説明

半導体ウエハの容器

1対の外殻3を底部1と蓋部2とに使い分けて半導体ウエハ17を収納する容器Bである。外殻3は、板面に内側立上り部4と、外側立上り部5とを有している。内側立上り部4は、内部にウエハの収納空間を形成する部分であり、外側立上り部5は、容器Bの外壁として外殻3に開口を形成し、内側立上り部4内のウエハを容器の外壁から隔離する。容器Bの外面側となる外殻3の板面には、線対称位置にボス8とボス穴9の対を有している。対の外殻3の開口を互いに向き合わせた状態で一方の外殻のボス8を他方の外殻のボス穴9に差し込み、両外殻3,3の組合せの位置決めを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、半導体ウエハの輸送、保管用の容器、特に1枚の半導体ウエハを収納する半導体ウエハの容器に関するものである。
【背景技術】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)は、例えばシリコン単結晶インゴットを薄い円板状に切り出したもので、その外径は例えば2〜12インチ程度まで各種の大きさのものがある。ウエハの表面には、多数のLSI等の回路が形成され、後に個々の回路ごとにチップに切断され、個々のチップはパッケージングされ、半導体装置に加工される。
ところで、上記インゴットをウエハに切り出す工程と、上記ウエハに回路を形成する工程と、このウエハをチップに切断してパッケージングする工程とは、通常、別の場所で行われることが多いため、ある工程が行われたのち、その場所から次の工程が行われる場所へウエハを運搬しなければならない。工程間でウエハを搬送するには、従来よりウエハに専用の容器が使用される。
ウエハの搬送用の容器には、複数枚のウエハが積み重ねて収納する容器と、ウエハを一枚かぎり収納する個別容器とがある。個別容器は、LSIチップ等の製造において、様々な最終製品の仕様や要求性能に対応するために使用される場合や新製品の輸送のために使用される場合がある。
このような目的に用いるウエハの個別容器として、底部と蓋部を区別する必要がないように設計されたものが提案されている(例えば先行例1(特許第3213968号)公報参照)。先行例1に記載の個別容器は、底部と蓋部となる半割の部品の開口縁に鋸歯状の突出部分を形成し、突出部分を互いにかみ合わせて底部に対する蓋部の位置を調整せずに底部に蓋部をかぶせて中空容器とするものである。
先行例1の明細書には、容器の部品に鋸歯状の突出部分をかみ合わせて容器を施蓋するのは、ロボット等による取り扱いによって、容器を載せたり、おろしたりするときに、一方の部品の上に他方の部品を単に置くだけで部品の重さで突出部分のエッジに滑り込ませて両部品を組み合わせることができるからであると説明し、この容器がロボット等による取り扱いには適応させたものであることが強調されている。
確かに、先行例1に記載の容器によるときには、ロボット等による取り扱いによって、両部品を組み合わせることができる点で優れた機能を備えているものである。しかし、容器の開閉だけがロボット操作によるすべてではなく、容器の開閉は人手によって行い、容器の搬送をロボットハンドで行なう形式のものもあり、また、ロボット操作によるときの問題点は、底部と蓋部の対応する位置を調整するだけでなく、各容器の方向や、姿勢を揃えること、あるいは、容器内に収容されたウエハの向きが統一されていることなども重要な要素であると思われるが、先行例1では、これらの点について考慮されているわけではない。
さらに、ロボットによる取り扱いの問題だけでなく、壊れやすいウエハを収納する容器本来の機能として輸送時に発生するかも知れない衝撃からウエハを保護することが重要である。この点、先行例1に記載の容器によれば、第9図に示すようにウエハWは両部品21、21の開口縁に形成されたショルダー22,22間に挟んで保持されることになるが、万一、容器の落下などによって部品21,21の外周縁の突出部分23に衝撃が加わった場合、その衝撃はほとんど緩衝されることなくショルダー22、22の部分からウエハWに直接加わり、ウエハWを破損する虞があると考えられる。
また、ウエハが収納された容器の搬送、保管などで容器を段積する場合があるが、その場合に安定性の問題、さらには、容器の材質に起因するねじれの影響によるウエハの破損防止の問題など容器を実際に使用するに際しては、さまざまな問題があるが、これらの問題についても先行例1では未解決のままに残されている。
