説明

動力散布機のホース洗浄方法及びその装置

【課題】
動力散布機のホースに付着する土、泥、ゴミ等をホース表面から確実に除去し、巻取りドラムに置けるホースの巻取りを良好に行うことのできる動力散布機のホース洗浄方法とその装置を提供する。
【解決手段】
原動機とポンプを稼動させた状態で巻取りドラムにホースを巻き取ると共に、ホースの先端のノズルからホンプの可動によって得られる高圧の液体の噴射を、巻取りドラムに巻き取る前の過程でホースに噴射し、ホース表面に付着した土、泥、ゴミ等の除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば農作物に薬液等を散布するための動力散布装置のホース洗浄方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの薬液等を散布する動力散布機は、原動機、ポンプ、クラッチ、駆動輪、ホース及びそのホースを巻き取る巻取りドラム等を、機体フレーム内に一体に配置して設置空間の向上と、作業性を良好にした動力散布機は、例えば特開2000−157139号公報(特許文献1)のように公知であり、原動機の動力を利用して動力散布機のホースを巻取りドラムから送出し、巻取りを行う装置も実告平5−15506号公報(特許文献2)のように知られているものである。
【0003】
そして、前記公報のような構成を元に巻取りドラムでホース巻取る動作を実施する場合に、ホースに巻き取りながら付着した土、泥汚れ、ゴミ等を、巻取りドラムに巻き取られる前の工程に掃除しようとする発明、例えば特開平5−23087号公報(特許公報3)のように、ホースの巻取りの誘導バーにスクレーパを装着し、そのスクレーパに噴霧ホースを貫通し、スクレーパの前又は後ろにブラシを配置して巻き取るホースを掃除する巻取り装置。また、機体の巻取りドラムに巻かれたホースの繰出し部分に外方に案内するホースガイドが螺旋状に形成され、その螺旋状のホースガイドによって巻取り時にホースガイドに加わる負荷が軽減され、ホースの巻取りが容易に行えると共に、ホースに付着する泥、ゴミ等を除去できるホースガイドが特開2002−332167号公報(特許文献4)に記載されている。そして、特開2001−186834号公報(特許文献5)では、ホースを支持しながら巻取りドラムからホース繰出巻取機の機外まで案内するガイド機構に、土を擦り落とす部材を設けて、その部材とホースの表面を接触させてホース表面に付着する泥等を除去するホース繰出巻取機も公知となっている。以上の公報から巻取りドラムにホースを巻き取る前の工程で、ホースと接触させながら土、泥、ゴミ等を極力除去しようとするホースの掃除装置が多種発明されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−157139号公報
【特許文献2】実告平5−15506号公報
【特許文献3】特開平5−23087号公報
【特許文献4】特開2002−332167号公報
【特許文献5】特開2001−186834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3、4、5のようなホースを巻き取りながら、巻取りドラムに巻き取る前の工程で、ブラシや土擦り落し部材にホースを接触させて土、泥、ゴミ等を除去する方法及び装置においては、ブラシ等の掃除部材にホースの巻取り作業によって多くの泥等が付着した場合などは、ホースに付着した泥等を取除くことが困難となるばかりか、ブラシ等の掃除部材に泥が固着して、ホースの巻取りが良好に行えなくなる現象が発生する。また、水田内の水中を走行したホースには、多くの水草が絡みついていることが多く、ホースの巻取りによってブラシ等の掃除部材に水草が付着し、ホースの巻取りがホースと水草の抵抗によって巻取りが出来なくなる現象が発生してしまう。
【0006】
更に、巻取り時のブラシ等の掃除部材とホースを接触させる掃除方法だけであっては、ホースに付着した細かな泥を完全に取除くことは不可能であるばかりか、ホースに付着した病菌類を取除くことは極めて困難であって、湿気を有した巻取りドラム自体が病原菌の増殖場所になる可能性が極めて高くなるものである。
【0007】
そこで本発明では、このような問題点を解決しようとするものであって、原動機とポンプを稼動させた状態で巻取りドラムにホースを巻き取ると共に、ホースの先端のノズルからホンプの可動によって得られる高圧の液体の噴射を、巻取りドラムに巻き取る前の過程でホースに噴射し、ホース表面に付着した土、泥、ゴミ等の除去を行い、動力散布機のホースとその巻取り装置部分における土やゴミ等の付着で発生する動作の不具合を防止してトラブル現象を抑制すると共に、ホースや巻取りドラム、更に動力散布機自体を衛生的に良好に保つことを可能として、動力散布機自体が病原菌の発生を生じさせない動力散布機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は請求項1ないし請求項9に係る動力散布機のホース洗浄方法及びその装置を提供する。
