制御装置
【課題】基板収容ケースとコネクタとの間に生じる隙間を、安価にかつ容易な形で減少させた制御装置を提供する。
【解決手段】複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体30となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体30においてコネクタ露出孔31が形成される基板収容ケース30内に、コネクタ露出孔31からコネクタ部41を突出させる形で回路基板40を配置し、さらに、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に隙間50を残しつつもその隙間幅が減少するように、コネクタ露出孔31が形成されたケース体30の一面を少なくとも外側から被う隙間幅減少部材10を配置する。
【解決手段】複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体30となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体30においてコネクタ露出孔31が形成される基板収容ケース30内に、コネクタ露出孔31からコネクタ部41を突出させる形で回路基板40を配置し、さらに、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に隙間50を残しつつもその隙間幅が減少するように、コネクタ露出孔31が形成されたケース体30の一面を少なくとも外側から被う隙間幅減少部材10を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収容ケース内にコネクタ部を外部に突出させる形で回路基板を収容した制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の素子が実装された回路基板を収容する基板収容ケースの設計においては、2つの部材(例えばケース本体とカバー等)の一方に設けられた係合爪等の係合部により他方を係合固定する構造を有する。2つの部材が係合固定されてなる基板収容ケースには、収容する回路基板のコネクタを外部に突出させる貫通孔(コネクタ露出孔)が形成されるが、この貫通孔はコネクタの外寸よりも大きめの形状にて形成されおり、コネクタの配置に対し余裕を持たせた設計となっている。さらに、基板収容ケースは、2つの部材が係合固定されて構成されるため、貫通孔の位置は、その係合固定時の組み付け精度の影響も受けるから、この貫通孔はさらに余裕があるようやや大きめ形成されている。
【0003】
具体的に言えば、2つの部材が係合固定されてなる基板収容ケースの設計において、上記貫通孔は、コネクタそのものの寸法のばらつき、2つの部材の組み付け部の位置や寸法のばらつき、組み付け時におけるばらつき、貫通孔の開口位置や開口寸法のばらつき等、これらのばらつきが基板収容ケースの上下左右に累積されることを予め考慮した上でなされる必要があるから、結果として、コネクタまわりに1mm以上の隙間ができることを避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−86379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年、この隙間に対しワイヤ状の金属棒を意図的に挿入してダメージを与える行為について報告があり、これに対する対策が必要となる。具体的には、国際的な標準規であるIEC(International Electrotechnical Commission)規格におけるIP40の規格を満たすよう求める要望がある。しかしながら、上記隙間の減少を、基板収容ケースの各パーツの設計を見直す形で行うには、再試験などを含め多大な時間とコストがかかるため、それらはできる限り避ける必要があるし、製造面においても、できるだけ工数が増えないようできるだけ簡易な形で実現できるようにする必要がある。また、特許文献1のように、制御装置自体の外形寸法に大きな変化を生じさせることは、このケースを搭載する側の装置の設計をも変更させることにつながりかねないため、避けたいところである。
【0006】
本発明の課題は、基板収容ケースとコネクタとの間に生じる隙間を、安価にかつ容易な形で減少させた制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、
複数のケース形成部材の係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体においてコネクタ露出孔が形成される基板収容ケースと、
コネクタ露出孔から外部接続用のコネクタ部を外部に突出させる形で基板収容ケースの収容空間内に配置される回路基板と、
外部に突出したコネクタ部の外周を取り囲む形で配置される単一の部材であって、コネクタ露出孔の内周面とコネクタ露出孔内に挿通されたコネクタ部の外周面との間に隙間を残しつつもその隙間幅が減少するように、少なくともコネクタ露出孔が形成されたケース体の一面を外側から被う形で配置される隙間幅減少部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
複数のケース形成部材の係合組み付けにより形成されるケース体(基板収容ケース)に、コネクタ部を露出させるためのコネクタ露出孔を設ける場合、このコネクタ露出孔は、コネクタ部そのものの外形寸法のばらつき、それらケース形成部材の各係合組み付け部の位置や寸法のばらつき、それらケース形成部材の係合組み付けによるばらつき、コネクタ露出孔の形成時における開口位置や開口寸法のばらつき等、様々な要因のばらつきが複合的に積み重なるため、最終的にケース体が形成されたときの位置や形状のばらつきが大きく、外部に突出するコネクタ部を確実に挿通させるためには、一定以上の余裕を持った大き目の設計が必要となる。このため、従来のケース体(基板収容ケース)においては、コネクタ露出孔と、それを挿通するコネクタ部との間に比較的大き目の隙間が形成されていた。本発明によれば、コネクタ部が挿通されたコネクタ露出孔に対し、同じくコネクタ部を挿通させた状態となる形で、このコネクタ露出孔の外周を被う隙間幅減少部材が配置されることにより、コネクタ露出孔と、それに挿通されたコネクタ部との間に形成される隙間の隙間幅を減少させることができる。つまり、本発明の隙間幅減少部材は、製造のばらつき幅の中でコネクタに干渉することなく装着することができ、かつ外部からのワイヤ状の金属棒の侵入を防ぐことができる。
【0009】
具体的に言えば、内部に回路基板を収容するケース体は、回路基板のコネクタ部を外部に突出させるためにコネクタ露出孔を有するが、このコネクタ露出孔は、コネクタ部が干渉することなく挿通される形で外部に突出するように、その内周寸法(開口寸法)を設計する必要がある。ところが、上述したように、ケース体が完成するまでには、ケース体を構成する各ケース形成部材やコネクタ部のそれぞれの製造ばらつきや、それらを係合組み付けする際の組み付けばらつきなど、様々なばらつきが複合的に積み上がるため、コネクタ露出孔の内周寸法(開口寸法)を比較的大きく設計しなければ、コネクタ部を挿通させられない可能性がある。その結果、コネクタ露出孔は、複合的に積み上がったばらつき幅の中でもコネクタ部を干渉することなく確実に挿通できるように、比較的大きく、余裕をもって設計・製造される。これにより、コネクタ部が挿通された際には、コネクタ部との間に比較的大きな隙間が生まれる。一方、本発明における隙間幅減少部材も、ケース体のコネクタ露出孔から外部に突出したコネクタ部が挿通されるコネクタ挿通孔を有し、このコネクタ挿通孔に、コネクタ部が干渉することなく挿通されるようその内周寸法(開口寸法)を設計する必要がある。ところが、隙間幅減少部材の場合は、自身とコネクタ部の製造ばらつきさえ考慮すれば、コネクタ部が挿通される際に干渉しない設計とすることができる。つまり、ケース体側で生じるばらつきを考慮に入れる必要が無く、隙間幅減少部材自身とコネクタ部との間の関係だけを考慮すればよいのである。その結果、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔は、ケース体のコネクタ露出孔よりも小さく設計・製造され、コネクタ部が挿通された際には、コネクタ部との間に生まれる隙間が、コネクタ露出孔とコネクタ部との間に生まれる隙間よりも幅が小さくなる。本発明では、この隙間幅減少部材は、ケース体のコネクタ露出孔から外部に突出したコネクタ部を挿通させる形でケース体の外側に取り付けられるが、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔がケース体のコネクタ露出孔よりも孔が小さいため、コネクタ露出孔の外周部分が隙間幅減少部材により被われた状態となる。その結果、コネクタ部の外周周りに生じる隙間の幅が減じられて、ワイヤ状の金属棒の侵入を防ぐことが可能になった。
【0010】
また、本発明においては、上記のようなコネクタ挿通孔を有する隙間幅減少部材を、そのコネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させる形でケース体に取り付けるだけで、上記隙間幅を容易に減少させることができる利点もある。また、1部材の追加により上記隙間幅を減少させることができるため、コストや工数の追加もそれほど必要ない。
【0011】
