説明

医療用装置

【課題】縦置きと横置きの両方が可能で、設置領域を広く確保する必要のなく、かつ内部回路基板が外力の影響を受けにくい医療用装置を実現する。
【解決手段】超音波観測装置3は、複数の回路部を内部に有し、外形形状が略直方体の装置本体3Aと、装置本体の縦置き状態において上面となる一側面に設けられたハンドル部39と、装置本体3Aの縦置き状態において下面となる一側面に設けられた2つの突出部とハンドル部39を有する。装置本体3A内において、複数の回路部に含まれる回路基板は、装置本体に固定された内部シャーシ63Aに固定され、かつ、複数の回路部のうち、他の回路部よりも重い少なくとも2つの回路部は、装置本体3Aの縦置き状態において装置本体3Aの中央部を通る鉛直方向の面に対して、対称的に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用装置に関し、特に、装置本体の縦置きと横置きの両方が可能な医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば超音波内視鏡装置等の医療用装置が広く用いられている。メーカで製造された医療用装置は、病院等の医療現場まで搬送され、手術室等内に設置されて使用される。超音波内視鏡装置の場合、装置自体の重量が例えば20kgを超えるため、重い医療用装置の搬送あるいは設置時における作業者の力作業の負荷が大きい。
【0003】
一般に医療用装置は、操作パネルの見易さ、操作性等の観点から、設置状態が指定されており、そのため、指定された上下方向の状態で、装置の梱包、搬送等が行われる。
超音波観測装置の場合、他の医療機器と一緒に、カートにいわゆる横置き状態で搭載されて使用されるため、梱包時、設置時等において作業者が装置を持ち上げたり、置いたりする作業を容易にするように、横置きの装置の左右にハンドルを設け、設置等の作業が容易になるように工夫されたものがある。
【0004】
また、縦置きの装置の転倒防止のために、装置の底面部に転倒防止部材としてスタンドを設け、そのスタンドが水平方向に突出可能な機構を有する電子機器の提案もある(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平07−336056号公報
【特許文献2】特開2001−204810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、医療用装置の操作パネルの見易さ等の問題だけに注目した場合、医療用装置の中には、そのような問題の生じない装置もあり、そのような装置は、縦置きと横置きの両方が可能である。
しかし、その両方が可能な装置の2つ側面にハンドルを有する装置の場合、作業者は、装置の両方のあるいは一方のハンドルを掴んで、装置の梱包等を行うことができるが、両側にハンドルがあるため、2つのハンドルのある側面を上下方向とした縦置き設置をすることができない。
【0006】
また、縦置きの場合に装置の安定性を良くするために、上記提案のような転倒防止機構を装置に設けることは、スタンド等の突出範囲も考慮して、設置領域を考慮しなければならず、設置場所に制約が生じる、という問題がある。さらにこのような転倒防止機構は、そのための部材が必要となり、重量及びコストの面でも好ましくない。
【0007】
以上のように、従来の医療用装置は、たとえ縦置きと横置きの両方が可能であっても、一方の置き方しかできない、さらに縦置き時の安定性確保のために設置領域を広く取らなければならない、という問題があった。
【0008】
さらに、特に縦置きの場合、装置本体内の回路基板が、装置本体への外力の影響を受けて歪み易くなるという構造上の問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、縦置きと横置きの両方が可能で、設置領域を広く確保する必要のなく、かつ内部回路基板が外力の影響を受けにくい医療用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の回路部を内部に有し、外形形状が略直方体の装置本体と、前記装置本体の縦置き状態において上面となる一側面に設けられた第1のハンドル部と、前記装置本体の前記縦置き状態において下面となる一側面に設けられた複数の突出部と、を有し、前記装置本体内において、前記複数の回路部に含まれる回路基板は、前記装置本体に固定された内部シャーシに固定され、かつ、前記複数の回路部のうち、他の回路部よりも重い少なくとも2つの回路部を、前記装置本体の前記縦置き状態において前記装置本体の中央部を通る鉛直方向の面に対して、対称的に配置されている医療用装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、縦置