半導体素子冷却用ヒートシンク
【課題】半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、冷却効率を向上させる。
【解決手段】表面13aに半導体素子11が取り付けられる金属製の基板13と、基板13の冷却面13bに並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路17を規定する複数のフィン14と、を備える半導体素子冷却用ヒートシンク10であって、各フィン14の間の根本側で、流路17の方向に沿って半導体素子11の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられ、流路17の方向と交差方向に延び、冷却面13bからフィン先端に向かって突出する突起15を備える。
【解決手段】表面13aに半導体素子11が取り付けられる金属製の基板13と、基板13の冷却面13bに並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路17を規定する複数のフィン14と、を備える半導体素子冷却用ヒートシンク10であって、各フィン14の間の根本側で、流路17の方向に沿って半導体素子11の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられ、流路17の方向と交差方向に延び、冷却面13bからフィン先端に向かって突出する突起15を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンとモータジェネレータの2種類の駆動源を組み合わせて車両の駆動源とするハイブリッド車両や、モータジェネレータによって車両を駆動する電気自動車等が多く用いられるようになってきている。このような電動車両には、充放電可能な二次電池と、二次電池の直流電力をモータジェネレータ駆動用の三相交流電力に変換して出力するとともにモータジェネレータによって回生した交流電力を二次電池に充電する電力変換器であるインバータとが搭載されている。インバータは、スイッチング素子のスイッチング動作によって電力の変換を行うものであるが、スイッチング動作の際に大きな熱を発生する。また、電動車両にはインバータの他に、直流電圧を変換する昇圧コンバータやDC/DCコンバータが搭載される場合があるが、これらのコンバータにも動作時に大きな発熱をするスイッチング素子が用いられている。スイッチング素子には、パワートランジスタが用いられることが多く、例えば、絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ(IGBT)等が用いられる。
【0003】
このような高発熱性の半導体素子を用いたインバータなどの電気機器では、半導体素子で発生した熱を除去して半導体素子を適正な動作温度とするために、冷却装置が取り付けられている。例えば、特許文献1には、冷却フィンが設けられた取り付け板に半導体素子を取り付け、冷却フィンの間に冷却空気を流して半導体素子を冷却する方法が提案されている。そして、特許文献1には冷却効率を高めるために冷却フィン側面の先端側に乱流板を取り付ける方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、放熱フィン先端と冷却媒体が流れる筐体の壁面との間の隙間に冷却媒体がリークして冷却効率が低下することを防止するために、冷却フィン先端が対向する筐体の内面のフィン間の位置に突起を設け、冷却媒体のリークを低減して効果的に冷却する方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、金属板を複数回、略同じ削り代で薄肉に削り、その薄肉に削った金属片を金属板から起立させることによって金属板の表面に複数の冷却フィンを形成する方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】実開昭63―9193号公報
【特許文献2】特開2007―110025号公報
【特許文献3】特開2005―150479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冷却フィンの間の隙間が狭い場合には、冷却フィンによって規定される流路を流れる冷却媒体は層流となる場合があり、冷却フィン或いは冷却フィンの取り付け板との間の熱伝達率が低くなり、冷却効率が低くなる場合があった。また、流路に冷却媒体を流すと冷却フィン或いは取り付け板の表面に境界層ができる。この境界層は上流から下流に向かって発達して厚くなっていく。境界層の中では冷却媒体の流速は境界層の外側に比べて低くなっているため、熱伝達率が低く、冷却効率が低くなる場合がある。特に、層流境界層の場合には熱伝達率がより低く、より冷却効率が低くなってしまう。
【0008】
このような層流状態、或いは境界層の発達を抑制するためには特許文献1に記載された従来技術のように乱流板を取り付けて冷却媒体の流れに乱れを起こすことが好ましい。しかし、特許文献1に記載された従来技術の乱流板は、半導体が取り付けられている取り付け板よりも温度が低くなる冷却フィンの先端側に取り付けられているため、冷却の必要な取り付け板近傍に効果的に乱流を発生させることができず、圧力損失の増加の割りに冷却効率が向上しないという問題があった。
【0009】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、冷却効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクは、一方の面に半導体素子が取り付けられる基板と、基板の半導体素子が取り付けられる面と反対側の冷却面に並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路を規定する複数のフィンと、を備える半導体素子冷却用ヒートシンクであって、各フィンの間のフィン根本側のみに設けられ、流路の方向と交差方向に延び、冷却面からフィン先端に向かって突出する突起を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、流路の方向に沿って少なくとも1つの半導体素子が取り付けられ、突起は、流路の方向に沿って各半導体素子の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられていることとしても好適であるし、突起はフィン高さの1/4から1/2の高さであること、としても好適である。
【0012】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、金属製であり、突起は、先端の尖った工具を冷却面に押し付けて凹部を形成する際に、凹部の周囲への金属の移行によって形成される凸部であること、としても好適であるし、突起は、冷却面に対して所定の角度だけ傾斜させてカッタの刃先を基板に食い込ませた後、カッタの根本を冷却面に対して垂直方向に回転させ、カッタの刃先の冷却面側にある金属片を冷却面から立上げた突片であること、としても好適である。
【0013】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、突起は、各フィンの間の隙間幅よりも広い突起部材をフィン先端側から基板の冷却面に向かって圧入して取り付けられたものであること、としても好適であるし、基板とフィンとを加熱した状態で突起部材を取り付けること、としても好適である。
【0014】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、各フィンの間の冷却面に突起取り付け用の穴を有し、各突起は、各穴に嵌まり込む凸部を備えていること、としても好適であるし、突起は冷却面に接着剤によって固定されていること、としても好適である。
【0015】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、突起は、各フィンを冷却面に沿って流路の方向と交差方向に貫通する穴に差し込まれた棒材であること、としても好適であるし、突起は、冷却面に向かい、流路の方向と交差方向に各フィンに設けられたスリットに差し込まれた板材であること、としても好適であるし、突起は非金属材料であること、としても好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、冷却効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンク10は、表面13aに絶縁板12を介して半導体素子11が取り付けられている基板13と、基板13の半導体素子11が取り付けられている表面13aの反対側の面の冷却面13bに設けられたフィン14と、フィン14の間の根本にある冷却面13b上に設けられた突起15と、を備えている。半導体素子冷却用ヒートシンク10の冷却面13b側には、開放箱型のカバー16が取り付けられている。
【0018】
基板13とフィン14とはアルミニウムの引き出し成形によって一体に形成されたもので、フィン14は長方形の断面形状で基板13の冷却面13bから略垂直に延びている。カバー16は内面が各フィン14の先端と接する平板部16aと平板部16aの周縁からフィン14と略平行に基板13に向かって立ち上がる立ち上がり部16bを有している。各フィン14と基板13の冷却面13bとカバー16の内面は冷却媒体である冷却水が流れる流路17を形成する。突起15は流路17の冷却面13bの上に設けられている。
【0019】
図2に示すように、カバー16の立ち上がり部16bの両端にはそれぞれ冷却水を流路17に導入する冷却水入口18と、流路17から冷却水を排出する冷却水出口19とが設けられている。冷却水は冷却水入口18から流路17に入り、フィン14と基板13の冷却面13bと熱交換してフィン14と基板13の冷却面13bを冷却する。そして、熱交換によって温度の上昇した冷却水は冷却水出口19から外部に排出される。
【0020】
基板13の表面13aには、流路17を流れる冷却水の流れ方向に沿って複数の半導体素子11が取り付けられている。そして、突起15は冷却面13bにあって、各半導体素子11近傍で各半導体素子11の取り付け位置よりも流路17の上流側に一つずつ取り付けられている。突起15は三角形の断面形状で、流路17と交差する方向に延び、先端はフィン14の先端の方向に突出している。突起15の高さHはフィン14の高さDの1/4から1/2となっている。これは、フィン14の高さが高すぎると突起15による圧力損失が大きくなり、突起15の高さが低いと熱伝達率の向上が少ないためである。突起15の高さは、フィン14の高さの1/4から1/3とするとより好ましい。
【0021】
図3は、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンク10をフィン14側から見た図である。図3に示すように、基板13には複数のフィン14が略平行に設けられている。各フィン14は略直線である。冷却水入口18からカバー16の内部に流入した冷却水は、フィン14の上流側に設けられたヘッダ部分によって各フィン14の間の各流路17に分配され、各流路17には略均等な流量の冷却水が流れる。各流路17を出た冷却水はカバー16のフィン14の下流側に設けられたヘッダ部分に集合し、冷却水出口19から外部に排出される。図3に示すように、基板13の表面には、流路17の方向に沿って4列に半導体素子11が取り付けられ、各列には流路17との交差方向に間隔をあけて4つの半導体素子11が取り付けられている。
【0022】
以上のように構成された半導体素子冷却用ヒートシンク10の流路17に冷却水を流した際の流れと熱交換について説明する。
【0023】
