加熱調理器
【課題】簡単な構成で加熱効率を向上させることができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】板状加熱体22の板状ヒータ33は、第1絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分されるように配置されている。一方、コイル支持部材24は、絶縁基板31に下側から当接することで、絶縁基板30,31を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部53a,53bを備えている。
【解決手段】板状加熱体22の板状ヒータ33は、第1絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分されるように配置されている。一方、コイル支持部材24は、絶縁基板31に下側から当接することで、絶縁基板30,31を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部53a,53bを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上に載置される被加熱調理器具を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加熱調理器では、アルミ製や銅製の鍋のように低誘電率で電気伝導率の高い材料からなる被加熱調理器具を如何にして加熱するかが課題となっている。この課題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1には、トッププレート(天板)と誘導加熱コイルとの間にアルミ板を挿入し、当該アルミ板を誘導加熱することで鍋を間接的に加熱するようにした誘導加熱装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1の誘導加熱装置では、アルミ板を介して鍋を間接的に加熱する(つまり、アルミ板は鍋と同様に誘導加熱される)ように構成されており、その分だけインバータや誘導加熱コイルにおける損失が増加するため、加熱効率が低いという問題がある。
【0003】
そこで、トッププレートと誘導加熱コイルとの間に発熱体を設け、当該発熱体が通電により発熱することで鍋を加熱するようにした加熱調理器が提案されている。例えば、特許文献2の加熱調理器にあっては、通電により発熱する発熱体は、全体として中空環状に形成されており、補強板が下側から宛がわれた状態でトッププレートの下面に配置されている。この発熱体は、帯状のステンレス製の導体からなり、平面視にて反時計回りに周回するように円弧を描くと、その円弧端で折り返して今度は時計回りに周回し、再びその円弧端で折り返して反時計回りに周回する、という手順を数回繰り返して平面状で交差することなく前記の環状に形成されている(特許文献2の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3465712号公報
【特許文献2】特開2007−123159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2の発熱体は、通電による当該発熱体自身の熱膨張により上下にうねるように変形することで、その一部がトッププレートや補強板と離間し発熱体の周りに空隙部分が生じうる。従って、この場合、前記の空隙部分で発熱体がトッププレートに対して非接触状態となり、伝熱効率が低下する惧れがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で加熱効率を向上させることができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器は、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルを支持するコイル支持部材と、前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体とを具備した加熱調理器であって、前記板状加熱体は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられ通電することにより発熱するヒータとを具え、前記ヒータは、前記絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置され、前記コイル支持部材は、前記絶縁基板に下側から当接することで、当該絶縁基板を前記ヒータごと前記トッププレート側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、ヒータを、コイル支持部材の複数の突出部によって、絶縁基板を介してトッププレート側へ押圧するように支持したので、ヒータの支持構造を極力簡単にしながらもヒータのトッププレートに対する接触状態を良好に維持することができる。しかも、ヒータを絶縁基板の周方向に複数の領域に区分するように配置するとともに、複数の突出部をそれらの領域のそれぞれに対応するように配置したので、通電時にヒータに熱膨張が生じても、各領域ごとにその撓みを抑制するように押圧することができる。また、板状加熱体のヒータは、通電することにより発熱するため、前記の支持構造と相俟って被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的且つ効率的に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例を示す板状加熱体及びコイル支持部材の外観斜視図
【図2】誘導加熱調理器の概略構成を示す縦断面図
【図3】誘導加熱調理器の要部を拡大して示す縦断面図
【図4】コイル支持部材に誘導加熱コイルを配した状態で示す平面図
【図5】電気的構成を示すブロック図
【図6】(a)は分割ヒータ近傍部の拡大平面図、(b)は第2弾性材及び第2絶縁基板の外観斜視図
【図7】本発明の第2実施例を示す図6(a)相当図
【図8】本発明の第3実施例を示すものであり、第2弾性材及び第2絶縁基板を分解した状態で示す斜視図
【図9】本発明の第4実施例を示すものであり、(a)は板状加熱体の模式的な断面図、(b)は第1弾性材及び第1絶縁基板の外観斜視図
【図10】(a)及び(b)は、本発明の第5実施例を示す図9(a)及び(b)相当図
【図11】本発明の第6実施例を示す端子側突出部近傍部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例について図1〜図6を参照しながら説明する。図2は、システムキッチンのカウンタートップに誘導加熱調理器10を組込んだ状態(所謂ビルトインタイプ)の縦断側面図を示している。尚、図2において、左方が誘導加熱調理器10の前方側であり、右方が誘導加熱調理器10の後方側である。
誘導加熱調理器10は、調理器本体11を構成する本体ケース12及びトッププレート13を備えている。誘導加熱調理器10は、トッププレート13が重力方向において上方となるように設けられている。誘導加熱調理器10は、調理器本体11内に加熱ユニット14及び冷却ファン部15を備えている。
【0011】
本体ケース12は誘導加熱調理器10の主たる外郭を形成しており、本体ケース12の上方は、トッププレート13により覆われている。調理器本体11は、例えばシステムキッチンのカウンタートップ16に組み込まれることで、トッププレート13がカウンタートップ16から露出した状態で配置されている。このトッププレート13の上面には、被加熱調理器具として二点鎖線で示す鍋17が載置される。トッププレート13上の鍋17は、本体ケース12に収容された加熱手段(詳しくは後述する)によって加熱される。トッププレート13は、例えば強化耐熱ガラス等によって矩形平板状に形成されており、後方に吸気用及び排気用の開口部18を有している。本実施例の場合、開口部18は、トッププレート13の後方において左側に排気用が設けられ、右側に吸気用が設けられている。調理器本体11の本体ケース12の内部には、加熱制御部19が収容されている。また、図2中、トッププレート13の略中央部の下面側に接して、温度センサ20が設けられている。
【0012】
誘導加熱調理器10は、図3に示すように加熱手段として誘導加熱コイル21及び板状加熱体22を備えている。これら誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、後述するコイル支持部材24により、本体ケース12の所定の位置に、上下方向に互いに離間し且つ平面視にて同心状に配置される加熱ユニット14として構成されている。この他、誘導加熱調理器10は、シーズヒータからなるロースター機能など複数の他の加熱手段を備えている。また、誘導加熱調理器10は、例示した上記以外の加熱手段を備えていてもよく、これら他の加熱手段については図示および説明を省略する。
【0013】
冷却ファン部15は、図2に示すように本体ケース12の内側に設けられており、ファン26及びファンモータ27を備えている。本体ケース12の内部には、ファン26が回転することにより、吸気用の開口部18から吸入された空気が加熱制御部19や加熱ユニット14等を経由して排気用の開口部18に至る冷却風路(図2、図3の矢印参照)が形成されている。そして、冷却ファン部15は、当該冷却風路に風の流れを生じさせることで、加熱制御部19が有する発熱性の素子や、加熱ユニット14等を冷却するようになっている。
【0014】
次に、加熱ユニット14について説明する。
図3、図4に示すように、加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21は、全体として中空円盤状をなし、トッププレート13から所定の距離離れた位置でコイル支持部材24により支持されている。誘導加熱コイル21は、高周波電流が供給されることにより、トッププレート13上の鍋17に渦電流を発生させ、この渦電流により生じたジュールで鍋17を加熱する。
【0015】
図1、図6に示すように、加熱ユニット14を構成する板状加熱体22は、上下一対の第1絶縁基板30及び第2絶縁基板31と、これら絶縁基板30,31間に配置された第2弾性材32と、第1絶縁基板30に設けられた板状ヒータ33とを備えている。この板状ヒータ33は、同一形状をなす複数(例えば4つ)の分割ヒータ34,35,36,37からなり、第1絶縁基板30上面側の左半部(図1中、左側)において互いに結合された分割ヒータ34,35と、同じく右半部において互いに結合された分割ヒータ36,37との環状配置により構成されている。
【0016】
ここで、図6(a)は、分割ヒータ34近傍部の平面図を示している。同図に示すように、分割ヒータ34は、全体として扇状をなす分割ヒータ34の中心点Oを基準に、時計回りに周方向に延び(図中の矢印参照)、その端部たる折り返し部38で折り返されて今度は反時計回りに周方向に延びる、というように周方向への往復(蛇行)を複数回繰り返し放射状に外周側に向かって拡がる複数の蛇行部を形成している。具体的には、分割ヒータ34の一端部(始点34S)は、第1蛇行部34a、中心点O側の渡し部34b、第2蛇行部34c、外周側の渡し部34d、第3蛇行部34eを経由して他端部(終点34E)に至っている。これにより、分割ヒータ34は、第1絶縁基板30の周方向に複数の領域(例えば3つの蛇行部34a,34c,34e)に区分されるように配置され、板状ヒータ33全体では、例えば12の領域に区分されるように配置されることとなる(図1参照)。分割ヒータ34は、その全長間の幅寸法Wを異ならせてあり、分割ヒータ34における中心点O側の幅寸法Wi(図6(a)参照)は、外周側の幅寸法Woよりも大きくなるように設定されている(Wi>Wo)。即ち、周方向への往復を繰り返して放射状に拡がるヒータにあっては、そのヒータ(絶縁基板上)における内周部の温度が外周部の温度よりも大幅に高くなるのが通常であるが、本実施例では、分割ヒータ34を上記の幅寸法Wに設定することで、板状加熱体22(分割ヒータ34)における局部的な温度上昇を抑え略均一な温度分布を得ることができるのである。尚、分割ヒータ34の幅寸法Wは、トッププレート13の耐熱温度や誘導加熱調理器10の出力等の仕様に応じて適宜設定されるものであり、中心点O側から外周側にかけて次第に断面積が小さくなるように形成してもよい。
【0017】
また、分割ヒータ34において各折り返し部38の側部には、下側へ延出する係合爪39aが夫々一体に形成されている。また、各渡し部34b,34dの側部には、下側へ延出する補助爪39bが夫々一体に形成されている。この分割ヒータ34は、例えば、ニクロム板をプレス加工で打ち抜くことにより形成されている。つまり、分割ヒータ34は全体として板状をなし、係合爪39a及び補助爪39bは、プレス加工を経て屈曲形成されることとなる。尚、分割ヒータ34を、レーザ加工、エッチング等により形成してもよい。また、分割ヒータ35〜37については、何れも分割ヒータ34と同一形状をなすため、その説明を省略する。以下、蛇行部34a〜34eは、他の蛇行部を含む12の蛇行部をいうものとする。
【0018】
図1に示すように、上記構成の分割ヒータ34,35,36,37には、それらの一端部に端子40a,40b、40c、40dが夫々取付け固定されている。また、分割ヒータ34,35はスポット溶接により互いの他端部(図1中、P1部分)で結合されると共に、分割ヒータ36,37はスポット溶接により互いの他端部(図1中、P2部分)で結合されることにより、板状ヒータ33を構成している。
【0019】
