説明

包装食品、及びその包装食品の製造方法

【課題】被包装物を容易に取出しできるようにする。
【解決手段】帯状のシート状物1の幅方向両端部1a,1bを重ねて筒状の袋部5を形成し、その袋部5内に被包装物sを収容し、前記重ねられた幅方向両端部1a,1b間を閉じる縦シール部12と、前記被包装物sを挟んで前記シート状物1の長手方向両側に前記袋部5を閉じる横シール部11とを備えた包装食品において、前記縦シール部12は、前記両横シール部11,11の幅方向一方側の端部11a,11a間を結んで形成され、前記袋部5内の被包装物sを前記シート状物1の外側より幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、前記縦シール部12は、その被包装物sが破壊されない押圧力で前記幅方向両端部1a,1b間が分離して前記袋部5内の被包装物sが取出可能である包装食品10とした。包装の外側から内部の被包装物sを手で押せば、縦シール部12が破れるので、内部の被包装物sを取り出しが容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装食品、及びその包装食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のフィルムなどの各種包装材料で包装された食品として、例えば、図10(a)に示すようなものがある。
【0003】
この包装食品40は、包装材料としてシート状物(フィルム、シート等を含む。以下、同じ。)1を用い、そのシート状物1の幅方向両端部1a,1bを重ねて、図10(b)に示すように、筒状の袋部5を形成したものである。
【0004】
その重ねられた幅方向両端部1a,1bの接触面間を閉じるように縦シール部12が形成され、この縦シール部12によって、前記袋部5はその筒軸周り全周が閉じられている。また、被包装物sとしての食品が収納されるべき前記袋部5内の空間は、その空間を挟む長手方向両側に設けた横シール部11,11によって閉じられている。被包装物sは、その横シール部11,11間に挟まれた前記空間内に収容される。
なお、この例では、被包装物sとなる食品は粒状(球状)の菓子であり、具体的には、チョコレートの外周に糖衣が施されたものである。それらが、一つ又は複数個まとめて包装されている。
【0005】
この包装食品40の外形は、図10(b)に示すように、内部の被包装物sの膨らみによって、袋の外側に盛り上がるように湾曲した形状である。
また、シート状物1の幅方向両端部1a,1b間を閉じる縦シール部12は、図中に示すように、前記両横シール部11,11の幅方向中央部間を結んで形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この被包装物sの包装は、通常、ピロー包装機と呼ばれる装置で行われる。このピロー包装機には縦型と横型とがある。
ピロー包装機は、包装材料として帯状のシート状物1がロール状に巻回されたものを用い、その包装材料をロールから引き出して製袋部において筒状に製袋するとともに、その筒状に製袋された又は製袋される直前の袋部内に被包装物を送り込んで、包装材料の前記被包装物sを挟む筒軸方向両端を熱接着等によりシールして封じ、その封じた部分を切断する形式の包装機である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−170493号公報
【特許文献2】特開平8−91307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の包装食品40において、内部の被包装物sを取り出そうとする時には、例えば、図10(a)に示すように、シート状物1をその縁から切り裂いて、包装を開封しなければならない。
【0009】
この開封は、図10(a)に示すように、シート状物1の縁rをジグザグにするなど、切り込みに相当するものが設けられていれば、その切り込みを前記切り裂きの起点として手で容易に行うことができる。切り込みがあると、その奥部に応力が集中しやすいからである。
【0010】
しかし、切り込みが無い場合は、シート状物1の切り裂きに手間取る場合がある。また、切り込みがあっても、手が汗ばんでいる時、手に油分が付着している時などは、うまく開封できない場合もある。
このような場合には、ハサミなどを用意して、シート状物1の一部を切断することにより開封しなければならず、その作業は面倒である。
【0011】