図4に示すように、流路17に流れこんだ冷却水は、フィン14と冷却面13bとに接しながら下流に向かって流れていく。流路17の入口付近では冷却水は略層流で、流路17の入口からしだいに境界層が発達し始める。冷却水が流路17に設けられた突起15にぶつかると、突起15の先端から流れの下流側に向かって渦20が発生する。この渦20は、周期的に発生し非定常な渦であるため流れを大きく乱すものである。この渦20によって突起15の下流側では流れが乱され、境界層が発達しなくなる。また、渦20は冷却面13bに対して垂直な面内にも発生し、突起15は冷却面13bに取り付けられているので、渦20による旋回流が冷却面13bにも及ぶ様に流れる。このため、冷却面13bと冷却水との間の熱伝達率が高くなり効率よく熱交換することができる。また、冷却面13bはフィン14よりも温度が高いため、温度差の大きい部分の熱伝達率が大きくなることによってより効率的に熱交換が行われ、冷却効率が向上するという効果を奏する。半導体素子11は、突起15よりも流路17の下流側の表面13aに設けられていることから、半導体素子11を効果的に冷却することができる。
【0024】
本実施形態では、突起15は三角形断面であるとして説明したが、流路17において、その先端から渦20が発生するような形状であれば他の断面形状でもよい。図5(a)に示すように、流れの上流側、下流側とも略同様な傾斜角を持つ二等辺三角形形状でもよいし、図5(b)に示すように流れの下流側が冷却面13bに対して垂直となっている直角三角形形状でもよいし、図5(c)に示す様に、四角断面形状でもよいし、図5(d)に示すように半円形状でも良いし、図5(e)に示す様に流れの下流側が冷却面13bに対して垂直となった1/4円の扇形断面であってもよい。
【0025】
本実施形態では、突起15は冷却面13bの上に取り付けられたものとして説明したが、突起15は面積がフィン14や冷却面13bの面積よりも小さく、突起15による熱交換量は小さい。したがって、突起15は流路17を流れる冷却水に冷却面13bに及ぶような渦20を発生させることができれば、それ自体が基板13と熱交換しなくとも冷却効率を向上させることができる。したがって、突起15は冷却面13bと接触せず、熱的に冷却面13bと接合されてなくともよく、突起15は冷却面13bと隙間をあけて設けられていてもよいし、冷却面13bとの間に接着剤などの介在物を介して取り付けられていてもよい。ただし、突起15は、渦20による流れの乱れの影響が冷却面13bに及ぶようにフィン14の根本側に取り付けられていることが必要である。また、突起15は熱伝導率の良い材料である必要はなく、例えば樹脂、セラミック、ガラスなど金属よりも熱伝導率が低い材料で構成してもよい。
【0026】
図6から図13を参照して突起15の形成、取り付けについて説明する。
【0027】
図6(a)に示すように、アルミニウム製の基板13に向かって先端がV字形に尖った二股の工具21を押し当てると、図6(b)に示すように、工具21のV字形の先端は基板13に食い込む。すると工具21の食い込みによって基板13のアルミニウムが二股の工具21の間と工具21の周囲に移動し、二股の工具21の間と工具21の周囲の冷却面13bが盛り上がる。この盛り上がりは塑性変形であるため、図6(c)に示すように、工具21を基板13から引き抜くと、基板13の冷却面13bには工具21の押込みによってできたV字形の溝32とアルミニウムの盛り上がりによってできた凸部31,33が形成される。この凸部31,33が突起15となる。
【0028】
図7は図6を参照して説明した突起15の形成方法と同様の方法であるが、図7(a)に示すように、二股の工具22には外周側に押さえ板23が設けられている。また、二股の工具22の先端は内側が傾斜面で、押さえ板23の取り付けられた外側は冷却面13bに垂直にあたるよう構成されている。このため、図7(b)に示すように、二股の工具22を基板13の冷却面13bに押し付けると、二股の工具22の内側だけにアルミニウムが盛り上がる。そして、図7(c)に示すように、工具22を引き抜くと、アルミニウムの盛り上がりによって形成された凸部34と凸部34の両側の溝35が形成される。凸部34は突起15となる。この方法は、アルミニウムが二股の工具22の内側にだけ盛り上がるようにすることができるので、図6を参照して説明した突起15の形成方法に比べて突起15の高さを高く成形することができる。
【0029】
図8(a)に示すように、カッタ24を冷却面13bに対して傾斜させ、図8(b)に示すようにカッタ24の刃先を基板13に食い込ませるとカッタ24の食い込み方向の冷却面13bが盛り上がる。図8(c)に示すように、カッタ24を引き抜くと冷却面13bの表面には凸部36と溝37とが形成される。この凸部36が突起15となる。
【0030】
図9(a)に示すように、カッタ25の刃先を冷却面13bに対して傾斜させ、図9(b)に示すようにカッタ25の刃先を基板13に食い込ませる。そして、カッタ25の根本を冷却面13bに対して垂直となる方向に回転させる。すると、図9(c)に示すようにカッタ25の刃先の冷却面13b側にあるアルミニウム片38は冷却面13bから立ち上がる。図9(d)に示すように、カッタ25を引き抜くと冷却面13bには冷却面13bから立ち上がったアルミニウム片38と溝39とが形成される。このアルミニウム片38が突起15となる。
【0031】
以上、工具等によってアルミニウム製の基板13を塑性変形させて突起15を形成する方法について説明したが、突起15は基板13とは別体の突起部材15aをフィン14の間に取り付けるようにしてもよい。図10に示すように、各フィン14の間の隙間幅よりも広い突起部材15aを準備し、この突起部材15aをフィン14の間に圧入して取り付け、突起15を形成してもよい。この際、基板13を加熱してフィン14の間の幅が開いた状態として突起部材15aを冷却面13bに取り付けることとしてもよい。この場合、常温に戻った際に基板13が収縮することによって突起部材15aをフィン14の間に圧着して保持する。