本発明における隙間幅減少部材は、ケース体のコネクタ露出孔よりも孔内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔を有したプレート材とすることができ、コネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させる形で、ケース体の一面に取り付けるように構成できる。これにより、外部に突出するコネクタ部を挿通させる形で、隙間幅減少部材をなすプレート材(板材)を取り付けることにより、上記隙間幅を容易に減少させることができる。また、制御装置の外形寸法を大きく変えることもない。
【0012】
本発明における隙間幅減少部材は、プレート裏面をケース体におけるコネクタ露出孔の周辺部の外側に接着する形で取り付けるよう構成できる。この場合、隙間幅減少部材をなすプレート材(板材)を、コネクタ部を挿通させる形で配置していき、最終的には、その裏面に設けられた接着面をケース体の一面(コネクタ露出孔を有する面)に密着(接着)させることで固定することができるから、組み付けが容易となる。
【0013】
本発明における隙間幅減少部材は、ケース体におけるコネクタ露出孔の周辺部を、内側から被う内側被覆部と、外側から被う外側被覆部と、それら内外の被覆部をコネクタ露出孔の内周側で連結する連結部と、を有して構成できる。この構成によれば、ケース体におけるコネクタ露出孔の内外を被う形で隙間幅減少部材が配置されることにより、コネクタ露出孔の内周面よりも内周側に位置する上記連結部によって、コネクタ露出孔の内周面とコネクタ部の外周面との間の隙間幅を減少することができる。
【0014】
本発明におけるコネクタ部は、ケース体外部への突出方向において該突出方向に対し垂直となる方向側に突出し、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔への突出方向逆向きの挿通を妨げる突起部が形成されていてもよい。この場合、隙間幅減少部材は、コネクタ部の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込みを形成し、該切り込みの両側を離間させる弾性変形が可能に構成するとよい。隙間幅減少部材を、そのコネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させていく形でケース体に組み付けようとした場合に、コネクタ部に上記のような突起部があると、その挿通が妨げられるため、ケース体に組み付けることができないが、上記のような弾性変形が可能であれば、隙間幅減少部材の切り込み両側を離間して広げることで、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔を広げることができ、これにより、突起部を避ける形で、コネクタ部を隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔に挿通させることが可能となる。また、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔を広げることができれば、コネクタ部を隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔に挿通せずとも、突起部の奥側(コネクタ部の突出方向とは逆側)となる位置に、直接配置することもできる。
【0015】
本発明における基板収容ケースは、複数のケース形成部材として、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とを有し、それら第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とが係合組み付けにより一体化されてケース体とされたものとすることができ、例えば、第一ケース形成部材及び第二ケース形成部材は、それぞれが別体形成された単一の樹脂射出成形体とすることができる。このように、それぞれが別に形成されたケース形成部材を係合組付けにより形成した場合に、コネクタ露出孔の形状や位置のばらつきは、既に述べた様々なばらつきの影響を受けて大きくなるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0016】
本発明における基板収容ケースにおいて、第一ケース形成部材はケース体の上面を含むケース上側部材であり、第二ケース形成部材はケース体の下面を含むケース下側部材であり、それらケース上側部材とケース下側部材とが係合組み付けされることにより、それらケース上側部材とケース下側部材との双方の当接部を有する側面(ケース体の側面)に、当該当接によりコネクタ露出孔が形成されるものとするよう構成できる。この場合、ケース上側部材とケース下側部材とが組み付けられる際に、側面において、ケース上側部材とケース下側部材とが当接した形状となる。さらに、この当接により当該側面にコネクタ露出孔が形成される、即ちケース上側部材の側面部とケース下側部材の側面部との間に非当接部が存在し、その部分の間に形成される貫通孔がコネクタ露出孔となる場合、ケース上側部材の側面部とケース下側部材の側面部のそれぞれの形状のばらつきも、コネクタ露出孔の形状及び位置のばらつきに反映され、より一層ばらつきが大きくなるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0017】
本発明における基板収容ケースにおいて、第一ケース形成部材は、中央にコネクタ露出孔が形成されるケース体の一つの側面部(カバー部材)とすることができ、第二ケース形成部材はケース体の側面部を除いた残余部(ケース本体部材)とすることができる。この場合、側面部が残余部に対し係合組み付けされることにより、ケース体における側面にコネクタ露出孔が形成される。この構成によれば、中央にコネクタ露出孔を有したカバー部材が、ケース本体部材の一面に係合組み付けされる形でケース体となるので、コネクタ露出孔の位置は、係合組み付けによるばらつきの影響を受けるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0018】
本発明における上記隙間は、ケース体の内部を外側から視認可能となるよう、ケース体の内外を貫通する隙間であり、本発明者らは、ケース体への上記隙間幅減少部材の取り付けによって、その隙間幅を1mm以下とすることを可能とした。これにより、IP40の規格を満たす制御装置を、安価にかつ容易な形で実現した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態である制御装置の分解斜視図。
【図2】図1の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図3】図1のA1−A1断面を簡略的に示した断面図。
【図4】図2のA2−A2断面を簡略的に示した断面図。
【図5】図1の制御装置の側面を簡略的に示した側面図。
【図6】図2の制御装置の側面を簡略的に示した側面図。
【図7】図2の制御装置の正面を簡略的に示した正面図。
【図8】図4の部分拡大図。
【図9】図1の実施形態の第一変形例である制御装置の分解斜視図。
【図10】図9の制御装置のケース体の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図11】図9の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図12】図1の実施形態の第二変形例である制御装置の分解斜視図。
【図13】図12の制御装置のケース体の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図14】図12の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図15】図11及び図14の制御装置のC−C断面図においてコネクタ露出側を拡大した部分断面拡大図。
【図16】図1の実施形態の第三変形例である制御装置の分解斜視図。
【図17】図16の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図18】図17の制御装置のD−D断面図においてコネクタ露出側を拡大した部分断面拡大図。
【図19】図16及び図17の実施形態の変形例である制御装置に用いられる隙間幅減少部材を示す斜視図。
【図20】図16及び図17の実施形態の変形例である制御装置の分解斜視図。
【図21】図20の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である制御装置の分解斜視図であり、図2は、図1の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図である。図3は、図1のA1−A1断面を簡略的に示した断面図であり、図4は、図2のA2−A2断面を簡略的に示した断面図である。図5は、図1の制御装置の側面を簡略的に示した側面図であり、図6は、図2の制御装置の側面を簡略的に示した側面図であり、図7は、図2の制御装置の正面を簡略的に示した正面図であり、図8は、図4の部分拡大図である。
【0022】
図2に示す制御装置1は、ここでは車両用の制御装置であり、例えばドアロックやエンジン始動を制御するコンピュータをなす回路基板40を有するものであり、電子機器や電子部品ともいうことができる。回路基板40には、各種の素子が実装されるとともに外部接続用のコネクタ部41が設けられ、基板収容ケース30内の収容空間内に収容されて固定されている。
【0023】
