説明

包装用箱

【課題】包装用箱の開閉動作等をしなくとも、何らかの販売促進効果が得られる包装用箱を提供する。
【解決手段】左目だけで観察する左目用画像Aと、右目だけで観察する右目用画像Bと、を備え、両画像を同時に観察することで立体画像を生じさせる包装用箱。箱内部を2つの部屋2、3に区画する仕切り壁5を備え、一方の部屋2の床面に上記左目用画像Aを、他方の部屋3の床面に上記右目用画像Bを、それぞれ配置する。上記床面と対向する天壁6に、左目用画像Aを覗く左目用開口8aを形成するための第1破断線8と、右目用画像Bを覗く右目用開口9aを形成するための第2破断線9と、を形成する。箱が空になった後に、第1判断線8および第2破断線9を破って、左目用開口8aおよび右目用開口9aを形成すれば、箱を手に持って覗き込むだけで、立体画像を楽しむことができる。この立体画像を商品またはメーカーと関連付けることで、販売促進効果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像(3D)を生じさせる2つの画素(右目用と左目用)を内部に備える包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、販売促進等を目的として、動画を生じさせる包装用箱を既に提案し、特許出願している(特許文献1)。
この包装用箱は、重ね合わせた「複合画像」と「フィルムゲージ」を相対的にスライドさせることで動画を生じさせる原理を応用したものである。複合画像とフィルムゲージを相対スライドさせる必要があるので、箱本体に対してヒンジ回動する開閉蓋を利用して、スライド動作を実現している。
【0003】
【特許文献1】特開2010−13119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の包装用箱においては、動画を生じさせるために、箱本体に対して開閉蓋を回動させる必要がある。すなわち、消費者は、動画を楽しむために、開閉動作を要求されることとなる。
本発明では、消費者が開閉動作等をしなくとも何らかの販売促進効果が得られる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
右目用と左目用の2つの画像を別々に作り、両者をそれぞれの目で観察すると、立体(3D)として認識できる現象は、以前から知られている。本発明は、これを利用して、立体画像を生じさせる包装用箱を提供するものである。
【0006】
本発明により、以下の特徴を供えた包装用箱が提供される。本発明の包装用箱は、「左目だけで観察する左目用画像」と「右目だけで観察する右目用画像」とを備え、両画像を同時に観察することで立体画像を生じさせるものである。
包装用箱は、箱内部を2つの部屋に区画する仕切り壁を備える。一方の部屋の床面に上記左目用画像が、他方の部屋の床面に上記右目用画像が、それぞれ配置される。
上記床面と対向する壁面に、「左目用画像を覗く左目用開口を形成するための第1破断線」と「右目用画像を覗く右目用開口を形成するための第2破断線」とを備える。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備えた本発明の包装用箱においては、例えば内容物(菓子等)を全て消費して箱が空になった後に、第1破断線および第2破断線を破って、左目用開口および右目用開口を形成すれば、箱を手に持って覗き込むだけで、立体画像を楽しむことができる。
この立体画像を、商品またはこれを提供するメーカーと関連付けたものとすることで、販売促進効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】包装用箱において立体画像を見せる原理を説明する図。
【図2】本発明の一実施形態に係る包装用箱の斜視図。
【図3】図2の包装用箱を開封した状態で示す斜視図。
【図4】図3の状態から仕切り壁を形成した状態を示す斜視図。
【図5】図4の状態から包装用箱を再度閉じた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、以下詳細に説明する。まず、図1を参照して、包装用箱が立体画像を見せるための原理を説明する。
【0010】
≪包装用箱が立体画像を見せる原理:図1≫
包装用箱10の内部を、仕切り壁5で2つの部屋2、3に区画して、各部屋の床面に画像A、画像Bを配置する。各画像は、床面に直接印刷してもよいし、別途用意してこれを貼り付けてもよい。
画像A、Bを備えた床面に対向する壁面6には、それぞれの画像を覗くための破断開口8a、9aを設ける。破断開口8a、9aは、壁面を破断線8、9(ミシン目等)に沿って破り開けることで形成されるもので、例えば、内容物(菓子等)をとり出すために開封する部分を利用することができる。
図1では、破断線8、9を破って破断開口8a、9aが形成された後の状態を示している。
【0011】
画像A、Bはそれぞれ別個に作られたもので、画像Aは左目だけで観察され、画像Bは右目だけで観察される。これらが合成され、人間の脳はそれを立体画像として認識する。この現象は一般に知られたものであり、そのメカニズム自体は本発明のポイントではないので、ここで詳細な説明はしない。なお、図中では画像を簡単に「A」、「B」と表示しているが、実際には立体画像を生成するための図柄等が表示される。
【0012】
画像A、Bは、仕切り壁5で仕切られた別々の部屋に配置されるので、破断開口8aまたは9aを通して片目だけで観察されることとなる。なお、仕切り壁5は、2つの部屋2、3を隙間無く仕切る必要はなく、破断開口9aを通して右目で画像Aが見えることのないように、また、破断開口8aを通して左目で画像Bが見えることのないように、仕切ることができれば十分である。
【0013】
≪具体的な包装用箱の構成:図2〜図4≫
