説明

加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタ

【課題】低コストで良好な加飾フィルタを提供する。
【解決手段】光を透過する基板と、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムと前記基板とを接着するための粘着剤と、を有し、前記樹脂フィルムの面方向において、最大の屈折率Nxとなる一方の方向と、最小の屈折率Nyとなる他方の方向とし、前記樹脂フィルムの厚さ方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)であって、前記樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであることを特徴とする加飾フィルタを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶等の画像表示装置においては、表示画面の前面に加飾フィルタが設けられたものが増加しつつある。加飾フィルタは、画像表示装置における表示を見やすくするため反射防止機能を有するとともに、画像表示装置の美感を向上させて高級感等を与えることから、加飾フィルタを搭載した画像表示装置は付加価値の高いものとなる。このため、画像表示装置においては加飾フィルタの重要性は高い。このような加飾フィルタとしては、特許文献1及び2に示されるように、ガラス基板上に樹脂材料からなる透明フィルムが貼り付けられている構造のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66226号公報
【特許文献2】特開2006−163151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像表示装置においては、低コスト化も重要な要素の1つである。即ち、低価格な加飾フィルタを用いることにより、画像表示装置の全体の価格も引き下げることが可能となるため、低価格で良好な機能性を有する加飾フィルタが望まれている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みたものであり、低価格で良好な加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光を透過する基板と、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムと前記基板とを接着するための粘着剤と、を有し、前記樹脂フィルムの面方向において、最大の屈折率Nxとなる一方の方向と、最小の屈折率Nyとなる他方の方向とし、前記樹脂フィルムの厚さ方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)であって、前記樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、光を透過する基板と、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムと前記基板とを接着するための粘着剤と、を有し、前記樹脂フィルムの面方向において、最大の屈折率Nxとなる一方の方向と、最小の屈折率Nyとなる他方の方向とし、前記樹脂フィルムの厚さ方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)であって、前記樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであって、前記樹脂フィルムの面内方向における屈折率Nx、Nyは、1.6<Nx、1.6<Nyであって、前記樹脂フィルムの膜厚方向における屈折率Nxは、Nx<1.5であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレート樹脂を含む材料により形成されたものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記樹脂フィルムにおいて、前記基板と接着される面と反対側の面には、反射防止膜を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記樹脂フィルムにおいて、前記基板と接着される面には、前記粘着剤が付着しやすくなるように易接着層が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記一方の方向と前記他方の方向とは、略直交する方向であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記記載の加飾フィルタを含むものであって、画像表示装置の表示面側に設置されるものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記画像表示装置は、液晶ディスプレイ、PDP、ELディスプレイのいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低価格で良好な加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】加飾フィルタの構造図
