説明

厨房設備

【課題】キッチンカウンタ上方の収納部及びレンジフードを支持するとともに、良好な見栄えが得られる厨房設備を提供すること。
【解決手段】キッチンカウンタ50の上方且つ天井の下方に離間させた位置に、内部の空洞部に収納棚が設けられた横フレーム42が配設され、横フレーム42の水平方向に隣接して天井から吊下されるレンジフード46が設けられた厨房設備であって、天井に支持される吊支体64が、横フレーム42の端部を支持しており、吊支体64は、レンジフード46を被覆する化粧板58により被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンカウンタの上方且つ天井の下方に離間させた位置に、内部の空洞部に収納棚が設けられた横フレームが配設され、この横フレームの水平方向に隣接して天井から吊下されるレンジフードが設けられた厨房設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の対面キッチン等の厨房設備は、キッチンカウンタ上面に配された加熱器の上方に天井から吊下されたレンジフードがあるのみで、物品収納部としてフロアキャビネットしか存在せず、収納スペースが不足しているものがあった。他の従来の厨房設備は、キッチンカウンタの上方に吊戸棚を天井から連設配置したものがあるが、吊戸棚により圧迫感があり開放感に劣るものがあった。
【0003】
また、従来の厨房設備は、キッチンカウンタ上方位置に収納部を備えた横フレームやレンジフードを懸架する枠体を配設しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−28037号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、キッチンカウンタ上方に設けた横フレームの重量を安定して支持するため、枠体の両側部に剛性の高い支持部を立設する必要が生じ、良好な見栄えが得られないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、キッチンカウンタ上方の収納部を備えた横フレームを支持するとともに、良好な見栄えが得られる厨房設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の厨房設備は、
キッチンカウンタの上方且つ天井の下方に離間させた位置に、内部の空洞部に収納棚が設けられた横フレームが配設され、該横フレームの水平方向に隣接して前記天井から吊下されるレンジフードが設けられた厨房設備であって、
前記天井に支持される吊支体が、前記横フレームの端部を支持しており、前記吊支体は、前記レンジフードを被覆する化粧板により被覆されていることを特徴としている。
この特徴によれば、キッチンカウンタ及び天井と離間させて配設した横フレームにより、厨房設備の圧迫感を抑え開放感を維持しながら収納領域を確保できるばかりか、横フレームを支持する吊支体をレンジフードの化粧板で覆い隠すため、見栄えがよく厨房設備をダイニング等に配設しても違和感が無い。
【0008】
本発明の厨房設備は、
前記吊支体は、前記レンジフードの少なくとも一部を支持していることを特徴としている。
この特徴によれば、横フレームを支持する吊支体をレンジフードの少なくとも一部を支持する吊支体として共用でき、部品点数を減らして構造をシンプルにできる。
【0009】
本発明の厨房設備は、
前記収納棚は、各々の上端が前記横フレームの内部に枢着された複数のアームと、前記複数のアームの各々の下端に枢着された棚部とから構成され、前記アームを折り畳み前記棚部が前記空洞部内に収納される上昇位置と、前記棚部が前記空洞部の下方に配置される降下位置とに、昇降自在に設けられた昇降棚であることを特徴としている。
この特徴によれば、アームを折り畳んだ状態で昇降棚を横フレーム内に収納できるため、キッチンカウンタの上部に収納棚を設置し難いペニンシュラー型やアイランド型等のキッチンであっても、開放感を維持しつつ収納領域を増やすことができる。
【0010】
本発明の厨房設備は、
