説明

動力移送機構を備えるツールチャック

ツールチャックが、チャックのあご部を支持するシャフトを含んでもよい。シャフトは、チャックのあご部を回転的に駆動するための第1の伝達動力経路を提供出来る。シャフトは貫通穴を有してもよい。貫通穴にチャック作動機構を備えてもよい。チャック作動機構は、チャックのあご部を開いたり閉じたりするための第2の伝達動力経路を提供出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね動力駆動装置に付属物の取付けのためのツールチャックに関し、さらに詳細には、駆動用伝達装置からの動力を介して駆動されることが可能なチャックのあご部を有するツールチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のツールチャックは、チャックのあご部を延伸したり引込めたりするために、チャックキーを回転可能に使用する回転リングを有してもよい。こうしたツールチャックは良好な性能を提供すると一般的に考えられているが、欠点がないわけではない。例えば、従来のツールチャックは、面倒なチャックキー操作とチャックキー保持とその他の不便さとを余儀なくされる。
【0003】
チャックキーに関連した欠点を考慮して、チャックのあご部を締め付けるために、チャックキーを使用することなく、手動で回転する回転リング(またはスリーブ)を有するツールチャックが開発されてきた。その他の開発は、チャックのあご部を開閉するために動力駆動装置からの動力を利用するツールチャックを含んでいる。このために、ツールチャックは、スリーブが動力駆動装置の筐体に固定される(すなわち、回転的に固定される)位置へ、軸方向に移動可能なスリーブを備えてもよい。したがって、駆動装置が起動される時に、駆動装置のスピンドル(および、結果としてチャックのあご部)が、スリーブと相対的に回転する。スピンドルとスリーブとの間の相対的な回転が、チャックのあご部を締めたり緩めたり出来る。
【0004】
従来のキーレス型ツールチャックは、これに関連した欠点を有する。例えば、従来のキーレス型ツールチャックは、オペレータがスリーブを操作する(すなわち、スリーブを回転させる、及び/又は、スリーブを軸方向にスライドさせる)ことを必要とする。このような操作は、特にオペレータがチャックのあご部に付属物を同時に挿入しようとする時に、困難となるかもしれない。さらに、オペレータは、工具が起動される時に、スリーブとツール筐体との間の固定状態を不注意から解除するかもしれない。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,311,787号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例示の非限定的な実施態様に従って、ツールチャックが、チャックのあご部を支持するシャフトを含んでもよい。シャフトは、チャックのあご部を回転的に駆動するための第1の伝達動力経路を提供できる。シャフトは、貫通穴を有してもよい。チャック作動機構を貫通穴の中に備えてもよい。チャック作動機構は、チャックのあご部を開閉するための第2の伝達動力経路を提供するだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
別の例示の非限定的な実施態様に従って、ツールチャックが、チャックのあご部を支持するシャフトを含んでもよい。シャフトは、チャックのあご部に対する第1の伝達動力経路を提供できる。シャフトは、貫通穴を有してもよい。チャック作動機構は、貫通穴に取り付けられてもよい。チャック作動機構は、チャックのあご部に対する第2の伝達動力経路を提供するだろう。
【0008】
別の例示の非限定的な実施態様に従って、ツールの動力伝達装置は、少なくとも1つの遊星歯車を支持する遊星キャリアを含んでもよい。太陽歯車を遊星キャリアに連結してもよい。太陽歯車と遊星キャリアを互いに回転的に固着し、互いを相対的に軸方向に移動可能にしてもよい。
【0009】
別の例示の非限定的な実施態様に従って、電動工具が筐体を含んでもよい。動力伝達装置を筐体に装着してもよい。動力伝達装置は、主回転軸を有してもよい。カラーを筐体に装着してもよい。主回転軸に沿って動力伝達装置の少なくとも1つの要素を移動させるために、カラーを筐体に対して相対的に移動可能としてもよい。カラーの中心軸線を主回転軸からオフセットしてもよい。
【0010】
構成と部品の組合せの様々で新規の詳細事項を含む本発明の上述の及びその他の特徴を、添付図面を参照してさらに詳細に説明するだろう。例示の実施形態の詳細事項が、単に及び本発明を限定するものでない図解として示されていることが理解されるだろう。本発明の原理と特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な数多くの実施形態で使用してもよい。
【0011】
本発明の例示の実施形態が、以下の詳細な説明と添付図面とから、より十分に理解されるだろう。添付図面は、同じ要素が同じ照合番号で示され、単に図解として与えられ、したがって本発明を限定するものでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.図1に示される例示の実施形態
図1は、動力移送機構を有するツールチャック50の、例示の非限定的な実施形態を示す。工具(例えばドリルビット)を保持するための動力駆動装置(例えばドリル)に、ツールチャック50を備えてもよい。しかし、(ドリルビット以外の)様々な工具を保持するための(ドリル以外の)様々な動力駆動装置で適切に使用されてもよいことが理解されるだろう。
【0013】
A.構造
図1を参照して、ツールチャック50を動力駆動装置の動力伝達装置70に接続してもよい。動力伝達装置70は、電気モータ(図示されていない)をツールチャック50に連結してもよい。動力伝達装置70は、(電気モータからの)入力毎分回転数と(ツールチャック50に供給される)出力毎分回転数との間の比率に変化をもたらすために、歯車装置を使用してもよい。
【0014】
この例示の実施形態において、動力伝達装置70は3つの遊星歯車式減速装置を含んでもよい。しかし、本発明がこの点において限定されていないことは理解されるだろう。例えば、三つ程度の遊星歯車式減速装置を使用してもよい。さらに、遊星歯車式減速装置の動力伝達装置以外の動力伝達装置(例えば、従来の平行軸動力伝達装置)を適切に使用してもよい。
【0015】
図解を明瞭にするために、単一の遊星歯車式減速装置(「第3段の減速装置」)が図1に示される。第3段の減速装置は、第2段の遊星キャリア78sの前側に固定される第3段の太陽歯車72tを含んでもよい。複数の第3段の遊星歯車74tが第3段の太陽歯車72tと係合してもよい。第3段の遊星歯車74tの各々を、第3段の遊星キャリア78tによって支持されるそれぞれのシャフト76tに回転可能に装着されてもよい。第3段のリングギア80tが第3段の遊星歯車74tと係合してもよい。
【0016】
第3段のリングギア80tは、第3段の減速装置を選択的に動作させるために、動力駆動装置の筐体95に対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。第3段の減速装置は、図1に示されるように、第3段のリングギア80tを軸方向の後方位置に移動することによって適切に作用するようになってもよい。この場合に、第3段のリングギア80tを、協同機構を介して筐体95に回転的に固定してもよい。例えば、本発明の限定としてではなく、第3段のリングギア80tが、筐体95の固定要素96と係合できる長手方向の突起81を有してもよい。このような協同機構は当技術分野で周知であり、その結果、これに関する詳細な説明は省略される。第3段の減速装置が適切に作用する時に、第3段の太陽歯車72tの1回転が、第3段の遊星キャリア78tの部分回転のみを生じてもよい。
【0017】
第3段の減速装置は、第3段のリングギア80tを軸の前方位置に移動することによって作用しないように出来る。軸の前方位置において、第3段のリングギア80tと筐体95とのそれぞれの協同機構81、96は、第3段のリングギア80tが筐体95に対して相対的に回転可能であるように解放されてもよい。さらに、第3段のリングギア80tは、第3段の遊星キャリア78tと同様に、第3段の遊星歯車74tと係合してもよい。第3段の減速装置が作用しない時に、第3段の太陽歯車72tと第3段の遊星歯車74tと第3段の遊星キャリア78tとが一体として共に回転出来る。
【0018】
第1段および第2段の減速装置は、上述の第3段の減速装置と類似していてもよい。例えば、第2段の減速装置において、第2段の太陽歯車を第1段の遊星キャリアの前面に備えてもよい。第1段の減速装置において、第1段の太陽歯車を電気モータの回転シャフトに回転的に固定してもよい。
【0019】
動力伝達装置70の減速装置の全てが、それぞれのリングギアを含んでもよく、リングギアは、選択的に作動するために軸方向に移動可能である。各々のリングギアが、半径方向を向いているカム従動部をそれぞれ支持してもよい。例えば、リングギアの外面を、ワイヤが備わる連続した円周溝を備えてもよい。円周溝を介して摺動可能であるワイヤは、半径方向に且つ円周溝から外に延伸する自由端を有してもよい。ワイヤの自由端は、対応するリングギアのためのカム従動部を構成してもよい。カム従動部は、筐体95に装着される切替カラーのそれぞれのスロットに受容されてもよい。切替カラーを回転する時に、スロットはカム従動部(従って対応するリングギア)を所望される軸の位置に動かしてもよい。切替カラーは、セクションVで後に、より詳細に説明されるだろう。
【0020】
(対応する太陽歯車を経由する)特定段の入力は、(先行の遊星キャリアを経由して)直前の段の出力である。従って、三つの減速装置は、所望される動力伝達の出力を得るために、組合せて又は個別に作動してもよい。
【0021】
この例示の実施形態において、第3段の遊星キャリア78tを介して動力伝達装置70から、動力を移送することが出来る。このために、第3段の遊星キャリア78tは、駆動突起部62を備える前面と、駆動突起部64を備える後面とを有してもよい。さらに、第3段の遊星キャリア78tは、前方位置と後方位置との間で筐体95に対して軸方向に相対的に移動可能であってもよい。第3段の遊星キャリア78tが軸の前方位置にある時に、駆動突起部62は、入力シャフト40上に備えられる突起部42と相互作用してもよい。この状態において、(通常動作モードにおいて)ツールチャック50を回転的に駆動するために伝達動力を供給するように、第3段の遊星キャリア78tと入力シャフト40を互いに回転的に固定してもよい。第3段の遊星キャリア78tが軸の後方位置にある時に、駆動突起部62は入力シャフト40から解放され、駆動突起部64は、チャック作動シャフト30の突起部34と相互作用してもよい。この状態において、(チャック作動モードにおいて、)ツールチャック50を起動するために、伝達動力を供給出来るように、第3段の遊星キャリア78tとチャック作動シャフト30を、互いに回転的に固定してもよい。
【0022】
第3段の遊星キャリア78tは、チャック作動シャフト30が延伸する開口部を含んでもよい。図1において、第3段の遊星キャリア78tは軸の中間位置(すなわち、軸の前方位置と軸の後方位置との間)にある。この場合に、第3段の遊星キャリア78tは、入力シャフト40とチャック作動シャフト30との両方に対して、軸方向に且つ回転的に移動可能であってもよい。
【0023】
第3段の遊星キャリア78tの外面を、ワイヤ(図示されていない)が備えられる連続した円周溝79に備えてもよい。円周溝79を介して摺動可能であるワイヤは、半径方向に及び円周溝79から外に延伸する自由端を有してもよい。ワイヤの自由端は、カム従動部を構成してもよい。カム従動部を筐体95に装着される切替カラーのスロットに受容してもよい。切替カラーを回転する時に、スロットはカム従動部(従って第3段の遊星キャリア78t)を所望される軸の位置に動かすことが出来る。
【0024】
入力シャフト40を、筐体95内に(軸受5、6を介して)回転するように装着してもよい。この例示の実施形態において、入力シャフト40の前端は、チャックのあご部2がそれを介してそれぞれに摺動可能な傾斜通路9を含んでもよい。傾斜通路9は、チャックのあご部2に対して入力シャフト40を回転的に固定出来る。この入力シャフト40は、チャック作動ネジ32の半径方向に外向きのネジ山33と相互作用する、半径方向に内向きのネジ山43を有する穴を含んでもよい。すなわち、入力シャフト40を、チャック作動ネジ32にネジ込み連結してもよい。入力シャフト40とチャック作動ネジ32との間に備えられるO−リング7は、ゴミがツールチャック50と動力伝達装置70との内部に侵入し汚染することを防止出来る。
