説明

医療用機器の光源装置、及び内視鏡装置

【課題】必要十分な光量の照明光を簡単な構成で高精度に生成し、常に良好な観察画像が得られる医療用機器の光源装置、及び内視鏡装置を提供する。
【解決手段】医療用機器の光源装置は、定格光量の異なる複数の発光素子を有する光源部と、複数の発光素子への駆動信号をそれぞれ生成して発光素子を駆動する光源駆動部とを備える。光源駆動部は、複数の発光素子のうち定格光量が低い発光素子を、光源部からの出射光量を補償するための駆動信号で駆動するようにした。光源部が、第一の定格光量の高輝度発光素子LED(L)と、それより低い第二の定格光量の低輝度発光素子LED(S)とを有する場合、高輝度発光素子の出射光量が低下する際に、光源駆動部は、高輝度発光素子の光量低下量を求め、この光量低下量を補償する光量を低輝度発光素子から出射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用機器の光源装置、及び内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内の組織を観察する内視鏡装置が広く知られている。一般的な内視鏡装置は、キセノンランプ等の白色光源から出射された白色光を、ライトガイドを通じて体腔内の被観察領域に照明光として供給し、被観察領域からの反射光の像を撮像素子により撮像する。これにより、白色光による通常観察画像が取得されるようになっている。また、近年になって、より長寿命で省電力な発光ダイオードを光源に利用した内視鏡装置が提案されている。例えば特許文献1には複数の発光ダイオードを用いた内視鏡用光源が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の発光ダイオードを同時に点灯させると、点灯する発光ダイオードの数に応じて発熱量が増大し、発光ダイオードが熱劣化しやすくなる。そこで、上記特許文献1の内視鏡用光源においては、発光ダイオードが配設される基板を冷却するための冷却機構が内視鏡用光源に設けている。しかしながら、一般に発光ダイオードは温度上昇によって熱劣化が生じる以外にも、発光特性が変化する。そのため、発光ダイオードに一定の駆動信号を入力しても、発光ダイオードの温度上昇に伴って発光光量が減少し、意図した観察画像が得られないことがある。また、ハロゲンランプ等と同等の光量を得るためには、多数の発光ダイオードを同時点灯させたり、定格光量の高い発光ダイオードを用いたりする必要があるが、高輝度にするほど発熱量は増大し、発光光量が変化しやすくなる。
そこで本発明は、必要十分な光量の照明光を簡単な構成で高精度に生成し、常に良好な観察画像が得られる医療用機器の光源装置、及び内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は下記構成からなる。
(1) 医療用機器の光源装置であって、
定格光量の異なる複数の発光素子を有する光源部と、
前記複数の発光素子への駆動信号をそれぞれ生成して前記発光素子を駆動する光源駆動部とを備え、
前記光源駆動部が、前記複数の発光素子のうち前記定格光量が低い発光素子を、前記光源部からの出射光量を補償するための駆動信号で駆動する医療用機器の光源装置。
(2) (1)の医療用機器の光源装置が搭載された内視鏡装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の医療用機器の光源装置、及び内視鏡装置によれば、発光素子に光量低下が生じても、その光量低下分を定格光量の低い発光素子により補うことで、必要十分な光量の照明光を簡単な構成で高精度に生成し、常に良好な観察画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図で、内視鏡装置の構成図である。
【図2】内視鏡装置の具体的な構成例を示す外観図である。
【図3】LED(L)とLED(S)の出射光量の時間変化を表すグラフである。
【図4】(A)はLED(L)の駆動信号を示すグラフ、(B)はLED(S)の駆動信号を示すグラフである。
【図5】照明光の光量変化を示すグラフである。
【図6】LED(L)とLED(S)の出射光強度の階調値と駆動信号の強度との関係を模式的に示すグラフである。