そこで、この発明は、被包装物を容易に取出しできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明は、帯状のシート状物の幅方向両端部を重ねて筒状の袋部を形成し、その袋部内に被包装物を収容し、前記重ねられた幅方向両端部間を閉じる縦シール部と、前記被包装物を挟んで前記シート状物の長手方向両側に前記袋部を閉じる横シール部とを備えた包装食品において、前記縦シール部は、前記袋部内の被包装物を前記縦シール部へ向かって押圧した際に、その被包装物が破壊されない押圧力で分離して前記袋部内の被包装物が取出可能であることを特徴とする包装食品とした。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、この発明は、帯状のシート状物の幅方向両端部を重ねて筒状の袋部を形成し、その袋部内に被包装物を収容し、前記重ねられた幅方向両端部間を閉じる縦シール部と、前記被包装物を挟んで前記シート状物の長手方向両側に前記袋部を閉じる横シール部とを備えた包装食品において、前記縦シール部は、前記両横シール部の前記幅方向一方側の端部間を結んで形成され、前記袋部内の被包装物を前記シート状物の外側より前記幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、前記縦シール部は、その被包装物が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部間が分離して前記袋部内の被包装物が取出可能であることを特徴とする包装食品とした。
【0014】
この構成によれば、包装の外側から内部の被包装物を手で押せば、縦シール部が破れて、内部の被包装物を取り出すことができる。すなわち、袋部内の被包装物をシート状物の外側より縦シール部へ向かって押圧することで、その縦シール部は、被包装物の破壊を伴ことなく開放され、袋部内の被包装物が取出可能であり、被包装物の取出しを容易にできる。
このとき、縦シール部が、前記両横シール部の幅方向一方側の端部間を結んで形成されていれば、前記袋部内の空間は、幅方向一方側の端部に向かうにつれて徐々に狭まる楔状の空間となることから、被包装物を前記シート状物の外側より幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、縦シール部が分離しやすいという効果が期待できる。
【0015】
この構成において、前記縦シール部は、前記幅方向両端部間を閉じるように長手方向に沿って所定幅で溶着された後、前記被包装物が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部間が分離する強度となるように、前記所定幅のうち縁寄りの一定部分が切り落とされて形成されている構成とすることができる。
【0016】
前記縦シール部が分離しやすいようにするためには、例えば、シールを行う際の押圧力を小さくする方法、シールの幅を小さくする方法、シールを長手方向に沿って断続的にする方法などが考えられる。
しかし、このうち、単にシールの幅を小さくする手法を採用すると、そのシールの対象物(前記シート状物)と押圧する治具(シーラー)との間の接触幅が小さくなって、両者の位置合わせの精度を維持することが困難な場合もある。
このため、一旦、所定の面積(幅)の範囲でシールを行った後、そのシールの面積(幅)を縮小するように、シールを行った部分の一部を切り落とすようにして縦シール部が形成された包装食品とすることが有効である。
【0017】
なお、前記被包装物が粒状を成す場合において、前記シート状物の外面には豆の鞘の外観が描かれ、前記縦シール部が前記鞘の縁に沿っている包装食品とすることができる。
【0018】
袋部内の被包装物を縦シール部へ向かって押して、その縦シール部が分離することで、内部の被包装物が取り出されるようすは、あたかも、鞘(さや)の中に収められた豆(粒状の豆)を鞘の外から押えた際に、鞘の縁がはじけて(分離して)内部から豆が飛び出してくるようすに酷似している。
このため、シート状物の外面には豆の鞘の外観を描いておき、縦シール部がその鞘の縁に沿っている構成とすることにより、粒状の被包装物を取り出す際のアクションが、あたかも、鞘の中から豆を取り出すアクションのように見えて、娯楽感を伴った楽しい商品を演出することができる。
このとき、複数個の前記被包装物が、前記鞘の縁に沿って並列して収容されている構成とすれば、さらに臨場感のある商品とすることができる。
【0019】
これらの各構成からなる包装食品の製造方法として、以下の構成を採用することができる。
