水に溶解するイオン、例えばアルカリ金属硫酸塩)の温度および化学組成は、前記粒子の分散に影響を及ぼし、例えば、それによって新しいモルタルの加工性に影響を及ぼす。
【0007】
低い温度において、および分散剤との競争により固体表面上に吸着されうるイオン(例えば、硫酸塩イオン)の高い濃度において、流れ調整剤の電荷密度は、短時間後に流れ調整剤が完全に作用を有するようにするためには、比較的高くなければならない。
【0008】
他面、流れ調整剤の高い電荷密度は、高い温度で、分散剤との競争で結合剤の表面上で吸着されうるイオンの低い濃度を有する建築化学的調製物中で(例えば、硫酸イオン)、添加された流れ調整剤が急速に作用を失うことをまねく。
【0009】
分散剤の比較的高い電荷密度においてレオロジーに対する影響の持続時間は、分散剤の全用量が増加することにより延長されうる。しかし、一定の環境下で(飽和用量を著しく下廻る分散剤濃度で)同時に初期スランプも増加される。他面、後液化は、流れ調整剤の用量を増加させることによって消去されうるわけではない。
【0010】
アクリル酸エステルを塩基性媒質中で鹸化することができることは、公知である。これに関連して、側鎖は、部分的に分離され、分散作用の立体化学的成分は、失われる。従って、その代わりにメタクリル酸エステルを分散剤として使用することは、公知技術水準である。それというのも、このメタクリル酸エステルは、鹸化に対して明らかに安定性であるからである。
【0011】
更に、塩基性媒質中で側鎖の分解を全く示さないポリカルボキシレートエーテルを分散剤として使用することは、公知技術水準である。
【0012】
これまでに公知の分散剤および分散剤組合せ物における欠点は、分散の程度を制御することが極めて困難であり、また、例えば新しいモルタルによって代表されるように、混合された建築化学的組成物の加工性の持続時間を更に改善することも極めて困難であることである。
【0013】
この課題は、分散作用を有する成分として
(a)0.1〜20%の質量割合を有するポリカルボキシレートエーテルからの少なくとも1つの代表例、
(b)0〜20%の質量割合を有するポリカルボキシレートエステルからの少なくとも1つの代表例、
および
(c)0.1〜20%の質量割合を有する荷電されていないコポリマーからの少なくとも1つの代表例の組合せ物を含有する分散剤で解決された。
【0014】
成分(a)、(b)および(c)として記載された代表例を分散剤として使用することは、殊に建築化学的用途からよく知られていることである。また、個々の代表例は、公知技術水準として既に詳細に記載された。
【0015】
成分(a)として設けられたポリカルボキシレートエーテルは、コポリマーとして、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102006027035号明細書A1、米国特許第7070648号明細書B1ならびにWO 2006/133933A2中に見出せる。WO 2006/133933A2の記載内容は、そこに記載されたコポリマーに関連して本願の開示の実質的な構成内容である。
【0016】
ポリカルボキシレートエステルの変形(b)およびその可能な実施態様に関連して、殊に欧州特許第0753488号明細書B1が指摘され、その記載内容は、そこに記載された分散剤に関連して同様に本願の開示の実質的な構成内容である。
【0017】
第3の成分、即ち変形(c)の代表例は、WO 2009/153202として公開された、国際特許出願中に見出せる。また、その記載内容は、そこに記載された分散剤に関連して本願の開示の実質的な構成内容である。
【0018】
意外なことに、今や実際に側鎖を有しうるポリアクリル酸誘導体もpH中性の水溶液中で、最初に電荷を全く有さず、従って中性溶液中で荷電された表面上でも吸着されず、別の分散作用を有する成分との組合せで今や分散剤中でも使用可能であることが判明した。このために、例えばビニルエーテルとヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)および/またはヒドロキシエチルアクリレート(HEA)とからなるコポリマーがこれに該当する。前記コポリマーが塩基性で処理される場合には、相応する有機ヒドロキシ化合物が分離し、電荷キャリアが生じる(カルボン酸基)。
【0019】
また、本発明は、建築化学的調製物(例えば、無機結合剤をベースとするレディーミクストドライモルタル、例えばポルトランドセメント、ポルトランド複合セメント、アルミナセメント)のための、荷電されていない成分(c)、例えばポリアクリル酸誘導体の単独の使用または当該成分(c)と古典的なポリカルボキシレートおよび/またはポリカルボキシレートエーテルおよび/または別の分散剤(例えば、メラミンスルホネートまたはナフタリンスルホネート)との組合せでの使用を含む。しかし、塩基性溶液中での別の固体の分散も考えられる(例えば、アルカリ活性化されたスラグ砂またはアルカリ溶液中での硬石膏または顔料)。
【0020】
更に、本発明によりインサイチュー(in−situ)で形成される分散剤により、分散剤の制御可能な事後の計量供給は、付加的なプロセス工程なしに達成させることができ、このことは、同様に前記の程度に予測できるものではなかった。
【0021】
更に、本発明の利点は、こうして分散の程度を複数の工程で制御することができることにある(例えば、HPAとHEAの同時の使用)。
【0022】
更に、こうして新しいモルタルの加工性の持続時間は、殊に高められた温度で鹸化価を増加させることによって延長することができる。
【0023】
最終的に、本発明による分散剤の組合せにより、最初に流れ調整剤を飽和用量の外で計量供給し、および必然的に僅かな用量によって開始される加工性の損失を最初に荷電されていない成分の開始する鹸化によって補償することが可能になる。それによって、長く持続する均一な加工性は、適した流れ調整剤の配合において平均的なレベルでも達成される。
【0024】
こうして、本発明の数多くの利点は、予測できるものではなかった。
【0025】
好ましくは、本発明による分散剤は、粉末の形で存在し、殊に水溶性粉末として存在する。水溶性の変形は、尺度であるべきであった。
【0026】
これに関連して、本発明の範囲内で"水溶性の粉末"とは、室温で一般的に少なくとも0.01質量%が水中に溶解し、および水中で60質量%、有利に水中で40質量%の濃度になるまで澄明な単相の溶液が実質的な混濁なしに形成されるような粉末として理解される。水溶性の変形において混濁が起こるならば、この混濁は、多くの場合に活性化合物に基づくか、またはポリマーに帰因する。
【0027】
本発明による分散剤は、殊にこの分散剤が、殊に焼付き防止剤、流動補助剤、安定化剤の少なくとも1つの代表例を用いて、成分(a)、場合により(b)ならびに(c)を共乾燥させることによって製造されたことにより特徴付けられる。このために、成分(a)、場合により(b)ならびに(c)は、特に乾燥法、有利に噴霧乾燥法に掛けられた。このために、殊に成分(a+c)および/または(a+b+c)および/または(a+b)および/または(b+c)の組合せが適している。その後に別々に乾燥された成分bと混合された組合せ(a+c)は、特に好ましい。しかし、成分(a+b+c)の共噴霧乾燥も極めて有利であると見なすべきである。
【0028】
本発明による分散剤の個々の適した成分(a)、(b)および(c)についての詳細な議論は、次に記載されている:
【0029】
− 成分(a):
ポリカルボキシレートエーテル(a)は、特に、それぞれ
1)少なくとも1つのオレフィン系不飽和カルボン酸誘導体またはそのエステルまたは塩、および/またはオレフィン系不飽和スルホン酸誘導体またはその塩、
および
2)一般式(Ia)、(Ib)および/または(Ib)によって表わされる、ポリエーテルマクロモノマーの反応によってコポリマー中で1つの構造単位を形成する少なくとも1つのコモノマーからなる、コポリマーの2つの互いに異なる代表例であるべきである:
【化1】

