説明

加熱調理器

【課題】1つのサーミスタで、マイコンによる広範囲で略正比例特性な温度検知と、マイコンを介さずに過度な温度を検知する非復帰型温度過昇検知回路を両立すること。
【解決手段】マイコン8がサーミスタ7に直列接続される複数の抵抗R91〜93を切り替えて温度検知し、最高温度域抵抗オン回路10が第2の定電圧回路6の出力電圧に基づき抵抗R91〜93のうち最高温度域の抵抗R93をオンし、非復帰型温度過昇検知回路11が、マイコン8が加熱手段3を通電制御する温度よりも高い温度を検知して加熱手段3を通電オフし、かつ最高温度域抵抗オン回路10が抵抗R93をオンできる場合に保持することにより、マイコン8による広範囲で略正比例特性な温度検知を行い、商用電源投入時に非復帰型温度過昇検知回路11が誤動作するのを防ぎ、マイコン8の故障時は非復帰型温度過昇検知回路11が加熱手段3を通電オフ維持すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般キッチンや業務用等に用いられる加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の加熱調理器、特に、誘導加熱調理器は安全・清潔・高効率という優れた特徴が認知され、普及されている。その中には、1つのサーミスタと直列接続される抵抗の分圧電圧に基づき、マイコンで温度検知して加熱手段を通電制御するとともに、マイコンが故障し過度に温度が上昇した場合にも、温度ヒューズやサーモスタットを用いることなく温度過昇検知回路のような簡易な構成で強制的に加熱手段を通電オフするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、サーミスタを使用した温度検知で、サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗を備えて、マイコンが複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき広範囲で略正比例特性な温度検知するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−5059号公報
【特許文献2】特開平6−168387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成で、例えば、特許文献1の構成では、マイコンが故障したときは、サーミスタで検知する温度が所定のヒステリシスを有しながら加熱手段のオンオフを繰り返す状態となって、温度ヒューズのように一旦過度な温度上昇を検知すると以後は加熱手段オフを維持するような構成にならない。また、この改善策として、温度過昇検知回路を一旦動作した後は温度低下しても元に復帰しない非復帰型の構成とすると、特許文献2の構成のような、サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗を備えてマイコンが複数の温度域に対応した抵抗を切り替える構成を加えたときに、商用電源投入時のようなマイコンが非動作でかつ温度過昇検知回路が動作する過渡的状態において、サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗が全てオンせずに、サーミスタと直列接続される抵抗の分圧電圧が高くなって温度過昇検知回路が誤って動作してしまい、やがてマイコンが動作するようになっても温度過昇検知回路は正常状態に復帰しないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、1つのサーミスタで、マイコンによる広範囲で略正比例特性な温度検知と、マイコンを介さずに過度な温度を検知する非復帰型温度過昇検知回路を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、定電圧回路の出力電圧を駆動電源とし、複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して加熱手段を通電制御するマイコンと、前記定電圧回路の出力電圧に基づき前記複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンし、かつ前記マイコンより入力する信号に基づき前記最も高温域の抵抗をオフする最高温度域抵抗オン回路と、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき前記マイ
コンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度を検知して前記加熱手段を通電オフした後にその状態を保持する非復帰型温度過昇検知回路を備えて、前記非復帰型温度過昇検知回路は、前記最高温度域抵抗オン回路が最も高温域の抵抗をオンできる状態になるまでは、前記マイコンが加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を保持しないようにしたものである。
【0008】
