説明

刈払機

【課題】刈払物が回転刃の中央部に巻き込むことを容易に防止できる刈払機を提供する。
【解決手段】操作部材に、操作部材の長手方向に沿って巻込み刈払物持ち上げ部材が設けられる。巻込み刈払物持ち上げ部材は、駆動源に設けた操作端部と操作部材の長手方向に沿って双方向移動可能に保持する保持部を有し、ヘッド部材側に移動されたときに、ヘッド部材表面に接触する先端及び先端に対向する側に形成された巻込み刈払物を巻込み状態保持する刈払物保持端を備えた先端部とを備え、刈払保持端に刈払物が巻込み保持された状態となったときに、操作端部が操作部材に沿って駆動源に引き寄せられると、巻込み刈払物持ち上げ部材が刈払物保持端に巻込み保持状態の刈払物を持ち上げてヘッド部材の表面との間に拡大した空隙が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草等の刈払いに用いる刈払機に関し、特に、刈払機の回転刃の中央部への刈払物の巻込みを防止できる刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈払機は、エンジン等の駆動源による駆動力を伝達する部材を内蔵する操作部材の一端にヘッド部材を取付け、このヘッド部材へ中央に回転軸を有する回転刃を回転可能に取付け、操作部材の他端をエンジンに接続し、エンジンによる駆動力により回転刃を高速回転させる構成となっている。この回転刃には、外周に複数の切刃が設けられており、回転刃を高速回転させて左右に揺り動かすことで雑草等の刈払対象物を容易に刈払うことができる。
【0003】
また、この刈払機は、操作部材にループハンドル、ツーグリップハンドル又は両手ハンドル等の取っ手を備え、操作部材またはハンドルのグリップにスロットルレバーが設けられる。そして、利用者がハンドルを持って操作部材の上下又は左右の姿勢を調整し、スロットルレバーの操作をすることで、回転刃の回転及び停止を制御できる構成となっている。
【0004】
このように高速回転する回転刃を有する刈払機に共通する問題として、主に、回転刃にて雑草等を刈り払った際に、この刈払物がヘッド部材、即ち回転刃の中央部に巻込まれて絡まってしまい、回転刃の回転が変動したり停止したりする問題があった。
【0005】
また、他の問題として、例えば刈払作業中に刈払物対象外のコンクリート等の硬い障害物に誤って回転刃を接触させて破損させてしまったり、回転刃が底面の地面や石等と接触して衝撃や耳障りな接触音を発生してしまったりして、作業性を低下したりする問題があった。また、上述の刈払機は、刈払対象物を刈払う箇所の高さを一定に保ちたい場合に、利用者が地面から回転刃までの高さを常に保持する必要があり、特に刈払対象物が斜面にある場合に利用者に負担となり、長時間の作業が困難となる問題があった。
【0006】
これら問題を解決するために、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、回転する草刈り刃を先端に備えた草刈り機に取付けられる草寄せ具であり、草刈り刃により切断された切断草を受止めて草刈り機の揺動刈り取り操作に伴って草寄せするようにし、草寄せ具の本体を草刈り刃の上方において横架する棒状体にて形成した寄せ具本体に凸又は凹状の草掛け部を形成した草刈り機が提案されている。
【0007】
この発明によれば、草刈り機の草刈り刃によって刈られて飛散される草は草寄せ具にて受止め、切断された草を効率的に一方に寄せることができので、この草寄せ具が障害物となって刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止することができる。
【0008】
また、上述の他の問題を解決するものとして、特許文献2には、外周に刃部を備えた回転刃が回動自在に支持される支持体を、操作部材を介してエンジンに連結して設けた揺動式草刈機において、回転刃の両側面に支持体を地表面に活動自在に保持するためのそり部を設けた揺動式草刈機が提案されている。
【0009】
この発明によれば、そり部により回転刃の両側面を保護することができ、かつ地面から回転刃までの高さを一定に保持することができるので、利用者への負担を低減することができる。
【0010】
