説明

加熱調理器

【課題】本発明は、調理用の各スイッチの押圧作動部に対応して、本体部の上面部に上方
へ膨出した押圧用エンボス部にてスイッチ操作部を形成した表面シートが貼付された加熱
調理器において、この表面シートの裏側へ煮汁等が侵入しても、スイッチ等の支障となら
ないようにする技術を提供する。
【解決手段】本体部内に配置した複数のスイッチの作動部ごとに、上方へ膨出した押圧用
エンボス部にてスイッチ操作部を形成した表面シートが前記本体部の上面部に貼付された
加熱調理器において、前記押圧用エンボス部にそれぞれ対応する第2エンボス部を膨出形
成すると共に、隣接する第2エンボス部の複数が上方へ膨出した一つの台座エンボス部に
間隔を存して配置された防水フィルムを備え、前記台座エンボス部が嵌り合う開口が前記
本体部の上面部に形成され、前記表面シートと前記防水フィルムが前記本体部の上面部を
上下で挟む配置にて、前記台座エンボス部が前記開口に嵌り合った状態を保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部の上面部に調理用のスイッチ操作部を備えた加熱調理器に関し、特に
、調理用スイッチに対応して、本体部の上面部にスイッチ操作部を形成した表面シートが
貼付されたものにおいて、この表面シートの裏側へ煮汁等が侵入しても、スイッチ等の電
気回路への支障とならないようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トッププレート枠の前面側に設けた開口部の上面にボタンエンボス部を形成した操作表
示シートを接着剤により貼り付け、開口部の下面にキートップや制御回路基板を納めた操
作部ユニットを配置しており、操作表示シートに、掃除する際や湯沸し時、煮炊き調理時
に水や吹きこぼれた湯,鍋から溢れ出た煮汁等が掛かった場合に、操作表示シートの接着
剤が、開口部を通してその下面の制御回路基板の電子部品に水が浸入するのを防止する役
目をしているが、その防水役である接着剤が使用環境や使用寿命、さらには操作表示シー
トの貼付け時のばらつき等により開口部の周囲のプレート枠に完全に密着させることが難
しく、不完全接着部分が生じたり局部的に剥がれてしまう場合がある。この問題を解決す
るためには、プレート枠に操作表示シートを接着する接着剤の接着力をアップさせればよ
いが、接着力をアップさせて完全密封の防水性能を得ることには限界があり、操作表示ユ
ニットに外部からの水や湯,鍋から溢れ出た煮汁等、液体の浸入を防止することは極めて
難しかった。
【0003】
このような点に鑑みたものとして、本体上面に配置されたトッププレートと、該トップ
プレートの周囲を囲むトッププレート枠と、該トッププレート枠の上面に貼付けられた複
数個の操作エンボス部を有する操作表示シートと、該操作表示シートと対向するようにト
ッププレート枠の下部に配置された操作表示駆動部を備えた加熱調理器において、前記ト
ッププレート枠の前記操作エンボス部と対向する位置に開口部を設け、該開口部の下面で
前記操作表示駆動部の上面に該操作表示駆動部の上面を覆うようにゴム系材料からなる防
水カバーを配置したものがある(特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1のものは、操作表示駆動部15の上面を覆うように、新たにゴム系材料
からなる防水カバー23を配置したものである。この防水カバー23は、透明または半透
明のものが用いられ、周囲及び縦横に補強用のリブ23aが施され、前記操作表示シート
12の操作エンボス部12aと対向するトッププレート枠6の開口部直下に突起部23b
を設け、左右に二分割された操作表示駆動部15の駆動部基板17を別々にその上面から
覆うように配置されている。
【0005】
この防水カバー23は、操作表示駆動部15に表示灯18aや液晶表示器18b、操作
入力ボタン22、配線カードケーブル/コネクタ19、配線部品/コネクタ20等の配線
部材を組み込み、配線部材を配線用穴21を通して駆動部収納ケース16の底部から下側
に出し、誘導加熱コイル等の各種部品に配線した後、二分割された駆動部基板17を上か
ら蓋をするように配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−241087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、防水カバー23は、ゴム系材料からなるため、周囲及び縦横に形成した補
強用のリブ23aで補強が必要であり、また、操作入力ボタン22の押圧操作をし易くす
るために、各操作入力ボタン22に対応して、操作表示シート12の操作エンボス部12
