説明

半導体装置

【課題】熱伝導体が放熱部材に近づくように反った場合であっても、熱伝導体と放熱部材との間から熱伝導性グリスが外部に押し出されるのを抑えた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、熱伝導体10と、熱伝導体の一方の面11に設けられた半導体チップ21と、熱伝導体の他方の面12に、自身の接続平面22aが対向するように配された放熱部材22と、熱伝導体の一方の面、および半導体チップを封止するモールド樹脂23と、熱伝導体の他方の面と放熱部材の接続平面との間に設けられた熱伝導性グリス24と、を備え、熱伝導体の他方の面は、接続平面から離間した中央領域13と、中央領域を囲うとともに接続平面に少なくとも一部が当接した縁領域14とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを埃や水分などから保護するために、半導体チップをリードと電気的に接続した状態で、リードの一部と半導体チップとを樹脂封止することが行われている。また、半導体チップで発生する熱が増加するのにともない、近年は、半導体チップで発生する熱の伝導経路を樹脂封止せずに露出させ、放熱効率を高めることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された半導体装置では、放熱基板(熱伝導体)の一方の主面に封止樹脂により封止されたダイオードチップ(半導体チップ)が配置されるとともに、放熱基板の他方の主面に、アルミ箔などで形成された薄膜を挟んで放熱フィン(放熱部材)が配置されている。放熱基板は、放熱性の優れた金属などで形成されている。
また、従来では、この薄膜に代えて、容易に変形可能な熱伝導性グリスを用いることもある。この場合には、特許文献2に記載された半導体装置の接合材のように、互いに対向するように配置された一対の平面間に熱伝導性グリスを配して用いることが考えられる。熱伝導性グリスを用いることで、平面に凹凸があっても熱伝導性グリスがその凹凸形状に追従して、一対の平面間で熱を効果的に伝えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−72247号公報
【特許文献2】特開2011−103312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の半導体装置のように、放熱基板と封止樹脂との間に線膨張率の差があると、これらの温度が変化したときに放熱基板が反ることがある。放熱基板が放熱フィンに近づくように反った場合には、放熱基板と放熱フィンとの隙間が小さくなる。このため、放熱基板と放熱フィンとの間に熱伝導性グリスが配されていても、この熱伝導性グリスが外部に押し出されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、熱伝導体が放熱部材に近づくように反った場合であっても、熱伝導体と放熱部材との間から熱伝導性グリスが外部に押し出されるのを抑えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の半導体装置は、熱伝導体と、前記熱伝導体の一方の面に設けられた半導体チップと、前記熱伝導体の他方の面に、自身の接続平面が対向するように配された放熱部材と、前記熱伝導体の一方の面、および前記半導体チップを封止するモールド樹脂と、前記熱伝導体の他方の面と前記放熱部材の前記接続平面との間に設けられた熱伝導性グリスと、を備え、前記熱伝導体の他方の面は、前記接続平面から離間した中央領域と、前記中央領域を囲うとともに前記接続平面に少なくとも一部が当接した縁領域とを有していることを特徴としている。
【0008】
また、上記の半導体装置において、前記縁領域は、縁平面と、前記縁平面から突出する複数の縁側突出部と、によって形成され、隣り合う前記縁側突出部の間には、隙間が形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記中央領域は、前記縁平面とともに同一平面をなす平面状に形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、球面を有するドーム状に形成されていることがより好ましい。
【0009】
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、球面を有するドーム状に形成され、前記中央領域は、前記縁平面とともに同一平面をなす中央平面と、前記中央平面から突出する複数の中央側突出部と、によって形成され、前記中央側突出部は、球面を有するドーム状に形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、円錐台状に形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、円柱状に形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、角柱状に形成されていることがより好ましい。
【0010】
また、上記の半導体装置において、前記縁側突出部は、角錐台状に形成されていることがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁領域は全周にわたり前記接続平面に当接し、前記中央領域は、前記縁領域に向かうにしたがって前記接続平面に近づく傾斜面を有することがより好ましい。
