説明

印刷制御装置、及び印刷制御プログラム

【課題】受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となっても、当該印刷処理を速やかに実行させることができる印刷制御装置、及び印刷制御プログラムを得る。
【解決手段】パソコンから受信した画像情報、及び接続された複数のプリンタのうち当該画像情報により示される画像の印刷を実行させるプリンタを特定する特定情報を記憶し(ステップ100)、特定情報によって特定されるプリンタが、当該特定情報と共に受信した画像情報により示される画像の印刷処理が停滞する状態であることを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能な状態であることを示す第2の状態の少なくとも一方の状態である場合(ステップ102において肯定判定)に、当該特定情報と共に受信した画像情報により示される画像の印刷を実行するプリンタを、異なるプリンタに切り替える(ステップ104〜ステップ112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリントサーバは、一般に、パソコンから画像情報を受信し、受信した画像情報を一時的に記憶した後に、プリンタへ送信する。これに対して、プリントサーバから画像情報を受信したプリンタは、当該画像情報により示される画像の印刷処理を実行する。
【0003】
ところで、プリントサーバとプリンタとが接続されたプリントシステムの機能として、プリントサーバに記憶された画像情報により示される画像の印刷処理を当該画像情報がプリントサーバに記憶された順に指示されたプリンタに対して当該画像情報を送信し印刷処理を実行させるダイレクトプリント機能や、プリントサーバに記憶された画像情報の中からユーザによって選択された画像情報により示される画像の印刷処理を実行するオンデマンドプリント機能が設けられたプリンタがある。
【0004】
ダイレクトプリント機能による印刷は、ユーザの操作としてプリントジョブを印刷処理させるプリンタを指示してプリントサーバに送信する。一方、オンデマンドプリント機能による印刷は、ユーザの操作として、プリントジョブをプリントサーバに送信する指示を行った後にユーザがプリンタの設置位置まで移動し、当該プリンタに設けられている操作パネルを操作することで上記プリントサーバに送信し保持されたプリントジョブを選択し、印刷指示を行う。この操作により、指示したプリントジョブを当該プリンタで印刷処理させることができる。
【0005】
そして、上記ダイレクトプリント機能及びオンデマンドプリント機能が設けられたプリンタに関する技術として、特許文献1には、ダイレクトプリント機能により印刷処理が実行されるプリントジョブに含まれる画像情報が、過去にオンデマンドプリント機能により印刷処理が実行された画像情報であった場合、当該プリントジョブを機密文章とみなし、オンデマンドプリント機能により印刷処理を実行する技術が開示されている。また、特許文献2には、ダイレクトプリント機能により印刷処理が実行されたプリントジョブに含まれる画像情報により示される画像が、予め登録されている定型フォーマットと異なる場合、当該プリントジョブの印刷処理をオンデマンドプリント機能に切り替えて実行する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−001284号公報
【特許文献2】特開2006−255936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となっても、当該印刷処理を速やかに実行させることができる印刷制御装置、及び印刷制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、情報処理装置に接続され、画像情報、及び当該画像情報により示される画像の印刷を実行させる印刷装置を特定する特定情報を前記情報処理装置から受信する受信手段と、少なくとも前記受信手段によって受信された前記画像情報を記憶する記憶手段と、複数の印刷装置に接続され、前記記憶手段によって記憶された前記画像情報を前記複数の印刷装置の何れかへ選択的に送信する送信手段と、前記特定情報によって特定される印刷装置が、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が停滞する状態であることを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能な状態であることを示す第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記複数の印刷装置のうち当該特定情報によって特定される印刷装置とは異なる印刷装置に切り替える切替手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記第1の状態は、前記特定情報と共に受信した前記画像情報よりも先行して印刷処理を実行する画像情報が所定数以上である状態、前記特定情報と共に受信した前記画像情報よりも先行して実行する印刷処理に要する時間が所定時間以上である状態、及び前記特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が終了すると予測される時間が所定時間以上である状態の少なくとも一つの状態であるものとする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