【図7】(A)はLED(L)の駆動信号を示すグラフ、(B)はLED(S)の駆動信号を示すグラフである。
【図8】照明光の光量変化を示すグラフである。
【図9】光源装置19Aの要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、医療用機器である内視鏡装置の構成図、図2は内視鏡装置の具体的な構成例を示す外観図である。
内視鏡装置100は、図1に示すように、内視鏡11と、内視鏡11が接続される制御装置13と、観察画像等を表示する表示部15と、制御装置13に情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力部17とを備えている。制御装置13は、光源装置19と、撮像画像の信号処理を行うプロセッサ21とを有して構成される。
【0009】
内視鏡11は、本体操作部23と、この本体操作部23に連設され被検体(体腔)内に挿入される細長状の挿入部25とを備える。本体操作部23には、ユニバーサルコード27が接続される。このユニバーサルコード27の先端は、光源装置19にライトガイド(LG)コネクタ29Aを介して接続され、また、ビデオコネクタ29Bを介してプロセッサ21に接続されている。
【0010】
図2に示すように、内視鏡11の本体操作部23には、挿入部25の先端側で吸引、送気、送水を実施するためのボタンや、撮像時のシャッターボタン等の各種操作ボタン31が併設されると共に、一対のアングルノブ33が設けられている。
【0011】
挿入部25は、基端側に配置される本体操作部23から順に、軟性部35、湾曲部37、及び先端部(内視鏡先端部)39で構成される。湾曲部37は、本体操作部23のアングルノブ33を回動することで不図示の操作ワイヤが牽引され、これにより、遠隔的に湾曲操作されて先端部39を所望の方向に向けることができる。
【0012】
図1に示すように、内視鏡先端部39には、撮像光学系の観察窓41と、照明光学系の照明窓43が配置されている。照明窓43から出射される照明光は被検体に照射される。そして、被検体からの反射光は、撮像素子45によって観察窓41を通じて撮像される。撮像された観察画像は、プロセッサ21に接続された表示部15に表示される。
【0013】
ここで、撮像光学系は、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の撮像素子45と、撮像素子45に観察像を結像させるレンズ等の光学部材47とを有する。撮像素子45の受光面に結像されて取り込まれる観察像は、電気信号に変換されて信号ケーブル51を通じてプロセッサ21の撮像信号処理部53に入力され、ここで映像信号に変換される。なお、撮像素子45は、RGBの原色系カラーフィルタを備えるもの他、CMY,CMYG等の補色系カラーフィルタを備えるものであってもよい。
【0014】
プロセッサ21は、制御部63と、映像信号を生成する撮像信号処理部53と、詳細を後述する各種情報が記憶される情報記憶部55とを備える。制御部63は、撮像信号処理部53から出力される観察画像の画像データに対して適宜な画像処理を施し、表示部15に映出させる。また、光源装置19の光源制御部59に制御信号を出力して、照明窓43から所望の光量の照明光を出射させる。この制御部63は、図示しないLAN等のネットワークに接続されて、画像データを含む情報を配信する等、内視鏡装置100全体を制御する。
【0015】
照明光学系は、光源装置19と、光源装置19にコネクタ29Aを介して接続されるファイババンドル61を有する。光源装置19は、第一の定格光量の高輝度発光素子である発光ダイオードLED(L)、及び第一の定格光量より低い第二の定格光量の低輝度発光素子である発光ダイオードLED(S)を光源部として有し、これらLED(L)及びLED(S)からの出射光を合成して照明光を生成する。
【0016】
LED(L)は、白色発光の高輝度型発光ダイオードであり、LED(S)は、白色発光の小型発光ダイオードである。LED(S)は、LED(L)より最大発光強度は低いが、点灯の応答特性はLED(L)より速い。
【0017】
LED(L),LED(S)からの各出射光は、それぞれファイババンドルに導入された後、一本のファイババンドルに統合されることで合成され、ファイババンドルの光出射端から出射される。
【0018】