【0032】
また、図11に示すように、基板13の冷却面13bに穴41を設け、突起部材15aにはこの穴41に嵌まり込む凸部42を設け、凸部42を穴41に嵌め込んで突起15を形成するようにしてもよい。また、突起部材15aを接着剤によって冷却面13bに固定することとしてもよい。
【0033】
図10、図11では、突起部材15aを一つずつ取り付ける方法について説明したが、フィン14と交差する方向に延びる部材を取り付けて、複数の突起15を一度に形成するようにしてもよい。
【0034】
図12に示すように、基板13と一体に成形された各フィン14の根本近傍に貫通孔51をあけ、貫通孔51に棒材52を通すことよって各フィン14の間の根本近傍に円形断面を持つ突起15を成形することができる。棒材52の直径はフィン14の高さの1/4から1/2とする。これによって冷却面13bの近傍に円形断面を持つ複数の突起15を一度に形成することができる。また、図13に示すように、各フィン14の先端から冷却面13bに向かい、流路17と交差する方向に延びるスリット53を設け、このスリット53にフィン14の高さの1/4から1/2の高さの板材54を取り付ける。これによって冷却面13bの上に四角形状の断面を持つ複数の突起15をフィン14の間の根本近傍に一度に形成することができる。
【0035】
以上説明した各突起15は、フィン14の根本側のみに設けられるので、突起15を簡便な方法で形成することができる。このため、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンクは低いコストで容易に製作できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの冷却水流れ方向から見た断面図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの側断面図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクのフィン先端側から見た平面図である。
【図4】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの突起形状を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 半導体素子冷却用ヒートシンク、11 半導体素子、12 絶縁板、13 基板、13a 表面、13b 冷却面、14 フィン、15 突起、15a 突起部材、16 カバー、16a 平板部、16b 立ち上がり部、17 流路、18 冷却水入口、19 冷却水出口、20 渦、21,22 工具、23 押さえ板、24,25 カッタ、31,33,34,36,42 凸部、32,35,37,39 溝、38 アルミニウム片、41 穴、51 貫通孔、52 棒材、53 スリット、54 板材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンとモータジェネレータの2種類の駆動源を組み合わせて車両の駆動源とするハイブリッド車両や、モータジェネレータによって車両を駆動する電気自動車等が多く用いられるようになってきている。このような電動車両には、充放電可能な二次電池と、二次電池の直流電力をモータジェネレータ駆動用の三相交流電力に変換して出力するとともにモータジェネレータによって回生した交流電力を二次電池に充電する電力変換器であるインバータとが搭載されている。インバータは、スイッチング素子のスイッチング動作によって電力の変換を行うものであるが、スイッチング動作の際に大きな熱を発生する。また、電動車両にはインバータの他に、直流電圧を変換する昇圧コンバータやDC/DCコンバータが搭載される場合があるが、これらのコンバータにも動作時に大きな発熱をするスイッチング素子が用いられている。スイッチング素子には、パワートランジスタが用いられることが多く、例えば、絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ(IGBT)等が用いられる。
【0003】
このような高発熱性の半導体素子を用いたインバータなどの電気機器では、半導体素子で発生した熱を除去して半導体素子を適正な動作温度とするために、冷却装置が取り付けられている。例えば、特許文献1には、冷却フィンが設けられた取り付け板に半導体素子を取り付け、冷却フィンの間に冷却空気を流して半導体素子を冷却する方法が提案されている。そして、特許文献1には冷却効率を高めるために冷却フィン側面の先端側に乱流板を取り付ける方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、放熱フィン先端と冷却媒体が流れる筐体の壁面との間の隙間に冷却媒体がリークして冷却効率が低下することを防止するために、冷却フィン先端が対向する筐体の内面のフィン間の位置に突起を設け、冷却媒体のリークを低減して効果的に冷却する方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、金属板を複数回、略同じ削り代で薄肉に削り、その薄肉に削った金属片を金属板から起立させることによって金属板の表面に複数の冷却フィンを形成する方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】実開昭63―9193号公報
【特許文献2】特開2007―110025号公報
【特許文献3】特開2005―150479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冷却フィンの間の隙間が狭い場合には、冷却フィンによって規定される流路を流れる冷却媒体は層流となる場合があり、冷却フィン或いは冷却フィンの取り付け板との間の熱伝達率が低くなり、冷却効率が低くなる場合があった。また、流路に冷却媒体を流すと冷却フィン或いは取り付け板の表面に境界層ができる。この境界層は上流から下流に向かって発達して厚くなっていく。境界層の中では冷却媒体の流速は境界層の外側に比べて低くなっているため、熱伝達率が低く、冷却効率が低くなる場合がある。特に、層流境界層の場合には熱伝達率がより低く、より冷却効率が低くなってしまう。
