動物細胞用組み換え発現ベクター
本発明は、ジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)プロモーターに作動的に連結されたDHFR−コーディングヌクレオチド配列を含む動物細胞用組み換え発現ベクター及び前記ベクターにより形質転換された動物細胞株、並びにこれを利用した目的蛋白質の製造方法に関する。本発明のベクターは、既存動物細胞発現ベクターに比べ、著しく少ないメトトレキサート濃度下でも効果的にDHFR遺伝子と共に外来遺伝子が増幅された細胞株クローンを選別可能にする。また、本発明によると、蛋白質生産細胞株を確立する過程において、より低い濃度のメトトレキサートの使用で、高い生産性の細胞株を短期間に確保できるため、細胞株作製の点で優れた効果を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物細胞用組み換え発現ベクター、該ベクターにより形質転換された細胞株及びこれを利用した目的蛋白質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有用な目的蛋白質を産業的に過剰発現するための技術としては、動物細胞培養が好ましい。その理由は、産業的に有用な蛋白質が大抵ヒトまたは動物由来の蛋白質であって、適切な生物学的活性を有するために要求される特殊な蛋白質の変形メカニズム(糖鎖修飾、リン酸化、アミド化)が動物細胞で容易に行われるからである。現在使用される産業用動物細胞は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、BHK(ベビーハムスター腎臓)細胞、骨髄腫(ミエローマ)細胞などがあり、微生物発現システムと同様に、発現ベクターを前記細胞株に導入して、目的とする外来蛋白質を発現させる。
【0003】
しかしながら、動物細胞の場合、微生物を利用した発現に比べ、形質転換を通じて導入した外来遺伝子の発現量が著しく低いという短所を有している。このような短所を補完するために現在産業界でよく使用しているシステムがジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)遺伝子と、この遺伝子の活性阻害剤であるメトトレキサート(Methotrexate:MTX)を利用する外来遺伝子の増幅システムである。このシステムは、目的の蛋白質をコードする遺伝子と選別マーカーのDHFR蛋白質をコードする遺伝子が一緒に染色体上のDNA内の同一領域に挿入されることにより、人為的にMTX濃度を段階別に高める度に、細胞株で生存に必要なDHFR遺伝子と共に近隣に位置した外来遺伝子が同時に増幅される現象を利用するものである。
【0004】
MTXを処理すれば、発現ベクター内のDHFR遺伝子と付近の他の遺伝子が同時に増幅されることは、既に報告されている(非特許文献1参照)。また、発現ベクター内のDHFR遺伝子付近に挿入させた外来遺伝子が同時に増幅されて、動物細胞内で外来遺伝子が高い水準でよく発現されるという報告がある(特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0005】
一般に、遺伝子増幅は、非常に希に起こる現象であるが、遺伝子増幅がなされた細胞の確保過程は、細胞培養時、段階別に高まったMTXの高い濃度下でもよく育つ抵抗性を示す細胞を選別していく過程により現実的に可能になされており、通常MTXに適応されたコロニーを形成するに3週間〜4週間の時間が必要であって、50nMのMTX濃度で始まって、500mMのMTX濃度まで、産業的に有意な充分な増幅過程を行うことは、数ヶ月の時間と幾つもの段階の増幅過程を経なければならない。
【0006】
しかしながら、MTX処理による遺伝子増幅誘導過程において、段階別に増加するMTXの濃度によって、細胞株の成長速度及び生産性に問題が生じる場合が多く、実際に、MTX濃度を増加させても、組み換え蛋白質の発現が増加せず、却って減少するという報告がある(非特許文献1参照)。このような脈絡で、最近は、発現ベクター内のDHFR遺伝子調節因子配列に突然変異を起こし、MTXによる遺伝子の増幅効果を著しく増加させた事例が報告された(非特許文献3参照)。
【0007】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4656134号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kaufman et al. Mol Cell Biol. Jul; 5(7):1750−9(1985)
【非特許文献2】Alt et al. Cold Spring Harb Symp Quant Biol. 42 Pt 2:649−57(1978)
【非特許文献3】Bai et al. Zhonghua Yi Xue Za Zhi. Feb 25;83(4):333−7(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、DHFR遺伝子を含むベクターで形質転換された動物細胞を利用した蛋白質の発現において、低い発現率の問題点と遺伝子増幅誘導過程で利用されるメトトレキサートの高濃度による低い細胞株の成長速度及び生産性の問題点を解決するために鋭意研究した。その結果、マウス由来のDHFRプロモーターに作動的に連結されたヒトDHFR遺伝子配列が含まれた組み換え発現ベクターを使用して、より低いメトトレキサート濃度下でも外来遺伝子の効率的な増幅を誘導することができ、外来蛋白質を大量に得られる動物細胞用組み換え発現ベクターを開発することにより、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、dhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記ベクターにより形質転換されたdhfr−動物細胞株を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、前記形質転換dhfr−動物細胞株を利用する蛋白質の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一様態によると、本発明は、(a)配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)プロモーターと、(b)前記プロモーターに作動的に連結された(operatively linked)DHFR−コーディングヌクレオチド配列を含むdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供する。
【0016】
本発明者らは、DHFR遺伝子を含むベクターで形質転換された動物細胞を利用した蛋白質の発現において、低い発現率の問題点と遺伝子増幅誘導過程で利用されるメトトレキサートの高濃度による低い細胞株の成長速度及び生産性の問題点を解決するために鋭意研究した。その結果、マウス由来のDHFRプロモーターに作動的に連結されたヒトDHFR遺伝子配列が含まれた組み換え発現ベクターを使用して、より低いメトトレキサート濃度下でも外来遺伝子の効率的な増幅を誘導することができ、外来蛋白質を大量に得られる動物細胞用組み換え発現ベクターを開発した。
【0017】
本明細書の用語‘DHFR(Dihydrofolate reductase)’は、ジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸に還元させる酵素であって、核酸合成に必須的な酵素であり、細胞成長に必ず必要な酵素である。
【0018】
本発明は、dhfr−動物細胞において、低い濃度のDHFRの阻害剤、特にメトトレキサート(MTX)の低い濃度でベクターの増幅が効率的になされ、外来組み換え蛋白質を大量に生産するための発現ベクターに関する。
【0019】
本明細書において、用語‘dhfr−動物細胞’は、DHFRが正常に発現されず、細胞内の前記酵素の活性がないかあるいは殆どないように形質転換された動物細胞を意味する。本発明は、前記宿主細胞の特性、及び選択(selection)されるためのDHFR遺伝子を含む遺伝子増幅原理を利用したものである。即ち、dhfr−動物細胞をdhfr遺伝子含有ベクターで形質転換させて、形質転換された細胞にDHFR阻害剤を処理した場合は、dhfrを含むベクターが細胞内で多く増幅された細胞が選択されるようになる。このようにして、ベクターの増幅が達成される。
【0020】
本発明において、明細書の用語‘MTX(Methotrexate)’は、DHFR阻害剤であって、葉酸がジヒドロ葉酸(FH2)を経てテトラヒドロ葉酸(FH4)に還元されることを抑制させる。
【0021】
本発明の好ましい具現例によると、前記DHFRプロモーターは、マウス由来であり、DHFR−コーディングヌクレオチド配列は、ヒト由来である。
【0022】
本発明で利用されるDHFRプロモーターは、マウスのdhfr遺伝子のプロモーター配列の中、本発明の目的に適したプロモーター活性を有する一部配列である。本発明で使用する配列番号1または配列番号2のプロモーターは、従来の動物細胞発現用プロモーターより相対的に低いプロモーター活性を示し、これにより、このプロモーターに作動的に連結されたdhfr遺伝子の発現率が減少されて、著しく少ない量のMTX濃度下でも、dhfr遺伝子を含むベクターが細胞内で多く増幅された細胞が選択される。結局、ベクターの増幅がなされ、且つ、目的とする外来遺伝子の発現率も増加するようになる。
【0023】
本発明の好ましい具現例によると、本発明で利用されるプロモーター配列は、配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列で構成されている。
【0024】
本発明の組み換え発現ベクターにおいて、DHFR−コーディングヌクレオチド配列は、前記プロモーターに作動的に連結(operatively linked)される。本明細書で用語‘作動的に結合された’は、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター配列)と他の核酸配列間の機能的な結合を意味し、これにより、前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写及び/またはトランスレーションを調節するようになる。
【0025】
本発明で利用されるDHFR−コーディングヌクレオチド配列は、好ましくは、ヒト由来DHFR遺伝子であり、最も好ましくは、GenBank受入番号NM_000791に開示されたヒトDHFR遺伝子のCDS(coding sequence、493番目配列から1,056番目配列まで)配列が本発明でDHFR−コーディングヌクレオチド配列として利用できる。
【0026】