記第2の状態は、紙詰まりが発生している状態、故障が発生している状態、及び消費される消耗品が所定量以下となっている状態の少なくとも一つの状態であるものとする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記複数の印刷装置が、前記記憶手段に記憶された前記画像情報により示される画像の印刷処理を前記記憶手段に前記画像情報が記憶された順に実行する第1の機能が設けられた印刷装置、及び前記記憶手段に記憶された前記画像情報の中から使用者に選択された画像情報により示される画像の印刷処理を実行する第2の機能が設けられた印刷装置を含み、前記切替手段は、前記特定情報によって特定される印刷装置が、前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第2の機能が設けられた印刷装置に切り替えるものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載発明において、前記複数の印刷装置が、前記記憶手段に記憶された前記画像情報により示される画像の印刷処理を前記記憶手段に前記画像情報が記憶された順に実行する第1の機能が設けられた印刷装置、及び前記記憶手段に記憶された前記画像情報の中から使用者に選択された画像情報により示される画像の印刷処理を実行する第2の機能が設けられた印刷装置を含み、前記切替手段は、前記特定情報によって特定される印刷装置が、前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第1の機能により印刷を実行する画像情報を有していない当該第1の機能が設けられた印刷装置に切り替えるものである。
【0012】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項5の発明において、前記切替手段が、前記特定情報によって特定される印刷装置が前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態であり、且つ前記第1の機能により印刷を実行する画像情報を有していない当該第1の機能が設けられた印刷装置が存在しない場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第2の機能が設けられた印刷装置に切り替えるものである。
【0013】
一方、請求項7に記載の発明は、上記目的を達成するために、接続された情報処理装置から受信した画像情報、及び接続された複数の印刷装置のうち当該画像情報により示される画像の印刷を実行させる印刷装置を特定する特定情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、前記特定情報によって特定される印刷装置が、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が停滞する状態であることを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能な状態であることを示す第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記複数の印刷装置のうち当該特定情報によって特定される印刷装置とは異なる印刷装置に切り替える切替ステップとを、コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項7に記載の発明によれば、受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となっても、本構成を有していない場合に比較して、当該印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、状況に対応して、印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、状況に対応して、印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となっても、第2の機能が設けられた印刷装置によって印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となっても、特定情報によって特定される印刷装置とは異なる第1の機能が設けられた印刷装置によって印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【0019】
更に、請求項6に記載の発明によれば、受信した画像情報の印刷処理が、指定された印刷装置によって所定の条件で印刷処理が行われない状態となり、且つ第1の機能により印刷を実行する画像情報を有していない第1の機能が設けられた印刷装置が存在しない場合でも、第2の機能が設けられた印刷装置によって印刷処理を速やかに実行させることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
なお、本実施の形態では、本発明を複数のパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という。)、単一のプリントサーバ、及び複数のプリンタにより構成された印刷システムに適用した場合について説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る印刷システムの構成を説明する。