続いて、絶縁基板30,31について説明する。先ず、上側の第1絶縁基板30(図1、図6(a)参照)は、例えば絶縁体としての硬質マイカからなり、全体として略円板状に形成されている。第1絶縁基板30には、その中心部を板厚方向へ貫通するセンサ孔30aが形成されると共に、外周縁部には径方向外側に張出す一対の端子用張出部30b,30cが互いに180度離間した位置に一体に設けられている。一方の端子用張出部30bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔41a,41cが形成され、他方の端子用張出部30cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔41b,41dが形成されている。また、第1絶縁基板30には、板状ヒータ33の係合爪39a及び補助爪39bに対応する多数の孔部42が、第1絶縁基板30を板厚方向へ貫くように設けられている。板状ヒータ33の組付けの際、これら孔部42に、係合爪39a及び補助爪39bが第1絶縁基板30の上面側から挿通されて下面側で折り曲げられることにより、第1絶縁基板30の上面側に板状ヒータ33が所謂片面ヒータの配置形態で固定される。孔部42の寸法は、当該孔部42と係合爪39aとの間に、発熱により伸長する板状ヒータ33の伸張量に対応する隙間S(図6(a)参照)が生じるように設定されている。
【0020】
即ち、板状ヒータ33(分割ヒータ34〜37)は、通電により自身が熱膨張することで、その長さが変化する。このときの板状ヒータ33の温度変化をΔT、素材たるニクロムの線膨張係数をαNとしたとき、長さLNの板状ヒータ33の伸張量ΔLNは、次式(1)で演算される。
【0021】
ΔLN=αN×LN×ΔT ・・・(1)
一方、第1絶縁基板30も、板状ヒータ33から熱が伝わることにより、その長さ(大きさ)が変化する。このときの第1絶縁基板30の温度変化をΔT、素材たる硬質マイカの線膨張係数をαMとしたとき、長さLMの第1絶縁基板30の伸張量ΔLMは、次式(2)で演算される。
【0022】
ΔLM=αM×LM×ΔT ・・・(2)
このように、第1絶縁基板30と板状ヒータ33との間で固有の線膨張係数が互いに異なる(αM<αN)ことから、第1絶縁基板30の全ての孔部42は、両者30,33の伸張量の差を見越して、係合爪39a或は補助爪39bに対し周方向或は径方向の隙間Sが生じるよう比較的大きく形成されている。また、絶縁基板30には、放射状に延びるスリット43が複数箇所(例えば12箇所)に等間隔で形成されている。これらスリット43は例えば、絶縁基板30の径方向において内周側の端部が開放されており、何れも絶縁基板30を板厚方向へ貫き、中心点O側から外周側に向かって延びるように形成されている。スリット43は、上記した絶縁基板30の熱膨張量を吸収する寸法に設定されている。具体的には、スリット43のスリット幅の合計寸法は、少なくとも絶縁基板30のセンサ孔30a周縁部の周方向の熱膨張量ΔLM(上記の式(2)でLMにセンサ孔30aの円周を代入)よりも大きくなるように設定されている。また、各スリット43は、板状ヒータ33の各蛇行部34a〜34eの周方向の中心を通るように、蛇行部34a〜34eの数に対応して形成されている。換言すれば、各蛇行部34a〜34eは、夫々対応するスリット43を中間点として跨いで周方向への往復を繰り返し、当該スリット43に沿って放射状に拡がっている。尚、絶縁基板30のスリット43の本数および間隔、並びに形状などは任意に変更が可能である。
【0023】
図1、図6(b)に示すように、下側の第2絶縁基板31は、例えば硬質マイカからなり、上記第1絶縁基板30と同様に、中心部のセンサ孔31aと、外周縁部の一対の端子用張出部31b,31cとを有する。一方の端子用張出部31bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔45a,45cが形成され、他方の端子用張出部31cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔45b,45dが形成されている。また、両端子用張出部31b,31cには、後述する外側突出部53bの係合凸部54に係合する一対の小孔31dが夫々形成されている。尚、板状ヒータ33は前記のように第1絶縁基板30の上面側に設けられることから、第2絶縁基板31には、孔部42やスリット43は省略されている。また、上記した絶縁基板30,31の材料は硬質マイカに限定されるものではなく、例えば窒化アルミニウム、窒化ケイ素或はアルミナなどのセラミックスで形成してもよく、絶縁基板30,31を適用する誘導加熱調理器10の仕様による要求に応じて任意に変更可能である。
【0024】
第2弾性材32は、第1絶縁基板30及び第2絶縁基板31の間に、板状ヒータ33と共に積層構造をなすように配設されている。第2弾性材32は、例えば弾性及び耐熱性を有するセラミックペーパから、第1絶縁基板30と略同じ外形寸法に形成されている(図1、図6(b)参照)。即ち、第2弾性材32の中心部にセンサ孔32aが形成されると共に、外周縁部に一対の端子用張出部32b,32cが一体に設けられており、前述した孔部42やスリット43は省略されている。一方の端子用張出部32bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔46a,46cが形成され、他方の端子用張出部32cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔46b,46dが形成されている。この第2弾性材32は、自身の弾性によって、第1絶縁基板30を介して板状ヒータ33をトッププレート13の下面に密着させるように付勢すると共に、第1絶縁基板30裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bを覆うことで当該爪39a,39bから第2絶縁基板31側への熱の移動を遮断する。尚、第2弾性材32をセラミックペーパから構成したが、弾性を有する他の材料(例えば耐熱性繊維からなるシート状のフェルト)を用いる等、適宜変更が可能である。
【0025】
上記板状ヒータ33の端子40a〜40dは、下方へ夫々折り曲げられると共に、第1絶縁基板30の挿通孔41a〜41d、第2弾性材32の挿通孔46a〜46d及び第2絶縁基板31の挿通孔45a〜45dに夫々挿通されている。また、これら挿通孔41a〜41d、46a〜46d、45a〜45dが形成された端子用張出部30b,32b,31b及び端子用張出部30c,32c,31cは、板状加熱体22の端子用張出部22b及び端子用張出部22cを構成する。
【0026】
続いて、コイル支持部材24について詳述する。
コイル支持部材24は、耐熱樹脂材料からなり、全体として誘導加熱コイル21の収容が可能な円盤状に形成されている。即ち、図1、図4に示すように、コイル支持部材24の上面部において、中央部24aと外周部24bとの間は段下がり状のコイル収容部50とされ、この収容部50に誘導加熱コイル21が配置されている。コイル収容部50の底部には、放射状に延びるフェライト収容部51が例えば30度間隔で形成されており、その一端部(内側端部51a)はコイル支持部材24の中央部24aにて開口し、他端部(外側端部51b)は外周部24bの上面から上方に突出するようにして開口している。フェライト収容部51には、誘導加熱コイル21の磁路を形成するためのコ字状のフェライト(図示せず)が取付け固定されている。
【0027】
コイル支持部材24の中央部24aには、その中心に軸方向へ貫通するセンサ孔24cが設けられている。コイル支持部材24における外周部24bの下部には、径方向外側へ延出する延出取付部24dが設けられると共に、この延出取付部24dに、筒状をなす脚部24eが設けられている。図3に示すように、脚部24eと本体ケース12内の内枠部材12aとの間には、複数の付勢部材(例えば圧縮コイルばね52)が配設されていて、このばね52によりコイル支持部材24がトッププレート13側に付勢されている。
【0028】
さて、コイル支持部材24における中央部24aの上面及び外周部24bの上面は、何れも基準面とされ、当該基準面に上方へ突出する小径円柱状の内側突出部53a及び外側突出部53bが一体に設けられている。前記板状加熱体22は、これら複数の突出部53a,53b上に平面視にて誘導加熱コイル21と同心状に配置される。
【0029】
即ち、外側突出部53bは、外周部24bに等間隔で複数個(例えば12個)設けられており、フェライト収容部51の外側端部51bよりも上方へ突出し、且つ周方向に隣り合う当該外側端部51b,51bの中間に位置している。こうして、外側突出部53bの配置位置は、図4にて環状をなす二点鎖線上に配置され、中心点Oからその配置位置までの距離RSOが誘導加熱コイル21外周の半径RCOよりも大きくなるように設定されている(RSO>RCO)。この外側突出部53bの上端面は、第2絶縁基板31に下側から当接することで、板状加熱体22の外周縁部(詳細には第1絶縁基板30のスリット43の径方向外側への延長線上の部位。図6(a)中、破線で示す)を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持する。また、外側突出部53bは、板状加熱体22における各蛇行部34a〜34eの外側(換言すればヒータ領域の外側の延長部分)を下側から押圧するように配置されている。
【0030】
内側突出部53aは、中央部24aにおけるフェライト収容部51の内側端部51aの直ぐ内側に等間隔で複数個(例えば12個)設けられている。また、内側突出部53aは、外側突出部53bに対して、周方向に例えば15度(つまり周方向のピッチの半分に相当する分)ずれている。こうして、内側突出部53aは、図4にて環状をなす二点鎖線上に配置され、中心点Oからその配置位置までの距離RSiが誘導加熱コイル21内周の半径RCiよりも小さくなるように設定されている(RSi<RCi)。また、内側突出部53aの上端面が、第2絶縁基板31に下側から当接することで、板状加熱体22の内周縁部(詳細には当該内周縁部における周方向に隣り合うスリット43,43の中間の部位。図6(a)中、破線で示す)を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持する。また、内側突出部53aは、板状加熱体22における周方向に隣り合う折り返し部38、38間の隙間を下側から押圧するように配置されている。
【0031】
上記のように突出部53a,53bは、何れも誘導加熱コイル21と干渉することなく(0≦RSi<RCi、RCO<RSO)、コイル支持部材24に同心状に比較的密なピッチで形成され、板状加熱体22の内周部と外周部とを確実に保持する。この場合、板状ヒータ33は、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、各蛇行部34a〜34eがその直ぐ内側と外側とで突出部53a,53bにより夫々支持(所謂三点支持、図6(a)参照)されることで、トッププレート13の下面に圧接して密着する。図3に示すように、コイル支持部材24は、前記基準面が本体ケース12内の冷却風路に臨むように配設され、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間の間隙を通して、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間に空気が流れる通路(同図の矢印参照)を形成する。
【0032】
また、図1、図4に示すように、コイル支持部材24には、例えば、延出取付部24dから上方へ突出する一対の端子側突出部53cが、外周部24bの外側にて互いに180度離間した位置に一体に設けられている。端子側突出部53cの上端面は、突出部53a,53bの上端面と高さが一致するように形成されると共に、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに沿うブロック状をなしている。ここで、一方の端子側突出部53cの上面には、これに対応する端子用張出部31bを、前記一対の小孔31dに係合することで位置決めする一対の係合凸部54(係合部)が一体に設けられている。他方の端子側突出部53cの上面にも、端子用張出部31cを一対の小孔31dに係合することで位置決めする一対の係合凸部54が一体に設けられている。こうして、端子側突出部53c,53cは、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに下側から夫々当接することで板状加熱体22の外周縁部を支持し、係合凸部54により板状加熱体22を位置決めする。また、一方の端子側突出部53cには、端子40a,40cが挿通される挿通孔55a,55cが形成され、他方の端子側突出部53cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔55b,55dが形成されている。上記内側突出部53a、外側突出部53b及び端子側突出部53cは、これら夫々の高さ寸法、或は前記圧縮コイルばね52のばね力を適宜設定することで、板状加熱体22(板状ヒータ33)に対する押圧力を調整することができる。
【0033】
次に、誘導加熱調理器10の電気的構成について図5を参照しながら説明する。加熱制御部19は、調理器本体11の内部に設けられ、図示しないマイクロコンピュータによって構成されている。
【0034】
