説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】Si基板を利用し、かつ多層膜構造のバッファ層を具えるHEMTにおいて、バッファ層内の2DEG層を不活性化する。
【解決手段】最上層がSi層である基板11と、Si層上に、第1層15と第2層17とが交互に複数層積層されて構成されているバッファ層13と、バッファ層上に形成されている、電子走行層としての第3層19と、第3層上に形成されている、電子供給層としての第4層21とを具える。そして、第1層は、第3層と同一の材料で形成され、かつ第1層及び第2層の積層構造において、第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物が導入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置、特にシリコン基板を利用したHEMTのバッファ層の構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2次元電子ガス(以下、2DEGとも称する)層を電流通路として使用した電界効果トランジスタとして、HEMT(High Electron Mobility Transistor)が周知である。HEMTは、基板上に、例えば不純物が導入されていないGaNを材料とした電子走行層、及びAlGaNを材料とした電子供給層が順次形成されることによって構成されている。電子走行層及び電子供給層のヘテロ接合面には、ピエゾ分極と自発分極とのいずれか一方、または両方に基づいて、電子走行層に上述した2DEG層が形成される。そして、この2DEG層を利用することにより、HEMTは、高温動作、高速スイッチング動作、大電力動作等の点において、優れた電子素子を実現する材料として期待を集めている。
【0003】
ここで、シリコン基板(以下Si基板とも称する)上にHEMTを形成する場合には、Si基板と、例えばGaN及びAlGaNで構成された電子走行層及び電子供給層との熱膨張係数の差に起因して、装置の駆動時において、電子走行層及び電子供給層に引っ張り応力が発生する。そのため、Si基板を利用したHEMTでは、この応力によって例えばクラックや基板の反り等の問題が生じる恐れが大きい。
【0004】
そこで、この応力を緩和するために、Si基板と電子走行層との間に多層膜構造のバッファ層を形成する技術が周知である(例えば、非特許文献1)。以下、非特許文献1による半導体装置を例に挙げて、従来技術による半導体装置について簡単に説明する。
【0005】
図4は、非特許文献1に開示された従来技術による半導体装置を説明するための概略図であり、従来技術による半導体装置を基板の厚み方向に沿って切り取った切り口を示す端面図である。
【0006】
非特許文献1による半導体装置では、単結晶シリコン基板101上に、バッファ層103を介して、電子走行層105としてGaNを、及び電子供給層107としてAlGaNを順次積層することによって、AlGaN/GaN−HEMTを構成している。なお、この非特許文献1による半導体装置では、電子走行層105及び電子供給層107間にAlN薄層109を挿入することによって、電子走行層105に形成される2DEG層111の電子移動度の向上を図っている。
【0007】
そして、バッファ層103は、上述した応力を緩和するために、多層膜構造を採用している。より具体的には、バッファ層103は、電子走行層105及び電子供給層107を構成するGaN及びAlGaNとの格子整合性を考慮して、これらGaN及びAlGaNと格子定数が近似または同一であるAlN及びGaNを材料として構成されている。すなわち、バッファ層103は、AlN層113とGaN層115とが交互に複数層積層された多層膜構造によって構成されている。
【0008】
このような多層膜構造のバッファ層103を設けることによって、非特許文献1による半導体装置では上述した応力を緩和することができるため、装置の駆動時において、例えばクラックや基板の反りを防止することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】信学技報 IEICE Technical Report ED2007−168, CPM2007−94,LQE2007−69(2007−10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した非特許文献1による半導体装置では、バッファ層103を構成するAlN層113及びGaN層115の積層構造において、GaN層115に残留キャリアが発生し、その結果、GaN層115にも上述した2DEG層が形成される。そのため、非特許文献1による半導体装置では、Si基板101及びバッファ層103の積層構造における抵抗が低減するため、高周波特性が劣化するという問題がある。
【0011】
ここで、図5は、図4に示した非特許文献1による半導体装置に対してCV(Capacitance-Voltage(容量−電圧))測定によるキャリアプロファイリングを行って得た、厚み方向に沿ったキャリア濃度分布を示す図である。
【0012】