これによって、商用電源投入時のようなマイコンが非動作でかつ非復帰型温度過昇検知回路が動作する過渡的状態において、定電圧回路の出力電圧に基づき最高温度域抵抗オン回路が複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンするとともに、前記最高温度域抵抗オン回路が動作するまでは非復帰型温度過昇検知回路は温度検知を保持しないので、非復帰型温度過昇検知回路が誤って動作してもその状態を保持してしまうのを防ぎ、やがてマイコンが動作するようになった後は、マイコンが前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して加熱手段を通電制御し、さらにこの状態からマイコンが故障し過度に温度が上昇した場合には非復帰型温度過昇検知回路が動作して加熱手段を通電オフし以後維持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器は、1つのサーミスタで、マイコンによる広範囲で略正比例特性な温度検知と、マイコンを介さずに過度な温度を検知する非復帰型温度過昇検知回路を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器のブロック図
【図2】同、電源投入時の第1の定電圧回路5および第2の定電圧回路6の出力電圧を示す図
【図3】同、電源投入時の第2の定電圧回路6の出力電圧を示す拡大図
【図4】本発明の実施の形態2における加熱調理器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、加熱手段と、所定の直流電圧を出力する定電圧回路と、1つのサーミスタと、前記サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗と、前記定電圧回路の出力電圧を駆動電源とし、前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して前記加熱手段を通電制御するマイコンと、前記定電圧回路の出力電圧に基づき前記複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンし、かつ前記マイコンより入力する信号に基づき前記最も高温域の抵抗をオフする最高温度域抵抗オン回路と、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度を検知して前記加熱手段を通電オフした後にその状態を保持する非復帰型温度過昇検知回路を備えて、前記非復帰型温度過昇検知回路は、前記最高温度域抵抗オン回路が最も高温域の抵抗をオンできる状態になるまでは、マイコンが加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を保持しないようにすることにより、1つのサーミスタのみ備えた構成で、商用電源電圧が安定して供給されマイコンが動作する状態において、マイコンが複数の温度域に対応した抵抗を切り替えてサーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知するので、マイコンによる広範囲で略正比例特性な温度検知を行うことができる。
【0012】
また、商用電源投入時のようなマイコンが非動作でかつ非復帰型温度過昇検知回路が動作する過渡的状態において、最高温度域抵抗オン回路が複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンするとともに、最高温度域抵抗オン回路が動作するまでは非復帰型温度過昇検知回路は温度検知を保持しないので、マイコンが動作する前に非復帰型温度過昇検知回路が誤って動作してもその状態を保持してしまうのを防ぎ、かつ最高温度域
抵抗オン回路が動作するようになって以後にマイコンが故障する等でサーミスタの温度が過度に上昇した場合には、非復帰型温度過昇検知回路が動作して加熱手段を通電オフし以後維持することができる。
【0013】
第2の発明は、加熱手段と、所定の直流電圧を出力する定電圧回路と、1つのサーミスタと、前記サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗と、前記定電圧回路の出力電圧を駆動電源とし、前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して前記加熱手段を通電制御するマイコンと、前記定電圧回路の出力電圧に基づき前記複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンし、かつ前記マイコンより入力する信号に基づき前記最も高温域の抵抗をオフする最高温度域抵抗オン回路と、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき、前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度を検知して前記加熱手段を通電オフした後にその状態を保持する非復帰型温度過昇検知回路を備えて、前記非復帰型温度過昇検知回路は、前記最高温度域抵抗オン回路が最も高温域の抵抗をオンできる状態になるまでは、前記マイコンが加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を行わないようにすることにより、第1の発明と同様に、1つのサーミスタのみ備えた構成で、マイコンによる広範囲で略正比例特性な温度検知を行うことができるとともに、商用電源投入時のようなマイコンが非動作でかつ非復帰型温度過昇検知回路が動作する過渡的状態において、最高温度域抵抗オン回路が複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンするとともに、最高温度域抵抗オン回路が動作するまでは非復帰型温度過昇検知回路は、マイコンが加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