前記昇降棚は、前記アームに枢着された前記棚部が略水平を維持した状態で昇降自在に支持され、該棚板の両側端部、及び前後端部の一方に、載置物品の落下を防止する落下防止体が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、棚板の両側部及び前後端部の一方に落下防止体を設けることで、棚部に仮置きする使用態様に加え、載置物品を落下させずに棚部を昇降できる。
【0011】
本発明の厨房設備は、
前記横フレームの空洞部に、前後方向に複数の前記昇降棚が併設されており、前記複数の昇降棚は、前側の前記昇降棚が前記横フレームの前方から物品を出し入れでき、後側の前記昇降棚が前記横フレームの後方から物品を出し入れできるように、互いの前記昇降棚の背面を対向して配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、横フレームの前後何れの方向からも昇降棚に物品を出し入れできるため、厨房設備をペニンシュラー型やアイランド型等のキッチンに適用しても、キッチン側からの収納領域に加え、ダイニング側からの収納領域も確保できる。
【0012】
本発明の厨房設備は、
前記横フレームの他端部に縦フレームが連設されており、前記縦フレームは、上面に少なくともシンクを設けた前記キッチンカウンタに対し固定設置され、該縦フレームの奥行寸法は前記キッチンカウンタの奥行寸法よりも小さく、該縦フレームの奥側位置は前記シンクの奥側位置を越える位置であることを特徴としている。
この特徴によれば、横フレームの他端部が、縦フレームを介しキッチンカウンタに対し固定設置されているため、当該箇所での天井からの吊下機構を不要とし、縦フレームの奥行寸法がキッチンカウンタよりも小さいため、使用者に与える開放感を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における厨房設備を示す斜視図である。
【図2】実施例1における昇降棚を示す斜視図である。
【図3】実施例1における昇降棚が降下した状態を示す側断面図である。
【図4】実施例1における昇降棚が折り畳まれる途中の状態を示す側断面図である。
【図5】実施例1における昇降棚が折り畳まれた状態を示す側断面図である。
【図6】実施例1におけるレンジフード及び横フレーム側端部を示す断面図である。
【図7】実施例2におけるレンジフード及び横フレームを示す正面図である。
【図8】実施例2における横フレームの構成部材を示す斜視図である。
【図9】実施例2における昇降棚が折り畳まれた状態を示す側断面図である。
【図10】実施例3における昇降棚を示す側断面図である。
【図11】実施例4における可動収納体を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る厨房設備を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る厨房設備につき、図1から図6を参照して説明する。以下、厨房設備の図1紙面手前側(図3紙面左側)の使用者を中心に、厨房設備の平面視幅広方向を側方向(左右方向)とし、幅狭方向を奥行方向(前後方向)として、本実施例を説明する。
【0016】
図1に示されるように、厨房設備は、室内に固定設置された所謂ペニンシュラー型のキッチンカウンタ50と、このキッチンカウンタ50に固定に設けられた略L字状のフレーム部材41と、から主に構成されている。
【0017】
フレーム部材41は、下端部がキッチンカウンタ50の上面側端部に立設固定され略鉛直上方に延びた縦フレーム43と、縦フレーム43の上端部に連続し、キッチンカウンタ50の上方且つ天井面Tの下方に離間した位置で、キッチンカウンタ50の天板部51上面に沿って略水平方向に延びた横フレーム42と、から成る。
【0018】
キッチンカウンタ50は、什器であるシンク54、調理スペース55及び加熱器56が縦フレーム43側から側方に向けて順に天板部51に配設され、キッチンカウンタ50の加熱器56側の側端が室内の壁面Wに対し固定されている。また天板部51の下方に収容部53を備えたキャビネット52が設けられる。尚、キッチンカウンタ50に配設される什器の構成若しくは配置順は、必ずしも本実施例に限られず、適宜変更できるものとする。