このプロファイリングでは、図5に示す構成例において、バッファ層103の層厚を、厚み4nmのAlN層113及び厚み16nmのGaN層115を交互に20層積層させることによって400nmとし、このバッファ層103上に電子走行層105を1000nm、AlN薄層109を1nm、及び電子供給層107を25nmの層厚で順次形成した構造体を試料として用いた。さらに、このプロファイリングに用いた試料では、電子供給層107上に、GaNキャップ層を5nmの層厚で形成した。
【0013】
なお、図5における縦軸はキャリア濃度をcm−3単位で、また、横軸は試料表面すなわち上述したGaNキャップ層表面から試料の深さ方向への距離をnm単位で、それぞれ目盛ってある。
【0014】
図5に示す結果から、非特許文献1による半導体装置では、深さ90nm、300nm、及び1400nmの位置にそれぞれキャリアが発生していることがわかる。これら発生したキャリアについて、深さ90nm及び300nmに分布している各キャリア117及び119は、電子走行層105に形成された2DEG層111によるキャリアである。そして、1400nmに2.4×1015cm−3の濃度で分布しているキャリア121は、上述したバッファ層103内のGaN層115に発生した2DEG層によるキャリアである。
【0015】
既に説明したように、このバッファ層103におけるキャリア121の発生は、高周波特性の劣化に繋がる。そのため、従来から、このバッファ層103におけるキャリア121の発生を抑制する技術が望まれていた。そして、高周波特性の劣化を防止するためには、バッファ層103に発生するキャリアを1×1015cm−3以下とするのが好ましい。
【0016】
そこで、この発明の目的は、Si基板を利用し、かつ多層膜構造のバッファ層を具える
HEMTにおいて、バッファ層におけるキャリアの発生が抑制され、バッファ層内の2DEG層が不活性化された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的の達成を図るため、この発明による半導体装置は以下の特徴を有している。
【0018】
すなわち、この発明による半導体装置は、最上層がSi層である基板と、Si層上に第1層と第2層とが交互に複数層積層されて構成されているバッファ層と、バッファ層上に形成されている、電子走行層としての第3層と、第3層上に形成されている、電子供給層としての第4層とを具えている。
【0019】
そして、第1層は、第3層と同一の材料で形成され、かつ第1層及び第2層の積層構造において、第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物が導入されている。
【0020】
また、この発明による半導体装置の製造方法は、以下の第1工程及び第2工程の各工程を含んでいる。
【0021】
すなわち、まず、第1工程では、最上層がSi層である基板のSi層上に、第1層と第2層とを交互に複数層積層することによってバッファ層を形成する。
【0022】
次に、第2工程では、バッファ層上に電子走行層しての第3層及び電子供給層しての第4層を順次形成する。
【0023】
また、第1工程では、第1層を、第3層と同一の材料で、かつ第1層及び第2層の積層構造において、第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物を導入して形成する。
【発明の効果】
【0024】
この発明による半導体装置では、上述したように、バッファ層は、第1層と第2層とが交互に複数層積層されて構成されている。そして、第1層にはp型不純物が導入されている。そのため、第1層及び第2層の積層構造において、第1層において発生するキャリアを低濃度化することができる。その結果、この発明による半導体装置では、この第1層側に2次元電子ガス層が形成されるのを抑制する、すなわち2次元電子ガス層を不活性化することができる。
【0025】
また、この発明による半導体装置の製造方法では、上述したように、第1工程において、バッファ層を構成する第1層を、p型不純物を導入して形成する。これによって、この発明による半導体装置の製造方法では、この第1層に形成される2次元電子ガス層が不活性化された半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施の形態を説明する概略図であり、第1の実施の形態による半導体装置をゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【図2】(A)及び(B)は、p型不純物導入の効果を確認するための実験を説明するための図であり、この実験に試料として用いた構造体を厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【図3】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【図4】非特許文献1に開示された従来技術による半導体装置を説明するための概略図であり、従来技術による半導体装置を基板の厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【図5】非特許文献1による半導体装置に対してCV測定によるキャリアプロファイリングを行って得た、厚み方向に沿ったキャリア濃度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る半導体装置について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0028】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、最上層がSi層である基板を利用し、かつ多層膜構造のバッファ層を具えた半導体装置であって、バッファ層を構成する第1層及び第2層の積層構造において、第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物が導入されている半導体装置、及びその製造方法について説明する。
【0029】
図1は、この発明の第1の実施の形態を説明する概略図であり、第1の実施の形態による半導体装置をゲート長方向に沿って厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【0030】
第1の実施の形態による半導体装置10は、基板11を具えている。
【0031】
基板11は、例えば周知の単結晶Si基板、SOI基板、またはSOS基板等の最上層がSi層である半導体基板で構成されている。なお、図1では、基板11として、単結晶Si基板を用いた場合の構成例を示している。
【0032】
また、この第1の実施の形態では、半導体装置の高周波特性を向上させるために、基板11が高い抵抗値を有しているのが望ましい。より具体的には、基板11として、抵抗値が少なくとも1000Ω以上である、いわゆる半絶縁性の基板を用いるのが好ましい。
【0033】
また、第1の実施の形態による半導体装置10は、基板11のSi層上にバッファ層13を具えている。なお、図1に示す構成例では、基板11として、Si層で構成された単結晶Si基板を用いているため、基板11の基板面11a上にバッファ層13が形成されている。
【0034】
バッファ層13は、装置の駆動時において発生する、上述した応力を緩和するために、いわゆる多層膜構造で構成されている。
【0035】
すなわち、バッファ層13は、第1層15と第2層17とが交互に複数層積層されて構成されている。なお、図1では、一例として、3層の第1層15及び4層の第2層17の積層構造によってバッファ層13が構成されている構成例を示している。
【0036】
また、第1層15及び第2層17を構成する各材料は、後述する電子走行層としての第3層19及び電子供給層としての第4層21を構成する各材料に応じて決定される。すなわち、バッファ層13の材料である各結晶と、このバッファ層13上に形成されている第3層19及び第4層21の材料である各結晶とが、良好な格子整合性を以って積層構造を構成するために、また、製造プロセスの容易性を図るために、第1層15及び第2層17は、第3層19及び第4層21と格子定数が近似または同一な材料によって構成されている必要がある。そこで、第1の実施の形態では、第1層15は、第3層19と同一の材料で、また、第2層17は、これら第1層19及び第3層19と格子定数が近似な材料でそれぞれ形成されている。
【0037】
より具体的には、電子走行層すなわち第3層19がGaNを、また電子供給層すなわち第4層21がAlGaNをそれぞれ材料として形成されている場合には、バッファ層13は、第1層15はGaNを、及び第2層17はAlNまたはAlGaNのいずれかを、それぞれ材料として形成されているのが好ましい。
【0038】
また、電子走行層すなわち第3層19がGaAsを、また電子供給層すなわち第4層21がAlGaAsをそれぞれ材料として形成されている場合には、バッファ層13は、第1層15はGaAsを、及び第2層17はAlAsまたはAlGaAsのいずれかを、それぞれ材料として形成されているのが好ましい。
【0039】
ここで、上述したような各材料の組み合わせによって第1層15及び第2層17が形成されている場合には、第2層17を構成する材料のバンドギャップよりも第1層15を構成する材料のバンドギャップが狭くなる。そして、第1層15及び第2層17は、これらがヘテロ接合された熱平衡状態において、両者の電子親和力の差に等しいエネルギー不連続面に隣接する、第1層15側の伝導帯のエネルギーがフェルミ準位より低くなっている領域に2DEG層が形成される条件を満たすエネルギーバンド構造をそれぞれが有している。すなわち、第1層15内の第2層17との界面付近にキャリアが発生し、2DEG層が形成される恐れがある。
【0040】
既に説明したように、第1層15内、すなわちバッファ層13内における2DEG層の発生は、高周波特性の劣化に繋がる。
【0041】
そこで、この第1の実施の形態では、このような第1層15及び第2層17の積層構造において、第1層15側に形成される2DEG層の発生を抑制する、すなわち不活性化するために、第1層15は、p型不純物が導入されている。
【0042】
このように、p型不純物が導入されていることにより、第1層15は、第2層17との積層構造において生じるキャリアの濃度が低減される。その結果、第1層15内における2DEG層の発生を抑制することができる。