基板収容ケース30は、複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を形成するケース体であり、この収容空間内に回路基板40が収容される。複数のケース形成部材30A,30Bは、例えばそれぞれが別体形成された単一の樹脂射出成形体とすることができる。ここでは、複数のケース形成部材30A,30Bとして、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとを有する(ここでは二部材だが三部材以上でもよい)。これら複数のケース形成部材30A、30Bは、係合組み付けにより一体化されてケース体30となる。この係合組み付けによりケース体30上にはコネクタ露出孔31が形成され、ケース体30内に収容された回路基板40のコネクタ部41が、このコネクタ露出孔41から外部に突出する。
【0024】
本実施形態においては、図1及び図2に示すように、第一ケース形成部材30Aが、中央にコネクタ露出孔31が形成され、ケース体30の一つの側面部32をなすカバー部材であり、第二ケース形成部材30Bが、当該側面部を除いたケース体30の残余部(上面部34、下面部35及び残余の側面部33)であって一面が開口する筐体状のケース本体部材であり、筐体状の第二ケース形成部材30B内に回路基板40を収容した状態で、該第二ケース形成部材30Bに第一ケース形成部材30Aを組み付ける。このとき、回路基板40は、筐体状の第二ケース形成部材30Bにおける上記開口側にてコネクタ部41を外部に突出させる形で配置され、コネクタ部41は、第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとが組み付けられることによって、第一ケース形成部材30A(ケース体30)のコネクタ露出孔31内を挿通する形で外部に突出する。
【0025】
本実施形態における第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとの組み付けについて詳細に説明する。
【0026】
第一ケース形成部材30Aを、第二ケース形成部材30Bに組み付ける際には、上記のように回路基板40を第二ケース形成部材30B内に収容・配置し、その状態で、第二ケース形成部材30Bの開口に向けて第一ケース形成部材30Aをその裏面側から接近させる。第一ケース形成部材30Aには、その両端部において、その接近方向に突出し、なおかつその接近方向に対し垂直に貫通する孔部を形成する環状の係合孔部(係合部)39Aが形成されており(図1及び図5参照)、他方、第二ケース形成部材30Bには、上記開口の両端の側面部33に外向きに突出する係合爪部(係合部)39Bが形成されている。上記接近により、環状形状をなす係合孔部39Aの先端が係合爪部39Bに当接するが、これをさらに押し込むことにより、係合孔部39Aの先端が係合爪部39Bをその斜面に沿って弾性的に乗り越えるとともに、乗り越えた先において係合孔部39A内の孔内に係合爪部39Bが収容された状態となり、これにより係合孔部39Aが弾性復帰する。この状態では、係合孔部39A内の孔内に係合爪部39Bが収容されており、係合孔部39Aを上記の接近方向とは逆向きに引き抜こうとしても、孔内に収容されている係合爪部39Bがその引き抜きを妨げるため、引き抜くことが不可能あるいは困難な状態である。即ち、この状態は、係合孔部39Aを有する第一ケース形成部材30Aが第二ケース形成部材30Bに対し抜け止め固定された係合組み付け状態(一体固定状態)である。
【0027】
ところで、この係合組み付けにより、第一ケース形成部材30Aの中央に形成されたコネクタ露出孔31からは、筐体状の第二ケース形成部材30B内に収容された回路基板40のコネクタ部41が挿通し、外部に突出した状態となる。
【0028】
しかしながら、ケース体30上におけるコネクタ露出孔31の形成位置や形状は、各ケース形成部材30A,30Bの製造時のばらつきや、上記の係合組み付け時のばらつきなどを考慮して、ある程度余裕のある形で形成されている。即ち、コネクタ露出孔31は、コネクタ部41そのものの外形寸法のばらつき、ケース体を構成するケース形成部材30A,30Bの各係合組み付け部の位置や寸法のばらつき、それらケース形成部材30A,30Bの係合組み付けによるばらつき、コネクタ露出孔31の形成時における開口位置や開口寸法のばらつき等、様々な要因のばらつきの影響を受けるから、コネクタ露出孔31は、これらのばらつきの影響を受けてもなお、ケース体30に収容された回路基板40のコネクタ部41が干渉することなく挿通されて外部に突出(露出)するよう、コネクタ部41の外寸(外周形状)に対し、ある程度余裕のある大きさで形成されている。したがって、実際にコネクタ部をコネクタ露出孔31に挿通させると、コネクタ部41の外周面と、コネクタ露出孔31の内周面との間には、図8に示すように、隙間幅tの隙間が形成され、これが現状、1mm以上の幅を有していた。
【0029】
この隙間幅tを減少させるために、本実施形態においては、外部に突出したコネクタ部41の外周を取り囲む形で配置される単一の部材である隙間幅減少部材10を、コネクタ露出孔31が形成されたケース体30の一面32を少なくとも外側から被う形でケース体30に取り付けることにより、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に、隙間50(図7参照)を残しつつもその隙間幅tを減少させている。つまり、この隙間幅減少部材10は、ケース体30のコネクタ露出孔31の孔寸法xよりも小さい孔寸法yとなる孔部をコネクタ挿通孔11として有しており、ケース体30の一面32にコネクタ部41の外周を取り囲む形で取り付けられたときには、コネクタ露出孔31の孔内外周側を環状に被い、隙間幅tを隙間幅vにまで減少させることが可能で、なおかつこのコネクタ挿通孔11にコネクタ部41を干渉させることなく挿通することが可能である。
【0030】
この隙間幅減少部材10は、その設計に際して、ケース体30(基板収容ケース30)の設計のような、ケース体30のパーツ30A,30Bの製造からその組み付けに至るまでの過程で積み上がる比較的大きなばらつき幅を考慮する必要はなく、自身10とコネクタ部41の製造ばらつきのみを考慮して、コネクタ挿通孔11にコネクタ部が干渉することなく挿通されるような設計とすればよい。その結果、ケース体30のコネクタ露出孔31よりも小さく設計することが可能であるから、この隙間幅減少部材10により、ケース体30のコネクタ露出孔31の孔内外周側を環状に被うことが可能となり、コネクタ部41との間にできる隙間幅を小さくすることができる。
【0031】
本実施形態の隙間幅減少部材10は、図8に示すように、その外形寸法zがケース体30のコネクタ露出孔31よりも大きく、ケース体30のコネクタ露出孔31の周辺部をオーバーラップする形で配置され、さらに、ケース体30のコネクタ露出孔31よりもコネクタ挿通孔11内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔11を有した板状のプレート材(図1及び図2参照)であり、コネクタ挿通孔11にコネクタ部41を挿通させる形で、ケース体30の一面(コネクタ露出孔を有する面)に取り付けられている。具体的に言えば、隙間幅減少部材10は、プレート裏面13をケース体30におけるコネクタ露出孔31の周辺部の外側の面に接着する形で取り付けられている。ここでは、両面テープなどの粘着剤あるいは接着剤を隙間幅減少部材10の裏面13に設けておき、ケース体30から外部に突出するコネクタ部41を挿通させたときに、その裏面13をそのまま、コネクタ露出孔31が形成された面32に押し付ける形で取り付けられている。
【0032】
なお、本実施形態の制御装置1は、外部からの異物侵入防止を目的とするものであり、IEC(International Electrotechnical Commission)規格におけるIP40の規格を満たすことを目的としており、上記隙間幅減少部材10によりそれを実現したものである。即ち、上記隙間50は、ケース体30の内部を外側から視認可能となるよう、ケース体30の内外を貫通する隙間であり、本発明者らは、上記のようなケース体30への隙間幅減少部材10の取り付けによって、その隙間50の最も外側の位置における隙間幅vを1mm以下とし、異物の侵入防止を達成した。
【0033】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0034】
以下、上記実施形態の第一変形例について説明する。
【0035】
本発明のケース体30は、上記実施形態の構造に限るものではなく、複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体30となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体30においてコネクタ露出孔31が形成されるものであればよい。つまり、ケース体30のコネクタ露出孔31が、ケース体30の係合組み付けのばらつきや、各ケース形成部材30A,30Bの製造時のばらつきの影響を受けるものであることが前提とされていればよい。
【0036】