【0019】
加熱器56の上方に位置する横フレーム42の側端部は、レンジフード46が構成されており、レンジフード46の上端部は天井板Sの下面である天井面Tに取付られるとともに、図6に示されるように、レンジフード46を構成する化粧板58で囲繞された排気ファン57に接続された排気管Pが、天井板Sの上方、すなわち天井裏に貫通するとともに、天井裏を水平方向に図示しない排気口まで延設されている。
【0020】
図3に示されるように、横フレーム42は、横フレーム42の前後側部を形成するフレーム本体36と、このフレーム本体36に設けられ下方に向けて開口する空洞部45を備えたフレームカバー部44と、から成り、後述する2段の棚部としての棚板5,6を備えた昇降棚1が、側方向に所定組数(本実施例では図示しないが2組)並設されている。フレームカバー部44の手前側下面には、下方を照らす照明装置26が側方向に沿って固設されている。
【0021】
図1,2に示されるように、フレームカバー部44は、外面の奥行寸法が天井側に向けて漸次小さい傾斜状に形成されている。このような構成によれば、横フレーム42が上方に向けて先細り形状に形成されるため、横フレーム42の上下厚みが薄く見えて、外観上見栄えが良く、開放感を更に高めることができる。
【0022】
縦フレーム43は、縦フレーム43の奥行寸法がキッチンカウンタ50の天板部51の奥行寸法よりも小さく形成されている。また縦フレーム43は、縦フレーム43の奥行方向の中心をキッチンカウンタ50の奥行方向の中心に大よそ合わせた位置で、且つ縦フレーム43の奥側位置がシンク54の奥側位置を越える位置で、キッチンカウンタ50に設けられている。
【0023】
図2に示されるように、縦フレーム43は、横フレーム42とキッチンカウンタ50との間に向けて開口した収納部49を備えており、この収納部49に、キッチンカウンタ50の奥行方向にスライド式に開閉する開閉扉48が設けられている。開閉扉48の手前側外面には、開閉扉48を開閉する際に使用者が把持できる凹溝状の手掛部48aが形成されている。
【0024】
収納部49内には、フック部材61及び水平方向に回転可能なバー部材62が適宜箇所に配設されており、例えば、まな板或いはおたま等の調理器具や、布巾などの物品を収納できるように成っている。このように、縦フレーム43に備えた収納部49に開閉扉48が設けられていることで、収納箇所を増やすとともに収納物を覆い隠すことができ、外観上見栄えが更に高まる。
【0025】
次に、横フレーム42の空洞部45に配置された昇降棚1の構造について、図2〜5を参照して以下に説明する。
【0026】
図3に示されるように、昇降棚1は、横フレーム42の空洞部45に前後に設けられた梁部47に取り付けられている。この昇降棚1は、台所の使用者が調理器具や食器や調味料の入った容器などを載置することができる2段の棚部としての棚板5,6と、これら棚板5,6の左右端側にそれぞれ配置され、上段の棚板5を昇降自在に支持する前後一対の上アーム8,9及び下段の棚板6を昇降自在に支持する前後一対の下アーム10,11と、から主に構成されている。
【0027】
尚、本実施例における両棚板5,6を合わせた前後幅は、空洞部45の前後幅よりも短い長さに形成されているとともに、上アーム8,9、下アーム10,11の長手長さは、空洞部45の前後幅よりも短寸に形成されており、後述する昇降棚1の上昇位置において、上段の棚板5と下段の棚板6とが前後方向に並設されるので、棚板5の下面及び棚板6の下面がフレームカバー部44の下面に略面一に位置するように、コンパクトに折り畳まれて収容され、また両棚板5,6で横フレーム42の下面をカバーできるようになっている。
【0028】
図3に示すように、昇降棚1は、上方側に取付部材7を備えており、この取付部材7がネジ(図示略)等を用いてフレームカバー部44の空洞部45内に前後に設けられた梁部47の内面に取り付けられることで、昇降棚1が横フレーム42に固定されている。この取付部材7の後部には、上段の棚板5よりも上方に配置される前後一対の上アーム8,9の上端が枢軸部12,13を介して枢着されて取付部材7から下方に吊り下げられており、上アーム8,9が枢軸部12,13を軸心として前後方向に回動できるようになっている。