加熱制御部19には、操作部11a及び温度センサ20が接続されている。操作部11aは、調理器本体11の外側においてトッププレート13の前方に配置されており、入力された情報を操作信号として加熱制御部19に出力するようになっている。温度センサ20は、トッププレート13の温度を検出し、その検出信号を加熱制御部19に出力する。また、加熱制御部19は、トッププレート13上に載置された鍋17等の被加熱調理器具の材質を判定する材質判定手段としても機能する。加熱制御部19は、操作部11a及び温度センサ20から入力された信号、及び予め記憶している制御プログラムなどに基づいて、高周波電流供給手段たるインバータ56を制御する。これにより、加熱制御部19は、インバータ56を経由して誘導加熱コイル21に高周波電流を供給し、誘導加熱コイル21を制御する。また、誘導加熱コイル21には、共振コンデンサ57が直列に接続されている。これら誘導加熱コイル21及び共振コンデンサ57は、鍋17の材質に応じて出力を調整するために、コイルの巻数やコンデンサの容量が可変となる構成であることが望ましい。
【0035】
インバータ56には、商用交流電源58から整流回路59によって直流に変換された駆動用電源が供給される。通電制御部60は、商用交流電源58から板状加熱体22へ供給する交流の電力を制御する。通電制御部60から板状加熱体22へ供給される電力は、加熱制御部19によって統括的に制御される。また、整流回路59の入力側およびインバータ56の出力側には、夫々電流トランス61,62が配置されている。この電流トランス61,62で検出された電流値は、いずれも加熱制御部19に入力される。これにより、加熱制御部19は、商用交流電源58から入力される入力電流値、及びインバータ56の出力電流値を検出する。
【0036】
加熱制御部19は、被加熱調理器具である鍋17が抵抗の大きな金属材料か否かを判定することにより、この鍋17の材質を判定する。例えば加熱制御部19は、一定の高周波電流を誘導加熱コイル21に供給し、入力電流とインバータ56の出力電流であるコイル電流との関係に基づいて鍋17の材質を判定する。例えば鉄などの強磁性体で鍋17が形成されている場合、誘導加熱コイル21が発生した磁束は鍋17を流れ易くなる。また、鍋17の底部において誘導加熱コイル21側に渦電流が集中する表皮効果も高くなるため、誘導加熱コイル21の等価抵抗は増大する。一方、鍋17の材質がアルミニウムや銅などのように非磁性あるいは弱磁性であって比抵抗が小さい場合、誘導加熱コイル21によって発生した磁束は鍋17に到達しにくくなり、漏れ磁束も増大する。そして、比抵抗が小さく表皮効果も得にくいため、等価抵抗は減少する。その結果、加熱制御部19は、入力電流と出力電流との大小の変化に基づいて、鍋17の材質を判定することができる。従って、加熱制御部19は、鍋17の材質を判定するとともに、予め設定された入力電力設定値に基づいて鍋17の誘導加熱コイル21による加熱または板状加熱体22によるヒータ加熱を選択して実行することができる。
【0037】
次に、上記の構成による誘導加熱調理器10の作動について説明する。
被調理物を収容した鍋17をトッププレート13の所定位置に載置し、操作部11aで必要な入力操作が行われると、加熱制御部19は鍋17の加熱を開始する。加熱制御部19が材質判定処理により鍋17の材質が高抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は通常の入力電力に基づいて誘導加熱コイル21による誘導加熱調理を実行する。一方、鍋17の材質が高抵抗金属でないと判定したとき、加熱制御部19は鍋17の材質がアルミニウム、銅もしくは非磁性ステンレスのような低抵抗の非磁性金属であるのか、土鍋のような非金属であるのか、又は無負荷であるのかを判定する。そして、鍋17が低抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は鍋17の底がトッププレート13により反発して移動するいわゆる「鍋浮き」を生じないように、予め設定された火力調整に基づいて誘導加熱調理を実行する。
【0038】
ここで、火力調整によって加熱電力が通常の入力電力設定値より小さくなった場合、加熱制御部19は、その差の電力分を通電制御部60を経由して板状加熱体22に供給する。これにより、加熱制御部19は、トッププレート13に載置された鍋17を板状加熱体22により加熱する。また、鍋17が低抵抗の非磁性金属で形成されている場合、誘導加熱コイル21の等価抵抗は小さくなる。そのため、加熱制御部19は、インバータ56を経由して誘導加熱コイル21へ出力する電圧を、高抵抗の磁性金属の場合よりも低下させたり、電圧の周波数を上昇させたりして、加熱効率の向上を図るようになっている。
【0039】
また、鍋17が非金属で形成されている場合、又は無負荷の場合、加熱制御部19は誘導加熱コイル21による誘導加熱を実行しない。そのため、加熱制御部19は、通常の入力電力設定値に等しい電力を通電制御部60から板状加熱体22へ供給し、板状加熱体22のみによる加熱を実行する。この場合、加熱制御部19は、鍋17が非金属であるのか、又は無負荷であるのかを判定する必要がある。そこで、加熱制御部19は、温度センサ20によって板状加熱体22への通電が開始されてからのトッププレート13の温度変化を検出する。このとき、加熱制御部19は、トッププレート13の温度の変化が緩やかであれば土鍋などが載置されていると判定し、温度の変化が急激であれば無負荷であると判定する。
【0040】
鍋17などの被加熱調理器具が非金属材料であると判定したとき、加熱制御部19は板状加熱体22により鍋17の加熱を実行する。
上記の板状加熱体22による加熱の際、その板状ヒータ33は第1絶縁基板30の上面側に配置されているため、板状ヒータ33から発生した熱は、大部分がトッププレート13を経由して鍋17へ伝達される。この場合、板状ヒータ33は、前述した各領域(つまり各蛇行部34a〜34e)ごとに、夫々の内側及び外側で各突出部53a,53bにより、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、トッププレート13の下面に圧接して密着するように支持されている。一方、板状ヒータ33における端子40a〜40d側の端部は、一対の端子側突出部53cによって、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、トッププレート13の下面に圧接して密着するように支持されている。このため、板状ヒータ33は特に各蛇行部34a〜34e及び端子40a〜40d側の端部において自身の熱膨張による撓みを抑制するように押圧され、板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態が全体的に良好に維持されていることから、鍋17を高い伝熱効率で加熱する。しかも、上記突出部53a,53b,53cは、第1絶縁基板30のスリット43以外の部位を、第2絶縁基板31及び第2弾性材32を介して押圧するように配置されているため、スリット43の効果(絶縁基板30自身の熱膨張による撓みの防止)を減殺させることがない。
【0041】
また、この場合、板状ヒータ33は、第1絶縁基板30とともに第2弾性材32によって、上方へ弾性付勢されているので、板状ヒータ33及び第1絶縁基板30の双方の撓みが抑制される。更に、耐熱性を備えた第2弾性材32により第1絶縁基板30裏面を覆うことで、特に当該裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bから下側(誘導加熱コイル21側)への熱の移動が抑制される。
【0042】
この加熱が終了した後、トッププレート13及び板状加熱体22に熱が残っているため、加熱制御部19は、冷却ファン部15のファン27を回転駆動する。このとき、本体ケース12内で前記冷却風路を流れる空気は、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間の間隙を通して、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間を流れる(図3の矢印参照)。この空気の流れにより、板状加熱体22は、その裏面側おいて主として放熱し、表面側の板状ヒータ33も冷却される。その結果、鍋17の加熱によって温度が上昇していたトッププレート13は、冷却ファン部15による空気の流れによって急速に冷却される。
【0043】
上記のように、加熱制御部19は、鍋17などの被加熱調理器具の材質に応じて誘導加熱コイル21による加熱調理、板状加熱体22による加熱調理、またはこれらの組み合わせによる加熱調理を実行する。そして、加熱制御部19は、加熱調理が完了した後、冷却ファン部15を駆動することにより、トッププレート13及び板状加熱体22の冷却を促進する。
【0044】
以上のように、本実施形態の誘導加熱調理器10では、板状ヒータ33を、コイル支持部材24の複数の突出部53a,53bによって、絶縁基板30,31を介してトッププレート13側へ押圧するように支持したので、板状ヒータ33の支持構造を極力簡単にしながらも板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができる。しかも、板状ヒータ33を絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分するように配置するとともに、複数の突出部53a,53bをそれらの領域のそれぞれに対応するように配置したので、通電時に板状ヒータ33に熱膨張が生じても、各領域ごとにその撓みを抑制するように押圧することができる。また、複数の突出部53a,53bによって、板状ヒータ33のみならず、絶縁基板30,31の熱変形をも抑制するように支持することができ、伝熱効率の低下を防止することができる。そして、板状ヒータ33は通電することにより発熱するため、前記の支持構造と相俟って被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的且つ効率的に加熱することができる。
【0045】
板状ヒータ33を絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分するように配置することで、その周方向の線長(折り返し部38間の長さ)を短くすることができる。従って、板状ヒータ33に熱膨張が生じても、周方向の伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制される。
複数の突出部53a,53bは、誘導加熱コイル21の内側に位置して設けられた内側突出部53aと、誘導加熱コイル21の外側に位置して設けられた外側突出部53bとを有する。従って、コイル支持部材24を利用して、誘導加熱コイル21に突出部53a,53bを干渉させることなく、板状加熱体22を支持することができ、誘導加熱調理器10に好適なものとすることができる。
【0046】
内側突出部53a及び外側突出部53bは、平面視にて環状をなすよう複数配置され、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間に、前記環状をなす突出部53a,53bの内外を連通させる間隙が形成されているため、板状加熱体22の下側において、空気が流れる空間を形成することができ、熱がこもるのを防止することができる。
板状ヒータ33は、全体として略円板形状をなし、平面視にて誘導加熱コイル21と同心状に配置され、内側突出部53a及び外側突出部53bは、絶縁基板30,31における板状ヒータ33の内側及び外側に対応する部位に当接するように配置されている。従って、コイル支持部材24における板状ヒータ33及び誘導加熱コイル21の支持構造の簡素化を図ることができるとともに、加熱効率の高い配置構成とすることができる。
【0047】
第1絶縁基板30に、自身の熱膨張を吸収するためのスリット43を設けたので、その熱膨張による撓みを確実に防止することができ、ひいては板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持できる。また、複数の突出部53a,53bは、第1絶縁基板30におけるスリット43以外の部位を、第2絶縁基板31及び第2弾性材32を介して押圧するように配置されているため、スリット43の効果を減殺させることがない。
【0048】
板状加熱体22において、第1絶縁基板30と第2絶縁基板31との間に、板状の第2弾性材32を設けた積層構造をなす。従って、第2弾性材32により第1絶縁基板30を介して板状ヒータ33をトッププレート13の下面に密着させるように付勢することができると共に、両絶縁基板30,31の熱膨張による撓みを防止することができる。また、第2弾性材32は耐熱性を有することから、特に当該裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bから下側(誘導加熱コイル21側)への熱の移動を抑制することができる。従って、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間の断熱が容易になり、コイル支持部材24の構造を簡略化することができる。また、第2弾性材32により、係合爪39a及び補助爪39bのずれを防止することができ、板状ヒータ33間での短絡を防止することができる。
【0049】
コイル支持部材24に、板状ヒータ33の端子40a〜40d近傍部にて板状加熱体22の外周縁部を支持する端子側突出部53cを設けた。板状ヒータ33の熱変形は端子40a〜40d近傍部で生じやすいことから、端子側突出部53cによって、当該熱変形が生じないよう端子40a〜40d近傍部を直接的に押圧することができる。
【0050】
端子側突出部53cに、板状加熱体22を位置決めする係合凸部54を設けた。これによれば、複数の突出部53a,53b或は端子側突出部53cに対応するように板状加熱体22の位置合わせを行うといった面倒な作業が不要となり、組付け作業性を向上させることができるとともに、板状加熱体22の水平方向のずれを防止することができる。