更に、特許文献3には、ハンドルシャフトの先端部に回転駆動される刈払刃が回動自在に設けられた刈払機に用いる刈払機用ガイド部の取付構造であって、刈払刃の下面側にガイド部を取り付け、このガイド部を刈払刃が装着される回転軸に対して軸受を介して相対的に回動自在に設ける刈払機用ガイド部の取付構造を刈払機に適用することが提案されている。
【0011】
この発明によれば、ガイド部を設けたことにより、草刈作業中に刈払刃が地面や石等との接触による衝撃や耳障りな接触音が発生することを低減することができ、かつ回動自在のガイド部を地面に接触させることによって、利用者が刈払刃を左右に滑らかに揺動させて作業をすることができ、利用者への負担を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−143919号公報
【特許文献2】実開平02−134821号公報
【特許文献3】特開2008−182964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記の特許文献1あるいは特許文献3に記載の発明では、刈払物の長さがヘッド部材の外周よりも長い場合に、このヘッド部材の外周部即ち回転刃の中央部に刈払物が巻込まれて回転刃の回転が停止する等の不具合が生じる問題が依然としてあった。これにより、巻込まれた刈払物の除去のため作業を一時中止する必要が生じてしまい、作業性が著しく低下してしまう問題があった。また、特許文献1の発明では、雑草等の刈払いの状況に応じて、草寄せ具の着脱を切換える必要があり、これによっても作業性を低下してしまう問題があった。
【0014】
特許文献3に記載の発明では、そり部を設けているので回転刃の両側面を保護するのに有利であるが、刈払物の巻きつき滞積を防止することはできず、長時間の刈払作業を行うことができない。
【0015】
本発明の目的は、刈払機の回転刃の中央部への刈払物の巻込み、からみついた時に刈払物を容易に除去できて多量に滞積することを容易に防止できる刈払機を提供することにある。もって、連続した刈払を可能にする。
【0016】
本発明の目的は、回転刃を外部の障害物から保護することができて利用者が地面から回転刃までの高さを容易に一定に保持できる刈払機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の刈払機は、操作部材と、該操作部材の一端に設けられるヘッド部材と、該操作部材の他端に設けられる駆動源と、前記ヘッド部材の底部に回転可能に接続される回転刃と、該回転刃の底部に設けられる回転刃保護部材とから構成され、前記ヘッド部材は前記操作部材を前記回転刃の上部表面に対して所定の仰角を形成して回転刃に接続するように構成され、前記回転刃は前記駆動源による駆動力により回転駆動される刈払機において、
前記操作部材に、該操作部材の長手方向に沿って巻込み刈払物持ち上げ部材が設けられ、
該巻込み刈払物持ち上げ部材は、操作部本体と前記駆動源側に設けた操作端部とヘッド部材側に移動されたときに、ヘッド部材の回転刃に対向する表面に接触する先端及び該先端に対向する側に形成された巻込み刈払物を巻込み状態に保持する刈払物保持端を備えた先端部とからなる操作部及び該操作部を前記操作部材の長手方向に沿って双方向移動可能に保持する保持部を備え、
前記刈払保持端に刈払物が巻込み保持された状態となったときに、前記操作端部が前記操作部材に沿って前記駆動源に引き寄せられると、前記巻込み刈払物持ち上げ部材が前記刈払物保持端に巻込み保持状態の刈払物を持ち上げて前記ヘッド部材の表面との間に拡大した空隙が形成されることを特徴としている。
【0018】
本発明の刈払機は、また、前記刈払物保持端は、刃状形状とされたことを特徴としている。
【0019】
本発明の刈払機は、また、前記先端部が、前記ヘッド部材の表面を外方向に向けて横切るように配設されることを特徴としている。
【0020】
本発明の刈払機は、また、前記巻込み刈払物持ち上げ部材は、5cm以上持ち上げ可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の刈払機は、上述のように構成しているので、刈払物が回転刃の中央部に巻込むことを容易に防止でき、利用者による作業性の低下を防ぐことができる。また、回転刃を外部の障害物から保護することができるため、回転刃の著しい消耗を抑えることができて経済的に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例である刈払機の外観を示す概略斜視図。