光源制御部59は、LED(L)及びLED(S)に対する駆動信号をそれぞれ出力して、LED(L)及びLED(S)をそれぞれ個別に駆動する。
【0019】
つまり、プロセッサ21の制御部63は、LED(L),LED(S)を光量制御して、所望の光量の白色光を出力させる。この出力された白色光は、ファイババンドル61に導入され、内視鏡先端部39まで導光される。これにより、内視鏡先端部39の照明窓43から白色の照明光が出射される。
【0020】
次に、LED(L)とLED(S)の駆動制御について説明する。
制御部63は、光源制御部59に対して目標光量を指示する制御信号を出力する。光源制御部59は、入力された制御信号を受けてLED(L)とLED(S)に対する駆動信号を生成し、各駆動信号をLED(L)とLED(S)に出力する。
【0021】
図3にLED(L)とLED(S)の出射光量の時間変化を表すグラフを示した。
LED(L)は、入力された駆動信号に基づいて出射光量が所定の目標光量になるように生成された駆動信号を受けて点灯開始する。LED(L)の出射光量は、時刻t0からt1にかけて漸増して、時刻t1で目標光量に達する。その後、LED(L)の出射光量は、LED(L)自体が点灯によって発熱し、発光特性が変化するために出射光量が徐々に低下する。そして、出射光量が光量Idだけ減少した状態で定常状態となる。
【0022】
つまり、LED(L)のみで照明光を生成すると、時刻t1以降では目標光量から光量Idだけ光量不足となる。そこで、光源制御部59は、不足する光量Idを補償するためにLED(S)を点灯駆動する。つまり、時刻t1以降にLED(S)を光量Idだけ点灯して、LED(L)とLED(S)の出射光量の合計が目標光量に一致するようにLED(S)を制御する。
【0023】
具体的な駆動信号の例を図4(A),(B)に示した。図4(A)はLED(L)の駆動信号を示すグラフ、(B)はLED(S)の駆動信号を示すグラフである。図4(A)に示すように、LED(L)への駆動信号が時刻t0でOFFからONとなる点灯パルスPaを印加する。すると、LED(L)からの出射光量は図中点線で示すように時刻t1で目標光量に達し、その後、減少する。そこで、図4(B)に示すように、LED(L)への点灯パルスPaをONとした時刻t0から所定時間Δt後の時刻t1に、駆動信号がOFFからONとなる点灯パルスPbをLED(S)へ印加する。このときの点灯パルスPbの信号強度(パルス幅と振幅との積分強度)は、光量Idが得られるように設定される。
【0024】
時刻t1を規定する所定時間Δtは、LED(L)の点灯の応答特性により定まる。また、LED(L)からの出射光の低下光量Idは、LED(L)に含まれる蛍光体材料等の個体特性により定まる。これらのLED(L)の応答特性や個体特性の情報は、図1に示す情報記憶部55に予め記憶されており、制御部63が随時参照することで、所定時間Δt、低下光量Idを求めることができる。
【0025】
このように、光源制御部59が、図4(A),(B)に示す駆動信号を生成してLED(L)、LED(S)を駆動すると、双方からの出射光が合成された照明光はいち早く所望の光量に到達する。即ち、照明光は図5に示す照明光の光量変化を表すグラフのように、時刻t1以降で所望の目標光量となる。
【0026】
ここで、LED(L)の出射光量の低下が、主に点灯時の発熱による温度上昇に起因するものであれば、その出射光低下量を解析的に求めることができる。
その場合、制御部63は、LED(L)を駆動した駆動履歴を駆動履歴情報として情報記憶部55に記憶する。この記憶された直前までの駆動履歴を制御部63が読み出し、LED(L)の点灯強度や点灯時間等の点灯履歴に応じた発熱の累積状態を求める。そして、LED(L)の現在の素子温度を推定する。
【0027】
次に、制御部63は、情報記憶部55に記憶された温度依存特性情報を参照して、推定したLED(L)の現在温度に対応するLED(L)の発光効率を求め、LED(L)の実際の発光光量を推定する。この推定された実際の発光光量と目標光量の差が出射光の低下光量Idとなる。
【0028】
制御部63は、図4(B)のLED(S)の駆動信号を、低下光量Idに相当する光量となるように信号強度を設定し、光源制御部59に制御信号として出力する。
【0029】