【0051】
複数の突出部53a,53b或及び端子側突出部53cを、コイル支持部材24に対して一体に設けたので、コイル支持部材24を安価で簡単な構成にすることができる。
また、本実施例のヒータ33は板状をなすことから、前述した複数の領域に区分するような形状や所望の幅寸法Wについて容易に加工することができるので、簡単且つ安価な構成で板状加熱体22における通電時の所望の温度分布を得ることができる。
【0052】
<第2実施例>
図7は、本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図7は図6(a)相当図であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0053】
本実施例の第1絶縁基板30には、板状ヒータ33の係合爪39aに対応する孔部42´が、スリット43近傍に当該スリット43に沿って列をなすように設けられている。この第1絶縁基板30に組付けられた板状ヒータ33は、各蛇行部34a〜34eが、夫々周方向に隣り合うスリット43,43間に位置するように配置される。各蛇行部34a〜34eは、夫々対応するスリット43近傍を折り返し点として周方向への往復を繰り返し、当該スリット43に沿って放射状に拡がっている。
【0054】
これにより、本実施例の内側突出部53aは、板状加熱体22における前記ヒータ領域の内側の延長部分を下側から押圧するように支持する。また、外側突出部53bは、板状加熱体22における周方向に隣り合う折り返し部38、38間の隙間を下側から押圧するように支持する。この構成によれば、板状ヒータ33は、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、各蛇行部34a〜34eがその直ぐ内側と外側とで突出部53a,53bにより夫々三点支持されることで、トッププレート13の下面に圧接して密着する。従って、板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができ、板状ヒータ33の伝熱効率を向上させることができる等、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0055】
<第3実施例>
図8は、本発明の第3実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図8は、第2弾性材70及び第2絶縁基板31を分解した状態で示す斜視図であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0056】
本実施例の第2弾性材70は、第1実施例の第2弾性材32と以下の点で相違する。即ち、第2弾性材70は、内側突出部53a及び外側突出部53bに対応する部分のみ非弾性部71(非弾性材)から構成されている。非弾性部71は、例えば絶縁基板30,31と同じ硬質マイカからなり、例えば内側突出部53a及び外側突出部53bと同じピッチで、第2弾性材70の内周部と外周部とに夫々12個ずつ埋設されている。尚、非弾性部71を、他の弾性率の大きい(つまり変形しにくい)材料で形成してもよい。
【0057】
上記構成において、内側突出部53a及び外側突出部53bが小径円柱状をなすことから、第2弾性材32は、第2絶縁基板31を介して特に突出部53a,53bに対応する部分で圧縮コイルばね52の圧縮力が作用することになる。この場合、第2弾性材70は、その圧縮力を非弾性部71で受けることで、第2弾性材70のセラミックペーパの厚みが小さくならないように保持することができる。従って、上記構成によれば、第2弾性材70におけるセラミックペーパ内部の空気層が薄くなり断熱性能が減殺されることを防止することができる。よって、第2弾性材70における断熱性能と弾性力の双方を維持することができる。
【0058】
<第4実施例>
図9は、本発明の第4実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図9(a)は、板状加熱体72の模式的な断面図、(b)は第1弾性材73及び第1絶縁基板30の外観斜視図で、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
本実施例の板状加熱体72は、第1実施例の板状加熱体22と以下の点で相違する。即ち、板状加熱体72は、第1絶縁基板30と、板状ヒータ33と、これら第1絶縁基板30及び板状ヒータ33の間に設けられた第1弾性材73とからなる。
【0059】
第1弾性材73は、例えば、第2弾性材32と同様、弾性及び耐熱性を有するセラミックペーパからなり、第1絶縁基板30と略同じ外形寸法に形成されている。第1弾性材73の中心部にはセンサ孔73aが形成されており、第1弾性材73の外周縁部には一対の端子用張出部73b,73cが一体に設けられている。一方の端子用張出部73bには、板状ヒータ33の端子40a,40cが挿通される挿通孔74a,74cが形成され、他方の端子用張出部73cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔74b,74dが形成されている。また、詳しい図示は省略するが、第1弾性材73には、板状ヒータ33の係合爪39a及び補助爪39bに対応する多数の孔部73dが、第1弾性材73を板厚方向へ貫くように設けられている。尚、孔部73dの寸法は、当該孔部73dと係合爪39aとの間に、発熱により伸長する板状ヒータ33の伸張量に対応する隙間が生じるように設定されている。板状ヒータ33の組付けの際、係合爪39a及び補助爪39bが、第1弾性材73の孔部73dと第1絶縁基板30の孔部42とに、第1弾性材73の上面側から挿通されて第1絶縁基板30の下面側で折り曲げられる。これにより、板状ヒータ33は、第1弾性材73の上面側に片面ヒータの配置形態で固定される。また、板状ヒータ33の端子40a〜40dは、第1弾性材73の挿通孔74a〜74d、第1絶縁基板30の挿通孔41a〜41dに夫々挿通されている。
【0060】
上記構成によれば、第1弾性材73の弾性によって、板状ヒータ33をトッププレート13に対して直接的に付勢して、板状ヒータ33の自身の発熱等による変形を抑制することができる。また、第1弾性材73により、板状ヒータ33とトッププレート13との間の隙間を埋めることができるので、板状ヒータ33の下側のみならず水平方向への熱の移動を遮断することができ加熱効率をより高めることができる。
【0061】
<その他の実施例>
図10及び図11は、第5及び第6実施例を示すもので、上記実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0062】
図10(a)、(b)に示すように、第5実施例の第1弾性材75は、その内周75a及び外周75bが板状ヒータ33の内周及び外周に揃うように形成されている点で第4実施例の第1弾性材73と相違する。このため、第1弾性材75は、第1弾性材73に比し径小に形成され、特に加熱に寄与する各蛇行部34a〜34e全体を付勢するように第1絶縁基板30上に配されることとなる。従って、この構成によれば、第1弾性材75を、板状ヒータ33に対して無駄なく配置することができる他、第4実施例と同様の効果を奏する。尚、図示は省略するが、第5実施例において、外側突出部53bを第1弾性材75の外周75bに対応するように、やや内側寄りに配置してもよい。また、第1弾性材75の形状は、板状ヒータ33の形状に応じて適宜変更してもよい。
【0063】
前記内側突出部53a及び外側突出部53bの数や配置位置は、夫々誘導加熱コイル21と干渉しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、板状加熱体22のセンサ孔22aや温度センサ20を省略し、内側突出部53aを、中心点Oからの距離RSiが零となるコイル支持部材24の中心(0=RSi)に1つだけ設けるようにしてもよい。また、この内側突出部53aに代えて、センサ孔24cの外周縁部を上方へ筒状に突出させることにより内側突出部を構成し、当該内側突出部で板状加熱体22の中心部を支持するようにしてもよい。
【0064】
また、コイル支持部材24に対し、端子側突出部53cを一体に設けたが、別部材として構成してもよいし、端子側突出部53cの形状等を適宜変更してもよい。図11は、その具体例として、一対の端子側突出部76の一方を示す拡大斜視図である。端子側突出部76は、コイル支持部材24に対し取付け固定されるものであり、その上面76aには、板状加熱体22の端子用張出部22cを外周側から囲う係合段部76b(係合部)が形成されている。こうして、端子側突出部76,76は、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに下側から夫々当接することで板状加熱体22の外周縁部を支持し、係合段部76bにより板状加熱体22を位置決めする。従って、この構成によれば、板状加熱体22の組付けの際、端子側突出部76に対する板状加熱体22の外形の位置合わせのみで配置が可能となるので、作業効率を一層高めることができる。また、板状加熱体22の水平方向のずれを防止することができる等、端子側突出部53cと同様の効果を奏する。
【0065】
本発明は、ビルトインタイプに限られず据置きタイプ等の加熱調理器全般にも適用できるものである。本発明の板状ヒータは、絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置されるものであればよく、前記蛇行部を、直線状に延び且つ折り返し部を介して左右に往復する所謂クランク状に形成する等、適宜変更してもよい。また、突出部53a,53bの形状は、小径円柱状に限定するものではなく、角柱状等、他の柱状でもよい。
【0066】
更に、絶縁基板30の外周側端部のみ開放され当該外周側端部から内周側に延びるスリットを形成してもよい。この場合、内側突出部53aを、第1絶縁基板30における当該スリットの径方向内側への延長線上の部位を下側から押圧するように配置することで、内側突出部53aにより当該スリットの効果を減殺させることがない。
【符号の説明】
【0067】
図面中、10は誘導加熱調理器、13はトッププレート、17は被加熱調理器具、21は誘導加熱コイル、22は板状加熱体、24はコイル支持部材、30は第1絶縁基板,31は第2絶縁基板、32は第2弾性材、33はヒータ、40a〜40dは端子、43はスリット、53aは内側突出部、53bは外側突出部、53cは端子側突出部、54は係合部、70は第2弾性材、71は非弾性材、72は板状加熱体、73,75は第1弾性材、76は端子側突出部、76bは係合部を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上に載置される被加熱調理器具を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加熱調理器では、アルミ製や銅製の鍋のように低誘電率で電気伝導率の高い材料からなる被加熱調理器具を如何にして加熱するかが課題となっている。この課題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1には、トッププレート(天板)と誘導加熱コイルとの間にアルミ板を挿入し、当該アルミ板を誘導加熱することで鍋を間接的に加熱するようにした誘導加熱装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1の誘導加熱装置では、アルミ板を介して鍋を間接的に加熱する(つまり、アルミ板は鍋と同様に誘導加熱される)ように構成されており、その分だけインバータや誘導加熱コイルにおける損失が増加するため、加熱効率が低いという問題がある。
【0003】
そこで、トッププレートと誘導加熱コイルとの間に発熱体を設け、当該発熱体が通電により発熱することで鍋を加熱するようにした加熱調理器が提案されている。例えば、特許文献2の加熱調理器にあっては、通電により発熱する発熱体は、全体として中空環状に形成されており、補強板が下側から宛がわれた状態でトッププレートの下面に配置されている。この発熱体は、帯状のステンレス製の導体からなり、平面視にて反時計回りに周回するように円弧を描くと、その円弧端で折り返して今度は時計回りに周回し、再びその円弧端で折り返して反時計回りに周回する、という手順を数回繰り返して平面状で交差することなく前記の環状に形成されている(特許文献2の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3465712号公報