【0030】
上記式中、
1、R2ならびにR3は、それぞれ同一かまたは異なり、互いに無関係にHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状のC1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されたC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Gは、同一かまたは異なり、ならびにO、NHおよび/またはCO−NHによって表わされ、但し、Eが存在していない単位である場合には、Gは、存在していない単位の形でも存在し;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5(有利にx=2)であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350(有利に10〜200)の整数によって表わされ;
4は、同一かまたは異なり、ならびにH、非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C20アルキル基、5〜8個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個のC原子を有する場合により置換されたアリール基、CO−NH2および/またはCOCH3によって表わされ;
【化2】

上記式中、
5は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されて存在するC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Gは、同一かまたは異なり、ならびに存在していない単位、O、NHおよび/またはCO−NHによって表わされ、但し、Eが存在していない単位である場合には、Gは、存在していない単位の形でも存在し;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350の整数によって表わされ;
Dは、同一かまたは異なり、ならびに存在していない単位、NHおよび/またはOによって表わされ、但し、Dが存在していない単位である場合には、bは、0、1、2、3または4であり、ならびにcは、0、1、2、3または4であり、この場合b+cは、3または4であり、および
但し、DがNHおよび/またはOである場合には、bは、0、1、2または3であり、cは、0、1、2または3であり、この場合b+cは、2または3であり;
6は、同一かまたは異なり、ならびにH、非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C20アルキル基、5〜8個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個のC原子を有する場合により置換されたアリール基、CO−NH2および/またはCOCH3によって表わされ;
【化3】

上記式中、
7、R8ならびにR9は、それぞれ同一かまたは異なり、互いに無関係にHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されて存在するC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
Lは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350の整数によって表わされ;
dは、同一かまたは異なり、ならびに2〜350の整数によって表わされ;
10は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
11は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされる。
【0031】
これに関連して、1.)ポリカルボキシレートエーテルのコポリマー中で、(a)成分1)または2)を表わさない単位は、それぞれ分子内で差を有さず、および/または2.)コポリマーは、a)成分1)および2)のポリマー混合物を表わし、この場合には、前記単位は、基R1および/またはR2および/またはR3および/またはR4および/またはR5および/またはR6および/またはR7および/またはR8および/またはR9および/またはR10および/またはR11および/またはnおよび/またはaおよび/またはbおよび/またはcおよび/またはdに関連して分子内で差を有し、この場合参照された差は、殊に側鎖の組成および長さに関連する。
【0032】
ポリカルボキシレートエーテル(a)およびその示された形に関連して、WO 2006/133933 A2の記載内容は、本願に不可欠な構成内容である。
【0033】
本発明は、特に、コポリマー(a)がコモノマー成分1)を50〜99モル%の割合で、およびコモノマー成分2)を50〜1モル%の割合で含有する分散剤を提供する。
【0034】
コモノマー成分1)を60〜90モル%の割合で、およびコモノマー成分2)を40〜10モル%の割合で含有するタイプ(a)の代表例は、同様に有利なものと見なすことができる。
【0035】
成分(a)に関連して、特に、コモノマー成分1)は、アクリル酸またはその塩を表わすべきであり、コモノマー成分2)は、ポリエーテルマクロモノマーとしてアルコキシル化されたイソプレノールおよび/またはアルコキシル化されたヒドロキシブチルビニルエーテルおよび/またはアルコキシル化されたビニルエーテルおよび/またはアルコキシル化された(メタ)アリルアルコールおよび/または有利にそれぞれ9〜350のオキシアルキレン基の算術平均数を有するビニル化されたメチルポリアルキレングリコールを含有すべきである。コモノマー成分1)は、一連のアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびこれらの適当な塩ならびにこれらのアルキルエステルまたはヒドロキシアルキルエステル、および/またはジカルボン酸、ホスホン酸およびエチレン系不飽和燐酸エステルに由来すべきである。
【0036】
更に、本発明は、成分(a)の代表例が付加的な構造グループを共重合された形で有することを規定する。この場合、付加的な構造グループは、スチレン、アクリルアミドおよび/または疎水性化合物であり、その際、エステル構造単位、ポリプロピレンオキシド単位およびポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド単位が特に好ましい。実際に、特許保護が請求された配合物は、コポリマー(a)中の記載された、定義された割合の付加的な構造グループに制限されないにも拘わらず、本発明によれば、コポリマー(a)が付加的な構造グループを5モル%まで、有利に0.05〜3.0モル%、殊に0.1〜1.0モル%の割合で含有することは、好ましい。
【0037】
式(I)に記載の適当な代表例に関連して、特殊な利点がアリル基含有ポリエーテルまたはビニル基含有ポリエーテル、またはイソプレニル化合物またはメタリル化合物を表わすような他の選択可能な方法と関連することに注目すべきである。
【0038】
− 成分(b):
ポリカルボキシレートエステル(b)の適当な代表例は、特に、主要成分としてモノマータイプのカルボン酸の1つの代表例を含有するモノマー混合物(I)を重合させることによって製造しうるポリマーである。このために該当する、モノマー混合物(I)は、特に、一般式(II)
【化4】