【0025】
チャック作動ネジ32を、入力シャフト40によって支持してもよい。ネジ山33、43の相互作用は、チャック作動ネジ32を入力シャフト40に対して相対的に軸方向に前進または後退させることが出来る。チャック作動ネジ32の後端部が、チャック作動シャフト30の前端部を受容する止まり穴31を含んでもよい。チャック作動ネジ32とチャックシャフト30を互いに回転的に固定してもよいし、チャック作動ネジ32をチャック作動シャフト30に対して相対的に軸方向に移動可能にしてもよい。例えば、止まり穴31は、チャック作動シャフト30に備えられる対応する機構によって受容できる長手方向のキー溝(図示されていない)を含んでもよい。このようなキー溝の継手(及びその他の代替の継手)が、当技術分野で周知であり、この結果、こうした継手の詳細な説明は省略される。チャック作動ネジ32の前端部が、プッシャヘッド35を支持してもよい。
【0026】
プッシャヘッド35を、チャック作動ネジ32に回転するように装着してもよい。プッシャヘッド35とチャック作動ネジ32との間の相対的な回転を容易にするために、軸受8を備えてもよい。プッシャヘッド35は、チャックのあご部2がその中でそれぞれに支持される半径方向を向いている通路36を含んでもよい。半径方向を向いている通路36は、チャックのあご部2の半径方向の移動を導くことが出来、これと同時に、プッシャヘッド35に対してチャックのあご部2を回転的に固定することが出来る。
【0027】
自動スピンドルロック20を入力シャフト40と筐体95との間に装着してもよい。自動スピンドルロックが当技術分野で従来から周知であることが理解されるだろう。例えば、代表的な自動スピンドルロックが特許文献1で説明されており、その内容全体が参照によってここに組込まれる。特許文献1で説明されている自動スピンドルロックは、当業者には容易に明らかであるほんの少しの変更で、図1に示す例示の実施形態において適切に実施することが可能である。いずれにしても、図1に概略的にのみ図示されている自動スピンドルロック20は、以下の機能性を提供出来る。
【0028】
一方において、第3段の遊星キャリア78tが軸の前方位置にある時に(すなわち、通常動作モード中に)、自動スピンドルロック20は入力シャフト40が(筐体95に対して相対的に)回転することを可能にしてもよい。この場合に、第3段の遊星キャリア78tの前面の駆動突起部66は、自動スピンドルロック20のローラケージ(図示されていない)と相互作用してもよい。駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78は(駆動突起部66を介して)ローラケージを回転的に駆動でき、これによって入力シャフト40が筐体95に対して相対的に回転出来る。
【0029】
他方において、第3段の遊星キャリア78tが軸の後方位置にある時に(すなわち、チャック作動モード中に)、自動スピンドルロック20は入力シャフト40が(筐体95に対して相対的に)回転することを防止してもよい。この場合に、駆動突起部66は自動スピンドルロック20を解放してもよい。従って、駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78tは、入力シャフト40が筐体95に対して回転的に固定されるために、ローラケージを回転的に駆動出来ない。
【0030】
B.動作
ツールチャック50は、第3段の遊星キャリア78tの軸の位置に従って、異なった動作となる。一方において、第3段の遊星キャリア78tが軸の前方位置にある時に、動力伝達装置70からの動力出力は、通常動作モードにおいて、ツールチャック50を回転的に駆動出来る。他方において、第3段の遊星キャリア78tが軸の後方位置にある時に、動力伝達装置70からの動力出力が、チャック作動モードにおいて、チャックのあご部2を開閉するためにツールチャック50を駆動出来る。
【0031】
さらに詳細には、通常動作モードを実現するために、オペレータは、第3段の遊星キャリア78tを軸の前方位置に移動するように、(筐体95に対して相対的に)切替カラーを回転してもよい。駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78tの駆動突起部62は入力シャフト40を(突起部42を介して)回転的に駆動し、駆動突起部66は、自動スピンドルロック20のローラケージを回転的に駆動出来る。この時に、第3段の遊星キャリア78tとローラケージと入力シャフト40とを、筐体95に対して相対的に同じ回転速度で駆動出来る。
【0032】
傾斜通路9を介して入力シャフト40は、チャックのあご部2と共に回転出来る。半径方向の通路36に設置されるチャックのあご部2は、プッシャヘッド35を回転的に駆動してもよい。チャック作動ネジ32とチャック作動シャフト30とが、入力シャフト40と共に回転してもよい。従って、入力シャフト40とチャックのあご部2とプッシャヘッド35とチャック作動ネジ32とチャック作動シャフト30とが、筐体95に対して相対的に一体として回転してもよい。
【0033】
チャック作動モードを実現するために、オペレータは、第3段の遊星キャリア78tを軸の後方位置に移動するように、(筐体95に対して相対的に)切替カラーを回転してもよい。この場合に、駆動突起部62、66は、入力シャフト40の突起部42と自動スピンドルロック20のローラケージとから、それぞれ解放してもよい。駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78tの駆動突起部64はチャック作動シャフト30を(突起部34を介して)回転的に駆動出来る。この時点で、第3段の遊星キャリア78tとチャック作動シャフト30と(従ってチャック作動ネジ32と)を、筐体95に対して相対的に同じ回転速度で駆動出来る。
【0034】
チャック作動ネジ32は、入力シャフト40に対して相対的に回転でき、入力シャフト40を自動スピンドルロック20を介して筐体95に回転的に固定してもよい。この相対的な回転が、半径方向に内向きのネジ山43と半径方向に外向きのネジ山33との間の相互作用によって、チャック作動ネジ32を(ネジ32の回転方向に従って)軸方向に前進または後退させてもよい。チャック作動ネジ32の並進運動は、プッシャヘッド35を押出したり引込めたり出来る。
【0035】
プッシャヘッド35は、(半径方向の通路36と傾斜通路9とに位置するチャックのあご部2を介して)入力シャフト40に回転的に固定されたままでもよい。従って、チャック作動ネジ32は、プッシャヘッド35に対して相対的に回転出来る。プッシャヘッド35の並進運動が、チャックのあご部2を押出したり引込めたりし、それ故に、チャックのあご部2は開いたり及び/又は閉じたりする。
【0036】
例えば、閉鎖の動作中に、チャック作動ネジ32を(プッシャヘッド35およびチャックのあご部2と共に)軸方向に前進させてもよい。この間に、入力シャフト40の傾斜通路9は、プッシャヘッド35の半径方向を向いている通路36を介して半径方向の内向きにチャックのあご部2を移動してもよい。
【0037】
II.図2及び図3に示される例示の実施形態
図2および図3は、動力移送機構を備えるツールチャック50′の別の例示の非限定的な実施形態を示す。この例示の実施形態は、セクションIで上述した例示の実施形態と類似している。しかし、この例示の実施形態において、第2段の遊星キャリア78s′と第3段の太陽歯車72t′とが互いに対して軸方向に移動可能であってもよい。
【0038】
A.構造
図2を参照して、ツールチャック50′を動力駆動装置の動力伝達装置70′に接続してもよい。この動力伝達装置70′が、電気モータ(図示されていない)をツールチャック50′に連結してもよい。
【0039】
この例示の実施形態において、動力伝達装置70′は3つの遊星歯車式減速装置を含んでもよい。しかし、本発明はこの点において限定されない。
【0040】
動力伝達装置70′の第3段の減速装置が図2に示される。第3段の減速装置は、第2段の遊星キャリア78s′の前面に備えられる第3段の太陽歯車72t′を含んでもよい。この場合に、第3段の太陽歯車72t′と第2段の遊星キャリア78s′とを、共に回転的に固定してもよく、且つ、互いに対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。単に例示として、且つ本発明を限定すること無く、第3段の太陽歯車72t′が、長手方向のスプライン73′を含んでもよく、それは第2段の遊星キャリア78s′に備えられる協同機構によって受容される。
【0041】
圧縮バネ61′を、第2段の遊星キャリア78s′と第3段の太陽歯車72t′との間に備えてもよい。この圧縮バネ61′が、第3段の太陽歯車72t′を軸の前方向に押し進めてもよい。第3段の太陽歯車72t′がフランジ71′を含んでもよい。
【0042】
複数の第3段の遊星歯車74t′が、第3段の太陽歯車72t′と係合してもよい。各々の第3段の遊星歯車74t′を、第3段の遊星キャリア78t′によって支持されるそれぞれのシャフトに回転可能に装着してもよい。第3段のリングギア80t′が、第3段の遊星歯車74t′と係合してもよい。
【0043】
第3段のリングギア80t′は、第3段の減速装置を選択的に動作させるために、動力駆動装置の筐体95′に対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。第3段のリングギア80t′を軸方向に移動するために、切替カラーを取付けてもよい。
【0044】
第3段の遊星キャリア78t′を介して動力伝達装置70′から、動力を移送することが出来る。このために、第3段の遊星キャリア78t′は、駆動突起部62′を備える前面を有してもよい。さらに、第3段の遊星キャリア78t′は、前方位置と後方位置との間で筐体95′に対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。(図2に示されるように)第3段の遊星キャリア78t′が軸の前方位置にある時に、駆動突起部62′は入力シャフト40′に備えられる突起部42′と相互作用をしてもよい。この状態において、(通常動作モードにおいて)伝達動力が、ツールチャック50′を回転的に駆動するために提供出来るように、第3段の遊星キャリア78t′と入力シャフト40′を互いに回転的に固定してもよい。(図3に示すように)第3段の遊星キャリア78t′が軸の後方位置にある時に、駆動突起部62′は入力シャフト40′を解放してもよい。この状態において、(チャック作動モードにおいて、)ツールチャック50′を駆動するために、伝達動力を供給してもよい。
【0045】
第3段の遊星キャリア78t′は、チャック作動シャフト30′が延伸する開口部を含んでもよい。第3段の遊星キャリア78t′を軸方向に固定し、且つチャック作動シャフト30′と回転的に連結してもよい。例えば、一時的に図3Aに戻って、第3段の遊星キャリア78t′とチャック作動シャフト30′が対応する形態を有してもよく、エラストマー部材28′を第3段の遊星キャリア78t′とチャック作動シャフト30′との間に組込んでもよい。より詳細に後述するように、エラストマー部材28′は、第3段の遊星キャリア78t′とチャック作動シャフト30′との間で、幾らかの相対的な回転が生じ得るように弾性的に圧縮可能であってもよい。チャック作動シャフト30′は、入力シャフト40′に対して相対的に回転可能であってもよい。
【0046】
第3段の遊星キャリア78t′の外面が、ワイヤ(図示されていない)が備なわる連続した円周溝79′を備えてもよい。円周溝79′を介して摺動可能なワイヤが、半径方向に、及び円周溝79′から延伸する自由端を有してもよい。ワイヤの自由端を、筐体95′に装着される切替カラーのスロットに受容してもよい。切替カラーを回転する時に、スロットはワイヤ(従って第3段の遊星キャリア78t′)を所望する軸の位置に移動出来る。
【0047】
筐体95′内で(軸受5′、6′を介して)回転するように、入力シャフト40′を装着してもよい。入力シャフト40′の前端部は、チャックのあご部2′がそれらを介してそれぞれ摺動可能である傾斜通路9′を含んでもよい。この傾斜通路9′は、入力シャフト40′をチャックのあご部2′に回転的に固定してもよい。入力シャフト40′は、チャック作動ネジ32′の半径方向に外向きのネジ山33′と相互作用する、半径方向に内向きのネジ山43′を有する穴を含んでもよい。
【0048】