【0009】
即ち、請求項1に係る動力散布機のホース洗浄方法は、原動機と、原動機からの動力に依って回転するポンプと、ポンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、そのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成された動力散布機において、巻取りドラムにホースを巻き取る際に、その巻き取られるホースの先端部からポンプで加圧された液体を噴射して、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、巻き取られるホースの表面を洗浄することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に係る動力散布機のホースの洗浄装置は、原動機と、原動機からの動力に依って回転するポンプと、ポンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、そのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成された動力散布機において、巻取りドラムにホースを巻き取りながら、その巻き取られるホースの先端部からポンプで加圧された液体をそのホースの表面に噴射して、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で巻き取られるホースの洗浄を行うように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る動力散布機のホース洗浄装置は、原動機と原動機からの動力に依って回転するポンプと、ホンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、原動機からの動力に依ってそのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成した動力散布機において、原動機とポンプと巻取りドラムはその回転を連動するように構成され、ポンプと巻取りドラムには原動機からの動力を制御できるものであって、ポンプには加圧する液体をポンプ内に取り込む液体吸引ホースと、ポンプ内で加圧された液体を巻取りドラムのホース内に送り込むための加圧ホースが巻取りドラムの基端に連結され、巻取りドラムは、ポンプのからの加圧液体を内部に流入させるホースが巻取りドラムの基端から、ノズルを備えたホース先端までが巻き取られるように構成されており、原動機の動力で稼動したポンプが加圧した液体をホース内に流入させると共に、原動機の動力で巻取りドラムを回転させてホースを巻き取りながら、ホースの先端部のノズルから加圧液体を、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、ホースの巻取り方向に対して対向して加圧液体をホース表面に噴射してホースを洗浄するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2または請求項3の構成において、ホースの先端部のノズルはC型若しくはU型形状であって、その形状の内側範囲をホースの基端から先端までの中間部のホースが移動するように構成すると共に、ノズルの内周面方向に巻き取られるホースに対して対向して加圧液体をホース表面に噴射し、ホースの略全周を洗浄するように構成したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2、3または請求項4の構成において、巻取りドラムに巻き取られるホースは、それぞれの形状のノズルの略中央をホースが移動するように構成され、ノズルからの加圧液体を移動するホースの全周に略均等に噴射することを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2、3、4または請求項5の構成において、ノズルには、巻き取られるホースの移動方向に対し前方又は後方、若しくはその前後方向に、ホースをノズルの略中央を通過させるための通過位置規制板を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2、3、4、5または請求項6の構成において、ノズルは上下左右方向及び前後方向のいずれか若しくは全てが飛散防止枠で囲われ、噴射ノズルから噴射された液体が飛散しないように構成されたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2、3、4、5、6または請求項7の構成において、ホース先端のノズルは、原動機、ホンプ、ホース及び巻取りドラムから構成される動力