〔式中、R1は、水素原子またはCH3基を表わし、R2Oは、1つの代表例または2〜4個の炭素原子を有する少なくとも2個のオキシアルキレン基からなる混合物を表わし、R3は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、mは、1〜350の数を表わしかつ添加されたオキシルキレン基の平均モル数を表わす〕で示される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル−モノマーb1)、
付加的にモノマーb2)として、一般式(III)
【化5】

〔式中、R4は、水素原子またはCH3基を表わし、M1は、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基および場合によりモノマーb1)およびb2)と共重合しうるモノマーb3)を表わす〕で示される(メタ)アクリル酸を含有する。
【0039】
好ましくは、モノマーb1)は、5〜98質量%の量で、モノマーb2)は、2〜95質量%の量で、およびモノマーb3)は、50質量%までの量でモノマー混合物(I)中に含有されており、この場合には、モノマーb1)、b2)およびb3)のそれぞれの量は、100質量%になるまで添加される。
【0040】
モノマー(a)の本発明の範囲内の好ましい代表例は、次のものであることができる:ヒドロキシ−エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−プロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレートまたはこれらからなる任意の混合物。
【0041】
モノマー(b)は、一連のアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アリルスルホン酸、HEMA−ホスフェート、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩およびその有機アミン塩ならびにこれらからなる混合物からの1つの代表例であってよい。
【0042】
モノマー(c)の代表例として、1〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコールと不飽和カルボン酸とのエステルからの少なくとも1つの代表例、殊にヒドロキシエチル−メタクリレート(HEMA)またはヒドロキシプロピル−メタクリレート(HPMA)がこれに該当する。不飽和カルボン酸は、特にマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸または一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩またはその有機アミン塩である。しかし、モノマー(c)は、不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸またはシトラコン酸と脂肪C1〜C20アルコール、C2〜C4グリコールまたは(アルコキシ)ポリアルキレングリコールとのモノエステルまたはジエステルであってもよい。
【0043】
成分(b)に関連して、本発明は、同様にこの成分(b)がこれに関連して、次の本発明のモノマーの少なくとも1つを基礎とするコポリマーであることを規定する:
A)加水分解可能な基を含むエチレン系不飽和モノマー、この場合この加水分解可能なモノマーは、活性の結合位置を有し;
B)31〜350個の単位を有する、少なくとも1個のC2〜C4オキシアルキレン側鎖を有するエチレン系不飽和モノマー。
【0044】
成分A)およびB)は、成分(b)中でコポリマーとして、本発明によれば、同時に存在していてもよい。
【0045】
成分A)のエチレン系不飽和モノマーは、本発明によれば、少なくとも1つの無水物またはイミン、および/または少なくとも1つの無水マレイン酸またはマレインイミドを含むことができる。しかし、成分(A)のエチレン系不飽和モノマーは、加水分解可能な基を含有する、それぞれエステル官能性を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを含んでいてもよい。この場合、エステル官能基が少なくともヒドロキシプロピル基またはヒドロキシエチル基であることは、望ましい。更に、成分A)中のコポリマー(b)が加水分解可能な基を有する、1つを上廻るエチレン系不飽和モノマーを有することは、有利であると見なすことができる。この場合、成分A)のエチレン系不飽和モノマーは、基として、エチレン系不飽和モノマーからの少なくとも1つを上廻る代表例、加水分解可能な基からの少なくとも1つの代表例またはこれら双方からなる混合物を有することができる。また、加水分解可能な基が最後に記載された場合において少なくとも1個のC2〜C20アルコール官能基を有することは、好ましい。加水分解可能な基は、C1〜C20アルキル基、C1〜C20アミノアルキルエステル、アミドまたはこれらの混合物であることができる。
【0046】
また、成分B)に関連して、本発明によれば、この成分B)が少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーをC2〜C8アルキルエーテル基の形で有することができることが規定されている。特に、エチレン系不飽和モノマーは、フェニル基、アリル基または(メチル)アリルエーテル基またはイソプレニル基を有するべきであるか、または不飽和C2〜C8アルコールから誘導されるべきであり、この場合このアルコールは、特に一連のフェニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノールまたはメチルブテノールからの1つの代表例である。
【0047】
更に、本発明は、有利に、成分B)のエチレン系不飽和モノマー側基が少なくとも1個のC4オキシアルキレン単位を有し、および/または成分B)の少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーが、殊に加水分解可能であるC2〜C8カルボン酸エステルを有することを提供する。
【0048】
更に、成分B)中のオキシアルキレン側基は、少なくとも1つの酸化エチレン、酸化プロピレン、ポリプロピレンオキシドまたはこれらの混合物を有することが規定されている。
【0049】
また、成分B)中のコポリマー(b)は、少なくとも1つの非イオン性モノマー基および/または加水分解不可能なモノマー基、またはこれらの混合物を有することができる。
【0050】
− 成分(c):
また、荷電されていないコポリマー(c)に関連して、本発明は、複数の好ましい他の選択可能な方法を提供する。
【0051】
即ち、非イオン性コポリマーとも呼称される、荷電されていないコポリマー(c)は、一般式(IV)
【化6】