【0043】
なお、この第1の実施の形態では、キャリア濃度を低減するために、p型不純物として好ましくは例えばZnを用いるのがよい。そして、第1層15内において2DEG層を不活性化するためには、好ましくはキャリア濃度を1×1015cm−3以下とするのが望ましい。そのために、この第1の実施の形態では、第1層15にZnが例えば少なくとも1×1018cm−3以上、より好適には5×1018cm−3程度の濃度で導入されているのが好ましい。
【0044】
また、上述した応力緩和を達成するためには、バッファ層13は、厚み16nmの第1層15及び厚み4nmの第2層17がそれぞれ20〜40層程度積層されて形成されているのが好ましい。
【0045】
また、バッファ層13を構成する第1層15及び第2層17の積層構造は、最下層13a及び最上層13bがともに第2層17であるのが好ましい。このように、第2層17をバッファ層13の最下層13a及び最上層13bにそれぞれ配設することによって、第1層15に導入されているp型不純物が他層へ拡散するのを防止することができる。
【0046】
ここで、第1の実施の形態では、バッファ層13を構成する各結晶を、基板11上に良好に格子整合させて形成するために、基板11及びバッファ層13間に、バッファ層13とは別のバッファ層を設ける構成としてもよい(図示せず)。その場合には、この基板11及びバッファ層13間に設けるバッファ層を、第1層15及び第2層17と格子定数が近似または同一な材料によって形成するのが好ましい。より具体的には、例えば第1層15がGaNを材料として、また第2層17がAlNを材料として形成される場合には、基板11及びバッファ層13間に、例えばAlN層及びAlGaN層を順次積層して形成したバッファ層を設けるのが好ましい。
【0047】
また、第1の実施の形態による半導体装置10は、バッファ層13上に電子走行層として第3層19が、また、第3層19上に電子供給層として第4層21が形成されている。
【0048】
既に説明したように、第3層19及び第4層21と、上述した第1層15及び第2層17とは、それぞれ格子定数が互いに近似または同一な材料によって構成されている。
【0049】
従って、第1層15がGaNを材料として、及び第2層17がAlNまたはAlGaNのいずれかを材料として、それぞれ形成されている場合には、電子走行層すなわち第3層19がGaN、より詳細にはUID(Un−Intentionally−Doped:不純物無添加)−GaNを材料として、及び電子供給層すなわち第4層21がAlGaN、より詳細にはUID−AlGaNを材料として構成されているのが好ましい。
【0050】
また、第1層15がGaAsを材料として、及び第2層17がAlAsまたはAlGaAsのいずれかを材料として、それぞれ形成されている場合には、電子走行層すなわち第3層19がGaAs、より詳細にはUID−GaAsを材料として、及び電子供給層すなわち第4層21がAlGaAs、より詳細にはUID−AlGaAsを材料として構成されているのが好ましい。
【0051】
このような材料の組み合わせで第3層19及び第4層21が積層されることによって、第3層19と第4層21との界面19aにヘテロ接合面が形成されている。そして、これら第3層19と第4層21のエネルギーバンドギャップの違いから、第3層19内の第4層21との界面付近には、2DEG層23が形成されている。
【0052】
なお、この第1の実施の形態による半導体装置10では、2DEG層23におけるキャリア濃度を増大させ、電子移動度の向上を図るために、例えば、第3層19及び第4層21をGaN/AlGaNの積層構造とした場合には、これら第3層19及び第4層21間にAlN薄層を、また、第3層19及び第4層21をGaAs/AlGaAsの積層構造とした場合には、これら第3層19及び第4層21間にAlAs薄層を設けてもよい(図示せず)。
【0053】
また、第1の実施の形態による半導体装置10では、電子供給層すなわち第4層21の表面21aが汚染されるのを防止する目的で、第4層21上に例えばキャップ層を設けてもよい(図示せず)。キャップ層は、例えば、第3層19及び第4層21をGaN/AlGaNの積層構造とした場合にはGaNを、また、第3層19及び第4層21をGaAs/AlGaAsの積層構造とした場合にはGaAsを、それぞれ材料として形成するのが好ましい。
【0054】
また、第1の実施の形態による半導体装置10は、基板11上の素子領域25を区画する素子分離領域27を具えている。
【0055】
素子分離領域27は、基板11上の各素子領域25を電気的に分離するために、例えばArイオン等が、第4層21の表面21aから2DEG層23の下側までイオン注入されることによって形成されている。
【0056】
そして、素子領域25には、ゲート電極29と第1及び第2主電極31a及び31bが設けられている。
【0057】
ゲート電極29は、例えばNi及びAuを材料として、第4層21上に形成されている。
【0058】