【0023】
同図に示されるように、本実施の形態に係る印刷システムは、複数のパソコン14と、複数のプリンタ16A、16B、16C・・・とを備えると共に、当該パソコンとプリンタとの間にネットワーク12を介して接続されたプリントサーバ10を備えている。
【0024】
本実施の形態に係る複数のプリンタ16A、16B、16C・・・は、通常の印刷処理に加え、プリントサーバ10に保持されたプリントジョブを選択して印刷指示することにより印刷処理を行うオンデマンドプリント機能が搭載されている。なお、上記複数のプリンタを特に区別する必要がない場合には、符号末尾のアルファベットは省略して、「プリンタ16」と表記する。
【0025】
パソコン14は、プリンタ16で画像の印刷処理を行わせる際に、プリントサーバ10へプリントジョブを送信する。プリントサーバ10は、パソコン14からプリントジョブを受信する。なお、上記プリントジョブには、印刷すべき画像を示す画像情報、画像の印刷処理を実行させるプリンタ16を特定することのできる特定情報、及び当該印刷処理に関する各種設定情報(例えば、出力枚数、用紙サイズ等)等が含まれる。
【0026】
そして、プリントサーバ10は、パソコン14から受信したプリントジョブを一時的に記憶し、その後ネットワーク12を介して上記特定情報によって特定されるプリンタ16へプリントジョブを送信する。プリントジョブを受信したプリンタ16は当該プリントジョブに含まれる画像情報により示される画像の印刷処理を実行する。
【0027】
ここで、ダイレクトプリント機能による印刷処理、及びオンデマンドプリント機能による印刷処理について説明する。
【0028】
ダイレクトプリント機能による印刷処理は、プリントジョブがプリントサーバ10に記憶された順に、プリントジョブに含まれる画像情報により示される画像の印刷処理を、当該画像情報に対応する特定情報によって特定されるプリンタ16で実行させる制御を行う。
【0029】
一方、オンデマンドプリント機能による印刷処理は、印刷処理を実行させるプリンタ16に設けられた操作用パネル18を介して、ユーザがプリントサーバ10へ送信し当該プリントサーバ10に記憶し保持されたプリントジョブの印刷処理を実行するために必要なユーザ認証を実行する。ユーザ認証のためには、例えば予め設定されたパスワードが操作用パネル18を用いて、ユーザによって打ち込まれる。打ち込まれたパスワードが予め登録されている当該ユーザのものと一致している場合は、プリントサーバ10が当該ユーザにより送信され保持しているプリントジョブの一覧を当該プリンタ16に送信し、操作用パネル18が送信されたプリントジョブの一覧を表示する。そして、ユーザは印刷処理を希望するプリントジョブを当該一覧の中から選択し、選択したプリントジョブの印刷要求指示を操作用パネル18から、当該プリンタ16からプリントサーバ10へ送信させる。プリントサーバ10は当該印刷要求指示を受信すると、ユーザにより選択されたプリントジョブを当該プリンタ16に送信する。そして、当該プリンタ16は、送信されたプリントジョブに含まれる画像情報により示される画像の印刷を実行する。なお、オンデマンドプリント機能で印刷処理を実行させるプリンタは、プリントサーバ10に接続されオンデマンドプリント機能が設けられているプリンタであれば何れのプリンタでもよい。
【0030】
また、プリンタ16は、紙詰まりが発生している状態、故障が発生している状態、及び消費される消耗品が所定量以下となっている状態の少なくとも一つの状態の発生の有無を示すプリンタ状態情報を送信する。プリントサーバ10は、ネットワーク12を介して当該プリンタ状態情報を受信する。
【0031】
次に、図2を参照して、印刷システムで特に重要な役割を有するプリントサーバ10の電気系の要部構成を説明する。
【0032】
同図に示すように、プリントサーバ10は、プリントサーバ10全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)30、CPU30により実行されるプログラムをロードしたり、作業データを格納するため等に使用されるRAM(Random Access Memory)32、プログラムその他の情報が予め書き込まれたROM(Read Only Memory)34、磁気ディスク型の外部記憶装置であり、CPU30により実行されるプログラム、パソコン14から送信されたプリントジョブ等、各種のデータを記憶するハードディスクドライブ36、及びパソコン14との間とプリンタ16との間の情報の授受を司るネットワークインターフェース38を備えており、これら各部はバス40によって各々接続されている。
【0033】
ハードディスクドライブ36は、パソコン14から送信されたプリントジョブを記憶している。
【0034】
プリントジョブを管理するプリントジョブ管理プログラムは、ユーザがプリンタ16のダイレクトプリント機能により印刷処理を実行する場合に、図3に示されるプリンタ16とプリンタキューとの対応関係を表す模式図に表されるようにパソコン14から送信されたプリントジョブをそれぞれのプリンタ16に対応させてプリンタキュー42A、42B、42C・・・としてプリントジョブを受け付け記憶した順に印刷処理を行うよう管理している。プリンタキュー42Aはプリンタ16Aに対応しており、上記特定情報によって特定されるプリンタがプリンタ16Aである場合に、当該特定情報を含むプリントジョブを記憶する。同様にプリンタキュー42Bはプリンタ16Bに対応し、プリンタキュー42Cはプリンタ16Cに対応しており、対応するプリンタ16により印刷処理が実行されるプリントジョブを記憶する。なお、上記複数のプリンタキューを特に区別する必要がない場合には、符号末尾のアルファベットは省略して、「プリンタキュー42」と表記する。