を行わないようにするので、マイコンが動作する前に非復帰型温度過昇検知回路が誤って動作してしまうのを防ぎ、かつ最高温度域抵抗オン回路が動作するようになって以後にマイコンが故障する等でサーミスタの温度が過度に上昇した場合には、非復帰型温度過昇検知回路が動作して加熱手段を通電オフし以後維持することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1の発明または第2の発明において、マイコンは、動作を開始するときに、複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンして温度検知を開始するようにすることにより、マイコンが動作を開始し、複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗でない抵抗がオンされて、非復帰型温度過昇検知回路が誤って過度に温度が高いと検知し以後維持してしまうのを防ぐことができる。
【0015】
第4の発明は、特に第1〜3のいずれか1つの発明において、マイコンは、複数の温度域に対応した抵抗を切り替えるときに、新たな温度域に対応した抵抗をオンにした後に、これまでの温度域に対応した抵抗をオフするようにすることにより、マイコンが複数の温度域に対応した抵抗を切り替えるときに、サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧が過渡的に高くなって、非復帰型温度過昇検知回路が誤って過度に温度が高いと検知し以後維持してしまうのを防ぐことができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器のブロック図である。
【0018】
図2は、同、電源投入時の第1の定電圧回路5および第2の定電圧回路6の出力電圧を示す図である。
【0019】
図3は、同、電源投入時の第2の定電圧回路6の出力電圧を示す拡大図である。
【0020】
図1に示すように、実施の形態1における加熱調理器は、電源リレー2を介して商用電源1と加熱手段3を接続する。
【0021】
加熱手段3は、加熱コイル3a、インバータ回路3b、およびスイッチング素子3cで構成され、スイッチング素子3cをオンオフして、加熱コイル3aに数十kHzの高周波電流を印加し、加熱コイル3aと磁気結合するようにトッププレート上に載置された鍋を誘導加熱する。
【0022】
第1の定電圧回路5は、商用電源1を入力源としてDC20Vを生成・出力し、ドライバ回路4および非復帰型温度過昇検知回路11の動作電源として供給される。また、第2の定電圧回路6は、第1の定電圧回路5の出力DC20Vを入力源としてDC5Vを生成・出力し、サーミスタ7、マイコン8、温度検知回路9、最高温度域抵抗オン回路10、および非復帰型温度過昇検知回路11の動作電源として供給される。
【0023】
サーミスタ7は、加熱コイル3aの近傍に配置され、前記誘導加熱される鍋の温度を、前記トッププレートを介して間接的に検知する。
【0024】
サーミスタ7および最高温度域抵抗オン回路10は温度検知回路9に接続し、温度検知回路9は、低温域の抵抗R91、中温域の抵抗R92、および高温域の抵抗R93を備えて、抵抗R91は常時GNDに接続し、抵抗R92およびR93はトランジスタQ91およびQ101によってGNDとの接続を制御される。
【0025】
また、最高温度域抵抗オン回路10は、第2の定電圧回路6の出力電圧に基づき、抵抗R101およびR102を介してトランジスタQ101がオンし、温度検知回路9の抵抗R93とGNDを接続するとともに、トランジスタQ102がオンすると、トランジスタ101がオフし、温度検知回路9の抵抗R93とGNDを開放する。
【0026】
マイコン8は、ドライバ回路4を介してスイッチング素子3cをオンオフ制御することで加熱手段3の出力を制御する。
【0027】
また、マイコン8は、温度検知回路9のトランジスタQ91をオンオフ制御し、かつ最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をオンオフすることでトランジスタQ101をオフオン制御して、温度検知回路9の抵抗R92およびR93とGNDとの接続をオンオフ制御するとともに、サーミスタ7と温度検知回路9との分圧電圧を入力して温度検知する。
【0028】
非復帰型温度過昇検知回路11は、コンパレータIC111にて、(サーミスタ7と温度検知回路9との分圧電圧)が(抵抗R111とR112の分圧電圧)よりも高いとL出力し、マイコン8からドライバ回路4への信号を、ダイオードD111を介してL固定とし、第2の定電圧回路6の出力電圧に基づきツェナーダイオードZD111とトランジスタQ111等を介して前記L出力を維持する。
【0029】
以上のように構成された加熱調理器について、図2および図3を用いて、その動作、作用を説明する。
【0030】
図2および図3に示すように、機器に商用電源1が印加されると、第1の定電圧回路5の出力DC20Vは、緩やかに立ち上がっていき、第2の定電圧回路6の出力DC5Vは、第1の定電圧回路5の出力DC20Vの出力に少し遅れて緩やかに立ち上がっていく。
【0031】
このとき、図3のA点に示す第2の定電圧回路6の出力が1.2Vになるまでの区間A
は、サーミスタ7と温度検知回路9の低温域の抵抗R91との分圧電圧が非復帰型温度過昇検知回路11に入力されるので、サーミスタ7の温度によっては、非復帰型温度過昇検知回路11はL出力となるが、第2の定電圧回路6の出力<1.2Vなので、ツェナー電圧3.9VであるツェナーダイオードZD111を介してトランジスタQ111をオンすることはない。