【0029】
図4に示すように、上アーム8,9の下端は、棚板5の左右両端を支持する支持体20の上部に枢着されているとともに、この支持体20の下部には、棚板5よりも下方に配置される下アーム10,11の上端が枢軸部16,17を介して枢着されており、下アーム10,11が枢軸部16,17を軸心として前後方向に回動できるようになっている。また、この下段の下アーム10,11の下端は、棚板6の左右両端部に固着された支持体21の側面に枢軸部18,19を介して枢着されており、これら上アーム8,9、下アーム10,11を回動させることで棚板5,6が昇降されるようになっている。
【0030】
また、上段の棚板5の左右各端部側に、側板5aが上方に延設されている。側板5aは、空洞部45の上下高さ内に収納可能な上下高さを有している。更に、棚板5の後縁及び両側板5a,5aの後縁とに、背板5bが設けられており、すなわち上段の棚板5は、左右側及び後側が閉塞され前側が開放された構成になっており、両側板5a,5a及び背板5bが載置物品の落下を防止する落下防止体として構成される。同様に、下段の棚板6の左右各端部側に、側板6aが上方に延設されている。側板6aは、空洞部45の上下高さ内に収納可能な上下高さを有している。更に、棚板6の後縁及び両側板6a,6aの後縁とに、背板6bが設けられており、すなわち下段の棚板6は、左右側及び後側が閉塞され前側が開放された構成になっており、両側板6a,6a及び背板6bが載置物品の落下を防止する落下防止体として構成される。また、側板5a,6a若しくは背板5b,6bの高さ寸法を、空洞部45における天井までの高さよりも低く形成しておけば、棚板5,6を持ち上げた際に載置物品が前記天井と干渉しない寸法の目安とすることができる。
【0031】
このように、棚板5,6の両側部及び後端部に側板5a,6a及び背板5b,6bを設けることで、棚板5,6に仮置きする使用態様に加え、載置物品を落下させずに棚板5,6を昇降できる。尚、落下防止体として、必ずしも本実施例の側板5a,6a、背板5b,6bのように板部材から成るものに限られず、例えば落下防止体は、ワイヤー製の部材であっても構わない。
【0032】
上段の棚板5,両側板5a,5a及び背板5bと、下段の棚板6,両側板6a,6a及び背板6bとは、昇降棚1の後述する上昇位置から降下位置にかけて、互いに接触すなわち干渉しないように寸法設計されている。特に、下段の側板6aの前面が下部から上部に向けて後退する曲面形状に形成されていることで、側板6aの前面の上部と上段の棚板5の後部との接触を回避できる。
【0033】
図5に示されるように、下段に配置される棚板6の下面前部には、棚板5,6を昇降させる際に使用者が把持できる凹溝状の手掛部22が形成されており、使用者は、棚板5,6を使用するときには手掛部22を把持して棚板5,6を降下させ、棚板6を使用しないときには、棚板5,6を上昇させることで、上下段の上アーム8,9、下アーム10,11が後述するアーム連動手段を介してそれぞれ逆方向に回動し、上下方向の中央に配置される支持体20を中心として側面視で「く」の字状に屈曲してコンパクトに折り畳まることで、棚板5,6が空洞部45内に前後に並設して位置する上昇位置(図5に示される位置)に水平を維持したまま配置されるようになっている。
【0034】
このように、上下段の上アーム8,9、下アーム10,11を折り畳んだ状態で昇降棚1を横フレーム42内に収納できるため、キッチンカウンタの上部に収納棚を設置し難いペニンシュラー型やアイランド型等のキッチンであっても、開放感を維持しつつ収納領域を増やすことができる。
【0035】
更に、図3及び図4に示すように、左右の上アーム9,9の上部間及び左右の下アーム11,11の下部間には、左右に配置される上アーム9,9、下アーム11,11同士を連結する左右方向を向くフレーム23,24が設けられており、このフレーム23,24が設けられることによって、棚板5,6の左右側に配置される左右の上アーム8,9及び左右の下アーム10,11が連動し、棚板5,6が左右にがたつくことなく、円滑に昇降されるようになっている。