図2〜図4は、本発明の一実施形態に係る包装用箱10を示している。図2は開封前の状態を示し、図3は開閉フラップ20を破り開けた状態を示す。この実施形態において、箱内の空間は、この段階では未だ仕切られてはいない。例えば、収容された菓子を全て消費して箱が空になった後、次に説明する手順に従って、仕切り壁を構成する。
【0014】
開閉フラップ20は、対向する2つの側縁から内方に向かって延在する第1破断線8および第2破断線9を有する。
第1破断線8は、第1側縁21から略平行に延びる2本の破断線81、82で構成される。第2破断9は、第2側縁22から略平行に延びる2本の破断線91、92で構成される。
【0015】
第1破断線8を破断することで、折罫aを中心として回動可能な第1フラップ85が形成され、第2破断線9を破断することで、折罫bを中心として回動可能な第2フラップ95が形成される。
図3に示した状態から、第1フラップ85および第2フラップ95を、箱内部に向かって回動させて、両者を重ね合わせることで、図1で説明した仕切り壁5が形成される。図示した実施形態では、両フラップ85、95には、それぞれ、係止用スリット86、96が形成されていて、これら両スリットを互いに係合させることで、両フラップ85、95が重なり状態で固定され、仕切り壁5として機能する(図4)。
【0016】
仕切り壁5を形成した後、開閉フラップ20を閉じると、図5に示したように、この仕切り壁5によって、箱内部が2つの部屋2、3に区画される。また、これとともに、包装用箱の天壁6においては、第1フラップ85がもとあった位置に第1破断開口8aが、第2フラップ95がもとあった位置に第2破断開口9aが、それぞれ形成される。
【0017】
包装用箱の床面には、予め画像A、Bが印刷または貼り付けられているので、包装用箱が空になった後、上の手順に従って仕切り壁5を組み立てて、開閉フラップ20を閉じれば、すぐに立体画像を楽しむことができる。
【0018】
この立体画像を、商品またはこれを提供するメーカーと関連付けたものとすることで、販売促進効果が期待できる。
【0019】
≪採光窓≫
立体画像をクリアに認識できるように、包装用箱の壁面に採光窓を設けて、箱内に十分な光を採り入れることが好ましい。
図5に示したように、左目用画像Aの近傍に第1採光窓51が、右目用画像Bの近傍に第2採光窓52が形成されている。適度な光量を確保できるものであれば、採光窓の具体的な形状や面積は、適宜のものを採用できる。
図示した例では、箱体の壁部に略コ字状の破断線51a、52aを設け、これを破ることで採光窓が形成されるようにしている。破断線をコ字状としているので、これを破断することで揺動可能な摘みフラップ53、54が構成される。これらの摘みフラップ53、54は、箱体の外側に拡げて、消費者が立体画像を観察する際の摘み部として使用することができる。
【0020】
≪他の実施形態≫
本発明の包装用箱の構成は、図示した例に限定されるものではなく、図1を参照して説明した原理を実現できるものであれば、種々の具体的構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0021】
2、3 容器内で区画された部屋
5 仕切り壁
6 天壁
8 第1破断線
8a 左目用開口
9 第2破断線
9a 右目用開口
10 包装用箱
20 開閉フラップ
21 第1側縁
22 第2側縁
51 第1採光窓
52 第2採光窓
51a、52a 破断線
53、54 摘みフラップ
81、82 破断線
85 第1フラップ
86 係止用スリット
91、92 破断線
95 第2フラップ
96 係止用スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目だけで観察する左目用画像(A)と、右目だけで観察する右目用画像(B)と、を備え、両画像を同時に観察することで立体画像を生じさせる包装用箱であって、
箱内部を2つの部屋(2、3)に区画する仕切り壁(5)を備え、
一方の部屋(2)の床面に上記左目用画像(A)を、他方の部屋(3)の床面に上記右目用画像(B)を、それぞれ備え、
上記床面と対向する壁面(6)に、左目用画像(A)を覗く左目用開口(8a)を形成するための第1破断線(8)と、右目用画像(B)を覗く右目用開口(9a)を形成するための第2破断線(9)と、を備えた包装用箱。
【請求項2】
箱本体に対して回動する開閉フラップ(20)を備えた請求項1記載の包装用箱であって、
上記第1破断線(8)は、当該開閉フラップの第1側縁(21)から略平行に延びる2本の破断線(81、82)で形成され、当該第1破断線(8)を破断することで第1フラップ(85)が構成され、
上記第2破断線(9)は、当該開閉フラップの第1側縁に対向する第2側縁(22)から略平行に延びる2本の破断線(91、92)で形成され、当該第2破断線(9)を破断することで第2フラップ(95)が構成され、
第1フラップ(85)および第2フラップ(95)を箱内部で連結することで上記仕切り壁(5)が構成される、包装用箱。
【請求項3】
上記第1フラップ(85)および第2フラップ(95)は、それぞれ、互いを重ねた状態で連結するための係止用スリット(86、96)を備えている、請求項2記載の包装用箱。
【請求項4】
上記左目用画像(A)の近傍に第1採光窓(51)を備え、右目用画像(B)の近傍に第2採光窓(52)を備える、請求項1または2記載の包装用箱。
【請求項5】
上記第1および第2の採光窓(51、52)は、それぞれ、箱体の壁部に形成した略コ字状の破断線(51a、52a)を破ることで形成され、当該破断により形成された摘みフラップ(53、54)が立体画像を観察する際の摘み部として機能する、請求項4記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66867(P2012−66867A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215184(P2010−215184)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】