【0008】
このような層流状態、或いは境界層の発達を抑制するためには特許文献1に記載された従来技術のように乱流板を取り付けて冷却媒体の流れに乱れを起こすことが好ましい。しかし、特許文献1に記載された従来技術の乱流板は、半導体が取り付けられている取り付け板よりも温度が低くなる冷却フィンの先端側に取り付けられているため、冷却の必要な取り付け板近傍に効果的に乱流を発生させることができず、圧力損失の増加の割りに冷却効率が向上しないという問題があった。
【0009】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、冷却効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクは、一方の面に半導体素子が取り付けられる基板と、基板の半導体素子が取り付けられる面と反対側の冷却面に並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路を規定する複数のフィンと、を備える半導体素子冷却用ヒートシンクであって、各フィンの間のフィン根本側のみに設けられ、流路の方向と交差方向に延び、冷却面からフィン先端に向かって突出する突起を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、流路の方向に沿って少なくとも1つの半導体素子が取り付けられ、突起は、流路の方向に沿って各半導体素子の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられていることとしても好適であるし、突起はフィン高さの1/4から1/2の高さであること、としても好適である。
【0012】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、金属製であり、突起は、先端の尖った工具を冷却面に押し付けて凹部を形成する際に、凹部の周囲への金属の移行によって形成される凸部であること、としても好適であるし、突起は、冷却面に対して所定の角度だけ傾斜させてカッタの刃先を基板に食い込ませた後、カッタの根本を冷却面に対して垂直方向に回転させ、カッタの刃先の冷却面側にある金属片を冷却面から立上げた突片であること、としても好適である。
【0013】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、突起は、各フィンの間の隙間幅よりも広い突起部材をフィン先端側から基板の冷却面に向かって圧入して取り付けられたものであること、としても好適であるし、基板とフィンとを加熱した状態で突起部材を取り付けること、としても好適である。
【0014】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、基板は、各フィンの間の冷却面に突起取り付け用の穴を有し、各突起は、各穴に嵌まり込む凸部を備えていること、としても好適であるし、突起は冷却面に接着剤によって固定されていること、としても好適である。
【0015】
本発明の半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、突起は、各フィンを冷却面に沿って流路の方向と交差方向に貫通する穴に差し込まれた棒材であること、としても好適であるし、突起は、冷却面に向かい、流路の方向と交差方向に各フィンに設けられたスリットに差し込まれた板材であること、としても好適であるし、突起は非金属材料であること、としても好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、半導体素子冷却用ヒートシンクにおいて、冷却効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンク10は、表面13aに絶縁板12を介して半導体素子11が取り付けられている基板13と、基板13の半導体素子11が取り付けられている表面13aの反対側の面の冷却面13bに設けられたフィン14と、フィン14の間の根本にある冷却面13b上に設けられた突起15と、を備えている。半導体素子冷却用ヒートシンク10の冷却面13b側には、開放箱型のカバー16が取り付けられている。
【0018】
基板13とフィン14とはアルミニウムの引き出し成形によって一体に形成されたもので、フィン14は長方形の断面形状で基板13の冷却面13bから略垂直に延びている。カバー16は内面が各フィン14の先端と接する平板部16aと平板部16aの周縁からフィン14と略平行に基板13に向かって立ち上がる立ち上がり部16bを有している。各フィン14と基板13の冷却面13bとカバー16の内面は冷却媒体である冷却水が流れる流路17を形成する。突起15は流路17の冷却面13bの上に設けられている。
【0019】
図2に示すように、カバー16の立ち上がり部16bの両端にはそれぞれ冷却水を流路17に導入する冷却水入口18と、流路17から冷却水を排出する冷却水出口19とが設けられている。冷却水は冷却水入口18から流路17に入り、フィン14と基板13の冷却面13bと熱交換してフィン14と基板13の冷却面13bを冷却する。そして、熱交換によって温度の上昇した冷却水は冷却水出口19から外部に排出される。
【0020】