したがって、例えば図9〜図11に示すように、第一ケース形成部材30Cとしてケース体30の上面34を含むケース上側部材を、第二ケース形成部材30Dとしてケース体30の下面35を含むケース下側部材を備えて構成することができる。さらに、それらケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとが、上記実施形態と同様、それぞれの係合部(係合爪部39D及び係合孔部39C)による係合組み付けがなされることにより、それらケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとの双方の当接部を有する側面(ケース体30の側面)32,33に、当該当接によりコネクタ露出孔31が形成されるよう構成することができる。
【0037】
この場合、ケース体30の側面32、33は、ケース上側部材30Cの側面32C,33Cと、ケース下側部材30Dの側面32D,33Dとが当接する形で形成される。ケース体30の側面32に関しては、ケース上側部材30Cの側面部32Cとケース下側部材30Dの側面部32Dとの間に、双方に対する非当接部31C,31D(図9参照)が存在し、それら非当接部31C,31Dの間に形成される貫通孔がコネクタ露出孔31となる。このケース体30であっても、本実施形態のコネクタ露出孔31に対応する、上記実施形態と同様の隙間幅減少部材10を用いることで、コネクタ部41の外周側にできる隙間50の幅を減少させることができる。
【0038】
上記実施形態の第二変形例について説明する。
【0039】
上記実施形態及び上記第一変形例において、コネクタ部41は、その突出する方向とは逆向きに、コネクタ挿通孔11を挿通させる形で隙間幅減少部材10をケース体30に接近させていく際に、その接近(挿通)を妨げるものが無く、コネクタ部41の外周面がフラットに形成されている。ところが、コネクタ部41に、その突出方向の外側において該突出方向に対し垂直となる方向側へと突出する突起部41aが形成されていれば、その突起によりコネクタ挿通孔11の挿通が妨げられ、隙間幅減少部材10をケース体30に接近(さらには接着)させることができない。
【0040】
この場合、隙間幅減少部材10は、図12に示すように、コネクタ部41の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込み19を形成し、該切り込み19の両側を、図13のように離間させる弾性変形が可能に構成するとよい。このような弾性変形が可能であれば、隙間幅減少部材10の切り込み19の両側を離間して広げることで、隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11を広げることができ、これにより、図12〜図15に示すコネクタ部41の突起部41aを避ける形で、コネクタ部41を隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11に挿通させた状態とすることが可能となる。また、隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11を広げることができれば、コネクタ部41を隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11に挿通せずとも、ケース体30の一面32に密着する、突起部41aの奥側(コネクタ部41の突出方向とは逆側)の位置でコネクタ部41を挟み込む形で、直接取り付けることもできる。ただし、取り付け後には、この切り込み19の両側の離間が不可となる形で、隙間幅減少部材10は、ケース体30の一面32に取り付けられる(例えば面32への接着固定や切り込み19の両側の接着固定等)。
【0041】
上記実施形態の第三変形例について説明する。
【0042】
上記実施形態においては、ケース体30内への異物の侵入に関して、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に形成される隙間50自体への異物の侵入も許さないよう、隙間幅減少部材10によって、コネクタ露出孔31の周辺部を、ケース体30の外側から被う形で被っているが、少なくとも外側が被われていればよい。
【0043】
図16〜図18においては、隙間幅減少部材10が、ケース体30におけるコネクタ露出孔31の周辺部を、内側から被う内側被覆部10Bと、外側から被う外側被覆部10Aと、それら内外の被覆部10B,10Aをコネクタ露出孔31の内周側で連結する連結部10Cと、を有して構成されているケース体30におけるコネクタ露出孔31の内外を被う隙間幅減少部材10が配置されることで、コネクタ露出孔31の内周面よりも内周側に位置する上記連結部10Cにより、図18に示すように、コネクタ露出孔31の内周面とコネクタ部41の外周面との間の隙間50の隙間幅tを隙間幅vにまで減少させることができる。
【0044】
なお、この変形例において、隙間幅減少部材10は、図18に示すように、外形寸法のばらつきに関係なく組み付けられる様に、ケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとの間にガタ(図18の寸法vに相当)を生じてしまうが、ケース体30に対するオーバーラップ部分(ケース体30の側面部32C,32Dにおける図18の寸法wに相当する部分)を設け、このオーバーラップ部分(w)をガタ(v)よりも大きな寸法とすることで、ケース体30とコネクタ部41との間の隙間に対するワイヤ状の金属棒など異物の侵入や外部からの操作を防止できる。なお、図15及び図18における符号yはコネクタ部41の外形寸法、符号xは隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11の開口寸法、符号zは隙間幅減少部材10の外形寸法である。
【0045】
また、この隙間幅減少部材10についても、図19に示すように、既に述べた実施形態(第二変形例)と同様、切り込み19を設け、図20及び図21に示すように、コネクタ部41に形成される突起部41aを避ける形でケース体30に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 制御装置
10 隙間幅減少部材
11 コネクタ挿通孔
30 基板収容ケース(ケース体)
30A〜30D ケース形成部材
31 コネクタ露出孔
40 回路基板
41 コネクタ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収容ケース内にコネクタ部を外部に突出させる形で回路基板を収容した制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の素子が実装された回路基板を収容する基板収容ケースの設計においては、2つの部材(例えばケース本体とカバー等)の一方に設けられた係合爪等の係合部により他方を係合固定する構造を有する。2つの部材が係合固定されてなる基板収容ケースには、収容する回路基板のコネクタを外部に突出させる貫通孔(コネクタ露出孔)が形成されるが、この貫通孔はコネクタの外寸よりも大きめの形状にて形成されおり、コネクタの配置に対し余裕を持たせた設計となっている。さらに、基板収容ケースは、2つの部材が係合固定されて構成されるため、貫通孔の位置は、その係合固定時の組み付け精度の影響も受けるから、この貫通孔はさらに余裕があるようやや大きめ形成されている。
【0003】
具体的に言えば、2つの部材が係合固定されてなる基板収容ケースの設計において、上記貫通孔は、コネクタそのものの寸法のばらつき、2つの部材の組み付け部の位置や寸法のばらつき、組み付け時におけるばらつき、貫通孔の開口位置や開口寸法のばらつき等、これらのばらつきが基板収容ケースの上下左右に累積されることを予め考慮した上でなされる必要があるから、結果として、コネクタまわりに1mm以上の隙間ができることを避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−86379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年、この隙間に対しワイヤ状の金属棒を意図的に挿入してダメージを与える行為について報告があり、これに対する対策が必要となる。具体的には、国際的な標準規であるIEC(International Electrotechnical Commission)規格におけるIP40の規格を満たすよう求める要望がある。しかしながら、上記隙間の減少を、基板収容ケースの各パーツの設計を見直す形で行うには、再試験などを含め多大な時間とコストがかかるため、それらはできる限り避ける必要があるし、製造面においても、できるだけ工数が増えないようできるだけ簡易な形で実現できるようにする必要がある。また、特許文献1のように、制御装置自体の外形寸法に大きな変化を生じさせることは、このケースを搭載する側の装置の設計をも変更させることにつながりかねないため、避けたいところである。
【0006】
本発明の課題は、基板収容ケースとコネクタとの間に生じる隙間を、安価にかつ容易な形で減少させた制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、
複数のケース形成部材の係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体においてコネクタ露出孔が形成される基板収容ケースと、
コネクタ露出孔から外部接続用のコネクタ部を外部に突出させる形で基板収容ケースの収容空間内に配置される回路基板と、
外部に突出したコネクタ部の外周を取り囲む形で配置される単一の部材であって、コネクタ露出孔の内周面とコネクタ露出孔内に挿通されたコネクタ部の外周面との間に隙間を残しつつもその隙間幅が減少するように、少なくともコネクタ露出孔が形成されたケース体の一面を外側から被う形で配置される隙間幅減少部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