本発明の組み換え発現ベクターは、dhfr−動物細胞に利用される。本発明の好ましい具現例によると、前記動物細胞は、イースト(Saccharomyce cerevisiae)、昆虫細胞または哺乳動物細胞であり、より好ましくは哺乳動物細胞であって、さらに好ましくは、CHO(Chinese hamster ovary)細胞株、W138、BHK、COS−7、293、HepG2、3T3、RIN、MDCK細胞株またはBHK(Baby Hamster Kidney)細胞株であり、最も好ましくは、CHO細胞株を意味する。DHFRが欠乏されたCHO細胞は、安全生と効用性が検証され、FDAから承認を受けて医薬用組み換え蛋白質の生産に広く使用されている。
【0027】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の発現ベクターは、外来遺伝子ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0028】
本発明で発現しようとする目的の蛋白質をコーディングする外来遺伝子は、あらゆる遺伝子配列を含む。例えば、前記外来遺伝子は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子またはワクチン蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む。より詳細には、本発明のベクターにより増幅及び発現される外来遺伝子は、インスリン、IGF−1(insulin−like growth factor 1)、成長ホルモン、BMP(bone morphogenetic protein)、TGF(transforming growht factor)、エリスロポエチン、G−CSFs(granulocyte−colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage−colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファ及びベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、TNFR(tumor necrosis factor receptor)、IDS(iduronate−2−sulfatase)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1−13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH−II(growth hormone releasing hormone−II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン (oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカライド(sincalide)、テルリプレッシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone−releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T−20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)またはジコノチドをコーディングするヌクレオチド配列を含む。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、前記外来遺伝子ヌクレオチド配列の上流に、真核細胞で作動可能なプロモーター配列が結合されている。前記外来遺伝子を発現させるための真核細胞で作動可能なプロモーター配列は、サイトメガロウイルスの最初期プロモーター、SV40のプロモーター(SV40後期プロモーター及びSV40初期プロモーター)、HSV(herpes simplex virus)のtkプロモーター、アデノウイルス2主要後期プロモーター(Adeno 2 major late promoter PAdml)、アデノウイルス2初期プロモーター(PAdE2)、AAV(human parvo virus−associated virus)のp19プロモーター、Epstein Barrウイルス(EBV)プロモーター、Rous Sarcoma virus(RSV)プロモーター、ワクチニアウイルス7.5Kプロモーター、マウスのメタロチオネインプロモーター(metallothionein)、MTプロモーター、MMTV LTRプロモーター、HIVのLTRプロモーター、β−アクチンプロモーター、EF1αプロモーター、ヒトIL−2遺伝子のプロモーター、ヒトIFN遺伝子のプロモーター、ヒトIL−4遺伝子のプロモーター、ヒトリンホトキシン遺伝子のプロモーター及びヒトGM−CSF遺伝子のプロモーター、そしてヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンまたはヒトメタロチオネイン由来のプロモーターがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の発現ベクターには、転写終結配列として、ポリアデニル化配列が含まれて、例えば、牛成長ホルモンターミネーター(Gimmi, E. R., et al., Nucleic Acids Res. 17:6983−6998(1989))、SV40由来ポリアデニル化配列(Schek, N, et al., Mol. Cell Biol. 12:5386−5393(1992))、HIV−1 polyA(Klasens, B. I. F., et al., Nucleic Acids Res. 26:1870−1876(1998))、β−グロビンpolyA(Gil, A., et al, Cell 49:399−406(1987))、HSV TK polyA(Cole, C. N. and T. P. Stacy, Mol. Cell. Biol. 5:2104−2113(1985))またはポリオマーウイルスpolyA(Batt, D. B and G. G. Carmichael, Mol. Cell. Biol. 15:4783−4790(1995))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明の発現ベクターは、選択標識として、当業界で通常利用される抗生剤耐性遺伝子を含むことができ、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲネチシン(G418)、ネオマイシンまたはテトラサイクリンに対する耐性遺伝子を含む。
【0032】
本発明のより好ましい具現例によると、前記外来蛋白質を大量に生産するための動物細胞用発現ベクターは、図3aに示された遺伝子地図を有するベクターであり、最も好ましくは、pJK−dhfr−1(KCTC 11299BP)またはpJK−dhfr−2(KCTC 11300BP)である。
【0033】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述のdhfr−動物細胞用ベクターにより形質転換されたdhfr−動物細胞株を提供する。
【0034】
本発明において、dhfr−動物細胞を発現ベクターで形質転換する方法は、微量注入法(Capecchi, M.R., Cell, 22:479(1980))、カルシウムホスフェート沈殿法(Graham, F.L. et al., Virology, 52:456(1973))、電気穿孔法(Neumann, E. et al., EMBO J., 1:841(1982))、リポソーム−媒介形質転換法(Wong, T.K. et al., Gene, 10:87(1980))、DEAE−デキストラン処理法(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188−1190(1985))、及び遺伝子ボンバードメント(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:9568−9572(1990))などを含む。
【0035】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)上述の外来蛋白質を大量に生産するための本発明の細胞株を、ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤の添加下で培養する工程と、(b)培養物から外来蛋白質を精製する工程と、を含む製造方法を提供する。
【0036】
前記DHFRの阻害剤は、例えば、アミノプテリン(aminopterin)及びメトトレキサート(MTX)などがあるが、これに限定されるものではなく、最も好ましくは、メトトレキサートである。
【0037】
遺伝子増幅に利用されるMTXは、高価であるため、試験管水準で行われる実験室における実験では重要な考慮要素とされないが、大容量水準で行われる場合は、重要な考慮要素になる。また、例えば、1μM濃度まで段階別に細胞を適応させるためには、6ヶ月以上の長い期間が所要されて、MTXの高濃度培養で細胞成長が低下する副作用がある。
【0038】
したがって、当業界では、遺伝子増幅のために添加されるMTXの濃度を減少させるために研究を続けている。一方、通常当業界では、遺伝子増幅のために、MTX0.05mM〜5mM程度が利用されている。本発明の製造方法に利用される細胞株は、低濃度のMTXでも遺伝子増幅がよくなされるように形質転換されたものである。本発明に添加されるメトトレキサートの濃度は、0.001μM〜10μMが好ましく、より好ましくは、0.003μM〜1μMであり、最も好ましくは、0.005μM〜0.32μMである。
【0039】
本発明の製造方法において、培養する工程は、本発明で通常利用される培地で行うことができる。例えば、本発明で利用できる培地は、動物細胞の培養に通常利用される如何なる培地でも可能であり、例えば、Eagles’s MEM(Eagle’s minimum essential medium, Eagle, H. Science 130:432(1959))、α−MEM (Stanner, C.P. et al., Nat. New Biol. 230:52(1971))、Iscove’s MEM(Iscove, N. et al., J. Exp. Med. 147:923(1978))、199培地(Morgan et al., Proc. Soc. Exp. Bio. Med., 73:1(1950))、CMRL 1066、RPMI 1640(Moore et al., J. Amer. Med. Assoc. 199:519(1967))、F12 (Ham, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 53:288(1965))、F10 (Ham, R.G. Exp. Cell Res. 29:515(1963))、DMEM(Dulbecco’s modification of Eagle’s medium, Dulbecco, R. et al., Virology 8:396(1959))、DMEMとF12の混合物(Barnes, D. et al., Anal. Biochem. 102:255(1980))、Way−mouth’s MB752/1(Waymouth, C. J. Natl. Cancer Inst. 22:1003(1959))、McCoy’s 5A (McCoy, T.A., et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 100:115(1959))及びMCDBシリーズ(Ham, R.G. et al., In Vitro 14:11(1978))などが利用できる。培地に関する説明は、R. Ian Freshney, Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique, Alan R. Liss, Inc., New Yorkに詳細に記載されており、この文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0040】