また、上記の半導体装置において、前記縁領域は全周にわたり前記接続平面に当接し、前記中央領域は、前記接続平面に平行に形成された底面を有する凹部であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置によれば、熱伝導体が放熱部材に近づくように反った場合であっても、熱伝導体と放熱部材との間から熱伝導性グリスが外部に押し出されるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の半導体装置の側面の断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】同半導体装置の斜視図である。
【図4】同半導体装置の動作を説明する側面の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例における半導体装置の側面の断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例における半導体装置の縁側突出部の斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例における半導体装置の縁側突出部の斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例における半導体装置の縁側突出部の斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例における半導体装置の縁側突出部の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の半導体装置の側面の断面図である。
【図11】同半導体装置の斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態の半導体装置の側面の断面図である。
【図13】同半導体装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る半導体装置の第1実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。
図1に示すように、本半導体装置1は、熱伝導シート(熱伝導体)10と、熱伝導シート10の一方の面11上に設けられた半導体チップ21と、熱伝導シート10の他方の面12に配された放熱フィン(放熱部材)22と、熱伝導シート10の一方の面11および半導体チップ21を封止するモールド樹脂23と、熱伝導シート10の他方の面12と放熱フィン22との間に設けられた熱伝導性グリス24とを備えている。
【0014】
以下では、まず、放熱フィン22、熱伝導シート10、および熱伝導性グリス24について説明する。
放熱フィン22は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料によって形成されている。放熱フィン22としては、図示はしないが、熱伝導シート10に接合される板状の基板部と、この基板部における熱伝導シート10に接合される面とは反対側の面から立設された複数のフィン部材とで構成されたものを用いることができる。
放熱フィン22は、基板部の主面となる接続平面22aが、熱伝導シート10の他方の面12に対向するように配置されている。
【0015】
本実施形態では、熱伝導シート10はアルミニウムにより形成され、その厚さは、例えば、300μmに設定されている。熱伝導シート10は、数mm程度に厚く形成してもよい。熱伝導シート10の厚さ方向Dに見たときに、熱伝導シート10は、ほぼ矩形状に形成されている。
熱伝導シート10としては、アルミニウム以外にも、銅などの熱伝導率の高い金属や樹脂などを適宜用いることができる。
【0016】
熱伝導シート10の他方の面12は、図1および図2に示すように、放熱フィン22の接続平面22aから離間した中央領域13と、中央領域13を囲うとともに接続平面22aに当接した縁領域14とを有している。
図2および図3に示すように、縁領域14は、縁平面16と、縁平面16から突出する複数の縁側突出部17と、によって形成されている。なお、図3および、後述する図11、図13においては、放熱フィン22および熱伝導性グリス24は説明の便宜のため示していない。
【0017】
半導体装置1が加熱されていない常温(例えば、25℃)の状態においては、熱伝導シート10は、縁平面16が接続平面22aに対して平行となるように配置されている。
縁側突出部17は、本実施形態では、球面を有するドーム状に形成されている。縁側突出部17が縁平面16から突出する高さH1は、縁側突出部17の半径R1より小さく設定されている。縁側突出部17における厚さ方向Dの先端は、接続平面22aに当接している。
縁側突出部17は、縁平面16に2列となるように配置され、隣り合う縁側突出部17の間には、隙間S1が形成されている。すなわち、中央領域13と接続平面22aとの間に配置された熱伝導性グリス24が隙間S1を通して外部に出て行くときに、2つの縁側突出部17に当たるように構成されている。
中央領域13は、縁平面16とともに同一平面をなす平面状に形成されている。すなわち、常温の状態においては、中央領域13は接続平面22aに対して平行となっている。
【0018】
熱伝導性グリス24としては、ゲル状などの粘性の大きな液状のものを好適に用いることができる。熱伝導性グリス24には、シリコーングリスなどの、熱伝導率が高いものを用いることが好ましい。
【0019】