すなわち、その構成は、帯状のフィルムの幅方向両端部を重ねて筒状の袋部を形成し、その袋部内に被包装物を収容し、前記重ねられた幅方向両端部間を閉じる縦シール部と、前記被包装物を挟んで前記シート状物の長手方向両側で前記袋部を閉じる横シール部とを形成し、前記縦シール部は、前記袋部内の被包装物を前記シート状物の外側より前記縦シール部へ向かって押圧した際に、その被包装物が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部間が分離する強度に形成することを特徴とする包装食品の製造方法とすることができる。
【0020】
また、他の構成として、帯状のフィルムの幅方向両端部を重ねて筒状の袋部を形成し、その袋部内に被包装物を収容し、前記重ねられた幅方向両端部間を閉じる縦シール部と、前記被包装物を挟んで前記フィルムの長手方向両側で前記袋部を閉じる横シール部とを形成し、前記縦シール部は、前記両横シール部の幅方向一方側の端部間を結んで形成されており、その縦シール部を、前記袋部内の被包装物を前記シート状物の外側より幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、その被包装物が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部間が分離する強度に形成することを特徴とする包装食品の製造方法とすることができる。
【0021】
この構成において、前記縦シール部及び前記横シール部はシーラーの押圧により形成され、前記縦シール部を形成する際の前記シーラーの押圧力を、前記横シール部を形成する際の前記シーラーの押圧力よりも小さく設定する構成とすることができる。
【0022】
また、前記縦シール部は、幅方向両端部間を閉じるように長手方向に沿って所定幅で溶着された後、前記被包装物が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部間が分離する強度となるように、前記所定幅のうち縁寄りの一定部分を切り落とすことにより形成される構成もできる。
【0023】
さらに、前記包装食品の袋部は、横型ピロー包装機が備える製袋部で前記帯状のシート状物の幅方向両端部が重ねられることにより形成され、前記被包装物は、前記製袋部が備える押し込み装置によって前記袋部内に収容され、前記縦シール部は、横型ピロー包装機が備えるセンターシール部によって形成され、前記横シール部は、横型ピロー包装機が備えるトップシール部によって形成される構成とすることができる。
【0024】
また、前記製袋部は、前記帯状のシート状物の幅方向両端部を下向きにして前記袋部を形成し、前記センターシール部によって前記縦シール部が形成された後、前記幅方向両端部を下向きから横向きに移動させ、その後、前記トップシール部によって前記横シール部が形成される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、包装の外側から内部の被包装物を手で押せば、縦シール部が破れて、内部の被包装物を取り出すことができるようにしたので、袋部内の被包装物の取出しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)(b)は、包装食品の全体斜視図
【図2】包装食品の断面図
【図3】横型ピロー包装機の全体正面図
【図4】横型ピロー包装機の要部拡大斜視図
【図5】包装食品の製造工程の一部を示す斜視図
【図6】包装食品の製造工程の一部を示す斜視図
【図7】(a)〜(c)は、包装食品の製造工程の一部を示す断面図
【図8】他の実施形態の包装食品の製造工程の一部を示す斜視図
【図9】他の実施形態の包装食品を示し、(a)は斜視図、(b)(c)は断面図
【図10】従来例の包装食品を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、粒状の菓子(あられ)を被包装物sとし、その被包装物sを、横形ピロー包装機20を用いて包装することにより、包装食品10とするものである。この例では、被包装物sとなる菓子は球状のものとし、それを3個1組で包装している。
【0028】
包装食品10の構成は、図1(a)に示すように、包装材料として樹脂フィルムからなるシート状物1を用い、そのシート状物1の幅方向両端部1a,1bを重ねて、図2に実線で示すように、筒状の袋部5を形成している。なお、シート状物1としては、熱接着(溶着)等の周知の手法によりシールが可能な素材であれば、内部の被包装物sを保護可能な素材である限りにおいて、任意の素材を採用できる。
【0029】
シート状物1のシールは、まず、前記重ねられた幅方向両端部1a,1bの接触面間を閉じるように縦シール部12が形成されており、その縦シール部12によって、前記袋部5はその筒軸周り全周が閉じられている。また、袋部5内の空間は、その空間を挟む長手方向両側に設けた横シール部11で閉じられている。被包装物sは、その横シール部11,11間に挟まれた前記空間内に収容される(図1(a)参照)。