前記培養工程で、宿主細胞内に発現された外来蛋白質が培地に分泌されて、このように分泌された外来蛋白質を精製すると、目的の蛋白質が多量に得られる。本発明において、前記精製工程は、当業界で通常利用される精製方法を採用して行うことができる。例えば、アンモニウムサルフェートまたはPEGなどを利用した溶解度による分離(solubility fractionation)、分子量による限外ろ過分離、多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疎水性または親和性による分離のために製作されたもの)による分離など、多様な方法が利用でき、通常、上記の方法の組み合わせを利用して精製する。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、プロモーター活性が減少されたDHFRプロモーターを含むdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供する。
【0042】
本発明のベクターは、既存動物細胞発現ベクターと比較し、著しく少ないメトトレキサート濃度下でも効果的にDHFR遺伝子と共に外来遺伝子が増幅された細胞株クローンを選別することができるようにする。
【0043】
本発明によると、減少された濃度のメトトレキサートの使用による費用節減効果があり、細胞株の成長速度及び生産性側面で優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1a及び1bは、本発明で使用したDHFR基本プロモーターの配列A及びBである。
【図2】図2は、本発明でルシフェラーゼ発現量の比較によるプロモーター性能実験結果である。
【図3】図3aは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターの模式的な遺伝子地図であり、図3bは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターの具体的な一実施例であるpJK−DHFR−1の遺伝子である。図3cは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターを構築するために使用されるpMS発現ベクターの遺伝子地図である。図3aにおいて、DHFR:ヒト由来DHFR−コーディングヌクレオチド配列;dhfr Promoter:配列番号1または2のマウス由来。
【図4】図4は、本発明のpJK−DHFR−2発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図5】図5は、本発明のpJK−DHFR−Or2発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図6】図6a及び図6bは、本発明のpJKIg及びpJKIg−RSV HK発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図7】図7は、pJK−DHFR−1ベクターを利用して製作したヒトTNFR発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図8】図8は、pJK−DHFR−Or2ベクターを利用して製作したヒトIDS発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図9】図9は、pJKIgベクターを利用して製作したRSV抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図10】図10は、pJKIgベクターを利用して製作したGS051抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図11】図11aは、pJKIgベクターを利用して製作したGS071抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果であり、図11bは、GS071抗体発現細胞株の、20nM MTXで増幅した後、再びサブクローニングして得た細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果であって、図11cは、GS071抗体発現細胞株の、80nM MTXで増幅した後、再びサブクローニングして得た細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1:マウス由来DHFRプロモーター、SV40ウイルスの初期プロモーター、SV40ウイルスの初期プロモーターとエンハンサーのクローニング)
DHFRプロモーターに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、以下のような方法で行った。
【0047】
まず、マウスDHFR遺伝子の5’端配列に含まれ、強力なTATA配列を有し、基本プロモーター活性を有するDHFRプロモーター領域を得るために、ゲノムDNA分離キット(Intron、大韓民国)を使用してマウスのゲノムDNAを分離した。分離されたマウス核酸200ngを50pmolのP1及びP2プライマー、0.5mMのdNTP、並びにSoftMax DNAポリメラーゼ(Intron、大韓民国)を添加して、95℃で1分間の変性、55℃で40秒間及び72℃で40秒間を1サイクルとして29回繰り返し、最後に72℃で10分間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)して、マウス由来DHFRプロモーターを増幅した。
【0048】
SV40ウイルスの初期プロモーターとプロモーター/エンハンサー(プロモーターと作動的に連結されたエンハンサー)DNA断片は、10ngのpcDNA3ベクター(Invitrogen、米国)を鋳型としてP3とP4、並びにP3とP5それぞれのプライマー組を使用して、前記マウス由来DHFRプロモーターを増幅する方法と同一のPCR法(温度、時間及びサイクル)を利用して増幅した。それぞれのプライマーの塩基配列とPCRを通じて得られたDNA断片の大きさを、下記表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
PCRによって得たそれぞれのDNA断片は、HindIIIとXhoI制限酵素で処理した後、ジンクリーンIIIターボキット(Bio 101、米国)で精製して、前記制限酵素と同一の制限酵素で切断されたpGL2−Basicベクター(Promega、米国)にサブクローニングし、pGL2−DHFRベクター、pGL2−SV40プロモーターベクター及びpGL2−SV40プロモーター/エンハンサーベクターをそれぞれ製造した。pGL2−Basicベクターは、ルシフェラーゼ遺伝子がコードされているベクターである。
【0051】
(実施例2:pGL2−DHFR、SV40プロモーター、SV40プロモーター及びエンハンサーにより転写が調節されたルシフェラーゼ遺伝子の発現レベルを測定することによるプロモーター活性の比較実験)
1)遺伝子導入
COS7細胞(ATCC、米国)を、牛胎児血清が10%添加されたDMEM培養培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium; GIBCO BRL、米国)に接種して、37℃、 5% CO2恒温器で継代培養した。前記細胞を100mm培養皿に1×106cells/mLの濃度で接種して、37℃で一晩中培養した後、OPTI−MEM I(osteogenic media I; GIBCO BRL、米国)溶液で3回洗浄した。一方、上記で製造したベクターpGL2−Basic、pGL2−DHFR、pGL2−SV40P(Promoter)及びpGL2−SV40 P/E(Promoter/Enhancer)をそれぞれ5μgずつ取って、OPTI−MEM I 500μLで希釈して、25μLのリポフェクタミン(Lipofectamine, GIBCO BRL社、米国)も同様にOPTI−MEM I 500μLで希釈した。前記発現ベクターとリポフェクタミン希釈液を15mLチューブに混合してDNA−リポフェクタミン混合物を製造した後、これを15分間以上室温で放置した。上記それぞれのDNA−リポフェクタミン混合物に5mLのOPTI−MEM Iを添加して、これをきれいに洗浄されたCOS7細胞に均一に混合した後、37℃、5% CO2恒温器で48時間培養した。
【0052】
2)ルシフェラーゼ発現量比較測定
それぞれのベクターに挿入されたプロモーターの活性を比較するために、各ベクターにより発現されるルシフェラーゼ量を測定した。ベクターが導入されてから48時間培養した細胞を5mLのPBSで洗浄した後、再び1mLのPBSを入れて、スクレーパーを利用し細胞を集めた。集められた細胞を4,000rpm、4℃で5分間遠心分離して上澄液を除去した。細胞を溶解させるために、上澄液の除去後、250mM Tris(pH 7.8)/1mM DTT(Dithiothreitol)溶液を50μL添加した後、液体窒素に1分間浸した後、再び37℃で1分間放置する過程を3回繰り返した。その後、13,000rpm、4℃で15分間遠心分離し、細胞が除去された上澄液のみを取って、−20℃に保管した。
【0053】
ルシフェラーゼ測定のために、12mm×75mmの5mLチューブにA溶液(25mM glycylglycine(pH7.8)、0.2M ATP、1M MgSO4, H2O)を350μLずつ分注した後、B溶液(25mM glycylglycine(pH7.8)、D−ルシフェリン(5mg/16.5mL H2O))を100μL添加して、発光測定器に挿入した。ルシフェラーゼ活性を測定するため、A溶液に測定液を40μL入れて、25℃で30秒間ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、新しく選択されたDHFRの基本プロモーターの活性は、意図通り、既存のSV40プロモーターや、プロモーターとエンハンサーとが共に入っているプロモーターの活性に比べ、2,300倍及び3,800倍程度に著しく低い活性を示すことを確認することができた(表2及び図2)。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例3:pJK−DHFR−1ベクターの製造)