散布機本体に固定されると共に、着脱自在であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に係る動力散布機のホース洗浄装置は、請求項2、3、4、5、6、7または請求項8の構成において、ホースの先端と、ノズルとは、容易に着脱自在であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る動力散布機のホース洗浄方法とその装置によれば、原動機でポンプと巻取りドラムを可動させて、巻取りドラムを巻き取る方向に回転させてホースを巻き取ると共に、ホースの先端のノズルからホンプの可動によって得られた高圧の液体を噴射させて、巻取りドラムにホースが巻き取られる前の過程でホースに噴射して、ホースに付着した土、泥、ゴミ等の除去を確実に行える効果を有する。しかも、ブラシ等で接触して拭取る方式では均等に全周を拭取ることは困難であるが、ホースに高圧の液体を略全周の表面に均等に噴射することが可能であるため掃除残しがなく、しかもブラシ等の掃除部材との接触がないので、土等が掃除部材に固着してホースの巻取り動作を阻害することがなく、良好にホースを巻き取りながらホースの掃除を行うことが出来る効果を有する。
【0019】
さらに、ポンプで加圧し、ノズルから噴射する液体に薬剤を使用することで、作業終了後のホースに付着する病原菌をホース表面から除去出来るので、動力散布機を使用しない期間における病原菌の発生及び増殖を防止する効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態に係る動力散布機の概略図、図2は本発明の実施の形態のノズルの形状を示す図、図3は本発明の実施の形態のノズルの他例を示す正面図、図4はホースの巻取り状態におけるノズルからの液体の噴射状態を示す断面略図。図5はノズルの周囲を飛散防止枠で囲った状態を表す断面略図。図6はノズルと動力散布機との接合を表す図。図7はノズルと動力散布機との他の接合を表す図である。
【0021】
原動機となるエンジンやモータとその原動機からの動力(回転)を利用したポンプによって、液面から吸引された液体に圧力を加え、そのホンプで加圧された液体を目的場所で噴射させるためのホースと、そのホースを巻き取るための巻取りドラムを装備した動力散布機において、巻取りドラムにホースを巻き取りながら、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、ホースの先端から加圧された液体を噴射して、巻き取られるホースの表面を洗浄するように構成したものである。
【0022】
巻取りドラムは原動機からの動力(回転)よってホースを巻き取れるように構成され、さらに原動機とポンプと巻取りドラムはその回転を連動し、原動機からの回転をそれぞれ制御できるものであって、ポンプには加圧する液体をホンプ内に取り込む液体吸引ホースとポンプ内で加圧された液体を巻取りドラム内に送り込むための加圧ホースが巻取りドラムの基端に連結され、巻取りドラムにはポンプからの加圧液体を内部に流入させるホースが巻取りドラムの基端から、ノズルを備えたホースの先端までが巻き取られる構成となっており、原動機の動力に依って稼動したポンプは液体吸引ホースから液体を吸引してホンプ内で加圧し、その加圧液体を加圧ホースに送出し、巻取りドラムの基端につながれたホースの内部に流入させ、原動機の動力に依って巻取りドラムを回転させてホースを巻き取りながら、ホース先端のノズルから加圧液体を、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、ホースの巻取り方向に対して対向して加圧液体をホース表面に噴射してホースを洗浄するように構成したものである。
【0023】
なお、ホースの先端部のノズルはC型若しくはU型形状であって、その形状の内側範囲をホースの基端から先端までの中間部のホースが移動するようになっており、ノズルの内周面方向に巻き取られるホースに対向して加圧液体をホース表面にホースの略全周を均等に加圧液体を噴射して洗浄するように構成した。さらに巻取りドラムに巻き取られるホースが、C型若しくはU型形状のノズルの内側の中央を直行して走行(移動)するように通過位置規制板を巻き取られるホースに対して前方、後方及びその両方向に設けた構成としている。
【0024】
また、前記ノズルからホースに対して噴射される液体の飛散と、その加圧された液体がホースに噴射されて飛び散った土、泥、ゴミ等の飛散を防止するために、ノズルの上下左右方向及び前後方向に飛散防止枠を備える構成としている。さらに前記通過位置規制板を飛散防止枠の一部としても良く、通過位置規制板を供えた飛散防止枠とノズルを一体に形成して動力散布機の本体の一部に着脱自在に固定連結されると共に、ノズルとホースの先端が着脱自在な構成となっている。
【実施例】
【0025】