入力シャフト40′によって、チャック作動ネジ32′を支持してもよい。ネジ山33′、43′の相互作用は、チャック作動ネジ32′を入力シャフト40′に対して相対的に軸方向に前進または後退させてもよい。チャック作動ネジ32′の後端部は、チャック作動シャフト30′の前端部を受容する止まり穴31′を含んでもよい。チャック作動ネジ32′とチャック作動シャフト30′を共に回転的に固定し、互いに対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。例えば、止まり穴31′は、チャック作動シャフト30′に備えられる対応する機構によって受容可能な長手方向のスプライン(図示されていない)を含んでもよい。チャック作動ネジ32′の前端部は、プッシャヘッド35′を支持してもよい。
【0049】
チャック作動ネジ32′上に回転するように、プッシャヘッド35′を装着してもよい。プッシャヘッド35′とチャック作動ネジ32′との間の相対的な回転を容易にするために、軸受8′を備えてもよい。プッシャヘッド35′は、チャックのあご部2′がそれらの中でそれぞれ支持される半径方向を向いている通路36′を含んでもよい。半径方向を向いている通路36′は、チャックのあご部2′の半径方向の運動を導くことができ、同時に、プッシャヘッド35′にチャックのあご部2′を回転的に固定出来る。
【0050】
入力シャフト40′と筐体95′との間に、自動スピンドルロック20′を装着してもよい。一方において、図2に示されるように、第3段の遊星キャリア78t′が軸の前方位置にある時に(すなわち、通常動作モード中に)、自動スピンドルロック20′は入力シャフト40′を(筐体95′に対して相対的に)回転可能にしてもよい。この場合に、第3段の遊星キャリア78t′の前面の駆動突起部66′が、自動スピンドルロック20′のローラケージ(図示されていない)と相互作用してもよい。駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78t′は(駆動突起部66′を介して)ローラケージを回転的に駆動してもよく、これによって入力シャフト40′が、筐体95′に対して相対的に回転することを可能にする。
【0051】
他方において、図3に示されるように、第3段の遊星キャリア78t′が軸の後方位置にある時に(すなわち、チャック作動モード中に)、自動スピンドルロック20′は入力シャフト40′が(筐体95′に対して相対的に)回転することを防止してもよい。この場合に、駆動突起部66′は自動スピンドルロック20′を解放してもよい。従って、駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78t′は、入力シャフト40′が筐体95′に回転的に固着されるように、ローラケージを回転的に駆動させない。
【0052】
B.動作
ツールチャック50′は、第3段の遊星キャリア78t′の軸の位置に従って、異なる動作をしてもよい。一方において、第3段の遊星キャリア78t′が軸の前方位置にある時に、動力伝達装置70′からの動力出力は、通常動作モードにおいて、ツールチャック50′を回転的に駆動出来る。他方において、第3段の遊星キャリア78t′が軸の後方位置にある時に、動力伝達装置70′からの動力出力は、チャック作動モードにおいて、チャックのあご部2′を開閉するためにツールチャック50′を駆動出来る。
【0053】
さらに明確に述べると、通常動作モードを実現するために、オペレータは、第3段の遊星キャリア78t′を、図2に示される軸の前方位置に移動させるように(筐体95′に対して相対的に)切替カラーを回転してもよい。この時に、バネ61′は、第3段の遊星キャリア78t′と共に軸の前方向に移動するために、第3段の太陽歯車72t′に影響を及ぼしてもよい。第3段の太陽歯車72t′の前進道程を、(第3段の遊星キャリア78t′と共に、且つ、チャック作動ネジ32′に対して相対的に、軸方向に移動可能な)チャック作動シャフト30′によって制限してもよい。従って、第3段の太陽歯車72t′のフランジ71′は、第3段の遊星74t′が第3段の遊星キャリア78t′上の所望する位置に留まることを保証してもよい。この点で、フランジ71′は保持器としての役割を果たすだろう。
【0054】
駆動装置が起動されると、第3段の遊星キャリア78t′の駆動突起部62′は、入力シャフト40′を(突起部42′を介して)回転的に駆動し、駆動突起部66′は、自動スピンドルロック20′のローラケージを回転的に駆動出来る。第3段の遊星キャリア78t′は、さらに、チャック作動シャフト30′を回転的に駆動出来る。従って、第3段の遊星キャリア78t′とローラケージと入力シャフト40′とチャック作動シャフト30′とを、筐体95′に対して相対的に同じ回転速度で駆動出来る。この場合に、チャック作動シャフト30′と第3段の太陽歯車72t′との間で、相対的な回転が生じてもよい。
【0055】
入力シャフト40′は、傾斜通路9′を経由して、チャックのあご部2′と共に回転出来る。半径方向の通路36′に設置されるチャックのあご部2′は、プッシャヘッド35′を回転的に駆動出来る。チャック作動ネジ32′とチャック作動シャフト30′とは、入力シャフト40′と共に回転出来る。従って、入力シャフト40′とチャックのあご部2′とプッシャヘッド35′とチャック作動ネジ32′とチャック作動シャフト30′とは、筐体95′に対して相対的に一体として、共に回転てもよい。
【0056】
チャック作動モードを実現するために、オペレータは、第3段の遊星キャリア78t′を、図3で示される軸の後方位置に移動させるように、(筐体95′に対して相対的に)切替カラーを回転してもよい。(第3段の遊星キャリア78t′と共に、且つ、チャック作動ネジ32′に対して相対的に、軸方向に移動できる)チャック作動シャフト30′は、バネ61′の作用に対抗して軸の後方に第3段の太陽歯車72t′を駆動してもよい。図3に示されるように、駆動突起部62′、66′は、入力シャフト40′の突起部42′と自動スピンドルロック20′のローラケージとから、それぞれに開放出来る。
【0057】
駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア78t′はチャック作動シャフト30′を回転的に駆動してもよい。この時に、第3段の遊星キャリア78t′とチャック作動シャフト30′(従ってチャック作動ネジ32′)とを、筐体95′に対して相対的に同じ回転速度で駆動してもよい。
【0058】
チャック作動ネジ32′は、入力シャフト40′に対して相対的に回転してもよく、その入力シャフト40′を自動スピンドルロック20′を介して筐体95′に回転的に固着してもよい。この相対的な回転が、半径方向に内向きのネジ山43′と半径方向に外向きのネジ山33′との間の相互作用によって、チャック作動ネジ32′を(ネジ32′の回転方向に従って)軸方向に前進または後退させることが出来る。チャック作動ネジ32′の並進運動は、プッシャヘッド35′を押出したり引込めたり出来る。
【0059】
プッシャヘッド35′は、(半径方向の通路36′と傾斜通路9′とに位置付けられるチャックのあご部2′を介して)入力シャフト40′に回転的に固定されたままでもよい。従って、チャック作動ネジ32′は、プッシャヘッド35′に対して相対的に回転出来る。プッシャヘッド35′の並進運動が、チャックのあご部2′を押出したり引っ込めたりでき、これによってチャックのあご部2′を開けたり及び/又は閉じたり出来る。
【0060】
チャック作動シャフト30′と第3段の遊星キャリア78t′との間に位置付けられるエラストマー部材28′は、以下ように機能出来る。チャックのあご部2′を付属物において閉じるために、駆動装置はチャック作動モードで動作していると仮定する。ツールチャック50′が一度締められると(すなわち、チャックのあご部2′が付属物を締付ける時に)、チャック作動シャフト30′は回転を停止するだろう。この時に、動力伝達装置70′からの動力は、第3段の遊星キャリア78t′を回転的に駆動するために継続でき、これによって第3段の遊星キャリア78t′とチャック作動シャフト30′との間に相対的な回転を生じる。この相対的な回転は、エラストマー部材28′を圧縮する。このように、エラストマー部材28′は、動力伝達装置70′において締付け動作の終了時を、急激でなく且つより穏やかにすることが出来る。さらに、エラストマー部材28′によって備わる角度への弾力性は、前方位置で駆動突起部と容易に再係合することが出来る。
【0061】
III.図4および図5に示される例示の実施形態
図4は、動力移送機構を備えるツールチャック150の別の例示の非限定的な実施形態を示す。この例示の実施形態は、動力移送機構を含むという点で、上述した例示の実施形態と類似している。しかし、後述するように幾つかの顕著な相違点がある。
【0062】
A.構造
図4を参照して、ツールチャック150を動力駆動装置の動力伝達装置170に接続してもよい。動力伝達装置170は、電気モータ(図示されていない)をツールチャック150に連結してもよい。
【0063】
上述の実施形態にあるように、動力伝達装置170は3つの遊星歯車式減速装置を含んでもよい。しかし、本発明はこの点において限定されない。
【0064】
単一の遊星歯車式減速装置(「第3段の減速装置」)のみが、図4に示される。第3段の減速装置は、第2段の遊星キャリア178sの前面に固定される第3段の太陽歯車172tを含んでもよい。複数の第3段の遊星歯車174tが、第3段の太陽歯車172tと係合してもよい。第3段の遊星歯車174tの各々を、第3段の遊星キャリア178tによって支持されるそれぞれのシャフト176tに回転可能に装着してもよい。第3段のリングギア180tは、第3段の遊星歯車174tと係合してもよい。
【0065】
第1段および第2段の減速装置は、第3段の減速装置と同様であってもよい。例えば、動力伝達装置170の遊星歯車式減速装置の全てが、それを選択的に作動させるために軸方向に移動可能であるそれぞれのリングギアを含んでもよい。(対応する太陽歯車を介した)個々の段の入力は、(先行の遊星キャリアを経由した)直前の段の出力である。従って、3つの減速装置は、所望される伝達出力を得るために、組合せの形で又は個別に動作することが出来る。
【0066】
この例示の実施形態において、第3段の遊星キャリア178tを介して動力伝達装置170から、動力を移送することが出来る。このために、(通常動作モードとチャック作動モードの両方において)ツールチャック150を回転的に駆動するために伝達動力を供給できるように、第3段の遊星キャリア178tと入力シャフト140とを互いに回転的に固定してもよい。単に例示として、且つ本発明を限定すること無く、第3段の遊星キャリア178tと入力シャフト140は、単一の一体構造のものであってもよい。
【0067】
この例示の実施形態において、第3段の太陽歯車172tを介して動力伝達装置170から、動力を移送することが出来る。上述したように、第3段の太陽歯車172tを第2段の遊星キャリア178sの前面に固定してもよいし、この点において、第2段(すなわち、先行の段)の減速装置を介して動力伝達装置170から、動力を移送することが出来る。このために、第3段の太陽歯車172tは、駆動突起部164を備える前面を有してもよい。さらに、第3段の太陽歯車172tは(第2段の遊星キャリア178sと共に)、前方位置と後方位置との間で筐体195に対して相対的に軸方向に移動可能であってもよい。
【0068】
第3段の太陽歯車172tが軸の前方位置にある時に、駆動突起部164は、チャック作動シャフト130に備えられる突起部134と相互作用してもよい。この状態において、(チャック作動モードにおいて)伝達動力がツールチャック150を駆動するために供給できるように、第3段の太陽歯車172tとチャック作動シャフト130を、互いに回転的に固定してもよい。第3段の太陽歯車172tが、図1に示される軸の後方位置にある時に、駆動突起部164はチャック作動シャフト130を解放してもよい。この状態においては、第3段の太陽歯車172tとチャック作動シャフト130とは、(通常動作モードにおいて)互いに対して相対的に回転出来る。
【0069】
第2段の遊星キャリア178sの外面が、ワイヤを備える連続した円周溝を備えてもよい。円周溝介して摺動可能なワイヤは、半径方向に且つ円周溝から延伸する自由端を有してもよい。一時的に図5に戻って、筐体195上で軸方向に運動するよう装着されるボタン189にワイヤの自由端を連結してもよい。ボタン189は、筐体195に対して相対的に移動させることができ、これによってワイヤ(従って、第2段の遊星キャリア178sと第3段の太陽歯車172t)を所望する軸の位置に移動する。駆動装置を選択的に起動するためのスイッチに、ボタン189を適切に機能するように連結してもよい。この場合に、ボタン189が、第2段の遊星キャリア178sと第3段の太陽歯車172tとを軸の前方位置に配置するために操作される時に、スイッチは駆動装置を起動出来る。