【図2】本発明の実施例である刈払機の概略底面図。
【図3】本発明の実施例である刈払機の縦断面図。
【図4】持ち上げ部材の横断面図。
【図5】持ち上げ部材の先端の構成図。
【図6】持ち上げ部材の機能を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例である刈払機を図面に基づいて説明する。但し、本実施例の刈払機に適用する駆動源の構成および操作部材の詳細構成については、従来構成を用いるものとして図示せずに説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例である刈払機100について、その外観を示す。また、この刈払機100の縦断面図、側面図、底面図を図2、図3、図4にそれぞれ示す。
【0025】
本発明の実施例における刈払機100は、図1に示すように、操作部材1と、この操作部材1の一端に設けられるヘッド部材2と、操作部材1の他端に設けられる図示しない駆動源と、ヘッド部材2の底部2Aに回転可能に設けられる回転刃3と、この回転刃3の底部に設けられる回転刃保護部材4とから構成される。2Bはヘッド部材2の表面を示し、回転刃3に対向する表面である。
【0026】
また、ヘッド部材2は、操作部材1を回転刃3の上部表面3Bに対して所定の仰角5を形成して回転刃3に接続するように構成され、回転刃3は駆動源による駆動力により回転駆動される構成となっている。
【0027】
更に、図1に示すように、回転刃保護部材4には、両端にそり部4Aを有するそり部材40が設けられており、これらそり部4Aの一つは、その操作部材側の一端にそり部4Aの形状に沿った形状で、操作部材側に延び、そり部4Aよりも回転刃3側に傾斜した突出部51(図3)が設けられている。そして、この突出部51の一端とL字形状である接続部材52の一端は結合部53にて連結されており、更に接続部材52の他端と操作部材1はヘッド部材2から隔離した位置にある結合部54にて連結される構成となっている。
【0028】
なお、接続部材52は、操作部材1の中心軸に対して平行に設けられる。これにより、利用者は接続部材52の地面に対する仰角5を目視確認にて調整することにより、そり部材40の底部4B即ち接地部を支点として回転刃3の地面に対する仰角5を調整することができる。即ち、刈払対象物の地面から刈払箇所の高さを適宜調整することができる。
【0029】
なお、これら結合部53、54には雌ねじ部若しくは貫通穴53A、54Aがそれぞれ設けられており、雄ねじ等の結合部材を結合部53、54に螺号若しくは嵌合させることにより各部材1、51、52をそれぞれ締付固定するように構成されている。
【0030】
上述の刈払機100の操作部材1と駆動源の構成について、以下詳述する。操作部材1は、棒状に細長い形状をしており、その内部には駆動源からの駆動力を伝えるための駆動軸9が設けられて、駆動源から回転刃3へ駆動力を伝達するように構成されている。
【0031】
また、操作部材1の中央部付近には、利用者が刈払作業時に回転刃3の挙動を操作するためのU字状のハンドルが取付けられ、このハンドルの左右両端部にそれぞれ左グリップ、右グリップが装着される。これにより、利用者は両手でハンドルを持って刈払機を引き回し、操作部材1を介して容易に回転刃3の上下又は左右の姿勢を調整することができる。
【0032】
また、操作部材1若しくは左右グリップには、後述する駆動源の駆動力を制御できるスロットルレバーが設けられており、このスロットルレバーの操作をすることで駆動力を制御し、回転刃3の回転数を自由に制御できるようになっている。例えば、スロットルレバーの操作により、回転刃3の回転及び停止を容易に切換えることができる。
【0033】
駆動源としては、操作部材1内に設けられた駆動軸9を介して回転刃3を回転駆動するためのクラッチ式内燃エンジンが操作部材1の他端の取付具を介して取り付けられて構成されている。また、このクラッチ式内燃エンジンの燃料としてはガソリンが用いられ、このため内燃エンジンには燃料タンクが付設されている。
【0034】