【0036】
フレームカバー部44の空洞部45内には、昇降棚1が前記上昇位置に折り畳まれた状態において、フレーム23の中央部が当接される当接金具(図示略)が取り付けられている。棚板5,6が上昇したときにおいて、フレーム23が前記当接金具に嵌合して当接されることで上昇が規制され、上アーム8,9及び下アーム10,11の上方への過回動を防止するようになっている。尚、本実施例の前記当接金具に替えて、マグネットなどから成る係止手段を用いても良く、棚板5,6が上昇位置にあるときにフレーム23,24が前記係止手段に当接することで上昇が規制されるようにし、すなわち前記係止手段により棚板5,6を上昇位置に維持できるようにしても良い。
【0037】
フレームカバー部44の空洞部45における手前側の下面には、横フレーム42の下方に配置されるキッチンカウンタ50上面を照らす照明装置26が配置されている。この照明装置26は、昇降棚1が降下位置(図3参照)から上昇位置(図5参照)にかけて何れに位置したときでも、昇降棚1により下方を遮られることなく、キッチンカウンタ50上面を照らすことができる位置に配設されている。
【0038】
昇降棚1について詳述すると、特に図2に示すように、上段及び下段の棚板5,6の左右に配置される上アーム8,9、下アーム10,11は、それぞれ前後方向に2本づつ配置されており、それぞれの上端及び下端が取付部材7及び支持体20,21の枢軸部12〜19に枢着されている。取付部材7及び支持体20,21に配置されるそれぞれの上アーム8,9、下アーム10,11の枢軸部12〜19は、上アーム8,9、下アーム10,11の上部側及び下部側ともに略等間隔離間されて配置されており、互いの上アーム8,9、下アーム10,11が平行を成した状態で回動できる平行リンク機構として構成されている。
【0039】
図4に示すように、左右に配置される取付部材7には、付勢手段としてのガススプリング29がそれぞれ配置されている。ガススプリング29本体の前端部は、取付部材7の前方側に設けられた枢軸部30に揺動自在に枢着されているとともに、ガススプリング29の後端部、すなわち、ガススプリング29本体に対して伸縮自在に嵌挿された伸縮ロッドの先端部は、前後一対の上アーム8,9のうちの後方側に配置されるアーム9の上端部近傍に取り付けられた枢軸金具32の先端部に形成された枢軸部31に枢着されており、この枢軸部31は、アーム9の枢軸部13から若干離れた位置に設けられている。尚、枢軸金具32は上アーム9に一体に設けられても良い。
【0040】
図3に示すように、棚板5,6が最大に降下された降下位置にあるときには、ガススプリング29が枢着される枢軸部31が、アーム9の上部に設けられた枢軸部13よりも若干手前位置にあるため、ガススプリング29は、アーム9が枢軸部13を軸心として手前側に回動する方向、すなわち棚板5,6の上昇させる方向に押圧し、上昇動作を助勢するようになっている。また棚板5,6が降下位置まで下げられると、ガススプリング29の付勢力によって棚板5,6が最大に降下した降下位置にて保持されるようになっている。
【0041】
尚、アーム9の枢軸部13とガススプリング29の枢軸部31とが、ガススプリング29の押圧方向とほぼ同一直線上に位置(若しくは前記同一直線よりも若干下方側でもよい)されたとしても、棚板5,6が降下位置にて保持される。更に尚、降下位置におけるガススプリング29の押圧力が、棚板5,6を持上げるために必要な力よりも低く設定してある場合には、ガススプリング29が枢着される枢軸部31が、アーム9の上部に設けられた枢軸部13よりも上方位置にある場合でも、棚板5,6が最大に降下した降下位置にて保持される。
【0042】
図2に示されるように、縦フレーム43に備えた収納部49を開閉する開閉扉48が、奥行方向にスライド可能に設けられているため、横フレーム42に設けられた昇降自在の昇降棚1との干渉を回避できる。すなわち棚板5,6を降下位置まで降下しても、開閉扉48が棚板5,6と当接してしまうことがない。
【0043】