【0070】
第2段の遊星キャリア178sが、図5に示されているボタン189以外の構造によって軸方向に配置出来ることは、当業者にとって容易に明らかである。例えば、第2段の遊星キャリア178sに備えられるワイヤの自由端部を切替カラーのスロット内に受容してもよい。切替カラーを回転させる時に、スロットはワイヤ(従って、第2段の遊星キャリア178s)を所望する軸の位置に移動出来る。切替カラーはまた、遊星歯車式減速装置のリングギアを軸方向に配置するために使用出来るから、所定の歯車減速およびトルクで、チャック作動モードにおいて駆動装置を動作してもよい。
【0071】
図4に戻って、筐体195内に(軸受105を介して)回転するように入力シャフト140を装着してもよい。この例示の実施形態において、入力シャフト140の前端部は、チャックのあご部102がそれぞれに摺動可能な通路109を含んでもよい。通路109は、チャックのあご部102の半径方向の運動を導き、同時に、入力シャフト140をチャックのあご部102に回転的に固定出来る。入力シャフト140は、チャック作動シャフト130が延伸する穴を含んでもよい。入力シャフト140とチャック作動シャフト130を共に軸方向に固定し、互いに対して相対的に回転することが可能である。入力シャフト140とチャック作動シャフト130との間に備えることが可能なOリング107は、ツールチャック150と動力伝達装置170の内部にゴミが侵入し汚染することを防止出来る。
【0072】
チャック作動シャフト130は、チャック作動ネジ132の半径方向に外向きのネジ山133と相互作用する半径方向に内向きのネジ山143を有してもよい。すなわち、チャック作動シャフト130をチャック作動ネジ132にネジ込み連結してもよい。
【0073】
ネジ山133、143の相互作用によって、チャック作動シャフト130(従って、入力シャフト140)に対して相対的に軸方向に、チャック作動ネジ132を前進または後退出来る。チャック作動ネジ132の前端部は、チャックのあご部102がそれぞれに支持される傾斜通路136を含んでもよい。傾斜通路136は、チャックのあご部102をチャック作動ネジ132に回転的に固定出来る。
【0074】
B.動作
ツールチャック150は、第3段の太陽歯車172tの軸の位置に従って、異なった動作をしてもよい。一方において、第3段の太陽歯車172tが軸の後方位置にある時に、動力伝達装置170からの動力出力は、通常動作モードにおいて、ツールチャック150を回転的に駆動出来る。他方において、第3段の太陽歯車172tが軸の前方位置にある時に、動力伝達装置170からの動力出力は、チャック作動モードにおいて、チャックのあご部102を開く又は閉じるために、ツールチャック150を駆動出来る。
【0075】
さらに明確に述べると、通常動作モードを実現するために、オペレータは、第2段の遊星キャリア178s(従って、第3段の太陽歯車172t)を、図4で図解される軸の後方位置に移動させるように、(筐体195に対して相対的に)ボタン189を移動してもよい。駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア178tは、入力シャフト140と共に回転出来る。この時に、第3段の太陽歯車172tとチャック作動シャフト130は、互いに対して及び筐体195に対して相対的に回転出来る。
【0076】
入力シャフト140は、通路109を介して、チャックのあご部102と共に回転してもよい。傾斜通路136内に設置されるチャックのあご部102は、チャック作動ネジ132を回転的に駆動できる。チャック作動ネジ132とチャック作動シャフト130は、入力シャフト140と共に回転出来る。従って、入力シャフト140とチャックのあご部102とチャック作動ネジ132とチャック作動シャフト130とは、筐体195に対して相対的に、一体として共に回転出来る。
【0077】
チャック作動モードを実現するために、オペレータは、第2段の遊星キャリア178s(従って、第3段の太陽歯車172t)を軸の前方位置に移動するように、ボタン189を(筐体195に対して相対的に)移動してもよい。駆動装置が起動されると、第3段の遊星キャリア178tは入力シャフト140と共に回転出来る。通路109、136によって、入力シャフト140とチャックのあご部102とチャック作動ネジ132とは、一体として共に回転出来る。同時に、第3段の太陽歯車172tの駆動突起部164は、チャック作動シャフト130を(突起部134を介して)回転的に駆動出来る。
【0078】
(図4に示されるように)第3段の減速が適切に機能する場合に、第3段の太陽歯車172tの一回転は、(第3段の遊星歯車174tと、回転的に固定される第3段のリングギア180tとを介して)第3段の遊星キャリア178tの単に部分回転のみを生じることが出来る。言い換えると、第3段の太陽歯車172t(従って、チャック作動シャフト130)は、筐体195に対して、第3段の遊星キャリア178t(従って、チャック作動ネジ132)よりも高速で回転出来る。
【0079】
回転的に駆動されるチャック作動シャフト130と回転的に駆動されるチャック作動ネジ132との間の速度差は、二つの構成要素部品の間の相対的な回転に帰着するかもしれない。この相対回転は、半径方向に内向きのネジ山143と半径方向に外向きのネジ山133との間の相互作用によって、(動力伝達装置170の出力の回転方向に従う)軸方向でチャック作動ネジ132を前進または後退することが出来る。チャック作動ネジ132が、チャック作動シャフト130(及び、入力シャフト140)に対して相対的に前進または後退する場合に、チャックのあご部102は通路136を介して摺動出来る。通路136は、チャックのあご部102が半径方向に且つ入力シャフト140の通路109を介して移動するために、チャックのあご部102に影響を及ぼすことができ、これによってチャックのあご部102を開けたり及び/又は閉じたりする。
【0080】
IV.図6に示される例示の実施形態
図6は、動力移送機構を備えるツールチャック250の別の例示の非限定的な実施形態を示す。この例示の実施形態は、セクションIIIで上述した例示の実施形態と類似している。しかし、この例示の実施形態は、図1に図解されるチャックのあご部に類似するチャックのあご部を使用してもよい。
【0081】
A.構造
図6は、動力伝達装置270の単一の遊星歯車式減速装置(「第3段の減速装置」)のみを示す。第3段の減速装置は、第2段の遊星キャリア278sの前側に固定される第3段の太陽歯車272tを含んでもよい。複数の第3段の遊星歯車274tが、第3段の太陽歯車272tと係合してもよい。第3段の遊星歯車274tの各々を、第3段の遊星キャリア278tによって支持されるそれぞれのシャフト276tに回転可能に装着してもよい。第3段のリングギア280tは、第3段の遊星歯車274tと係合してもよい。
【0082】
上述の実施形態で見られるような、動力伝達装置270は、図示される第3段の減速装置に類似しているかもしれない追加の遊星歯車式減速装置(例えば、第1段の減速装置と第2段の減速装置)を含んでもよい。
【0083】
第3段の遊星キャリア278tを介して動力伝達装置270から、動力を移送することが出来る。このために、(通常動作モードとチャック作動モードの両方において)ツールチャック250を回転的に駆動するために伝達動力を供給出来るように、第3段の遊星キャリア278tと入力シャフト240とを、共に回転的に固定してもよい。
【0084】
さらに、第3段の太陽歯車272tを介して動力伝達装置270から、動力を移送することが出来る。このために、第3段の太陽歯車272tは、駆動突起部264を備える前面を有してもよい。さらに、第3段の太陽歯車272tは(第2段の遊星キャリア278sと共に)、前方位置と後方位置との間で筐体295に対して相対的に、軸方向に移動可能あってもよい。
【0085】
第3段の太陽歯車272tが軸の前方位置にある時に、駆動突起部264は、(チャック作動モードにおいて)ツールチャック250を駆動するために、伝達動力を供給出来るように、チャック作動シャフト230に備えられる突起部234と相互作用してもよい。第3段の太陽歯車272tが、図6に示される軸の後方位置にある時に、第3段の太陽歯車272tとチャック作動シャフト230とが、(通常動作モードにおいて)互いに対して相対的に回転出来るように、駆動突起部264は、チャック作動シャフト230を開放してもよい。第2段の遊星キャリア278s(従って、第3段の太陽歯車272t)を、(図3を参照して説明したように)ボタンによって、または代替策において、(以下により詳細に述べられる)切替カラーによって、所望される軸位置に移動してもよい。
【0086】
入力シャフト240を筐体295内で(軸受205、206を介して)回転するように装着してもよい。入力シャフト240の前端部は、チャックのあご部202がそれぞれ摺動可能である傾斜通路209を含んでもよい。傾斜通路209は、チャックのあご部202に入力シャフト240を回転的に固定出来る。入力シャフト240は、チャック作動シャフト230が延伸する穴を含んでもよい。入力シャフト240とチャック作動シャフト230とは軸方向に互いに固定されており、互いに対して相対的に回転可能である。O−リング207を、入力シャフト240とチャック作動シャフト230との間に備えてもよい。
【0087】
チャック作動シャフト230は、チャック作動ネジ232の半径方向に外向きのネジ山233と相互作用する半径方向に内向きのネジ山243を有してもよい。
【0088】
チャック作動ネジ232を、ネジ山233、234の相互作用によって、チャック作動シャフト230(従って、入力シャフト240)に対して相対的に軸方向に前進または後退することが出来る。チャック作動ネジ232の前端部は、チャックのあご部202がそれぞれ支持される半径方向を向いている傾斜通路236を含んでもよい。この半径方向を向いている傾斜通路236は、チャックのあご部202の半径方向の運動を導き、同時に、チャックのあご部202をチャック作動ネジ232に回転的に固定出来る。
【0089】
B.動作
ツールチャック250は、第3段の太陽歯車272tが軸の後方位置にある時に、通常動作モードで動作し、第3段の太陽歯車272tが軸の前方位置にある時に、チャック作動モードで動作出来る。
【0090】
通常動作モード中に、すなわち、第2段の遊星キャリア278s(従って、第3段の太陽歯車272t)が、図6に示される軸の後方位置にあり、且つ駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア278tが、入力シャフト240と共に回転出来る。この時に、第3段の太陽歯車272tとチャック作動シャフト230は、互いに対して、及び筐体295に対して、相対的に回転出来る。
【0091】
入力シャフト240はチャックのあご部202と共に回転し、チャックのあご部202は順次、チャック作動ネジ232を回転的に駆動出来る。チャック作動ネジ232とチャック作動シャフト230は、入力シャフト240と共に回転出来る。従って、入力シャフト240とチャックのあご部202とチャック作動ネジ232とチャック作動シャフト230とは、筐体295に対して相対的に一体として共に回転出来る。
【0092】
チャック作動モード中に、すなわち、第2段の遊星キャリア278s(従って、第3段の太陽歯車272t)が軸の前方位置にあり、且つ駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア278tは、入力シャフト240とチャックのあご部202とチャック作動ネジ232と共に回転出来る。同時に、第3段の太陽歯車272tの駆動突起部264は(突起部234を介して)チャック作動シャフト230を回転的に駆動出来る。
【0093】
(図6に示されるように)第3段の減速が適切に機能する場合に、第3段の太陽歯車272tの1回転が、第3段の遊星キャリア278tの部分回転のみを生ずることが出来る。言い換えると、第3段の太陽歯車272t(従って、チャック作動シャフト230)は、筐体295に対して、第3段の遊星キャリア278t(従って、チャック作動ネジ132)より高速に回転出来る。この速度差が、半径方向に内向きのネジ山243と半径方向に外向きのネジ山233との間の相互作用によって、チャック作動ネジ232を軸方向に前進または後退させることが出来る。
【0094】
チャック作動シャフト230(及び、入力シャフト240)に対する相対的なチャック作動ネジ232の並進運動は、チャックのあご部202を押出したり引込めたり出来て、それ故にチャックのあご部202を開けたり及び/又は閉じたりする。例えば、閉じる動作中は、チャック作動ネジ232を(チャックのあご部202と共に)軸方向に前進出来る。この間は、入力シャフト240の傾斜通路209は、チャック作動ネジ232の半径方向を向いている通路236を介して半径方向内側にチャックのあご部202を移動出来る。