【0035】
一方、上記プリントジョブ管理プログラムは、ユーザがプリンタ16のオンデマンドプリント機能により印刷処理をする場合に、パソコン14から送信されるプリントジョブを記憶する各プリンタ16に共通のプリンタキュー44として管理している。
【0036】
図4には、本実施の形態に係るプリントサーバ10の機能的な構成を示す機能ブロック図が示されている。
【0037】
同図に示されるように、本実施の形態に係るプリントサーバ10は、状態確認部50、プリントジョブ管理部52、及び通知部54を備えている。
【0038】
上記状態確認部50は、特定情報によって特定されるプリンタ16が、特定情報と共に受信した画像情報により示される画像の印刷処理が停滞することを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能であることを示す第2の状態であるか否かを確認するものであり、プリントジョブ管理部52として実行されるプリントジョブ管理プログラムは、プリンタキュー42に新たなプリントジョブを記憶した際に、プリンタキュー42から送信される当該プリントジョブを識別するためのプリントジョブIDを受信し、その後当該プリントジョブIDに対応するプリントジョブに含まれる特定情報によって特定されるプリンタ16の第1の状態と第2の状態とを確認する。そして、プリントジョブ管理部52に確認結果を送信する。
【0039】
なお、第1の状態は、特定情報によって特定されるプリンタ16が、プリントジョブIDに対応するプリントジョブよりも先行して印刷処理を実行するプリントジョブが所定数以上である状態、プリントジョブIDに対応するプリントジョブよりも先行して実行する印刷処理に要する時間が所定時間以上である状態、及びプリントジョブIDに対応するプリントジョブの印刷処理が終了すると予測される時間が所定時間以上である状態である。なお、当該所定時間は、プリントジョブの受け付けから例えば5分というような経過時間として、又は例えば14時30分というような時刻として設定される。第1の状態の発生の有無は、特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42に記憶されているプリントジョブの数、プリントジョブのデータサイズ、出力枚数、用紙サイズ等に基づいて判定される。
【0040】
また、第2の状態は、特定情報によって特定されるプリンタ16で紙詰まりが発生している状態、故障が発生している状態、及び消費される消耗品が所定量以下となっている状態である。なお、消耗品は、用紙、トナー(プリンタ16がレーザープリンタの場合)又はインク(プリンタ16がインクジェットプリンタの場合)等が含まれる。第2の状態は、特定情報によって特定されるプリンタ16から送信されるプリンタ状態情報に基づいて判定される。
【0041】
なお、状態確認部50は、第1の状態として列挙した上記状態の全てを確認するとせず、少なくとも一つを確認するとしても良いし、第2の状態として列挙した上記状態の全てを確認するとせず、少なくとも一つを確認するとしても良い。また、状態確認部50は、第1の状態として列挙した上記状態以外を確認するとしても良いし、第2の状態として列挙した上記状態以外を確認するとしても良い。
【0042】
一方、上記プリントジョブ管理部52は、特定情報によって特定されるプリンタ16が第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した画像情報により示される画像の印刷を実行するプリンタ16を、特定情報によって特定されるプリンタ16とは異なるプリンタ16に切り替えるために、当該画像情報を含むプリントジョブを特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42から移動させるものである。
【0043】
プリントジョブ管理部52は、特定情報によって特定されるプリンタ16が、第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、プリントジョブIDに対応するプリントジョブの印刷処理を実行するプリンタを、ダイレクトプリント機能により印刷処理を実行するプリントジョブを有していないプリンタ16に切り替える。このために、プリントジョブ管理部52は、プリントジョブIDに対応するプリントジョブを、特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42から切り替え先のプリンタ16に対応するプリンタキュー42へ移動させる。なお、プリンタ16が、ダイレクトプリント機能により印刷処理を実行するプリントジョブを有しているか否かを判定するには、プリンタ16に対応するプリンタキュー42にプリントジョブが記憶されているか否かにより判定する。
【0044】