図3に示されるように、昇降棚1の降下位置において、棚板5,6は、シンク54の奥行方向の大よそのセンター位置(図示一点鎖線C)よりも奥側に配置される。また上述したように、縦フレーム43の奥行寸法がキッチンカウンタ50よりも小さいため、厨房設備の開放感を維持できるばかりか、降下位置の棚板5,6がシンク54のセンター位置よりも奥側に配置されるため、棚板5,6の使用時にも使用者への圧迫感を抑え、棚板5,6に物品を出入し易い。
【0044】
また、横フレーム42の他端部が、縦フレーム43を介しキッチンカウンタ50に対し固定設置されているため、当該箇所での天井からの吊下機構を不要とし、縦フレーム43の奥行寸法がキッチンカウンタ50よりも小さいため、使用者に与える開放感を維持できる。
【0045】
そして、図4,5に示すように、使用者が手掛部22を掴んで棚板6を上方に押し上げ、ガススプリング29が枢着される枢軸部31が枢軸部13よりも若干上方に位置すると、ガススプリング29は、アーム9が枢軸部13を軸心として前方側に回動する方向、すなわち、棚板5,6を上昇させる方向に押圧付勢する。このガススプリング29の押圧付勢力によって棚板5,6が上昇し、棚板5,6の上昇をガススプリング29が補助するので、使用者が強く押し上げなくても棚板5,6を楽に上昇させることができる。
【0046】
また、棚板5,6を下げるときにおいて、ガススプリング29の付勢力により棚板5,6が自重によって急に下がるようなこともなくなり、ゆっくり降下するようになるため安全である。尚、本実施例では付勢手段としてガススプリング29を用いているが、ガススプリング29に限ることなく、ロータリー式ダンパーやコイルバネなどを用いて付勢手段を構成してもよい。
【0047】
さらに、特に詳細な図示はしないが、ガススプリング29本体に対する伸縮ロッドの摺動を、操作ボタン等の操作によって規制することができるロック機構付きのガススプリングを適用してもよく、このようにすることで、棚板5,6を適宜降下位置にて確実に保持することができるため、棚板5,6の高さ方向の降下位置を種々に変更することができる。
【0048】
図4,5に示すように、上段の支持体20の内部には、上段及び下段のいずれか一方の上アーム8,9、下アーム10,11の回動に伴って他方の上アーム8,9、下アーム10,11を回動させるための本実施例におけるアーム連動手段としての回動リンク部材37が設けられている。
【0049】
詳しくは、前後一対の上アーム8,9のうち前側に配置されるアーム8は、その下端がアーム8の枢軸部14より下方に延設され、この下端部には、回動リンク部材37が枢着された枢軸部38が設けられているとともに、前後一対の下アーム10,11のうち前側に配置されたアーム10の上端部には、回動リンク部材37が枢着される枢軸部39が形成された枢軸金具40が取り付けられている。尚、回動リンク部材37は上アーム8に一体に設けられても良く、枢軸金具40は下アーム10に一体に設けられても良い。
【0050】
よって、使用者が棚板6の手掛部22を掴んで図3に示す棚板5,6を上昇させると、図4そして図5に示すように、下段のアーム10が枢軸部16を軸心として後方側に回動され、その回動を回動リンク部材37が上段のアーム8に伝達し、上段のアーム8が枢軸部14を軸心として後方側に回動される。このように回動リンク部材37によって上段及び下段の上アーム8,9、下アーム10,11が同時に回動されるので、上段の棚板5及び下段の棚板6が、それぞれ平行リンクとして構成された上アーム8,9、下アーム10,11によって水平状態を保たれたまま同時に昇降されるようになる。
【0051】
また、図5に示されるように、昇降棚1の上昇位置において、上段の棚板5と下段の棚板6とが前後方向に並設されるとともに、棚板5の下面及び棚板6の下面がフレームカバー部44の下面に略面一に位置するため、横フレーム42の空洞部45を見栄え良く閉塞できるばかりか、棚板5,6の下面を横フレーム42の下面として形成できる。
【0052】
以上説明したように、キッチンカウンタ50及び天井と離間させて配設した横フレーム42により、厨房設備の圧迫感を抑え開放感を維持できるばかりか、横フレーム42に設けた昇降棚1の棚板5,6を、使用時には図3に示されるように物品を出入れし易い降下位置に配置できるとともに、余計となる非使用時には図5に示されるように空洞部45内に収納整理できる。