【0030】
また、前記縦シール部12は、前記両横シール部11,11の前記幅方向一方側の端部11a,11a間(横シール部11の伸びる方向の一方側の端部)を結んで形成されている。
【0031】
この縦シール部12は、一旦、図中の符号12a,12bに示す範囲の幅でシールを行った後、そのシール幅を縮小するように、幅方向両端部1a,1bの縁寄りの一定部分、すなわち、符号12aに示す部分を切り落として形成されたものである。
【0032】
このようにして形成された縦シール部12は、被包装物sが破壊されない押圧力で、前記幅方向両端部1a,1b間が分離する強度に設定されている。この強度は、縦シール部12の幅、すなわち、前記切り落とし後のシール部分である符号12bに示す部分の幅wを適宜調整することで設定できる。なお、この実施形態では、符号12aに示す切り落とし部分の幅を、符号12bに示す残存するシール部分の幅wよりも大きくしている。
残存するシール部分の幅wが大きくなれば強度が増し、幅wが小さくなれば強度が下がるので、被包装物sの形状や大きさ、素材、強度等によって、その幅wを調整することができる。
【0033】
この構成によれば、シート状物1の外側から、例えば、図2に矢印A、又は矢印Bの方向ヘ被包装物sを手で押せば、図中に鎖線で示すように、縦シール部12の前記幅方向両端部1a,1b間が分離して、内部の被包装物sを容易に取り出すことができる。
すなわち、袋部5内の被包装物sをシート状物1の幅方向他方側(縦シール部12のある側の反対側)から一方側(縦シール部12のある側)へ向かって押圧することで、被包装物sは矢印Cの方向へ移動し、その結果、被包装物sの破壊を伴うことなく縦シール部12が開放され、袋部5内の被包装物sが取出可能である。
【0034】
このように、被包装物sの取出しが容易であるのは、袋部5内の空間が、図2に示すように、縦シール部12に近づくにつれて徐々に狭まる楔型空間となっているからである。袋部5内が楔形空間であるから、シールされた前記幅方向両端部1a,1b間を引き離す方向への力が、シート状物1の内面に対して作用しやすいのである。
この点、図10(b)に示す従来例の包装食品40では、縦シール部12が横シール部11のほぼ中央部同士を結んでいるから、図中の矢印で示すように、被包装物sを縦シール部12に向かって押しても、縦シール部12は容易には開放されない。また、縦シール部12に近づくにつれて徐々に狭まる楔型空間も存在しないから、従来例の包装食品40では、その縦シール部12の開放が促されることもない。ただし、図9に示すように、縦シール部12が分離しやすいように形成されていれば、この限りではない。この図9に示す例については後述する。
【0035】
なお、図1(a)の変形例として、図1(b)に示すように、縦シール部12の縁寄りの部分を切り落とすことなく、その縦シール部12を形成する際におけるシーラーによる押圧力を小さくすることで、前記幅方向両端部1a,1b間が分離しやすいシールの強度を設定することもできる。シールの強度を敢えて弱くするのである。
すなわち、縦シール部12が分離しやすいように、その縦シール部12を形成する際のシーラーによる押圧力を、横シール部11を形成する際のシーラーによる押圧力よりも小さく設定する手法で形成されたものとなる。
【0036】
この図1(b)で示す例では、シート状物1の外面には豆の鞘13の外観が描かれている。また、縦シール部12は、その鞘の縁13に沿って配置されている。鞘13の外観は、シート状物1の外面のうち表裏両面に描くことが望ましいが、いずれか片面のみであってもよい。
【0037】
この構成とすることにより、被包装物sが縦シール部12へ向かって押されて、その縦シール部12が分離することで、内部の被包装物sが取り出されるようすが、あたかも、鞘13の縁がはじけて(分離して)、内部から豆が飛び出してくるようすと同じように体感できる。すなわち、シート状物1がまめの鞘13として、内部の被包装物sが豆として、視覚上も触覚上もリアリティをもって体感できる。このため、娯楽感を伴った楽しい商品を演出することができる。
【0038】
また、シート状物1は、通常は、可撓性を有する素材であるので、この包装食品10の外形は、図1(b)や図2に示すように、内部の被包装物sの膨らみによって、シート状物1が袋の外側に盛り上がるように湾曲した形状となる。この湾曲した形状が、豆の鞘13の膨らみ感(内部の豆の外形に沿って鞘の外面が湾曲しているようす)に酷似していることからも、商品の臨場感を高めることができる。