きと横置きの両方が可能で、設置領域を広く確保する必要のなく、かつ内部回路基板が外力の影響を受けにくい医療用装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る医療用装置としての超音波観測装置1に接続される超音波内視鏡の概略構成を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の超音波医療装置である超音波内視鏡装置1は、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、カメラコントロールユニット(以下、CCUと略記する)4と、光源装置5と、によって、主に構成されている。尚、超音波観測装置3及びCCU4は、超音波内視鏡2によって画像化された超音波観察画像、及び内視鏡画像を表示するための、図示しないモニタに接続される。
【0014】
超音波内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部8と、この挿入部8の基端に位置する操作部7と、この操作部7の側部から延出するユニバーサルコード10と、で主に構成されている。
【0015】
ユニバーサルコード10の基端部には、光源装置5に接続される内視鏡コネクタ9が設
けられている。この内視鏡コネクタ9からは、CCU4に電気コネクタ12を介して着脱自在に接続される電気ケーブル11、及び超音波観測装置3に超音波コネクタ部14を介して着脱自在に接続される超音波ケーブル13が延出している。
【0016】
超音波内視鏡2の挿入部8は、先端側から順に硬質な樹脂部材で形成した先端硬性部21、この先端硬性部21の後端に位置する湾曲自在な湾曲部19、この湾曲部19の後端に位置して操作部7の先端部に至る細径、且つ長尺で可撓性を有する可撓管部18を連設して構成されている。そして、先端硬性部21の先端側には、超音波を送受する複数の電
子走査型の超音波トランスデューサを配列した超音波振動子部22が設けられている。
【0017】
また、超音波内視鏡2の操作部7には、湾曲部19を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ16、送気、送水、吸引操作などを行うための各種ボタン15、体腔内に導入する処置具の入り口となる処置具挿入口17等が設けられている。
【0018】
また、超音波振動子部22が設けられた先端硬性部21の先端面には、図示しないが照明光学系を構成する照明用レンズカバー、観察光学系を構成する観察用レンズカバー、吸引口を兼ねる鉗子口、及び送気送水ノズルが配置されている。また、この先端硬性部21は、観察用レンズカバーから導光される撮影光を集光して光電変換するCCD、CMOS等のイメージセンサである、図示しない撮像手段が内蔵されている。
【0019】
尚、図1においては、超音波観測装置3に接続される電子走査型の超音波内視鏡2を図示して説明したが、超音波観測装置3には、機械走査型の超音波内視鏡も接続可能となっている。
【0020】
次に、超音波観装置3の構成について説明する。
図2から図5は、超音波観測装置の外観を示す図である。図2は、横置き状態の超音波観測装置のフロントパネルに向かって右斜め上側から見た斜視図である。図3は、横置き状態の超音波観測装置のフロントパネルに向かって左斜め上側から見た斜視図である。図4は、超音波観測装置3の正面図である。図5は、超音波観測装置3の平面図である。図6は、超音波観測装置3の右側面図である。図7は、超音波観測装置3の左側面図である。図8は、超音波観測装置3の背面図である。なお、超音波観測装置3の底面図は省略する。
【0021】
超音波観測装置3の装置本体3Aは、内部に複数の回路部を有し、略直方体の外形形状を有し、図4の正面図に示すように、前面のフロントパネル51には、電源スイッチ52と、このフロントパネル51に形成された装置側コネクタ配置面55に並設された2つの異なるタイプの装置側超音波コネクタ部53,54と、を有している。
【0022】
この装置側コネクタ配置面55において、紙面に向かって見た左側に配置される、本実施の形態の第1の装置側超音波コネクタ部53は、機械走査型の超音波医療機器の超音波コネクタと対を構成する、例えば、50芯タイプのプラグコネクタすなわちソケットである。
【0023】
一方、装置側コネクタ配置面55において、紙面に向かって見た右側に配置される、本実施の形態の第2の装置側超音波コネクタ部54は、電子走査型の超音波医療機器の超音波コネクタと対を構成する、例えば、150芯タイプのプラグコネクタすなわちソケットである。
【0024】
