説明

包装用容器

【課題】収容する果実の大きさのバラつきに対し融通性があり、少々大きい果実でも過度に圧迫することなく保持でき、しかも果実を収容した状態での段積みを可能にできる包装用容器を提供する。
【解決手段】本体1と蓋体2とをヒンジ部3を介して連接し、本体1には果実の下部側を保持する収容部11を、蓋体2には果実の上部側を保持する収容部21を、それぞれ平面部12,22に対し外面側へ膨出形成して複数列に並設し、蓋体2の各収容部21を仕切る縦横の仕切り部の交差領域24を、平面部22に対して収容部21の深さ範囲内の段差をなす段状面24aとして形成し、段状面24aの周縁を周りの収容部21の周壁25の一部に連続させ、収容部21の開口縁側の一部が開放形をなすものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として球状に近い果実の包装に使用する包装用容器で、本体と蓋体とがヒンジ部を介して一体に連設されてなる包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、リンゴ、梨、メロン、桃等の主として球状(球形に近い球状)をなす果実を収納して包装するための包装用容器として、薄肉の合成樹脂製のシート材を素材とし、複数の凹形の収容部を有する容器本体と、これに被着自在な蓋体とを形成したものが知られている。容器本体と蓋体とは、それぞれ別体に形成して蓋体を容器本体に嵌合被着自在に形成しておくほか、前記容器本体の一側辺にヒンジ部を介して蓋体を一体に連接して形成し、該蓋体をヒンジ部で折曲して容器本体に対し被着自在に設けたものもある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
いずれの包装用容器においても、本体には包装対象の果実の下部側を保持する椀状の収容部が、蓋体には果実の上部側を保持する伏椀状の収容部が、それぞれ閉蓋状態において突き合わされる本来のシート材により平面部に対し外面側に膨出形成されている。
【0004】
かかる包装用容器の場合、本体及び蓋体の収容部は、包装対象の果実の種類や大きさに応じて、例えば、柔軟な合成樹脂発泡体製の網状の緩衝材により包被した状態の果実を収納できるように形成されているが、サイズ分けされた果実でも大きさや形状にある程度のバラつきがあるのが普通で、大きいサイズの果実を収容できない場合があり、大きさのバラつきに対する融通性に劣るという問題がある。例えば、少し大きいサイズの果実は、緩衝材の弾力性を利用して押し込むことである程度までは収容できるとしても、果実を過度に圧迫することになり、果実を傷める虞が多分にある。
【0005】
また、果実を収納した状態の複数の包装用容器をダンボール箱等の外装箱内に段積み状態で収納して梱包することがあるが、前記収容部が全周にわたって平面部に対して膨出形成したものであって、開口縁が全周に渡って平面部に連続している形状の場合、周壁頂部に外力が作用すると、椀状の周壁が外側に膨らむように変形して頂部が凹み、収容した果実に接触する虞ある。このため、収容部を形成する周壁が段積み荷重に耐える保形強度を保有することが求められるが、特許文献1及び特許文献2のいずれの場合も、充分に満足できる耐圧強度を保持できないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−267275号公報
【特許文献2】特許第3154229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、収納される同サイズ内の果実の大きさや形状のバラつきに対して融通性があり、同サイズ内の大きさのバラつきを吸収して、果実を過度に圧迫する虞なく収納でき、しかも収容部の周壁の外圧に対する保形性を高めることができて、果実を収容し保持した状態での積み重ねを可能にできる包装用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明は、合成樹脂製のシート材から成形され、ヒンジ部を介して一体に連接された本体と蓋体とからなり、本体には果実の下部側を保持する収容部が、蓋体には果実の上部側を保持する収容部が、それぞれ閉蓋状態において少なくとも外周部で突き合わされる平面部に対して外面側へ膨出形成され複数列に並設されてなる包装用容器であって、前記本体と蓋体の少なくとも一方において、各収容部を仕切る縦横の仕切り部の交差領域が、前記平面部に対して収容部の深さ範囲内の段差をなす段状面として形成され、該段状面の周縁が各収容部の周側壁の一部に連続しており、該収容部の開口縁側の一部が開放形をなしていることを特徴とする。