【0053】
また、横フレーム42に設けた昇降棚1の複数の棚板5,6を、使用時には使用し易い上下方向に並設できるとともに、非使用時には空洞部45内に前後に並設することで横フレーム42の上下厚みを極力薄くできる。
【0054】
次に、レンジフード46の構造について図6を参照して説明する。
【0055】
図6に示されるように、レンジフード46は、図示しないスイッチで起動される周知の排気ファン57と、排気ファン57の周囲を囲繞する化粧板58とから主に構成されており、更に化粧板58は、上下部が開放された内空構造の筒状体であって平面視略矩形状の箱体58aと、天井面Tに対し固定され箱体58aが上下動可能に嵌合される上枠体58bとから成る。
【0056】
箱体58a内面の下端部に連設される下枠60には、調理廃ガスに含まれる油脂等のレンジフード46内への侵入を防止するフィルタ63が取り付けられている。このため、排気ファン57に調理廃ガスに含まれる油脂等が付着することによって排気ファン57の吸気性能が低下してしまうことが防止されている。
【0057】
排気ファン57を起動することで、レンジフード46下方すなわち加熱器56上方の調理廃ガスを含む温気をレンジフード46内に吸気するとともに、排気ファン57に接続された排気管P内を通じて図示しない排気口を介して屋外に排気するようになっている。
【0058】
次に、レンジフード46及び横フレーム42の支持構造について説明する。
【0059】
図6に示されるように、天井板Sの上方には、本実施例の厨房設備が設置される居室の構造躯体を構成するコンクリート支持部Bが設けられており、天井板S上面とコンクリート支持部Bとの間の天井裏空間に、排気管Pのほか、図示しない配管・配線類が適宜延設されている。
【0060】
レンジフード46の直上方のコンクリート支持部Bの適所には、内周面に雌ネジ部を備えるアンカー材Dが剛設されており、このアンカー材Dに、外周面に雄ネジ部を備える棒状の吊支体64の上端部が螺合されている。レンジフード46側の吊支体64は、天井板Sを貫通して化粧板58内部にて下方に延び、吊支体64と横フレーム42とを連結する連結金具59の一端部を上下から挟むようにナット65,65が螺着され、更に吊支体64の下端部にて、下枠60に固定された固定具67を上下から挟むようにナット68,68が螺着されている。すなわちレンジフード46は、吊支体64に螺着されたナット68が下枠60に固定された固定具67を支持することで、吊支体64を介してコンクリート支持部Bに吊支されている。またレンジフード46と対抗する側の吊支体64は、天井板Sを貫通して化粧板58内部にて下方に延び、吊支体64の下端部にて、下枠60に固定された固定具67を上下から挟むようにナット68,68が螺着されている。本実施例では、吊支体64は化粧板58内部における4隅の角部近傍において、それぞれ上下方向に延設され、同様に下端部にて、下枠60に固定された固定具67を上下から挟むようにナット68が螺着されており、略全長に亘り化粧板58により被覆されている。
【0061】
連結金具59は、前記した吊支体64に螺着された両ナット65,65に支持された一端部から下方に延設され、更にレンジフード46の外側方すなわち横フレーム42内方に向けて他端部が延設されている。この連結金具59の他端部を下方に向けて貫通する固定部材66が、横フレーム42を構成し空洞部45内に張出し形成されたフレーム本体36の張出部36aに螺着している。
【0062】
すなわち横フレーム42のレンジフード46側の端部は、連結金具59及び吊支体64を介し、コンクリート支持部Bに吊支されている。上記のようにレンジフード46側の吊支体64は、レンジフード46と横フレーム42の端部とを併せて支持する共用の支持手段として構成されている。
【0063】
このような構成によれば、キッチンカウンタ50及び天井面Tと離間させて配設した横フレーム42により、厨房設備の圧迫感を抑え開放感を維持しながら収納領域を確保できるばかりか、横フレーム42を支持する吊支体64をレンジフード46の化粧板58で覆い隠すため、見栄えがよく厨房設備をダイニング等に配設しても違和感が無い。