なお、容器の製造コストの点についてみれば、底部と蓋部とに同じ形状の部品を用いることは、容器の製造用金型が1種類で良いという利点があるが、先行例1において、底部と蓋部とに同じ形状の部品を用いるのは、もっぱらロボットによる操作のためだけであって、先行例1においては、この利点には気がついていないように思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、先行例1に記載された容器では、ロボットによる容器の底部と蓋部との組合せを容易に行なう点にのみにしか着目されていないが、実際にウエハ容器として使用するには、容器として輸送時に発生するかも知れない衝撃からウエハを保護すること、容器の段積みの問題、容器の材質に起因するねじれの影響など実際に使用するさまざまな問題があるが、これらの問題については未解決になっている点である。
【課題を解決するための手段】
本発明は、ウエハを収納する容器の底部と蓋部となる同じ形状の対の外殻を用い、一方の外殻を上下反転し、かつ両外殻を線対称に組み合わせ、同じ形状の外殻を容器の底部と蓋部とに使い分けてウエハを収納する容器を構成するものである。外殻の板面には、内部にウエハの収納空間を形成する内側立上り部と、その周囲に容器の外側立上り部を設けて内側立上り部内に収容されたウエハを外部から隔離する点、容器の内面側となる外殻の板面には、外殻の板面中心を通る軸の線対称位置に位置決め用のボスとボス穴の対を設けた点を最も主要な特徴とする。
そのほか、内側立上り部を部分的に高さを異ならせ、線対称に組み合わせたときに対の内側立上り部の合わせ目をウエハの端縁の位置からずらせて外殻に歪が生じても内側立上り部の合わせ目からウエハの端縁がはみ出さないようにしている点、回り止め用の突起ととその突起を嵌合させる切欠きの対を内側立上り部に外殻の板面中心を通る軸の線対称位置に設けた点、外殻の板面には板面を横切ってリブを付して強度を付与し、板面の薄型化を実現する点、さらに、内側立上り部と、外側立上り部との間の板面には互いに嵌合する凸部と凹部とを外殻の板面中心を通る軸の線対称位置に形成し、容器の段積みの際には内側立上り部と、外側立上り部を外側に向けて対の外殻を組み合わせ、凸部と凹部を相互に嵌合させて着座させる点が特徴である。
【発明の効果】
本発明は、同じ形状の外殻を底部と蓋部とに使い分けるので容器の在庫保有の面で有利であり、合成樹脂の射出成形で容器を成形する場合に金型製作費を削減できる。
また、内側立上り部内のウエハは外側立上り部から隔離するため、両者の間に衝撃吸収用の空間が形成されてウエハを容器に加えられる衝撃から保護することができる。
さらに、外殻の板面に板面を横切って設けたリブは外殻の強度を増大させるため、容器の薄型化が可能となる。
また、蓋部と底部との組合せの位置決めは外殻の線対称位置に設けたボスとボス穴の対の嵌合によるため、位置ずれが生ぜず、蓋部と底部との組合せ位置は自ずから決定され、さらに段積みの際には、上段の容器の底部と、下段容器の蓋部の凸部と凹部とを互いに嵌合させることによって、容器の方向を揃えて安定に積層でき、各容器内に収容するウエハの方向を同じ方向に揃えておくことによって、段積みされた各段の容器内のすべてのウエハの方向を統一して行なうことができる。
なお、ウエハの収納空間の周囲に形成される内側立上り部の高さを部分的に異ならせて内側立上り部の合わせ目をウエハの端縁の位置からずらせるため、外殻に歪が生じても内側立上り部の合わせ目からウエハの端縁がはみ出すことがなく、したがってウエハが、内側立上り部の合わせ目にはさまれて破損するような事態は回避できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のウエハ容器の斜視図である。
第2図は、本発明のウエハ容器の底部あるいは蓋部となる外殻の斜視図である。
第3図は、外殻を示すもので、第3図(a)は外殻を蓋部に用いたときの平面図、第3図(b)は外殻を容器の底部に用いたときの平面図である。
第4図は、位置決め用として外殻に形成されたボスとボス穴との関係を示す容器の断面の展開図である。
第5図は、回り止めとして外殻に形成された突起と切り欠きとの関係を示す容器の断面の展開図である。
第6図は、外殻に形成されたリブ状突状の形状を示す第3図(b)のA−A線断面図である。
第7図は、容器を段積みする要領を示す略示図である。
第8図は、対の外殻を組み合わせて容器を構成し、容器内にウエハを収納する要領を示す図である。
第9図は、先行例1のウエハの容器を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
容器として輸送時に発生するかも知れない衝撃からウエハを保護し、容器を構成する部品相互の位置決めや回り止め構造を簡略化するという目的を外殻の板面に、容器の外側立上り部とは別にその内側にウエハの収納空間を形成する内側立上り部を設け、内側立上り部内にウエハを収容して外側立上り部から隔離し、対の外殻の組合せの際の位置決めは、一方の外殻のボスを他方の外殻のボス穴に差し込むことで実現した。