基板13の表面13aには、流路17を流れる冷却水の流れ方向に沿って複数の半導体素子11が取り付けられている。そして、突起15は冷却面13bにあって、各半導体素子11近傍で各半導体素子11の取り付け位置よりも流路17の上流側に一つずつ取り付けられている。突起15は三角形の断面形状で、流路17と交差する方向に延び、先端はフィン14の先端の方向に突出している。突起15の高さHはフィン14の高さDの1/4から1/2となっている。これは、フィン14の高さが高すぎると突起15による圧力損失が大きくなり、突起15の高さが低いと熱伝達率の向上が少ないためである。突起15の高さは、フィン14の高さの1/4から1/3とするとより好ましい。
【0021】
図3は、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンク10をフィン14側から見た図である。図3に示すように、基板13には複数のフィン14が略平行に設けられている。各フィン14は略直線である。冷却水入口18からカバー16の内部に流入した冷却水は、フィン14の上流側に設けられたヘッダ部分によって各フィン14の間の各流路17に分配され、各流路17には略均等な流量の冷却水が流れる。各流路17を出た冷却水はカバー16のフィン14の下流側に設けられたヘッダ部分に集合し、冷却水出口19から外部に排出される。図3に示すように、基板13の表面には、流路17の方向に沿って4列に半導体素子11が取り付けられ、各列には流路17との交差方向に間隔をあけて4つの半導体素子11が取り付けられている。
【0022】
以上のように構成された半導体素子冷却用ヒートシンク10の流路17に冷却水を流した際の流れと熱交換について説明する。
【0023】
図4に示すように、流路17に流れこんだ冷却水は、フィン14と冷却面13bとに接しながら下流に向かって流れていく。流路17の入口付近では冷却水は略層流で、流路17の入口からしだいに境界層が発達し始める。冷却水が流路17に設けられた突起15にぶつかると、突起15の先端から流れの下流側に向かって渦20が発生する。この渦20は、周期的に発生し非定常な渦であるため流れを大きく乱すものである。この渦20によって突起15の下流側では流れが乱され、境界層が発達しなくなる。また、渦20は冷却面13bに対して垂直な面内にも発生し、突起15は冷却面13bに取り付けられているので、渦20による旋回流が冷却面13bにも及ぶ様に流れる。このため、冷却面13bと冷却水との間の熱伝達率が高くなり効率よく熱交換することができる。また、冷却面13bはフィン14よりも温度が高いため、温度差の大きい部分の熱伝達率が大きくなることによってより効率的に熱交換が行われ、冷却効率が向上するという効果を奏する。半導体素子11は、突起15よりも流路17の下流側の表面13aに設けられていることから、半導体素子11を効果的に冷却することができる。
【0024】
本実施形態では、突起15は三角形断面であるとして説明したが、流路17において、その先端から渦20が発生するような形状であれば他の断面形状でもよい。図5(a)に示すように、流れの上流側、下流側とも略同様な傾斜角を持つ二等辺三角形形状でもよいし、図5(b)に示すように流れの下流側が冷却面13bに対して垂直となっている直角三角形形状でもよいし、図5(c)に示す様に、四角断面形状でもよいし、図5(d)に示すように半円形状でも良いし、図5(e)に示す様に流れの下流側が冷却面13bに対して垂直となった1/4円の扇形断面であってもよい。
【0025】
本実施形態では、突起15は冷却面13bの上に取り付けられたものとして説明したが、突起15は面積がフィン14や冷却面13bの面積よりも小さく、突起15による熱交換量は小さい。したがって、突起15は流路17を流れる冷却水に冷却面13bに及ぶような渦20を発生させることができれば、それ自体が基板13と熱交換しなくとも冷却効率を向上させることができる。したがって、突起15は冷却面13bと接触せず、熱的に冷却面13bと接合されてなくともよく、突起15は冷却面13bと隙間をあけて設けられていてもよいし、冷却面13bとの間に接着剤などの介在物を介して取り付けられていてもよい。ただし、突起15は、渦20による流れの乱れの影響が冷却面13bに及ぶようにフィン14の根本側に取り付けられていることが必要である。また、突起15は熱伝導率の良い材料である必要はなく、例えば樹脂、セラミック、ガラスなど金属よりも熱伝導率が低い材料で構成してもよい。
【0026】
図6から図13を参照して突起15の形成、取り付けについて説明する。
【0027】
図6(a)に示すように、アルミニウム製の基板13に向かって先端がV字形に尖った二股の工具21を押し当てると、図6(b)に示すように、工具21のV字形の先端は基板13に食い込む。すると工具21の食い込みによって基板13のアルミニウムが二股の工具21の間と工具21の周囲に移動し、二股の工具21の間と工具21の周囲の冷却面13bが盛り上がる。この盛り上がりは塑性変形であるため、図6(c)に示すように、工具21を基板13から引き抜くと、基板13の冷却面13bには工具21の押込みによってできたV字形の溝32とアルミニウムの盛り上がりによってできた凸部31,33が形成される。この凸部31,33が突起15となる。
【0028】
図7は図6を参照して説明した突起15の形成方法と同様の方法であるが、図7(a)に示すように、二股の工具22には外周側に押さえ板23が設けられている。また、二股の工具22の先端は内側が傾斜面で、押さえ板23の取り付けられた外側は冷却面13bに垂直にあたるよう構成されている。このため、図7(b)に示すように、二股の工具22を基板13の冷却面13bに押し付けると、二股の工具22の内側だけにアルミニウムが盛り上がる。そして、図7(c)に示すように、工具22を引き抜くと、アルミニウムの盛り上がりによって形成された凸部34と凸部34の両側の溝35が形成される。凸部34は突起15となる。この方法は、アルミニウムが二股の工具22の内側にだけ盛り上がるようにすることができるので、図6を参照して説明した突起15の形成方法に比べて突起15の高さを高く成形することができる。
【0029】