また、第1及び第2主電極31a及び31bは、例えばTi及びAlを材料として、第4層21上に形成されている。そして、第1及び第2主電極31a及び31bは、互いに離間し、かつゲート電極29を挟み込んで対向して配設されている。これら第1及び第2主電極31a及び31bは、電子供給層すなわち第4層21とオーミック接触を取ることによって、オーミック電極として一方がソース電極、また他方がドレイン電極として機能する。
【0059】
このような各構成を具えることによって、第1の実施の形態による半導体装置10では、2DEG層23が、第1及び第2主電極31a及び31b間を流れる電流の電流通路として機能するHEMTが構成されている。
【0060】
そして、第1の実施の形態による半導体装置10では、上述したように、バッファ層13を構成する第1層15及び第2層17のうち、第1層15にp型不純物が導入されている。そのため、第1層15及び第2層17の積層構造において、第1層15において発生するキャリアを低濃度化することができる。その結果、この第1の実施の形態による半導体装置10では、この第1層15側に2DEG層が形成されるのを抑制する、すなわち2DEG層を不活性化することができる。
【0061】
ここで、この発明に係る発明者は、p型不純物を導入することによって、2DEG層を不活性化できることを確認するために実験を行った。
【0062】
図2(A)及び(B)は、p型不純物導入の効果を確認するための実験を説明するための図である。これらの各図は、この実験に試料として用いた構造体を厚み方向に切り取った切り口を示す端面図である。
【0063】
この実験では、まず、試料として図2(A)及び(B)に示すような2つの構造体を作成した。
【0064】
図2(A)に示す構造体45は、単結晶シリコン基板33上に、厚み1000nmのUID−GaN層35、すなわち不純物無添加のGaN層35、及び厚み20nmのUID−AlGaN層37が順次積層されて形成されている。この構造体45では、GaN/AlGaNヘテロ界面35aにおけるバンドギャップエネルギーの差から、UID−GaN層35内にキャリアが発生し、2DEG層49が形成されている。
【0065】
また、図2(B)に示す構造体47は、単結晶シリコン基板39上に、厚み1000nmで、かつp型不純物としてのZnが5×1018cm−3の濃度で導入されたGaN層41、すなわちp−GaN層41、及び厚み20nmのUID−AlGaN層43が順次積層されて形成されている。
【0066】
そして、発明者は、これら図2(A)及び(B)に示す構造体45及び47についてシート抵抗を測定した。
【0067】
その結果、図2(A)に示す構造体45、すなわちUID−GaN層35内に2DEG層49が形成されている構造体では、シート抵抗が746Ωであった。これに対して、図2(B)に示す構造体47では、シート抵抗が146398Ωであった。
【0068】
ここで、シート抵抗Rとキャリア濃度nとには、以下に示す式(1)の関係がある。なお、式(1)においてqは電子電荷、μは電子移動度、lは構造体長、Sは構造体の厚み方向に沿った断面積をそれぞれ示している。
【0069】
=(1/nqμ)(l/S) ・・・(1)
式(1)から明らかなように、シート抵抗Rの増加は、キャリア濃度nが低減したことを意味する。そして、上述した結果から、GaN層41にp型不純物が導入されている構造体47では、GaN層35にp型不純物が導入されていない構造体45と比して、大きく抵抗が増大している。従って、この結果から、p型不純物の導入が、キャリア濃度の低減、すなわち2DEG層の不活性化に有効であることが確認できる。
【0070】
次に、この第1の実施の形態による半導体装置10の製造方法について説明する。この製造方法は、第1工程及び第2工程を含んでいる。以下、第1工程から順に各工程につき説明する。
【0071】
図3(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図である。これらの各図は、各製造工程で得られた構造体を、基板の厚み方向に切り取った切り口で示してある。
【0072】
まず第1工程では、最上層がSi層である基板11のSi層上に、バッファ層13を形成して図3(A)に示すような構造体を得る。
【0073】
基板11は、上述したように例えば周知の単結晶Si基板、SOI基板、またはSOS基板等の最上層がSi層である半導体基板で構成されている。なお、図3(A)では、基板11として、単結晶Si基板を用いた場合の構成例を示している。
【0074】
また、この第1の実施の形態では、半導体装置の高周波特性を向上させるために、高い抵抗値を有している基板11を用いるのが好ましい。より具体的には、基板11として、抵抗値が少なくとも1000Ω以上である、いわゆる半絶縁性の基板を用いるのが好ましい。
【0075】
そして、このような基板11のSi層上に、上述した応力緩和の目的で、第1層15と第2層17とを交互に複数層積層することによってバッファ層13を形成する。なお、図3(A)に示す構成例では、基板11として、Si層で構成された単結晶Si基板を用いているため、基板11の基板面11a上にバッファ層13が形成されている。また、図3(A)では、一例として、基板11上に3層の第1層15及び4層の第2層17を積層させてバッファ層13を形成した場合の構成例を示している。
【0076】