図8に示すように、この超音波観測装置3の装置本体3Aのリアパネル32には、複数の通信ケーブルなどが接続される接続端子群31、電源ケーブルが接続される電源コネクタ35、及び複数、本実施の形態では4つ、の冷却ファン33が設けられている。これら4つの冷却ファン33は、後述する電源ユニット62内の温度上昇を抑制するための排気ファンを構成している。
【0025】
接続端子群31は、背面板となるリアパネル32の上部側に夫々配設されている。また、電源コネクタ35は、リアパネル32の右下方に配設されている。
さらに、図8に示すように、超音波観測装置3の装置本体3Aには、横置き状態において両側面及び上面を覆う筐体外装部を構成するカバーユニット36が設けられている。このカバーユニット36の各側面部には、それぞれが吸気口を構成する複数の通気口45と、持運びの際にユーザが把持するハンドル部39と、が設けられている。カバーユニット36は、装置本体3Aの底面側のベース板に固定される。そのベース板の外側には、装置本体3Aを横置きしたときの支えとなる4つの足部3Bが固定されている。図6は、その足部3Bがベース板に螺子で固定されている状態を部分断面図で示している。
【0026】
装置本体3Aの両側面には、それぞれ2つのハンドル部39が設けられている。各ハンドル部39は、握り部39Aと、握り部39Aを90度の範囲で回動可能に2点で支持するための2つの基部39Bとからなる。基部39Bは、超音波観測装置3の装置本体3Aに固定される。
【0027】
握り部39Aは、一方向にのみ傾倒可能となっている。具体的には、握り部39Aは、U字型をしており、両端部が、基部39Bに軸支されている。そして、握り部39Aは、基部39Bに支持された2点を結んだ軸回りに、90度の範囲で回動可能となっている。
【0028】
超音波観測装置3が横置きされるときには、2つの握り部39Aをそれぞれ起こした状態にすると、図9に示すように、作業者は、2つの握り部39Aを両手で把持しながら、カート等への載置作業を行うことができる。図9は、装置本体3Aを横置きの状態で搬送するときの超音波観測装置3の状態を示す図である。
【0029】
なお、ハンドル部39は、握り部39Aが装置本体3Aの側面に対して起こした状態を保持するロック機構を有している。よって、図9に示す状態に各握り部39Aを起こすと、握り部39Aは、装置本体3Aの上面側には、倒れることはない。また、ハンドル部39は、握り部39Aが装置本体3Aの側面に対して倒れた状態を保持するロック機構も有している。載置作業後、各握り部39Aは折り畳まれて、図2と図3に示すように、装置本体3Aの底面側に90度だけ倒される。
【0030】
また、超音波観測装置3は縦置きでも使用できるように、図7に示すように、装置本体3Aの一方の側面部には、受け部材としての2つの突起部40が設けられている。ここでは、装置本体3Aの左側面に、例えばゴム製の2つの突起部40が設けられている。装置本体3Aの表面から各突起部40の先端部までの距離daは、ハンドル部39の握り部39Aを倒した状態において、装置本体3Aの表面から握り部39Aの最も遠い部分までの距離dbと同じになる(図11参照)。よって、図11に示すように、縦置き状態において、装置本体3Aの下面となる側面に設けられたハンドル部39は、2つの突起部40と同じ突起部を構成する。
【0031】
なお、2つの突起部40は、1つの突起部でもよい。すなわち、その1つの突起部が、上記2つの突起部40を結んだ線に平行な線に沿って、装置本体3Aが安定するような長さを有するような部材であれば、2つの突起部40は、1つの突起部でもよい。例えば、その1つの突起部は、上記2つの突起部40を、一つにして棒状にしたような部材である。
【0032】
また、突起部40の突出量すなわち距離daは、装置本体3A内部の熱を排気する冷却ファン33とカートの載置台等の接地面間の空間を確保して、排気効率が落ちない程度の量である。
【0033】
その結果、図11に示すように、超音波観測装置3を縦置き状態で使用する場合、下側のハンドル部39が受け台として機能するので、装置本体3Aが真っ直ぐに立つことができる。図10と図11は、超音波観測装置3を縦置きにした状態を示す図である。
よって、上述したように、縦置き状態において、下面側のハンドル部39は、縦置き時に受け台として機能し、横置き時の設置時の把持部として機能する。
【0034】
また、縦置き状態において上面となる側面に設けられたハンドル部39は、搬送時の把持部として機能する。
よって、縦置き設置時だけでなく、図10に示すような状態で、作業者が装置本体3Aの上面のハンドル部39を把持して運搬することができるので、装置本体3Aの重心は作業者の体に近くなり、運搬作業時の負荷も軽減できる。
【0035】
なお、後述するように、装置本体3Aの内部の構造は、縦置き状態においても重量のある部品等が、重量上バランス良く配置され、かつ内部の回路部に含まれる基板に外力に対して歪みが生じ難い構造になっている。