【0039】
この実施形態では、3個の被包装物sを1組として、その3個の被包装物sが前記鞘13の縁に沿って並列して収容されている構成としたが、被包装物sの個数は自由である。例えば、4個以上を1組として包装することもできるし、1個ずつ、あるいは2個ずつ包装することもできる。
【0040】
また、この例では、被包装物sは球状の菓子としたが、他の形状を成す菓子であってもよい。ただし、被包装物sを豆に見立てる場合、その被包装物sは、豆の外観に似た形状とすることが望ましい。このため、被包装物sの形状は、粒状であることが望ましい。さらに、被包装物sは、豆の外観に似た色彩とすることが望ましい。
【0041】
ここで、想定する豆の種類は、鞘13の中に豆が入った状態で流通するものとして、例えば、インゲン豆やエンドウ豆、ソラ豆、いわゆる枝豆(大豆)などが考えられる。シート状物1の外面には、これらの豆の鞘13の外観を絵や写真で印刷する。また、その豆の種類に応じて、内部の被包装物sの外観も適宜設定することができる。例えば、個々の被包装物sを、枝豆のような扁平な粒状にすることもできるし、あるいは、その色彩を緑色や茶色にすることもできる。
さらに、その菓子の種類としては特に限定されるものではないが、例えば、チョコレートやクッキー、あられなどを用いた構成が考えられる。特に、被包装物sから縦シール部12に対する円滑な押圧力の伝達を期待するならば、その被包装物sの表面は平滑面であり、できる限り摩擦力の生じにくい「つるつる」とした面であることが望ましい。このため、例えば、チョコレートの外周に糖衣を施した菓子などが有効である。また、被包装物sを、菓子以外の食品、例えば、健康食品や各種錠剤等としてもよい。
【0042】
なお、図1(a)で示す例において、図1(b)の場合と同様に、シート状物1の外面に豆の鞘13の外観を描いて、内部の被包装物sを豆に見立ててもよい。
【0043】
この包装食品10の製造方法について以下説明する。この実施形態の横型ピロー包装機20では、包装材料として、図3に示すように、帯状のシート状物1が巻回されたロールRを用いている。そのシート状物1は、前記ロールRから引き出されて、図4に示すように、送り出しローラ25によって製袋部23に向かって送り込まれる。
製袋部23では、前記フィルム1が連続的に供給されて機器の後方側(図中左側)から前方側(図中右側)へと移動し、そのシート状物1を包み込むようにシート状物1の移動方向に沿ってガイド26が設けられている。
【0044】
図7(a)に示すように、ガイド26は内部に中空部を有し、前記移動方向に直交する断面が矩形を成している。また、その最下部には開口を有し、その開口の縁に沿って、対の誘導板26c,26c及び送りローラ26d,26dを備える。また、この横型ピロー包装機20は、その送りローラ26d,26dの前方側に、シールローラ(シーラー)21a,21aを有するセンターシール部21を備える。
【0045】
なお、ガイド26の開口は、前記ガイド26の入口(始端部)26a付近では下向きであるが、その開口は、図6に示すように、前方へ向かうにつれて徐々に向きを変えるようにねじれており、ガイド26内の出口(終端部)26b付近では横向きとなっている。
【0046】
前記シート状物1は、前記ガイド26の入口26a付近からそのガイド26の内側に侵入する。その後、ガイド26内を出口26bへ向かって移動するのに伴って、そのガイド26の内面に沿って、下方を開口する断面コ字状あるいはU字状等に屈曲され、前記移動方向に沿って伸びる筒状の袋部5が形成される。
【0047】
このとき、前記屈曲されたシート状物1の対向する幅方向両端部1a,1bが、図7(a)に示すように、対の誘導板26c,26c及び送りローラ26d,26dによって水平方向両側から挟み込まれる。
そして、その前方において、図7(b)に示すように、前記重ね合わされた幅方向両端部1a,1b同士が、前記センターシール部21のシールローラ21a,21aによって押圧されるとともに、熱等により溶着(シール)されてシート状物1は周囲を閉塞した完全な筒状となる。
【0048】
これと前後して、前記製袋部23の後方側に配置された供給装置30から、押し込み装置24を通じて、製袋部23に向かって被包装物sが送り込まれる。
【0049】
供給装置30は、前記移動方向と同方向に伸びる供給溝31を有する水平なパレット(テーブル)32の下方に、所定速度で回転する環状の供給チェーン33を備えており、その供給チェーン33の長さ方向に沿って、所定間隔毎に押圧部材34が取り付けられている。
【0050】
その押圧部材34は、前記パレット32の直下において環状の供給チェーン33から上方へ突出して、その上端が前記供給溝31内に入り込んでいる。