本実施例の刈払機100の駆動源は、このクラッチ式内燃エンジンが発生する駆動力を駆動軸9に伝達することにより回転刃3を回転駆動するようになっている。なお、本実施例の刈払機100の駆動源は、回転刃3を高速回転駆動でき、上述の駆動源の駆動力を制御できるスロットルレバーにより回転刃3の回転数をある程度制御できるものであれば、別の駆動源を適用できることは言うまでもない。
【0035】
次に、ヘッド部材2、回転刃及び駆動機構部10の構成について、図2を用いて詳述する。ヘッド部材2の内部は中空構造となっており、駆動機構部10が設けられている。この駆動機構部10は操作部材1の駆動伝達部と回転刃3間とを接続して回転刃3に駆動力を伝達するように構成されている。
【0036】
また、ヘッド部材2の底部2Aは、回転刃3に向けて折れ曲がり形状とされ、回転刃3の上部表面3Bと略接するように設けられる。ヘッド部材2の底部2Aには凹部が形成される。また、ヘッド部材2は、この外壁2Dを介して、操作部材1が回転刃3の上部表面3Bに対して所定の仰角5を形成するようになっている。この仰角5は、利用者である操作者の操作部材1のハンドルを持つ手の平均的高さ位置、利用者から回転刃3までの距離および操作部材1の長さを検討して、利用者が平均的に利用しやすい角度に設定される。
【0037】
駆動機構部10は、回転軸30が回転刃3の中央に形成されている挿通孔3Dに挿通すると共に、回転刃3が挟持部材31と押付部材32及び内側ケース33の間に狭持されて回転軸30に固定して取付けられている。
【0038】
また、回転軸30には、ヘッド部材2の内部に図示しない回転動力伝達部が設けられており、回転軸30と操作部材1の駆動伝達部とは回転動力伝達部を介して連結されている。この回転動力伝達部は、例えば複数の傘歯車により構成されており、駆動伝達部による駆動力を回転軸30の回転力、即ち回転刃3の回転力に変換するように構成されている。
【0039】
また、挟持部材31は、円板状体であり、中央に形成されている雌ねじ31Aが回転軸30に形成されている雄ねじ30Aに螺合することによって回転軸30と結合されている。内側ケース33は、下向きの略カップ状体であり、中央に形成されている挿通孔33Aに回転軸30が挿通している。そして、回転軸30の先端部にはナット34が螺合されており、このナット34の締付けによって、内側ケース33を、押付部材32を介して回転刃3及び挟持部材31に押付けて、回転刃3を回転軸30に固定して取付けている。
【0040】
また、内側ケース33は、外周面に軸受35の内周面が装着されており、その内側には、ナット34が収容されている。軸受35としては、例えばラジアル玉軸受のような玉軸受が用いられる。また、挟持部材31の上部の回転軸30にも同様に玉軸受である軸受36が装着される。また、押付部材32および軸受35の外周面には、係止部材37、38が装着されており、押付部材32および軸受35は外側に変位しないように係止されている。
【0041】
以上により駆動機構部10が構成されており、回転刃3は、駆動機構部10の回転軸30により、挟持部材31、押付部材32、内側ケース33およびナット34を介して回動自在に構成される。即ち、回転刃3は、駆動機構部10を介してヘッド部材2の底部2Aで回動自在に設けられることとなる。
【0042】
本実施例の刈払機100に用いる回転刃3は、金属製の円板であり、この円板の外周3Cに沿って複数の凸部3Eと凹部3Fとが交互に形成され、凸部3Fには刃3Gが形成されている。このような回転刃3は、上記の刃3Gを超硬チップへ代えて用いてもよい。
【0043】
本実施例の刈払機100に用いる回転刃保護部材4は、図3に示すように、上述の係止部材38(図2)の外周面に保護部材底部4Cが嵌合されて固定されて構成されている。また、保護部材底部4Cは、嵌合穴41、縦突出部42、横突出部43および円筒部44で形成されている。また、嵌合穴41が上述の係止部材38の外周面に嵌合接続されて構成される。更に、係止部材38の底部には、嵌合穴41の内周面に嵌合するようにして係止蓋39がねじ締め等によって取付固定される。
【0044】