【0036】
上記の超音波観測装置3の構造の変形例として、図12から図16に示すような構成でもよい。図12は、装置本体3Aの縦置き状態で下面となるハンドル部を突起部で置き換えた構成の超音波観測装置を縦置きした状態を示す正面図である。
【0037】
図12において、突起部40Aは、縦置きしたときに、安定性が良いように、1つあるいは2つ設けられる。1つの場合は、突起部40Aは、2つの突起部40との関係で安定性のよい位置、例えば、装置本体3Aの縦置き状態において下面方向から見て、2つの突起部40の中心を結ぶ線に直交する線であって、かつ2つの突起部40の中心を結ぶ線の略真ん中の位置を通る線上に、配置される。
【0038】
図13から図15は、装置本体3Aの縦置き状態において下面のハンドル部を握り部39の外側に、縦置きに本体を平面上に載置すると、握り部が収納方向に傾倒するように、曲面形状部を設けた構成の超音波観測装置を説明するための正面図である。
【0039】
図13に示すように、装置本体3Aが平面上に接触していない場合には、握り部39A1の両端部は、支持部39Bに軸支されており、握り部39A1の中央部は、自重で垂直方向に垂れた状態となっている。
握り部39A1の外側の曲面形状部39Cは、床等の平面に当接すると、支持部39Bの握り部39A1を軸支する軸回りに回動するような曲面となっている。よって、図14に示すように、本体を平面上に下げて行き、握り部39A1の外側の曲面形状部39Cが平面に当接すると、握り部39A1は折り畳まれる方向に傾倒する。装置本体3Aが平面上に載置された状態では、図15に示すように、握り部39A1は、完全に傾倒し、収納位置状態となる。この収納位置状態では、本体は、2つの突起部40とハンドル部39によって安定的に支持される。よって、作業者は、装置本体3Aの載置の際に、装置本体3Aを床面等に近付けて行くときに、置き方に注意しなくてもよい。
【0040】
さらに、図16は、本体の片方の側面の2つの突起部40を、それぞれキャスタ40Bで置き換えた構成の超音波観測装置を縦置きした状態を示す正面図である。作業者は、上部のハンドル部39を把持した状態で、縦置き状態の本体をキャスタ40B側に傾けて、キャスタ40Bを利用して転がしながら、装置本体3Aを楽に移動させることができる。
【0041】
また、本実施の形態の超音波観測装置3は、2つのタイプの超音波内視鏡を接続可能となっているので、それぞれの内視鏡側のコネクタすなわちソケットと、本体側の2つのコネクタとの対応関係が分かり易いように、フロントパネル51上の2つのコネクタのそれぞれの近傍に、それぞれの内視鏡のコネクタの形状を模した絵が設けられている。
【0042】
本実施の形態では、図4に示すように、フロントパネル51に向かって左側が、機械走査型の超音波内視鏡用のコネクタ53であり、右側が、電子走査型の超音波内視鏡用のコネクタ54である。そして、図4に示すように、コネクタ53の近傍のフロントパネル51の表面には、機械走査型の超音波内視鏡用のコネクタの外観形状の絵53Aが印刷等により設けられている。コネクタ54の近傍のフロントパネル51の表面には、電子走査型の超音波内視鏡用のコネクタの外観形状の絵54Aが印刷等により設けられている。
【0043】
絵53Aと54Aは、それぞれ、接続されるコネクタの種類だけでなく、コネクタの挿入方向も示す絵、すなわちシンボルとなっている。
【0044】
図17は、絵53Aを示す図である。図18は、絵54Aを示す図である。よって、絵53Aと54Aから、ユーザは、各内視鏡の接続先と挿入方向を容易に判断することができるので、誤挿入することがない。
【0045】
次に、図19から図21を用いて、本実施の形態の超音波観測装置3の内部構成について以下に説明する。
超音波観測装置3が横置きされるだけであれば、装置本体3A内部の複数の回路基板は、筐体の外装にスタッドを利用して積み上げるようにして、固定してもよいし、マザーボード上のコネクタに接続して固定するようにしてもよい。
【0046】
しかし、縦置きされる、あるいは縦状態にして運搬されるときには、筐体にかかる外力により生じた歪みが、直接各回路基板にかかってしまう、という問題がある。さらに、縦置きにされると、重力により、各回路基板とその各回路基板が接続されるコネクタとに横置き状態時とは異なる方向の力が加わったり、各部品の半田部にストレスがかかる等、により、接触不良等が生じたりする問題もある。
そこで、本実施の形態の超音波観測装置3は、縦置きも可能でかつ、縦置きの状態で運搬等されるときに、上述したような問題が生じないような構造を有している。
【0047】