【0095】
V.図7および図8に示される例示の実施形態
図7及び図8は、動力移送機構を備えるツールチャック350の別の例示の非限定的な実施形態を示す。この例示の実施形態は、動力移送機構を含むという点で、上述した例示の実施形態と類似している。しかし、この例示の実施形態において、第2段の遊星キャリアと第3段の太陽歯車とは、互いに対して軸方向に移動可能であってもよい。
【0096】
A.構造
図7を参照して、ツールチャック350を動力駆動装置の動力伝達装置370に接続してもよい。この動力伝達装置370は、電気モータをツールチャック350に連結出来る。
【0097】
上述の実施形態において見られるような、動力伝達装置370が3つの遊星歯車式減速装置を含んでもよいが、本発明はこの点に限定されない。図7は、第1段の減速装置と第2段の減速装置と第3段の減速装置とを含む3つの遊星歯車式減速装置のすべてを示す。
【0098】
第1段の減速装置が、電気モータの回転シャフトに固定される第1段の太陽歯車372fを含んでもよい。複数の第1段の遊星歯車374fは、第1段の太陽歯車372tと係合してもよい。第1段の遊星歯車374fの各々を、第1段の遊星キャリア378fによって支持されるそれぞれのシャフト376fに回転可能に装着してもよい。第1段のリングギア380fは、第1段の遊星歯車374fと係合出来る。第1段のリングギア380fを駆動装置の筐体395に、軸方向に固定してもよい。
【0099】
第2段の減速装置は、第1段の遊星キャリア378fの前面に固定される第2段の太陽歯車372sを含んでもよい。複数の第2段の遊星歯車374sが、第2段の太陽歯車372sと係合出来る。第2段の遊星歯車374sの各々を、第2段の遊星キャリア378sによって支持されるそれぞれのシャフト376sに回転可能に装着してもよい。第2段の遊星キャリア378sを保持プレート388を介して筐体395に、軸方向に固定してもよい。第2段のリングギア380sは第3段の遊星歯車374sと係合出来る。
【0100】
第3段の減速装置は、第2段の遊星キャリア378sの前面に備えられる第3段の太陽歯車372tを含んでもよい。この場合に、第3段の太陽歯車372tと第2段の遊星キャリア378sを、互いに回転的に固定し、且つ互いに対して相対的に、軸方向に移動可能であってもよい。単に例示として、且つ本発明を限定すること無く、第3段の太陽歯車372tは、第2段の遊星キャリア378sに備えられる協同機構によって受容される長手方向のスプラインを含んでもよい。このタイプの多数の及び様々な継手は、当技術分野で周知であるとして、適切に使用してもよいことが理解されるだろう。複数の第3段の遊星歯車374tが、第3段の太陽歯車372tと係合出来る。第3段の遊星歯車374tの各々を、第3段の遊星キャリア378tによって支持されるそれぞれのシャフト376tに回転可能に装着してもよい。第3段のリングギア380tが第3段の遊星歯車374tと係合してもよい。
【0101】
この例示の実施形態において、第2段のリングギア380sと第3段のリングギア380tとが、対応する遊星歯車式減速装置を選択的に動作するために、軸方向に移動可能であってもよく、一方第1段の減速装置は、適切に機能する状態を維持することが出来る。このために、リングギア380sと380tは、それぞれワイヤ312sと312tを備えることが出来る連続した円周溝を備えてもよい。ワイヤ312sと312tは、それぞれの溝を介して摺動可能であってもよい。カム従動部としての役割を果たすことができるワイヤ312sと312tの末端部は、溝から延伸し、切替カラー310のそれぞれのスロットによって受容される。筐体395に対して相対的に切替カラー310を回転させる時に、スロットは、ワイヤ312sと312t(従って、、対応するリングギア)を所望する軸の位置に移動出来る。
【0102】
図7と図8とに示されるように、3つの遊星歯車式減速装置の全てが適切に機能する。図7と図8とに示される相対的な位置から、第2段の減速を機能させないために、第2段のリングギア380sを軸の後方位置に移動してもよい。さらに、第3段の減速を機能させないために、第3段のリングギア380tを軸の前方位置に移動してもよい。
【0103】
第3段の遊星キャリア378tを介して動力伝達装置370から、動力を移送することが出来る。このために(通常動作モードとチャック作動モードの両方において)、ツールチャック350を回転的に駆動するために、伝達動力を供給することが出来るように、第3段の遊星キャリア378tと入力シャフト340とを共に回転的に固定することが出来る。
【0104】
さらに、第3段の太陽歯車372tを介して動力伝達装置370から、動力を移送することが出来る。このために、第3段の太陽歯車372tは、駆動突起部164を備える前面を有してもよい。さらに、第3段の太陽歯車372tは、前方位置と後方位置との間で、筐体395(従って、保持プレート388によって第2段の遊星キャリア378s)に対して相対的に、軸方向に移動可能であってもよい。
【0105】
第3段の太陽歯車372tが(図8に示されるように)軸の前方位置にある時に、駆動突起部364は、チャック駆動継手360上に備えられる突起部334と相互作用出来る。この状態において、(チャック作動モードにおいて)ツールチャック350を駆動するために、伝達動力を供給することが出来るように、第3段の太陽歯車372tとチャック駆動継手360を共に、回転的に固定することが出来る。第3段の太陽歯車372tが、(図7に示されるように)軸の後方位置にある時に、駆動突起部364は、チャック駆動継手360を開放出来る。この状態においては、第3段の太陽歯車372tとチャック駆動継手360は、(通常動作モードにおいて)互いに対して相対的に回転出来る。
【0106】
第3段の太陽歯車372tの外面が、ワイヤ314を備えらことが可能な連続した円周溝を備えてもよい。円周溝を介して摺動することが可能なワイヤは、半径方向で円周溝から延伸する自由端を有してもよい。ワイヤの自由端を切替カラー310のスロットに受容することが出来る。切替カラー310を回転させる時に、スロットはワイヤ314(従って、第3段の太陽歯車372t)を所望する軸方向位置に移動出来る。
【0107】
入力シャフト340を、筐体395内に(軸受305と306を介して)回転するように装着することが出来る。入力シャフト340の前端部は、チャックのあご部302がそれぞれに摺動可能である傾斜通路309を含んでもよい。傾斜通路309は、チャックのあご部302に入力シャフト340を回転的に固定出来る。入力シャフト340は、チャック作動シャフト330が延伸する穴を含んでもよい。入力シャフト340とチャック作動シャフト330は共に軸方向に固定され、互いに対して相対的に回転可能となる。
【0108】
チャック作動シャフト330は、チャック作動ネジ332の半径方向に外向きのネジ山333と相互作用する半径方向に内向きのネジ山343を有してもよい。チャック作動シャフト330の後端部は、チャック駆動継手360を支持出来る。チャック作動シャフト330とチャック駆動継手360は、共に回転的に固定され、互いに対して軸方向に移動可能である。単に例示として、且つ本発明を限定すること無く、チャック作動シャフト330は、チャック駆動継手360に備えられる協同機構によって受容される長手方向のスプラインを含んでもよい。
【0109】
入力シャフト340とチャック駆動継手360との間に、圧縮バネ361を保持してもよい。この圧縮バネ361は、図7に示されるように、チャック駆動継手361を移動させて第3段の遊星キャリア378tと係合させてもよい。この状態において、チャック駆動継手360を、協同機構(図示されていない)を介して第3段の遊星キャリア378tに回転的に固定することが出来る。しかし、図8を参照すると、チャック駆動継手360を圧縮バネ361の偏向に抗して、(第3段の太陽歯車372tの軸の前方運動によって)軸の前方位置に駆動することが出来る。この場合に、チャック駆動継手360と第3段の遊星キャリア378tとが、互いに対して相対的に回転可能になるように、協同機構は解放出来る。単に例示として、且つ本発明を限定すること無く、協同機構は、チャック駆動継手360に備えられる1組の半径方向に外向きの歯356と、第3段の遊星キャリア378tに備えられる対応する1組の半径方向に内向きの歯357とを含んでもよい。
【0110】
ネジ山333、334の相互作用によって、チャック作動シャフト330(従って、入力シャフト340)に対して相対的に、チャック作動ネジ332を軸方向に前進または後退することが出来る。チャック作動ネジ332の前端部は、チャックのあご部302がそれぞれに支持される、半径方向を向いている通路336を含んでもよい。この半径方向を向いている通路336は、チャックのあご部302の半径方向の運動を導き、同時に、チャックのあご部302をチャック作動ネジ332に回転的に固定出来る。
【0111】
B.動作
ツールチャック350は、第3段の太陽歯車372tが軸の後方位置にある時に、通常動作モードで動作し、第3段の太陽歯車372tが軸の前方位置にある時に、チャック作動モードで動作出来る。両方のモード中に、第2段の遊星キャリア378sは、保持プレート388によって筐体395に対して相対的に同一の軸方向位置に留まることが出来る。
【0112】
通常動作モード中に、すなわち、第3段の太陽歯車372tが、図7に示される軸の後方位置にあり、且つ駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア378tは、入力シャフト340とチャック駆動継手360とを(協同機構356、357を介して)回転的に駆動出来る。同時に、第3段の太陽歯車372tとチャック駆動継手360とは、互いに対して、及び筐体395に対して、相対的に回転出来る。
【0113】
入力シャフト340はチャックのあご部302と共に回転してもよく、チャックのあご部302は順次、チャック作動ネジ332を回転的に駆動してもよい。チャック作動ネジ332と(チャック駆動継手360に回転的に固定される)チャック作動シャフト330とは、入力シャフト340と共に回転出来る。従って、入力シャフト340とチャックのあご部302とチャック作動ネジ332とチャック作動シャフト330とチャック駆動継手360とは、筐体395に対して相対的に一体として共に回転出来る。図7に示される状態において、第3段の遊星キャリア378tと入力シャフト340とチャック駆動継手360とを共に回転的に固定することができ、このことは、ツールチャック350を効果的に固着させ、通常動作モード中に、ツールチャックが緩むことを防止出来る。
【0114】
チャック作動モード中に、すなわち、第3段の太陽歯車372tが、図8に示される軸の前方位置にあり、駆動装置が起動される時に、第3段の遊星キャリア378tは、入力シャフト340とチャックのあご部302とチャック作動ネジ332と共に回転出来る。同時に、第3段の太陽歯車372tの駆動突起部364は、チャック駆動継手360を(突起部334を介して)回転的に駆動でき、従ってチャック作動シャフト330を回転的に駆動出来る。図8に示されるように、チャック駆動継手360(及び、歯356)のような構成要素部品を互いに対して相対的に回転可能にするために、第3段の遊星キャリア378t(および歯357)から、チャック駆動継手360(及び、歯356)を解放することが出来る。
【0115】
(図7に示されるように)第3段の減速が適切に機能している場合に、第3段の太陽歯車372tの1回転は、第3段の遊星キャリア378tの部分回転のみを生じることが出来る。言い換えると、筐体395に対して相対的に、第3段の太陽歯車372t(従って、チャック駆動継手360とチャック作動シャフト330)は、第3段の遊星キャリア378t(従って、チャック作動ネジ332)より高速で回転出来る。この速度差が、半径方向に内向きのネジ山343と半径方向に外向きのネジ山333との間の相互作用によって、チャック作動ネジ332を軸方向に前進又は後退させることが出来る。
【0116】
チャック作動シャフト330(及び、入力シャフト340)に対する相対的なチャック作動ネジ332の並進運動は、チャックのあご部302を押出したり引込めたりすることができ、それ故に、チャックのあご部302を開けたり及び/又は閉じたりする。例えば、閉じる動作中に、チャック作動ネジ332を(チャックのあご部302と共に)、軸方向に前進することが出来る。この間に、入力シャフト340の傾斜通路309は、チャック作動ネジ332の半径方向を向いている通路336を介して半径方向内側にチャックのあご部302を移動出来る。