【特許文献2】特開2007−123159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2の発熱体は、通電による当該発熱体自身の熱膨張により上下にうねるように変形することで、その一部がトッププレートや補強板と離間し発熱体の周りに空隙部分が生じうる。従って、この場合、前記の空隙部分で発熱体がトッププレートに対して非接触状態となり、伝熱効率が低下する惧れがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で加熱効率を向上させることができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器は、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルを支持するコイル支持部材と、前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体とを具備した加熱調理器であって、前記板状加熱体は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられ通電することにより発熱するヒータとを具え、前記ヒータは、前記絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置され、前記コイル支持部材は、前記絶縁基板に下側から当接することで、当該絶縁基板を前記ヒータごと前記トッププレート側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、ヒータを、コイル支持部材の複数の突出部によって、絶縁基板を介してトッププレート側へ押圧するように支持したので、ヒータの支持構造を極力簡単にしながらもヒータのトッププレートに対する接触状態を良好に維持することができる。しかも、ヒータを絶縁基板の周方向に複数の領域に区分するように配置するとともに、複数の突出部をそれらの領域のそれぞれに対応するように配置したので、通電時にヒータに熱膨張が生じても、各領域ごとにその撓みを抑制するように押圧することができる。また、板状加熱体のヒータは、通電することにより発熱するため、前記の支持構造と相俟って被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的且つ効率的に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例を示す板状加熱体及びコイル支持部材の外観斜視図
【図2】誘導加熱調理器の概略構成を示す縦断面図
【図3】誘導加熱調理器の要部を拡大して示す縦断面図
【図4】コイル支持部材に誘導加熱コイルを配した状態で示す平面図
【図5】電気的構成を示すブロック図
【図6】(a)は分割ヒータ近傍部の拡大平面図、(b)は第2弾性材及び第2絶縁基板の外観斜視図
【図7】本発明の第2実施例を示す図6(a)相当図
【図8】本発明の第3実施例を示すものであり、第2弾性材及び第2絶縁基板を分解した状態で示す斜視図
【図9】本発明の第4実施例を示すものであり、(a)は板状加熱体の模式的な断面図、(b)は第1弾性材及び第1絶縁基板の外観斜視図
【図10】(a)及び(b)は、本発明の第5実施例を示す図9(a)及び(b)相当図
【図11】本発明の第6実施例を示す端子側突出部近傍部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例について図1〜図6を参照しながら説明する。図2は、システムキッチンのカウンタートップに誘導加熱調理器10を組込んだ状態(所謂ビルトインタイプ)の縦断側面図を示している。尚、図2において、左方が誘導加熱調理器10の前方側であり、右方が誘導加熱調理器10の後方側である。
誘導加熱調理器10は、調理器本体11を構成する本体ケース12及びトッププレート13を備えている。誘導加熱調理器10は、トッププレート13が重力方向において上方となるように設けられている。誘導加熱調理器10は、調理器本体11内に加熱ユニット14及び冷却ファン部15を備えている。
【0011】
本体ケース12は誘導加熱調理器10の主たる外郭を形成しており、本体ケース12の上方は、トッププレート13により覆われている。調理器本体11は、例えばシステムキッチンのカウンタートップ16に組み込まれることで、トッププレート13がカウンタートップ16から露出した状態で配置されている。このトッププレート13の上面には、被加熱調理器具として二点鎖線で示す鍋17が載置される。トッププレート13上の鍋17は、本体ケース12に収容された加熱手段(詳しくは後述する)によって加熱される。トッププレート13は、例えば強化耐熱ガラス等によって矩形平板状に形成されており、後方に吸気用及び排気用の開口部18を有している。本実施例の場合、開口部18は、トッププレート13の後方において左側に排気用が設けられ、右側に吸気用が設けられている。調理器本体11の本体ケース12の内部には、加熱制御部19が収容されている。また、図2中、トッププレート13の略中央部の下面側に接して、温度センサ20が設けられている。
【0012】
誘導加熱調理器10は、図3に示すように加熱手段として誘導加熱コイル21及び板状加熱体22を備えている。これら誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、後述するコイル支持部材24により、本体ケース12の所定の位置に、上下方向に互いに離間し且つ平面視にて同心状に配置される加熱ユニット14として構成されている。この他、誘導加熱調理器10は、シーズヒータからなるロースター機能など複数の他の加熱手段を備えている。また、誘導加熱調理器10は、例示した上記以外の加熱手段を備えていてもよく、これら他の加熱手段については図示および説明を省略する。
【0013】
冷却ファン部15は、図2に示すように本体ケース12の内側に設けられており、ファン26及びファンモータ27を備えている。本体ケース12の内部には、ファン26が回転することにより、吸気用の開口部18から吸入された空気が加熱制御部19や加熱ユニット14等を経由して排気用の開口部18に至る冷却風路(図2、図3の矢印参照)が形成されている。そして、冷却ファン部15は、当該冷却風路に風の流れを生じさせることで、加熱制御部19が有する発熱性の素子や、加熱ユニット14等を冷却するようになっている。
【0014】
次に、加熱ユニット14について説明する。
図3、図4に示すように、加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21は、全体として中空円盤状をなし、トッププレート13から所定の距離離れた位置でコイル支持部材24により支持されている。誘導加熱コイル21は、高周波電流が供給されることにより、トッププレート13上の鍋17に渦電流を発生させ、この渦電流により生じたジュールで鍋17を加熱する。
【0015】
図1、図6に示すように、加熱ユニット14を構成する板状加熱体22は、上下一対の第1絶縁基板30及び第2絶縁基板31と、これら絶縁基板30,31間に配置された第2弾性材32と、第1絶縁基板30に設けられた板状ヒータ33とを備えている。この板状ヒータ33は、同一形状をなす複数(例えば4つ)の分割ヒータ34,35,36,37からなり、第1絶縁基板30上面側の左半部(図1中、左側)において互いに結合された分割ヒータ34,35と、同じく右半部において互いに結合された分割ヒータ36,37との環状配置により構成されている。
【0016】
ここで、図6(a)は、分割ヒータ34近傍部の平面図を示している。同図に示すように、分割ヒータ34は、全体として扇状をなす分割ヒータ34の中心点Oを基準に、時計回りに周方向に延び(図中の矢印参照)、その端部たる折り返し部38で折り返されて今度は反時計回りに周方向に延びる、というように周方向への往復(蛇行)を複数回繰り返し放射状に外周側に向かって拡がる複数の蛇行部を形成している。具体的には、分割ヒータ34の一端部(始点34S)は、第1蛇行部34a、中心点O側の渡し部34b、第2蛇行部34c、外周側の渡し部34d、第3蛇行部34eを経由して他端部(終点34E)に至っている。これにより、分割ヒータ34は、第1絶縁基板30の周方向に複数の領域(例えば3つの蛇行部34a,34c,34e)に区分されるように配置され、板状ヒータ33全体では、例えば12の領域に区分されるように配置されることとなる(図1参照)。分割ヒータ34は、その全長間の幅寸法Wを異ならせてあり、分割ヒータ34における中心点O側の幅寸法Wi(図6(a)参照)は、外周側の幅寸法Woよりも大きくなるように設定されている(Wi>Wo)。即ち、周方向への往復を繰り返して放射状に拡がるヒータにあっては、そのヒータ(絶縁基板上)における内周部の温度が外周部の温度よりも大幅に高くなるのが通常であるが、本実施例では、分割ヒータ34を上記の幅寸法Wに設定することで、板状加熱体22(分割ヒータ34)における局部的な温度上昇を抑え略均一な温度分布を得ることができるのである。尚、分割ヒータ34の幅寸法Wは、トッププレート13の耐熱温度や誘導加熱調理器10の出力等の仕様に応じて適宜設定されるものであり、中心点O側から外周側にかけて次第に断面積が小さくなるように形成してもよい。
【0017】
また、分割ヒータ34において各折り返し部38の側部には、下側へ延出する係合爪39aが夫々一体に形成されている。また、各渡し部34b,34dの側部には、下側へ延出する補助爪39bが夫々一体に形成されている。この分割ヒータ34は、例えば、ニクロム板をプレス加工で打ち抜くことにより形成されている。つまり、分割ヒータ34は全体として板状をなし、係合爪39a及び補助爪39bは、プレス加工を経て屈曲形成されることとなる。尚、分割ヒータ34を、レーザ加工、エッチング等により形成してもよい。また、分割ヒータ35〜37については、何れも分割ヒータ34と同一形状をなすため、その説明を省略する。以下、蛇行部34a〜34eは、他の蛇行部を含む12の蛇行部をいうものとする。
【0018】
図1に示すように、上記構成の分割ヒータ34,35,36,37には、それらの一端部に端子40a,40b、40c、40dが夫々取付け固定されている。また、分割ヒータ34,35はスポット溶接により互いの他端部(図1中、P1部分)で結合されると共に、分割ヒータ36,37はスポット溶接により互いの他端部(図1中、P2部分)で結合されることにより、板状ヒータ33を構成している。
【0019】
続いて、絶縁基板30,31について説明する。先ず、上側の第1絶縁基板30(図1、図6(a)参照)は、例えば絶縁体としての硬質マイカからなり、全体として略円板状に形成されている。第1絶縁基板30には、その中心部を板厚方向へ貫通するセンサ孔30aが形成されると共に、外周縁部には径方向外側に張出す一対の端子用張出部30b,30cが互いに180度離間した位置に一体に設けられている。一方の端子用張出部30bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔41a,41cが形成され、他方の端子用張出部30cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔41b,41dが形成されている。また、第1絶縁基板30には、板状ヒータ33の係合爪39a及び補助爪39bに対応する多数の孔部42が、第1絶縁基板30を板厚方向へ貫くように設けられている。板状ヒータ33の組付けの際、これら孔部42に、係合爪39a及び補助爪39bが第1絶縁基板30の上面側から挿通されて下面側で折り曲げられることにより、第1絶縁基板30の上面側に板状ヒータ33が所謂片面ヒータの配置形態で固定される。孔部42の寸法は、当該孔部42と係合爪39aとの間に、発熱により伸長する板状ヒータ33の伸張量に対応する隙間S(図6(a)参照)が生じるように設定されている。
【0020】
即ち、板状ヒータ33(分割ヒータ34〜37)は、通電により自身が熱膨張することで、その長さが変化する。このときの板状ヒータ33の温度変化をΔT、素材たるニクロムの線膨張係数をαNとしたとき、長さLNの板状ヒータ33の伸張量ΔLNは、次式(1)で演算される。
【0021】
ΔLN=αN×LN×ΔT ・・・(1)
一方、第1絶縁基板30も、板状ヒータ33から熱が伝わることにより、その長さ(大きさ)が変化する。このときの第1絶縁基板30の温度変化をΔT、素材たる硬質マイカの線膨張係数をαMとしたとき、長さLMの第1絶縁基板30の伸張量ΔLMは、次式(2)で演算される。
【0022】
ΔLM=αM×LM×ΔT ・・・(2)
このように、第1絶縁基板30と板状ヒータ33との間で固有の線膨張係数が互いに異なる(αM<αN)ことから、第1絶縁基板30の全ての孔部42は、両者30,33の伸張量の差を見越して、係合爪39a或は補助爪39bに対し周方向或は径方向の隙間Sが生じるよう比較的大きく形成されている。また、絶縁基板30には、放射状に延びるスリット43が複数箇所(例えば12箇所)に等間隔で形成されている。これらスリット43は例えば、絶縁基板30の径方向において内周側の端部が開放されており、何れも絶縁基板30を板厚方向へ貫き、中心点O側から外周側に向かって延びるように形成されている。スリット43は、上記した絶縁基板30の熱膨張量を吸収する寸法に設定されている。具体的には、スリット43のスリット幅の合計寸法は、少なくとも絶縁基板30のセンサ孔30a周縁部の周方向の熱膨張量ΔLM(上記の式(2)でLMにセンサ孔30aの円周を代入)よりも大きくなるように設定されている。また、各スリット43は、板状ヒータ33の各蛇行部34a〜34eの周方向の中心を通るように、蛇行部34a〜34eの数に対応して形成されている。換言すれば、各蛇行部34a〜34eは、夫々対応するスリット43を中間点として跨いで周方向への往復を繰り返し、当該スリット43に沿って放射状に拡がっている。尚、絶縁基板30のスリット43の本数および間隔、並びに形状などは任意に変更が可能である。
【0023】
図1、図6(b)に示すように、下側の第2絶縁基板31は、例えば硬質マイカからなり、上記第1絶縁基板30と同様に、中心部のセンサ孔31aと、外周縁部の一対の端子用張出部31b,31cとを有する。一方の端子用張出部31bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔45a,45cが形成され、他方の端子用張出部31cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔45b,45dが形成されている。また、両端子用張出部31b,31cには、後述する外側突出部53bの係合凸部54に係合する一対の小孔31dが夫々形成されている。尚、板状ヒータ33は前記のように第1絶縁基板30の上面側に設けられることから、第2絶縁基板31には、孔部42やスリット43は省略されている。また、上記した絶縁基板30,31の材料は硬質マイカに限定されるものではなく、例えば窒化アルミニウム、窒化ケイ素或はアルミナなどのセラミックスで形成してもよく、絶縁基板30,31を適用する誘導加熱調理器10の仕様による要求に応じて任意に変更可能である。
