説明

半導体装置の製造方法

【課題】 エアギャップ形状を容易に制御することが可能な半導体装置の製造方法を提供する
【解決手段】 本発明では、半導体基板1上に所定の間隔でライン2とスペース3が交互に配置されたライン・アンド・スペース構造体を形成する工程と、前記ラインの上面及び前記スペースの上面を連続して覆う第1の絶縁膜5を形成する工程と、前記スペース上方の前記第1の絶縁膜の一部をエッチングし、開口部6を形成する工程と、前記第1の絶縁膜及び前記開口部を連続して覆う第2の絶縁膜7を形成し、前記スペースと前記開口部による中空部を形成する工程とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、配線間における容量低減の重要性が増大する。例えばフラッシュメモリでは、セルサイズが30nm以下になると配線間の容量低減が電気特性向上及び高速化・低消費電力化のために重要である。
【0003】
これらの容量低減の方法として、例えば、配線間のスペースに中空部を設ける所謂エアギャップ法が検討されている。エアギャップ法では、中空部が誘電率1の空気で満たされているため容量を低減することが可能である上、絶縁性にも優れている。しかし、現在行われているエアギャップ形成方法では、そのプロセスが複雑であり、エアギャップ形状の制御が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、エアギャップ形状を容易に制御することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に所定の間隔でラインとスペースが交互に配置されたライン・アンド・スペース構造体を形成する工程と、前記ラインの上面及び前記スペースの上面を連続して覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、前記スペース上方の前記第1の絶縁膜の一部をエッチングし、開口部を形成する工程と、前記第1の絶縁膜及び前記開口部を連続して覆う第2の絶縁膜を形成し、前記スペースと前記開口部による中空部を形成する工程と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エアギャップ形状を容易に制御することが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1から図4は第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように周知の方法で半導体基板1上に、所定の間隔でライン2とスペース3が交互に形成されたライン・アンド・スペース構造体4を形成する。ここでラインは金属を含み、本実施形態においては金属配線をなす。
【0012】
次に、図2に示すようにライン2の上面及びスペース3の上面を連続して覆うように第1の絶縁膜5を形成する。第1の絶縁膜5はCVD法、スパッタ法及び塗布法のいずれかで形成できる。このとき第1の絶縁膜5に埋め込み性の悪い材料を選択することで、第1の絶縁膜5でスペース3が完全には埋め込まれずに、空洞が形成されている。絶縁膜5は、ライン2の上面及び上部側面と接している。第1の絶縁膜5の底面は、スペース3の底面より高い。第1の絶縁膜5は、例えばシリコン酸化膜である。ここで、スペース3が絶縁膜5で完全に埋め込まれていないことが重要であり、絶縁膜5がライン2の側面の一部や基板1の一部と接していても良い。
【0013】
次に図3に示すように、レジストをマスクにして、スペース3上方の第1の絶縁膜5の一部をRIEでエッチングし、除去する。この結果、スペース3の上方には、第1の絶縁膜5が存在しない開口部6が形成される。また開口部6の幅W6はスペース3の幅W3よりも小さい。なお、このRIEの前に、必要に応じて、CMP法により第1の絶縁膜5の平坦化を行っても良い。
【0014】
次に図4に示すように、第1の絶縁膜5及び開口部6を連続して覆うようにCVD法、スパッタ法及び塗布法などにより第2の絶縁膜7を形成する。第2の絶縁膜7は開口部6の上部まで埋め込まれ、スペース3と開口部6によって形成される中空部が出来る。第2の絶縁膜7の底面は第1の絶縁膜の底面より高く、第2の絶縁膜7がライン2の側面に接することがなく、十分な大きさの中空部を形成することができる。これは、第2の絶縁膜7の材料の埋め込み性に合わせて、第1の絶縁膜5の開口部6の幅W6が十分狭くなっているためである。第2の絶縁膜7は、例えばシリコン酸化膜である。
【0015】
このようにして、本実施形態によれば、第2の絶縁膜7の材料や成膜方法に関わらず、制御性良くエアギャップを形成することが可能である。そのため、第2の絶縁膜に絶縁性の良い膜を設けることが要求される場合であっても、埋め込み性を考慮することなく、絶縁性の観点から材料を選択することが出来る。
【0016】
(第2実施形態)
図5から図7は第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0017】
第1実施形態では、第1の絶縁膜5の下面が略平面になっているが、第2実施形態では、第1の絶縁膜5の下面が曲面である点が異なっている。
【0018】
図1のようなライン・アンド・スペース構造体4を形成した後、図5に示すように、下面が曲面であり、スペース3内で膜厚の異なる第1の絶縁膜5を形成する。スペース3内部に形成される第1の絶縁膜5の膜厚は、ライン2に近い側で厚く、ライン2から遠ざかるにつれて薄くなっている。CVD法、スパッタ法及び塗布法のいずれかの方法で形成することで、このような形状になる。
【0019】
次に、第1の絶縁膜5を上面からエッチングし、図6のようにライン2上及びスペース3内の第1の絶縁膜5をエッチングする。エッチングは、RIE法またはCMP法で行う。これらの一方の方法でエッチングしても良いし、CMP法とRIE法を組み合わせても良い。例えば、図5(b)のように、スペース3の天井の高さがライン2の高さよりも高く、絶縁膜5がライン2の側壁に接触している場合には、CMP法で絶縁膜5をエッチングすることで、図6のような開口部6を有する形状が得られる。
【0020】
このとき、ライン2上の第1の絶縁膜5は完全に除去されるため、ライン2の上面は露出する。スペース3内はライン2に接するように第1の絶縁膜5が残り、スペース3中央部における第1の絶縁膜5は除去する。つまり、スペース3内において第1の絶縁膜5中に開口部6が形成される。開口部6の最上部の幅W6は、スペース3の幅W3よりも小さい。
【0021】
次に、図7のように、ライン2、第1の絶縁膜5及び開口部6を連続して覆うように、第2の絶縁膜7を形成し、エアギャップを形成する。
【0022】
このように本実施形態では、開口部形成時のレジスト成膜を省略することが可能となり、工程数を減らすことが出来る。また、開口部6形成時に第1の絶縁膜5をライン2の上面が露出するまでエッチングするため、第1実施形態と比較して全体の高さを低くすることが出来る。
【0023】
なお、ラインは金属配線を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、フラッシュメモリのゲート構造(下からゲート絶縁膜、電荷蓄積層、インターポリ絶縁膜及び電極を含む積層構造)であっても良い。
【0024】
本発明は上記実施形態1及び実施形態2に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1・・・ 半導体基板
2・・・ ライン
3・・・ スペース
4・・・ ライン・アンド・スペース構造体
5・・・ 第1の絶縁膜
6・・・ 開口部
7・・・ 第2の絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に所定の間隔でラインとスペースが交互に配置されたライン・アンド・スペース構造体を形成する工程と、
前記ラインの上面及び前記スペースの上面を連続して覆う第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記スペース上方の前記第1の絶縁膜の一部をエッチングし、開口部を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜及び前記開口部を連続して覆う第2の絶縁膜を形成し、前記スペースと前記開口部による中空部を形成する工程と、
を有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の絶縁膜の底面は前記第1の絶縁膜の底面より上に位置することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記開口部の幅は、前記スペースの幅よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜は、前記ラインから遠ざかるにつれて膜厚が薄くなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ラインは金属配線であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77658(P2013−77658A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215733(P2011−215733)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】