〔式中、Qは、少なくとも1個の加水分解可能な基を有するエチレン系不飽和モノマーを表わし、Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−O、但し、p=2〜8を表わし、この場合ポリマー中のGの変形の混合が可能であり;R1およびR2は、互いに無関係に、少なくとも1個のC2〜C8アルキル基を表わし;R3は、(CH2cを含み、この場合cは、2〜5の整数であり、および同じポリマー分子中のR3の代表例の混合が可能であり;R5は、一連のH、直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、C5〜C8脂環式炭化水素基または置換または非置換C6〜C14アリール基から選択される少なくとも1つの代表例を表わし;mは、1〜30であり、nは、31〜350であり、wは、1〜40であり、yは、0〜1であり、およびzは、0〜1であり、この場合(y+z)の総和は、0を上廻る〕で示される1つの代表例であることができる。
【0052】
しかし、荷電されていないかまたは非イオン性のコポリマーc)は、一般式(V)
【化7】

〔式中、Xは、加水分解可能な基を表わし、Rは、HまたはCH3を表わし;G、p、R1、R2、R3、R5、m、n、w、y、zおよび(y+z)は、式(IV)に記載の意味を有する〕で示される代表例によって表わされてもよい。前述の加水分解された基は、特に、一連のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステルまたはアミドから選択される、少なくとも1つの代表例であってよい。
【0053】
勿論、本発明の範囲内で、荷電されていないかまたは非イオン性のコポリマー(c)は、一般式(VI)
【化8】