動力散布機1はエンジン又はモータ等の原動機2とポンプ3と巻取りドラム4からなり、原動機2の動力(回転)をポンプ3と巻取りドラム4に伝達し、それぞれが連動及び制御される構成となっている。ポンプ3には液面から液体をポンプ3内に吸引するための液体吸引ホース14と加圧液体を巻取りドラム4に巻かれたホース6内に送り込むための加圧ホース15を備えると共に、ポンプ3可動時の加圧ホース15に加圧液体の送り込みを行わないとき若しくはオーバーフロー用として、ポンプ3の外部に液体を還元するオーバーフローホース16を備えていても良い。
【0026】
加圧ホース15は巻取りドラム4の略中央に位置したホース6の基端と接合され、ホース6は巻取りドラム4に複層に整列して巻き取られているものである。ホース6の先端はノズル7と連結されており、ノズル7は動力散布機1のいずれかの部分に固定材13によって固定されているものである。
【0027】
12は車輪であって動力散布機1を容易に移動するために備えられ、さらに原動機2の動力を車輪12に伝達し、自走する動力散布機であると良い。
【0028】
ノズルの形状は図2に示すようなC型ノズル8や図3のU型ノズル9の形状をし、内側方向に複数の噴射口10を備えているものであり、図4に示すノズル断面形状のようにホースの巻取り方向に対して前後方向に噴射口10を並列に設ける構成であるとよりホース表面の全周に均一に液体を噴射できるのでよい。
【0029】
図5に示すノズル7の断面図では、ノズル7を囲む上下左右方向及び前後方向の何れか若しくは全方向に飛散防止枠17を設け、ノズル7の噴射口10から噴射される液体の飛散を防止しようとするものである。この飛散防止枠17はノズル7と固定して設置され、底になる面を極力開放して液体の噴射によってホースから落された泥等と水が飛散防止枠17内に残らないように構成されている。
【0030】
また、ホースの移動方向に対して前後方向の飛散防止枠17には、通過位置規制板18がホースの移動方向に対して前又は後ろ及びその両方の何れかに設けられていて、ノズル7の中央部分をホースが移動する構成となっている。通過位置規制板18はホースが接触移動しても抵抗にならない摩擦係数の低い樹脂部材等で構成されているとよい。
【0031】
11は着脱機構であって、ホースの先端をノズル7と必要に応じて容易に取り外しを可能としている。
【0032】
ハウス内、畑及び水田で液体薬剤の散布を終了した場合にホースの洗浄を行う場合、または動力散布機1を使用する時期が終了し、長期保管するためのホースの洗浄を行う場合に、巻取りドラム4からホース6を送出した状態で、ホース先端に取り付いている通常農薬等を散布する噴霧ノズルを取り外し、ホース洗浄用のノズル7をホースの先端に装着する。
【0033】
原動機の動力に依って稼動したポンプは、水や病原菌の防除を目的とした薬剤を希釈した液体を、液体吸引ホース14でポンプ3内に取り込み加圧後、加圧ホース15を通して巻取りドラム4の略中央に設けられたホース6の基端へと送り込み、その後ホースの先端まで達し、ノズル7から噴射される。ノズル7は図2のC型ノズル8、図3のU型ノズル9の形状をしており、ホース6の基端から先端までの間のホース中間部の洗浄を開始する部位をノズルの中央部に配置すると共に、原動機の動力に依って巻取りドラム4を回転させ、ホース6の中間部を徐々に巻取りドラム4に巻き取りながら、通過位置規制板18によってノズル7の略中央をその巻取り方向に対して対向してノズル7の内側方向に設けられた噴射口10から加圧液体をホースの全周に略均一に噴射を行う。加圧液体の噴射はホース6表面の細かな段差内に付着したきめ細かな泥であっても液体の圧力によって取除くことが可能となる。
【0034】
さらに、噴射口10から噴射された液体が周囲に飛散しないように、ノズルを取り囲む構成で飛散防止枠17が設けられているので、ノズル7の噴射口10から噴射される液体が薬剤を含むものであっても、作業者との接触を極力防止することが可能である。
【0035】
図6及び図7は、巻取りドラム4上に整列巻装置20とその整列巻装置20上に出し入れヘッド21を備え、巻取り時にホースが巻取りドラム4に整列して巻き取られるようにすると共に、その出し入れヘッド21を中心にして鉛直軸回りに回転自在として、ガイドアーム19によるホースの支持部分によって動力散布機1の前後左右どの方向からも引き出し、巻取りを可能とした構成の動力散布機である。整列巻装置20と出し入れヘッド21の内部には巻送りローラ22と押圧ローラ23を備え前記ローラに挟まれてホース6が配置され、巻送りローラ22の回転によって巻取りドラム4からホース6の送出しを行っているものである。
【0036】
図6、図7に示す動力散布機1は、原動機2の動力をポンプ3と変速機5に伝達し、変速機5から巻取りドラム4、巻送りローラ22に動力を伝達し、ホースの送出しや巻き取り時に、巻取りドラム4にホース6の巻弛みや巻きすぎが発生しないよう制御されているものである。
