説明

力率改善と(スイッチオン)電流制限とを行う給電装置

本発明は、電流特性を電圧特性(12)に適合するように構成された制御ユニット(10)を有する、とりわけ航空機用の給電装置に関する。実施例に、力率改善部(36,34,38,40)を備えた整流器(30)が、スイッチオン可能な(スイッチオン)限流部(14)を備える昇圧器の形態で構成されていることが記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の給電装置に関する。
【0002】
すでに、電流特性を電圧特性に適合するように構成された制御ユニットを有する、とりわけ航空機で使用するための給電装置が公知である。
【0003】
本発明の利点
本発明は、電流特性を電圧特性に適合するように構成された制御ユニットを有する、とりわけ航空機用の給電装置に関する。ここでは、「適合」とはとりわけ、電圧特性を電流特性に少なくとも近似させることを指す。
【0004】
給電ユニットは、少なくとも1つのスイッチオン可能なユニットを有する少なくとも1つのアクティブユニットを備える構成を提案する。「アクティブユニット」とは、ここではとりわけ、少なくとも部分的に自動的にスイッチング過程を実施するように構成されたユニットを指す。さらに、「スイッチオン可能なユニット」とはとりわけ、動作領域で電流特性に影響するためのユニットを指す。このことにより、制御ユニットによる制御にもかかわらず発生する電流特性と電圧特性との不所望の偏差に、有利には少なくとも部分的に抗することができる。さらに、とりわけ350〜800Hzの間の幅広い周波数領域でフィルタリングを行い、歪み率を改善し、スイッチオン電流の有利な限流を実現することができる。
【0005】
前記ユニットを電圧特性のゼロ交差の領域でスイッチオンするように前記アクティブユニットが構成されている場合、とりわけ、電圧特性のゼロ点の領域ないしはゼロ交差で偏差誤差を少なくとも低減することができる。ここで「電圧特性のゼロ公差の領域」とは、とりわけ、最大印加電圧の30%未満の領域を指し、有利には20%未満の領域を指し、特に有利には15%未満の領域を指す。
【0006】
前記ユニットは、当業者が有利と考える異なるユニットによって構成することができ、とりわけ、少なくとも1つの動作領域において少なくとも実質的に線形の特性を有するユニットによって構成することができ、有利には電圧のゼロ交差において少なくとも実質的に線形の特性を有するユニットによって構成することができる。ここで「実質的」とはとりわけ、理論的に完全な線形特性からの特性の偏差が10%未満であることを指す。
【0007】
さらにユニットは、特に有利には抵抗ユニットによって構成される。ここで「抵抗ユニット」とはとりわけ、少なくとも1つの動作領域においてゼロ交差においてオーム抵抗を再現するように構成された、たとえば電界効果トランジスタ等であるユニット、および/または有利には少なくとも1つのオーム抵抗を有するユニットを指す。これによって、抵抗ユニットを構造的に特に簡単に実現することができる。抵抗ユニットによって有利には、幅広い周波数領域でフィルタリングを行うことができ、ひずみ率が改善され、スイッチオン電流の有利な限流を実現することができ、特に、制御ユニットの入力抵抗を省略するかまたは該入力抵抗の抵抗値を少なくとも低減することができる。
【0008】
前記ユニットが所期の温度特性を実現するために、少なくとも1つの領域において、温度値に依存する特性値を有する場合、有利には、可変の温度値への所望の自動適応を実現し、負荷にわたって有利な線形化を実現することができる。「所期の温度特性」とは、ここではとりわけ、ユニットが所期のように、特性が温度値によって変化するように選択されることを指す。
【0009】
特に有利には、前記ユニットはNTC抵抗(NTC:Negative Temperature Coefficient)を有することにより、有利には電気的抵抗のように、温度の上昇とともに特性値が降下するようにされる。このことによって、より高い確実性を実現することができる。NTC特性を実現するために前記ユニットは、当業者が適していると考える異なる部品を有することができるが、有利には該ユニットは、少なくとも1つのNTC抵抗を有する。このことによって、適切な特性を簡単かつ低コストで実現することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態では、アクティブユニットは少なくとも1つの制御ユニットを有し、該制御ユニットは、少なくとも所定の位相角でスイッチング過程を開始するように構成されている。このことによって、所定の位相角で発生する妨害作用に対して所期のように抗することができる。この制御ユニットは、当業者が有利と考える異なるユニットによって構成することができ、とりわけ位相比較器、および/または、所定の位相角になる所定の時点でスイッチングするユニット等によって構成することができる。スイッチング閾値は、位相位置および/または振幅に関連づけることができる。
【0011】
有利にはアクティブユニットは、少なくとも1つの比較器を有する。これによって、とりわけ所定の位相角で、所望のスイッチング過程を構造的に簡単に、所期のように実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による給電装置の概略図である。
【図2】電圧特性を示す図である。
【0013】
実施例の説明
図1に、制御ユニット10を有する航空機用の給電装置が概略的に示されている。この制御ユニット10は、電流特性を電圧特性12に適合するように構成されている(図1および2)。前記制御ユニット10は端子24,26によって、詳細に図示されていないAC電流源(AC:alternating current)に接続されており、この接続の後にNTC抵抗28を有し、これによってスイッチオン電流が限流される。NTC抵抗28には制御ユニット10のブリッジ整流器30が接続されている。さらに制御ユニット10は、制御ユニット10のスイッチ34に対するバッファコンデンサ32を有し、該スイッチ34は、該制御ユニット10のPFCチップ36(PFC:力率改善(Power Factor Correction))によってスイッチングされる。まず制御ユニット10は、PFCチップ36に結合された電子回路ユニット38と、該電子回路ユニット38に後続接続されたダイオード40と、該ダイオード40に後続接続されたコンデンサ42とを有し、該電子回路ユニット38は、エネルギーを蓄積するための補助コイルとチョークとを有し、該ダイオード40は整流するために使用される。さらに制御ユニット10は、ダイオード40に後置接続されコンデンサ42に並列接続された抵抗44,46を有し、該抵抗44,46は電圧フィードバックのために使用され、該抵抗44,46間に結合された経路48がPFCチップ36に接続されている。制御ユニット10の役割は、電圧の正弦波形に可能な限り精確に追従する電流を生成することである。このことは、電流の正弦波形にも、電流と電圧との間の位相位置にも当てはまる。このことは、前記制御ユニット10はほぼオーム負荷を再現するように構成されていることを意味する。