【図2】クロスニコルの状態の評価装置の構造図
【図3】x軸を中心に回転させた場合における傾斜角度とリタデーションの相関図
【図4】y軸を中心に回転させた場合における傾斜角度とリタデーションの相関図
【図5】虹ムラの発生原因の説明図
【図6】屈折率差ΔNと角度θiとの相関図
【図7】屈折率Nzと角度θiとの相関図
【図8】本実施の形態における加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタの構造図
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0017】
図1に示されるように、液晶等の画像表示装置用の加飾フィルタ200は、ガラス基板210に、反射防止フィルム220を粘着剤230により貼り付けた構造のものである。反射防止フィルム220において、一方の面には粘着剤230による接着がし易いように易接着層223が設けられており、他方の面には反射防止層222が形成されている。このような加飾フィルタ200は、ガラス基板210が画像表示装置側となるように設置されており、人は反射防止膜222が形成されている面より加飾フィルタ200を介し、画像表示装置に表示される画像を認識する。
【0018】
このような樹脂フィルム221としては、主にTAC(Triacetylcellulose)樹脂が用いられているが、より低価格なポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene Terephthalate)樹脂を用いることができれば、加飾フィルタ200を低価格で作製することができ、ひいては画像表示装置の価格をより低価格にすることが可能となる。
【0019】
ところで、このようにPET樹脂からなる樹脂フィルム221を用いた加飾フィルタ200では、リング状の虹色の干渉縞(以下虹ムラ)が生じることが確認されており、このような虹ムラが発生すると美観や視認性にも影響を与える。特に、リング状の虹ムラの中心や間隔が狭い干渉縞が生じると、虹ムラが目立ちやすい。このような虹ムラは樹脂フィルム221としてTAC樹脂を用いた場合には発生しないことから、加飾フィルタ200において、樹脂フィルム221としてPET樹脂を用いる場合において大きな課題である。
【0020】
この虹ムラの発生原因について、発明者は検討を重ねたところ、虹ムラは、加飾フィルタ200を形成している樹脂フィルム221の材料に起因して発生するものであること、画像表示装置の前に机等の光を反射する部材を設置した場合に特に確認されやすく、また、所定の角度付近で観察されやすいこと、更に、偏光板を通してみると虹ムラは強調されること等を見出すに至った。これらのことから、虹ムラはある偏光状態の光が樹脂フィルム221に入射し、樹脂フィルム221において、光の偏光状態が変化することにより発生しているものと推察され、具体的には以下のように推察される。即ち、光がブリュスター角に近い角度にて机等の光を反射する部材に入射することにより、その反射光はある直線偏光に近い偏光状態を持ち、樹脂フィルム221に入射し、樹脂フィルム221を形成しているPET樹脂における位相差により偏光状態が変化する。その後、樹脂フィルム221が貼られたのと反対側のガラス表面により光が反射し、更に、反射光は樹脂フィルム221により偏光状態が変化し、樹脂フィルム221から光が出射する。樹脂フィルム221が貼られている面と反対側のガラス表面での反射、あるいは樹脂フィルム221から光が出射する際には、またブリュスター角に近い角度となることから、検光子同様の機能を有し、樹脂フィルム221から出射する光は波長により光量が変化する。その為虹色の干渉縞が生じているものと推察される。
【0021】
また、樹脂フィルム221として用いられるPET樹脂の特性等を変えた場合には、虹ムラの発生状況が異なり、虹ムラが顕著に発生する場合と、そうでない場合とがあることが確認されている。
【0022】
このことを特性等の異なるPET樹脂からなる試料S1、試料S2、試料S3、試料S4に基づき説明する。試料S1は、あるPET樹脂を用いて厚さが188μmとなるように形成したものであり、虹ムラの中心が確認され、かつ、虹ムラの干渉縞が顕著に発生するものである。試料S2は、試料S1と同一のPET樹脂を用いて厚さが100μmとなるように形成したものであり、虹ムラの中心が確認されるが干渉縞は試料S1よりは程度が低い。試料S3は、試料S1とは異なるPET樹脂を用いて、厚さが188μmとなるように形成したものであり、虹ムラの中心は確認されないが虹ムラの干渉縞は試料1と同程度観察される。試料S4は、試料S3と同一のPET樹脂を用いて厚さが100μmとなるように形成したものであり、発生する虹ムラは目立たないものである。