【0009】
この包装用容器によれば、前記仕切り部の交差領域が平面部に対し段差をなす段状面として周りの各収容部の周壁に連続しており、各収容部の周壁の開口縁側の一部が開放形をなしているため、果実の大きさや形状のバラつきを各収容部の前記開放部分で吸収でき、やや大きめの果実を収容した場合にも、果実を過度に締めつける虞がない。
【0010】
しかも、果実を収容し閉蓋した状態での取扱いにおいて、本体又は蓋体の収容部の周壁の頂部や底部に外圧が作用した場合に、前記段状面が周壁に連続していることで、収容部の周壁の頂部が凹む方向の変形に対して支えの役目を果たし、該頂部の変形を抑制できることになる、そのため、果実を収容し包装した状態での段積みを許容できることになる。
【0011】
前記の包装用容器において、前記段状面が収容部深さの1/4〜3/4の範囲の位置にあるものとする。
【0012】
前記の包装用容器において、本体及び蓋体の各収容部の周壁に、縦方向の補強リブが周壁の底部及び頂部を中心とする放射状に設けられてなるものとする。
【0013】
前記の包装用容器において、前記本体と蓋体の外周部の所要の個所に閉蓋状態を保持するための係脱自在な締結手段が設けられてなるものとする。
【0014】
前記の包装用容器において、ヒンジ部と対向する辺の本体と蓋体の外縁部に対し両端部の結合手段により脱着可能な下げ手部材を備えており、該下げ手部材の両端部の結合手段が前記締結手段を兼ねて本体と蓋体の外縁部を挟持可能に設けられてなるものとすることができる。
【0015】
前記の包装用容器において、蓋体の収容部の周壁の頂部外面側に凸部が設けられるとともに、本体の収容部の周壁の底部外面側に前記凸部が嵌合できる凹部が設けられ、閉蓋状態の複数の包装用容器を段積みする際に下段の容器の凸部に上段の容器の凹部を嵌合して載置できるように設けられてなるものとする。
【0016】
前記の包装用容器において、本体と蓋体の各収容部間の仕切り部に両収容部を連通させる凹部が設けられてなるものとする。
【発明の効果】
【0017】
上記のように本発明の包装用容器によれば、本体と蓋体の少なくとも一方において、各収容部を仕切る縦横の仕切り部の交差領域が、前記平面部に対して収容部の深さ範囲内の段差をなす段状面として形成され、該段状面の周縁が各収容部の周壁の一部に連続して、収容部の開口縁側の周壁の一部が開放形をなしているため、収納される果実の大きさや形状のバラ付きを前記開放部分で吸収することができ、やや大きめの果実を収容した場合にも、果実を過度に締めつける虞がなく、果実を傷めることがない。
【0018】
しかも、前記領域部分の段状面をその周りの収容部の周壁に連続させたことにより、周壁の頂部又は底部の凹み変形を抑制でき、周壁の頂部や底部が変形して収容した果実に当接するのを防止でき、段積みした際に上段の容器の荷重を弾力的に受けることができ、段積み使用も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の包装用容器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【図2】同上の包装用容器の平面図である。
【図3】同上の包装用容器の閉蓋状態の斜視図である。
【図4】同上の下げ手部材を装着した包装用容器の平面図である。
【図5】同上のL1−L1線の断面図である。
【図6】同上のL2−L2線の断面図である。
【図7】同上のL3−L3線の一部の断面図である。
【図8】同上の包装用容器の下げ手部材の結合手段の拡大斜視図(a)と結合状態の断面図(b)である。
【図9】同上の閉蓋状態を保持する係合手段の部分の分離した平面図(a)と係止状態の平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0021】
図に示す実施例の包装用容器Aは、熱可塑性の合成樹脂のシート材、例えば非発泡で透明な比較的薄肉の合成樹脂シートから、真空成形、圧空成形等の熱成形加工の手段により成形されたもので、外形が平面矩形の本体1と蓋体2とが1側辺に設けられたヒンジ部3を介して一体に連接形成されている。ヒンジ部3は容器本体1と蓋体2の連接部を図1の開蓋状態(展開状態)の平面側より見て凹形の溝状に成形してなり、展開状態から素材の持つ弾性力に抗して屈曲させるようにして閉蓋できるようになっている。