aと対向する突起部23bを形成している。
【0008】
そして、操作入力ボタン22に対応して防水カバー23に形成した突起部23bが個々
に侵入するように、トッププレート枠6に開口6bが形成され、個々の突起部23bがこ
の開口6bを貫通して上方へ突出し、操作表示シート12の操作エンボス部12aと対向
している。
【0009】
このように、特許文献1のものでは、防水カバー23がゴム系材料からなるため、補強
用のリブ23aや、操作入力ボタン22に対応して操作表示シート12の操作エンボス部
12aと対向する突起部23bが必要であり、形状自体を複雑な形状に形成する必要があ
る。
【0010】
本発明は、調理用の各スイッチの押圧作動部に対応して、本体部の上面部に上方へ膨出
した押圧用エンボス部にてスイッチ操作部を形成した表面シートが貼付された加熱調理器
において、この表面シートの裏側へ煮汁等が侵入しても、スイッチ等の支障とならないよ
うにする技術として、特許文献1のようなゴム系材料からなる防水カバー23によって防
水するのではなく、PETフィルムのような薄くても比較的腰のある防水フィルムでもっ
て、基板に取り付けたスイッチを覆う。
【0011】
この場合、表面シートに膨出し形成した押圧用エンボス部にそれぞれ対応する第2エン
ボス部を防水フィルムに膨出形成すると共に、隣接する第2エンボス部の複数が上方へ膨
出した一つの台座エンボス部に間隔を存して配置され、この台座エンボス部が嵌り合う開
口を本体部の上面部に形成し、本体部の上面部を上下で挟む状態に表面シートと防水フィ
ルムが配置された構成にて、この防水フィルムが薄いPETフィルムであっても、押圧操
作によって目的のスイッチのみの作動が達成され、スイッチ動作の安定化が得られ、且つ
、特許文献1の複雑な形状をなすゴム系材料からなる防水カバー23を用いることなく、
スイッチ等への液体の浸入防止効果が更に向上する構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明は、本体部内に配置した複数のスイッチの作動部ごとに、上方へ膨出した押圧
用エンボス部にてスイッチ操作部を形成した表面シートが前記本体部の上面部に貼付され
た加熱調理器において、前記押圧用エンボス部にそれぞれ対応する第2押圧エンボス部を
膨出形成すると共に、隣接する第2押圧エンボス部の複数が上方へ膨出した一つの台座エ
ンボス部に間隔を存して配置された防水フィルムを備え、前記台座エンボス部が嵌り合う
開口が前記本体部の上面部に形成され、前記表面シートと前記防水フィルムが前記本体部
の上面部を上下で挟む配置にて、前記台座エンボス部が前記開口に嵌り合った状態を保つ
ことを特徴とする。
【0013】
第2発明は、第1発明において、前記台座エンボス部が前記本体部の上面部に形成した
開口に嵌り合った状態で、前記第2押圧エンボス部の上面が前記表面シートに形成した押
圧用エンボス部の裏側に当接または近接することを特徴とする。
【0014】
第3発明は、第1発明または第2発明において、前記表面シートと前記防水フィルムが
前記本体部の上面部の上下面に貼付された状態で、前記第2押圧エンボス部が前記本体部
の上面部よりも上方へ突出した状態で、前記表面シートに形成した押圧用エンボス部の裏
側に当接または近接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この場合、防水フィルムが、台座エンボス部を形成しない単に一枚の平坦状の薄いPE
Tフィルムであれば、押圧用エンボス部の押圧に伴って隣接する第2押圧エンボス部の一
つが強く押圧された時、その隣りの第2押圧エンボス部も引っ張られて下方へ移動するた
め、操作目的のスイッチと共に、その隣りのスイッチも作動することが懸念される。
【0016】
しかし、本発明では、防水フィルムが薄いPETフィルムであっても、隣接する第2押
圧エンボス部の一方が押圧されたとき、隣りの第2押圧エンボス部に引っ張り作用が生じ
ても、膨出形成された第2押圧エンボス部と台座エンボス部による上下方向の撓みによっ
て、その隣りのキートップ46Aが下方へ押されることが抑制される。隣りの第2押圧エ
ンボス部に生じる引っ張り作用を軽減する緩衝部となり、操作目的のスイッチのみが作動
し、その隣りのスイッチが作動することが防止されることtなり、安定したスイッチ動作
が得られるものとなる。
【0017】
また、本発明では、表面シートと防水フィルムが本体部の上面部の上下面に貼付されて
いるため、表面シートの裏側に侵入した液体は、防水フィルムと本体部の上面部との接着
部にて阻止され、この部分が第2の防水部として作用し、防水効果が向上したものとなる