以上の制御によって、内視鏡装置は、所望の目標光量通りの照明光を被検体に照射することができる。これにより、光量不足にならずに常に良好な観察画像を得ることができる。
【0030】
上記構成の定格発光量の異なるLED(L)とLED(S)は、それぞれを同時点灯させることで、単一の発光素子で光量の階調制御を行う場合と比較して光量制御の精度を向上できる。LED(L)とLED(S)の階調制御には種々の制御パターンが考えられるが、例えば図6に示すような階調制御とすることができる。
【0031】
図6は、LED(L)とLED(S)の出射光強度の階調値と駆動信号の強度との関係を模式的に示すグラフである。LED(L)の階調制御は、0〜NLmaxまでの範囲で、LED(S)の階調制御は、0〜NSmaxまでの範囲である。LED(L)の最小階調制御幅をStとすると、この最小階調制御幅St内でLED(S)による階調制御を行うことにより、LED(L)とLED(S)の出射光を合成した照明光の実質的な階調制御幅はSt/NSmaxで表される。このため、定格発光量の異なるLED(L)とLED(S)を組み合わせて階調制御することにより、階調制御幅をより細かく設定でき、きめ細かな光量制御が可能となる。
【0032】
上記の階調制御においても、図示はしないが、LED(S)の駆動信号にLED(L)の光量低下量を補償する駆動信号を重畳することで、照明光量が低下することなく、所望の目標光量を正確に得ることができる。
【0033】
次に、LED(L)とLED(S)の応答特性の違いによる点灯初期の照明光量不足を解消するための、LED(L)とLED(S)の駆動制御について説明する。
前述の図5に示すように、LED(L)とLED(S)の出射光量を合成した照明光の光量変化は、駆動開始した直後の時刻t0〜t1の間は過渡期間となり、瞬時に目標光量に到達せずに応答遅れが生じる。そこで、この応答遅れを解消するため、図7(A),(B)に示すように、LED(L)への点灯パルスPaの立ち上がり(時刻t0)と同時に、応答速度の速いLED(S)をt0〜t2の所定期間で点灯させる点灯パルスPcをLED(S)に印加する。
【0034】
点灯パルスPcによるLED(S)からの出射光は、LED(S)の応答特性が速いために時刻t0から瞬時に立ち上がる。そして、点灯パルスPcの終端である時刻t2の後は、残光により徐々に光量が低下して、時刻t1で光量0となる。時刻t1はLED(L)の出射光量が目標光量に一致するので、LED(S)からの出射光量は0でよい。
【0035】
時刻t1以降は、前述同様のLED(S)への点灯パルスPbにより、LED(S)からLED(L)の出射光量低下分の光を出射させて照明光の光量が目標光量に一致するように維持する。
【0036】
このように、LED(S)への点灯パルスPa,Pbにより、図8に示すように、LED(L)とLED(S)の出射光を合成した照明光は、点灯パルスPaを印加した時刻t0から急峻に立ち上がり、目標光量に到達する。
【0037】
LED(S)へのパルスPcの信号強度は、制御部63(図1参照)が情報記憶部55に記憶されたLED(L)の応答特性を参照して設定する。即ち、LED(L)の応答遅れにのため点灯直後に生じるLED(L)の出射光量不足分を、LED(S)の発光により補うようにパルスPcの信号強度を設定する。
【0038】
上記の点灯パルスPb,Pcを組み合わせた駆動信号を用いて光源制御部59がLED(S)を駆動することで、LED(L)への駆動信号である点灯パルスPaの点灯パターンと略一致した光量の照明光を生成できる。これにより、照明光の光量をより高速、かつ正確に変調できる。また、被検体が急峻に変化する動画撮影等を行う場合でも、被検体の撮影条件の変化に追従でき、常に良好な観察画像の取得が可能となる。
【0039】
ここで、LED(S)への点灯パルスPb,Pcの信号強度は、LED(L)の駆動履歴情報や、温度依存性情報に基づいて光源制御部59が設定しているが、LED(L)からの出射光強度を直接測定して設定してもよい。
【0040】
その場合、図9に光源装置19Aの要部構成を示すように、LED(L)からの出射光の光路途中に、光量低下を検出するための光センサ65を配置して、この光センサ65からの出力情報を光源制御部59に入力する。なお、図示例ではLED(L)の光出射口と集光レンズ67との間に光センサ65を配置しているが、光センサ65の配置位置はこれに限らない。