【0117】
VI.切替カラーの例示の実施形態−図9
図9は、切替カラー310の例示の非限定的な実施形態を示し、図7と図8に示される動力伝達装置370の様々な構成要素を軸方向に配置するために、切替カラー310を使用してもよい。すなわち、第2段のリングギア380sと第3段のリングギア380tと第3段の太陽歯車372tとをそれぞれ軸方向に配置するために、切替カラー310を作動させてもよい。しかし、数多くの様々な実施形態において切替カラー310を適切に使用してもよいことが理解されるだろう。例えば、図1の第3段の遊星キャリア78t、図2の第3段の遊星キャリア78t′、図4の第2段の遊星キャリア178sと共に第3段の太陽歯車172t、及び、図6の第2段の遊星キャリア278sと共に第3段の太陽歯車272tと同様に、リングギアを軸方向に配置するために、切替カラー310を使用してもよい。
【0118】
A.構造
図9を参照して、切替カラー310は中空の円筒形の形状を有してもよい。筐体395に軸方向に固定され、筐体395に対して相対的に回転可能であるように、切替カラー310を筐体395に装着することが出来る。切替カラー310は、ユーザによって操作される突起311を含んでもよい。
【0119】
切替カラー310は、さらに、切替カラー310の周りを円周方向に延伸するスロットも含んでもよい。この例示の実施形態においては、三つのスロット313s、313t、315を備えてもよい。スロットの個数は、軸方向に移動可能である伝達要素の個数に対応してもよい。しかし、本発明は、より多くのスロット又はより少ないスロットが備えられるというような事に関して限定されるものでない。
【0120】
筐体395は中空の円筒形の形状を有し、切替カラー310介して延伸してもよい。理解を容易にするために、筐体395の一部分のみが示されている。筐体395のその他の部分が、切替カラー310の外側を覆い、ユーザが突起部311にアクセス出来るように、筐体に窓を備えてもよい。
【0121】
筐体395は、さらに、長手方向のスロット396も含んでもよい。この例示の実施形態において、長手方向のスロット396は互いに180°反対の位置にあるが、しかし、本発明はこの点において限定されるものでない。図示されるように、長手方向のスロット396を筐体395の長手方向に沿って断続的に備てもよい。長手方向のスロット396は、切替カラー310のスロット313s、313t、315と交差して(及び下方に)延伸出来る。
【0122】
第2段および第3段のリングギア380s、380tと第3段の太陽歯車372tとは、それぞれワイヤ312s、312t、314を備えることが出来る、連続した円周溝を備えてもよい。これらのワイヤは、対応する円周溝を介して摺動出来る。ワイヤ312s、312t、314の各々は、半径方向で対応する溝から延伸する端部を有してもよい。各ワイヤの端部は、筐体395の長手方向のスロット396を介し切替カラー310の対応するスロットに延伸出来る。この例示の実施形態において、ワイヤ312sの端部は切替カラー310のスロット313sに延伸し、ワイヤ314の端部は切替カラー310のスロット315に延伸し、及びワイヤ312tの末端は切替カラー310のスロット313tに延伸出来る。
【0123】
B.動作
ユーザは、筐体395とワイヤ312s、312t、314とに対して相対的に(突起部311を介して)切替カラー310を回転することができ、ワイヤは長手方向のスロット396を介して筐体395に回転的に固定されたままに出来る。この相対的な回転の間で、ワイヤ312s、312t、314の端部は、切替カラー310のスロット313s、313t、315を介してそれぞれに摺動出来る。
【0124】
各スロット313s、313t、315の形状は、その対応するワイヤ312s、312t、314をそれぞれに、所望する軸方向位置に移動出来る。この点において、各ワイヤの端部はカム従動部としての役割を果たし、対応するスロットはカムとしての役割を果たすことが出来る。筐体395の長手方向のスロット396は、ワイヤ312s、312t、314の軸方向の運動を導くことが出来る。ワイヤ312s、312t、314は、第2段のリングギア380sと第3段のリングギア380と第3段の太陽歯車372tとのそれぞれと共に、軸方向に移動出来る。
【0125】
切替カラー310が回転する時に、所定の動力伝達要素は、同じ軸方向位置に留まるか、又は切替カラー310の対応するスロットの形状に従って、軸方向に(前方または後方に)移動することが出来る。図9に示されるスロット313tを考慮されたい。この図で、スロット313tの部分313taは、円周方向のみに延伸出来る。このスロット部分313taは、第3段のリングギア380tのいかなる軸方向の移動も生じない。スロット313tのその次の部分313tbは、軸の前方向に延伸出来る。このスロット部分313tbは、第3段のリングギア380tを軸の前方向に移動させることが出来る。そして、スロット313tのその次の部分313tcが軸の後方向に延伸出来る。このスロット部分313tcは、第3段のリングギア380tを軸の後方向に移動させることが出来る。
【0126】
駆動装置が起動される時に、ワイヤは、対応する動力伝達要素の連続した円周溝を介して摺動出来る。例えば、(筐体395に回転的に固定されたままに出来る)ワイヤ314は、第3段の太陽歯車372tの溝を介して摺動出来る。さらに、遊星歯車式減速装置が適切に機能しない場合に、(筐体395に回転的に固定されたままに出来る)対応するワイヤは、対応するリングギアの溝を介して摺動出来る。
【0127】
C.クラッチピンのための変更例−図10と図11
幾つかの動力駆動装置が、クラッチ機構を含んでもよい。クラッチ機構は当技術分野で周知であり、その結果、クラッチ機構の詳細な説明は省略する。月並みにクラッチ機構は、筐体の外面に装着されるクラッチピンを含んでもよい。この外側の装着位置は、筐体に対して相対的に、切替カラーの移動を制限出来る。特に、例えば上述したチャック作動モードのような別の設定を選択するために切替カラーが使用出来る装置に対しては、このような制限された移動を回避することが望ましいだろう。
【0128】
図10と図11で示される例示の実施形態において、切替カラー310′の中心317が、筐体395′の中心318と同心であってもよい。この構成で、クラッチピン325′は動力駆動装置の回転軸線に平行に延伸出来る。クラッチピン325′はまた、切替カラー310′を介して延伸する筐体395′の側壁を通過して延伸出来る。この点において、クラッチピン325′を、切替カラー310′の半径方向内向きに配置でき、その結果、切替カラー310′の移動を制限しない。
【0129】
D.駆動装置を起動するための変更例−図12
図12は、動力駆動装置の外観を示す。この図で、動力駆動装置の筐体395″は窓を含んでもよい。切替カラーの突起311″は、窓を介して露出したままにでき、それ故にユーザは突起311″にアクセス可能になる。四つの位置1、2、3、4のいずれかに、突起を移動することが出来る。しかし、本発明はこの点において限定されない。
【0130】
対応する歯車減速に関連付けられるだろう通常動作モードにおいて、動力駆動装置を動作させるために、位置2と位置3を選択することが出来る。この点に関して、二つの異なる速度で動力駆動装置を動作するために、位置2と位置3を選択することが出来る。これら二つの位置のどちらか一方が選択される時に、ユーザは、動力駆動装置を起動するために、(図12において隠れている)トリガを強く押すことが出来る。
【0131】
チャック作動モードで動力駆動装置を動作させるために、位置1と位置4を選択することが出来る。例えば、チャックのあご部を締め付けるために位置1を選択し、チャックのあご部を緩めるために位置4を選択することが出来る。位置1と位置4をバネ仕掛けにしてもよい。この場合に、ユーザは、二つの位置1と4のいずれかの突起部311″を押して保持することが出来る。ユーザが突起部311″を解放すると、突起部311″は自動的に通常の動作位置に移動出来る。
【0132】
動力駆動装置を起動するためのスイッチに、切替カラーを適切に作動するように接続することが出来る。一方において、突起部311″が位置1又は位置4のいずれかで押して保持される場合に、スイッチは、動力駆動装置を起動するために作動することが出来る。他方において、突起部311″が位置2又は位置3のいずれかにある場合に、スイッチは、動力駆動装置を起動しないように開状態のままに出来る。
【0133】
図12に示される例示の切替カラーは、次のように動作出来る。ユーザは、付属物をツールチャックに挿入し、突起部311″を位置1に摺動してもよい。ユーザが突起部311″を位置1に保持する時に、動力駆動装置は(ユーザがトリガを強く押すことなく)起動され、付属物でチャックのあご部を締め付けるために、ツールチャックに伝達動力を供給することが出来る。
【0134】
付属物が一度チャックのあご部内に固着されると、ユーザは突起部311″を解放してもよく、それから、突起311″は、(通常動作モードに関連付けられる)位置2に自動的に戻ることが出来る。ユーザは、単にトリガを強く押すことによって、突起部311″を移動することなしに、通常動作モードで動力駆動装置(及び、付属物)を作動出来る。付属物は、突起部311″を位置4に保持することによって、ツールチャックから解放できる。
【0135】
切替カラーの位置(及び、これに関連した機能性)の多数で様々な変更例は、当業者にとって容易に明らかであるかもしれない。例えば、動力駆動装置を通常動作モードにおいて、それぞれに三つの異なる速度で動作させるために、位置1、2、3を選択することが出来る。動力駆動装置をチャック作動モードで動作させるために、位置4を選択することが出来る。この場合に、ツールチャックを締めたり緩めたりするために、ユーザは切替カラーの突起部を位置4に移動してもよい。(利用しやすいように)数字よりもむしろ筐体上に、チャックの象徴を浮き彫にしてもよい。それからユーザは、動力駆動装置を起動するためにトリガを強く押してもよい。(従来の方向スイッチを介して)動力駆動装置が前進するように設定されると、そこでツールチャックを締付けてもよい。(方向スイッチを介して)動力駆動装置が後退するように設定されると、そこでツールチャックを緩めてもよい。
【0136】
VII.図13と図14に示される例示の実施形態
図13と図14は、動力移送機構を備えるツールチャック450の別の例示の非限定的な実施形態を示す。ツールチャック450を平行軸の動力伝達装置470に接続してもよい。コード付きのドリルおよび駆動装置において、平行軸の動力伝達装置を一般的に使用してもよいが、本発明はこの点において限定されない。
【0137】
A.構造
図13を参照すると、平行軸の動力伝達装置470は、電気モータをツールチャック450に連結してもよい。電気モータは、出力歯車499を支持する回転シャフトを有してもよい。出力歯車499は中間シャフト490と係合し、中間シャフトを回転的に駆動出来る。
【0138】
動力駆動装置の筐体495内で回転するように、中間シャフト490を装着することが出来る。中間シャフト490は、入力歯車491とチャック作動駆動歯車492と入力シャフト駆動歯車493とを支持出来る。入力歯車491は出力歯車499と係合し、チャック作動駆動歯車492はチャック作動従動歯車482と係合し、入力シャフト駆動歯車493は入力シャフト従動歯車483と係合出来る。
【0139】
通常動作モードとチャック作動モードの両方において、入力シャフト駆動歯車493を介して動力伝達装置170から、動力を移送することが出来る。チャック作動モードにおいてもまた、チャック作動駆動歯車492を介して動力伝達装置470から、動力を移送することが出来る。より詳細に後述されるように、シフトプレート485を(図13に示されるような)軸の前方位置と(図14に示されるような)軸の後方位置との間で移動することによって、動力駆動装置のモードを選択することが出来る。上述したように、切替カラーによって所望する軸方向位置に、フトプレート485を移動することが出来る。
【0140】
筐体495内で(軸受405、406を介して)回転するように、入力シャフト440を装着することが出来る。入力シャフト従動歯車483に、入力シャフト440の後端部を固定することが出来る。入力シャフト従動歯車483は、突起部442を備える後面を有してもよい。入力シャフト440の前端部は、チャックのあご部402がそれぞれ摺動可能な傾斜通路409を含んでもよい。傾斜通路409は、チャックのあご部402に入力シャフト440を回転的に固定してもよい。入力シャフト440は、チャック作動ネジ432の半径方向に外向きのネジ山433と相互作用する、半径方向に内向きのネジ山443を有する穴を含んでもよい。
