説明

刈払機の刈払刃

【課題】解決しようとする問題点は、刈払作業時に石などの障害物がチップに当たるとチップが破損して飛散することにある。この対策として刈払刃よりもやや小さい径の金属円板で製作して周縁部寄りに環状凸条により形成した環状接地体を形成し、該環状接地体の周縁側に刈刃周縁部の下面に密接する水平面の刈刃周縁保護面が形成された刈払機の刈取刃体が提案されているが、刈払作業時に石などの障害物が当たるとチップが破損して飛散する怖れがあるものであった。
【解決手段】刈刃下面又は上面の少なくとも片方の面に刈払刃の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体を固着したことを特徴とする刈払機の刈払刃を用いることで、刈刃に石などの障害物が当たってもその衝撃を環状体で分散吸収して刈刃が損傷するのを防止することができ、更に、例え、刈刃が破損しても刈刃は環状体に固着されているので、刈刃が飛散するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機の刈払刃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈払機の刈払刃として、刈刃周縁部に刈刃切欠を形成するとともに、チップを溶接したチップソーが知られている。該チップソーは、刈払作業時に石などの障害物が当たるとチップが破損して飛散することがあり、刈払作業の安全確保の点で問題点がある。
【0003】
この対策として刈払刃よりもやや小さい径の金属円板で製作して刈払刃の周縁部寄りに環状凸条により形成した環状接地体を形成し、該環状接地体の外周縁側に刈刃周縁部の下面に密接する水平面からなる刈刃周縁保護面が形成された刈払機の刈取刃体が特開2001−28923号公報にて提案されてはいるが、このものは、環状接地体の外周縁側に刈刃周縁部の下面に密接する水平面の刈刃周縁保護面が形成されただけのものであり、固着されていないので、刈払刃の強度を上げる工夫は実質的にはなされておらず、刈払作業時に石などの障害物が当たるとチップが破損して飛散する怖れが従来と同様にあるものであった。また、刈刃と接地体との間に草等が入り込むとその都度、エンジンを停止して草等を除去しなければならないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−28923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、刈払作業時に石などの障害物がチップに当たるとチップが破損して飛散することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、刈刃下面又は上面の少なくとも片方の面に刈払刃の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体を固着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の刈払機の刈払刃は、刈刃下面又は上面の少なくとも片方の面に刈払刃の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体を固着したことを特徴とするものであるから、刈刃に石などの障害物が当たってもその衝撃を環状体で分散吸収して刈刃が損傷するのを防止することができるという利点がある。更に、例え、刈刃が破損しても刈刃は環状体に固着されているので、刈刃が飛散するのを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の刈込刃を設けた刈込機の要部断面図である。
【図2】図2は同上の刈込刃の断面図である。
【図3】図3は同上の刈込刃の平面図である。
【図4】図4は同上の刈込刃に固着する環状体の平面図である。
【図5】図5は同上の刈込刃の他の実施例の平面図である。
【図6】図6は同上の刈込刃の他の実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例の図示例とともに説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明を実施した刈払機Kの刈払刃1を示し、刈刃2の下面及び上面の両面には刈刃2下面に刈払刃1の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体3を固着している。環状体3は、刈刃2の外径よりもやや小さい外径であり、実施例では1センチメートル小さくしているが、できる限り大きくして刈刃2の外周縁部に形成された刈刃切欠4に近付けて刈刃2の損傷を防止するのが望ましい。尚、環状体3は刈刃切欠4の周囲に達するものでも構わない。環状体3の材質が合成樹脂やゴム質材の場合は、接着剤により環状体3の少なくとも全端縁が刈刃2に固着され、環状体2の材質が金属の場合は、溶接により環状体3の少なくとも全端縁が刈刃2に固着されている。環状体3の材質が合成樹脂やゴム質材のものは、接着剤は、シアノアクリレート系モノマーを主成分とする瞬間接着剤(例えば、高圧ガス工業(株)のシアノン(登録商標))が望ましい。