DHFR遺伝子をクローニングするために、ヒトの血液から、ゲノムDNA分離キット(Intron、大韓民国)を使用してヒトのゲノムDNAを分離した。純粋分離したヒトゲノムDNAを鋳型として、PCRによりDHFR遺伝子を増幅した。
【0056】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、以下のような方法で行った。まず、DHFR遺伝子の場合、分離したヒトゲノムDNA200ngを鋳型として使用し、P6及びP7プライマーをそれぞれ50pmol、0.5mMのdNTP及びSoftMax DNAポリメラーゼ(Intron、大韓民国)を添加して、95℃で1分間、55℃で40秒間及び72℃で40秒間を1サイクルとして29回繰り返した後、72℃で10分間反応した。その結果、1,462bpのDHFR遺伝子を合成した。マウスDHFR基本プロモーターは、pGL2−DHFRを鋳型として、P8及びP9プライマーで上記と同一のPCR法(温度、時間及びサイクル)を利用してDHFRプロモーター領域を増幅した。
【0057】
合成されたDHFR基本プロモーターの3’領域とDHFR遺伝子の5’領域は、互いに共通的な19bp塩基配列領域を有しており、前記共通的な領域をP8及びP7プライマーでPCRを行って、基本プロモーターとDHFR遺伝子が連結された1,605bpのDNA断片を合成した。それぞれのプライマーの塩基配列とPCRを通じて得られたDNA断片の大きさは、上記表1に示す。
【0058】
PCRによって増幅されたDHFRプロモーターとDHFR遺伝子DNA断片を、BamHI制限酵素を使用して切断して、pMSベクター(APROGEN、大韓民国)をBglII制限酵素で開環し、DHFRプロモーターと遺伝子を前記ベクターに挿入してpJK−DHFR−1ベクターを製造した(図3a及び3b)。pJK−DHFR−1ベクターは、2008年3月11日付にて韓国生命工学研究院遺伝子バンクに寄託した(受託番号:KCTC 11299BP)。
【0059】
(実施例4:pJK−DHFR−2ベクターの製造)
pJK−DHFR−1ベクターのDHFRプロモーターをさらに短くして、pJK−DHFR−2ベクターを製造した。PCR合成は、実施例3と同様の方法で行った。pJK−DHFR−1ベクターを鋳型として、P10及びP7プライマー対でPCR法を使用しDHFRプロモーター及びDHFR遺伝子を合成した。プライマーの塩基配列とPCRで増幅されたDNA断片の大きさは、上記表1に示す。
【0060】
PCRを通じて得られたプロモーターとDHFR遺伝子断片を、BamHI 制限酵素を使用して切断して、pJK−DHFR−1ベクターをBglII制限酵素で開環した。DHFRプロモーターと遺伝子を前記ベクターに挿入してpJK−DHFR−2ベクターを製造した(図4)。pJK−DHFR−2ベクターは、2008年3月11日付にて韓国生命工学研究院遺伝子バンクに寄託した(受託番号:KCTC 11300BP)。
【0061】
(実施例5:pJK−DHFR−Or2ベクターの製造)
pJK−DHFR−1と比較し、DHFR遺伝子が逆方向に挿入されたベクターであるpJK−DHFR−Or2を製作する方法は、以下のようである。上記の実施例3のように、PCRによりDHFRプロモーターと遺伝子を増幅して、pJK−DHFR−1ベクターをBglIIで開環し、合成したプロモーターと遺伝子をBamHIで処理して挿入した後、pJK−DHFR−1と比較し、DHFR遺伝子が逆方向に挿入されたベクターをスクリーニングして、pJK−DHFR−Or2を製作した(図5)。
【0062】
(実施例6:pJKIgベクター及びpJKIgベクターを利用した組み換え抗体ベクターの製造)
pJK−DHFR−1ベクターを活用して、以下のように抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子をクローニングするためのベクターであるpJKIgベクターを製造した。
【0063】
まず、pJK−DHFR−1ベクターのHindIII−BamHI断片を除去し、クレノウ(Klenow)酵素(Roche、スイス)を処理して連結させて、再びXhoI−ApaI断片を除去して再び連結して、BsmI酵素でベクターを開環して、クレノウ酵素を処理して用意した。
【0064】
また他のpJK−DHFR−1ベクターの多数クローニング部位のBamHI−XhoI範囲を除去し、クレノウ酵素とリガーゼを処理して自己連結した。多数クローニング部位にあるApaI部位を除去するために、XbaI及びPvuII制限酵素で切断した後、プライマーP11及びP12でPCRを通じてXbaI−PvuII領域の316bp断片を作った後、再挿入した。XbaI−PvuII断片が挿入されたpJK−DHFR−1ベクターをNruI−PvuII酵素で切断し、1,075bpの断片を作って、この断片を、前記制限酵素BsmIで開環されたベクターに挿入して、pJKIgベクターを製作した(図6a)。pJKIgベクターにRSV(respiratory syncytial virus)抗体の重鎖及び軽鎖が挿入されたpJKIg−RSV HKベクターを製作するために、まずRSVに結合する抗体の重鎖の可変及び不変領域がpGEM Tベクター(Promega、米国)に挿入されたpGEM T/RSV HvHcベクターの免疫グロブリン重鎖の可変及び不変領域をEcoRI−NotI酵素で切断した後、pJKIgベクターを同一な酵素で切断して挿入した。前述したのと同様の方法で、pGEM T/RSV KvKcベクターの免疫グロブリン軽鎖の可変及び不変領域をHindIII−XbaI酵素で切断した後、pJKIgベクターに挿入して、pJKIg−RSV HKベクターを製作した(図6b)。
【0065】
(実施例7:pJK−DHFR及びpJKIgベクターの有用性を確認するための組み換え蛋白質及び抗体生産細胞株確立実験)
pJK−DHFRベクターを使用するために、pJK−DHFR−1とpJK−DHFR−Or2ベクターをそれぞれEcoRI及びXbaI制限酵素で処理し、ヒト由来TNF−R(tumor necrosis factor−receptor)及びIDS(iduronate−2−sulfatase)酵素をコードするcDNAを挿入した。pJKIg−GS051 H/Kベクターは、前記pJKIg−RSV HKベクターの重鎖領域をEcoRI及びApaI制限酵素で切断した後、GS051抗体の重鎖領域をコードするcDNAを挿入して、軽鎖領域をHindIII及びBsiWI制限酵素で切断した後、GS051抗体の軽鎖領域を暗号化するcDNAを挿入して製造した。また、上記のような方法でGS071抗体を発現するpJKIg−GS071 H/Kベクターを製造した。
【0066】
上記のように製造された目的蛋白質発現または抗体発現ベクターを、DHFR遺伝子機能が欠如されているCHO DG44(コロンビア大学校、米国)細胞にそれぞれ形質導入して、抗生剤G418(Gibco BRL、米国)を使用して一次的に細胞株を選別した。選別された細胞株培地内MTX濃度を20nM、80nM、320nM及び1,000nMに漸次的に増加させながらクローン別目的蛋白質または抗体発現量によって高発現細胞株を選別した。この際、発現量は、それぞれ選別された細胞株を6−ウェルプレートに5×105細胞を入れて3日間培養した後、培地を回収して、ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)方法により測定した。標準品としては、それぞれを精製して濃度を既に知っている蛋白質を使用した。
【0067】
その結果、図7に示されたように、80nMのMTX濃度で高発現細胞株が選別された。図9では、320nM及び1μMのMTX濃度で高発現細胞株が選別された。しかしながら、1μMのMTX濃度で選別された細胞株は、成長性がよくなかった。図11では、20nMと80nMのMTXで増幅して選別された3−5−6クローンを、再びサブクローニングを通じて高発現細胞株を選別した。このように、既存の目的蛋白質及び抗体発現のために使用してきたMTX濃度とは違って、弱いDHFRプロモーターと遺伝子を利用して、0.005μM〜0.32μMの少ない濃度でも高発現された目的蛋白質及び抗体を確認することができた。
【0068】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【図1a】
【図1b】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物細胞用組み換え発現ベクター、該ベクターにより形質転換された細胞株及びこれを利用した目的蛋白質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有用な目的蛋白質を産業的に過剰発現するための技術としては、動物細胞培養が好ましい。その理由は、産業的に有用な蛋白質が大抵ヒトまたは動物由来の蛋白質であって、適切な生物学的活性を有するために要求される特殊な蛋白質の変形メカニズム(糖鎖修飾、リン酸化、アミド化)が動物細胞で容易に行われるからである。現在使用される産業用動物細胞は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、BHK(ベビーハムスター腎臓)細胞、骨髄腫(ミエローマ)細胞などがあり、微生物発現システムと同様に、発現ベクターを前記細胞株に導入して、目的とする外来蛋白質を発現させる。
【0003】
しかしながら、動物細胞の場合、微生物を利用した発現に比べ、形質転換を通じて導入した外来遺伝子の発現量が著しく低いという短所を有している。このような短所を補完するために現在産業界でよく使用しているシステムがジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)遺伝子と、この遺伝子の活性阻害剤であるメトトレキサート(Methotrexate:MTX)を利用する外来遺伝子の増幅システムである。このシステムは、目的の蛋白質をコードする遺伝子と選別マーカーのDHFR蛋白質をコードする遺伝子が一緒に染色体上のDNA内の同一領域に挿入されることにより、人為的にMTX濃度を段階別に高める度に、細胞株で生存に必要なDHFR遺伝子と共に近隣に位置した外来遺伝子が同時に増幅される現象を利用するものである。
【0004】
MTXを処理すれば、発現ベクター内のDHFR遺伝子と付近の他の遺伝子が同時に増幅されることは、既に報告されている(非特許文献1参照)。また、発現ベクター内のDHFR遺伝子付近に挿入させた外来遺伝子が同時に増幅されて、動物細胞内で外来遺伝子が高い水準でよく発現されるという報告がある(特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0005】