【0022】
前記本体1と蓋体2には、それぞれ果実Fを収容し保持する収容部11,21が対向して設けられている。すなわち、本体1には果実Fの下部側、好ましくは下半部を収容して保持する収容部11が、また蓋体2には果実Fの上部側、好ましくは上半部を収容して保持する収容部21が、それぞれ閉蓋状態において少なくとも外周部で互いに突き合わせ状態になる平面部12,22に対し外面側(本体1は下面側、蓋体2は閉蓋時の上面側)に椀状(又は伏椀状)に膨出形成され、縦横に複数列、例えば図のように横列が2列になるように並設されており、ヒンジ部3で折曲し閉蓋した状態において互いに対向して果実Fを上下から保持できるようになっている。
【0023】
図示する実施例の場合、前記本体1の縦横に隣接する収容部11,11間、及び蓋体2の縦横に隣接する収容部21,21間の仕切り部には、それぞれ平面部12、22による対向面から収容部11,21の深さ方向に凹設した凹部13a,13b;23a,23bが設けられており、該凹部13a,13b;23a,23bが隣接する両収容部11,11間、及び21,21間での折れ曲がりを抑制する補強作用を果たすとともに、両収容部11,11間、21,21間を連通させ通気性を確保でき、なおかつ収容した果実を取り出しやすくなっている。図の場合、前記ヒンジ部3と直交する方向(縦方向)に隣接する収容部11,11間の凹部13a及び21,21間の凹部23aが、他方向(ヒンジ部3に沿う横方向)に隣接する収容部間の凹部13b,23bより深い凹部になっているが、同深さの凹部であっても、また逆に浅い凹部であっても構わないし、さらに該凹部を設けない場合もある。
【0024】
そして、前記本体1と蓋体2の少なくとも一方において、好ましくは図のように蓋体2において、各収容部21を仕切る平面部22による縦横の仕切り部が交差した状態になっている交差領域24、すなわち隣接する両列の各一つもしくは各二つの収容部21により囲まれた領域、例えば図のように縦横の仕切り部が交差して各列二つの(計四つ)の収容部21により囲まれた交差領域24が、前記平面部22に対して閉蓋時の伏椀状の収容部21の深さの範囲内の段差、言い換えれば収容部21を形成する周壁25の高さ範囲内の段差をなすように本体1との対向面側から凹設された段状面24aとして形成されており、該段状面24aがその周囲の各収容部21の周壁25の一部に連続しており、これにより該収容部21の開口縁側の周壁25の一部が開放形をなしている。符号25aはその開放部分を示している。図の場合、前記交差領域24の段状面24aは、前記縦横の仕切り部の凹部23a,23bに連続して形成されており、該凹部23a,23bの含めて周壁25の一部が開放形をなしている。
【0025】
前記交差領域24の段状面24aは、収容部21の深さつまり椀状に膨出した周壁の高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置にあるのが好ましく、さらには1/3〜1/2の高さ位置にあるのが好ましい。例えば、前記交差領域24の段状面24aが凹部23a,23bに連続して形成されている場合、図のように一方の凹部23bの最底部と同深さ位置にあるように形成し、前記交差領域24の周囲の収容部21の開口縁を平面よりみて、前記凹部23a,23bを含めて少なくとも90度の角度範囲を開放させるように段状面24aを形成しておくのが好ましい。もちろん、前記凹部23a,23bを有さない場合にも、前記段状面24aを同様に形成して実施することができる。この場合も、収容部21の開口縁の少なくとも90度の角度範囲を開放させるように形成するのが好ましい。
【0026】
前記本体1及び蓋体2の各収容11,21の周壁15,25には、それぞれ平面より見て周方向の所要間隔毎(例えば90度間隔毎)に、周壁15,25の底部15b又は頂部25bから放射状に延びる、例えば2条一組の縦方向の補強リブ16,26が設けられている。
【0027】
図の場合、蓋体2の収容部21の周壁25の頂部25bには、周壁25の外面より僅かに膨らんだ平面を有する凸部27が設けられ、該凸部27の周辺より放射方向に延びる前記補強リブ26が容器の縦横方向に対し斜め方向の位置に形成されている。前記凸部27の中央部には断面円弧状の小凸部27aが設けられており、周壁頂部25bに作用する外力を該凸部27の前記小凸部27aで弾力的に受支できるように設けられている。
【0028】