〔式中、R4は、少なくとも1つのC1〜C20アルキル基またはC2〜C20ヒドロキシアルキル基を表わし、基G、p、R、R1、R2、R3、c、R4、R5ならびにm、n、w、y、zおよび(y+z)は、式(IV)および(V)に記載の意味を有する〕で示される少なくとも1つの代表例であることも可能である。
【0054】
特に、pは、4であり、およびR4は、C24OHまたはC36OHであり;基R5のそれぞれは、Hを表わし、mは、5〜30であり、nは、31〜250であり、wは、1.5〜30であり、yは、0〜1であり、zは、0〜1であり、および(y+z)は、0を上廻る。
【0055】
wとの総和(y+z)に対するモル比は、1:1〜20:1、特に2:1〜12:1である。
【0056】
コポリマー(c)が非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーであることは、有利であると見なすことができる。
【0057】
特許保護が請求された分散剤は、この分散作用を有する成分(a)、(b)および(c)と共に、一連の消泡剤、界面活性剤、焼付き防止剤、流動助剤、防炎加工剤、収縮低減材、遅延剤、促進剤、水分貯留剤、増粘剤を含有することが規定されている。しかし、添加剤として、更に特に助剤として、一連の増量剤、乳化剤、結合剤、染料、殺生剤、安定剤、沈降防止剤、マーキング剤、離型剤等から選択される別の物質がこれに該当する。
【0058】
全添加剤は、分散剤に対して最大10.0質量%、特に0.05〜5.0質量%の割合に達するべきである。
【0059】
一般的に、消泡剤が遊離した形で存在するが、しかし、成分(a)、(b)および(c)の少なくとも1つに対して吸着性であってよいかまたは化学的に結合していてよいことは、有利なことと見なすことができ、この場合には、これら2つの形の混合物も勿論分散剤中に含有されていてよい。
【0060】
界面活性剤の特に好適な代表例は、例えば一連の酸化エチレン/酸化プロピレン(EO/PO)ブロックコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、脂肪酸アルコールアルコキシレート、R10が1〜25個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である、アルコールエトキシレートR10−(EO)−H、アセチレン系ジオール、モノアルキルポリアルキレン、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホネートまたはアルキルエーテルカルボキシレートから選択される化合物である。しかし、成分d)は、ポリアルキレン基を有するアルコールを含んでいてもよく、この場合ポリアルキレン基は、2〜20個の炭素原子、特に3〜12個の炭素原子を有する炭素鎖長を有する。
【0061】
前記分散剤、その成分(a)、(b)および(c)、全組成および成分のそれぞれの割合と共に、本発明は、本発明による分散剤を粉末の形で製造するための方法についても特許保護を請求する。
【0062】
これに関連して、成分(a)、場合により(b)ならびに(c)は、共乾燥され、殊に焼付き防止剤、流動助剤および安定剤の中の少なくとも1つの代表例を使用して共噴霧乾燥に掛けられる。この場合、その側鎖が平均分子量Mw1000以上、有利に2000以上、殊に有利に3000以上を有する、荷電されていないコポリマーが、少なくとも1つのモノマー単位を含有する成分(c)として使用されることは、有利であることが判明した。
【0063】
本発明による方法にとって、成分(a)、場合により(b)ならびに(c)中の全電荷の合計の割合が5質量%以上、有利に7質量%以上、特に有利に10質量%以上である酸単位を使用することが推奨される。
【0064】
最後に、本発明は、特に無機結合剤、殊に水硬結合剤および/または潜在水硬結合剤をベースとする、水性の建築化学的懸濁液の流動能を制御するための本発明による分散剤の1つの使用を含む。
【0065】
前記結合剤は、特に一連のセメント、殊にポルトランドセメントの種類CEM I、CEM II、CEM III、CEM IV、CEM Vおよびアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムをベースとする化合物、特に硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物または石膏から選択される、少なくとも1つの代表例であるべきである。
【0066】
本発明による分散剤は、殊に乾式モルタル組成物、ここでは殊に、タイル張付け材、補修モルタル、目地モルタル、接合モルタル、補強モルタルまたは石膏のために適しているが、しかし、それとは別に、流動能を有する、無機結合剤含有組成物、殊にセルフランニング停止剤(self−running stopper compositions)またはキャストスクリード(cast screeds)中にも適している。
【0067】
次の実施例は、本発明の利点を説明する。
【実施例】
【0068】
1.製造例:
実施例1.1
ビーカー中に、分散作用を有する成分としてポリカルボキシレートエーテル Melflux PCE 2650 100質量%(成分a1)を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0069】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0070】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。引続き、得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0071】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0072】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0073】
実施例1.2
ビーカー中に、分散作用を有する成分としてポリカルボキシレートエーテル VP 2661−599 100質量%(成分a2)を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0074】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0075】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。引続き、得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0076】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0077】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0078】
実施例1.3
ビーカー中に、分散作用を有する成分としてポリカルボキシレートエステル Melflux AP 100 L 100質量%を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0079】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0080】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。引続き、得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0081】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0082】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0083】
実施例1.4
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、成分(a)の代表例としてのポリカルボキシレートエーテル Melflux PCE 832 50質量%およびマクロモノマー10モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート90モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー50質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0084】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0085】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0086】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、160μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0087】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0088】
実施例1.5
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、ポリカルボキシレートエステル Melflux AP 100 L 35% 50質量%(成分(b))ならびにマクロモノマー10モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート90モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー15質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0089】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0090】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0091】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0092】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0093】
実施例1.6
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、ポリカルボキシレートエーテル Melflux PCE 2670 15質量%(成分a1)、ポリカルボキシレートエーテルVP 2661−599 28質量%(成分a2)、ポリカルボキシレートエステル Melflux AP 100 L 35% 42質量%(成分(b))ならびにマクロモノマー10モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート90モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー15質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0094】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0095】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0096】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0097】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0098】
実施例1.7
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、ポリカルボキシレートエーテル VP 2661−599 42質量%(成分a2)、ポリカルボキシレートエステル Melflux AP 100 L 42質量%(成分(b))ならびにマクロモノマー10モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート90モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー16質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0099】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0100】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0101】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0102】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0103】
実施例1.8
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、ポリカルボキシレートエーテル VP 2661−599 85質量%(成分a2)および荷電されていないマクロモノマー15モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート85モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー15質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0104】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0105】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0106】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、150μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0107】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0108】
実施例1.9
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、成分(a)の代表例としてのポリカルボキシレートエーテル Melflux PCE 598 75質量%およびマクロモノマー5モル%(EO 66モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート95モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー25質量%の組合せ物を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0109】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0110】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0111】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、130μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0112】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0113】
実施例1.10
ビーカー中に、分散作用を有する成分として、成分(a)の代表例としてのポリカルボキシレートエーテル Melflux PCE 2670 5質量%、成分(d)の代表例としての乾燥助剤 Melflux AP 4547/232 45質量%およびマクロモノマー10モル%(EO 130モルを有するヒドロキシブチルビニルエーテルをエトキシル化することによって製造した)と2−ヒドロキシエチルアクリレート90モル%とからなる、成分(c)の代表例としての荷電されていないコポリマー50質量%を含有する、分散剤の35質量%の水溶液200gを室温で予め装入した。
【0114】
引続き、pH値7を有する溶液を攪拌しながらこの溶液にそれぞれ、スチレン化されたジフェニルアミン50質量%および平均分子量500g/molのメチルポリエチレングリコール50質量%からなる安定剤中間体1gを添加した。
【0115】
引続き、それによって得られたエマルジョンをNIRO−Atomizer社の実験室噴霧乾燥器中で粉末に変換した(入口温度230℃、出口温度100℃)。得られた粉末を珪酸2gで処理し、流動可能な形に変換した。
【0116】
凝集された粒子を500μmの篩を通して篩別した後に、120μmの平均粒子直径を有する白色粉末(エアジェットシーブ分析)を得た。
【0117】
最後に、粉末を、団塊化傾向を減少させるために焼付き防止剤10gで処理した。
【0118】
2.使用例:
処方:
CEM I 42.5 R 1350g
CEN 標準砂 1350g
粉末状消泡剤0.675g(Agitan P800)
分散剤 xg
水432.17g(15%)。
【0119】
混合規定:
新しいモルタルをDIN EN 196−1 第6.3段落に従って、しかし、35℃で製造する。引続き、DIN EN 445による流出時間を測定した。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
全ての混合物の中の混合物6は、コンシステンシーを最も長く維持する。後液化は、全く起こらない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散作用を有する成分として、
(a)0.1〜99.9%の質量割合を有するポリカルボキシレートエーテルからの少なくとも1つの代表例、
(b)0〜99.8%の質量割合を有するポリカルボキシレートエステルからの少なくとも1つの代表例、
および
(c)0.1〜99.9質量%の質量割合を有する荷電されていないコポリマーからの少なくとも1つの代表例の組合せ物を含有する分散剤。
【請求項2】
粉末の形で、殊に水溶性粉末として存在する、請求項1記載の分散剤。
【請求項3】
成分(a)、場合により(b)ならびに(c)を、殊に焼付き防止剤、流動助剤、安定剤からの少なくとも1つの代表例を使用して共乾燥させることによって製造した、請求項2記載の分散剤。
【請求項4】
成分(a)、場合により(b)ならびに(c)を、殊に組合せ(a+c)、(a+b+c)、(a+b)、(b+c)として、特に有利に組合せ(a+c)として噴霧乾燥に掛け、次に別個に乾燥された成分bとの混合に掛ける、請求項2記載の分散剤。
【請求項5】
ポリカルボキシレートエーテル(a)がそれぞれ
1)少なくとも1つのオレフィン系不飽和カルボン酸誘導体またはそのエステルまたは塩および/またはオレフィン系不飽和スルホン酸誘導体またはその塩、
および
2)ポリエーテルマクロモノマーの反応により、一般式(Ia)、(Ib)および/または(Ic):
【化1】