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る加熱調理器を台所設備台に組み込む関係を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る加熱調理器を台所設備台に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る加熱調理器の天板を取り外した内部を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る加熱調理器の上面配置の操作部の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る加熱調理器の上面配置の操作部を分解した縦断側面図である。
【図6】本発明に係る加熱調理器の上面配置の操作部の一部拡大で示す縦断側面図である。
【図7】本発明に係る加熱調理器の操作ケースに形成したキートップ部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明では、本体部内に配置した複数のスイッチの作動部ごとに、上方へ膨出した押圧
用エンボス部にてスイッチ操作部を形成した表面シートが前記本体部の上面部に貼付され
た加熱調理器において、前記押圧用エンボス部にそれぞれ対応する第2押圧エンボス部を
膨出形成すると共に、隣接する第2押圧エンボス部の複数が上方へ膨出した一つの台座エ
ンボス部に間隔を存して配置された防水フィルムを備え、前記台座エンボス部が嵌り合う
開口が前記本体部の上面部に形成され、前記表面シートと前記防水フィルムが前記本体部
の上面部を上下で挟む配置にて、前記台座エンボス部が前記開口に嵌り合った状態を保つ
構成である。
【0020】
本発明は、加熱調理器としての加熱部が、例えば、2個の誘導加熱コイルである場合、
或いは誘導加熱コイルとラジエントヒータの組み合わせである場合のように、調理用の加
熱部が複数である場合であり、以下に示す実施例では、加熱部が、誘導加熱コイルとラジ
エントヒータの組み合わせである場合について記載するものとする。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施例として、一つの誘導加熱コイル4と一つのラジエントヒータ5を
備えた加熱調理器1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器1が台所設備台7に取り付けられる状態を示す斜
視図である。加熱調理器1は、システムキッチンや、調理台や流し台のような台所設備台
7に、ドロップイン方式によって組み込まれる形態であり、図1乃至図3に示すように、
略矩形状ケースを形成した本体部2と、本体部2の上面部に取り付けた天板枠6によって
支持された耐熱ガラス製の天板3を備え、本体部2の内部には、天板3に対応してその下
方空間に前後に間隔を保って設置された熱源となる誘導加熱コイル4及びラジエントヒー
タ5を備えている。
【0022】
図3に示すように、本体部2は、底壁2Aと周囲四方を囲むよう底壁2Aに取り付けた
側壁2Bによって上面開口の略矩形状ケースを形成している。また、耐熱ガラス製の天板
3は、本体部2の上面開口を覆うように側壁2Bにネジにて取り付けた天板枠6によって
、周縁部が支持された状態である。
【0023】
誘導加熱コイル4は、合成樹脂製の支持枠4Aの上面に取り付けられ、本体部2の底壁
2Aに水平状態に取り付けた合成樹脂製ベース部材20に支持されている。この支持の構
成は、ベース部材20から立設する複数の支柱に、コイルバネによって支持され、支持枠
4Aの周縁フランジが耐熱ガラス製の天板3の下面へ当接するように、上方へ付勢されて
いる。
【0024】
また、ラジエントヒータ5は、上面開口の耐熱性の支持枠5A内に取り付けられ、底壁
2Aから立ち上がるように取り付けた支持台18の上面に、支持枠5Aを複数個所でコイ
ルバネの支持部材19によって支持され、支持枠5Aが耐熱ガラス製の天板3の下面へ当
接するように、上方へ付勢されている。
【0025】
誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5にそれぞれ対応する天板3には、鍋等の調理
容器を載置する場所を明示するために、円形状の調理容器載置部8及び9が印刷などによ
って表示されている。実施例では、誘導加熱コイル4は、200ボルト、1.5Kwの発
熱量のものであり、ラジエントヒータ5は、200ボルト、1.2Kwの発熱量のもので
あるが、これに限定されない。
【0026】