他方、本体1の収容部11の周壁15の底部15bの下面側に前記蓋体2の凸部27が嵌合できる形状の凹部17が外面より凹設されており、複数の包装用容器Aを段積み使用する際に、上段の本体1の収容部11の周壁底部15bの凹部17が、下段の蓋体2の収容部21の周壁頂部25bの凸部27に嵌合するようになっている。特にこの際、前記凸部27の小凸部27aが前記凹部17の底面に弾力的に当接したときにある程度の弾性変形を許容することで、段積み時の緩衝効果を高めている。
【0029】
なお、図示する実施例は、蓋体2の縦横の収容部21,21間の仕切り部の交差領域24を平面部22に対し段差をなす段状面24aに形成した場合を示したが、このほか、図示していないが、本体1の縦横の各収容部11,11間の仕切り部が交差する領域部分14を平面部12に対し収容部11の深さ範囲内の段差をなす段状面を形成して上記同様に実施することもできる。特に、本体1と蓋体2の双方に、前記段状面を形成して実施することができる。
【0030】
前記の包装用容器Aにおいて、本体1及び蓋体2の外周部には、図示するように、閉蓋状態において互いに傾斜面で嵌合する嵌合縁部18、28がそれぞれ設けられており、これにより本体1と蓋体2の収容部11,21が閉蓋状態において上下に位置ずれなく対応できるようになっている。
【0031】
さらに、ヒンジ部3と対向する辺の本体1と蓋体2の平面部12,22による外周部の所要の個所に、閉蓋状態を保持するための締結手段が設けられる。図示する実施例の包装用容器Aの場合は、ヒンジ部3と対向する辺の本体1と蓋体2の平面部12,22の外周部に対し両端部の結合手段により脱着可能な下げ手部材4を備えており、該下げ手部材4の両端部の結合手段41が前記締結手段を兼ねて本体1と蓋体2の平面部12,22による外縁部を挟持可能に設けられている。
【0032】
すなわち、図8に拡大して示すように、前記下げ手部材4の両端部の結合手段41、41としては、図のように、それぞれ、包装用容器Aの閉蓋状態の本体1と蓋体2の外周部を上下から挟持できる二股状の対をなす挟持片42a,42bが設けられ、一方の挟持片42aには、1もしくは複数(図の場合は二つ)の係合孔43が設けられるとともに、他方の挟持片42bには、前記一方の挟持片42aとの対向面に、先端部が僅かに拡径形成されたキノコ状をなし、かつ前記係合孔43に対して弾力的に嵌合して容易に抜脱しないように前記拡径先端部44aが係合できる係合突起44が突設されている。
【0033】
他方、前記包装用容器Aのヒンジ部3と対向する辺の本体1と蓋体2の平面部12,22による外縁部には、長手方向中央部に所定の間隔をおいて、前記結合手段41の片方の挟持片42bの係合突起44が貫通できる長孔状の係合孔19,29が設けられており、前記挟持片42aの係合突起44が前記係合穴19,29を貫通して該本体1と蓋体2の外周部を挟んた状態で前記係合孔43に係合せしめられることにより、該下げ手部材4を包装用容器Aに結合装着できるとともに、同時に、本体1と蓋体2とを挟持して閉蓋状態に保持できるようになっている。すなわち、前記下げ手部材4の結合手段41、41が、本体1と蓋体2を閉蓋状態に保持する締結手段を兼ねている。
【0034】
前記本体1と蓋体2の係合穴は、図示する長孔状の穴には限らず、前記係合突起を貫通できる穴であればどのような形態の穴であっても良く、例えば係合穴と同数の円形穴であってもよい。
【0035】
なお、前記の包装用容器Aにおいて、本体1と蓋体2とを閉蓋状態に保持する締結手段としては、種々の形態、脱着構造による実施が可能であり、図示するように、前記下げ手部材4の装着のための結合手段41を利用するほか、別の締結手段を設けて実施することができる。また下げ手部材4についても、図示する形態のものには限らず、種々の形態及び結合手段による実施が可能であり、また下げ手部材を使用しない場合もある。
【0036】
さらに、図示する実施例の場合、本体1と蓋体2とを閉蓋状態に保持する締結手段として、前記ヒンジ部3に隣接する辺の側縁部において、本体1と蓋体2の対応する所定の個所、例えば幅方向の中央部に、閉蓋状態を保持するための係止部5が設けられている。
【0037】