また、上述したように第1層15及び第2層17を形成する際に用いる材料は、続く第2工程において形成する第3層及び第4層を構成する各材料に応じて決定する。
【0077】
すなわち、既に説明したように、バッファ層13の材料である各結晶と、このバッファ層13上に形成する第3層及び第4層の材料である各結晶とが、良好な格子整合性を以って積層構造を構成するために、また、製造プロセスの容易性を図るために、第1層15及び第2層17は、第3層及び第4層と格子定数が近似または同一な材料によって形成する必要がある。そこで、第1工程では、第1層15を、後述する第3層と同一の材料で、また、第2層17を、これら第1層19及び第3層と格子定数が近似な材料でそれぞれ形成する。
【0078】
より具体的には、GaNを材料として第3層を、またAlGaNを材料として第4層をそれぞれ形成する場合には、GaNを材料として第1層15を、及びAlNまたはAlGaNのいずれかを材料として第2層17を、それぞれ形成するのが好ましい。
【0079】
また、GaAsを材料として第3層を、またAlGaAsを材料として第4層をそれぞれ形成する場合には、GaAsを材料として第1層15を、及びAlAsまたはAlGaAsのいずれかを材料として第2層17を、それぞれ形成するのが好ましい。
【0080】
また、この第1工程では、上述した第1層15及び第2層17の各材料を組み合わせることによって第1層15に発生するキャリア濃度を低減するために、また、それによって第1層15内に形成される2DEG層を不活性化するために、第1層15にp型不純物を導入してバッファ層13を形成する。
【0081】
なお、この第1の実施の形態では、キャリア濃度を低減するために、p型不純物として好ましくは例えばZnを用いるのがよい。そして、第1層15内において2DEG層を不活性化するために、好ましくはキャリア濃度を1×1015cm−3以下に低減するのが望ましい。そのために、この第1工程では、第1層15にZnを例えば少なくとも1×1018cm−3以上、より好適には5×1018cm−3程度の濃度で導入するのが好ましい。
【0082】
より具体的には、この第1工程では、第1層15及び第2層17を、交互に、例えば周知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposision:有機金属気相成長)法、またはMBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線結晶成長)法を用いて、上述した各材料によって形成する。このとき、第1層15を形成する際に、上述した材料に、p型不純物として例えばZnを好ましくはDMZn(ジリメチル亜鉛)ガスの状態で追加する。その結果、第1層15は、p型不純物が導入されて形成される。
【0083】
このように、第1層15を、p型不純物を導入して形成することにより、この第1層15では、第2層17との積層構造において生じるキャリアの濃度が低減される。その結果、第1層15内における2DEG層の発生を抑制、すなわち不活性化することができる。
【0084】
また、この第1工程では、上述した応力緩和を達成するために、バッファ層13を、厚み16nmの第1層15及び厚み4nmの第2層17をそれぞれ20〜40層程度積層して形成するのが好ましい。
【0085】
また、この第1工程では、バッファ層13を構成する第1層15及び第2層17の積層構造を、最下層13a及び最上層13bがともに第2層17となるように形成するのが好ましい。このように、第2層17をバッファ層13の最下層13a及び最上層13bにそれぞれ配設することによって、第1層15に導入されているp型不純物が他層へ拡散するのを防止することができる。
【0086】
ここで、上述したように、第1の実施の形態では、バッファ層13を構成する各結晶を、基板11上に良好に格子整合させて形成するために、基板11及びバッファ層13間に、バッファ層13とは別のバッファ層を設ける構成としてもよい(図示せず)。その場合には、バッファ層13を形成する前に、基板11上に、第1層15及び第2層17と格子定数が近似または同一な材料によって、格子整合用のバッファ層を形成しておく。より具体的には、例えばGaNを材料として第1層15を、またAlNを材料として第2層17を、それぞれ形成する場合には、基板11上に例えばAlN層及びAlGaN層を順次積層して格子整合用のバッファ層を形成するのが好ましい。その後、この格子整合用のバッファ層上に、上述したバッファ層13を形成する。
【0087】
次に、第2工程では、バッファ層13上に電子走行層としての第3層19及び電子供給層としての第4層21を順次形成して図3(B)に示すような構造体を得る。
【0088】
既に説明したように、この第1の実施の形態では、これら第3層19及び第4層21を、上述した第1層15及び第2層17と、それぞれ格子定数が互いに近似または同一な材料を用いて形成する。
【0089】
そのために、上述した第1工程において、GaNを材料として第1層15を、及びAlNまたはAlGaNのいずれかを材料として第2層17を、それぞれ形成した場合には、この第2工程において、GaN、より詳細にはUID(Un−Intentionally−Doped:不純物無添加)−GaNを材料として第3層19を、及びAlGaN、より詳細にはUID−AlGaNを材料として第4層21を、それぞれ形成するのが好ましい。