〔式中、
1、R2ならびにR3は、それぞれ同一かまたは異なり、互いに無関係にHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されて存在するC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Gは、同一かまたは異なり、ならびにO、NHおよび/またはCO−NHによって表わされ、但し、Eが存在していない単位である場合には、Gは、存在していない単位の形でも存在し;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2x(有利にx=2)および/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350の整数によって表わされ(有利に10〜200);
4は、同一かまたは異なり、ならびにH、非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C20アルキル基、5〜8個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個のC原子を有する場合により置換されたアリール基、CO−NH2および/またはCOCH3によって表わされる〕;
【化2】

〔式中、
5は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されて存在するC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Gは、同一かまたは異なり、ならびに存在していない単位、O、NHおよび/またはCO−NHによって表わされ、但し、Eが存在していない単位である場合には、Gは、存在していない単位の形でも存在し;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350の整数によって表わされ;
Dは、同一かまたは異なり、ならびに存在していない単位、NHおよび/またはOによって表わされ、但し、Dが存在していない単位である場合には、bは、0、1、2、3または4であり、ならびにcは、0、1、2、3または4であり、この場合b+cは、3または4であり、およびDがNHおよび/またはOである場合には、bは、0、1、2または3であり、cは、0、1、2または3であり、この場合b+cは、2または3であり、
6は、同一かまたは異なり、ならびにH、非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C20アルキル基、5〜8個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個のC原子を有する場合により置換されたアリール基、CO−NH2および/またはCOCH3によって表わされる〕;
【化3】

〔式中、
7、R8ならびにR9は、それぞれ同一かまたは異なり、互いに無関係にHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
Eは、同一かまたは異なり、ならびに非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタまたはパラ置換されて存在するC64および/または存在していない単位によって表わされ;
Aは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
nは、同一かまたは異なり、ならびに0、1、2、3、4および/または5によって表わされ;
Lは、同一かまたは異なり、ならびにxが2、3、4および/または5であるCx2xおよび/またはCH2CH(C65)によって表わされ;
aは、同一かまたは異なり、ならびに7〜350の整数によって表わされ;
dは、同一かまたは異なり、ならびに2〜350の整数によって表わされ;
10は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされ;
11は、同一かまたは異なり、ならびにHおよび/または非分枝鎖状または分枝鎖状C1〜C4アルキル基によって表わされる〕の中の1つによって表わされる構造単位をコポリマー中に生じる少なくとも1つのコモノマーからなるコポリマーの2つの互いに異なる代表例であり、
この場合、1.)コポリマー(a)中で、成分1)または2)を表わさない単位は、それぞれ分子内で差を有さず、および/または2.)コポリマーは、a)成分1)および2)のポリマー混合物を表わし、この場合には、前記単位は、基R1および/またはR2および/またはR3および/またはR4および/またはR5および/またはR6および/またはR7および/またはR8および/またはR9および/またはR10および/またはR11および/またはnおよび/またはaおよび/またはbおよび/またはcおよび/またはdに関連して分子内で差を有し、この場合参照された差は、殊に側鎖の組成および長さに関連する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項6】
コポリマー(a)がコモノマー成分1)を50〜99モル%の割合で、およびコモノマー成分2)を50〜1モル%の割合で含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項7】
コポリマー(a)がコモノマー成分1)を60〜90モル%の割合で、およびコモノマー成分2)を40〜10モル%の割合で含有する、請求項5または6記載の分散剤。
【請求項8】
コモノマー成分1)が、アクリル酸またはその塩を表わし、コモノマー成分2)が、ポリエーテルマクロモノマーとしてアルコキシル化されたイソプレノールおよび/またはアルコキシル化されたヒドロキシブチルビニルエーテルおよび/またはアルコキシル化されたビニルエーテルおよび/またはアルコキシル化された(メタ)アリルアルコールおよび/または有利にそれぞれ9〜350のオキシアルキレン基の算術平均数を有するビニル化されたメチルポリアルキレングリコールを含有する、請求項5から7までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項9】
コモノマー成分1)が、一連のアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびこれらの適当な塩ならびにこれらのアルキルエステルまたはヒドロキシアルキルエステル、および/またはジカルボン酸、ホスホン酸およびエチレン系不飽和燐酸エステルに由来する、請求項5から8までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項10】
コポリマー(a)が付加的な構造グループを共重合された形で有する、請求項5から9までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項11】
付加的な構造グループが、スチレン、アクリルアミドおよび/または疎水性化合物であり、その際、エステル構造単位、ポリプロピレンオキシド単位およびポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド単位が特に好ましい、請求項10記載の分散剤。
【請求項12】
コポリマー(a)が付加的な構造グループを5モル%まで、有利に0.05〜3.0モル%、殊に0.1〜1.0モル%の割合で含有する、請求項10または11記載の分散剤。
【請求項13】
式(I)がアリル基含有ポリエーテルまたはビニル基含有ポリエーテルを表わすかまたはイソプレニル化合物またはメタリル化合物を表わす、請求項5から12までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項14】
ポリカルボキシレートエステル(b)の適当な代表例が、主要成分としてモノマータイプのカルボン酸の1つの代表例を含有するモノマー混合物(I)を重合させることによって製造しうるポリマーである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項15】
モノマー混合物(I)が一般式(II)
【化4】