【0023】
最初に、図2に示すような、光源部11、偏光子12、検光子13、を有するいわゆるクロスニコルの状態を観察するための評価装置において、試料S1〜S4について試料を傾斜させた場合における虹ムラの発生について説明する。偏光子12と検光子13とをいわゆるクロスニコルの状態にし、偏光子12と検光子13との間に試料S1〜S4おいて、サンプルを回転させ消光状態により試料S1〜S4の光軸を確認した。光軸を中心として試料を傾斜させた時の試料S1〜S4の状態を観察したところ、いずれの試料についても一方の光軸を中心に回転させた時のみ虹ムラが発生した。
【0024】
この時の、虹ムラの中心が発生しない光軸をx軸、虹ムラの中心が発生する光軸をy軸とし、リタデーションの変化について説明する。リタデーションは大塚電子社製RETS−100により測定した。この結果を図3及び図4に示す。測定に用いた波長は550nmである。図3は、x軸を中心軸とし、試料S1〜S4を傾斜させた場合を示すものであり、図4は、y軸を中心軸とし、試料S1〜S4を傾斜させた場合を示すものである。
【0025】
図3及び図4に示されるように、虹ムラのあまり確認されない試料S4は、試料S1、S2及びS3に対しリタデーションの値が全体的に低い。また、図4に示されるように、y軸を中心に回転させた場合では、試料S3及びS4は傾斜角度θが20°前後でリタデーションが約0nmとなるのに対し、試料S1及びS2では、傾斜角度θが45°前後でリタデーションが約0nmとなる。更に、試料S1及びS2あるいは試料S3及びS4においては、厚さが薄い方がリタデーションの値が低くなる。
【0026】
以上より、虹ムラはリタデーションにも起因して生じているものと考えられ、リタデーションの値を低くすることにより、虹ムラの発生を抑制することができるものと推察される。
【0027】
次に、屈折率により、試料を傾斜させた場合における虹ムラの発生について説明する。屈折率の測定はメトリコン社モデル2010プリズムカプラにより行った。測定は632.8nm波長のHe−Neレーザーを用い、面内方向の屈折率はTEモードにより、厚さ方向の屈折率はTMモードを使用した。表1に示すように、PET樹脂を用いて板状に成型した樹脂フィルムは、3次元方向において各々屈折率が異なっている。即ち、PET樹脂からなる試料S1と試料S3は、x軸方向の屈折率Nx、y軸方向の屈折率Ny、厚さ方向(以下z軸)の屈折率Nzが異なっている。これに対し、TAC樹脂を用いて板状に成型した樹脂フィルムでは、x軸方向の屈折率Nx、y軸方向の屈折率Ny、z軸方向の屈折率Nzが略等しい。尚、x軸方向、y軸方向、z軸方向は、相互に直交するものとする。角度θtは、試料S1、S3における屈折率楕円体を想定した場合、断面が円となる面に垂直な方向に光が伝播する時の角度であり、図5に示されるように、x−z平面においてz軸となす角度を示す。角度θiは、試料S1、S3内においてz軸に対しθtの角度で光が進行するように、試料S1、S3に光を入射させるための角度である。尚、試料S2は試料S1と、試料S4は試料S3と同様であるものと考えられる。
【0028】
表1における角度θtはNx、Ny、Nzより楕円の式を用いて算出したものであり、角度θiは、スネルの法則により、角度θtと角度θiとが、下記の(1)に示す式の関係を有していることから、(1)に示す式に基づき算出したものである。尚、nは空気の屈折率であり、1としている。

×sinθi={(Nx+Ny)/2}×sinθt・・・・・(1)
【0029】
【表1】

表1に示されるように、虹ムラが顕著に発生する試料S1では、角度θiは42.1°であるのに対し、虹ムラがあまり確認されない試料S3では、角度θiは18.3°である。尚、試料S1〜S4は、面内方向における屈折率Nx、Nyは、ともに、屈折率は1.6以上であり、厚さ方向における屈折率Nzは、1.5以下である。即ち、1.6<Nx、1.6<Nyであり、Nz<1.5である。
【0030】
ところで、樹脂フィルム221として用いられる材料においては、入射する光の偏光方向に依存して、透過率及び反射率が異なる場合があり、この場合、入射角度に依存して、透過率と反射率との差が顕著となる。例えば、屈折率1.5の媒体に光を入射させた場合、媒体が形成する面に対し垂直方向より、0°〜30°(0°以上、30°以下を意味するものとする)の範囲では、透過率及び反射率は、あまり偏光方向に依存することなく同じ値となるが、30°〜80°(30°を超え、80°未満を意味するものとする)の範囲では、偏光方向に依存して透過率及び反射率が大きく異なる。即ち、樹脂フィルム221に入射する光は、机の反射等の何らかの原因により偏光状態が偏った光となっているものと考えられ、この光が樹脂フィルム221に所定の角度で入射することにより透過光及び反射光において偏光分離が生じる。これにより図2の評価装置で確認するのと同様な虹ムラが発生するものと推察される。尚、屈折率1.5の媒体におけるブリュスター角は、約56°であり、屈折率1.65の媒体におけるブリュスター角は、約59°であり、特に、この角度近辺で虹ムラが顕著に観察される。