本実施形態では、熱伝導シート10と半導体チップ21との間には、図1に示すように、絶縁シート26、金属箔27、およびリード28が、熱伝導シート10側から絶縁シート26、金属箔27、リード28の順で積層されている。
絶縁シート26には、例えば、エポキシ樹脂や、フィラー入りのエポキシ樹脂を用いることができるが、絶縁シート26を薄く形成するには、ポリイミドで形成することが好ましい。絶縁シート26がポリイミドで形成されている場合には、その厚さは、例えば、25μm以上150μm以下に設定することができる。
絶縁シート26および熱伝導シート10は、厚さ方向Dに見たときに、同じ形状になるように形成されている。
【0020】
金属箔27は、例えば、銅箔などのような、熱伝導率の高い金属材料を薄膜状に形成したものである。金属箔27の厚さは、例えば、18μm以上300μm未満に設定される。厚さ方向Dに見たときに、金属箔27は絶縁シート26より小さく形成されている。
リード28は、例えば、銅などのように電気抵抗が少なく、かつ、熱伝導率の高い金属材料を帯板状に形成して構成されている。リード28の一端部28aは、モールド樹脂23内に埋設された状態で金属箔27に接合されている。リード28の他端部28bは、モールド樹脂23から外部に露出している。半導体装置1には、複数のリード28が設けられている。
【0021】
半導体チップ21は、ダイオードやトランジスタなどのように、通電することによって発熱する半導体素子である。半導体チップ21は、平面視で矩形の板状に形成されていて、自身の外面に設けられた不図示の電極パッドにより、リード28の一端部28aと電気的に接続されている。
【0022】
モールド樹脂23は、厚さ方向Dに見たときに絶縁シート26および熱伝導シート10と同じ形状になるように形成されている。モールド樹脂23としては、公知のエポキシ樹脂などを用いることができる。
モールド樹脂23は、金属箔27、リード28の一端部28a、および半導体チップ21を封止している。
【0023】
次に、以上のように構成された半導体装置1の製造方法の一例について説明する。
予め互いに接合されて一体に形成された、厚さ方向Dに見て同一形状の金属箔、絶縁シート26、および熱伝導シート10からなる放熱部材を用意する。この放熱部材のうち、金属箔について、リード28の一端部28aを搭載する領域を残すようにエッチング加工を施し、金属箔27を形成する。
金属箔27上にハンダペーストを塗布してリード28の一端部28aを載置し、さらに、リード28の一端部28a上の所定の領域にハンダペーストを塗布して半導体チップ21を載置する。
この状態で、リフローを実施することにより、溶融するハンダを介して、リード28の一端部28aが金属箔27に固定され、半導体チップ21がリード28の一端部28aに固定される。
以上の手順により、半導体チップ21に関する電気的接続が完了する。
【0024】
続いて、リード28の他端部28bを露出させた状態で、金属箔27、リード28の一端部28a、および半導体チップ21をモールド樹脂23により封止する。
熱伝導シート10の中央領域13に所定の量の熱伝導性グリス24を配置し、熱伝導シート10の他方の面12に放熱フィン22の接続平面22aを当接させる。このとき、中央領域13と接続平面22aとの間に空気が入らないように熱伝導性グリス24を充填させることが好ましい。
なお、熱伝導シート10と放熱フィン22とは、不図示のネジ部材などにより接続されてもよい。
以上の工程により、半導体装置1が製造される。
【0025】
次に、以上のように構成された半導体装置1の動作について説明する。
複数のリード28の一部から所定の電圧波形などを入力すると、その電圧波形は半導体チップ21で整流などが行われて、リード28の残部から出力される。整流などが行われるときに、半導体チップ21で熱が発生する。半導体チップ21で発生した熱の一部は、リード28の一端部28a、金属箔27、絶縁シート26、熱伝導シート10、および熱伝導性グリス24を介して放熱フィン22に伝導され、放熱フィン22の複数のフィン部材から外部に伝達される。
また、半導体チップ21で発生した熱の残りの一部は、モールド樹脂23を加熱する。
【0026】
このように半導体装置1が加熱されると、半導体装置1の温度が常温から上昇する。このとき、樹脂で形成されたモールド樹脂23、金属で形成されたリード28の一端部28a、および熱伝導シート10の線膨張率の違いや、厚さの違いにより、図4に示すように、熱伝導シート10が放熱フィン22に近づくように反ることがある。この場合には、中央領域13と接続平面22aとの間の容積が減るため、熱伝導性グリス24は中央領域13と接続平面22aとの間から押し出される。
押し出された熱伝導性グリス24は、縁側突出部17に当たることで移動を遮られるが、熱伝導性グリス24の一部は、隣り合う縁側突出部17の間の隙間S1を通して、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から外部に押し出される。
【0027】
そして、リード28の一部に電圧波形が入力されなくなると、半導体チップ21による処理が行われなくなり、半導体チップ21で熱が発生しなくなる。すると、温度が上昇していた半導体装置1は常温まで冷却される。モールド樹脂23や熱伝導シート10は反りの無い元の形状に戻り、接続平面22aに対して縁平面16および中央領域13が平行になり、中央領域13と接続平面22aとの間の容積が増えて元の形状に戻る。