【0090】
また、上述した第1工程において、GaAsを材料として第1層15を、及びAlAsまたはAlGaAsのいずれかを材料として第2層17を、それぞれ形成した場合には、この第2工程において、GaAs、より詳細にはUID−GaAsを材料として第3層19を、及びAlGaAs、より詳細にはUID−AlGaAsを材料として第4層21を、それぞれ形成するのが好ましい。
【0091】
また、この第2工程では、例えば周知のMOCVDを用いて、上述した各材料を堆積させて第3層19及び第4層21を形成するのが好ましい。
【0092】
このような材料の組み合わせで第3層19及び第4層21を積層することによって、第3層19と第4層21との界面19aにヘテロ接合面を形成する。その結果、これら第3層19と第4層21のエネルギーバンドギャップの違いから、第3層19内の第4層21との界面19a付近には、2DEG層23が形成される。
【0093】
なお、上述したように、この第1の実施の形態による半導体装置では、2DEG層23におけるキャリア濃度を増大させ、電子移動度の向上を図るために、例えば、第3層19及び第4層21をGaN/AlGaNの積層構造とした場合には、これら第3層19及び第4層21間にAlN薄層を、また、第3層19及び第4層21をGaAs/AlGaAsの積層構造とした場合には、これら第3層19及び第4層21間にAlAs薄層を設けてもよい(図示せず)。その場合には、第3層19形成後であって、第4層21形成前において、例えば周知のMOCVD法を用いて、AlN薄層またはAlAs薄層を形成する。その後、このAlN薄層またはAlAs薄層上に第4層21を形成する。
【0094】
また、上述したように、第1の実施の形態による半導体装置では、電子供給層すなわち第4層21の表面21aが汚染されるのを防止する目的で、第4層21上に例えばキャップ層を設けてもよい(図示せず)。その場合には、第4層21形成後に、例えば好ましくは周知のMOCVD法を用いてキャップ層を形成する。なお、既に説明したように、例えば、第3層19及び第4層21をGaN/AlGaNの積層構造として形成した場合には、GaNを材料としてキャップ層を、また、第3層19及び第4層21をGaAs/AlGaAsの積層構造として形成した場合には、GaAsを材料としてキャップ層を形成するのが好ましい。
【0095】
次に、上述した第2工程の後に、素子分離領域27、ゲート電極29、第1及び第2主電極31a及び31bをそれぞれ形成して図1に示すような構造体を得る。
【0096】
既に説明したように、素子分離領域27は、基板11上の各素子領域25を電気的に分離する目的で形成される。そのために、素子分離領域27を、好ましくは例えばArイオン等を、第4層21の表面21aから2DEG層23の下側までイオン注入することによって形成する。
【0097】
そして、素子分離領域27の形成後、素子領域25に、ゲート電極29と第1及び第2主電極31a及び31bを形成する。
【0098】
より詳細には、ゲート電極29を、例えば周知のEB(Electron Beam:電子線)蒸着を用いて、例えばNi及びAuを材料として、第4層21上に形成するのが好ましい。
【0099】
また、第1及び第2主電極31a及び31bを、例えば周知のEB蒸着を用いて、例えばTi及びAlを材料として、第4層21上に形成するのが好ましい。これら第1及び第2主電極31a及び31bは、互いに離間し、かつゲート電極29を挟み込んで対向して配設される。そして、既に説明したように、これら第1及び第2主電極31a及び31bは、電子供給層すなわち第4層21とオーミック接触を取ることによって、オーミック電極として一方がソース電極、また他方がドレイン電極として機能する。
【0100】
このように、各構成を形成することによって、第1の実施の形態による製造方法によって製造された半導体装置では、2DEG層23が、第1及び第2主電極31a及び31b間を流れる電流の電流通路として機能するHEMTが構成される。
【0101】
そして、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法では、上述したように、バッファ層13を構成する第1層15及び第2層17のうち、第1層15にp型不純物を導入する。そのため、第1層15及び第2層17の積層構造において、第1層15において発生するキャリアを低濃度化することができる。その結果、この第1の実施の形態による製造方法によって製造された半導体装置では、この第1層15側に2DEG層が形成されるのを抑制する、すなわち2DEG層を不活性化することができる。
【0102】
なお、この第1の実施の形態による半導体装置、及び半導体装置の製造方法では、第3層19及び第4層21をGaN及びAlGaNで構成したHEMT、すなわちGaN/AlGaN−HEMT、及び第3層19及び第4層21をGaAs及びAlGaAsで構成したGaAs/AlGaAs−HEMTの構造及びその製造方法について説明した。しかしながら、この第1の実施の形態は、これらの構成例に限定されるものではなく、最上層がSi層である基板上を利用し、かつ多層膜構造のバッファ層を具える化合物半導体装置であれば、例えばInP系HEMT等の、他の化合物半導体装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10:第1の実施の形態による半導体装置