【0037】
ガイドアーム19の先端部には、通過位置規制板18を備え飛散防止枠17に覆われたノズル7が、ホースの洗浄作業を行う場合に固定材A24によって容易に装着できるようになっていると共に、ホースの先端も着脱機構11によってノズル7に容易に装着できるものである。
【0038】
図7ではノズル7を固定する固定材B25を動力散布機1の本体フレームと接合させているものである。この固定材B25は動力散布機の本体フレームに対して水平方向に回転自在であってさらに上下方向に伸縮可能であるとよく、固定材B25はノズル7の中央にホース中間部の洗浄開始部位を配置後、水平方向の回転、上下方向の伸縮を固定できように構成されていると良い。
【0039】
ハウス内、畑及び水田で液体薬剤の散布の終了後に既に送出したホースを洗浄する場合や、動力散布機を使用する時期が終了し、長期保管するため動力散布機の洗浄を行う場合に、必要に応じて原動機2の動力を変速機5で制御して整列巻装置20内の巻送りローラ22をホース6を送出す方向に回転させ、ホースの表面を洗浄させる範囲のホース6を外部に繰出しホース表面の洗浄の準備を行う。その後ホースの洗浄範囲が巻取りドラム4から繰出されたならば、ハウス内、畑及び水田で液体薬剤の散布の時に使用していたホース先端に装着されていた通常の液体散布ノズルをホース先端から取り外し、ホース洗浄用のノズル7をホース先端の着脱構成11で取り付ける。そして固定材A24でガイドアーム19の先端、若しくは固定材B25によって動力散布機の本体フレームにノズル7を固定する。その後ホース6の中間部が通過位置規制板18を通過する位置に、そしてC型ノズル8及びU型ノズル9の何れかのノズル7の略中央をホースが移動方向に対して対向して加圧液体が噴射口10から噴射される位置にホース中間部の洗浄開始部位を配置する。
【0040】
そして液体吸引ホース14とオーバーフローホース16をハウス内、畑及び水田で液体薬剤の散布の時に使用していたタンクから、洗浄用の液体が入った洗浄タンク26内に投入する。この洗浄タンク26内の液体は水やホース内部若しくはホース表面に付着している病原菌類を除去する薬剤であってもよい。
【0041】
原動機2の動力に依ってポンプ3が稼動し、液体吸引ホース14から洗浄タンク26内の液体をホンプ3内に取り込み、加圧して加圧ホース15から巻取りドラム4に巻かれたホース基端に送り込み、ホース6内部を移動してホース先端の着脱機構11を経てノズル7の噴射口10から加圧液体が噴射される。噴射口10からの加圧液体を全周の略均等に噴射されたホースはその表面に付着した土、泥、ゴミ等を除去しながら、変速機5からの回転を受けた巻取りドラム4が巻取り方向に回転することで、ノズル7の略中央をホースが移動し、ホースの表面を洗浄していくものである。ホース6に噴射する液体を病原菌防除の薬剤を使用したならば、ホースの表面はもとよりホースの内面までも病原菌を駆除若しくは防除し、来期の動力散布機の使用まで、病原菌の発生と増殖を行うことなく良好な動力散布機の保管を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る動力散布機の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態のノズルの形状を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態のノズルの他例を示す正面図である。
【図4】ホースの巻取り状態におけるノズルからの液体の噴射状態を示す断面略図である。
【図5】ノズルの周囲を飛散防止枠で囲った状態を表す断面略図である。
【図6】ノズルと動力散布機との接合を表す図である。
【図7】ノズルと動力散布機との他の接合を表す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 動力散布機
2 原動機
3 ポンプ
4 巻取りドラム
5 変速機
6 ホース
7 ノズル
8 C型ノズル
9 U型ノズル
10 噴射口
11 着脱機構
12 車輪
13 固定材
14 液体吸引ホース
15 加圧ホース
16 オーバーフローホース
17 飛散防止枠
18 通過位置規制板
19 ガイドアーム
20 整列巻装置
21 出し入れヘッド
22 巻送りローラ
23 押圧ローラ
24 固定材A
25 固定材B
26 洗浄タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
原動機からの動力に依って回転するポンプと、
ポンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、
そのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成された動力散布機において、