このとき、縁側突出部17の表面と外部に押し出された熱伝導性グリス24との間に作用する表面張力によって熱伝導性グリス24が表面積が最小になるように変形することで、外部に押し出された熱伝導性グリス24は縁側突出部17側に移動し、隣り合う縁側突出部17の間の隙間S1を通して再び中央領域13と接続平面22aとの間に配される。
【0028】
なお、熱伝導シート10が、放熱フィン22から遠ざかるように反る場合には、中央領域13と接続平面22aとの間の容積が増えるため、熱伝導性グリス24が外部に押し出されることはない。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置1によれば、熱伝導シート10が放熱フィン22に近づくように反ったときに、熱伝導性グリス24の一部は、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から外部に移動する際に、縁領域14の縁側突出部17に移動を遮られる。したがって、熱伝導性グリス24が熱伝導シート10と放熱フィン22との間から外部に押し出されるのを抑制することができる。
【0030】
熱伝導シート10が放熱フィン22に近づくように反ることで外部に押し出された熱伝導性グリス24は、熱伝導シート10が反りの無い元の形状に戻ったときに、縁側突出部17の表面と熱伝導性グリス24との間に作用する表面張力により縁側突出部17側に移動し、隣り合う縁側突出部17の間の隙間S1を通して再び中央領域13と接続平面22aとの間に配される。したがって、実質的に、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から外部に押し出されて残留する熱伝導性グリス24の量を低減させることができる。
中央領域13は平面状に形成されているため、中央領域13と接続平面22aとの間に熱伝導性グリス24を充填するときに、中央領域13近傍に空気が残るのを抑えることができる。
【0031】
なお、本実施形態の半導体装置1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
例えば、図5に示す半導体装置1Aのように、中央領域31が、縁平面16とともに同一平面をなす中央平面32と、中央平面32から突出する複数の中央側突出部33と、によって形成されてもよい。
この例では、中央側突出部33は、球面を有するドーム状に形成されているとともに、中央側突出部33が中央平面32から突出する高さH2は、前述の高さH1より小さく設定されている。このため、中央側突出部33は接続平面22aに当接しない。
このように構成された半導体装置1Aによれば、本実施形態の半導体装置1よりも中央領域31の面積を増加させることで、半導体チップ21で発生した熱を熱伝導シート10から熱伝導性グリス24に効果的に伝達させることができる。
【0032】
本実施形態では、縁側突出部17はドーム状に形成されているとしたが、図6に示すように、縁側突出部36は円錐台状に形成されていてもよいし、図7に示すように、縁側突出部37は角錐台状に形成されていてもよい。縁側突出部37は四角錐台状に形成されているが、これに限ることなく、三角錐台状や五角錐台状などでもよい。
また、図8に示すように、縁側突出部38は円柱状に形成されていてもよいし、図9に示すように、縁側突出部39は角柱状に形成されていてもよい。縁側突出部39は四角柱状に形成されているが、これに限ることなく、三角柱状や五角柱状などでもよい。
縁側突出部38は、隣り合う縁側突出部38の間に隙間S2が形成されるように、互いに離間した状態に配置されている(図8参照。)。隣り合う縁側突出部39の間にも、隙間S3が形成される(図9参照。)。
【0033】
以上のように構成された縁側突出部36〜39を備える半導体装置においても、本実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏することができる。
また、縁側突出部の形状を円錐台状から円柱状にすることで、縁側突出部における接続平面22a側の表面積が増加する。このため、外部に押し出された熱伝導性グリス24を、中央領域13と接続平面22aとの間において、より接続平面22a側に戻すことができる。縁側突出部を円柱状にすることで、縁側突出部が接続平面22aに面接触するため、半導体チップ21で発生した熱を縁側突出部から放熱フィン22に直接伝導させやすくすることができる。
縁側突出部の形状を角錐台状から角柱状にすることでも、同様の効果を奏することができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10および図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10および図11に示すように、本実施形態の半導体装置2は、第1実施形態の半導体装置1の中央領域13および縁領域14に代えて、中央領域41および縁領域42を備えている。
縁領域42は、他方の面12の縁に全周にわたり設けられていて、接続平面22aに当接している。この例では、縁領域42は線状に形成されている。
中央領域41は、縁領域42に向かうにしたがって接続平面22aに近づく傾斜面43〜47を有している。
【0035】
このように構成された半導体装置2によれば、熱伝導シート10が放熱フィン22に近づくように反った場合であっても、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から熱伝導性グリス24が外部に押し出されるのを抑えることができる。