【0141】
入力シャフト440によってチャック作動ネジ432を支持することが出来る。ネジ433、443の相互作用は、チャック作動ネジ432を入力シャフト440に対して相対的に軸方向に前進または後退させることが出来る。チャック作動ネジ432の後端部は、チャック作動シャフト430の前端部を受容する止まり穴431を含んでもよい。チャック作動ネジ432とチャック作動シャフト430とを共に回転的に固定し、チャック作動ネジ432をチャック作動シャフト430に対して相対的に軸方向に移動可能にすることが出来る。
【0142】
チャック作動シャフト430の後端部は、チャック作動従動歯車482とシフトプレート485とを支持出来る。二つの構成要素部品が互いに対して相対的に回転可能であり、共に軸方向に固定されるように、チャック作動従動歯車482をチャック作動シャフト430に装着することが出来る。チャック作動従動歯車482は、駆動突起部464を備える前面を有してもよい。
【0143】
二つの構成要素部品が共に回転的に固定され、互いに対して相対的に軸方向に移動可能であるように、シフトプレート485をチャック作動シャフト430に装着することが出来る。シフトプレート485は、突起部434(図13を参照)を備える後面と、突起部462(図14を参照)を備える前面とを有してもよい。図13に示されるように、シフトプレート485が軸の前方位置にある時に、突起部462は、シフトプレート485と入力シャフト従動歯車483とを互いに回転的に固定出来るように、突起部442と相互作用出来る。そして、図14に示されるように、シフトプレート485が軸の後方位置にある時に、突起部434は、シフトプレート485とチャック作動従動歯車482とを共に回転的に固定出来るように、突起部464と相互作用出来る。
【0144】
チャック作動ネジ432の前端部で回転するように、プッシャヘッド435を装着することが出来る。プッシャヘッド435とチャック作動ネジ432との間で相対的な回転を容易にするために、軸受408を備えることが出来る。プッシャヘッド435は、チャックのあご部402がそれぞれ支持されている半径方向に向いている通路436を含んでもよい。半径方向に向いている通路436は、チャックのあご部402の半径方向の運動を導き、同時に、チャックのあご部402をプッシャヘッド435に回転的に固定出来る。
【0145】
B.動作
ツールチャック450は、シフトプレート485が軸の前方位置にある時に通常動作モードで動作し、シフトプレート485が軸の後方位置にある時にチャック作動モードで動作出来る。
【0146】
通常動作モード中に、すなわち、シフトプレート485が、図13に示される軸の前方位置にあり、駆動装置が起動される時に、入力シャフト駆動歯車493は、入力シャフト従動歯車483を回転的に駆動出来る。この場合に、シフトプレート485(従って、チャック作動シャフト430)は、相互作用する突起部442、462によって、入力シャフト440と共に回転出来る。すなわち、相互作用する突起部442、462は、入力シャフト440をチャック作動シャフト430に回転的に固着することができ、このことは通常動作モード中にツールチャック450が緩むことを防止出来る。この状態において、チャック作動シャフト430とチャック作動従動歯車482とは、互いに対して及び筐体495に対して、相対的に回転出来る。
【0147】
入力シャフト440はチャックのあご部402と共に回転でき、チャックのあご部402は順次、プッシャヘッド435を回転的に駆動出来る。チャック作動ネジ432とチャック作動シャフト430とは、入力シャフト440と共に回転出来る。従って、入力シャフト440とチャックのあご部402とプッシャヘッド435とチャック作動ネジ432とチャック作動シャフト430とは、筐体495に対して相対的に一体として共に回転することが出来る。
【0148】
チャック作動モード中に、すなわち、シフトプレート485が、図14に示される軸の後方位置にあり、駆動装置が起動される時に、入力シャフト駆動歯車493は、入力シャフト従動歯車483を回転的に駆動出来る。入力シャフト440は、チャックのあご部402とプッシャヘッド435と共に回転出来る。同時に、チャック作動駆動歯車492は、チャック作動従動歯車482を回転的に駆動出来る。シフトプレート485(従って、チャック作動シャフト430)は、相互作用する突起部434、464によって、チャック作動従動歯車482と共に回転出来る。
【0149】
チャック作動駆動歯車492は、入力シャフト駆動歯車493よりも大きくてもよく、従って、入力シャフト従動歯車483よりも速い回転速度で、チャック作動従動歯車482を駆動することが出来る。この結果として筐体495に対して、チャック作動シャフト430(従って、チャック作動ネジ432)は、入力シャフト440よりも速く回転出来る。この速度差が、内向きのネジ山443と半径方向に外向きのネジ山433との間の相互作用によって、チャック作動ネジ432を軸方向に前進または後退させること出来る。チャック作動ネジ432の並進運動が、プッシャヘッド435を押出したり引込めたり出来る。
【0150】
プッシャヘッド435は、(半径方向の通路436と傾斜通路409とに位置するチャックのあご部402を介して)入力シャフト440に回転的に固定されたままに出来る。従って、チャック作動ネジ432はプッシャヘッド435に対して相対的に回転出来る。プッシャヘッド435の並進運動が、チャックのあご部402を押出したり引込めたりでき、それ故に、チャックのあご部402を開けたり及び/又は閉じたりする。
【0151】
この例示の実施形態において、チャック作動駆動歯車492は、入力シャフト従動歯車483よりも速い回転速度でチャック作動従動歯車482を駆動することが出来るように、入力シャフト駆動歯車493より大きくてもよい。しかし、本発明はこの点において限定されない。例えば、チャック作動駆動歯車492は、入力シャフト従動歯車483よりも遅い回転速度でチャック作動従動歯車482を駆動することが出来るように、入力シャフト駆動歯車493より小さくてもよい。この構成は、チャック保持性能に関して、有利になるかもしれない。
【0152】
VIII.図15から図18に示される例示の実施形態
図15から図18は、動力移送機構を備えるツールチャック550の別の例示の非限定的な実施形態を示す。ツールチャック550を平行軸動力伝達装置570に連結することが出来る。この場合には、動力駆動装置の筐体にチャック作動シャフトを回転的に固着させることによって、チャック作動モードを実現することが出来る。
【0153】
A.構造
図15を参照すると、平行軸の動力伝達装置570は、電気モータをチャックツール550に連結してもよい。電気モータは、出力歯車599を支持する回転シャフトを有してもよい。出力歯車599は、中間シャフト590と係合し、中間シャフト590を回転的に駆動出来る。
【0154】
駆動装置の筐体595内で回転するように、中間シャフト590を装着することが出来る。中間シャフト590は、入力歯車591と入力シャフト駆動歯車593とを支持出来る。入力歯車591は出力歯車599と係合でき、入力シャフト駆動歯車593は入力シャフト従動歯車583と係合出来る。
【0155】
通常動作モードとチャック作動モードの両方において、入力シャフト駆動歯車593を介して動力伝達装置570から、動力を移送することが出来る。より詳細に後述されるように、シフトプレート585を(図15に示されるような)軸の後方位置と(図16に示されるような)軸の前方位置との間で移動することによって、動力駆動装置のモードを選択することが出来る。移動装置586を介して所望する軸方向位置に、シフトプレート585を移動することが出来る。
【0156】
例えば、ユーザは移動装置586の突起部を横方向(すなわち、図面の平面に対して垂直方向)に動かしてもよい。この突起の横方向の運動は、移動装置586をチャック作動シャフト530の軸線を中心として回転させることが出来る。図16を参照すると、移動装置586は、回転カム表面587を備える前面を有してもよい。回転カム表面587は、シフトプレート585の後面の回転カム表面584と相互作用してもよい。移動装置586を回転する時に、図16に示されるように、シフトプレート585がロックプレート554と係合するように、回転カム表面584、587は、圧縮バネ553を圧縮するのに十分な力でシフトプレート585を前方に移動させることが出来る。そして、図15に示されるように、移動装置586を反対方向に回転する時に、シフトプレート585は(圧縮バネ553の作用を受けて)後方に移動し、ロックプレート554との係合から解放される。シフトプレート585は、筐体595に回転的に固定されたままに出来る。
【0157】
入力シャフト540を、筐体595内に(軸受505、506を介して)回転するように装着することが出来る。入力シャフト540の後端部を入力シャフト従動歯車583に固定してもよい。入力シャフト従動歯車583は、保持器552とロックプレート554とを含むアセンブリを備える後面を有してもよい。ロックプレート554を軸の後方向にかつ保持器552に接するように移動させるために、入力シャフト従動歯車583とロックプレート554との間に、圧縮バネ553を保持することが出来る。
【0158】
入力シャフト540の前端部は、チャックのあご部502がそれぞれ摺動可能な傾斜通路509を含んでもよい。傾斜通路509は、チャックのあご部502に入力シャフト540を回転的に固定してもよい。入力シャフト540は、チャック作動ネジ532の半径方向に外向きのネジ山533と相互作用する半径方向に内向きのネジ山543を有する穴を含んでもよい。
【0159】
入力シャフト540によってチャック作動ネジ532を支持することが出来る。ネジ山533、543の相互作用は、チャック作動ネジ532を入力シャフト540に対して相対的に軸方向に、前進または後退させることが出来る。チャック作動ネジ532の後端部は、チャック作動シャフト530の前端部を受容する止まり穴531を含んでもよい。チャック作動ネジ532とチャック作動シャフト530とを、共に回転的に固定することができ、チャック作動ネジ532は、チャック作動シャフト530に対して相対的に、軸方向に移動可能である。
【0160】
チャック作動シャフト530の後端部は、ロックプレート554とシフトプレート585とを支持してもよい。二つの構成要素部品を共に回転的に固定することができ、互いに対して相対的に軸方向に移動可能であるように、ロックプレート554をチャック作動シャフト530に装着することが出来る。ロックプレート554の後面は、突起部542を含んでもよい。
【0161】
二つの構成要素部品が共に回転可能で、互いに対して相対的に軸方向に移動可能であるように、シフトプレート585をチャック作動シャフト430に装着することが出来る。シフトプレート585を筐体595に回転的に固定することが出来る。シフトプレート585は、突起部562が備えられる前面を有してもよい。図15に示されるように、シフトプレート585が軸の後方位置にある時に、ロックプレート554がシフトプレート585(従って、筐体595)に対して相対的に回転可能であるように、突起部562を突起部542から解放することが出来る。そして、図16に示されるように、シフトプレート585が軸の前方位置にある時に、突起部562は、ロックプレート554とシフトプレート585(従って、筐体595)とを共に回転的に固定することが出来るように、突起部542と相互作用してもよい。
【0162】
プッシャヘッド535をチャック作動ネジ532の前端部で回転するように装着することが出来る。プッシャヘッド535とチャック作動ネジ532との間の相対的な回転を容易にするために、軸受508を備えることが出来る。プッシャヘッド535は、チャックのあご部502がそれぞれ支持されている半径方向に向いている通路536を含んでもよい。半径方向に向いている通路536は、チャックのあご部502の半径方向の運動を導き、同時に、チャックのあご部502をプッシャヘッド535に回転的に固定出来る。
【0163】
B.動作
ツールチャック550は、シフトプレート585が軸の後方位置にある時に通常動作モードで動作し、シフトプレート585が軸の前方位置にある時に、チャック作動モードで動作出来る。
【0164】