巻取りドラムにホースを巻き取る際に、その巻き取られるホースの先端部からポンプで加圧された液体を噴射して、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、巻き取られるホースの表面を洗浄することを特徴とする、動力散布機のホース洗浄方法。
【請求項2】
原動機と、
原動機からの動力に依って回転するポンプと、
ポンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、
そのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成された動力散布機において、
巻取りドラムにホースを巻き取りながら、その巻き取られるホースの先端部からポンプで加圧された液体をそのホースの表面に噴射して、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で巻き取られるホースの洗浄を行うように構成したことを特徴とする、動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項3】
原動機と
原動機からの動力に依って回転するポンプと、
ホンプで加圧された液体を噴射するためのホースと、
原動機からの動力に依ってそのホースを巻き取る巻取りドラムとで構成した動力散布機において、
原動機とポンプと巻取りドラムはその回転を連動するように構成され、ポンプと巻取りドラムには原動機からの動力を制御できるものであって、
ポンプには加圧する液体をポンプ内に取り込む液体吸引ホースと、ポンプ内で加圧された液体を巻取りドラムのホース内に送り込むための加圧ホースが巻取りドラムの基端に連結され、
巻取りドラムは、ポンプのからの加圧液体を内部に流入させるホースが巻取りドラムの基端から、ノズルを備えたホース先端までが巻き取られるように構成されており、
原動機の動力で稼動したポンプが加圧した液体をホース内に流入させると共に、原動機の動力で巻取りドラムを回転させてホースを巻き取りながら、ホースの先端部のノズルから加圧液体を、巻取りドラムに巻き取られる迄の過程で、ホースの巻取り方向に対して対向して加圧液体をホース表面に噴射してホースを洗浄するように構成したことを特徴とする、動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項4】
ホースの先端部のノズルはC型若しくはU型形状であって、その形状の内側範囲をホースの基端から先端までの中間部のホースが移動するように構成すると共に、ノズルの内周面方向に巻き取られるホースに対して対向して加圧液体をホース表面に噴射し、ホースの略全周を洗浄するように構成したことを特徴とする、請求項2または請求項3記載の動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項5】
巻取りドラムに巻き取られるホースは、それぞれの形状のノズルの略中央をホースが移動するように構成され、ノズルからの加圧液体を移動するホースの全周に略均等に噴射することを特徴とする、請求項2、3または請求項4記載の動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項6】
ノズルには、巻き取られるホースの移動方向に対し前方又は後方、若しくはその前後方向に、ホースをノズルの略中央を通過させるための通過位置規制板を設けたことを特徴とする、請求項2、3、4または請求項5記載の動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項7】
ノズルは上下左右方向及び前後方向のいずれか若しくは全てが飛散防止枠で囲われ、噴射ノズルから噴射された液体が飛散しないように構成されたことを特徴とする、請求項2、3、4、5または請求項6記載の動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項8】
ホース先端のノズルは、原動機、ホンプ、ホース及び巻取りドラムから構成される動力散布機本体に固定されると共に、着脱自在であることを特徴とする、請求項2、3、4、5、6または請求項7記載の動力散布機のホース洗浄装置。
【請求項9】
ホースの先端と、ノズルとは、容易に着脱自在であることを特徴とする、請求項2、3、4、5、6、7または請求項8記載の動力散布機のホース洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−74912(P2007−74912A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263155(P2005−263155)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】