実施形態1
以下、本発明の実施形態1について説明する。
第1図に本発明によるウエハの容器の実施例を示す。第1図において、本発明によるウエハの容器Bは、互いに脱着可能に結合した底部1と蓋部2との組合せからなるものである。底部1と蓋部2とは、1面が開放された同じ形状の対の外殻を用いたものであり、容器Bは、底部1として開口を上向きとした一方の外殻と、蓋部2として上下反転して開口を下向きとした他方の外殻とを組み合わせて密閉容器に構成される。以下、外殻の構造を説明するときには外殻3として説明するが、対の外殻が組み合わされて容器を構成するときには、必要により底部1に用いた外殻を3a、蓋部2に用いた外殻を3bに使い分けて説明する。
第2図に開口を上向きとした一方の外殻3を示している。外殻3は透明合成樹脂製であり、外殻3の1面、対の外殻3を組み合わせたときに容器の内側となる面には、内部にウエハの収納空間を形成する内側立上り部4と、その周囲に外側立上り部5とを有している。内側立上り部4は、その内部にウエハの収納空間を形成する円環状の立上り部分であり、外側立上り部5は容器の外周壁を形成する立上り部分である。
この実施形態においては外殻3の板面の平面形状が四角形であり、その四隅には面取りを施して滑らかな曲縁を形成しており、外側立上り部5は、四角形の板面形状をかたどり、四角形の枠型に立ち上がらせている。
ウエハの収納空間を形成する内側立上り部分4は、外側立上り部5によって容器の外部から隔離される。容器を形成する外殻3の対は、第1図に示すスナップフィット6によって一体に結合されるものであり、スナップフィット6は上下の外殻の外側立上り部5と、板面とに跨って要所に形成された溝7内に嵌め込まれる。
第3図(a)に外殻の平面図、第3図(b)に外殻の底面図を示す。外殻3の板面は透明合成樹脂のため、その1面には板面を通して他面に付された形状が透過されるが、図形が複雑になるので図示は省略してある。第3図(a)において、対の外殻3を組み合わせたときに容器の内側となる面には、外殻の中心Oを通る線、この実施形態においては、外殻3の直角座標の2軸、すなわち外殻3の中心を通る直角座標の横軸のX−X線及び縦軸のY−Y線をそれぞれ軸として内側立上り部4と外側立上り部5との間の板面の線対称位置に、第4図に示すようにボス8とボス穴9の対が板面に突出形成されている。
また、第5図において、内側立ち上り部4には、外殻の中心を通る線の線対称位置、この実施形態においては、X−X線及びY−Y線の2軸の線対称位置に内側立ち上り部4の端縁一部に立ち上がる突起10とその突起10を嵌合させる切欠き11との対が形成されている。
さらに、容器の外面側となる外殻3の他の面には、放射状のリブ状突条12および同心状のリブ状突条13を第6図のように板面より立ち上げて形成し、外殻3の四隅には、凸部14と凹部15との対を第3図に示すX−X線及びY−Y線の2軸の線対称位置に形成している。凸部14は、第7図に示すように板面の一部を立ち上げた部分であり、凹部15は、凸部14を嵌合させる凹所である。凸部14と凹部15とは、第7図のように容器B1、B2,B3・・を2段以上段積みしたときに相互に嵌合させるためのものである。なお、凸部14と凹部15とは対をなし、その対は四角形の外殻3の板面の対角線上の対称位置に形成されている。
外殻3には、静電気対策を施しておくことが望ましい。外殻3に静電気対策を施すには、導電性フィラーを添加した導電性(帯電防止性)プラスチックス、あるいはポリマーアロイ処理した導電性(帯電防止性)プラスチックス、帯電防止剤を添加したプラスチックスを素材に用いて射出成形によって一体に成形すればよい。ポリピロールやポリアニリンなどの導電性のポリマーで、全面を覆うことが帯電防止性、透明性の点で有利である。
第8図において、容器Bの底部に用いる外殻3aの内側立ち上り部5内に、対のシート16、16間に挟んでウエハ17を収納し、外殻3bで施蓋する。外殻3aと外殻3bとは、X−X軸又は、Y−Y軸に線対称に組み合わされ、第4図に示すように外殻3aのボス8が外殻3bのボス穴9に嵌合し、外殻3bのボス8が外殻3aのボス穴9に嵌合して底部1と、蓋部2との位置決めがされ、同時に第5図のように外殻3aの突起10が外殻3bの切欠き11に嵌合し、外殻3bの突起10が外殻3aの切欠き11に嵌合して容器Bの底部1と、蓋部2との回り止めとなる。底部1と、蓋部2とは前述のようにスナップフィット6によって一体に結合される。
本発明において、外側立上り部5は、内側立上り部4内のウエハを外部から隔離するバリアとなり、外側立上り部5と内側立上り部4との間に形成される空間は、容器Bを誤って落下させた場合や容器Bに不測の衝撃が加えられた場合の衝撃吸収空間として機能する。