複数のケース形成部材の係合組み付けにより形成されるケース体(基板収容ケース)に、コネクタ部を露出させるためのコネクタ露出孔を設ける場合、このコネクタ露出孔は、コネクタ部そのものの外形寸法のばらつき、それらケース形成部材の各係合組み付け部の位置や寸法のばらつき、それらケース形成部材の係合組み付けによるばらつき、コネクタ露出孔の形成時における開口位置や開口寸法のばらつき等、様々な要因のばらつきが複合的に積み重なるため、最終的にケース体が形成されたときの位置や形状のばらつきが大きく、外部に突出するコネクタ部を確実に挿通させるためには、一定以上の余裕を持った大き目の設計が必要となる。このため、従来のケース体(基板収容ケース)においては、コネクタ露出孔と、それを挿通するコネクタ部との間に比較的大き目の隙間が形成されていた。本発明によれば、コネクタ部が挿通されたコネクタ露出孔に対し、同じくコネクタ部を挿通させた状態となる形で、このコネクタ露出孔の外周を被う隙間幅減少部材が配置されることにより、コネクタ露出孔と、それに挿通されたコネクタ部との間に形成される隙間の隙間幅を減少させることができる。つまり、本発明の隙間幅減少部材は、製造のばらつき幅の中でコネクタに干渉することなく装着することができ、かつ外部からのワイヤ状の金属棒の侵入を防ぐことができる。
【0009】
具体的に言えば、内部に回路基板を収容するケース体は、回路基板のコネクタ部を外部に突出させるためにコネクタ露出孔を有するが、このコネクタ露出孔は、コネクタ部が干渉することなく挿通される形で外部に突出するように、その内周寸法(開口寸法)を設計する必要がある。ところが、上述したように、ケース体が完成するまでには、ケース体を構成する各ケース形成部材やコネクタ部のそれぞれの製造ばらつきや、それらを係合組み付けする際の組み付けばらつきなど、様々なばらつきが複合的に積み上がるため、コネクタ露出孔の内周寸法(開口寸法)を比較的大きく設計しなければ、コネクタ部を挿通させられない可能性がある。その結果、コネクタ露出孔は、複合的に積み上がったばらつき幅の中でもコネクタ部を干渉することなく確実に挿通できるように、比較的大きく、余裕をもって設計・製造される。これにより、コネクタ部が挿通された際には、コネクタ部との間に比較的大きな隙間が生まれる。一方、本発明における隙間幅減少部材も、ケース体のコネクタ露出孔から外部に突出したコネクタ部が挿通されるコネクタ挿通孔を有し、このコネクタ挿通孔に、コネクタ部が干渉することなく挿通されるようその内周寸法(開口寸法)を設計する必要がある。ところが、隙間幅減少部材の場合は、自身とコネクタ部の製造ばらつきさえ考慮すれば、コネクタ部が挿通される際に干渉しない設計とすることができる。つまり、ケース体側で生じるばらつきを考慮に入れる必要が無く、隙間幅減少部材自身とコネクタ部との間の関係だけを考慮すればよいのである。その結果、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔は、ケース体のコネクタ露出孔よりも小さく設計・製造され、コネクタ部が挿通された際には、コネクタ部との間に生まれる隙間が、コネクタ露出孔とコネクタ部との間に生まれる隙間よりも幅が小さくなる。本発明では、この隙間幅減少部材は、ケース体のコネクタ露出孔から外部に突出したコネクタ部を挿通させる形でケース体の外側に取り付けられるが、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔がケース体のコネクタ露出孔よりも孔が小さいため、コネクタ露出孔の外周部分が隙間幅減少部材により被われた状態となる。その結果、コネクタ部の外周周りに生じる隙間の幅が減じられて、ワイヤ状の金属棒の侵入を防ぐことが可能になった。
【0010】
また、本発明においては、上記のようなコネクタ挿通孔を有する隙間幅減少部材を、そのコネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させる形でケース体に取り付けるだけで、上記隙間幅を容易に減少させることができる利点もある。また、1部材の追加により上記隙間幅を減少させることができるため、コストや工数の追加もそれほど必要ない。
【0011】
本発明における隙間幅減少部材は、ケース体のコネクタ露出孔よりも孔内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔を有したプレート材とすることができ、コネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させる形で、ケース体の一面に取り付けるように構成できる。これにより、外部に突出するコネクタ部を挿通させる形で、隙間幅減少部材をなすプレート材(板材)を取り付けることにより、上記隙間幅を容易に減少させることができる。また、制御装置の外形寸法を大きく変えることもない。
【0012】
本発明における隙間幅減少部材は、プレート裏面をケース体におけるコネクタ露出孔の周辺部の外側に接着する形で取り付けるよう構成できる。この場合、隙間幅減少部材をなすプレート材(板材)を、コネクタ部を挿通させる形で配置していき、最終的には、その裏面に設けられた接着面をケース体の一面(コネクタ露出孔を有する面)に密着(接着)させることで固定することができるから、組み付けが容易となる。
【0013】
本発明における隙間幅減少部材は、ケース体におけるコネクタ露出孔の周辺部を、内側から被う内側被覆部と、外側から被う外側被覆部と、それら内外の被覆部をコネクタ露出孔の内周側で連結する連結部と、を有して構成できる。この構成によれば、ケース体におけるコネクタ露出孔の内外を被う形で隙間幅減少部材が配置されることにより、コネクタ露出孔の内周面よりも内周側に位置する上記連結部によって、コネクタ露出孔の内周面とコネクタ部の外周面との間の隙間幅を減少することができる。
【0014】
本発明におけるコネクタ部は、ケース体外部への突出方向において該突出方向に対し垂直となる方向側に突出し、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔への突出方向逆向きの挿通を妨げる突起部が形成されていてもよい。この場合、隙間幅減少部材は、コネクタ部の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込みを形成し、該切り込みの両側を離間させる弾性変形が可能に構成するとよい。隙間幅減少部材を、そのコネクタ挿通孔にコネクタ部を挿通させていく形でケース体に組み付けようとした場合に、コネクタ部に上記のような突起部があると、その挿通が妨げられるため、ケース体に組み付けることができないが、上記のような弾性変形が可能であれば、隙間幅減少部材の切り込み両側を離間して広げることで、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔を広げることができ、これにより、突起部を避ける形で、コネクタ部を隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔に挿通させることが可能となる。また、隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔を広げることができれば、コネクタ部を隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔に挿通せずとも、突起部の奥側(コネクタ部の突出方向とは逆側)となる位置に、直接配置することもできる。
【0015】
本発明における基板収容ケースは、複数のケース形成部材として、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とを有し、それら第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とが係合組み付けにより一体化されてケース体とされたものとすることができ、例えば、第一ケース形成部材及び第二ケース形成部材は、それぞれが別体形成された単一の樹脂射出成形体とすることができる。このように、それぞれが別に形成されたケース形成部材を係合組付けにより形成した場合に、コネクタ露出孔の形状や位置のばらつきは、既に述べた様々なばらつきの影響を受けて大きくなるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0016】
本発明における基板収容ケースにおいて、第一ケース形成部材はケース体の上面を含むケース上側部材であり、第二ケース形成部材はケース体の下面を含むケース下側部材であり、それらケース上側部材とケース下側部材とが係合組み付けされることにより、それらケース上側部材とケース下側部材との双方の当接部を有する側面(ケース体の側面)に、当該当接によりコネクタ露出孔が形成されるものとするよう構成できる。この場合、ケース上側部材とケース下側部材とが組み付けられる際に、側面において、ケース上側部材とケース下側部材とが当接した形状となる。さらに、この当接により当該側面にコネクタ露出孔が形成される、即ちケース上側部材の側面部とケース下側部材の側面部との間に非当接部が存在し、その部分の間に形成される貫通孔がコネクタ露出孔となる場合、ケース上側部材の側面部とケース下側部材の側面部のそれぞれの形状のばらつきも、コネクタ露出孔の形状及び位置のばらつきに反映され、より一層ばらつきが大きくなるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0017】
