説明

力変換器

【課題】 小型高精度単軸力変換機で、一体型素材から加工するもので、内部の梁に加工する場合、周縁部を貫通し、深い位置にある梁に加工を施している従来の形状では、起歪部形状、精度に問題がり、力変換機の精度に問題があった。
【解決手段】 単一素材からの加工により製作される中心部から外周へほぼ等配放射状の複数の梁で結合されている梁の郡が軸方向に適宜離間して複数設け、当該梁の郡の位相を異にする構造にすることで、起歪部の加工の自由度をあげ、形状を図1に示すようにすることで課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に検出する力変換器に係り、小型高精度の力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】 特許公開平5−79930号
【0003】
(従来の技術)
外周部と中央部を放射状の梁で連結され、その放射状に配置された梁に側面から穴をあけ、起歪部とし、周縁部を固定し、中央部に力を加え、電気抵抗検出手段ひずみゲージを用いる力変換器が知られている。
【0004】
従来の力変換器例図3において、力変換器本体11の中央12には荷重を受ける加重印加部13が設けられ、加重印加部13と周縁部14との間は3個の梁21〜23を介して接続されている。各梁21〜23は横方向に穿設された円形穴を各梁に有し、貫通孔24〜26を通して深い位置に梁があり、24穴を貫通して梁21に円形穴があけられ、同様に各当該梁に円形穴があけられ、該円形穴の上下方向の厚さを薄くされた起歪部の上面及び下面に電気抵抗検出手段ひずみゲージが接着等で設けられている。
【0005】
このような構成において加重印加部に力(F)が負荷されると、力(F)に比例した応力で当該各梁にあけられた円穴の周囲にひずみを生じ、このひずみを電気抵抗検出手段ひずみゲージで測定することで、力(F)の大きさを測定することができる。
【0006】
しかし、特に小型の力変換器では、穴の周囲のひずみは、力の大きさで起こる変形によって最大応力点が移動したり、要求位置間隔が小さすぎる等の制約があり、最大応力点にひずみゲージを設けられない問題があった。
【0007】
さらに、穴の上下のひずみゲージ設けられていない最弱部の位置には、最大剪断応力が働くため、ひずみ検出部以外で弾性域を逸脱してしまうため負荷される力(F)に制限を受け、起歪部での弾性限界より小さい力(F)を上限にされ、ひずみゲージからの値をも制限されるため、ダイナミックレンジが小さく制限されることで高精度を保てない問題があった。この最弱部は力(F)により変形し、最大応力点を移動させてしまうため直線性誤差の原因にもなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
梁の起歪部の加工に関して、周縁部の穴を貫通して内部の深い位置にある梁に起歪部となる加工するため、起歪部として必要な形状の加工や寸法精度を保つことが困難であり、起歪部として機能を十分に果たせない問題があった。
【0009】
また、深い位置にある梁に、かろうじて加工できる円形の横穴により上下の厚さが薄くなった最弱部の位置には最大剪断応力が発生するためダイナミックレンジの制約、ひずみゲージ要求位置間隔が小さすぎるため、最大応力点にひずみゲージを設けられない制約や丸穴の形状で発生する変位による最大応点の移動などの原因により、直線性誤差、ステリシス誤差や再現性誤差、を引き起こしたり、出力を小さく抑えなければならないなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題点を解決するために、中心部から周縁部へほぼ等配放射状の複数の梁で結合されている梁の郡が、軸方向に適宜離間して複数あり、当該梁の郡の位相を異にすることで、開口部が加重方向となるため、各々の梁にある起歪部の形状の自由度ができ、複数の起歪部をひとつに梁に設けることが可能になる。
【0011】
各梁における複数の起歪部は力(F)における各梁の中で最大歪を発生するような形状とし、電気抵抗歪検出手段ひずみゲージを最大歪を発生部へ配置することでダイナミックレンジを最大とし、最大応力点の移動を回避しようとするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1により本実施例を説明する。11は本実施例の上面図であり、下にその断面図が示されている。中心部12から周縁部14へ梁31から33の梁の郡と軸方向へ適宜距離Lを離間した位置に梁34から36の梁の郡があり、各々の梁の郡の位相は60度ずれて配置されている。
【0013】
このため、梁31の起歪部31a,31bの加工は図中下方からエンドミル加工を行うことができ、梁34については、図中上方からからエンドミル加工を行うことができ、従来ような奥まった部分の加工はなく、広い開口部から剛性の大きな工具で理想の起歪部の形を加工できる。31a、31bのような2ヶ所の半円形起歪部を設けることにより、たわみによって最大応力点の移動も阻止できる。
【0014】
梁の1つについて説明する。梁31にはその梁の最弱部を起歪部31aと31bとにして、ひずみゲージG1、G2が接着により設けられている。中心部12へ力(F)が図1断面図中上方から加わるとG1のひずみゲージは伸び、G4のひずみゲージは縮むことになる。
つまり、ひずみゲージの設けられている起歪部の他に最弱部が存在しないため、起歪部は弾性比例限界までひずませることが可能であり、大きな信号を得られる。
【0015】
各梁とも同様に働き、図2では、これらのひずみゲージで作られるホイートストンブリッジである。なお図2には、温度補償抵抗、感度調整抵抗、入力抵抗調整抵抗、零点調整抵抗は表記していない。
【発明の効果】
【0016】
以上のように請求項1又は2の発明によれば、各梁の起歪部形状を加工面から制約されることなく、最適な形状にすることができ、必要な数を必要な位置に設けることができ、各歪検出手段であるひずみゲージを最大応力点の移動のない最大応力点へ設けることができ、直線性誤差、ヒステレリシス誤差、再現性誤差、クリープ特性に関して測定範囲の大きい高精度な小型力変換機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の上面図とその断面図である。
【図2】本発明の実施例の検出回路説明図である。
【図3】従来の力変換器装置の実施例、斜視図である
【符号の説明】
【0018】
11 力変換機
12 中央部
13 加重印加部
14 周縁部
15 検出ベース部材
21、22、23 梁
24、25、 26 貫通穴
31 梁
31a、31b 起歪部
G1〜G12 電気抵抗検出手段ひずみゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単軸の力変換器において、単一一体素材からの加工により製作される中心部から周縁部へほぼ等配放射状の複数の梁の郡で結合されており、梁の郡が軸方向に適宜離間して複数あり、当該梁の郡の位相を異にする構造で、当該梁に複数箇所の電気抵抗歪検出手段ひずみゲージによるホイートストンブリッジを形成していることを特徴とする力変換器。
【請求項2】
請求項1記載の力変換器において、梁に起歪部を加工するための開口部が加重方向にあることを特徴とする力変換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の力変換器において電気抵抗歪検出手段ひずみゲージを起歪部の最大応力部へ配置することを特徴とする力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−300908(P2006−300908A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144660(P2005−144660)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(505171403)
【Fターム(参考)】