【0041】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば、LED(L)の光量低下分IdをLED(S)で補う際に、LED(L)の光量低下を検出したら予め定めた規定の光量をLED(S)から出射させることであってもよい。その場合には、光量制御の演算負担が軽減され、装置構成を簡略化できると共に、処理速度を高めることができる。
また、LED(L),LED(S)はそれぞれ1つずつ設けているが、複数のLEDを組み合わせて構成してもよい。更に、LED(L)は、キセノンランプやハロゲンランプ等の白色光源や、半導体レーザと蛍光体とを組み合わせた白色光源で構成してもよい。また、LED(S)についても同様に他の白色光源で構成してもよい。
【0042】
以上、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 医療用機器の光源装置であって、
定格光量の異なる複数の発光素子を有する光源部と、
前記複数の発光素子への駆動信号をそれぞれ生成して前記発光素子を駆動する光源駆動部とを備え、
前記光源駆動部が、前記複数の発光素子のうち前記定格光量が低い発光素子を、前記光源部からの出射光量を補償するための駆動信号で駆動する医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、発光素子に光量低下が生じても、その光量低下量を定格光量の低い発光素子により補償することで、必要十分な光量の照明光を簡単な構成で高精度に生成し、常に良好な観察を行うことができる。
【0043】
(2) (1)の医療用機器の光源装置であって、
前記光源部が、第一の定格光量の高輝度発光素子と、前記第一の定格光量より低い第二の定格光量の低輝度発光素子とを有する医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、定格光量の異なる高輝度発光素子と低輝度発光素子とを用いて、照明光の光量を高精度で制御できる。
【0044】
(3) (2)の医療用機器の光源装置であって、
前記高輝度発光素子の点灯駆動履歴が記憶された駆動履歴情報と、前記高輝度発光素子の素子温度に対する発光量変化を表す温度依存特性情報を記憶する情報記憶部を備え、
前記光源駆動部が、前記駆動履歴情報を参照して前記高輝度発光素子の素子温度を推定し、該推定された素子温度に対する前記高輝度発光素子の出射光量低下量を、前記温度依存特性情報を参照して求め、前記出射光量低下量を前記低輝度発光素子で補償する医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、高輝度発光素子の駆動履歴から高輝度発光素子の素子温度を推定し、この推定温度下における出射光量低下量を解析的に求めることで、高輝度発光素子からの出射光量を実測することなく求められる。これにより、簡単な構成で照明光を所望の光量に一致させることができる。
【0045】
(4) (2)の医療用機器の光源装置であって、
前記高輝度発光素子からの出射光強度を測定する光センサを備え、
前記光源駆動部が、前記光センサにより測定される出射光強度から前記出射光量低下量を求め、該出射光量低下量を前記低輝度発光素子で補償する医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、高輝度発光素子からの出射光量を光センサにより実測することで、正確な光量低下量を求めることができる。
【0046】
(5) (2)〜(4)のいずれか一つの医療用機器の光源装置であって、
前記低輝度発光素子が、前記高輝度発光素子より速い点灯応答特性を有し、
前記光源駆動部が、前記低輝度発光素子の駆動信号に、前記高輝度発光素子の点灯直後に不足する出射光量を補うための点灯パルスを更に含ませる医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、高輝度発光素子の応答遅れに起因して点灯直後に不足する光量を、低輝度発光素子からの出射光で補うことができ、照明光を駆動信号通りに応答遅れなく生成することができる。
【0047】
(6) (5)の医療用機器の光源装置であって、