図8(a)に示すように、カッタ24を冷却面13bに対して傾斜させ、図8(b)に示すようにカッタ24の刃先を基板13に食い込ませるとカッタ24の食い込み方向の冷却面13bが盛り上がる。図8(c)に示すように、カッタ24を引き抜くと冷却面13bの表面には凸部36と溝37とが形成される。この凸部36が突起15となる。
【0030】
図9(a)に示すように、カッタ25の刃先を冷却面13bに対して傾斜させ、図9(b)に示すようにカッタ25の刃先を基板13に食い込ませる。そして、カッタ25の根本を冷却面13bに対して垂直となる方向に回転させる。すると、図9(c)に示すようにカッタ25の刃先の冷却面13b側にあるアルミニウム片38は冷却面13bから立ち上がる。図9(d)に示すように、カッタ25を引き抜くと冷却面13bには冷却面13bから立ち上がったアルミニウム片38と溝39とが形成される。このアルミニウム片38が突起15となる。
【0031】
以上、工具等によってアルミニウム製の基板13を塑性変形させて突起15を形成する方法について説明したが、突起15は基板13とは別体の突起部材15aをフィン14の間に取り付けるようにしてもよい。図10に示すように、各フィン14の間の隙間幅よりも広い突起部材15aを準備し、この突起部材15aをフィン14の間に圧入して取り付け、突起15を形成してもよい。この際、基板13を加熱してフィン14の間の幅が開いた状態として突起部材15aを冷却面13bに取り付けることとしてもよい。この場合、常温に戻った際に基板13が収縮することによって突起部材15aをフィン14の間に圧着して保持する。
【0032】
また、図11に示すように、基板13の冷却面13bに穴41を設け、突起部材15aにはこの穴41に嵌まり込む凸部42を設け、凸部42を穴41に嵌め込んで突起15を形成するようにしてもよい。また、突起部材15aを接着剤によって冷却面13bに固定することとしてもよい。
【0033】
図10、図11では、突起部材15aを一つずつ取り付ける方法について説明したが、フィン14と交差する方向に延びる部材を取り付けて、複数の突起15を一度に形成するようにしてもよい。
【0034】
図12に示すように、基板13と一体に成形された各フィン14の根本近傍に貫通孔51をあけ、貫通孔51に棒材52を通すことよって各フィン14の間の根本近傍に円形断面を持つ突起15を成形することができる。棒材52の直径はフィン14の高さの1/4から1/2とする。これによって冷却面13bの近傍に円形断面を持つ複数の突起15を一度に形成することができる。また、図13に示すように、各フィン14の先端から冷却面13bに向かい、流路17と交差する方向に延びるスリット53を設け、このスリット53にフィン14の高さの1/4から1/2の高さの板材54を取り付ける。これによって冷却面13bの上に四角形状の断面を持つ複数の突起15をフィン14の間の根本近傍に一度に形成することができる。
【0035】
以上説明した各突起15は、フィン14の根本側のみに設けられるので、突起15を簡便な方法で形成することができる。このため、本実施形態の半導体素子冷却用ヒートシンクは低いコストで容易に製作できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの冷却水流れ方向から見た断面図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの側断面図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクのフィン先端側から見た平面図である。
【図4】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの突起形状を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクを形成する工程を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態における半導体素子冷却用ヒートシンクの斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 半導体素子冷却用ヒートシンク、11 半導体素子、12 絶縁板、13 基板、13a 表面、13b 冷却面、14 フィン、15 突起、15a 突起部材、16 カバー、16a 平板部、16b 立ち上がり部、17 流路、18 冷却水入口、19 冷却水出口、20 渦、21,22 工具、23 押さえ板、24,25 カッタ、31,33,34,36,42 凸部、32,35,37,39 溝、38 アルミニウム片、41 穴、51 貫通孔、52 棒材、53 スリット、54 板材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に半導体素子が取り付けられる基板と、
基板の半導体素子が取り付けられる面と反対側の冷却面に並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路を規定する複数のフィンと、を備える半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
各フィンの間のフィン根本側のみに設けられ、流路の方向と交差方向に延び、冷却面からフィン先端に向かって突出する突起を備えることを特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、流路の方向に沿って少なくとも1つの半導体素子が取り付けられ、
突起は、流路の方向に沿って各半導体素子の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられていること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起はフィン高さの1/4から1/2の高さであること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、金属製であり、