また、回転刃保護部材4は、保護部材底部4Cの両側の円筒部44の外周近傍で設けられた横突出部43の底部にそれぞれ内側そり部材45を備える。また、このそり部材45の両端には、回転刃3側に反ったそり部4Aがそれぞれ設けられている。また更に、横突出部42の端部、即ち内側そり部材45の外側にはそれぞれ外側そり部材40が設けられる。このそり部材40の両端には、上記のそり部材45同様に回転刃3側に反ったそり部4Aがそれぞれ設けられている。なお、そり部4Aの一つにはその操作側端に、上述の通り突出部51が設けられている。
【0045】
また、これら縦突出部42、外側そり部材40、内側そり部材45は、操作部材1の長手方向に延びるようにそれぞれ設けられる。これは、利用者が外側そり部材40、内側そり部材45の外方へ向けて抵抗を利用して、操作部材1の押出方向即ち操作部材1の長手方向に滑らかに移動させるためである。
【0046】
更に、外側そり部材40、内側そり部材45には、図2に示すように、回転刃3と所定の高さ間隔6を置いて設けられる。本例の場合、外側そり部材40は1個設けられるので、最外側そり部材となり、回転保護部材4の両端に設けられた最外側のそり部4Aは、それぞれ両端の幅寸法7が回転刃の外径3Cよりも大きくなるように設けられる。図3に示すように、内側そり部材45の操作部材側先端部は、回転刃の外径3Cよりも内側にあり、反対側先端そり部4Aは、回転刃の外径3Cの外側にある。
【0047】
以上の構成において、図1において、本例は、操作部材1に取付けられる巻込み刈払物持ち上げ部材(以下、持ち上げ部材という。)11を備える。このように、持ち上げ部材11は、操作部材1に接近し、近接した配置となる。この持ち上げ部材11は、操作部材1の長手方向に沿って操作部材1に固定され、一部の操作部材が可動構成とされる。
【0048】
持ち上げ部材11は、操作部12とこの操作部12を操作部材1に固定することで保持する保持部13とから構成される。
【0049】
操作部12は、操作部12の長手方向にほぼ並行して配置され、中央部分の操作部本体14、ヘッド部材側に位置する先端部15及び駆動源に位置する操作端部16から構成される。
【0050】
先端部15及び操作端部16は、操作部本体14と一体構成にしてもよいし、溶接によって操作部本体14に取り付けるようにしてもよい。本例の場合、先端部15は溶接によって取り付け、操作端部16は一体構成としている。
【0051】
図4において、保持部13は、保持部本体17、保持部本体17の内部に設けた操作部12、すなわち操作部本体14を貫通させ、摺動させる貫通孔部18、保持部本体17から双方向に突出し、操作部材1の周囲を周回する止め部19及び双方向端部に設けたねじによる締結部20から構成される。
【0052】
このように止め部19及び締結部20構成としているので、操作部材1の適宜任意の位置に固定することができるが、溶接によって固定手段を設けることも可能である。
【0053】
保持部本体17は、図1に示すように、操作部材1から見て外方に欠けて切欠部21を有しており、外方から操作部本体17の摺動を目視できるようにしてあると共に、保持部12の重量が軽量化されている。
【0054】
図4において、貫通孔部18が上下の垂直方向に配設された状態で、締結部20のねじ操作によって止め部19が操作部材1に固定され、保持部12がしっかりと操作部材1に固定、保持される。
【0055】
図1において、持ち上げ部材11の操作部12は、上述した操作部本体11、ヘッド部材側の先端部15及び駆動源側の操作端部16から構成され、保持部13は、操作部が操作部材1の長手方向に沿って双方向移動することを可能になるように保持する。
【0056】
図5に示すように、先端部15は、操作部本体11が操作端部16の操作によってヘッド部材側に移動されたときに、ヘッド部部材表面に接触する先端21及び先端21に対向する側に形成された巻込み刈払物を巻込み状態に保持する刈払物保持端22を備えた本部24によって構成される。
【0057】
先端21は、直線状あるいは曲線状に形成され得るが、ヘッド部材2に一点接触あるいは線接触すれば足りる。先端21に、ヘッド部材2に当接するゴム部材、ポリエチレン材を取り付けるようにしてもよい。
【0058】
先端21、すなわち先端部15がヘッド部材2の回転刃に対向する表面2Bを外方向に向けて横切るように配設されて、表面2Bに接触する。実質的に接触する構造であればよい。実質的にとは、刈り取られた雑草が入り込む余地がない程にということである。その角度は、直角方向でもよいが操作部材に向けて、すなわち回転方向に鋭角とするのがよい。