また、プリントジョブ管理部52は、特定情報によって特定されるプリンタ16が、第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態であり、且つダイレクトプリント機能により印刷を実行する画像情報を有していないプリンタ16が存在しない場合に、プリントジョブIDに対応するプリントジョブを、オンデマンドプリント機能により印刷処理されるようにプリンタ16を切り替える。このために、プリントジョブ管理部52は、プリントジョブIDに対応するプリントジョブを、特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42からプリンタキュー44へ移動させる。
【0045】
また、上記通知部54は、プリントジョブ管理部52によってプリンタ16の切り替えが実行された場合等に、その旨をプリントジョブを送信したパソコン14へ通知するものである。
【0046】
なお、以上のように構成された状態確認部50、プリントジョブ管理部52、通知部54による処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現することができる。この場合、当該プログラムに本実施の形態に係る印刷制御プログラムが含まれることになる。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現することもできることは言うまでもない。
【0047】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るプリントサーバ10の作用を説明する。なお、図5は、ダイレクトプリント機能により印刷処理が実行されるプリントジョブを受信した場合に、プリントサーバ10のCPU30によって実行される印刷制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、プログラムは、ROM34の所定の領域に予め記憶されている。なお、プログラムは、ハードディスクドライブ36の所定の領域に予め記憶されているとしても良い。
【0048】
まず、ステップ100では、パソコン14から受信したプリントジョブに含まれる特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42に、当該プリントジョブを記憶させる。
【0049】
次のステップ102は、特定情報によって特定されるプリンタ16が、第1の状態の少なくとも一つの状態にあるか、第2の状態の少なくとも一つの状態にあるかを確認することで、プリンタ16が第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ104へ移行する。
【0050】
ステップ104では、上記特定情報によって特定されるプリンタ16と異なるプリンタ16に、プリントジョブが記憶されていないプリンタ16が存在するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行する。
【0051】
ステップ106では、上記特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42に記憶されたプリントジョブを、プリントジョブが記憶されていないプリンタ16に対応するプリンタキュー42へ移動する。
【0052】
次のステップ108で、プリントジョブを送信したパソコン14に対して、プリントジョブの印刷を実行するプリンタ16を切り替えたこと、及び切り替え先のプリンタ16を通知し、本プログラムを終了する。
【0053】
一方、上記ステップ104において否定判定となった場合はステップ110へ移行し、上記特定情報によって特定されるプリンタ16に対応するプリンタキュー42に記憶されたプリントジョブを、オンデマンドプリント機能により印刷処理できるようにプリンタキュー44へ移動する。
【0054】
次のステップ112では、プリントジョブを送信したパソコン14に対して、プリントジョブの印刷処理をダイレクトプリント機能による印刷処理からオンデマンドプリント機能による印刷処理へ切り替えたことを通知し、本プログラムを終了する。
【0055】
なお、ステップ102は図4に示される状態確認部50の作用に相当し、ステップ104、ステップ106、及びステップ110は図4に示されるプリントジョブ管理部52の作用に相当し、ステップ108、ステップ112は図4に示される通知部54の作用に相当する。
【0056】
図6には、何れかのパソコン14から、ダイレクトプリント機能によりプリンタ16Aに対して印刷処理を実行させるプリントジョブを送信する場合における、本実施の形態に係るプリントサーバ10による処理の流れが模式的に示されている。
【0057】
同図に示されるように、まず、パソコン14からプリントサーバ10へ送信されたプリントジョブがプリンタキュー42Aに記憶される。
【0058】
次いで、状態確認部50によってプリンタキュー42Aに記憶されたプリントジョブに対応するプリントジョブIDが受信されると、状態確認部50によってプリンタキュー42Aに記憶されているプリントジョブに基づいてプリンタ16Aが第1の状態にあるか、プリンタ16Aから送信されてくるプリンタ状態情報に基づいてプリンタ16Aが第2の状態にあるか、が確認される。
【0059】
プリンタ16Aが第1の状態及び第2の状態の何れの状態でもない場合は、プリンタ16Aのダイレクトプリント機能により当該プリントジョブの印刷処理が実行される。
【0060】