一般に、遺伝子増幅は、非常に希に起こる現象であるが、遺伝子増幅がなされた細胞の確保過程は、細胞培養時、段階別に高まったMTXの高い濃度下でもよく育つ抵抗性を示す細胞を選別していく過程により現実的に可能になされており、通常MTXに適応されたコロニーを形成するに3週間〜4週間の時間が必要であって、50nMのMTX濃度で始まって、500mMのMTX濃度まで、産業的に有意な充分な増幅過程を行うことは、数ヶ月の時間と幾つもの段階の増幅過程を経なければならない。
【0006】
しかしながら、MTX処理による遺伝子増幅誘導過程において、段階別に増加するMTXの濃度によって、細胞株の成長速度及び生産性に問題が生じる場合が多く、実際に、MTX濃度を増加させても、組み換え蛋白質の発現が増加せず、却って減少するという報告がある(非特許文献1参照)。このような脈絡で、最近は、発現ベクター内のDHFR遺伝子調節因子配列に突然変異を起こし、MTXによる遺伝子の増幅効果を著しく増加させた事例が報告された(非特許文献3参照)。
【0007】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4656134号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kaufman et al. Mol Cell Biol. Jul; 5(7):1750−9(1985)
【非特許文献2】Alt et al. Cold Spring Harb Symp Quant Biol. 42 Pt 2:649−57(1978)
【非特許文献3】Bai et al. Zhonghua Yi Xue Za Zhi. Feb 25;83(4):333−7(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、DHFR遺伝子を含むベクターで形質転換された動物細胞を利用した蛋白質の発現において、低い発現率の問題点と遺伝子増幅誘導過程で利用されるメトトレキサートの高濃度による低い細胞株の成長速度及び生産性の問題点を解決するために鋭意研究した。その結果、マウス由来のDHFRプロモーターに作動的に連結されたヒトDHFR遺伝子配列が含まれた組み換え発現ベクターを使用して、より低いメトトレキサート濃度下でも外来遺伝子の効率的な増幅を誘導することができ、外来蛋白質を大量に得られる動物細胞用組み換え発現ベクターを開発することにより、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、dhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記ベクターにより形質転換されたdhfr−動物細胞株を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、前記形質転換dhfr−動物細胞株を利用する蛋白質の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一様態によると、本発明は、(a)配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)プロモーターと、(b)前記プロモーターに作動的に連結された(operatively linked)DHFR−コーディングヌクレオチド配列を含むdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供する。
【0016】
本発明者らは、DHFR遺伝子を含むベクターで形質転換された動物細胞を利用した蛋白質の発現において、低い発現率の問題点と遺伝子増幅誘導過程で利用されるメトトレキサートの高濃度による低い細胞株の成長速度及び生産性の問題点を解決するために鋭意研究した。その結果、マウス由来のDHFRプロモーターに作動的に連結されたヒトDHFR遺伝子配列が含まれた組み換え発現ベクターを使用して、より低いメトトレキサート濃度下でも外来遺伝子の効率的な増幅を誘導することができ、外来蛋白質を大量に得られる動物細胞用組み換え発現ベクターを開発した。
【0017】
本明細書の用語‘DHFR(Dihydrofolate reductase)’は、ジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸に還元させる酵素であって、核酸合成に必須的な酵素であり、細胞成長に必ず必要な酵素である。
【0018】
本発明は、dhfr−動物細胞において、低い濃度のDHFRの阻害剤、特にメトトレキサート(MTX)の低い濃度でベクターの増幅が効率的になされ、外来組み換え蛋白質を大量に生産するための発現ベクターに関する。
【0019】
本明細書において、用語‘dhfr−動物細胞’は、DHFRが正常に発現されず、細胞内の前記酵素の活性がないかあるいは殆どないように形質転換された動物細胞を意味する。本発明は、前記宿主細胞の特性、及び選択(selection)されるためのDHFR遺伝子を含む遺伝子増幅原理を利用したものである。即ち、dhfr−動物細胞をdhfr遺伝子含有ベクターで形質転換させて、形質転換された細胞にDHFR阻害剤を処理した場合は、dhfrを含むベクターが細胞内で多く増幅された細胞が選択されるようになる。このようにして、ベクターの増幅が達成される。
【0020】
本発明において、明細書の用語‘MTX(Methotrexate)’は、DHFR阻害剤であって、葉酸がジヒドロ葉酸(FH2)を経てテトラヒドロ葉酸(FH4)に還元されることを抑制させる。
【0021】
本発明の好ましい具現例によると、前記DHFRプロモーターは、マウス由来であり、DHFR−コーディングヌクレオチド配列は、ヒト由来である。
【0022】
本発明で利用されるDHFRプロモーターは、マウスのdhfr遺伝子のプロモーター配列の中、本発明の目的に適したプロモーター活性を有する一部配列である。本発明で使用する配列番号1または配列番号2のプロモーターは、従来の動物細胞発現用プロモーターより相対的に低いプロモーター活性を示し、これにより、このプロモーターに作動的に連結されたdhfr遺伝子の発現率が減少されて、著しく少ない量のMTX濃度下でも、dhfr遺伝子を含むベクターが細胞内で多く増幅された細胞が選択される。結局、ベクターの増幅がなされ、且つ、目的とする外来遺伝子の発現率も増加するようになる。
【0023】
本発明の好ましい具現例によると、本発明で利用されるプロモーター配列は、配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列で構成されている。
【0024】
本発明の組み換え発現ベクターにおいて、DHFR−コーディングヌクレオチド配列は、前記プロモーターに作動的に連結(operatively linked)される。本明細書で用語‘作動的に結合された’は、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター配列)と他の核酸配列間の機能的な結合を意味し、これにより、前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写及び/またはトランスレーションを調節するようになる。
【0025】
本発明で利用されるDHFR−コーディングヌクレオチド配列は、好ましくは、ヒト由来DHFR遺伝子であり、最も好ましくは、GenBank受入番号NM_000791に開示されたヒトDHFR遺伝子のCDS(coding sequence、493番目配列から1,056番目配列まで)配列が本発明でDHFR−コーディングヌクレオチド配列として利用できる。
【0026】
本発明の組み換え発現ベクターは、dhfr−動物細胞に利用される。本発明の好ましい具現例によると、前記動物細胞は、イースト(Saccharomyce cerevisiae)、昆虫細胞または哺乳動物細胞であり、より好ましくは哺乳動物細胞であって、さらに好ましくは、CHO(Chinese hamster ovary)細胞株、W138、BHK、COS−7、293、HepG2、3T3、RIN、MDCK細胞株またはBHK(Baby Hamster Kidney)細胞株であり、最も好ましくは、CHO細胞株を意味する。DHFRが欠乏されたCHO細胞は、安全生と効用性が検証され、FDAから承認を受けて医薬用組み換え蛋白質の生産に広く使用されている。
【0027】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の発現ベクターは、外来遺伝子ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0028】
本発明で発現しようとする目的の蛋白質をコーディングする外来遺伝子は、あらゆる遺伝子配列を含む。例えば、前記外来遺伝子は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子またはワクチン蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む。より詳細には、本発明のベクターにより増幅及び発現される外来遺伝子は、インスリン、IGF−1(insulin−like growth factor 1)、成長ホルモン、BMP(bone morphogenetic protein)、TGF(transforming growht factor)、エリスロポエチン、G−CSFs(granulocyte−colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage−colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファ及びベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、TNFR(tumor necrosis factor receptor)、IDS(iduronate−2−sulfatase)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1−13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH−II(growth hormone releasing hormone−II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン (oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカライド(sincalide)、テルリプレッシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone−releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T−20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)またはジコノチドをコーディングするヌクレオチド配列を含む。