図19は、カバーユニット36を除く、装置本体3Aの内部構造を示す斜視図である。装置本体3Aは、複数の回路部を内部に有する。図19に示すように、装置本体3Aは、主として、矩形形状のベース板37と、フロントパネル51と、リアパネル32と、電源ユニット62と、各種回路基板を搭載した内部シャーシ63とを有する。
【0048】
リアパネル32は、リアパネル32の面がベース板37の面に対して直交するように、ベース板37の一辺に螺子で固定されて設けられている。
フロントパネル51は、フロントパネル51の面がベース板37の面に直交するように、リアパネル32が設けられた上記一辺とは反対側のベース板37の他方の辺に、螺子で固定されて設けられている。
【0049】
フロントパネル51の装置本体3Aの内部側の面には、フロントパネル51の電源スイッチ52、各コネクタ53,54、表示用LED等のための回路を含む回路ユニット部51Aが配置されている。フロントパネル51と回路ユニット部51Aとが、フロント部61を構成する。
【0050】
電源ユニット62は、ベース板37に螺子で固定されている。図19に示すように、電源ユニット62は、直方体の形状を有しており、直方体の各辺がベース板37の各辺と平行になるように、かつリアパネル32とフロント部61の間に配置される。電源ユニット62は、箱状の外装部材62A内に、電源のための、各種回路部品、素子等が内蔵されており、それらの各種部品等は、通常の電子部品に比べて比較的重い部品を含む。
【0051】
電源ユニット62のベース板37からの高さは、装置本体3Aの高さの略半分、具体的には、半分よりも少し低い高さである。
電源ユニット62の上側には、各種回路基板を搭載した内部シャーシ部63が、電源ユニット62の外装部材62Aに螺子で固定されて配置されている。
【0052】
内部シャーシ部63は、各種回路基板が固定される内部シャーシ63Aを含む。図20は、内部シャーシ63Aの斜視図である。
【0053】
内部シャーシ63Aは、長方形の一辺とその一辺とは反対側の他辺のそれぞれに沿って、折り曲げた、断面形状がコの字形状の板部材である。図20に示すように、内部シャーシ63Aは、両側の側部71と、2つの側部71の間の底部72とを有している。
【0054】
また、内部シャーシ63Aは、2つの側部71の4つの折り曲げられた部分であって、底部72の四隅に、電源ユニット62に螺子で固定するための4つの螺子孔部63Bを有する。
【0055】
内部シャーシ63Aは、4つの螺子孔部63Bを螺子で留めることによって、電源ユニット62に固定される。このとき、内部シャーシ63Aの底面側の底部72の下面は、電源ユニット62の上面に対向する。
【0056】
なお、内部シャーシ63Aを電源ユニット62に固定したときに、底部72の下面と、電源ユニット62の上面との間に隙間が形成されるように、螺子孔部62Bを段差が付くように折り曲げる、あるいは、底部71の下面と電源ユニット62の上面との間にスペーサを設けるようにしてもよい。
【0057】
内部シャーシ63Aの側部71と底部72には、各種回路基板間の電気的接続のためのケーブル用コネクタを挿入し、あるいは内部で発生した熱を放熱するための複数の孔73が形成されている。
【0058】
対向する2つの側部71の内側には、各種回路基板を固定するための複数の螺子孔部74が設けられている。複数の螺子穴部74のいくつかは、側部71の内側面に螺子留めされて固定された側部71の剛性を補強するための補強部材75に設けられている。よって、各種回路基板は、内部シャーシ63Aに固定されて、内部シャーシ63Aにより支えられている。
内部シャーシ63Aの2つの側部71の一端側には、さらに側板76が設けられている。
【0059】
よって、図19と図21に示すように、底部72の上側には、各種回路基板77が複数、内部シャーシ63Aに固定されている。
【0060】
さらに、内部シャーシ63Aの内側には、ビームフォーマ回路ユニット78が、複数の基板77の上側において、固定されている。ビームフォーマ回路ユニット78は、他の回路基板等に比べて重いユニットである。ビームフォーマ回路ユニット78が他の回路部に比べて重いのは、含まれる回路部品の中には、超音波振動子の数だけあるものもあり、実装密度が高いからである。
【0061】
図21は、フロントパネル側から見た装置本体3Aの内部構造を示す図である。図21は、フロント部61を除いて、装置本体3Aをフロントパネル51側から見た図である。
図21に示すように、装置本体3Aの縦置き状態において、フロントパネル側から見たときに、紙面に向かって右側(すなわち装置本体3Aの底面側)の半分の部分81には、電源ユニット62が配置され、左側(すなわち装置本体3Aの上面側)の半分の部分82には、ビームフォーマ回路ユニット78と複数の回路基板77とが配置される。
【0062】