一方、プリンタ16Aが第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態であり、プリンタ16Bに対応するプリンタキュー42Bにプリントジョブが記憶されていない場合は、プリントジョブ管理部52により、前記プリントジョブIDに対応するプリントジョブがプリンタキュー42Aからプリンタキュー42Bへ移動される。このとき、通知部54によってプリントジョブの印刷処理を実行するプリンタをプリンタ16Aからプリンタ16Bへ切り替えたことが、パソコン14へ通知され、プリンタ16Bのダイレクトプリント機能により当該プリントジョブの印刷処理が実行される。
【0061】
また、プリンタ16Aが第1の状態及び第2の状態の少なくとも一方の状態であり、プリンタキュー42B、42Cにプリントジョブが記憶されている場合は、プリントジョブ管理部52により、前記プリントジョブIDに対応するプリントジョブがプリンタキュー42Aからプリンタキュー44へ移動される。このとき、通知部54によって当該プリントジョブの印刷処理をダイレクトプリント機能による印刷処理からオンデマンドプリント機能による印刷処理へ切り替えたことが、パソコン14へ通知される。そして、例えばプリンタ16Cのオンデマンドプリント機能により、当該プリントジョブの印刷処理が実行される。
【0062】
図7には、本実施の形態に係る印刷システムを教育現場(ここでは、大学)に適用した場合のプリントサーバ10による処理の流れが模式的に示されている。なお、図7に示されるプリンタ16D、及びプリンタ16Eはダイレクトプリント機能及びオンデマンドプリント機能が設けられているプリンタとする。
【0063】
同図に示されるように、教室内の複数のパソコン14からプリントサーバ10へ送信されたプリントジョブは、プリンタ16Dに対応するプリンタキュー42Dに記憶される。そして、状態確認部50によってプリンタキュー42Dに記憶されたプリントジョブに対応するプリントジョブIDが受信されると、状態確認部50によってプリンタキュー42Dに記憶されているプリントジョブに基づいてプリンタ16Dが第1の状態にあるかが確認される。本適用例では、講義終了から次の講義開始までの間にプリントジョブの印刷処理を終了する必要があるとし、プリントジョブの印刷処理が終了しなければならない時刻を例えば次の講義の開始5分前までと設定する。そして、状態確認部50が確認する第1の状態を、前記プリントジョブIDに対応するプリントジョブの印刷処理が終了すると予測される時刻が当該設定された時刻以後である状態とする。なお、本適用例ではプリンタ16Dの第2の状態は確認しないものとする。プリンタ16Dが第1の状態にない場合は、当該プリントジョブの印刷処理はプリンタ16Dで実行される。
【0064】
一方、プリンタ16Dが第1の状態にある場合は、プリントジョブ管理部52によって前記プリントジョブIDに対応するプリントジョブがプリンタキュー42Dからプリンタキュー44へ移動される。このとき、通知部54によってプリントジョブの印刷処理をダイレクトプリント機能による印刷処理からオンデマンドプリント機能による印刷処理へ切り替えたことが、前記プリントジョブIDに対応するプリントジョブをプリントサーバ10へ送信したパソコン14へ通知される。そして、後ほど教室外に設置されたプリンタ16Eのオンデマンドプリント機能により、前記プリントジョブの印刷処理が実行される。
【0065】
以上、本発明を上記実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0067】
その他、上記実施の形態で説明した印刷処理システムやプリントサーバ10の構成(図1〜図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0068】
更に、上記の実施の形態で説明した印刷制御プログラムの処理の流れ(図5参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0069】
また、上記の実施の形態に係る印刷システムにおけるプリンタ16は、ダイレクトプリント機能及びオンデマンドプリント機能が設けられたプリンタとしたが、ダイレクトプリント機能、及びオンデマンドプリント機能の何れか一方の機能しか設けられていないプリンタも含む印刷システムとしても良い。
【0070】
また、上記の実施の形態に係る印刷制御プログラムは、プリントサーバ10に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態に係る印刷システムの概略構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るプリントサーバの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタとプリンタキューとの対応関係を概念的に表す模式図である。
【図4】実施の形態に係るプリントサーバの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図5】実施の形態に係る印刷制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る印刷システムの適用例を示す模式図である。
【図7】実施の形態に係る大学における適用例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
10 プリントサーバ
14 パソコン(情報処理装置)
16 プリンタ(印刷装置)
36 ハードディスクドライブ(記憶手段)