突起は、先端の尖った工具を冷却面に押し付けて凹部を形成する際に、凹部の周囲への金属の移行によって形成される凸部であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、金属製であり、
突起は、冷却面に対して所定の角度だけ傾斜させてカッタの刃先を基板に食い込ませた後、カッタの根本を冷却面に対して垂直方向に回転させ、カッタの刃先の冷却面側にある金属片を冷却面から立上げた突片であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、各フィンの間の隙間幅よりも広い突起部材をフィン先端側から基板の冷却面に向かって圧入して取り付けられたものであること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板とフィンとを加熱した状態で突起部材を取り付けること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、各フィンの間の冷却面に突起取り付け用の穴を有し、
各突起は、各穴に嵌まり込む凸部を備えていること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は冷却面に接着剤によって固定されていること、
を特徴とする半導体素子用ヒートシンク。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、各フィンを冷却面に沿って流路の方向と交差方向に貫通する穴に差し込まれた棒材であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、冷却面に向かい、流路の方向と交差方向に各フィンに設けられたスリットに差し込まれた板材であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は非金属材料であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項1】
一方の面に半導体素子が取り付けられる基板と、
基板の半導体素子が取り付けられる面と反対側の冷却面に並べて設けられ、半導体素子冷却用の冷却媒体が流れる流路を規定する複数のフィンと、を備える半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
各フィンの間のフィン根本側のみに設けられ、流路の方向と交差方向に延び、冷却面からフィン先端に向かって突出する突起を備えることを特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、流路の方向に沿って少なくとも1つの半導体素子が取り付けられ、
突起は、流路の方向に沿って各半導体素子の取り付け位置よりも上流側の位置に設けられていること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起はフィン高さの1/4から1/2の高さであること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、金属製であり、
突起は、先端の尖った工具を冷却面に押し付けて凹部を形成する際に、凹部の周囲への金属の移行によって形成される凸部であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、金属製であり、
突起は、冷却面に対して所定の角度だけ傾斜させてカッタの刃先を基板に食い込ませた後、カッタの根本を冷却面に対して垂直方向に回転させ、カッタの刃先の冷却面側にある金属片を冷却面から立上げた突片であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、各フィンの間の隙間幅よりも広い突起部材をフィン先端側から基板の冷却面に向かって圧入して取り付けられたものであること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板とフィンとを加熱した状態で突起部材を取り付けること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
基板は、各フィンの間の冷却面に突起取り付け用の穴を有し、
各突起は、各穴に嵌まり込む凸部を備えていること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は冷却面に接着剤によって固定されていること、
を特徴とする半導体素子用ヒートシンク。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、各フィンを冷却面に沿って流路の方向と交差方向に貫通する穴に差し込まれた棒材であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は、冷却面に向かい、流路の方向と交差方向に各フィンに設けられたスリットに差し込まれた板材であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか1項に記載の半導体素子冷却用ヒートシンクであって、
突起は非金属材料であること、
を特徴とする半導体素子冷却用ヒートシンク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−21311(P2010−21311A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179786(P2008−179786)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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