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、前記外来遺伝子ヌクレオチド配列の上流に、真核細胞で作動可能なプロモーター配列が結合されている。前記外来遺伝子を発現させるための真核細胞で作動可能なプロモーター配列は、サイトメガロウイルスの最初期プロモーター、SV40のプロモーター(SV40後期プロモーター及びSV40初期プロモーター)、HSV(herpes simplex virus)のtkプロモーター、アデノウイルス2主要後期プロモーター(Adeno 2 major late promoter PAdml)、アデノウイルス2初期プロモーター(PAdE2)、AAV(human parvo virus−associated virus)のp19プロモーター、Epstein Barrウイルス(EBV)プロモーター、Rous Sarcoma virus(RSV)プロモーター、ワクチニアウイルス7.5Kプロモーター、マウスのメタロチオネインプロモーター(metallothionein)、MTプロモーター、MMTV LTRプロモーター、HIVのLTRプロモーター、β−アクチンプロモーター、EF1αプロモーター、ヒトIL−2遺伝子のプロモーター、ヒトIFN遺伝子のプロモーター、ヒトIL−4遺伝子のプロモーター、ヒトリンホトキシン遺伝子のプロモーター及びヒトGM−CSF遺伝子のプロモーター、そしてヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンまたはヒトメタロチオネイン由来のプロモーターがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の発現ベクターには、転写終結配列として、ポリアデニル化配列が含まれて、例えば、牛成長ホルモンターミネーター(Gimmi, E. R., et al., Nucleic Acids Res. 17:6983−6998(1989))、SV40由来ポリアデニル化配列(Schek, N, et al., Mol. Cell Biol. 12:5386−5393(1992))、HIV−1 polyA(Klasens, B. I. F., et al., Nucleic Acids Res. 26:1870−1876(1998))、β−グロビンpolyA(Gil, A., et al, Cell 49:399−406(1987))、HSV TK polyA(Cole, C. N. and T. P. Stacy, Mol. Cell. Biol. 5:2104−2113(1985))またはポリオマーウイルスpolyA(Batt, D. B and G. G. Carmichael, Mol. Cell. Biol. 15:4783−4790(1995))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明の発現ベクターは、選択標識として、当業界で通常利用される抗生剤耐性遺伝子を含むことができ、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲネチシン(G418)、ネオマイシンまたはテトラサイクリンに対する耐性遺伝子を含む。
【0032】
本発明のより好ましい具現例によると、前記外来蛋白質を大量に生産するための動物細胞用発現ベクターは、図3aに示された遺伝子地図を有するベクターであり、最も好ましくは、pJK−dhfr−1(KCTC 11299BP)またはpJK−dhfr−2(KCTC 11300BP)である。
【0033】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述のdhfr−動物細胞用ベクターにより形質転換されたdhfr−動物細胞株を提供する。
【0034】
本発明において、dhfr−動物細胞を発現ベクターで形質転換する方法は、微量注入法(Capecchi, M.R., Cell, 22:479(1980))、カルシウムホスフェート沈殿法(Graham, F.L. et al., Virology, 52:456(1973))、電気穿孔法(Neumann, E. et al., EMBO J., 1:841(1982))、リポソーム−媒介形質転換法(Wong, T.K. et al., Gene, 10:87(1980))、DEAE−デキストラン処理法(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188−1190(1985))、及び遺伝子ボンバードメント(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:9568−9572(1990))などを含む。
【0035】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)上述の外来蛋白質を大量に生産するための本発明の細胞株を、ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤の添加下で培養する工程と、(b)培養物から外来蛋白質を精製する工程と、を含む製造方法を提供する。
【0036】
前記DHFRの阻害剤は、例えば、アミノプテリン(aminopterin)及びメトトレキサート(MTX)などがあるが、これに限定されるものではなく、最も好ましくは、メトトレキサートである。
【0037】
遺伝子増幅に利用されるMTXは、高価であるため、試験管水準で行われる実験室における実験では重要な考慮要素とされないが、大容量水準で行われる場合は、重要な考慮要素になる。また、例えば、1μM濃度まで段階別に細胞を適応させるためには、6ヶ月以上の長い期間が所要されて、MTXの高濃度培養で細胞成長が低下する副作用がある。
【0038】
したがって、当業界では、遺伝子増幅のために添加されるMTXの濃度を減少させるために研究を続けている。一方、通常当業界では、遺伝子増幅のために、MTX0.05mM〜5mM程度が利用されている。本発明の製造方法に利用される細胞株は、低濃度のMTXでも遺伝子増幅がよくなされるように形質転換されたものである。本発明に添加されるメトトレキサートの濃度は、0.001μM〜10μMが好ましく、より好ましくは、0.003μM〜1μMであり、最も好ましくは、0.005μM〜0.32μMである。
【0039】
本発明の製造方法において、培養する工程は、本発明で通常利用される培地で行うことができる。例えば、本発明で利用できる培地は、動物細胞の培養に通常利用される如何なる培地でも可能であり、例えば、Eagles’s MEM(Eagle’s minimum essential medium, Eagle, H. Science 130:432(1959))、α−MEM (Stanner, C.P. et al., Nat. New Biol. 230:52(1971))、Iscove’s MEM(Iscove, N. et al., J. Exp. Med. 147:923(1978))、199培地(Morgan et al., Proc. Soc. Exp. Bio. Med., 73:1(1950))、CMRL 1066、RPMI 1640(Moore et al., J. Amer. Med. Assoc. 199:519(1967))、F12 (Ham, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 53:288(1965))、F10 (Ham, R.G. Exp. Cell Res. 29:515(1963))、DMEM(Dulbecco’s modification of Eagle’s medium, Dulbecco, R. et al., Virology 8:396(1959))、DMEMとF12の混合物(Barnes, D. et al., Anal. Biochem. 102:255(1980))、Way−mouth’s MB752/1(Waymouth, C. J. Natl. Cancer Inst. 22:1003(1959))、McCoy’s 5A (McCoy, T.A., et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 100:115(1959))及びMCDBシリーズ(Ham, R.G. et al., In Vitro 14:11(1978))などが利用できる。培地に関する説明は、R. Ian Freshney, Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique, Alan R. Liss, Inc., New Yorkに詳細に記載されており、この文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0040】
前記培養工程で、宿主細胞内に発現された外来蛋白質が培地に分泌されて、このように分泌された外来蛋白質を精製すると、目的の蛋白質が多量に得られる。本発明において、前記精製工程は、当業界で通常利用される精製方法を採用して行うことができる。例えば、アンモニウムサルフェートまたはPEGなどを利用した溶解度による分離(solubility fractionation)、分子量による限外ろ過分離、多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疎水性または親和性による分離のために製作されたもの)による分離など、多様な方法が利用でき、通常、上記の方法の組み合わせを利用して精製する。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、プロモーター活性が減少されたDHFRプロモーターを含むdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクターを提供する。
【0042】
本発明のベクターは、既存動物細胞発現ベクターと比較し、著しく少ないメトトレキサート濃度下でも効果的にDHFR遺伝子と共に外来遺伝子が増幅された細胞株クローンを選別することができるようにする。
【0043】
本発明によると、減少された濃度のメトトレキサートの使用による費用節減効果があり、細胞株の成長速度及び生産性側面で優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1a及び1bは、本発明で使用したDHFR基本プロモーターの配列A及びBである。
【図2】図2は、本発明でルシフェラーゼ発現量の比較によるプロモーター性能実験結果である。
【図3】図3aは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターの模式的な遺伝子地図であり、図3bは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターの具体的な一実施例であるpJK−DHFR−1の遺伝子である。図3cは、本発明の動物細胞用組み換え発現ベクターを構築するために使用されるpMS発現ベクターの遺伝子地図である。図3aにおいて、DHFR:ヒト由来DHFR−コーディングヌクレオチド配列;dhfr Promoter:配列番号1または2のマウス由来。