38 ネットワークインターフェース(受信手段、送信手段)
52 プリントジョブ管理部(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続され、画像情報、及び当該画像情報により示される画像の印刷を実行させる印刷装置を特定する特定情報を前記情報処理装置から受信する受信手段と、
少なくとも前記受信手段によって受信された前記画像情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された前記画像情報を接続された複数の印刷装置の何れかへ選択的に送信する送信手段と、
前記特定情報によって特定される印刷装置が、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が停滞する状態であることを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能な状態であることを示す第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記複数の印刷装置のうち当該特定情報によって特定される印刷装置とは異なる印刷装置に切り替える切替手段と、
を備えた印刷制御装置。
【請求項2】
前記第1の状態は、前記特定情報と共に受信した前記画像情報よりも先行して印刷処理を実行する画像情報が所定数以上である状態、前記特定情報と共に受信した前記画像情報よりも先行して実行する印刷処理に要する時間が所定時間以上である状態、及び前記特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が終了すると予測される時間が所定時間以上である状態の少なくとも一つの状態であることを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記第2の状態は、紙詰まりが発生している状態、故障が発生している状態、及び消費される消耗品が所定量以下となっている状態の少なくとも一つの状態であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記複数の印刷装置は、前記記憶手段に記憶された前記画像情報により示される画像の印刷処理を前記記憶手段に前記画像情報が記憶された順に実行する第1の機能が設けられた印刷装置、及び前記記憶手段に記憶された前記画像情報の中から使用者に選択された画像情報により示される画像の印刷処理を実行する第2の機能が設けられた印刷装置を含み、
前記切替手段は、前記特定情報によって特定される印刷装置が、前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第2の機能が設けられた印刷装置に切り替えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記複数の印刷装置は、前記記憶手段に記憶された前記画像情報により示される画像の印刷処理を前記記憶手段に前記画像情報が記憶された順に実行する第1の機能が設けられた印刷装置、及び前記記憶手段に記憶された前記画像情報の中から使用者に選択された画像情報により示される画像の印刷処理を実行する第2の機能が設けられた印刷装置を含み、
前記切替手段は、前記特定情報によって特定される印刷装置が、前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第1の機能により印刷を実行する画像情報を有していない当該第1の機能が設けられた印刷装置に切り替えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記特定情報によって特定される印刷装置が前記第1の状態及び前記第2の状態の少なくとも一方の状態であり、且つ前記第1の機能により印刷を実行する画像情報を有していない当該第1の機能が設けられた印刷装置が存在しない場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記第2の機能が設けられた印刷装置に切り替えることを特徴とする請求項5記載の印刷制御装置。
【請求項7】
接続された情報処理装置から受信した画像情報、及び接続された複数の印刷装置の中から当該画像情報により示される画像の印刷を実行させる印刷装置を特定する特定情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記特定情報によって特定される印刷装置が、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷処理が停滞する状態であることを示す第1の状態、及び印刷処理の継続が不可能な状態であることを示す第2の状態の少なくとも一方の状態である場合に、当該特定情報と共に受信した前記画像情報により示される画像の印刷を実行する印刷装置を、前記複数の印刷装置のうち当該特定情報によって特定される印刷装置とは異なる印刷装置に切り替える切替ステップと、
をコンピュータに実行させる印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−31845(P2009−31845A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192176(P2007−192176)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】