【0051】
供給溝31は前記被包装物sを収容可能な幅を有し、その供給溝31内に収容された被包装物sは、供給チェーン33の回転とともに前記押圧部材34に押されて、その供給溝31内を製袋部23に向かって移動する。このとき、被包装物sは、一つの押圧部材34に対して一つずつ又は一定個数ずつ配置されるので、その被包装物sは製袋部23に対して所定の間隔で所定の個数ずつ断続的に供給される。
【0052】
押圧部材34によって被包装物sが製袋部23に向かって移動し、前記シールローラ21a,21aでシールされた後、あるいはシールされる直前の前記袋部5内に被包装物sが送り込まれる。
このとき、被包装物sは、押し込み装置24としての前記押圧部材34によって前記ガイド26の入口26a付近まで押し込まれ、その後はシート状物1との摩擦力等によって前方側へ引張られるように移動する。
【0053】
なお、被包装物sを製袋部23に送り込んだ後の押圧部材34は、前記供給チェーン33の下方への反転とともに同方向へ移動する。この反転の際に、押圧部材34と供給チェーン33とはピン34aを介して接合されているので、供給チェーン33の反転とともに押圧部材34は前記ピン34a周りに回転してその姿勢を変え、前記ガイド26に押圧部材34が支障することを回避している。
【0054】
被包装物sが前記筒状の袋部5内に所定の間隔毎に収容され、また、縦シール部12が形成されると、シート状物1はその被包装物sとともに、上下方向に対向して配置された搬送用ベルト27a,27b、及び駆動ローラ等によって、前方のトップシール部22及び切断装置28へ誘導される(図4参照)。
【0055】
このとき、前述のように、ガイド26の開口は、前方へ向かうにつれて徐々に向きを変え、ガイド26内を出口26b付近では横向きとなっている。
【0056】
このため、トップシール部22において、シーラー(図示せず)により横シール部11を形成する際には、図5に示すように、前記縦シール部12が横シール部11の幅方向一方側の端部11a側に形成されるようになる。すなわち、ガイド26の誘導によって、縦シール部12が下方から側方へ移動したことにより、その縦シール部12が、両横シール部11,11の同一側の端部11a,11a間を結ぶ位置関係となるのである。
【0057】
このように、縦シール部12が、両横シール部11,11の同一側の端部11a,11a間を結ぶ位置関係にあるから、袋部5内の空間が、図2に示すように、縦シール部12に近づくにつれて徐々に狭まる楔型空間となるのである。
【0058】
その後、シート状物2は、切断装置28によって、図5に示すように、その横シール部11付近で切断され、各被包装物sは、個別の小袋に密封された状態となる。包装を完了した被包装物sは、排出コンベヤ29で送り出され、製造工程を終了する。
【0059】
なお、図1(a)に示す態様の包装食品10とする場合は、縦シール部12は幅方向両端部1a,1bの縁寄りの一定部分、すなわち、その図1(a)に示す符号12aに示す部分を切り落として形成する。
このとき、縦シール部12の幅wは、被包装物sが破壊されない押圧力で、その縦シール部12の前記幅方向両端部1a,1bの接触面間が分離する強度となるように設定する。この切り落としは、前記切断装置28において同時に行うこともできるし、その切断装置28の前方、又は後方において別に設けた切断装置によって行うこともできる。
【0060】
また、図1(b)に示す態様の包装食品10とする場合、縦シール部12の縁寄りの部分を切り落とす必要がないので、図5に示す通りの切断形態となる。
このとき、縦シール部12を形成する際の前記シールローラ21aによる押圧力は、被包装物sが破壊されない押圧力で、その縦シール部12の前記幅方向両端部1a,1bの接触面間が分離する強度となるように設定する。このため、縦シール部12を形成する際のシーラー(前記シールローラ21a)による押圧力は、横シール部11を形成する際のシーラーによる押圧力よりも小さく設定されることとなる。
【0061】
なお、この実施形態では、横型ピロー包装機20のガイド26の開口は、前記ガイド26の入口(始端部)26a付近では下向きで、その開口は、図6に示すように、前方へ向かうにつれて徐々に向きを変えるようにねじれて、出口(終端部)26b付近では横向きとなるように設定したが、シート状物1の送り方法を変更することにより、例えば、図8に示すように、ガイド26の開口が全長に亘って横向きである構成を採用することもできる。ガイド26の入口26a付近で、既に、シート状物1の両端1a,1bを横向きにして送り込まれている態様である。
【0062】