【図4】図4は、本発明のpJK−DHFR−2発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図5】図5は、本発明のpJK−DHFR−Or2発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図6】図6a及び図6bは、本発明のpJKIg及びpJKIg−RSV HK発現ベクターの構造を示した模式図である。
【図7】図7は、pJK−DHFR−1ベクターを利用して製作したヒトTNFR発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図8】図8は、pJK−DHFR−Or2ベクターを利用して製作したヒトIDS発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図9】図9は、pJKIgベクターを利用して製作したRSV抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図10】図10は、pJKIgベクターを利用して製作したGS051抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【図11】図11aは、pJKIgベクターを利用して製作したGS071抗体発現細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果であり、図11bは、GS071抗体発現細胞株の、20nM MTXで増幅した後、再びサブクローニングして得た細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果であって、図11cは、GS071抗体発現細胞株の、80nM MTXで増幅した後、再びサブクローニングして得た細胞株の発現力価をELISAにより分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1:マウス由来DHFRプロモーター、SV40ウイルスの初期プロモーター、SV40ウイルスの初期プロモーターとエンハンサーのクローニング)
DHFRプロモーターに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、以下のような方法で行った。
【0047】
まず、マウスDHFR遺伝子の5’端配列に含まれ、強力なTATA配列を有し、基本プロモーター活性を有するDHFRプロモーター領域を得るために、ゲノムDNA分離キット(Intron、大韓民国)を使用してマウスのゲノムDNAを分離した。分離されたマウス核酸200ngを50pmolのP1及びP2プライマー、0.5mMのdNTP、並びにSoftMax DNAポリメラーゼ(Intron、大韓民国)を添加して、95℃で1分間の変性、55℃で40秒間及び72℃で40秒間を1サイクルとして29回繰り返し、最後に72℃で10分間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)して、マウス由来DHFRプロモーターを増幅した。
【0048】
SV40ウイルスの初期プロモーターとプロモーター/エンハンサー(プロモーターと作動的に連結されたエンハンサー)DNA断片は、10ngのpcDNA3ベクター(Invitrogen、米国)を鋳型としてP3とP4、並びにP3とP5それぞれのプライマー組を使用して、前記マウス由来DHFRプロモーターを増幅する方法と同一のPCR法(温度、時間及びサイクル)を利用して増幅した。それぞれのプライマーの塩基配列とPCRを通じて得られたDNA断片の大きさを、下記表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
PCRによって得たそれぞれのDNA断片は、HindIIIとXhoI制限酵素で処理した後、ジンクリーンIIIターボキット(Bio 101、米国)で精製して、前記制限酵素と同一の制限酵素で切断されたpGL2−Basicベクター(Promega、米国)にサブクローニングし、pGL2−DHFRベクター、pGL2−SV40プロモーターベクター及びpGL2−SV40プロモーター/エンハンサーベクターをそれぞれ製造した。pGL2−Basicベクターは、ルシフェラーゼ遺伝子がコードされているベクターである。
【0051】
(実施例2:pGL2−DHFR、SV40プロモーター、SV40プロモーター及びエンハンサーにより転写が調節されたルシフェラーゼ遺伝子の発現レベルを測定することによるプロモーター活性の比較実験)
1)遺伝子導入
COS7細胞(ATCC、米国)を、牛胎児血清が10%添加されたDMEM培養培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium; GIBCO BRL、米国)に接種して、37℃、 5% CO2恒温器で継代培養した。前記細胞を100mm培養皿に1×106cells/mLの濃度で接種して、37℃で一晩中培養した後、OPTI−MEM I(osteogenic media I; GIBCO BRL、米国)溶液で3回洗浄した。一方、上記で製造したベクターpGL2−Basic、pGL2−DHFR、pGL2−SV40P(Promoter)及びpGL2−SV40 P/E(Promoter/Enhancer)をそれぞれ5μgずつ取って、OPTI−MEM I 500μLで希釈して、25μLのリポフェクタミン(Lipofectamine, GIBCO BRL社、米国)も同様にOPTI−MEM I 500μLで希釈した。前記発現ベクターとリポフェクタミン希釈液を15mLチューブに混合してDNA−リポフェクタミン混合物を製造した後、これを15分間以上室温で放置した。上記それぞれのDNA−リポフェクタミン混合物に5mLのOPTI−MEM Iを添加して、これをきれいに洗浄されたCOS7細胞に均一に混合した後、37℃、5% CO2恒温器で48時間培養した。
【0052】
2)ルシフェラーゼ発現量比較測定
それぞれのベクターに挿入されたプロモーターの活性を比較するために、各ベクターにより発現されるルシフェラーゼ量を測定した。ベクターが導入されてから48時間培養した細胞を5mLのPBSで洗浄した後、再び1mLのPBSを入れて、スクレーパーを利用し細胞を集めた。集められた細胞を4,000rpm、4℃で5分間遠心分離して上澄液を除去した。細胞を溶解させるために、上澄液の除去後、250mM Tris(pH 7.8)/1mM DTT(Dithiothreitol)溶液を50μL添加した後、液体窒素に1分間浸した後、再び37℃で1分間放置する過程を3回繰り返した。その後、13,000rpm、4℃で15分間遠心分離し、細胞が除去された上澄液のみを取って、−20℃に保管した。
【0053】
ルシフェラーゼ測定のために、12mm×75mmの5mLチューブにA溶液(25mM glycylglycine(pH7.8)、0.2M ATP、1M MgSO4, H2O)を350μLずつ分注した後、B溶液(25mM glycylglycine(pH7.8)、D−ルシフェリン(5mg/16.5mL H2O))を100μL添加して、発光測定器に挿入した。ルシフェラーゼ活性を測定するため、A溶液に測定液を40μL入れて、25℃で30秒間ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、新しく選択されたDHFRの基本プロモーターの活性は、意図通り、既存のSV40プロモーターや、プロモーターとエンハンサーとが共に入っているプロモーターの活性に比べ、2,300倍及び3,800倍程度に著しく低い活性を示すことを確認することができた(表2及び図2)。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例3:pJK−DHFR−1ベクターの製造)
DHFR遺伝子をクローニングするために、ヒトの血液から、ゲノムDNA分離キット(Intron、大韓民国)を使用してヒトのゲノムDNAを分離した。純粋分離したヒトゲノムDNAを鋳型として、PCRによりDHFR遺伝子を増幅した。
【0056】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、以下のような方法で行った。まず、DHFR遺伝子の場合、分離したヒトゲノムDNA200ngを鋳型として使用し、P6及びP7プライマーをそれぞれ50pmol、0.5mMのdNTP及びSoftMax DNAポリメラーゼ(Intron、大韓民国)を添加して、95℃で1分間、55℃で40秒間及び72℃で40秒間を1サイクルとして29回繰り返した後、72℃で10分間反応した。その結果、1,462bpのDHFR遺伝子を合成した。マウスDHFR基本プロモーターは、pGL2−DHFRを鋳型として、P8及びP9プライマーで上記と同一のPCR法(温度、時間及びサイクル)を利用してDHFRプロモーター領域を増幅した。
【0057】
合成されたDHFR基本プロモーターの3’領域とDHFR遺伝子の5’領域は、互いに共通的な19bp塩基配列領域を有しており、前記共通的な領域をP8及びP7プライマーでPCRを行って、基本プロモーターとDHFR遺伝子が連結された1,605bpのDNA断片を合成した。それぞれのプライマーの塩基配列とPCRを通じて得られたDNA断片の大きさは、上記表1に示す。
【0058】
PCRによって増幅されたDHFRプロモーターとDHFR遺伝子DNA断片を、BamHI制限酵素を使用して切断して、pMSベクター(APROGEN、大韓民国)をBglII制限酵素で開環し、DHFRプロモーターと遺伝子を前記ベクターに挿入してpJK−DHFR−1ベクターを製造した(図3a及び3b)。pJK−DHFR−1ベクターは、2008年3月11日付にて韓国生命工学研究院遺伝子バンクに寄託した(受託番号:KCTC 11299BP)。
【0059】
(実施例4:pJK−DHFR−2ベクターの製造)
pJK−DHFR−1ベクターのDHFRプロモーターをさらに短くして、pJK−DHFR−2ベクターを製造した。PCR合成は、実施例3と同様の方法で行った。pJK−DHFR−1ベクターを鋳型として、P10及びP7プライマー対でPCR法を使用しDHFRプロモーター及びDHFR遺伝子を合成した。プライマーの塩基配列とPCRで増幅されたDNA断片の大きさは、上記表1に示す。
【0060】
PCRを通じて得られたプロモーターとDHFR遺伝子断片を、BamHI 制限酵素を使用して切断して、pJK−DHFR−1ベクターをBglII制限酵素で開環した。DHFRプロモーターと遺伝子を前記ベクターに挿入してpJK−DHFR−2ベクターを製造した(図4)。pJK−DHFR−2ベクターは、2008年3月11日付にて韓国生命工学研究院遺伝子バンクに寄託した(受託番号:KCTC 11300BP)。
【0061】
(実施例5:pJK−DHFR−Or2ベクターの製造)