本発明における基板収容ケースにおいて、第一ケース形成部材は、中央にコネクタ露出孔が形成されるケース体の一つの側面部(カバー部材)とすることができ、第二ケース形成部材はケース体の側面部を除いた残余部(ケース本体部材)とすることができる。この場合、側面部が残余部に対し係合組み付けされることにより、ケース体における側面にコネクタ露出孔が形成される。この構成によれば、中央にコネクタ露出孔を有したカバー部材が、ケース本体部材の一面に係合組み付けされる形でケース体となるので、コネクタ露出孔の位置は、係合組み付けによるばらつきの影響を受けるが、本発明によれば、その様なばらつきがあっても、コネクタ部の外周側にできる隙間の幅を減少させることができる。
【0018】
本発明における上記隙間は、ケース体の内部を外側から視認可能となるよう、ケース体の内外を貫通する隙間であり、本発明者らは、ケース体への上記隙間幅減少部材の取り付けによって、その隙間幅を1mm以下とすることを可能とした。これにより、IP40の規格を満たす制御装置を、安価にかつ容易な形で実現した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態である制御装置の分解斜視図。
【図2】図1の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図3】図1のA1−A1断面を簡略的に示した断面図。
【図4】図2のA2−A2断面を簡略的に示した断面図。
【図5】図1の制御装置の側面を簡略的に示した側面図。
【図6】図2の制御装置の側面を簡略的に示した側面図。
【図7】図2の制御装置の正面を簡略的に示した正面図。
【図8】図4の部分拡大図。
【図9】図1の実施形態の第一変形例である制御装置の分解斜視図。
【図10】図9の制御装置のケース体の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図11】図9の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図12】図1の実施形態の第二変形例である制御装置の分解斜視図。
【図13】図12の制御装置のケース体の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図14】図12の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図15】図11及び図14の制御装置のC−C断面図においてコネクタ露出側を拡大した部分断面拡大図。
【図16】図1の実施形態の第三変形例である制御装置の分解斜視図。
【図17】図16の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【図18】図17の制御装置のD−D断面図においてコネクタ露出側を拡大した部分断面拡大図。
【図19】図16及び図17の実施形態の変形例である制御装置に用いられる隙間幅減少部材を示す斜視図。
【図20】図16及び図17の実施形態の変形例である制御装置の分解斜視図。
【図21】図20の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である制御装置の分解斜視図であり、図2は、図1の制御装置の組み立て完了状態を示す斜視図である。図3は、図1のA1−A1断面を簡略的に示した断面図であり、図4は、図2のA2−A2断面を簡略的に示した断面図である。図5は、図1の制御装置の側面を簡略的に示した側面図であり、図6は、図2の制御装置の側面を簡略的に示した側面図であり、図7は、図2の制御装置の正面を簡略的に示した正面図であり、図8は、図4の部分拡大図である。
【0022】
図2に示す制御装置1は、ここでは車両用の制御装置であり、例えばドアロックやエンジン始動を制御するコンピュータをなす回路基板40を有するものであり、電子機器や電子部品ともいうことができる。回路基板40には、各種の素子が実装されるとともに外部接続用のコネクタ部41が設けられ、基板収容ケース30内の収容空間内に収容されて固定されている。
【0023】
基板収容ケース30は、複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を形成するケース体であり、この収容空間内に回路基板40が収容される。複数のケース形成部材30A,30Bは、例えばそれぞれが別体形成された単一の樹脂射出成形体とすることができる。ここでは、複数のケース形成部材30A,30Bとして、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとを有する(ここでは二部材だが三部材以上でもよい)。これら複数のケース形成部材30A、30Bは、係合組み付けにより一体化されてケース体30となる。この係合組み付けによりケース体30上にはコネクタ露出孔31が形成され、ケース体30内に収容された回路基板40のコネクタ部41が、このコネクタ露出孔41から外部に突出する。
【0024】
本実施形態においては、図1及び図2に示すように、第一ケース形成部材30Aが、中央にコネクタ露出孔31が形成され、ケース体30の一つの側面部32をなすカバー部材であり、第二ケース形成部材30Bが、当該側面部を除いたケース体30の残余部(上面部34、下面部35及び残余の側面部33)であって一面が開口する筐体状のケース本体部材であり、筐体状の第二ケース形成部材30B内に回路基板40を収容した状態で、該第二ケース形成部材30Bに第一ケース形成部材30Aを組み付ける。このとき、回路基板40は、筐体状の第二ケース形成部材30Bにおける上記開口側にてコネクタ部41を外部に突出させる形で配置され、コネクタ部41は、第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとが組み付けられることによって、第一ケース形成部材30A(ケース体30)のコネクタ露出孔31内を挿通する形で外部に突出する。
【0025】
本実施形態における第一ケース形成部材30Aと第二ケース形成部材30Bとの組み付けについて詳細に説明する。
【0026】
第一ケース形成部材30Aを、第二ケース形成部材30Bに組み付ける際には、上記のように回路基板40を第二ケース形成部材30B内に収容・配置し、その状態で、第二ケース形成部材30Bの開口に向けて第一ケース形成部材30Aをその裏面側から接近させる。第一ケース形成部材30Aには、その両端部において、その接近方向に突出し、なおかつその接近方向に対し垂直に貫通する孔部を形成する環状の係合孔部(係合部)39Aが形成されており(図1及び図5参照)、他方、第二ケース形成部材30Bには、上記開口の両端の側面部33に外向きに突出する係合爪部(係合部)39Bが形成されている。上記接近により、環状形状をなす係合孔部39Aの先端が係合爪部39Bに当接するが、これをさらに押し込むことにより、係合孔部39Aの先端が係合爪部39Bをその斜面に沿って弾性的に乗り越えるとともに、乗り越えた先において係合孔部39A内の孔内に係合爪部39Bが収容された状態となり、これにより係合孔部39Aが弾性復帰する。この状態では、係合孔部39A内の孔内に係合爪部39Bが収容されており、係合孔部39Aを上記の接近方向とは逆向きに引き抜こうとしても、孔内に収容されている係合爪部39Bがその引き抜きを妨げるため、引き抜くことが不可能あるいは困難な状態である。即ち、この状態は、係合孔部39Aを有する第一ケース形成部材30Aが第二ケース形成部材30Bに対し抜け止め固定された係合組み付け状態(一体固定状態)である。
【0027】
ところで、この係合組み付けにより、第一ケース形成部材30Aの中央に形成されたコネクタ露出孔31からは、筐体状の第二ケース形成部材30B内に収容された回路基板40のコネクタ部41が挿通し、外部に突出した状態となる。
【0028】
しかしながら、ケース体30上におけるコネクタ露出孔31の形成位置や形状は、各ケース形成部材30A,30Bの製造時のばらつきや、上記の係合組み付け時のばらつきなどを考慮して、ある程度余裕のある形で形成されている。即ち、コネクタ露出孔31は、コネクタ部41そのものの外形寸法のばらつき、ケース体を構成するケース形成部材30A,30Bの各係合組み付け部の位置や寸法のばらつき、それらケース形成部材30A,30Bの係合組み付けによるばらつき、コネクタ露出孔31の形成時における開口位置や開口寸法のばらつき等、様々な要因のばらつきの影響を受けるから、コネクタ露出孔31は、これらのばらつきの影響を受けてもなお、ケース体30に収容された回路基板40のコネクタ部41が干渉することなく挿通されて外部に突出(露出)するよう、コネクタ部41の外寸(外周形状)に対し、ある程度余裕のある大きさで形成されている。したがって、実際にコネクタ部をコネクタ露出孔31に挿通させると、コネクタ部41の外周面と、コネクタ露出孔31の内周面との間には、図8に示すように、隙間幅tの隙間が形成され、これが現状、1mm以上の幅を有していた。
【0029】