なお、本発明において、容器B内に収容するウエハ17の厚みは0.2mm程度であり、その上下面をはさむシート16には、厚さ1.4mm程度の発泡ポリエチレンが用いられられる。したがって理論上、内側立上り部4の高さは収納厚さの1/2とされ、この場合は1.5mm程度(発泡ポリエチレンの載置面を基準)とされる。仮にウエハ17の厚みが0.2mm程度、シート16の厚みが1.4mm程度であるとすれば、外側立上り部5の厚みは自ずから1.5mm程度に設定される。
なお、対の外殻3を容器Bに組み合わせるだけであれば、内側立上り部4の立ち上がり高さは、基本的には外側立上り部5と同じ高さに設定されていれば良いが、本発明においては、特に第5図に示すようになだらかな曲縁にて部分的に高さを異ならせている。しかし、対の外殻3を線対称に組み合わせたときに外殻3aと3bとの組合せによる両内側立上り部4,4の合計高さは一定である。これは、対の外殻3を線対称に組み合わせたときに対の内側立上り部4,4の合わせ目にウエハ17の端縁が位置しないようにするためである。
内側立上り部4の立上り高さに関しては、外殻3の板面をX−X線、Y−Y線で区画された4つの分割域のうち、例えば2つの分割域の高さを1.0mmとすれば残りの2つの分割域の高さを2.0mmとすることにより理論上底部と、底部と同一形状の蓋部とは隙間無く組合せることができ、両内側立上り部4の合わせ目にウエハ17の端縁が挟み込まれることがない。
本発明において、容器Bの開閉は人手によって行われ、容器B内にウエハ17を収納する作業及び容器B内からウエハ17を取り出す作業は主として手作業、あるいはロボットを用いて行なわれる。容器Bの搬送に際しては、2個以上の容器Bを積み重ねて搬送することができる。第7図において、容器を2個以上積み重ねるときには、容器B1,B2の関係では、上段容器B1の下面の凸部14と下段容器B2の上面の凹部15および上段容器B1の下面の凹部15と下段容器B2の上面の凸部14とを相互に嵌合させることにより上段容器B1は下段容器B2上に安定に着座し、容器の積層がずれることはない。
なお、凸部14と凹部15との組を外殻3の板面のX−X軸、又はY−Y軸のいずれか1軸にのみを選定して線対称位置に設けたときには、下段容器B2に対する上段容器B1の嵌合位置は一義的に決定されるが、凸部14と凹部15との組をX−X軸およびY−Y軸の2軸の対称位置に設けたときには下段容器B2に対する上段容器B1の嵌合位置は、正方向と逆方向との2方向の組合せが可能となる。
本発明において、外殻3の形状は四角形に限らず、任意の多角形、円形、楕円形その他の定型の形状に設定するだけでなく、さらには不定形に形成することは可能であるが、板面にボス8とボス穴9および段積みのための凸部14および凹部15の形成空間を確保し、しかもできる限り、外殻の外径の小型化を実現するには、四角形は有利である。
例えばウエハのオリエンテーションフラットの位置を各容器の外殻の特定の1辺に合わせて収納しておけば、上下段に積層された各容器内のウエハの方向を統一することができる。
また、外殻の成形材料に透明合成樹脂を用いることは重要である。外殻の成形材料に透明合成樹脂が用いられていると、容器の蓋部または底部を通して容器内のウエハの有無、収納状態、収納位置や収納角度のずれは一目瞭然である。以下に本発明の実施例を示す。
【実施例1】
ポリカーボネート樹脂100重量部に帯電防止剤15重量部を添加した帯電防止性プラスチックスのペレットを用い、射出成形にて第3図に示す透明な外殻を形成した。その際、板部はほぼ全体に渡って肉厚2mmとし、底部(あるいは蓋部)にゆがみが発生しないように、リブ状突状としてその外側面側の板面に中心近傍を凹状の溝とし中心より放射状に延びた8本の溝と当該溝間にそれぞれ円周方向に曲がった溝を4列形成した。これらの溝の深さはすべて2mmとした。内側面は、前記溝に対応する突条が形成されることになりこの突条にウエハ載置面(実際には、シートに用いる発泡ポリエチレンを載置する面)となる。内側立上り部は、ウエハ載置面を基準として高さ1.5mmとし肉厚2mmで形成し、外側立ち上がり部もウエハ載置面を基準として高さ1.5mmとし肉厚2mmで形成した。以上のようにして成形された対の外殻の対を用いて蓋締めしたときに厚さ11mmとなる容器を成形した。また、前記底部または蓋部には、4つのコーナー部近傍には段積み用として直径20mmの突条と溝(立上り高さ(凹部の深さ)2mm)の組とボスおよびボス穴を形成し、さらに2箇所ずつスナップフィットの嵌込み部を設けた。得られた外殻の2個を容器の底部と蓋部に用い、底部中に、発泡ポリエチレン(1.4mm厚)、ウエハ(0.2mm)、発泡ポリエチレン(1.4mm)を載置して蓋部で施蓋し、嵌込み部にスナップフィットを嵌め込んで固定した。