【0024】
第2弾性材32は、第1絶縁基板30及び第2絶縁基板31の間に、板状ヒータ33と共に積層構造をなすように配設されている。第2弾性材32は、例えば弾性及び耐熱性を有するセラミックペーパから、第1絶縁基板30と略同じ外形寸法に形成されている(図1、図6(b)参照)。即ち、第2弾性材32の中心部にセンサ孔32aが形成されると共に、外周縁部に一対の端子用張出部32b,32cが一体に設けられており、前述した孔部42やスリット43は省略されている。一方の端子用張出部32bには、端子40a,40cが挿通される挿通孔46a,46cが形成され、他方の端子用張出部32cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔46b,46dが形成されている。この第2弾性材32は、自身の弾性によって、第1絶縁基板30を介して板状ヒータ33をトッププレート13の下面に密着させるように付勢すると共に、第1絶縁基板30裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bを覆うことで当該爪39a,39bから第2絶縁基板31側への熱の移動を遮断する。尚、第2弾性材32をセラミックペーパから構成したが、弾性を有する他の材料(例えば耐熱性繊維からなるシート状のフェルト)を用いる等、適宜変更が可能である。
【0025】
上記板状ヒータ33の端子40a〜40dは、下方へ夫々折り曲げられると共に、第1絶縁基板30の挿通孔41a〜41d、第2弾性材32の挿通孔46a〜46d及び第2絶縁基板31の挿通孔45a〜45dに夫々挿通されている。また、これら挿通孔41a〜41d、46a〜46d、45a〜45dが形成された端子用張出部30b,32b,31b及び端子用張出部30c,32c,31cは、板状加熱体22の端子用張出部22b及び端子用張出部22cを構成する。
【0026】
続いて、コイル支持部材24について詳述する。
コイル支持部材24は、耐熱樹脂材料からなり、全体として誘導加熱コイル21の収容が可能な円盤状に形成されている。即ち、図1、図4に示すように、コイル支持部材24の上面部において、中央部24aと外周部24bとの間は段下がり状のコイル収容部50とされ、この収容部50に誘導加熱コイル21が配置されている。コイル収容部50の底部には、放射状に延びるフェライト収容部51が例えば30度間隔で形成されており、その一端部(内側端部51a)はコイル支持部材24の中央部24aにて開口し、他端部(外側端部51b)は外周部24bの上面から上方に突出するようにして開口している。フェライト収容部51には、誘導加熱コイル21の磁路を形成するためのコ字状のフェライト(図示せず)が取付け固定されている。
【0027】
コイル支持部材24の中央部24aには、その中心に軸方向へ貫通するセンサ孔24cが設けられている。コイル支持部材24における外周部24bの下部には、径方向外側へ延出する延出取付部24dが設けられると共に、この延出取付部24dに、筒状をなす脚部24eが設けられている。図3に示すように、脚部24eと本体ケース12内の内枠部材12aとの間には、複数の付勢部材(例えば圧縮コイルばね52)が配設されていて、このばね52によりコイル支持部材24がトッププレート13側に付勢されている。
【0028】
さて、コイル支持部材24における中央部24aの上面及び外周部24bの上面は、何れも基準面とされ、当該基準面に上方へ突出する小径円柱状の内側突出部53a及び外側突出部53bが一体に設けられている。前記板状加熱体22は、これら複数の突出部53a,53b上に平面視にて誘導加熱コイル21と同心状に配置される。
【0029】
即ち、外側突出部53bは、外周部24bに等間隔で複数個(例えば12個)設けられており、フェライト収容部51の外側端部51bよりも上方へ突出し、且つ周方向に隣り合う当該外側端部51b,51bの中間に位置している。こうして、外側突出部53bの配置位置は、図4にて環状をなす二点鎖線上に配置され、中心点Oからその配置位置までの距離RSOが誘導加熱コイル21外周の半径RCOよりも大きくなるように設定されている(RSO>RCO)。この外側突出部53bの上端面は、第2絶縁基板31に下側から当接することで、板状加熱体22の外周縁部(詳細には第1絶縁基板30のスリット43の径方向外側への延長線上の部位。図6(a)中、破線で示す)を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持する。また、外側突出部53bは、板状加熱体22における各蛇行部34a〜34eの外側(換言すればヒータ領域の外側の延長部分)を下側から押圧するように配置されている。
【0030】
内側突出部53aは、中央部24aにおけるフェライト収容部51の内側端部51aの直ぐ内側に等間隔で複数個(例えば12個)設けられている。また、内側突出部53aは、外側突出部53bに対して、周方向に例えば15度(つまり周方向のピッチの半分に相当する分)ずれている。こうして、内側突出部53aは、図4にて環状をなす二点鎖線上に配置され、中心点Oからその配置位置までの距離RSiが誘導加熱コイル21内周の半径RCiよりも小さくなるように設定されている(RSi<RCi)。また、内側突出部53aの上端面が、第2絶縁基板31に下側から当接することで、板状加熱体22の内周縁部(詳細には当該内周縁部における周方向に隣り合うスリット43,43の中間の部位。図6(a)中、破線で示す)を板状ヒータ33ごとトッププレート13側へ押圧するように支持する。また、内側突出部53aは、板状加熱体22における周方向に隣り合う折り返し部38、38間の隙間を下側から押圧するように配置されている。
【0031】
上記のように突出部53a,53bは、何れも誘導加熱コイル21と干渉することなく(0≦RSi<RCi、RCO<RSO)、コイル支持部材24に同心状に比較的密なピッチで形成され、板状加熱体22の内周部と外周部とを確実に保持する。この場合、板状ヒータ33は、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、各蛇行部34a〜34eがその直ぐ内側と外側とで突出部53a,53bにより夫々支持(所謂三点支持、図6(a)参照)されることで、トッププレート13の下面に圧接して密着する。図3に示すように、コイル支持部材24は、前記基準面が本体ケース12内の冷却風路に臨むように配設され、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間の間隙を通して、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間に空気が流れる通路(同図の矢印参照)を形成する。
【0032】
また、図1、図4に示すように、コイル支持部材24には、例えば、延出取付部24dから上方へ突出する一対の端子側突出部53cが、外周部24bの外側にて互いに180度離間した位置に一体に設けられている。端子側突出部53cの上端面は、突出部53a,53bの上端面と高さが一致するように形成されると共に、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに沿うブロック状をなしている。ここで、一方の端子側突出部53cの上面には、これに対応する端子用張出部31bを、前記一対の小孔31dに係合することで位置決めする一対の係合凸部54(係合部)が一体に設けられている。他方の端子側突出部53cの上面にも、端子用張出部31cを一対の小孔31dに係合することで位置決めする一対の係合凸部54が一体に設けられている。こうして、端子側突出部53c,53cは、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに下側から夫々当接することで板状加熱体22の外周縁部を支持し、係合凸部54により板状加熱体22を位置決めする。また、一方の端子側突出部53cには、端子40a,40cが挿通される挿通孔55a,55cが形成され、他方の端子側突出部53cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔55b,55dが形成されている。上記内側突出部53a、外側突出部53b及び端子側突出部53cは、これら夫々の高さ寸法、或は前記圧縮コイルばね52のばね力を適宜設定することで、板状加熱体22(板状ヒータ33)に対する押圧力を調整することができる。
【0033】
次に、誘導加熱調理器10の電気的構成について図5を参照しながら説明する。加熱制御部19は、調理器本体11の内部に設けられ、図示しないマイクロコンピュータによって構成されている。
【0034】
加熱制御部19には、操作部11a及び温度センサ20が接続されている。操作部11aは、調理器本体11の外側においてトッププレート13の前方に配置されており、入力された情報を操作信号として加熱制御部19に出力するようになっている。温度センサ20は、トッププレート13の温度を検出し、その検出信号を加熱制御部19に出力する。また、加熱制御部19は、トッププレート13上に載置された鍋17等の被加熱調理器具の材質を判定する材質判定手段としても機能する。加熱制御部19は、操作部11a及び温度センサ20から入力された信号、及び予め記憶している制御プログラムなどに基づいて、高周波電流供給手段たるインバータ56を制御する。これにより、加熱制御部19は、インバータ56を経由して誘導加熱コイル21に高周波電流を供給し、誘導加熱コイル21を制御する。また、誘導加熱コイル21には、共振コンデンサ57が直列に接続されている。これら誘導加熱コイル21及び共振コンデンサ57は、鍋17の材質に応じて出力を調整するために、コイルの巻数やコンデンサの容量が可変となる構成であることが望ましい。
【0035】
インバータ56には、商用交流電源58から整流回路59によって直流に変換された駆動用電源が供給される。通電制御部60は、商用交流電源58から板状加熱体22へ供給する交流の電力を制御する。通電制御部60から板状加熱体22へ供給される電力は、加熱制御部19によって統括的に制御される。また、整流回路59の入力側およびインバータ56の出力側には、夫々電流トランス61,62が配置されている。この電流トランス61,62で検出された電流値は、いずれも加熱制御部19に入力される。これにより、加熱制御部19は、商用交流電源58から入力される入力電流値、及びインバータ56の出力電流値を検出する。
【0036】
加熱制御部19は、被加熱調理器具である鍋17が抵抗の大きな金属材料か否かを判定することにより、この鍋17の材質を判定する。例えば加熱制御部19は、一定の高周波電流を誘導加熱コイル21に供給し、入力電流とインバータ56の出力電流であるコイル電流との関係に基づいて鍋17の材質を判定する。例えば鉄などの強磁性体で鍋17が形成されている場合、誘導加熱コイル21が発生した磁束は鍋17を流れ易くなる。また、鍋17の底部において誘導加熱コイル21側に渦電流が集中する表皮効果も高くなるため、誘導加熱コイル21の等価抵抗は増大する。一方、鍋17の材質がアルミニウムや銅などのように非磁性あるいは弱磁性であって比抵抗が小さい場合、誘導加熱コイル21によって発生した磁束は鍋17に到達しにくくなり、漏れ磁束も増大する。そして、比抵抗が小さく表皮効果も得にくいため、等価抵抗は減少する。その結果、加熱制御部19は、入力電流と出力電流との大小の変化に基づいて、鍋17の材質を判定することができる。従って、加熱制御部19は、鍋17の材質を判定するとともに、予め設定された入力電力設定値に基づいて鍋17の誘導加熱コイル21による加熱または板状加熱体22によるヒータ加熱を選択して実行することができる。
【0037】
次に、上記の構成による誘導加熱調理器10の作動について説明する。
被調理物を収容した鍋17をトッププレート13の所定位置に載置し、操作部11aで必要な入力操作が行われると、加熱制御部19は鍋17の加熱を開始する。加熱制御部19が材質判定処理により鍋17の材質が高抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は通常の入力電力に基づいて誘導加熱コイル21による誘導加熱調理を実行する。一方、鍋17の材質が高抵抗金属でないと判定したとき、加熱制御部19は鍋17の材質がアルミニウム、銅もしくは非磁性ステンレスのような低抵抗の非磁性金属であるのか、土鍋のような非金属であるのか、又は無負荷であるのかを判定する。そして、鍋17が低抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は鍋17の底がトッププレート13により反発して移動するいわゆる「鍋浮き」を生じないように、予め設定された火力調整に基づいて誘導加熱調理を実行する。
【0038】
ここで、火力調整によって加熱電力が通常の入力電力設定値より小さくなった場合、加熱制御部19は、その差の電力分を通電制御部60を経由して板状加熱体22に供給する。これにより、加熱制御部19は、トッププレート13に載置された鍋17を板状加熱体22により加熱する。また、鍋17が低抵抗の非磁性金属で形成されている場合、誘導加熱コイル21の等価抵抗は小さくなる。そのため、加熱制御部19は、インバータ56を経由して誘導加熱コイル21へ出力する電圧を、高抵抗の磁性金属の場合よりも低下させたり、電圧の周波数を上昇させたりして、加熱効率の向上を図るようになっている。