この隙間幅tを減少させるために、本実施形態においては、外部に突出したコネクタ部41の外周を取り囲む形で配置される単一の部材である隙間幅減少部材10を、コネクタ露出孔31が形成されたケース体30の一面32を少なくとも外側から被う形でケース体30に取り付けることにより、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に、隙間50(図7参照)を残しつつもその隙間幅tを減少させている。つまり、この隙間幅減少部材10は、ケース体30のコネクタ露出孔31の孔寸法xよりも小さい孔寸法yとなる孔部をコネクタ挿通孔11として有しており、ケース体30の一面32にコネクタ部41の外周を取り囲む形で取り付けられたときには、コネクタ露出孔31の孔内外周側を環状に被い、隙間幅tを隙間幅vにまで減少させることが可能で、なおかつこのコネクタ挿通孔11にコネクタ部41を干渉させることなく挿通することが可能である。
【0030】
この隙間幅減少部材10は、その設計に際して、ケース体30(基板収容ケース30)の設計のような、ケース体30のパーツ30A,30Bの製造からその組み付けに至るまでの過程で積み上がる比較的大きなばらつき幅を考慮する必要はなく、自身10とコネクタ部41の製造ばらつきのみを考慮して、コネクタ挿通孔11にコネクタ部が干渉することなく挿通されるような設計とすればよい。その結果、ケース体30のコネクタ露出孔31よりも小さく設計することが可能であるから、この隙間幅減少部材10により、ケース体30のコネクタ露出孔31の孔内外周側を環状に被うことが可能となり、コネクタ部41との間にできる隙間幅を小さくすることができる。
【0031】
本実施形態の隙間幅減少部材10は、図8に示すように、その外形寸法zがケース体30のコネクタ露出孔31よりも大きく、ケース体30のコネクタ露出孔31の周辺部をオーバーラップする形で配置され、さらに、ケース体30のコネクタ露出孔31よりもコネクタ挿通孔11内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔11を有した板状のプレート材(図1及び図2参照)であり、コネクタ挿通孔11にコネクタ部41を挿通させる形で、ケース体30の一面(コネクタ露出孔を有する面)に取り付けられている。具体的に言えば、隙間幅減少部材10は、プレート裏面13をケース体30におけるコネクタ露出孔31の周辺部の外側の面に接着する形で取り付けられている。ここでは、両面テープなどの粘着剤あるいは接着剤を隙間幅減少部材10の裏面13に設けておき、ケース体30から外部に突出するコネクタ部41を挿通させたときに、その裏面13をそのまま、コネクタ露出孔31が形成された面32に押し付ける形で取り付けられている。
【0032】
なお、本実施形態の制御装置1は、外部からの異物侵入防止を目的とするものであり、IEC(International Electrotechnical Commission)規格におけるIP40の規格を満たすことを目的としており、上記隙間幅減少部材10によりそれを実現したものである。即ち、上記隙間50は、ケース体30の内部を外側から視認可能となるよう、ケース体30の内外を貫通する隙間であり、本発明者らは、上記のようなケース体30への隙間幅減少部材10の取り付けによって、その隙間50の最も外側の位置における隙間幅vを1mm以下とし、異物の侵入防止を達成した。
【0033】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0034】
以下、上記実施形態の第一変形例について説明する。
【0035】
本発明のケース体30は、上記実施形態の構造に限るものではなく、複数のケース形成部材30A,30Bの係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体30となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体30においてコネクタ露出孔31が形成されるものであればよい。つまり、ケース体30のコネクタ露出孔31が、ケース体30の係合組み付けのばらつきや、各ケース形成部材30A,30Bの製造時のばらつきの影響を受けるものであることが前提とされていればよい。
【0036】
したがって、例えば図9〜図11に示すように、第一ケース形成部材30Cとしてケース体30の上面34を含むケース上側部材を、第二ケース形成部材30Dとしてケース体30の下面35を含むケース下側部材を備えて構成することができる。さらに、それらケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとが、上記実施形態と同様、それぞれの係合部(係合爪部39D及び係合孔部39C)による係合組み付けがなされることにより、それらケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとの双方の当接部を有する側面(ケース体30の側面)32,33に、当該当接によりコネクタ露出孔31が形成されるよう構成することができる。
【0037】
この場合、ケース体30の側面32、33は、ケース上側部材30Cの側面32C,33Cと、ケース下側部材30Dの側面32D,33Dとが当接する形で形成される。ケース体30の側面32に関しては、ケース上側部材30Cの側面部32Cとケース下側部材30Dの側面部32Dとの間に、双方に対する非当接部31C,31D(図9参照)が存在し、それら非当接部31C,31Dの間に形成される貫通孔がコネクタ露出孔31となる。このケース体30であっても、本実施形態のコネクタ露出孔31に対応する、上記実施形態と同様の隙間幅減少部材10を用いることで、コネクタ部41の外周側にできる隙間50の幅を減少させることができる。
【0038】
上記実施形態の第二変形例について説明する。
【0039】
上記実施形態及び上記第一変形例において、コネクタ部41は、その突出する方向とは逆向きに、コネクタ挿通孔11を挿通させる形で隙間幅減少部材10をケース体30に接近させていく際に、その接近(挿通)を妨げるものが無く、コネクタ部41の外周面がフラットに形成されている。ところが、コネクタ部41に、その突出方向の外側において該突出方向に対し垂直となる方向側へと突出する突起部41aが形成されていれば、その突起によりコネクタ挿通孔11の挿通が妨げられ、隙間幅減少部材10をケース体30に接近(さらには接着)させることができない。
【0040】
この場合、隙間幅減少部材10は、図12に示すように、コネクタ部41の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込み19を形成し、該切り込み19の両側を、図13のように離間させる弾性変形が可能に構成するとよい。このような弾性変形が可能であれば、隙間幅減少部材10の切り込み19の両側を離間して広げることで、隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11を広げることができ、これにより、図12〜図15に示すコネクタ部41の突起部41aを避ける形で、コネクタ部41を隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11に挿通させた状態とすることが可能となる。また、隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11を広げることができれば、コネクタ部41を隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11に挿通せずとも、ケース体30の一面32に密着する、突起部41aの奥側(コネクタ部41の突出方向とは逆側)の位置でコネクタ部41を挟み込む形で、直接取り付けることもできる。ただし、取り付け後には、この切り込み19の両側の離間が不可となる形で、隙間幅減少部材10は、ケース体30の一面32に取り付けられる(例えば面32への接着固定や切り込み19の両側の接着固定等)。
【0041】
上記実施形態の第三変形例について説明する。
【0042】
上記実施形態においては、ケース体30内への異物の侵入に関して、コネクタ露出孔31の内周面と該コネクタ露出孔31内に挿通されたコネクタ部41の外周面との間に形成される隙間50自体への異物の侵入も許さないよう、隙間幅減少部材10によって、コネクタ露出孔31の周辺部を、ケース体30の外側から被う形で被っているが、少なくとも外側が被われていればよい。
【0043】
図16〜図18においては、隙間幅減少部材10が、ケース体30におけるコネクタ露出孔31の周辺部を、内側から被う内側被覆部10Bと、外側から被う外側被覆部10Aと、それら内外の被覆部10B,10Aをコネクタ露出孔31の内周側で連結する連結部10Cと、を有して構成されているケース体30におけるコネクタ露出孔31の内外を被う隙間幅減少部材10が配置されることで、コネクタ露出孔31の内周面よりも内周側に位置する上記連結部10Cにより、図18に示すように、コネクタ露出孔31の内周面とコネクタ部41の外周面との間の隙間50の隙間幅tを隙間幅vにまで減少させることができる。
【0044】
なお、この変形例において、隙間幅減少部材10は、図18に示すように、外形寸法のばらつきに関係なく組み付けられる様に、ケース上側部材30Cとケース下側部材30Dとの間にガタ(図18の寸法vに相当)を生じてしまうが、ケース体30に対するオーバーラップ部分(ケース体30の側面部32C,32Dにおける図18の寸法wに相当する部分)を設け、このオーバーラップ部分(w)をガタ(v)よりも大きな寸法とすることで、ケース体30とコネクタ部41との間の隙間に対するワイヤ状の金属棒など異物の侵入や外部からの操作を防止できる。なお、図15及び図18における符号yはコネクタ部41の外形寸法、符号xは隙間幅減少部材10のコネクタ挿通孔11の開口寸法、符号zは隙間幅減少部材10の外形寸法である。