【0011】
環状体3は、厚みを5ミリメートルに設定しているので、草を確実に短く刈れるようになっている。実施例では5ミリメートルに設定したが、多少厚くなっても、薄くなっても構わない。
【0012】
環状体3は、断面形状を円弧形状にしているが、半円形、半楕円形に形成して曲線形状にしても構わないし、頂点を平面とし外周側斜面、内周側斜面からなる断面山形としても構わない。
【0013】
刈刃2は、外周縁部に刈刃切欠4が形成され、チップ5を溶着したチップ刈刃6が形成されている。
【0014】
刈刃2が金属で出来ているために刈込機は重たく作業に適さないものであり、軽量化のために、多数の穴7が開けられている。
【0015】
環状体3の材質が塩化ビニールのような合成樹脂やゴム質材のものは、弾性がありチップ刈刃6に加わった衝撃力を吸収できるので、チップ刈刃6の損傷Sを更に防止できる。
【0016】
刈刃2下面に刈払刃1の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体3を固着しているものは、接地面積が少なく、環状体3を地面等にスムーズに摺接させることができ、操行性が良い。また、腰への負担が軽く作業が容易である。
【0017】
刈払刃1は、先端駆動軸8にワッシャ9を介してねじ10で連結されている。先端駆動軸8は、駆動軸(図示せず)にベベルギア(図示せず)を介して連結されている。
【0018】
刈刃2の下面及び上面の両面には刈払刃1の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体3を固着しているが、刈刃2の下面にのみ刈払刃1の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体3を固着しても構わない。環状体3は、同じ材質、同じ大きさのものを使用しているが、異なっていても構わない。刈刃2の下面及び上面の両面に環状体3を固着する実施例として、溶接や接着について説明したが、刈刃2に環状体3を同時成形により固着しても構わない。この場合、刈刃2に多数の貫通口を形成し、刈刃2を固定した金型内に樹脂を充填するだけで簡単に精度良く、安定した固着性能を保有した状態で環状体3を固着することができる。この場合、刈刃2への環状体3の固着強度を上げる工夫として刈刃2に小さな貫通口を多数形成して個々のチップ刈刃6を環状体3に固着するようにすることや、表面に小さな凹凸を形成するなど適宜実施すれば良い。環状体3は刈刃切欠4の周囲に達するものでも構わない。環状体3の摩耗を防止する工夫として環状体3の表面に金属材を設けることも有効であり、同時成形により固着しても構わない。
【実施例2】
【0019】
図5及び図6は、本発明の他の実施形態の刈払機Kの刈払刃1を示し、刈刃2の上面には刈刃2の径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体3を固着している。刈刃2の下面には、作業時に地面に摺接される円状の接地体11をプレスにより複数個同心円上に点在して設けて接地体11の摩耗防止と刈刃2の強度アップを図っている。尚、接地体11を合成樹脂で構成する場合は、刈刃2の下面に接地体11を固着する方法として、刈刃2に接地体11を同時成形により固着しても構わない。この場合、刈刃2に同心円上に複数の貫通口(図示せず)を形成し、刈刃2を固定した金型内に樹脂を充填するだけで刈刃2の下面には接地体11を固着することができる。尚、環状体3は刈刃切欠4の周囲に達するものでも構わない。実施例では、円状の接地体11をプレスにより複数個同心円上に点在して設けたが、プレスにより接地体11を環状に形成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の刈払刃は、手に持って草刈りする刈払機以外に、人が乗用する大形の刈払機にも適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 刈払刃
2 刈刃
3 環状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈刃下面又は上面の少なくとも片方の面に刈払刃の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体を固着したことを特徴とする刈払機の刈払刃。
【請求項2】
刈刃の下面及び上面の両面に刈払刃の外径よりもやや小さい外径の環状凸条からなる所定幅の環状体を固着したことを特徴とする請求項1記載の刈払機の刈払刃。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55230(P2012−55230A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201794(P2010−201794)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(710010205)
【Fターム(参考)】