【0059】
刈払物保持端22は、直線状あるいは曲線状に形成すれば先分に巻込み刈払物を巻込み状態に保持することができるが、他の形状であってもよく、刃状形状とすることによって巻込み刈払物を切断するのに便利となる。刃状形状の1つとして図5に示すように歯状形状23とすることができる。
【0060】
操作部12に固着手段を設けて刈払時に先端21をヘッド部材2に接触しておくようにすることができるのが、操作部自体が重量を有している場合には、固着手段を設けなくても先端21をヘッド部材2に充分に接触させておくことができる。
【0061】
図6を用いて、本実施例の刈払機100の作用を説明する。
【0062】
図6(a)に示すように、回転刃3によって刈り取られた刈払物31は、大部分は刈払機100外に放出されるが、一部の刈払物32がヘッド部材2に巻き込まれ、滞積していくことになる。ヘッド部材2の底部2Aは、上述したように、回転刃3に向けて折れ曲がり形状とされ、表面2Bが凹部を呈するように形成されるので、この凹部を中心にして一部の刈払物32が巻き込まれてからみ、表面2B上に滞積する。滞積する凹部が形成されていなくてもヘッド部材2の表面2Bには刈払物32が巻き込まれ、からみ、滞積していく。
【0063】
本実施例の場合、持ち上げ部材11が操作部材1に近接配置され、ヘッド部材2の回転刃3に対向配置の表面2Bに先端が接触可能に移動されるので、この接触状態で雑草の刈払いがなされると、一部の刈払物32はヘッド部材2に巻き込まれ、からみ、そして滞積していくときに、持ち上げ部材11の刈払物保持部22にも巻き込まれ、からみ、そして滞積していくことになる。持ち上げ部11の先端21を回転刃3の対向配置の表面2Bに接触させているので、ヘッド部材2にからんだ刈払物32は確実に刈払物保持端22上に載置された状態でヘッド部材2にからみ、滞積することになる。
【0064】
刈払物保持部22に滞積することで巻込み状態で保持された刈払物32は目視によって確認することができる。これによって刈払物の除去時期が判断されることになる。
【0065】
目視によって刈払物の巻込み状態が確認されると、利用者である操作者は、持ち上げ部材11の操作部13を駆動源側に持ち上げる操作を行う。この場合の持ち上げ量としては3〜15cm程度を設定可能で、望ましくは7±3cm程度の持ち上げ量とする。当然に持ち上げ量は、刈払物31の性質によって異なってくる。いずれにしても5cm持ち上げれば充分に効果がある。
【0066】
図6(b)において、刈払保持端22に刈払物32が巻込み保持された状態となったときに、操作部端部16が操作部材1に沿って駆動源へ引き寄せられると、刈払物保持端22が、すなわち持ち上げ部材11が巻込み保持状態の刈払物22を持ち上げてヘッド部材2の表面との間に拡大した空隙30を形成する。拡大した空隙30としたのは、持ち上げ以前の先端21がヘッド部材2にいずれかの点で接触している状態にあってもほんの少しの空隙がヘッド部材2との間に形成されることになることによる。
【0067】
持ち上げ部材11が持ち上げられると、一部の刈払物は刈払物保持端22が刃状形状であると切断されることになる。切断された刈払物は回転刃外方へと放出される。
【0068】
刈払物保持端22が刃状形状でなくても一部の刈払物は切断される。切断されなく持ち上げに抵抗がある場合にあっても、刈払物とヘッド部材2あるいは回転刃3との間には利用者の指が入るほどの空隙が形成し得る。利用者は、この空隙に指を差し込んで刈払物を人力によって切断することができる。当然この場合には、回転刃3の回転を停止状態におく。
【0069】
巻込み保持状態になるのは刈り取った雑草だけとは限らない。例えば細いビニール紐のようなものがからみつくことがよくある。ビニール紐などは持ち上げ部材11を持ち上げても切断されることはないが、形成された空隙に図示しない刃物の刃先を差し込んで容易に切断することができる。
【0070】
このように、雑草の刈払い作業中に滞積した刈払物を順次除去していくことで、刈払作業を継続して長時間継続することができ、従来のように刈払機を停止してからんだ雑草を取り除く作業をしなければならないことが回避される。