図示の台所設備台7は流し台7の形態で示しており、シンク10と横並びに加熱調理器
1の本体部2が落とし込まれる挿入孔11が、台所設備台7(流し台7)の上面板7Aを
貫通形成されている。これによって、挿入孔11に本体部2を落とし込む、所謂ドロップ
イン方式によって、挿入孔11の周縁の上面板7Aに天板枠6の下側が係止する状態に保
持される。この保持状態で、加熱調理器1は、本体部2をボルトネジやその他の手段によ
って、外れないように台所設備台7(流し台7)に固定される。
【0027】
台所設備台7(流し台7)の上面板7Aの下方は、物品収納空間とするために、シンク
9の下側の物品収納空間12Bの前面は、開閉扉8A、8Bで開閉可能であり、加熱調理
器1の下側の物品収納空間12Aの前面は、開閉扉8Cで開閉可能である。上記のように
、挿入孔11にドロップインされた加熱調理器1は、本体部2の底壁2Aが物品収納空間
12Aの上部に露出状態である。
【0028】
本体部2内には、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御回路(図示せず
)の放熱部材27を備える回路基板25が、ベース部材20の上面に略水平に配置され、
また、本体部2内には、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の冷却や、放熱部材2
7の冷却のために、誘導加熱コイル4の下方に冷却用ファン(図示せず)が配置されてい
る。この冷却用ファンの送風によって各部が冷却された後の空気は、天板3の下面に沿っ
て横方向へ流れてラジエントヒータ5を冷却した後、本体部2の側壁2Bの一部である背
壁2Bに形成した排気孔38から背壁2Bの裏側へ流れ、背壁2Bの裏側に形成した排気
ダクト39から、排気部16を形成する多数の排気孔17Aを形成した排気カバー17を
通過して放出される。
【0029】
加熱調理器1は、天板3の手前側(前側)で天板枠6の前部に上面配置となるように、
誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御や発熱制御等を行うためのスイッチ
操作部13とそれに対応したLED表示部14等を備えた操作部15を備えている。本体
部2内には、操作部15の下方に、操作基板40が合成樹脂製の操作ケース41内にネジ
にて、略水平状態に取り付けられて収納されている。操作基板40の上面には、スイッチ
操作部13に対応して、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御や発熱制御
等を行うための複数の調理用のスイッチ42と、LED表示部14に対応して、この各ス
イッチ42のON―OFFによって発光・非発光となるLED44が、取り付けられてい
る。
【0030】
各スイッチ42には、ON―OFF用作動部43が上部に設けられ、操作ケース41に
は、各スイッチ42の作動部43に対応して、上下動自在な可動部であるキートップ46
が形成されている。キートップ46は、図8に示すように、操作ケース41の上壁と一体
成形した左右一対の弾性部46Pに連結状態に一体成形され、弾性部46Pによって、上
下動可能に支持されている。また、操作ケース41には、各LED44に対応して、LE
D収納筒部47が形成されている。
【0031】
操作基板40が操作ケース41に取り付けられた状態で、各スイッチ42の作動部43
がキートップ46の下面に当接または近接状態となる。実施例では、各スイッチ42の作
動部43の上面とキートップ46の下面とは、0.3mmの隙間を存して対峙している。
また、各LED44は、各LED収納筒部47内に配置された状態となり、隣り合うLE
D44の光が遮断された状態となる。
【0032】
スイッチ操作部13とLED表示部14は、本体部の上面部に相当する天板枠6の前部
上面に貼付される合成樹脂製の表面シート60に形成されており、上下方向に撓む押圧用
エンボス部として上方へ膨出形成されたスイッチ操作部13は、文字や図柄等によって操
作部を表示し、後述のように、若干上方へ膨出した形状に成形されている。表面シート6
0は、LED表示部14がLED44ごとに光透過状にて形成され、その他の部分は不透
明状に形成され、LED表示部14は、対応するLED44の光のみが透過するように分
離して配置されている。
【0033】
操作部15に対応して、天板枠6と操作ケース41との間に、厚さ0.1mm程度の合
成樹脂製のフィルム状の薄い防水シート50が配置される。防水シート50は、少なくと
も各スイッチ42に対応する各キートップ46と、各LED44が収納されたLED収納
筒部47の全体を覆う大きさであり、実施例では、操作ケース41の上面全体を覆う大き