【0031】
虹ムラの中心が顕著に確認される試料S1は、角度θiが42.1°であり、偏光方向により透過率及び反射率が大きく異なる30°〜80°の範囲内であるのに対し、虹ムラの中心があまり確認されない試料S3は、角度θiが18.3°であり、偏光状態に透過率及び反射率はあまり依存しない0°〜30°の範囲内にある。よって、角度θiが、30°<θi<80°の範囲では虹ムラの中心部分が発生しやすく、0°≦θi≦30°、または、80°≦θi≦90°の範囲では、虹ムラの中心部分は発生しにくいものと推察される。よって、角度θiは、0°≦θi≦30°、または、80°≦θi≦90°の範囲であることが好ましい。
【0032】
ところで、角度θiはNxとNyとNzとの関係に依存する。図6に、(Nx+Ny)/2=1.66とし、ΔN=Nx−Nyとした場合における角度θiと屈折率差ΔNとの関係を示す。図6に基づくならば、Nzに依存して0°≦θi≦30°とするためのΔNと、また、80°≦θiとするためのΔNはNzの値により様々である。一方、図7に示されるように、角度θiは(Nx−Nz)/(Ny−Nz)と相関がみられ、0°≦θi≦30°とするためには、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12とする必要がある。また、80°≦θiとするためには、1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)とする必要がある。試料S1と試料S3の(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値はそれぞれ1.22と1.04であった。
【0033】
更には、前述したように、虹ムラの縞の間隔はリタデーションの値にも依存することから、虹ムラを目立たなくするためには、厚さを薄くすることも効果的と考えられる。
【0034】
表2は、図2に示す装置において、試料S1〜S11を、y軸方向を中心に45°傾斜させた場合と、60°傾斜させた場合の虹ムラの発生を示したものである。試料S5、試料S6、試料S7、試料S8は、試料S1と同じPET樹脂を用いてそれぞれ厚さ150μm、125μm、50μm、38μmとなるように形成したものであり、試料S9、試料S10、試料S11は、試料S3と同じPET樹脂を用いてそれぞれ厚さ150μm、125μm、50μmとなるように形成したものである。虹ムラの中心が確認されるものは×、されないものは○とし、サンプルを前後に5°傾けた際に虹ムラの干渉の数の周期を数え、3以下は○、4は△、5以上は×とした。総合評価は全ての判定で○のものを○とし、△があるものを△、いずれかで×があるものを×とした。
【0035】
【表2】

表2より、加飾フィルタを形成するための樹脂フィルムの厚さtは、150μm以下であることが好ましく、更には、125μm以下であることが好ましい。尚、樹脂フィルムとしての形態を維持するためには、厚さは20μm以上であることが好ましい。以上より、樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであることが好ましく、更には、30μm≦t≦125μmであることが好ましい。
【0036】
これらに基づき、本実施の形態における加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタについて説明する。本実施の形態における加飾フィルタ100は、図8に示されるように、ガラス基板110に、反射防止フィルム120を粘着剤130により貼り付けた構造のものである。反射防止フィルム120において、粘着剤130と接する一方の面には易接着層123が設けられており、他方の面には反射防止層122が形成されている。
【0037】
本実施の形態では、樹脂フィルム121はPET樹脂により形成されており、樹脂フィルム121の厚さtは、20μm≦t≦150μmとなるように、より好ましくは30μm≦t≦125μmとなるように形成されており、例えば、約100μmの厚さで形成されている。また、樹脂フィルム121の面内方向において、屈折率が最大となる方向(この方向をx軸方向とする)における屈折率をNxとし、x軸に略直交する方向であるy軸方向における屈折率をNyとし、樹脂フィルム121の厚さ方向であるz軸方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12となる樹脂材料、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)となる樹脂材料により形成されている。尚、PET樹脂をフィルム状に形成した場合においては、フィルムの面内方向において、屈折率が最大となる方向と屈折率が最小となる方向は略直交する。よって、上記の場合においては、y軸方向は屈折率が最小となる方向となる。
【0038】