また、この実施形態では、図5に示すように、前記縦シール部12が横シール部11の幅方向一方側の端部11a側に形成されるようにしたが、例えば、図9に示すように、前記縦シール部12が、横シール部11の伸びる方向の中ほど(シート状物1の幅方向に対し、横シール部11の形成された範囲の中ほど)に位置するようにした態様も考えられる。
【0063】
この図9に示す実施形態においても、例えば、縦シール部12を形成する際におけるシーラーによる押圧力を小さくすることや、その縦シール部12の幅を小さくする手法、あるいは、縦シール部12を袋部5の長手方向に沿って断続的とすること等で、前記幅方向両端部1a,1b間が分離しやすいシールの強度を設定することができる。
【0064】
この構成により、袋部5内の被包装物sを、図9(b)で矢印で示すように、縦シール部12へ向かって押圧することで、被包装物sは縦シール部12に対して両端1a,1bを分離させる方向に力を加え、その結果、図9(c)に示すように、被包装物sの破壊を伴うことなく縦シール部12が開放され、袋部5内の被包装物sが取出可能である。
【0065】
なお、これらの実施形態では、被包装物sを球状を成す菓子としたが、それ以外の形状、例えば、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、円板状、角板状、サイコロ状など各種形態ものを採用することができる。また、縦型ピロー包装機、横三方ピロー包装機等によっても、この発明の包装食品10を製造することは可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 シート状物(フィルム)
1a,1b 幅方向端部
5 袋部
10,40 包装食品
11 横シール部
12 縦シール部
13 鞘
20 横型ピロー包装機
21 センターシール部
21a シールローラ(シーラー)
22 トップシール部
23 製袋部
24 押し込み装置
25 送り出しローラ
26 ガイド
26c 誘導板
26d 送りローラ
27a,27b 搬送用ベルト
28 切断装置
29 排出コンベヤ
30 供給装置
31 供給溝
32 パレット
33 供給チェーン
34 押圧部材
s 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシート状物(1)の幅方向両端部(1a,1b)を重ねて筒状の袋部(5)を形成し、その袋部(5)内に被包装物(s)を収容し、前記重ねられた幅方向両端部(1a,1b)間を閉じる縦シール部(12)と、前記被包装物(s)を挟んで前記シート状物(1)の長手方向両側に前記袋部(5)を閉じる横シール部(11)とを備えた包装食品において、
前記縦シール部(12)は、前記袋部(5)内の被包装物(s)を前記縦シール部(12)へ向かって押圧した際に、その被包装物(s)が破壊されない押圧力で分離して前記袋部(5)内の被包装物(s)が取出可能であることを特徴とする包装食品。
【請求項2】
帯状のシート状物(1)の幅方向両端部(1a,1b)を重ねて筒状の袋部(5)を形成し、その袋部(5)内に被包装物(s)を収容し、前記重ねられた幅方向両端部(1a,1b)間を閉じる縦シール部(12)と、前記被包装物(s)を挟んで前記シート状物(1)の長手方向両側に前記袋部(5)を閉じる横シール部(11)とを備えた包装食品において、
前記縦シール部(12)は、前記両横シール部(11,11)の前記幅方向一方側の端部(11a,11a)間を結んで形成され、前記袋部(5)内の被包装物(s)を前記シート状物(1)の外側より前記幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、前記縦シール部(12)は、その被包装物(s)が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部(1a,1b)間が分離して前記袋部(5)内の被包装物(s)が取出可能であることを特徴とする包装食品。
【請求項3】
前記縦シール部(12)は、前記幅方向両端部(1a,1b)間を閉じるように長手方向に沿って所定幅で溶着された後、前記被包装物(s)が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部(1a,1b)間が分離する強度となるように、前記所定幅のうち縁寄りの一定部分が切り落とされて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装食品。
【請求項4】