【0045】
また、この隙間幅減少部材10についても、図19に示すように、既に述べた実施形態(第二変形例)と同様、切り込み19を設け、図20及び図21に示すように、コネクタ部41に形成される突起部41aを避ける形でケース体30に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 制御装置
10 隙間幅減少部材
11 コネクタ挿通孔
30 基板収容ケース(ケース体)
30A〜30D ケース形成部材
31 コネクタ露出孔
40 回路基板
41 コネクタ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケース形成部材の係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体においてコネクタ露出孔が形成される基板収容ケースと、
前記コネクタ露出孔から外部接続用のコネクタ部を外部に突出させる形で前記基板収容ケースの収容空間内に配置される回路基板と、
外部に突出した前記コネクタ部の外周を取り囲む形で配置される単一の部材であって、前記コネクタ露出孔の内周面と前記コネクタ露出孔内に挿通された前記コネクタ部の外周面との間に隙間を残しつつもその隙間幅が減少するように、少なくとも前記コネクタ露出孔が形成された前記ケース体の一面を外側から被う形で配置される隙間幅減少部材と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記隙間幅減少部材は、前記ケース体のコネクタ露出孔よりも孔内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔を有したプレート材であり、前記コネクタ挿通孔に前記コネクタ部を挿通させる形で、前記ケース体の一面に取り付けられるものである請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記隙間幅減少部材は、プレート裏面を前記ケース体における前記コネクタ露出孔の周辺部の外側に接着する形で取り付けられる請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記隙間幅減少部材は、前記ケース体における前記コネクタ露出孔の周辺部を、内側から被う内側被覆部と、外側から被う外側被覆部と、それら内外の被覆部を前記コネクタ露出孔の内周側で連結する連結部と、を有したものである請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コネクタ部は、前記ケース体外部への突出方向において該突出方向に対し垂直となる方向側に突出し、前記隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔への前記突出方向逆向きの挿通を妨げる突起部が形成されており、
前記隙間幅減少部材は、前記コネクタ部の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込みが形成され、該切り込みの両側を離間させる弾性変形が可能である請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記基板収容ケースは、前記複数のケース形成部材として、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とを有し、それら第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とが前記係合組み付けにより一体化されて前記ケース体とされている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記基板収容ケースにおいて、前記第一ケース形成部材は前記ケース体の上面を含むケース上側部材であり、前記第二ケース形成部材は前記ケース体の下面を含むケース下側部材であり、それらケース上側部材とケース下側部材とが前記係合組み付けされることにより、それらケース上側部材とケース下側部材との双方の当接部を有する、前記ケース体の側面に、当該当接により前記コネクタ露出孔が形成されるものである請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記基板収容ケースにおいて、前記第一ケース形成部材は、前記ケース体の一面をなし、中央に前記コネクタ露出孔が形成されるカバー部であり、前記第二ケース形成部材は、前記ケース体から前記カバー部を除いたケース本体部であり、前記カバー部が前記ケース本体部に対し前記係合組み付けされることにより、一面に前記コネクタ露出孔が形成された前記ケース体となっている請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
IP40の規格を満たす請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項1】
複数のケース形成部材の係合組み付けにより内部に収容空間を有したケース体となり、なおかつこの係合組み付けにより該ケース体においてコネクタ露出孔が形成される基板収容ケースと、
前記コネクタ露出孔から外部接続用のコネクタ部を外部に突出させる形で前記基板収容ケースの収容空間内に配置される回路基板と、
外部に突出した前記コネクタ部の外周を取り囲む形で配置される単一の部材であって、前記コネクタ露出孔の内周面と前記コネクタ露出孔内に挿通された前記コネクタ部の外周面との間に隙間を残しつつもその隙間幅が減少するように、少なくとも前記コネクタ露出孔が形成された前記ケース体の一面を外側から被う形で配置される隙間幅減少部材と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記隙間幅減少部材は、前記ケース体のコネクタ露出孔よりも孔内の内周縁が内側に位置するコネクタ挿通孔を有したプレート材であり、前記コネクタ挿通孔に前記コネクタ部を挿通させる形で、前記ケース体の一面に取り付けられるものである請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記隙間幅減少部材は、プレート裏面を前記ケース体における前記コネクタ露出孔の周辺部の外側に接着する形で取り付けられる請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記隙間幅減少部材は、前記ケース体における前記コネクタ露出孔の周辺部を、内側から被う内側被覆部と、外側から被う外側被覆部と、それら内外の被覆部を前記コネクタ露出孔の内周側で連結する連結部と、を有したものである請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コネクタ部は、前記ケース体外部への突出方向において該突出方向に対し垂直となる方向側に突出し、前記隙間幅減少部材のコネクタ挿通孔への前記突出方向逆向きの挿通を妨げる突起部が形成されており、
前記隙間幅減少部材は、前記コネクタ部の外周を取り囲む環状形状の一部において切り込みが形成され、該切り込みの両側を離間させる弾性変形が可能である請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記基板収容ケースは、前記複数のケース形成部材として、それぞれが別体形成された第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とを有し、それら第一ケース形成部材と第二ケース形成部材とが前記係合組み付けにより一体化されて前記ケース体とされている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記基板収容ケースにおいて、前記第一ケース形成部材は前記ケース体の上面を含むケース上側部材であり、前記第二ケース形成部材は前記ケース体の下面を含むケース下側部材であり、それらケース上側部材とケース下側部材とが前記係合組み付けされることにより、それらケース上側部材とケース下側部材との双方の当接部を有する、前記ケース体の側面に、当該当接により前記コネクタ露出孔が形成されるものである請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記基板収容ケースにおいて、前記第一ケース形成部材は、前記ケース体の一面をなし、中央に前記コネクタ露出孔が形成されるカバー部であり、前記第二ケース形成部材は、前記ケース体から前記カバー部を除いたケース本体部であり、前記カバー部が前記ケース本体部に対し前記係合組み付けされることにより、一面に前記コネクタ露出孔が形成された前記ケース体となっている請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
IP40の規格を満たす請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−41863(P2013−41863A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175924(P2011−175924)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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