よって、縦置きの状態において、比較的重い回路部、ここでは電源ユニット62とビームフォーマ回路ユニット78とが、装置本体3Aの中央部を通る鉛直方向の面に対して、対称的に配置されているので、装置本体3Aの安定性が高い。すなわち、比較的重量の重い2つの回路部が分散されて装置本体3A内に配置されているので、装置本体3Aの安定性が高い。
【0063】
また、各回路基板77は、内部シャーシ63Aに固定されるので、装置本体3Aに外力が加わっても、その外力が各回路基板77に直接的にかからないので、各回路基板77に歪みが生じ難い。
【0064】
さらに、装置本体3Aは、内部シャーシ化されているので、内部シャーシ63Aを取り出せば、各回路基板上の回路素子へのアクセスが容易となり、メンテナンス性も向上する。
【0065】
なお、装置本体3Aは、上述したような内部シャーシ化を前提として、各回路基板間をコネクタとコネクタの接続ではない、いわゆるハーネスレス構造とすることができる。
【0066】
さらに、超音波観測装置3は、縦置きの状態においても、重力あるいは外力による歪みが内部の回路基板に生じない構造を有しているので、作業者の搬送負荷も軽く、搬送時の効率も良い。
図22は、超音波観測装置3の搬送時の搬送形態の例を説明するための図である。本実施の形態の超音波観測装置3は、縦置きにも対応できる構造を有しているので、梱包用の段ボール箱91内に収納した場合に、複数の段ボール箱91を、内部の超音波観測装置3が縦置きの状態になるような状態で、例えば海外輸送用のパレット等の搬送用のパレット92上に載置することができる。
【0067】
図22に示すように、横置きにした場合よりは多くの段ボール箱91を、パレット92上に載置することができる。よって、上述した本実施の形態の超音波観測装置3のいわゆる物流効率が高いので、物流コストの低減を図ることができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態の超音波観測装置3は、縦置きと横置きの両方に対応なように、縦置きの状態で搬送しかつ設置し易いように、少なくとも1つのハンドル部が装置本体3Aの側面部に設けられ、かつ縦置き時に装置本体3Aの水平性が保てるように、底面部に固定用の受け部を有している。さらに、装置本体3Aは、縦置き時に装置本体3Aの安定性が良いように、装置本体3A内において比較的重い部品等を、バランス良く配置し、装置本体3Aに外力が加えられたときに、内部の回路基板に外力が直接加わらないように、内部シャーシを用いた二重構造を有している。
【0069】
従って、上述した本実施の形態によれば、縦置きと横置きの両方が可能でかつ設置領域を広く確保する必要のなく、縦置き時の安定性の良い医療用装置を実現することができる。また、搬送時及び設置時に縦方向の状態で取り扱うことができるので、医療用装置が重い場合には、作業者の作業負荷が軽減される。
【0070】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係る医療用装置としての超音波観測装置に接続される超音波内視鏡の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る、横置き状態の超音波観測装置のフロントパネルに向かって右斜め上側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、横置き状態の超音波観測装置のフロントパネルに向かって左斜め上側から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置の右側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置の左側面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置の背面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る、装置本体を横置きの状態で搬送するときの超音波観測装置の状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置を縦置きにした状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る超音波観測装置を縦置きにした状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の変形例に係る、装置本体の縦置き状態で下面となるハンドル部を突起部で置き換えた構成の超音波観測装置を縦置きした状態を示す正面図である。
【図13】本発明の実施の形態の他の変形例に係る、装置本体の縦置き状態において下面のハンドル部を握り部の外側に、縦置きに本体を平面上に載置すると、握り部が収納方向に傾倒するように、曲面形状部を設けた構成の超音波観測装置を説明するための正面図である。