前記光源制御部が、前記点灯パルスを前記高輝度発光素子の点灯開始タイミングと同時に印加する医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、高輝度発光素子の点灯開始と共に低輝度発光素子が点灯するので、照明光の応答遅れが軽減されて、より正確なタイミングで照明光を生成できる。
【0048】
(7) (1)〜(6)のいずれか一つの医療用機器の光源装置であって、
前記複数の発光素子が発光ダイオードである医療用機器の光源装置。
この医療用機器の光源装置によれば、発光素子を発光ダイオードにより構成することで、発光素子の寿命が長くなりメンテナンス性が向上すると共に、省電力でエネルギ効率の高い照明光が得られる。
【0049】
(8) (1)〜(7)のいずれか一つの医療用機器の光源装置が搭載された内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、常に安定した照明光により良好な観察画像を取得でき、内視鏡診断精度が向上する。
【符号の説明】
【0050】
11 内視鏡
13 制御装置
19 光源装置
19A 光源装置
21 プロセッサ
45 撮像素子
55 情報記憶部
59 光源制御部
61 ファイババンドル
63 制御部
65 光センサ
100 内視鏡装置
LED(L) 発光ダイオード
LED(S) 発光ダイオード
Pa 点灯パルス
Pb 点灯パルス
Pc 点灯パルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用機器の光源装置であって、
定格光量の異なる複数の発光素子を有する光源部と、
前記複数の発光素子への駆動信号をそれぞれ生成して前記発光素子を駆動する光源駆動部とを備え、
前記光源駆動部が、前記複数の発光素子のうち前記定格光量が低い発光素子を、前記光源部からの出射光量を補償するための駆動信号で駆動する医療用機器の光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療用機器の光源装置であって、
前記光源部が、第一の定格光量の高輝度発光素子と、前記第一の定格光量より低い第二の定格光量の低輝度発光素子とを有する医療用機器の光源装置。
【請求項3】
請求項2記載の医療用機器の光源装置であって、
前記高輝度発光素子の点灯駆動履歴が記憶された駆動履歴情報と、前記高輝度発光素子の素子温度に対する発光量変化を表す温度依存特性情報を記憶する情報記憶部を備え、
前記光源駆動部が、前記駆動履歴情報を参照して前記高輝度発光素子の素子温度を推定し、該推定された素子温度に対する前記高輝度発光素子の出射光量低下量を、前記温度依存特性情報を参照して求め、前記出射光量低下量を前記低輝度発光素子で補償する医療用機器の光源装置。
【請求項4】
請求項2記載の医療用機器の光源装置であって、
前記高輝度発光素子からの出射光強度を測定する光センサを備え、
前記光源駆動部が、前記光センサにより測定される出射光強度から前記出射光量低下量を求め、該出射光量低下量を前記低輝度発光素子で補償する医療用機器の光源装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項記載の医療用機器の光源装置であって、
前記低輝度発光素子が、前記高輝度発光素子より速い点灯応答特性を有し、
前記光源駆動部が、前記低輝度発光素子の駆動信号に、前記高輝度発光素子の点灯直後に不足する出射光量を補うための点灯パルスを更に含ませる医療用機器の光源装置。
【請求項6】
請求項5記載の医療用機器の光源装置であって、
前記光源制御部が、前記点灯パルスを前記高輝度発光素子の点灯開始タイミングと同時に印加する医療用機器の光源装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の医療用機器の光源装置であって、
前記複数の発光素子が発光ダイオードである医療用機器の光源装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項記載の医療用機器の光源装置が搭載された内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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