〔式中、R1は、水素原子またはCH3基を表わし、R2Oは、1つの代表例または2〜4個の炭素原子を有する少なくとも2個のオキシアルキレン基からなる混合物を表わし、R3は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、mは、1〜350の数を表わしかつ添加されたオキシルキレン基の平均モル数を表わす〕で示される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル−モノマーb1)を含有し、
付加的にモノマーb2)として、一般式(III)
【化5】

〔式中、R4は、水素原子またはCH3基を表わし、M1は、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基および場合によりモノマーb1)およびb2)と共重合しうるモノマーb3)を表わす〕で示される(メタ)アクリル酸を含有する、請求項14記載の分散剤。
【請求項16】
モノマーb1)が5〜98質量%の量で、モノマーb2)が、2〜95質量%の量で、およびモノマーb3)が、50質量%までの量でモノマー混合物(I)中に含有されており、この場合には、モノマーb1)、b2)およびb3)のそれぞれの量は、100質量%になるまで添加される、請求項15記載の分散剤。
【請求項17】
モノマーb1)がヒドロキシ−エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−プロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレン−グリコール−ポリプロピレン−グリコール−ポリブチレン−グリコール−モノ(メタ)アクリレートまたはこれらからなる任意の混合物である、請求項15から16までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項18】
モノマーb2)が、一連のアクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アリルスルホン酸、HEMA−ホスフェート、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩およびその有機アミン塩ならびにこれらからなる混合物からの1つの代表例である、請求項15から17までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項19】
モノマーb3)が、1〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコールと不飽和カルボン酸とのエステルからの少なくとも1つの代表例、殊にヒドロキシエチル−メタクリレート(HEMA)またはヒドロキシプロピル−メタクリレート(HPMA)である、請求項15から18までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項20】
不飽和カルボン酸がマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸または一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩またはその有機アミン塩である、請求項19記載の分散剤。
【請求項21】
前記分散剤が不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸またはシトラコン酸と脂肪族C1〜C20アルコール、C2〜C4グリコールまたは(アルコキシ)ポリアルキレングリコールとのモノエステルまたはジエステルである、請求項19記載の分散剤。
【請求項22】
成分(b)が次のモノマー:
A)加水分解可能な基を含むエチレン系不飽和モノマー、この場合この加水分解可能なモノマーは、活性の結合位置を有し;
B)1〜350個の単位を有する、少なくとも1個のC2〜C4オキシアルキレン側鎖を有するエチレン系不飽和モノマーの中の少なくとも1つから形成されたコポリマーである、請求項1記載の分散剤。
【請求項23】
成分A)およびB)がコポリマー(b)中の代表例である、請求項22記載の分散剤。
【請求項24】
成分A)のエチレン系不飽和モノマーが少なくとも1つの無水物またはイミドおよび/または少なくとも1つの無水マレイン酸またはマレインイミドを含む、請求項22または23記載の分散剤。
【請求項25】
成分A)のエチレン系不飽和モノマーが加水分解可能な基を含有するエステル官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む、請求項22から24までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項26】
エステル官能基が少なくともヒドロキシプロピルまたはヒドロキシエチルである、請求項25記載の分散剤。
【請求項27】
成分A)中のコポリマーb)が加水分解可能な基を有する、1つを上廻るエチレン系不飽和モノマーを有する、請求項22から26までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項28】
成分A)のエチレン系不飽和モノマーが、基として、エチレン系不飽和モノマーからの少なくとも1つを上廻る代表例、加水分解可能な基からの少なくとも1つの代表例またはこれら双方からなる混合物を有する、請求項27記載の分散剤。
【請求項29】
加水分解可能基が少なくとも1個のC2〜C20アルコール官能基を有する、請求項27または28記載の分散剤。
【請求項30】
加水分解可能な基が少なくともC1〜C20アルキルエステル、C1〜C20アミノアルキルエステル、C2〜C20アルコール、C2〜C20アミノアルコールまたはアミドである、請求項25から27までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項31】
成分B)の少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーがC2〜C8アルキルエーテル基を有する、請求項22から30までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項32】
エチレン系不飽和モノマーがビニル基、アリル基、(メチル)アリルエーテル基またはイソプレニル基を有するかまたは不飽和C2〜C8アルコールから誘導されたものである、請求項31記載の分散剤。
【請求項33】
不飽和C2〜C8アルコールが一連のビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノールまたはメチルブテノールからの少なくとも1つの代表例である、請求項32記載の分散剤。
【請求項34】
成分B)のエチレン系不飽和モノマー側基が少なくとも1つのC4オキシアルキレン単位を有する、請求項22から33までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項35】
成分B)の少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーが殊に加水分解可能であるC2〜C8カルボン酸エステルを有する、請求項22から34までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項36】
オキシアルキレン側基が少なくとも1つの酸化エチレン、少なくとも1つの酸化プロピレン、少なくとも1つのポリエチレンオキシド、少なくとも1つのポリプロピレンオキシドまたはその混合物を有する、請求項22から35までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項37】
成分B)中のコポリマー(b)が、少なくとも1つの非イオン性モノマー基および/または加水分解不可能なモノマー基、またはその混合物を有する、請求項22から36までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項38】
荷電されていないコポリマー(c)が一般式(IV)
【化6】