【0032】
そして、図3のA点に示す第2の定電圧回路6の出力が1.2Vになると、最高温度域抵抗オン回路10は、抵抗R101およびR102を介してトランジスタQ101がオンし、温度検知回路9の高温域の抵抗R93とGNDを接続して、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧が非復帰型温度過昇検知回路11に入力され、サーミスタ7の温度が過度に高い場合を除いて、非復帰型温度過昇検知回路11はオープン出力となる。
【0033】
さらに、図3のB点に示す第2の定電圧回路6の出力が2.2Vになると、マイコン8は動作を開始し、やがて、第2の定電圧回路6の出力は5Vになる。
【0034】
そして、マイコン8は、まずは、温度検知回路9のトランジスタQ91、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をともにオフして、温度検知回路9の抵抗R91および抵抗R93がGND接続されるようにし、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧に基づき高温域の温度検知を行う。
【0035】
そして、マイコン8が高温域の温度検知を行っているときに、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧が第1の所定電圧未満になると、マイコン8は、温度検知回路9のトランジスタQ91をオンした後に、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をオンしてトランジスタQ101をオフにし、温度検知回路9の抵抗91および(抵抗R93とR92の直列抵抗)がGND接続されるようにし、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91と(R93+R92)の並列抵抗)との分圧電圧に基づき中温域の温度検知を行う。
【0036】
また、マイコン8が中温域の温度検知を行っているときに、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91と(R93+R92)の並列抵抗)との分圧電圧が第2の所定電圧未満になると、マイコン8は、温度検知回路9のトランジスタQ91をオフし、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をオン維持してトランジスタQ101をオフ維持し、温度検知回路9の抵抗91のみGND接続されるようにして、サーミスタ7と温度検知回路9の抵抗R91との分圧電圧に基づき低温域の温度検知を行う。
【0037】
また、マイコン8が中温域の温度検知を行っているときに、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91と(R93+R92)の並列抵抗)との分圧電圧が第3の所定電圧(>前記第2の所定電圧)以上になると、マイコン8は、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をオフしトランジスタQ101をオンした後に、温度検知回路9のトランジスタQ91をオフして、温度検知回路9の抵抗91および抵抗R93がGND接続されるようにし、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧に基づき高温域の温度検知を行う。
【0038】
また、マイコン8が低温域の温度検知を行っているときに、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧が第4の所定電圧以上になると、マイコン8は、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をオン維持してトランジスタQ101をオフ維持し、温度検知回路9のトランジスタQ91をオンして、温度検知回路9の抵抗91および(抵抗R93とR92の直列抵抗)がGND接続されるようにし、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91と(R93+R92)の並列抵抗)
との分圧電圧に基づき中温域の温度検知を行う。
【0039】
以上の構成により、サーミスタ7の温度に基づき、マイコン8は、抵抗R91のみ、抵抗R91と(抵抗R93とR92の直列抵抗)の並列抵抗、抵抗R91とR93の並列抵抗といった、3つの温度域を切り替えるので、広範囲で略正比例特性な温度検知を行うことができる。
【0040】
そして、マイコン8は、電源リレー2をオンした後に、H出力をして、ドライバ回路4を介してスイッチング素子3cをオンし、L出力をして、ドライバ回路4を介してスイッチング素子3cをオフするようにドライバ回路4へ信号を出力し、ドライバ回路4を介してスイッチング素子3cをオンオフ制御することで加熱手段3の出力を制御するとともに、マイコン8が高温域の温度検知を行っているときの検知温度が第1の制御温度以上になると、ドライバ回路4へL出力して加熱手段3の出力をオフする。
【0041】