【0039】
また、鍋17が非金属で形成されている場合、又は無負荷の場合、加熱制御部19は誘導加熱コイル21による誘導加熱を実行しない。そのため、加熱制御部19は、通常の入力電力設定値に等しい電力を通電制御部60から板状加熱体22へ供給し、板状加熱体22のみによる加熱を実行する。この場合、加熱制御部19は、鍋17が非金属であるのか、又は無負荷であるのかを判定する必要がある。そこで、加熱制御部19は、温度センサ20によって板状加熱体22への通電が開始されてからのトッププレート13の温度変化を検出する。このとき、加熱制御部19は、トッププレート13の温度の変化が緩やかであれば土鍋などが載置されていると判定し、温度の変化が急激であれば無負荷であると判定する。
【0040】
鍋17などの被加熱調理器具が非金属材料であると判定したとき、加熱制御部19は板状加熱体22により鍋17の加熱を実行する。
上記の板状加熱体22による加熱の際、その板状ヒータ33は第1絶縁基板30の上面側に配置されているため、板状ヒータ33から発生した熱は、大部分がトッププレート13を経由して鍋17へ伝達される。この場合、板状ヒータ33は、前述した各領域(つまり各蛇行部34a〜34e)ごとに、夫々の内側及び外側で各突出部53a,53bにより、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、トッププレート13の下面に圧接して密着するように支持されている。一方、板状ヒータ33における端子40a〜40d側の端部は、一対の端子側突出部53cによって、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、トッププレート13の下面に圧接して密着するように支持されている。このため、板状ヒータ33は特に各蛇行部34a〜34e及び端子40a〜40d側の端部において自身の熱膨張による撓みを抑制するように押圧され、板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態が全体的に良好に維持されていることから、鍋17を高い伝熱効率で加熱する。しかも、上記突出部53a,53b,53cは、第1絶縁基板30のスリット43以外の部位を、第2絶縁基板31及び第2弾性材32を介して押圧するように配置されているため、スリット43の効果(絶縁基板30自身の熱膨張による撓みの防止)を減殺させることがない。
【0041】
また、この場合、板状ヒータ33は、第1絶縁基板30とともに第2弾性材32によって、上方へ弾性付勢されているので、板状ヒータ33及び第1絶縁基板30の双方の撓みが抑制される。更に、耐熱性を備えた第2弾性材32により第1絶縁基板30裏面を覆うことで、特に当該裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bから下側(誘導加熱コイル21側)への熱の移動が抑制される。
【0042】
この加熱が終了した後、トッププレート13及び板状加熱体22に熱が残っているため、加熱制御部19は、冷却ファン部15のファン27を回転駆動する。このとき、本体ケース12内で前記冷却風路を流れる空気は、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間の間隙を通して、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間を流れる(図3の矢印参照)。この空気の流れにより、板状加熱体22は、その裏面側おいて主として放熱し、表面側の板状ヒータ33も冷却される。その結果、鍋17の加熱によって温度が上昇していたトッププレート13は、冷却ファン部15による空気の流れによって急速に冷却される。
【0043】
上記のように、加熱制御部19は、鍋17などの被加熱調理器具の材質に応じて誘導加熱コイル21による加熱調理、板状加熱体22による加熱調理、またはこれらの組み合わせによる加熱調理を実行する。そして、加熱制御部19は、加熱調理が完了した後、冷却ファン部15を駆動することにより、トッププレート13及び板状加熱体22の冷却を促進する。
【0044】
以上のように、本実施形態の誘導加熱調理器10では、板状ヒータ33を、コイル支持部材24の複数の突出部53a,53bによって、絶縁基板30,31を介してトッププレート13側へ押圧するように支持したので、板状ヒータ33の支持構造を極力簡単にしながらも板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができる。しかも、板状ヒータ33を絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分するように配置するとともに、複数の突出部53a,53bをそれらの領域のそれぞれに対応するように配置したので、通電時に板状ヒータ33に熱膨張が生じても、各領域ごとにその撓みを抑制するように押圧することができる。また、複数の突出部53a,53bによって、板状ヒータ33のみならず、絶縁基板30,31の熱変形をも抑制するように支持することができ、伝熱効率の低下を防止することができる。そして、板状ヒータ33は通電することにより発熱するため、前記の支持構造と相俟って被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的且つ効率的に加熱することができる。
【0045】
板状ヒータ33を絶縁基板30の周方向に複数の領域に区分するように配置することで、その周方向の線長(折り返し部38間の長さ)を短くすることができる。従って、板状ヒータ33に熱膨張が生じても、周方向の伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制される。
複数の突出部53a,53bは、誘導加熱コイル21の内側に位置して設けられた内側突出部53aと、誘導加熱コイル21の外側に位置して設けられた外側突出部53bとを有する。従って、コイル支持部材24を利用して、誘導加熱コイル21に突出部53a,53bを干渉させることなく、板状加熱体22を支持することができ、誘導加熱調理器10に好適なものとすることができる。
【0046】
内側突出部53a及び外側突出部53bは、平面視にて環状をなすよう複数配置され、周方向に隣り合う外側突出部53b(或は内側突出部53a)間に、前記環状をなす突出部53a,53bの内外を連通させる間隙が形成されているため、板状加熱体22の下側において、空気が流れる空間を形成することができ、熱がこもるのを防止することができる。
板状ヒータ33は、全体として略円板形状をなし、平面視にて誘導加熱コイル21と同心状に配置され、内側突出部53a及び外側突出部53bは、絶縁基板30,31における板状ヒータ33の内側及び外側に対応する部位に当接するように配置されている。従って、コイル支持部材24における板状ヒータ33及び誘導加熱コイル21の支持構造の簡素化を図ることができるとともに、加熱効率の高い配置構成とすることができる。
【0047】
第1絶縁基板30に、自身の熱膨張を吸収するためのスリット43を設けたので、その熱膨張による撓みを確実に防止することができ、ひいては板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持できる。また、複数の突出部53a,53bは、第1絶縁基板30におけるスリット43以外の部位を、第2絶縁基板31及び第2弾性材32を介して押圧するように配置されているため、スリット43の効果を減殺させることがない。
【0048】
板状加熱体22において、第1絶縁基板30と第2絶縁基板31との間に、板状の第2弾性材32を設けた積層構造をなす。従って、第2弾性材32により第1絶縁基板30を介して板状ヒータ33をトッププレート13の下面に密着させるように付勢することができると共に、両絶縁基板30,31の熱膨張による撓みを防止することができる。また、第2弾性材32は耐熱性を有することから、特に当該裏面に折り曲げられた係合爪39a及び補助爪39bから下側(誘導加熱コイル21側)への熱の移動を抑制することができる。従って、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間の断熱が容易になり、コイル支持部材24の構造を簡略化することができる。また、第2弾性材32により、係合爪39a及び補助爪39bのずれを防止することができ、板状ヒータ33間での短絡を防止することができる。
【0049】
コイル支持部材24に、板状ヒータ33の端子40a〜40d近傍部にて板状加熱体22の外周縁部を支持する端子側突出部53cを設けた。板状ヒータ33の熱変形は端子40a〜40d近傍部で生じやすいことから、端子側突出部53cによって、当該熱変形が生じないよう端子40a〜40d近傍部を直接的に押圧することができる。
【0050】
端子側突出部53cに、板状加熱体22を位置決めする係合凸部54を設けた。これによれば、複数の突出部53a,53b或は端子側突出部53cに対応するように板状加熱体22の位置合わせを行うといった面倒な作業が不要となり、組付け作業性を向上させることができるとともに、板状加熱体22の水平方向のずれを防止することができる。
【0051】
複数の突出部53a,53b或及び端子側突出部53cを、コイル支持部材24に対して一体に設けたので、コイル支持部材24を安価で簡単な構成にすることができる。
また、本実施例のヒータ33は板状をなすことから、前述した複数の領域に区分するような形状や所望の幅寸法Wについて容易に加工することができるので、簡単且つ安価な構成で板状加熱体22における通電時の所望の温度分布を得ることができる。
【0052】
<第2実施例>
図7は、本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図7は図6(a)相当図であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0053】
本実施例の第1絶縁基板30には、板状ヒータ33の係合爪39aに対応する孔部42´が、スリット43近傍に当該スリット43に沿って列をなすように設けられている。この第1絶縁基板30に組付けられた板状ヒータ33は、各蛇行部34a〜34eが、夫々周方向に隣り合うスリット43,43間に位置するように配置される。各蛇行部34a〜34eは、夫々対応するスリット43近傍を折り返し点として周方向への往復を繰り返し、当該スリット43に沿って放射状に拡がっている。
【0054】
これにより、本実施例の内側突出部53aは、板状加熱体22における前記ヒータ領域の内側の延長部分を下側から押圧するように支持する。また、外側突出部53bは、板状加熱体22における周方向に隣り合う折り返し部38、38間の隙間を下側から押圧するように支持する。この構成によれば、板状ヒータ33は、第2絶縁基板31、第2弾性材32及び第1絶縁基板30を介して、各蛇行部34a〜34eがその直ぐ内側と外側とで突出部53a,53bにより夫々三点支持されることで、トッププレート13の下面に圧接して密着する。従って、板状ヒータ33のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができ、板状ヒータ33の伝熱効率を向上させることができる等、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0055】
<第3実施例>
図8は、本発明の第3実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図8は、第2弾性材70及び第2絶縁基板31を分解した状態で示す斜視図であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0056】
本実施例の第2弾性材70は、第1実施例の第2弾性材32と以下の点で相違する。即ち、第2弾性材70は、内側突出部53a及び外側突出部53bに対応する部分のみ非弾性部71(非弾性材)から構成されている。非弾性部71は、例えば絶縁基板30,31と同じ硬質マイカからなり、例えば内側突出部53a及び外側突出部53bと同じピッチで、第2弾性材70の内周部と外周部とに夫々12個ずつ埋設されている。尚、非弾性部71を、他の弾性率の大きい(つまり変形しにくい)材料で形成してもよい。
【0057】
上記構成において、内側突出部53a及び外側突出部53bが小径円柱状をなすことから、第2弾性材32は、第2絶縁基板31を介して特に突出部53a,53bに対応する部分で圧縮コイルばね52の圧縮力が作用することになる。この場合、第2弾性材70は、その圧縮力を非弾性部71で受けることで、第2弾性材70のセラミックペーパの厚みが小さくならないように保持することができる。従って、上記構成によれば、第2弾性材70におけるセラミックペーパ内部の空気層が薄くなり断熱性能が減殺されることを防止することができる。よって、第2弾性材70における断熱性能と弾性力の双方を維持することができる。
【0058】
<第4実施例>
図9は、本発明の第4実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図9(a)は、板状加熱体72の模式的な断面図、(b)は第1弾性材73及び第1絶縁基板30の外観斜視図で、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
本実施例の板状加熱体72は、第1実施例の板状加熱体22と以下の点で相違する。即ち、板状加熱体72は、第1絶縁基板30と、板状ヒータ33と、これら第1絶縁基板30及び板状ヒータ33の間に設けられた第1弾性材73とからなる。