さであり、天板枠6の前部下面に貼付される。
【0034】
スイッチ42は、機能上関連するスイッチ42を一つの組として横並びに隣接配置して
おり、図に示す形態では、第1の組は、左側の3個の隣接配置のキートップ46(図4で
括弧内に46Aとして示すもの)に対応するスイッチ42の組であり、第2の組は、その
右側に離れて4個の隣接配置のキートップ46(図4で括弧内に46Bとして示すもの)
に対応するスイッチ42の組であり、更に第3の組は、その右側に離れて1個の隣接配置
のキートップ46(図4で括弧内に46Cとして示すもの)に対応するスイッチ42の組
として構成している。
【0035】
操作部15に対応して、本体部の上面部に相当する天板枠6には、スイッチ42に対応
する貫通孔45と、LED44に対応する貫通孔48が形成されている。前記のように、
スイッチ42は、機能上関連するスイッチ42を一つの組として配置しており、第1の組
のスイッチ42に対応するキートップ46(46A)は、第1の貫通孔45(図4で括弧
内に45Aとして示すもの)に対応し、第2の組のスイッチ42に対応するキートップ4
6(46B)は、第2の貫通孔45(図4で括弧内に45Bとして示すもの)に対応し、
第3の組のスイッチ42に対応するキートップ46(46C)は、第3の貫通孔45(図
4で括弧内に45Cとして示すもの)に対応する構成である。
【0036】
図に示す実施例では、第1の組の3個のスイッチ42(図4で括弧内に示すキートップ
46Aに対応するもの)は、ラジエントヒータ5の通電ON−OFFする1個のスイッチ
と、ラジエントヒータ5の発熱をアップ及びダウンさせるための2個のスイッチで構成し
ている。また、第2の組の4個のスイッチ42(図4で括弧内に示すキートップ46Bに
対応するもの)は、誘導加熱コイル4の通電ON−OFFする1個のスイッチと、誘導加
熱コイル4の発熱を強・中・弱を選択するための3個のスイッチで構成している。また、
第3の組の1個のスイッチ42(図4で括弧内に示すキートップ46Cに対応するもの)
は、加熱調理器1の電源のON−OFFスイッチである。
【0037】
操作ケース41の上面には、第1の組の3個のスイッチ42に対応する3個のキートッ
プ46(図4 で括弧内に示すキートップ46A)が配置される部分を若干上方へ膨出形
成した第1の台座部49Aを形成し、また、第2の組の4個のスイッチ42に対応する4
個のキートップ46(図4で括弧内に示すキートップ46B)が配置される部分を若干上
方へ膨出形成した第2の台座部49Bを形成し、また、第3の組の1個のスイッチ42に
対応する1個のキートップ46(図4で括弧内に示すキートップ46C)が配置される部
分を若干上方へ膨出形成した第3の台座部49Cを形成している。
【0038】
第1の台座部49A、第2の台座部49B、及び第3の台座部49Cがそれぞれ嵌り合
う大きさ及び形状に、防水シート50には、上下方向に撓む第1の台座エンボス部51A
、上下方向に撓む第2の台座エンボス部51B、及び上下方向に撓む第3の台座エンボス
部51Cが、上方へ膨出形成されている。この台座エンボス部51A、51B、及び51
Cは、それぞれ対応する第1の貫通孔45A、第2の貫通孔45B、及び第3の貫通孔4
5Cに嵌り合う大きさ及び形状であり、好ましくは、第1の台座エンボス部51Aは、長
方形状の第1の貫通孔45Aに略一致する大きさ及び形状であり、第2の台座エンボス部
51Bは、長方形状の第2の貫通孔45Bに略一致する大きさ及び形状であり、第3の台
座エンボス部51Cは、正方形状の第3の貫通孔45Cに略一致する大きさ及び形状であ
る。
【0039】
防水シート50の第1の台座エンボス部51Aには、対応する第1の台座部49Aに含
まれる第1の組の3個のキートップ46Aの上端部が嵌り込む上下方向に撓む第2押圧エ
ンボス部52Aが、上方へそれぞれ膨出形成されている。また、第2の台座エンボス部5
1Bには、対応する第2の台座部49Bに含まれる第2の組の4個のキートップ46Bの
上端部が嵌り込む上下方向に撓む第2押圧エンボス部52Bが、それぞれ上方へ膨出形成
されている。更に、第3の台座エンボス部51Cには、対応する第3の台座部49Cに含
まれる第3の組の1個のキートップ46Cの上端部が嵌り込む上下方向に撓む第2押圧エ
ンボス部52Cが、上方へ膨出形成されている。
【0040】
上記の構成において、台座エンボス部51A、51B、及び51Cが、下方からそれぞ
れ対応する第1の貫通孔45A、第2の貫通孔45B、及び第3の貫通孔45Cに嵌り合
う状態に、防水シート50を天板枠6の前部下面に貼付した後、操作ケース41をネジ孔