さらに、マイコン8の暴走等で、マイコン8が高温域の温度検知を行っているときの検知温度が前記第1の制御温度以上になっても、マイコン8からドライバ回路4へ引き続きH/L信号が出力されて加熱手段3の出力がオフしない場合は、非復帰型温度過昇検知回路11は、サーミスタ7と温度検知回路9との分圧電圧が、前記第1の制御温度に該当する電圧よりも高い電圧値(抵抗R111とR112の分圧電圧)以上になると、コンパレータIC111がL出力となり、ダイオードD111を介してマイコン8からドライバ回路4への信号をL固定し、スイッチング素子3cを強制オフして加熱手段3の出力をオフするとともに、図3のC点に示す第2の定電圧回路6の出力が3.9V以上の区間Dなので、ツェナーダイオードZD111を介してトランジスタQ111をオンしてコンパレータIC111の−入力をDC5Vに固定し、以後、サーミスタ7の温度が低下してもコンパレータIC111はL出力を維持し、加熱手段3の出力オフを維持する。
【0042】
ちなみに、マイコン8が中温域または低温域で温度検知を行っているときにマイコン8が暴走する場合も考えられるが、高温域で温度検知を行っている場合よりも低い温度で非復帰型温度過昇検知回路11のコンパレータIC111の−入力に同電圧が印加されるので、より低い温度にてコンパレータIC111がL出力となり安全側となる。
【0043】
以上の構成により、マイコン8が故障し過度に温度が上昇した場合には非復帰型温度過昇検知回路11が動作して加熱手段3を通電オフし以後維持することができる。
【0044】
また、マイコン8は、動作を開始するときに、温度検知回路9のトランジスタQ91、最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ102をともにオフして、温度検知回路9の抵抗R91および抵抗R93がGND接続されるようにし、サーミスタ7と温度検知回路9の(抵抗R91とR93の並列抵抗)との分圧電圧に基づき高温域の温度検知を行って、中温域や低温域の抵抗がオンされることにより非復帰型温度過昇検知回路11が誤って過度に温度が高いと検知し以後維持してしまうのを防ぐことができる。
【0045】
さらに、マイコン8は、高温域→中温域、または中温域→高温域に対応した抵抗に切り替えるときに、新たな温度域に対応した抵抗をオンにした後に、これまでの温度域に対応した抵抗をオフするようにして、マイコン8抵抗を切り替えるときにサーミスタ7と直列接続される抵抗との分圧電圧が過渡的に高くなって、非復帰型温度過昇検知回路11が誤って過度に温度が高いと検知し以後維持してしまうのを防ぐことができる。
【0046】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における加熱調理器のブロック図である。
【0047】
実施の形態1と異なる点は、図1において、ツェナーダイオードZD111とトランジスタQ111等によって、第2の定電圧回路6の出力電圧で最高温度域抵抗オン回路10のトランジスタQ101をオンできるようになってから、非復帰型温度過昇検知回路11のL出力を維持する構成としている代わりに、図4に示すように、第2の定電圧回路6の出力電圧が5Vになるような第1の定電圧回路5の出力電圧(例えば12V)になるまでは、ツェナーダイオードZD112とトランジスタQ112等によってコンパレータIC111の+入力をH固定し、サーミスタ7と温度検知回路9との分圧電圧によらずコンパレータIC111を常にオープン出力とする構成としたことである。
【0048】
以上の構成により、実施の形態1と同様に、マイコン8による広範囲で略正比例特性な温度検知を行うことができるとともに、商用電源投入時のような過渡的状態において、第2の定電圧回路6の出力電圧が最高温度域抵抗オン回路10やマイコン8が動作可能になるような電圧値になるまではコンパレータIC111が常にオープン出力になるようにして、非復帰型温度過昇検知回路11が誤って動作してしまうのを防ぎ、かつ最高温度域抵抗オン回路10やマイコン8が動作可能になって以後にマイコン8が故障する等でサーミスタ7の温度が過度に上昇した場合には、非復帰型温度過昇検知回路11のコンパレータIC111の出力がLになって、ダイオードD111を介してマイコン8からドライバ回路4への信号をL固定し、加熱手段3を通電オフし以後維持することができる。
【0049】
なお、図4では、12VのツェナーダイオードZD112と第1の定電圧回路5の出力とを接続しているが、例えば、ツェナーダイオードZD112の接続先を第1の定電圧回路5の出力→第2の定電圧回路6の出力に変更し、ツェナーダイオードZD112のツェナー電圧を、最高温度域抵抗オン回路10が高温域の抵抗R93をオンできる電圧(図3のA点)よりも大きな値(例えば3.9V)としても良い。
【0050】
さらに、実施の形態1および2では、最高温度域抵抗オン回路10が高温域の抵抗R93をオンできる電圧(図3のA点)を、マイコン8が動作を開始する電圧(図3のB点)よりも低くしているが、図1の非復帰型温度過昇検知回路11が過度の温度の検知結果を保持可能となる電圧、または図4の非復帰型温度過昇検知回路11が過度の温度の検知できるようになる電圧(図3のC点)よりも低くなる範囲で任意に設定することができる。
【0051】
さらに、実施の形態1および2では、マイコン8は、図3のB点に示す第2の定電圧回路6の出力≧2.2Vで動作を開始するが、マイコン8のマスクROMまたはフラッシュメモリに内蔵されたプログラムが動作するまでに所定の待ち時間を設けたものがあり、第2の定電圧回路6の出力電圧の立ち上がり方によっては、前記待ち時間後には第2の定電圧回路6の出力電圧が図3のC点よりも高くなる場合がある。この場合に、実施の形態1で示す、最高温度域抵抗オン回路10が動作して高温域の抵抗R93をオンし、最高温度域抵抗オン回路10が非動作のときに非復帰型温度過昇検知回路11は、図1で示した過度の温度の検知結果を保持しない構成、または図4で示した過度の温度と検知しないようにする構成が更に有効に機能する。