さらに、縁領域42は、他方の面12の全周にわたり接続平面22aに当接しているため、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から熱伝導性グリス24が外部に押し出されるのを、より確実に抑えることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、中央領域41を5つの傾斜面43〜47で構成した。しかし、中央領域を、縁領域42に向かうにしたがって接続平面22aに近づくように形成された1つの曲面により構成してもよい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12および図13を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12および図13に示すように、本実施形態の半導体装置3は、第1実施形態の半導体装置1の中央領域13および縁領域14に代えて、中央領域51および縁領域52を備えている。
縁領域52は、他方の面12の縁部に全周にわたり設けられていて、接続平面22aに当接している。縁領域52の幅は、第2実施形態の縁領域42の幅より広く設定されている。
中央領域51は、接続平面22aに平行に形成された底面51aを有する凹部として構成されている。
【0038】
このように構成された半導体装置3によれば、熱伝導シート10と放熱フィン22との間から熱伝導性グリス24が外部に押し出されるのを抑えることができる。
さらに、縁領域52の幅が第2実施形態の縁領域42の幅より広く設定されているため、熱伝導性グリス24が外部に押し出されるのを、さらに確実に抑えることができる。
中央領域51が底面51aを有する凹部として構成されているため、中央領域51と接続平面22aとの間に収容される熱伝導性グリス24の厚さが等しくなる。これにより、中央領域51全体にわたり、熱伝導性グリス24を介して熱伝導シート10から放熱フィン22に伝導される経路の熱抵抗をほぼ等しくすることができる。
【0039】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1、1A、2、3 半導体装置
10 熱伝導シート(熱伝導体)
11 一方の面
12 他方の面
13、31、41、51 中央領域
14、42、52 縁領域
16 縁平面
17、36、37、38、39 縁側突出部
21 半導体チップ
22 放熱フィン(放熱部材)
22a 接続平面
23 モールド樹脂
24 熱伝導性グリス
32 中央平面
33 中央側突出部
43、44、45、46、47 傾斜面
51a 底面
S1、S2、S3 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導体と、
前記熱伝導体の一方の面に設けられた半導体チップと、
前記熱伝導体の他方の面に、自身の接続平面が対向するように配された放熱部材と、
前記熱伝導体の一方の面、および前記半導体チップを封止するモールド樹脂と、
前記熱伝導体の他方の面と前記放熱部材の前記接続平面との間に設けられた熱伝導性グリスと、を備え、
前記熱伝導体の他方の面は、前記接続平面から離間した中央領域と、前記中央領域を囲うとともに前記接続平面に少なくとも一部が当接した縁領域とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記縁領域は、
縁平面と、
前記縁平面から突出する複数の縁側突出部と、によって形成され、
隣り合う前記縁側突出部の間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記中央領域は、前記縁平面とともに同一平面をなす平面状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記縁側突出部は、球面を有するドーム状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記縁側突出部は、球面を有するドーム状に形成され、
前記中央領域は、
前記縁平面とともに同一平面をなす中央平面と、
前記中央平面から突出する複数の中央側突出部と、によって形成され、
前記中央側突出部は、球面を有するドーム状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記縁側突出部は、円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記縁側突出部は、円柱状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記縁側突出部は、角柱状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記縁側突出部は、角錐台状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記縁領域は全周にわたり前記接続平面に当接し、
前記中央領域は、前記縁領域に向かうにしたがって前記接続平面に近づく傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記縁領域は全周にわたり前記接続平面に当接し、
前記中央領域は、前記接続平面に平行に形成された底面を有する凹部であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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