pJK−DHFR−1と比較し、DHFR遺伝子が逆方向に挿入されたベクターであるpJK−DHFR−Or2を製作する方法は、以下のようである。上記の実施例3のように、PCRによりDHFRプロモーターと遺伝子を増幅して、pJK−DHFR−1ベクターをBglIIで開環し、合成したプロモーターと遺伝子をBamHIで処理して挿入した後、pJK−DHFR−1と比較し、DHFR遺伝子が逆方向に挿入されたベクターをスクリーニングして、pJK−DHFR−Or2を製作した(図5)。
【0062】
(実施例6:pJKIgベクター及びpJKIgベクターを利用した組み換え抗体ベクターの製造)
pJK−DHFR−1ベクターを活用して、以下のように抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子をクローニングするためのベクターであるpJKIgベクターを製造した。
【0063】
まず、pJK−DHFR−1ベクターのHindIII−BamHI断片を除去し、クレノウ(Klenow)酵素(Roche、スイス)を処理して連結させて、再びXhoI−ApaI断片を除去して再び連結して、BsmI酵素でベクターを開環して、クレノウ酵素を処理して用意した。
【0064】
また他のpJK−DHFR−1ベクターの多数クローニング部位のBamHI−XhoI範囲を除去し、クレノウ酵素とリガーゼを処理して自己連結した。多数クローニング部位にあるApaI部位を除去するために、XbaI及びPvuII制限酵素で切断した後、プライマーP11及びP12でPCRを通じてXbaI−PvuII領域の316bp断片を作った後、再挿入した。XbaI−PvuII断片が挿入されたpJK−DHFR−1ベクターをNruI−PvuII酵素で切断し、1,075bpの断片を作って、この断片を、前記制限酵素BsmIで開環されたベクターに挿入して、pJKIgベクターを製作した(図6a)。pJKIgベクターにRSV(respiratory syncytial virus)抗体の重鎖及び軽鎖が挿入されたpJKIg−RSV HKベクターを製作するために、まずRSVに結合する抗体の重鎖の可変及び不変領域がpGEM Tベクター(Promega、米国)に挿入されたpGEM T/RSV HvHcベクターの免疫グロブリン重鎖の可変及び不変領域をEcoRI−NotI酵素で切断した後、pJKIgベクターを同一な酵素で切断して挿入した。前述したのと同様の方法で、pGEM T/RSV KvKcベクターの免疫グロブリン軽鎖の可変及び不変領域をHindIII−XbaI酵素で切断した後、pJKIgベクターに挿入して、pJKIg−RSV HKベクターを製作した(図6b)。
【0065】
(実施例7:pJK−DHFR及びpJKIgベクターの有用性を確認するための組み換え蛋白質及び抗体生産細胞株確立実験)
pJK−DHFRベクターを使用するために、pJK−DHFR−1とpJK−DHFR−Or2ベクターをそれぞれEcoRI及びXbaI制限酵素で処理し、ヒト由来TNF−R(tumor necrosis factor−receptor)及びIDS(iduronate−2−sulfatase)酵素をコードするcDNAを挿入した。pJKIg−GS051 H/Kベクターは、前記pJKIg−RSV HKベクターの重鎖領域をEcoRI及びApaI制限酵素で切断した後、GS051抗体の重鎖領域をコードするcDNAを挿入して、軽鎖領域をHindIII及びBsiWI制限酵素で切断した後、GS051抗体の軽鎖領域を暗号化するcDNAを挿入して製造した。また、上記のような方法でGS071抗体を発現するpJKIg−GS071 H/Kベクターを製造した。
【0066】
上記のように製造された目的蛋白質発現または抗体発現ベクターを、DHFR遺伝子機能が欠如されているCHO DG44(コロンビア大学校、米国)細胞にそれぞれ形質導入して、抗生剤G418(Gibco BRL、米国)を使用して一次的に細胞株を選別した。選別された細胞株培地内MTX濃度を20nM、80nM、320nM及び1,000nMに漸次的に増加させながらクローン別目的蛋白質または抗体発現量によって高発現細胞株を選別した。この際、発現量は、それぞれ選別された細胞株を6−ウェルプレートに5×105細胞を入れて3日間培養した後、培地を回収して、ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)方法により測定した。標準品としては、それぞれを精製して濃度を既に知っている蛋白質を使用した。
【0067】
その結果、図7に示されたように、80nMのMTX濃度で高発現細胞株が選別された。図9では、320nM及び1μMのMTX濃度で高発現細胞株が選別された。しかしながら、1μMのMTX濃度で選別された細胞株は、成長性がよくなかった。図11では、20nMと80nMのMTXで増幅して選別された3−5−6クローンを、再びサブクローニングを通じて高発現細胞株を選別した。このように、既存の目的蛋白質及び抗体発現のために使用してきたMTX濃度とは違って、弱いDHFRプロモーターと遺伝子を利用して、0.005μM〜0.32μMの少ない濃度でも高発現された目的蛋白質及び抗体を確認することができた。
【0068】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【図1a】
【図1b】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)プロモーター、及び(b)前記プロモーターに作動的に連結されたDHFR−コーディングヌクレオチド配列を含むことを特徴とするdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項2】
前記DHFRプロモーターが、マウス由来であり、DHFR−コーディングヌクレオチド配列が、ヒト由来である請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項3】
前記動物細胞が、CHO(Chinese hamster ovary)細胞である請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項4】
前記発現ベクターが、外来遺伝子ヌクレオチド配列をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項5】
前記外来遺伝子ヌクレオチド配列の上流に、真核細胞で作動可能なプロモーター配列が結合されている請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項6】
前記発現ベクターが、図3aの遺伝子地図を有する請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項7】
前記発現ベクターが、KCTC 11299BPとして寄託されたベクターである請求項6に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項8】
前記発現ベクターが、KCTC 11300BPとして寄託されたベクターである請求項6に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のベクターにより形質転換された動物細胞。
【請求項10】
(a)請求項9に記載の動物細胞をメトトレキサートの添加下で培養する工程と、
(b)前記工程(a)の培養結果物から目的蛋白質を精製する工程と、
を含む目的蛋白質の製造方法。
【請求項1】
(a)配列番号1または配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase:DHFR)プロモーター、及び(b)前記プロモーターに作動的に連結されたDHFR−コーディングヌクレオチド配列を含むことを特徴とするdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項2】
前記DHFRプロモーターが、マウス由来であり、DHFR−コーディングヌクレオチド配列が、ヒト由来である請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項3】
前記動物細胞が、CHO(Chinese hamster ovary)細胞である請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項4】
前記発現ベクターが、外来遺伝子ヌクレオチド配列をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項5】
前記外来遺伝子ヌクレオチド配列の上流に、真核細胞で作動可能なプロモーター配列が結合されている請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項6】
前記発現ベクターが、図3aの遺伝子地図を有する請求項1に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項7】
前記発現ベクターが、KCTC 11299BPとして寄託されたベクターである請求項6に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項8】
前記発現ベクターが、KCTC 11300BPとして寄託されたベクターである請求項6に記載のdhfr−動物細胞用組み換え発現ベクター。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のベクターにより形質転換された動物細胞。
【請求項10】
(a)請求項9に記載の動物細胞をメトトレキサートの添加下で培養する工程と、
(b)前記工程(a)の培養結果物から目的蛋白質を精製する工程と、
を含む目的蛋白質の製造方法。
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【公表番号】特表2011−527567(P2011−527567A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517345(P2011−517345)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003714
【国際公開番号】WO2010/005227
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511008090)アプロゲン インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003714
【国際公開番号】WO2010/005227
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511008090)アプロゲン インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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