ガラス基板110は、屈折率が約1.52であって厚さが約2mmのガラス材料により形成されている。反射防止層122は、シリカ系の材料またはフッ化物を含むものであって、樹脂フィルム121よりも屈折率の低い低屈折率材料により所定の膜厚となるように形成されている。易接着層123は、屈折率が1.5〜1.6であって、厚さが0.05μm〜0.1μmとなるように形成されている。粘着剤130は、屈折率が約1.48であって、厚さが約25μmとなるように形成されている。
【0039】
また、本実施の形態における加飾フィルタ及び画像表示装置用フィルタでは、ガラス基板110としてガラスを用いているが、ガラスに代えて可視光を透過する樹脂材料等により形成したものであってもよい。
【0040】
この加飾フィルタ100は、画像表示装置が位置する側がガラス基板110側となるように設置され、画像表示装置用フィルタとして用いられるものである。このような画像表示装置としては、液晶ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを含むELディスプレイ等が挙げられる。
【0041】
尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0042】
100 加飾フィルタ
110 ガラス基板
120 反射防止フィルム
121 樹脂フィルム
122 反射防止層
123 易接着層
130 粘着剤
140 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する基板と、
樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムと前記基板とを接着するための粘着剤と、
を有し、前記樹脂フィルムの面方向において、最大の屈折率Nxとなる一方の方向と、最小の屈折率Nyとなる他方の方向とし、前記樹脂フィルムの厚さ方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)であって、
前記樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであることを特徴とする加飾フィルタ。
【請求項2】
光を透過する基板と、
樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムと前記基板とを接着するための粘着剤と、
を有し、前記樹脂フィルムの面方向において、最大の屈折率Nxとなる一方の方向と、最小の屈折率Nyとなる他方の方向とし、前記樹脂フィルムの厚さ方向における屈折率をNzとした場合、(Nx−Nz)/(Ny−Nz)の値が、1≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)≦1.12、または1.6≦(Nx−Nz)/(Ny−Nz)であって、
前記樹脂フィルムの厚さtは、20μm≦t≦150μmであって、
前記樹脂フィルムの面内方向における屈折率Nx、Nyは、1.6<Nx、1.6<Nyであって、
前記樹脂フィルムの膜厚方向における屈折率Nxは、Nx<1.5であることを特徴とする加飾フィルタ。
【請求項3】
前記樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレート樹脂を含む材料により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾フィルタ。
【請求項4】
前記樹脂フィルムにおいて、前記基板と接着される面と反対側の面には、反射防止膜を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加飾フィルタ。
【請求項5】
前記樹脂フィルムにおいて、前記基板と接着される面には、前記粘着剤が付着しやすくなるように易接着層が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加飾フィルタ。
【請求項6】
前記一方の方向と前記他方の方向とは、略直交する方向であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の加飾フィルタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の加飾フィルタを含むものであって、
画像表示装置の表示面側に設置されるものであることを特徴とする画像表示装置用フィルタ。
【請求項8】
前記画像表示装置は、液晶ディスプレイ、PDP、ELディスプレイのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−29750(P2013−29750A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167014(P2011−167014)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】