11:基板
13、103:バッファ層
15:第1層
17:第2層
19:第3層
21:第4層
23、49、111:2DEG層
25:素子領域
27:素子分離領域
29:ゲート電極
31a:第1主電極
31b:第2主電極
33、39、101:単結晶シリコン基板
35:GaN層(UID−GaN層)
37、43:UID−AlGaN層
41:GaN層(p−GaN層)
105:電子走行層
107:電子供給層
109:AlN薄層
113:AlN層
115:GaN層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最上層がSi層である基板と、
前記Si層上に、第1層と第2層とが交互に複数層積層されて構成されているバッファ層と、
該バッファ層上に形成されている、電子走行層としての第3層と、
該第3層上に形成されている、電子供給層としての第4層と
を具え、
前記第1層は、前記第3層と同一の材料で形成され、かつ該第1層及び前記第2層の積層構造において、該第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物が導入されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1層がGaNを材料として、前記第2層がAlNまたはAlGaNのいずれかを材料として、前記第3層がGaNを材料として、及び前記第4層がAlGaNを材料としてそれぞれ形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1層がGaAsを材料として、前記第2層がAlAsまたはAlGaAsのいずれかを材料として、前記第3層がGaAsを材料として、及び前記第4層がAlGaAsを材料としてそれぞれ形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記p型不純物がZnであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記p型不純物が5×1018cm−3の濃度で前記第1層に導入されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記バッファ層の最下層及び最上層が前記第2層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
最上層がSi層である基板の該Si層上に、第1層と第2層とを交互に複数層積層することによってバッファ層を形成する第1工程と、
該バッファ層上に電子走行層としての第3層及び電子供給層としての第4層を順次形成する第2工程と
を含み、
前記第1工程では、前記第1層を、前記第3層と同一の材料で、かつ該第1層及び前記第2層の積層構造において、該第1層側に形成される2次元電子ガス層を不活性化するためのp型不純物を導入して形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
GaNを材料として前記第1層を、AlNまたはAlGaNのいずれかを材料として前記第2層を、GaNを材料として前記第3層を、及びAlGaNを材料として前記第4層を、それぞれ形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
GaAsを材料として前記第1層を、AlAsまたはAlGaAsのいずれかを材料として前記第2層を、GaAsを材料として前記第3層を、及びAlGaAsを材料として前記第4層を、それぞれ形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記p型不純物としてZnを導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記p型不純物を5×1018cm−3の濃度で前記第1層に導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記バッファ層の最下層及び最上層として前記第2層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−251414(P2010−251414A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97085(P2009−97085)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「(ナノテクノロジープログラム・革新的部材産業創出プログラム)/「ナノテク・先端部材実用化研究開発」/「原子レベル薄膜成長によるシリコン基板上の窒化物結晶成長技術と素子化技術の研究開発」」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】