通常動作モード中に、すなわち、シフトプレート585が、図15に示される軸の後方位置にあり、駆動装置が起動される時に、入力シャフト駆動歯車593は、入力シャフト従動歯車583を回転的に駆動出来る。この場合に、ロックプレート554(従って、チャック作動シャフト530)は、バネ仕掛けのロックプレート554と保持器552との間の摩擦係合によって、入力シャフト540と共に回転出来る。この状態において、ロックプレート554(従って、チャック作動シャフト530)は、シフトプレート585(従って、筐体595)に対して相対的に回転出来る。
【0165】
入力シャフト540は、チャックのあご部502と共に回転でき、チャックのあご部502は順次、プッシャヘッド535を回転的に駆動してもよい。チャック作動ネジ532とチャック作動シャフト530は、入力シャフト540と共に回転出来る。従って、入力シャフト540とチャックのあご部502とプッシャヘッド535とチャック作動ネジ532とチャック作動シャフト530とは、筐体595に対して相対的に、一体として共に回転出来る。
【0166】
チャック作動モード中に、すなわち、シフトプレート585が、図16に示される軸の前方位置にあり、動力駆動装置が起動される時に、入力シャフト駆動歯車593は、入力シャフト従動歯車583を回転的に駆動出来る。入力シャフト540は、チャックのあご部502とプッシャヘッド535とを共に回転出来る。同時に突起部562は、シフトプレート585とロックプレート554とを共に回転的に固定するために、突起部542と係合してもよい。このようにして、ロックプレート554(従って、チャック作動シャフト530とチャック作動ネジ532)を、筐体595に回転的に取付けることが出来る。前方の軸方向位置にある場合に、シフトプレート585は、ロックプレート554と保持器552との間の摩擦係合が解放されるために、軸の前方向に(及び、バネ553の作用に逆らって)ロックプレート554を押してもよい。
【0167】
入力シャフト540は、チャック作動ネジ532に対して相対的に回転でき、チャック作動ネジ532を筐体595に回転的に固着することが出来る。この相対的な回転は、半径方向に内向きのネジ山543と半径方向に外向きのネジ山533との間の相互作用によって、チャック作動ネジ532を(入力シャフト540の回転方向に従って)軸方向に、前進または後退させることが出来る。チャック作動ネジ532の並進運動が、プッシャヘッド535を押出したり引込めたり出来る。
【0168】
プッシャヘッド535は、(半径方向の通路536と傾斜通路509とに位置するチャックのあご部502を介して)入力シャフト540に、回転的に固定されたままであってもよい。従って、プッシャヘッド535は、チャック作動ネジ532に対して相対的に回転出来る。プッシャヘッド535の並進運動は、チャックのあご部502を押出したり又は引込めたりし、これによって、チャックのあご部502を開けたり及び/又は閉じたりする。
【0169】
図17および図18は、シフトプレート585とロックプレート554とにそれぞれ備えられる相互作用する突起部562、542の例示の形状を示す。図17に示されるように、突起部562、542の各々は、ツールチャックが締められているチャック作動モード間で有効である(ツールチャックの回転軸線に対して)傾斜面を有してもよい。ツールチャックが締まり状態になる場合に、傾斜面は、シフトプレート585とロックプレート554とを互いに離れるように移動させることができ、それによってバネ553を圧縮する。最終的に、隣接する突起部562、542は、互いにすれ違うことができ、これによって槌音をもたらす。突起部562、542の槌音は、ツールチャックの締め付けを容易にし、ツールチャックが締付け状態にあるということの可聴的な表示をユーザに与えることが出来る。さらに、傾斜面が、最適で首尾一貫したチャックの締め付けをするようになっていて、従って、チャック締め付けプロセスからエンドユーザの変動性を取除いていると考えられる。
【0170】
図18に示されるように、突起部562、542の各々は、ツールチャックが緩められているチャック作動モードの間で有効である(ツールチャックの回転軸線に対して)平行面を有してもよい。この場合に、この平行面の方向配置は、傾斜面によって加えられる締付けトルクに比較して、より大きな緩めトルクが加えられることを見込むことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図2】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図3】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図4】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図5】図4に示される例示のツールチャックの動作モードを変更するために使用することが可能なボタンの部分側面図である。
【図6】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図7】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図8】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図9】図7と図8に示される例示のツールチャックの動作モードを変更するために使用することが可能な切替カラーの組立分解斜視図である。
【図10】別の例示の切替カラーの略図である。
【図11】別の例示の切替カラーの略図である。
【図12】別の例示の切替カラーの部分斜視図である。
【図13】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図14】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図15】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図16】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図17】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。
【図18】本発明の別の例示の非限定的な実施形態による、動力移送機構を備えるツールチャックの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールチャックであって、
チャックのあご部を支持するシャフトであって、前記チャックのあご部を回転的に駆動するための第1の伝達動力経路を提供し、貫通穴を有するシャフトと、
前記貫通穴に備えられるチャック作動機構であって、前記チャックのあご部を開いたり閉じたりするための第2の伝達動力経路を提供するチャック作動機構と、
を具備する、ツールチャック。
【請求項2】
前記チャック作動機構が、
前記シャフトにネジ込み連結されるチャック作動ネジと、
前記チャック作動ネジに回転的に固着されるチャック作動シャフトと、
を包含する、請求項1に記載のツールチャック。
【請求項3】
前記チャック作動ネジに回転するように装着されるプッシャヘッドであって、前記チャックのあご部を支持するプッシャヘッドを具備する、請求項2に記載のツールチャック。
【請求項4】
前記シャフトと前記チャックのあご部と前記プッシャヘッドとは、共に回転的に固着される、請求項3に記載のツールチャック。
【請求項5】
前記チャック作動機構が、
前記チャック作動シャフトに回転的に固着されるシフトプレートと、
前記チャック作動シャフトに回転するように装着されるチャック作動従動歯車と、
を包含し、
前記シフトプレートは、前記シフトプレートが前記シャフトと係合する軸の前方位置と、前記シフトプレートが前記チャック作動従動歯車と係合する軸の後方位置との間で移動可能である、請求項2に記載のツールチャック。
【請求項6】
前記チャック作動機構が、
前記シャフトの前記貫通穴で回転するように装着されるチャック作動シャフトと、
前記チャック作動シャフトにネジ込み連結されるチャック作動ネジと、
を包含する、請求項1に記載のツールチャック。
【請求項7】
前記チャック作動ネジが、前記チャックのあご部を支持する通路を包含する、請求項6に記載のツールチャック。
【請求項8】
前記通路が、前記シャフトの長手方向の軸に対して傾斜している、請求項7に記載のツールチャック。
【請求項9】
前記通路が、前記シャフトの長手方向の軸に垂直である、請求項7に記載のツールチャック。
【請求項10】
前記シャフトと前記チャックのあご部と前記チャック作動ネジとが、共に回転的に固着される、請求項6に記載のツールチャック。
【請求項11】
前記チャック作動機構が、
前記チャック作動シャフトに回転的に固着されるチャック駆動継手を包含する、請求項6に記載のツールチャック。
【請求項12】
前記シャフトと前記チャック駆動継手との間に保持されるバネを具備する、請求項11に記載のツールチャック。
【請求項13】
前記シャフトと前記チャック作動機構が動力伝達装置の出力に備えられる、請求項1に記載のツールチャック。
【請求項14】
前記動力伝達装置が、遊星歯車式減速装置を包含する、請求項13に記載のツールチャック。
【請求項15】
前記第1と第2の伝達動力経路の一方のみが、任意の所定の瞬時において前記動力伝達装置と係合可能である、請求項13に記載のツールチャック。
【請求項16】
前記第1と第2の伝達動力経路の両方が、同時に前記動力伝達装置と係合可能である、請求項13に記載のツールチャック。
【請求項17】
コード付きの動力駆動装置に装着される、請求項1に記載のツールチャック。
【請求項18】
コードレスの動力駆動装置に装着される、請求項1に記載のツールチャック。
【請求項19】
ツールチャックであって、
チャックのあご部を支持するシャフトであって、前記チャックのあご部に第1の伝達動力経路を提供し、貫通穴を有するシャフトと、
前記貫通穴に装着されるチャック作動機構であって、前記チャックのあご部に第2の伝達動力経路を提供するチャック作動機構と、
を具備するツールチャック。
【請求項20】
ツール動力伝達装置であって、
少なくとも1つの遊星歯車を支持する遊星キャリアと、
前記遊星キャリアに接続される太陽歯車であって、前記太陽歯車と前記遊星キャリアが共に回転的に固着され、互いに対して相対的に軸方向に移動可能である太陽歯車と、
を備えるツール動力伝達装置。
【請求項21】
前記遊星キャリアがツール筐体と軸方向に固定されている、請求項20に記載のツール動力伝達装置。
【請求項22】
前記太陽歯車が、チャック作動モードを実現するための軸の前方位置と、通常動作モードを実現するための軸の後方位置とに移行可能である、請求項21に記載のツール動力伝達装置。
【請求項23】
前記遊星キャリアと前記太陽歯車とが、少なくとも1つのスプラインを介して共に連結される、請求項20に記載のツール動力伝達装置。
【請求項24】
前記太陽歯車は、前記遊星キャリアが挿入される穴を有する、請求項20に記載のツール動力伝達装置。
【請求項25】
モータに連結される動力入力を有する第1段の減速装置と、
前記第1段の減速装置に連結される動力入力を有する第2段の減速装置と、
前記第2段の減速装置に連結される動力入力を有する第3段の減速装置と、
を具備し、
前記遊星キャリアと前記少なくとも1つの遊星歯車が、前記第2段の減速装置の構成要素であり、
前記太陽歯車が、前記第3段の減速装置の構成要素である、請求項20に記載のツール動力伝達装置。
【請求項26】
電動工具であって、
筐体と、
前記筐体に装着される動力伝達装置であって、主回転軸を有する動力伝達装置と、
前記筐体に装着されるカラーであって、前記主回転軸に沿って前記動力伝達装置の少なくとも1つの要素を移動させるために、前記筐体に対して相対的に移動可能であり、前記カラーの中心軸線が、前記主回転軸からオフセットするカラーと、
を備える電動工具。
【請求項27】
前記カラーが前記筐体を取り囲む、請求項26に記載の電動工具。
【請求項28】
前記筐体の側壁介して延在するクラッチピンを具備する、請求項26に記載の電動工具。
【請求項29】
前記クラッチピンが前記カラーの半径方向内側に配置される、請求項28に記載の電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−513230(P2008−513230A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532619(P2007−532619)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/033697
【国際公開番号】WO2006/034287
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】