得られた容器は透明でウエハの収納状況を透視でき、外殻の対の組合せにより垂直方向、水平方向にウエハの収納容器として十分に耐えうる強度を有し、防塵効果があり、長期間の使用後もねじれはほとんど生じなかた。また、容器は2段以上を段積みして安定して積み重ねることができ、取り扱い中に容器の隅に多少の衝撃が加えられた程度では、内部のウエハに損傷を受けることはなかった。
【産業上の利用可能性】
インゴットから切り出された状態のウエハから表面にLSI、ICなどの回路が形成されたウエハに至るまで工程間にウエハを搬送するウエハ収納用の容器として、あるいは半導体装置の製造工程において、各工程内で、あるいは工程間で保管するウエハの保管用容器として広く用いることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の外殻を底部と蓋部とに使い分けて半導体ウエハを収納する容器を構成する半導体ウエハの容器であって、
外殻は、板面に内側立上り部と、外側立上り部とを有し、
内側立上り部は、内部にウエハの収納空間を形成する部分であり、
外側立上り部は、容器の外側立上り部として外殻に開口を形成し、内側立ち上り部内のウエハを容器の外側立上り部から隔離する容器の外壁であり、
内側立上り部と、外側立上り部との間の外殻の板面には、外殻の中心を通る線の線対称位置にボスとボス穴の対を有し、
ボスとボス穴は対の外殻の位置決め用であり、対の外殻の開口を互いに向き合わせた状態で一方の外殻のボスを他方の外殻のボス穴に差し込まれるものであることを特徴とする半導体ウエハの容器。
【請求項2】
ボスとボス穴との対は、外殻の中心を原点とする直角座標の2軸の線対称位置に設けられているものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項3】
内側立上り部の立上り高さを部分的に互いに異ならせ、対の外殻を線対称に組み合わせたときに両内側立上り部の合計高さは一定であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項4】
内側立上り部には線対称位置に突起と切欠きとが付され、
突起は、内側立上り部の一部を上方に立ち上らせた部分であり、
切欠きは、内側立上り部の一部を切り欠いて形成された溝の部分であり、
突起と切欠きとは、対の外殻を容器の底部と蓋部として向き合わせに組み合わせたときに互いに噛み合わされて両外殻の組合せの回り止めとして機能するものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項5】
突起と切欠きとは、外殻の中心を原点とする直角座標の2軸の線対称位置に設けられているものであることを特徴とする請求の範囲第4項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項6】
容器の外面側となる前記外殻の板面には凸部と凹部とを外殻の中心を通る線の線対称位置に有し、
凸部と凹部とは、容器を2段以上段積みする場合に、上段容器と、下段容器の凸部と凹部とが互いに嵌合して下段容器上に上段容器を安定に着座させるものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項7】
凸部と凹部とは、外殻の中心を原点とする直角座標の2軸の線対称位置に設けられているものであることを特徴とする請求の範囲第6項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項8】
容器の外面側となる外殻の板面には、外殻に強度を付与するリブ状突条を立ち上げて形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項9】
スナップフィットを有し、
スナップフィットは上下に組み合わされた外殻の外側立上り部と、板面とに跨って要所に形成された溝内に嵌め込み、対の外殻を一体に結合するものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。
【請求項10】
外殻は、透明合成樹脂材にて一体成形されたものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の半導体ウエハの容器。

【国際公開番号】WO2004/087535
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504181(P2005−504181)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004087
【国際出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】