【0071】
本実施例の刈払機は、また、上述したように回転保護部材に回転刃と所定の高さ位置を置いたそり部を備えることにより、利用者が回転刃の高さ位置を安易に保持することができて、特に操作部材の進行方向即ち前後方向に沿って滑らかに回転刃を移動することができるので、障害物のある側溝のような場所であっても利用者による刈払作業を安定して行うことができ、長時間作業による疲労を低減できる。更に、そり部間の両端間の幅寸法を回転刃の外径より大きくしたので、回転刃を外部の硬い障害物への接触による刃の消耗を低減できる。
【0072】
また、本実施例の刈払機においては、回転刃の底部にそり部を設けることで、上述のように利用者による刈払作業が安定したものとなる。また、刈払物がそり部の保持部材にからみつくことがない。その結果、そり部を備えずに左右に回転刃を揺動させて雑草等を刈払うような刈払機に比べて、より雑草等を容易に根元から刈払うことができて、容易に長さの長い刈払物とすることができる。従って、本実施例の刈払機は、長い刈払物の回転刃の中央部への巻込みを防止できるので、回転刃の底部にそり部を設ける汎用の刈払機に対して特に効果的である。
【0073】
本発明は、上述のように構成しているので、刈払物が回転刃の中央部に巻込まれ、からみついた時に容易に刈払物を除去することで多量に滞積していくことを防止でき、利用者による作業性の低下を防ぐことができる。また、上述した構成のそり部材構成を併用することで、回転刃を外部の障害物から保護することができるため、回転刃の著しい消耗を抑えることができて、持ち上げ部材との機能との効果によって何100メートルに亘っての連続した刈払作業を可能にすることになる。
【符号の説明】
【0074】
1…操作部材、2…ヘッド部材、2A…ヘッド部材の底部、3…回転刃、4…回転刃保護部材、4A…そり部、4C…底部、5…仰角、6…高さ間隙、7…両端の幅寸法、10…駆動機構部、11…持ち上げ部材(巻込み刈払物持ち上げ部材)、12…操作部、13…保持部、14…操作部本体、15…先端部、16…操作端部、17…保持部本体、18…貫通孔部、19…止め部、20…締結部、21…先端、22…刈払物保持端、23…歯状形状、31,32…刈払物、40…そり部材、100…刈払機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材と、該操作部材の一端に設けられるヘッド部材と、該操作部材の他端に設けられる駆動源と、前記ヘッド部材の底部に回転可能に接続される回転刃と、該回転刃の底部に設けられる回転刃保護部材とから構成され、前記ヘッド部材は前記操作部材を前記回転刃の上部表面に対して所定の仰角を形成して回転刃に接続するように構成され、前記回転刃は前記駆動源による駆動力により回転駆動される刈払機において、
前記操作部材に、該操作部材の長手方向に沿って巻込み刈払物持ち上げ部材が設けられ、
該巻込み刈払物持ち上げ部材は、操作部本体と前記駆動源側に設けた操作端部とヘッド部材側に移動されたときに、ヘッド部材の回転刃に対向する表面に接触する先端及び該先端に対向する側に形成された巻込み刈払物を巻込み状態に保持する刈払物保持端を備えた先端部とからなる操作部及び該操作部を前記操作部材の長手方向に沿って双方向移動可能に保持する保持部を備え、
前記刈払保持端に刈払物が巻込み保持された状態となったときに、前記操作端部が前記操作部材に沿って前記駆動源に引き寄せられると、前記巻込み刈払物持ち上げ部材が前記刈払物保持端に巻込み保持状態の刈払物を持ち上げて前記ヘッド部材の表面との間に拡大した空隙が形成されること
を特徴とする刈払機。
【請求項2】
請求項1において、前記刈払物保持端は、刃状形状とされたことを特徴とする刈払機。
【請求項3】
請求項1において、前記先端部が、前記ヘッド部材の表面を外方向に向けて横切るように配設されることを特徴とする刈払機。
【請求項4】
請求項1において、前記巻込み刈払物持ち上げ部材は、5cm以上持ち上げ可能であることを特徴とする刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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