【0059】
第1弾性材73は、例えば、第2弾性材32と同様、弾性及び耐熱性を有するセラミックペーパからなり、第1絶縁基板30と略同じ外形寸法に形成されている。第1弾性材73の中心部にはセンサ孔73aが形成されており、第1弾性材73の外周縁部には一対の端子用張出部73b,73cが一体に設けられている。一方の端子用張出部73bには、板状ヒータ33の端子40a,40cが挿通される挿通孔74a,74cが形成され、他方の端子用張出部73cには、端子40b,40dが挿通される挿通孔74b,74dが形成されている。また、詳しい図示は省略するが、第1弾性材73には、板状ヒータ33の係合爪39a及び補助爪39bに対応する多数の孔部73dが、第1弾性材73を板厚方向へ貫くように設けられている。尚、孔部73dの寸法は、当該孔部73dと係合爪39aとの間に、発熱により伸長する板状ヒータ33の伸張量に対応する隙間が生じるように設定されている。板状ヒータ33の組付けの際、係合爪39a及び補助爪39bが、第1弾性材73の孔部73dと第1絶縁基板30の孔部42とに、第1弾性材73の上面側から挿通されて第1絶縁基板30の下面側で折り曲げられる。これにより、板状ヒータ33は、第1弾性材73の上面側に片面ヒータの配置形態で固定される。また、板状ヒータ33の端子40a〜40dは、第1弾性材73の挿通孔74a〜74d、第1絶縁基板30の挿通孔41a〜41dに夫々挿通されている。
【0060】
上記構成によれば、第1弾性材73の弾性によって、板状ヒータ33をトッププレート13に対して直接的に付勢して、板状ヒータ33の自身の発熱等による変形を抑制することができる。また、第1弾性材73により、板状ヒータ33とトッププレート13との間の隙間を埋めることができるので、板状ヒータ33の下側のみならず水平方向への熱の移動を遮断することができ加熱効率をより高めることができる。
【0061】
<その他の実施例>
図10及び図11は、第5及び第6実施例を示すもので、上記実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0062】
図10(a)、(b)に示すように、第5実施例の第1弾性材75は、その内周75a及び外周75bが板状ヒータ33の内周及び外周に揃うように形成されている点で第4実施例の第1弾性材73と相違する。このため、第1弾性材75は、第1弾性材73に比し径小に形成され、特に加熱に寄与する各蛇行部34a〜34e全体を付勢するように第1絶縁基板30上に配されることとなる。従って、この構成によれば、第1弾性材75を、板状ヒータ33に対して無駄なく配置することができる他、第4実施例と同様の効果を奏する。尚、図示は省略するが、第5実施例において、外側突出部53bを第1弾性材75の外周75bに対応するように、やや内側寄りに配置してもよい。また、第1弾性材75の形状は、板状ヒータ33の形状に応じて適宜変更してもよい。
【0063】
前記内側突出部53a及び外側突出部53bの数や配置位置は、夫々誘導加熱コイル21と干渉しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、板状加熱体22のセンサ孔22aや温度センサ20を省略し、内側突出部53aを、中心点Oからの距離RSiが零となるコイル支持部材24の中心(0=RSi)に1つだけ設けるようにしてもよい。また、この内側突出部53aに代えて、センサ孔24cの外周縁部を上方へ筒状に突出させることにより内側突出部を構成し、当該内側突出部で板状加熱体22の中心部を支持するようにしてもよい。
【0064】
また、コイル支持部材24に対し、端子側突出部53cを一体に設けたが、別部材として構成してもよいし、端子側突出部53cの形状等を適宜変更してもよい。図11は、その具体例として、一対の端子側突出部76の一方を示す拡大斜視図である。端子側突出部76は、コイル支持部材24に対し取付け固定されるものであり、その上面76aには、板状加熱体22の端子用張出部22cを外周側から囲う係合段部76b(係合部)が形成されている。こうして、端子側突出部76,76は、第2絶縁基板31の端子用張出部31b,31cに下側から夫々当接することで板状加熱体22の外周縁部を支持し、係合段部76bにより板状加熱体22を位置決めする。従って、この構成によれば、板状加熱体22の組付けの際、端子側突出部76に対する板状加熱体22の外形の位置合わせのみで配置が可能となるので、作業効率を一層高めることができる。また、板状加熱体22の水平方向のずれを防止することができる等、端子側突出部53cと同様の効果を奏する。
【0065】
本発明は、ビルトインタイプに限られず据置きタイプ等の加熱調理器全般にも適用できるものである。本発明の板状ヒータは、絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置されるものであればよく、前記蛇行部を、直線状に延び且つ折り返し部を介して左右に往復する所謂クランク状に形成する等、適宜変更してもよい。また、突出部53a,53bの形状は、小径円柱状に限定するものではなく、角柱状等、他の柱状でもよい。
【0066】
更に、絶縁基板30の外周側端部のみ開放され当該外周側端部から内周側に延びるスリットを形成してもよい。この場合、内側突出部53aを、第1絶縁基板30における当該スリットの径方向内側への延長線上の部位を下側から押圧するように配置することで、内側突出部53aにより当該スリットの効果を減殺させることがない。
【符号の説明】
【0067】
図面中、10は誘導加熱調理器、13はトッププレート、17は被加熱調理器具、21は誘導加熱コイル、22は板状加熱体、24はコイル支持部材、30は第1絶縁基板,31は第2絶縁基板、32は第2弾性材、33はヒータ、40a〜40dは端子、43はスリット、53aは内側突出部、53bは外側突出部、53cは端子側突出部、54は係合部、70は第2弾性材、71は非弾性材、72は板状加熱体、73,75は第1弾性材、76は端子側突出部、76bは係合部を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルを支持するコイル支持部材と、
前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体とを具備した加熱調理器であって、
前記板状加熱体は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられ通電することにより発熱するヒータとを具え、
前記ヒータは、前記絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置され、
前記コイル支持部材は、前記絶縁基板に下側から当接することで、当該絶縁基板を前記ヒータごと前記トッププレート側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部を備えていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記誘導加熱コイルの内側に位置して設けられた内側突出部と、前記誘導加熱コイルの外側に位置して設けられた外側突出部とを有することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記突出部は、平面視にて環状をなすよう複数配置され、周方向に隣り合う当該突出部間に、前記環状をなす突出部の内外を連通させる間隙が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ヒータは、全体として略円板形状をなし、平面視にて前記誘導加熱コイルと同心状に配置され、
前記内側突出部及び前記外側突出部は、前記絶縁基板における前記ヒータの内側及び外側に対応する部位に当接するように配置されていることを特徴とする請求項2又は3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記絶縁基板に、前記絶縁基板の熱膨張を吸収するためのスリットを設け、
前記複数の突出部は、前記絶縁基板における前記スリット以外の部位を押圧するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記絶縁基板と前記ヒータとの間に、板状の第1弾性材を設けたことを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記絶縁基板は、
前記ヒータが設けられる第1絶縁基板と、前記複数の突出部に支持される第2絶縁基板とを備え、前記第1絶縁基板と前記第2絶縁基板との間に、板状の第2弾性材を設けた積層構造をなすことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記第2弾性材は、前記複数の突出部に対応する部分のみ非弾性材から構成されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記板状加熱体の外周縁部に前記ヒータの端子が引出され、
前記コイル支持部材は、前記ヒータの端子近傍部にて前記板状加熱体の外周縁部を支持する端子側突出部を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記端子側突出部に、前記板状加熱体を位置決めする係合部を設けたことを特徴とする請求項9記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記複数の突出部は、前記コイル支持部材に一体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項1】
被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルを支持するコイル支持部材と、
前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体とを具備した加熱調理器であって、
前記板状加熱体は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられ通電することにより発熱するヒータとを具え、
前記ヒータは、前記絶縁基板の周方向に複数の領域に区分されるように配置され、
前記コイル支持部材は、前記絶縁基板に下側から当接することで、当該絶縁基板を前記ヒータごと前記トッププレート側へ押圧するように支持し、且つ前記複数の領域のそれぞれに対応するように配置された複数の突出部を備えていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記誘導加熱コイルの内側に位置して設けられた内側突出部と、前記誘導加熱コイルの外側に位置して設けられた外側突出部とを有することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記突出部は、平面視にて環状をなすよう複数配置され、周方向に隣り合う当該突出部間に、前記環状をなす突出部の内外を連通させる間隙が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ヒータは、全体として略円板形状をなし、平面視にて前記誘導加熱コイルと同心状に配置され、
前記内側突出部及び前記外側突出部は、前記絶縁基板における前記ヒータの内側及び外側に対応する部位に当接するように配置されていることを特徴とする請求項2又は3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記絶縁基板に、前記絶縁基板の熱膨張を吸収するためのスリットを設け、
前記複数の突出部は、前記絶縁基板における前記スリット以外の部位を押圧するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記絶縁基板と前記ヒータとの間に、板状の第1弾性材を設けたことを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記絶縁基板は、
前記ヒータが設けられる第1絶縁基板と、前記複数の突出部に支持される第2絶縁基板とを備え、前記第1絶縁基板と前記第2絶縁基板との間に、板状の第2弾性材を設けた積層構造をなすことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記第2弾性材は、前記複数の突出部に対応する部分のみ非弾性材から構成されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記板状加熱体の外周縁部に前記ヒータの端子が引出され、
前記コイル支持部材は、前記ヒータの端子近傍部にて前記板状加熱体の外周縁部を支持する端子側突出部を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記端子側突出部に、前記板状加熱体を位置決めする係合部を設けたことを特徴とする請求項9記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記複数の突出部は、前記コイル支持部材に一体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−251187(P2010−251187A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100869(P2009−100869)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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