〔式中、Qは、少なくとも1個の加水分解可能な基を有するエチレン系不飽和モノマーを表わし、Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−O、但し、p=2〜8を表わし、この場合ポリマー中のGの変形の混合が可能であり;R1およびR2は、互いに無関係に、少なくとも1個のC2〜C8アルキルを表わし;R3は、(CH2cを含み、この場合cは、2〜5の整数であり、および同じポリマー分子中のR3の代表例の混合が可能であり;R5は、一連のH、直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、C5〜C8脂環式炭化水素基または置換または非置換C6〜C14アリール基から選択される少なくとも1つの代表例を表わし;mは、1〜30であり、nは、31〜350であり、wは、1〜40であり、yは、0〜1であり、およびzは、0〜1であり、この場合(y+z)の総和は、0を上廻る〕で示される1つの代表例である、請求項1から37までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項39】
荷電されていないコポリマー(c)が一般式(V)
【化7】

〔式中、Xは、加水分解可能な基を表わし、Rは、HまたはCH3を表わし;G、p、R1、R2、R3、R5、m、n、w、y、zおよび(y+z)は、式(IV)に記載の意味を有する〕で示される1つの代表例である、請求項1から37までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項40】
加水分解可能な基が一連のアルキルエステル、アミノアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステルまたはアミドからの少なくとも1つの代表例である、請求項39記載の分散剤。
【請求項41】
荷電されていないコポリマー(c)が一般式(VI)
【化8】

〔式中、R4は、少なくとも1つのC1〜C20アルキル基またはC2〜C20ヒドロキシアルキル基を表わし、基G、p、R、R1、R2、R3、c、R4、R5ならびにm、n、w、y、zおよび(y+z)は、式(IV)および(V)に記載の意味を有する〕で示される少なくとも1つの代表例である、請求項1から37までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項42】
pが、4であり、R4が、C24OHまたはC36OHを表わし;基R5のそれぞれは、Hを表わし、mは、5〜30であり、nは、31〜250であり、wは、1.5〜30であり、yは、0〜1であり、zは、0〜1であり、および(y+z)は、0を上廻る、請求項41記載の分散剤。
【請求項43】
wの総和(y+z)に対するモル比は、1:1〜20:1、特に2:1〜12:1である、請求項38から42までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項44】
コポリマー(c)が非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーである、請求項1から37までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項45】
前記分散剤が、分散作用を有する成分(a)、(b)および(c)と共に、一連の消泡剤、界面活性剤、焼付き防止剤、流動助剤、防炎加工剤、収縮低減材、遅延剤、促進剤、水分貯留剤、増粘剤から選択された少なくとも1つの添加剤を含有する、請求項1から44までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項46】
前記分散剤が全添加剤を最大15.0質量%まで、特に0.05〜5.0質量%の割合で含有する、請求項45記載の分散剤。
【請求項47】
請求項1から46までのいずれか1項に記載の粉末状分散剤を製造するための方法であって、成分(a)、場合により(b)ならびに(c)を共乾燥させることによって、殊に焼付き防止剤、流動助剤および安定剤からの少なくとも1つの代表例を使用して、殊に共乾燥させることによって請求項1から46までのいずれか1項に記載の粉末状分散剤を製造するための方法。
【請求項48】
その側鎖が平均分子量Mw1000以上、有利に2000以上、殊に有利に3000以上を有する、少なくとも1つのモノマー単位を含有する荷電されていないコポリマー(c)を使用する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
成分(a)、場合により(b)ならびに(c)中の全電荷の合計の割合が5質量%以上、有利に7質量%以上、特に有利に10質量%以上である酸単位を使用する、請求項47または48記載の方法。
【請求項50】
特に無機結合剤、殊に水硬結合剤および/または潜在水硬結合剤をベースとする、水性の建築化学的懸濁液の流動能を制御するための、請求項1から46までのいずれか1項または請求項47から49までのいずれか1項に記載の分散剤の使用。
【請求項51】
前記結合剤は、一連のセメント、特にポルトランドセメントの種類CEM I、CEM II、CEM III、CEM IV、CEM Vおよびアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムをベースとする化合物、特に硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物または石膏から選択される、少なくとも1つの代表例である、請求項50記載の使用。
【請求項52】
乾式モルタル組成物、特にタイル張付け材、補修モルタル、目地モルタル、接合モルタル、補強モルタルまたは石膏中への請求項50または51記載の使用。
【請求項53】
流動能を有する、無機結合剤含有組成物、殊にセルフランニング停止剤またはキャストスクリード中への請求項50または51記載の使用。

【公表番号】特表2013−517133(P2013−517133A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549319(P2012−549319)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050509
【国際公開番号】WO2011/089085
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500487262)ビーエーエスエフ コンストラクション ポリマース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】BASF Construction Polymers GmbH
【Fターム(参考)】