【0014】
制御ユニット10の他に給電装置は、オーム性のNCT抵抗によって形成されるスイッチオン可能なユニット16を備えたアクティブユニット14を有する。アクティブユニット14は、AおよびBによって示された接続点でスイッチ34に直列に後続接続されているか、ないしはスイッチ34の電流路に組み込まれている。アクティブユニット14は、比較器から成る制御ユニット22を有し、該制御ユニット22は、ブリッジ整流器30より下流に存在する電圧を基準電圧Urefと比較することにより、所定の位相角の場合に前記ユニット16を電圧特性12のゼロ交差20の領域18でスイッチ50によってスイッチオンするように構成されている。前記基準電圧Urefは最大電圧ないしは約15Vの5%〜15%の間であり、有利には約10%である。ブリッジ整流器30より下流の端子52から制御ユニット22までの経路54に、抵抗56が前置接続されており、抵抗58が後置接続されており、第2の抵抗58は接地接続されている。
【0015】
基準電圧Urefを上回ると、スイッチ50は閉成される。基準電圧Urefを下回ると制御ユニット22によってスイッチ50は開放され、PFCチップ36によって制御されるスイッチ34の電流がユニット16を介して流れる。このことはPFCチップ36のクロック周波数に影響し、特性曲線がソフトになり、クロック周波数は低減される。さらにこのスイッチオンは、非同期発電機の正弦波形の電流にも影響し、実際にオーム抵抗が得られるようになる。正弦波形の入力電圧が再び基準電圧Urefを上回ると、前記ユニット16はスイッチ50によって再び短絡されて機能しなくなる。
【0016】
AC電流源のスイッチオン時ないしはシステムの始動時には、スイッチ50は開放される。その後に電流は、NTC抵抗から成るユニット16を流れ、既知の値に制限される。システムが始動された場合にある程度の時間が経過した後、スイッチ50は閉成され、NTC抵抗から成るユニット16は短絡される。この時点でコンデンサ42が充電され、この充電されたコンデンサ42は、アクティブユニット14とNTC抵抗28とが無ければスイッチオン電流を高くしてしまうが、NTC抵抗から成るユニット16が非作動化されても何も起きない。アクティブユニット14によって、NTC抵抗28を有利には小さく寸法決めするか、または完全に省略することもでき、このことによって損失を少なくとも低減し、損失に起因する加熱も少なくとも低減することができる。
【0017】
ユニット16をNTC抵抗として形成することにより、スイッチ50の欠落時の誤機能および過熱を回避することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 制御ユニット
12 電圧特性
14 アクティブユニット
16 ユニット
18 領域
20 ゼロ交差
22 制御ユニット
24 端子
26 端子
28 NTC抵抗
30 ブリッジ整流器
32 バッファコンデンサ
34 スイッチ
36 PFCチップ
38 電子回路ユニット
40 ダイオード
42 コンデンサ
44 抵抗
46 抵抗
48 経路
50 スイッチ
52 端子
54 経路
56 抵抗
58 抵抗
Uref 基準電圧
A 接続点
B 接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
とりわけ航空機用の給電装置であって、
電流特性を電圧特性(12)に適合するように構成された制御ユニット(10)を有する給電装置において、
少なくとも1つのスイッチオン可能なユニット(16)を有する少なくとも1つのアクティブユニット(14)を備えていることを特徴とする、給電装置。
【請求項2】
前記アクティブユニット(14)は、前記ユニット(16)を前記電圧特性(12)のゼロ交差(20)の領域(18)でスイッチオンする、請求項1記載の給電装置。
【請求項3】
前記スイッチング可能なユニット(16)は抵抗ユニットから成る、請求項1または2記載の給電装置。
【請求項4】
前記ユニット(16)は少なくとも1つのオーム抵抗を有する、請求項3記載の給電装置。
【請求項5】
前記ユニット(16)は少なくとも1つの領域において、温度値に依存する少なくとも1つの特性値を有し、所期の温度特性を実現するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の給電装置。
【請求項6】
前記ユニット(16)はNTC抵抗を有する、請求項5記載の給電装置。
【請求項7】
前記アクティブユニット(14)は、少なくとも所定の位相角でスイッチング過程を開始するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(22)を備えている、請求項1から6までのいずれか1項記載の給電装置。
【請求項8】
前記アクティブユニット(14)は少なくとも1つの比較器を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の給電装置。
【請求項9】
制御ユニット(10)によって電流特性を電圧特性(12)に適合する方法であって、
とりわけ航空機において使用される方法において、
ゼロ交差(20)の領域(18)においてユニット(16)をスイッチオンすることを特徴とする方法。
【請求項10】
抵抗ユニットをスイッチオンする、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−504724(P2010−504724A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528614(P2009−528614)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007607
【国際公開番号】WO2008/034515
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502348855)レカロ エアークラフト シーティング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト (17)
【氏名又は名称原語表記】RECARO Aircraft Seating GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Daimlerstr. 21, D−74523 Schwaebisch Hall, Germany
【Fターム(参考)】