【0052】
さらに、実施の形態1および2では、低温域/中温域/高温域の3つの温度域としているが、2つまたは4つ以上の温度域を有する構成においても、同様の効果を得ることができる。
【0053】
さらに、実施の形態1および2では、中温域の抵抗R92と高温域の抵抗R93を直列接続しているが、各々が低温域の抵抗R91と並列となるように接続した構成としても良い。
【0054】
さらに、実施の形態1および2では、低温域の抵抗R91は常時GND接続されている
が、マイコン8によってGNDとの接続を制御する構成としても良い。
【0055】
さらに、マイコン8がオープンドレイン出力を有する場合、温度検知回路9のトランジスタQ91と抵抗R94、R95を削除して、簡易な構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、マイコン8が温度検知手段の抵抗R92およびR93とGNDとの接続を切り替えて広範囲で略正比例特性な温度検知を行うとともに、マイコン8が暴走したときは、非復帰型温度過昇検知回路11で加熱手段3の出力をオフし以後維持することができるので、誘導加熱する手段や、ラジェントヒーター、ハロゲンヒーター、シーズヒーター等を使用、またはこれらを組み合わせた多口加熱調理器への用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 商用電源
2 電源リレー
3 加熱手段
5 第1の定電圧回路
6 第2の定電圧回路
7 サーミスタ
8 マイコン
9 温度検知回路
10 最高温度域抵抗オン回路
11 非復帰型温度過昇検知回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、所定の直流電圧を出力する定電圧回路と、1つのサーミスタと、前記サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗と、前記定電圧回路の出力電圧を駆動電源とし、前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して前記加熱手段を通電制御するマイコンと、前記定電圧回路の出力電圧に基づき前記複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンし、かつ前記マイコンより入力する信号に基づき前記最も高温域の抵抗をオフする最高温度域抵抗オン回路と、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき、前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度を検知して前記加熱手段を通電オフした後にその状態を保持する非復帰型温度過昇検知回路を備えて、前記非復帰型温度過昇検知回路は、前記最高温度域抵抗オン回路が前記最も高温域の抵抗をオンできる状態になるまでは、前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を保持しないようにした加熱調理器。
【請求項2】
加熱手段と、所定の直流電圧を出力する定電圧回路と、1つのサーミスタと、前記サーミスタに直列接続される複数の温度域に対応した抵抗と、前記定電圧回路の出力電圧を駆動電源とし、前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えて、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき温度検知して前記加熱手段を通電制御するマイコンと、前記定電圧回路の出力電圧に基づき前記複数の温度域に対応した抵抗のうち最も高温域の抵抗をオンし、かつ前記マイコンより入力する信号に基づき前記最も高温域の抵抗をオフする最高温度域抵抗オン回路と、前記サーミスタと直列接続される抵抗との分圧電圧に基づき、前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度を検知して前記加熱手段を通電オフした後にその状態を保持する非復帰型温度過昇検知回路を備えて、前記非復帰型温度過昇検知回路は、前記最高温度域抵抗オン回路が前記最も高温域の抵抗をオンできる状態になるまでは、前記マイコンが前記加熱手段を通電制御する温度よりも高い温度の検知を行わないようにした加熱調理器。
【請求項3】
前記マイコンは、動作を開始するときに、前記複数の温度域に対応した抵抗のうち前記最も高温域の抵抗をオンして温度検知を開始するようにした請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記マイコンは、前記複数の温度域に対応した抵抗を切り替えるときに、新たな温度域に対応した抵抗をオンにした後に、これまでの温度域に対応した抵抗をオフするようにした請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98107(P2013−98107A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241894(P2011−241894)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】