【図14】本発明の実施の形態の他の変形例に係る、装置本体の縦置き状態において下面のハンドル部を握り部の外側に、縦置きに本体を平面上に載置すると、握り部が収納方向に傾倒するように、曲面形状部を設けた構成の超音波観測装置を説明するための正面図である。
【図15】本発明の実施の形態の他の変形例に係る、装置本体の縦置き状態において下面のハンドル部を握り部の外側に、縦置きに本体を平面上に載置すると、握り部が収納方向に傾倒するように、曲面形状部を設けた構成の超音波観測装置を説明するための正面図である。
【図16】本発明の実施の形態のさらに他の変形例に係る、本体の片方の側面の2つの突起部を、それぞれキャスタで置き換えた構成の超音波観測装置を縦置きした状態を示す正面図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る絵53Aを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る絵54Aを示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る、カバーユニットを除く、装置本体の内部構造を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る内部シャーシの斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る、フロントパネル側から見た装置本体の内部構造を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る、超音波観測装置の搬送時の搬送形態の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
1 超音波内視鏡装置、2 超音波内視鏡、3 超音波観測装置、3A 装置本体、3B足部、4 カメラコントロールユニット、5 光源装置、7 操作部、8 挿入部、 9 内視鏡コネクタ、10 ユニバーサルコード、11 電気ケーブル、12 電気コネクタ、13 超音波ケーブル、21 先端硬性部、22 超音波振動子部、31 接続端子群、32 リアパネル、33 冷却ファン、35 電源コネクタ、39 ハンドル部、39A、39A1 握り部、39B 基部、39C 曲面形状部、40、40A 突起部、40B キャスタ、45 通気孔、51 フロントパネル、51A 回路ユニット部、52 電源スイッチ、53、54 装置側超音波コネクタ、53A、54A 絵、55 装置側コネクタ配置面、61 フロント部、62 電源ユニット、63 内部シャーシ部、63A 内部シャーシ、63B、74 螺子孔部、71 側部、72 底部、73 孔、75 補強部材、76 側板、77 回路基板、78 ビームフォーマユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路部を内部に有し、外形形状が略直方体の装置本体と、
前記装置本体の縦置き状態において上面となる一側面に設けられた第1のハンドル部と、
前記装置本体の前記縦置き状態において下面となる一側面に設けられた複数の突出部と、
を有し、
前記装置本体内において、前記複数の回路部に含まれる回路基板は、前記装置本体に固定された内部シャーシに固定され、かつ、前記複数の回路部のうち、他の回路部よりも重い少なくとも2つの回路部を、前記装置本体の前記縦置き状態において前記装置本体の中央部を通る鉛直方向の面に対して、対称的に配置されていることを特徴とする医療用装置。
【請求項2】
前記複数の突出部のうちの一つは、前記下面に設けられた第2のハンドル部であることを特徴とする請求項1に記載の医療用装置。
【請求項3】
前記複数の突出部のうちの2つは、キャスタであることを特徴とする請求項1に記載の医療用装置。
【請求項4】
前記装置本体は、超音波観測装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の医療用装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの回路部は、ビームフォーマと電源ユニットであることを特徴とする請求項4に記載の医療用装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−104701(P2010−104701A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282034(P2008−282034)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】