この係止部5としては、図9に拡大して示すように、本体1と蓋体2の一方、例えば本体1の側縁部の個所に、四角形の1辺を除いた角状U形をなす切込み51が形成され、該切込み51の内方部が前記1辺部分で他部分と連続した押さえ片52として、後述する係止部片を押さえるように形成されている。他方、蓋体2の側縁部には、前記角状U形の切込み51との対応位置において、該切込み41の対向する両辺部51a,51a間の間隔W1よりやや狭い間隔W2を存して位置する切込み端53a,53aを基端部として、前記両辺部51a,51a間の間隔W1より両側に延び、かつ両端部で転回してC形状に連続する切込み53により、両切込み端53a,53a間を連続部とする係止部片54が設けられている。
【0038】
前記の係止部片54は、前記角状U形の切込み51の両辺部51a,51a間に主として指先で押し込まれて弾性変形しながら通過せしめられることにより、図9(b)のように、係止部片54の両端部54a,54aが前記角状U形の切込み51の両辺部51a,51aの外側縁に係止するように設けられている。前記係止手段の角状U形の切込み51,及びC形状の切込み53は、シートからの成形後のトリミングの際に同時にカットして形成できる。
【0039】
上記した包装用容器の構成材の合成樹脂のシート材としては、従来よりこの種の包装用容器に使用されている合成樹脂、例えばポリスチレン及びポリスチレンを主体とする共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン及びオレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂その他の各種の熱成形可能な主として非発泡の合成樹脂のシートを使用できる。また、前記シートの厚みは、保形性や弾性を考慮して適宜設定でき、例えば0.1〜1.0mm程度のものが用いられる。
【0040】
この包装用容器Aによれば、本体1の収容部11に包装対象の果実Fを例えば網状の緩衝材で包被した状態で収容し、蓋体2をヒンジ部3で折曲して、各収容部21に果実Fの上部側を収容して保持するように本体1に被せる。そして、例えば、前記本体1及び蓋体2のヒンジ部3と相対向する辺において、実施例のように別体の下げ手部材4を、両端部に有する結合手段41により本体1と蓋体2の平面部12,22による外縁部を挟持した状態で結合する。すなわち、前記結合手段41の二股状の片方の挟持片42bの係合突起44を、本体1と蓋体2に有する前記係合穴19,29に通して該本体1と蓋体2の外周縁部を挟んた状態で前記挟持辺42aの係合孔43に係合することにより、該下げ手部材4を包装用容器Aに結合し装着できるとともに、同時に、本体1と蓋体2とを閉蓋状態に保持できる(図8)。これにより、果実Fを収容して保持した状態で手提げ状態で持ち運びすることができる。また、このとき、例えば前記ヒンジ部3と直交する辺の側縁部に設けた係止部5としての一方の係止部片54を、他方の角状U形の切込み51の両辺部51a,51a間に押し込んで、図9(b)のように係止して閉蓋状態に保持しておくことにより、本体1と蓋体2を結合した閉蓋状態にさらに安定性よく保持でき、収容された果実Fの落下を防止できる。
【0041】
そして、前記の包装状態においては、本体1と蓋体2の少なくとも一方、例えば図のように蓋体2の各収容部21,21間の縦横の仕切り部の交差領域24が、平面部22に対し段差をなす段状面24aとして各収容部21の周壁24に連続しており、各収容部21の周壁25の開口縁側の一部が開放形をなしているため、収容される果実Fの大きさや形状のバラつきを前記収容部21の前記開放部分25aで吸収でき、やや大きめの果実Fを緩衝材により包んで収容した場合にも、果実Fを過度に締め付ける虞がない。
【0042】
しかも、果実Fを収容し保持した状態での取扱いにおいて、本体1及び蓋体2の各収容部11,21の周壁15,25に、縦方向の補強リブ16,26が周壁15の底部15b、及び周壁25の頂部25bを中心とする放射状に設けられているため、適度の耐圧強度を保有し、変形防止の効果を発揮できるばかりか、これに加えて、前記交差領域24の段状面24aが周壁25に連続していることにより、前記蓋体2の収容部21の周壁25の頂部25bに外圧が作用した場合に、前記段状面24aが突っ張りになって、前記周壁25の頂部25bの潰れ方向の変形に対して支えの役目を果たすことになり、該頂部25bが凹んだり潰れたりするのを防止できる。
【0043】
またそのため、図5〜図7の鎖線のように、果実Fを収容し保持した状態の複数の包装用容器Aを段積みした場合にも、収容部21の周壁24が凹んだり潰れたりする変形を防止でき、頂部25bが果実Fに接触するのを防止できる。
【0044】