41Aに螺合するネジ53で天板枠6に固定する。この状態で、第1の台座部49A、第
2の台座部49B、及び第3の台座部49Cは、それぞれ対応する第1の台座エンボス部
51A、第2の台座エンボス部51B、及び第3の台座エンボス部51Cに下方から嵌り
合うと共に、第2押圧エンボス部52Aに下方から第1の組の3個のキートップ46Aの
上端部が嵌り込み、第2押圧エンボス部52Bに下方から第2の組の4個のキートップ4
6Bの上端部が嵌り込み、第2押圧エンボス部52Cに下方から第3の組の1個のキート
ップ46Cの上端部が嵌り込む。
【0041】
この状態で、表面シート60が天板枠6の前部上面の所定位置である平坦な前部上面6
Tに貼付される。表面シート60のスイッチ操作部13は、第2押圧エンボス部52A、
52B、及び52Cにそれぞれ対応する部分が、若干上方へ膨出した形状に成形されて第
1押圧用エンボス部を形成しており、スイッチ操作部13がそれぞれ第2押圧エンボス部
52A、52B、及び52Cにそれぞれ対応する所定位置である前部上面6Tに表面シー
ト60が貼付された状態で、各スイッチ操作部13の裏側に、それぞれ対応する第2押圧
エンボス部52A、52B、及び52Cが、当接または近接する。この状態は、図6に示
す。スイッチ操作部13の中央部には、指でタッチしたときの感触として、上方へ突出し
たボッチ13Aを形成している。
【0042】
なお、表面シート60を予め、天板枠6の前部上面の所定位置である前部上面6Tに貼
付し、また、防水シート50を天板枠6の前部下面に貼付した後、操作ケース41をネジ
53で天板枠6に固定する順序でもよく、図6に示す構成となれば、組み立て順序は限定
されない。
【0043】
このようにして組み立てられた状態は、図6に示す。この組み立て状態において、台座
部49A、49B、及び49Cの平坦な上面は、、表面シート60が貼付される天板枠6
の平坦な前部上面6Tと実質同一レベルとなり、キートップ46(46A〜46C)の上
端面46Tは、天板枠6の前部上面6Tより若干高くなるレベルとなるように構成される
。それによって、第2押圧エンボス部52A、52B、及び52Cの上面は、天板枠6の
前部上面6Tよりも防水シート50の厚さ分だけ更に高くなる。これに対応するように、
表面シート60のスイッチ操作部13は、上方へ膨出した押圧用エンボス部を成形してお
り、第2押圧エンボス部52A、52B、及び52Cの上面が、押圧用エンボス部である
スイッチ操作部13の裏面に当接または近接状態となる。
【0044】
このような構成によって、図5に点線の矢印で示すように、表面シート60の端部から
表面シート60の裏側へ侵入した煮汁などの液体が、貫通孔45、即ち、第1の貫通孔4
5A、第2の貫通孔45B、または第3の貫通孔45Cへ流入しても、防水シート50に
よって、各キートップ46A及び各スイッチ42が覆われているため、煮汁などの液体が
各スイッチ42に到達せず、スイッチ42が誤動作することがない。また、第1の貫通孔
45A、第2の貫通孔45B、または第3の貫通孔45Cへ流入した煮汁などの液体が、
操作基板40に到達せず、侵入した煮汁などの液体による操作基板40の短絡による誤動
作もない。また、煮汁などの液体がLED44に対応する貫通孔48へ流入した場合も、
LED44及び操作基板40に到達せず、同様の効果がある。
【0045】
また、防水シート50には、それぞれ上下方向に撓む、第1の台座エンボス部51A、
第2の台座エンボス部51B、及び第3の台座エンボス部51Cが、上方へ膨出形成され
ている。もし、防水シート50が平坦なままであれば、例えば、第1の組の3個のキート
ップ46Aの一つが下方へ押されたとき、それに伴って防水シート50が引っ張られて、
その隣りのキートップ46Aが下方へ移動し、この隣りのキートップ46Aに対応するス
イッチ42の作動部43が押されてスイッチが作動することが生じる。
【0046】
しかし、本発明では、例えば、第1の台座エンボス部51Aには、対応する第1の台座
部49Aに含まれる第1の組の3個のキートップ46Aの上端部が嵌り込み上下方向に撓
む第2押圧エンボス部52Aが、上方へそれぞれ膨出形成されているため、3個のキート
ップ46Aに対応する押圧用エンボス部であるスイッチ操作部13のうちの一つが下方へ
押されても、それに対応する第2押圧エンボス部52Aの膨らみ、及び第1の台座エンボ
ス部51Aの膨らみによって、上下方向の撓みが生じ、その隣りのキートップ46Aが下
方へ押されることが抑制される。このため、この隣りのキートップ46Aに対応するスイ
ッチ42の作動部43が押されてスイッチが作動することが防止される。このように安定