前記被包装物(s)は粒状を成し、前記シート状物(1)の外面には豆の鞘(13)の外観が描かれ、前記縦シール部(12)が前記鞘(13)の縁に沿っていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の包装食品。
【請求項5】
複数個の前記被包装物(s)が、前記鞘(13)の縁に沿って並列して収容されていることを特徴とする請求項4に記載の包装食品。
【請求項6】
請求項1に記載の包装食品の製造方法であって、帯状のフィルム(1)の幅方向両端部(1a,1b)を重ねて筒状の袋部(5)を形成し、その袋部(5)内に被包装物(s)を収容し、前記重ねられた幅方向両端部(1a,1b)間を閉じる縦シール部(12)と、前記被包装物(s)を挟んで前記シート状物(1)の長手方向両側で前記袋部(5)を閉じる横シール部(11)とを形成し、
前記縦シール部(12)は、前記袋部(5)内の被包装物(s)を前記シート状物(1)の外側より前記縦シール部(12)へ向かって押圧した際に、その被包装物(s)が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部(1a,1b)間が分離する強度に形成することを特徴とする包装食品の製造方法。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれか一つに記載の包装食品の製造方法であって、帯状のフィルム(1)の幅方向両端部(1a,1b)を重ねて筒状の袋部(5)を形成し、その袋部(5)内に被包装物(s)を収容し、前記重ねられた幅方向両端部(1a,1b)間を閉じる縦シール部(12)と、前記被包装物(s)を挟んで前記シート状物(1)の長手方向両側で前記袋部(5)を閉じる横シール部(11)とを形成し、
前記縦シール部(12)は、前記両横シール部(11,11)の幅方向一方側の端部(11a,11a)間を結んで形成されており、その縦シール部(12)を、前記袋部(5)内の被包装物(s)を前記シート状物(1)の外側より幅方向他方側から一方側へ向かって押圧した際に、その被包装物(s)が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部(1a,1b)間が分離する強度に形成することを特徴とする包装食品の製造方法。
【請求項8】
前記縦シール部(12)及び前記横シール部(11)はシーラーの押圧により形成され、前記縦シール部(12)を形成する際の前記シーラーの押圧力を、前記横シール部(11)を形成する際の前記シーラーの押圧力よりも小さく設定することを特徴とする請求項6又は7に記載の包装食品の製造方法。
【請求項9】
前記縦シール部(12)は、幅方向両端部(1a,1b)間を閉じるように長手方向に沿って所定幅で溶着された後、前記被包装物(s)が破壊されない押圧力で前記幅方向両端部(1a,1b)間が分離する強度となるように、前記所定幅のうち縁寄りの一定部分を切り落とすことにより形成されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の包装食品の製造方法。
【請求項10】
前記袋部(5)は、横型ピロー包装機(20)が備える製袋部(23)で前記帯状のシート状物(1)の幅方向両端部(1a,1b)が重ねられることにより形成され、前記被包装物(s)は、前記製袋部(23)が備える押し込み装置(24)によって前記袋部(5)内に収容され、前記縦シール部(12)は、横型ピロー包装機(20)が備えるセンターシール部(21)によって形成され、前記横シール部(11)は、横型ピロー包装機が備えるトップシール部(22)によって形成されることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一つに記載の包装食品の製造方法。
【請求項11】
前記製袋部(23)は、前記帯状のシート状物(1)の幅方向両端部(1a,1b)を下向きにして前記袋部(5)を形成し、前記センターシール部(21)によって前記縦シール部(12)が形成された後、前記幅方向両端部(1a,1b)を下向きから横向きに移動させ、その後、前記トップシール部(22)によって前記横シール部(11)が形成されることを特徴とする請求項10に記載の包装食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−57259(P2011−57259A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209187(P2009−209187)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(505128463)株式会社ニューエスト (3)
【Fターム(参考)】