特に、図示する実施例のように、蓋体2の収容部21の周壁25の頂部25bに凸部27、本体1の収容部11の周壁15の頂部となる底部15bに凹部17を設け、下段の容器の前記凸部27と、上段の容器の前記凹部17を嵌合して段積みすることにより、位置ずれなく安定性よく段積みできるとともに、周壁25の頂部25aと周壁15の底部15aの凸部27や凹部17により変形を抑制する作用を果たし、これが前記段状面24aによる突っ張り作用や.補強リブ16,26による補強効果とも相俟って、耐圧性をさらに高め、収納された果実Fを圧迫あるいは当接するような変形を生じさせる虞がない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の包装用容器は、各種の果実の包装用容器のほか、他の球状物品の包装用容器にも利用できる
【符号の説明】
【0046】
A…包装用容器、1…本体、2…蓋体、3…ヒンジ部、4…下げ手部材、5…係止部、11…収容部、12…平面部、13a,13b…凹部、14…仕切り部が交差する領域部分、15…周壁、15b…底部、16…補強リブ、17…凹部、18…嵌合縁部、19…係合穴、21…収容部、22…平面部、23a,23b…凹部、24…仕切り部の交差領域、24a…段状面、25…周壁、25a…開放部分、25b…頂部、26…補強リブ、27…凸部、27a…小凸部、28…嵌合縁部、29…係合穴、41…結合手段、42a,42b…挟持片、43…係合孔、44…係合突起、44a…拡径先端部、51…角状U形をなす切込み、51a…両辺部、52…押さえ片、53…切込み、53a…切込み端、54…係止部片、54a…両端部、W1,W2…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のシート材から成形され、ヒンジ部を介して一体に連接された本体と蓋体とからなり、本体には果実の下部側を保持する収容部が、蓋体には果実の上部側を保持する収容部が、それぞれ閉蓋状態において少なくとも外周部で突き合わされる平面部に対して外面側へ膨出形成され複数列に並設されてなる包装用容器であって、
前記本体と蓋体の少なくとも一方において、各収容部を仕切る縦横の仕切り部の交差領域が、前記平面部に対して収容部の深さ範囲内の段差をなす段状面として形成され、該段状面の周縁が周りの収容部の周壁の一部に連続しており、該収容部の開口縁側の一部が開放形をなしていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記段状面が収容部深さの1/4〜3/4の範囲の位置にある請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
本体及び蓋体の各収容部の周壁に、縦方向の補強リブが周壁の底部及び頂部を中心とする放射状に設けられてなる請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記本体と蓋体の外周部の所要の個所に閉蓋状態を保持するための係脱自在な締結手段が設けられてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用容器。
【請求項5】
ヒンジ部と対向する辺の本体と蓋体の外縁部に対し両端部の結合手段により脱着可能な下げ手部材を備えており、該下げ手部材の両端部の結合手段が前記締結手段を兼ねて本体と蓋体の外縁部を挟持可能に設けられてなる請求項4に記載の包装用容器。
【請求項6】
蓋体の収容部の周壁の頂部外面側に凸部が設けられるとともに、本体の収容部の周壁の底部外面側に前記凸部が嵌合できる凹部が設けられ、閉蓋状態の複数の包装用容器を段積みする際に下段の容器の凸部に上段の容器の凹部を嵌合して載置できるように設けられてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装用容器。
【請求項7】
本体と蓋体の各収容部間の仕切り部に両収容部を連通させる凹部が設けられてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−254827(P2012−254827A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130424(P2011−130424)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(510218870)株式会社積水化成品天理 (9)
【Fターム(参考)】