したスイッチ動作が得られるものとなる。第2の台座部52Bについても同様である。
【0047】
なお、上記のように、操作基板40が操作ケース41に取り付けられた状態で、各スイ
ッチ42の作動部43の上面とキートップ46の下面との間に、僅かな隙間(実施例では
0.3mmの隙間)を存して対峙していることによって、隣接するスイッチの一方が押さ
れたことにより生じる台座エンボス部51Aの撓みによって、他方のスイッチが押される
こととなる時点を、この隙間(実施例では0.3mmの隙間)が緩衝距離として作用し、
隣りのスイッチの誤動作をより確実に防止できるものとなる。
【0048】
また、第1の組のスイッチ42、第2の組のスイッチ42、第3の組のスイッチ42の
それぞれの押圧用エンボス部13(スイッチ操作部13)が、それぞれ別個の第1の台座
エンボス部51A、第2の台座エンボス部51B、第3の台座エンボス部51Cに対応す
る関係であるため、例えば、第1の組の押圧用エンボス部13の押圧作用が、他の組の台
座エンボス部51B、51Cに影響しないので、スイッチ操作による他のスイッチへの悪
影響が及ばない構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る加熱調理器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のもの
に適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・・加熱調理器
2・・・・・本体部
2A・・・・本体部の底壁
3・・・・・天板
4・・・・・誘導加熱コイル
5・・・・・ラジェントヒータ
6・・・・・天板枠
6T・・・・天板枠の前部上面
7・・・・・台所設備台(流し台)
7A・・・・上面板
8、9・・・調理容器載置部
10・・・・シンク
11・・・・挿入孔
12A、12B・・・・物品収納空間
13・・・・操作スイッチ部
14・・・・LED表示部
15・・・・操作部
16・・・・排気部
17・・・・排気カバー
19・・・・コイルバネの支持部材
20・・・・ベース部材
25・・・・回路基板
27・・・・放熱部材
38・・・・排気孔
40・・・・操作基板
41・・・・操作ケース
42・・・・スイッチ
43・・・・スイッチの作動部
44・・・・LED
45・・・・貫通孔
46・・・・キートップ
48・・・・貫通孔
49A・・・第1の台座部
49B・・・第2の台座部
49C・・・第3の台座部
50・・・・防水シート
51A・・・第1の台座エンボス部
51B・・・第2の台座エンボス部
51C・・・第3の台座エンボス部
52A・・・第2押圧エンボス部
51B・・・第2押圧エンボス部
51C・・・第2押圧エンボス部
53・・・・ネジ
60・・・・表面シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部内に配置した複数のスイッチの作動部ごとに、上方へ膨出した押圧用エンボス部
にてスイッチ操作部を形成した表面シートが前記本体部の上面部に貼付された加熱調理器
において、前記押圧用エンボス部にそれぞれ対応する第2押圧エンボス部を膨出形成する
と共に、隣接する第2押圧エンボス部の複数が上方へ膨出した一つの台座エンボス部に間
隔を存して配置された防水フィルムを備え、前記台座エンボス部が嵌り合う開口が前記本
体部の上面部に形成され、前記表面シートと前記防水フィルムが前記本体部の上面部を上
下で挟む配置にて、前記台座エンボス部が前記開口に嵌り合った状態を保つことを特徴と
する加熱調理器。
【請求項2】
前記台座エンボス部が前記本体部の上面部に形成した開口に嵌り合った状態で、前記第
2押圧エンボス部の上面が前記表面シートに形成した押圧用エンボス部の裏側に当接また
は近接することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記表面シートと前記防水フィルムが前記本体部の上面部の上下面に貼付された状態で
、前記第2押圧エンボス部が前記本体部の上面部よりも上方へ突出した状態で、前記表面
シートに形成した押圧用エンボス部の裏側に当接または近接することを特徴とする請求項
1または2に記載の加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−174660(P2011−174660A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38688(P2010−38688)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】