【0064】
また、横フレーム42を支持する吊支体64をレンジフード46の一端部を支持する吊支体として共用でき、部品点数を減らして構造をシンプルにできる。
【実施例2】
【0065】
次に、実施例2に係る厨房設備につき、図7から図9を参照して説明する。尚、前記実施例と重複する構成及びその効果については説明を省略する。
【0066】
図7に示されるように、本実施例の厨房設備を構成するフレーム部材71は、下端部が図示しないキッチンカウンタの上面側端部に立設固定され略鉛直上方に延びた縦フレーム73と、縦フレーム73の上端部に接続され、前記キッチンカウンタの上方且つ天井面Tの下方に離間した位置で、前記キッチンカウンタの天板部に沿って略水平方向に延びレンジフード76に接続した横フレーム72と、から成る。
【0067】
図7及び図8に示されるように、横フレーム72は、横フレーム72の周側部、すなわち前後左右の周囲側部を形成し昇降棚1が設けられるフレーム本体77と、このフレーム本体77の上部に着脱可能に設けられるフレームカバー部74と、フレーム本体77の前後各面に取付けられる外装板78,78と、から主に構成されている。これ等外装板78,78の外面に、例えばキャビネット52の鏡板と同じ柄を施すことで、厨房設備の意匠性を向上させることができる。
【0068】
図8に示されるように、フレーム本体77は、より詳しくは、側方周囲に連続形成された平面視略矩形状の周壁部77aと、周壁部77aの上端面よりも若干下方の内面に固定され、左右2箇所にて各々が上下に貫通した開口部77c,77cを備えた内壁部77bとからなる。
【0069】
すなわち本実施例の横フレーム72の内部には、フレーム本体77により側部が囲繞されるとともにフレームカバー部74により上部が囲繞され、開口部77cにより上下に連通し且つ下方に開口した空洞部75が形成されている。
【0070】
フレームカバー部74は、内壁部77bの上面に載置してビス70等の取付手段により着脱可能に設けられ、下方に開放した凹状の空間を有する鋼板等の板状体から成っている。また昇降棚1は、内壁部77bの下面若しくは周壁部77aの内面に配置し、フレームカバー部74を取外したフレーム本体77の上方から各開口部77cを介し図示しない取付手段により、フレーム本体77に対し着脱可能に設けられている。
【0071】
このような構成によれば、横フレーム72を構成するフレームカバー部74をフレーム本体77から取外すことで、昇降棚1に対し、フレーム本体77の下方からのアプローチのみでなく、天井の下方で開放されたフレーム本体77の上方からもアプローチして、メインテナンス等の各種作業ができる。特に、上記取付手段の取付作業や照明装置用の配線作業を、フレーム本体77の上方から容易にできる。また、横フレーム72自体を取付ける場合も、フレームカバー部74を取外したフレーム本体77のみを先ず容易に取付けできるばかりか、フレームカバー部74が下方に開放した凹状の空間を有しているため、薄板であっても形状を維持できる。
【0072】
また、昇降棚1を、フレームカバー部74を取外した状態でフレーム本体77に対し取付けることで、開口部77cを介して上下に見通しよく快適に昇降棚1を取付けできるばかりか、開口部77cを介して空洞部75内の収納可能領域を大きく拡げることができる。
【0073】
図9に示されるように、フレームカバー部74は、外面の奥行寸法が天井側に向けて漸次小さい傾斜状に形成されている。このような構成によれば、横フレーム72が上方に向けて先細り形状に形成されるため、横フレーム72の上下厚みが薄く見えて、外観上見栄えが良く、開放感を更に高めることができる。
【0074】
図7及び図9に示されるように、本実施例の昇降棚1は、上下2段の棚板5,6が上述のように横フレーム72の空洞部75内に収納される上昇位置と、棚板5,6が空洞部75の下方に配置される降下位置とに昇降自在に設けられている。また上下段の各棚板5,6に、左右側端部及び後端部に載置物品の落下を防止する落下防止体としての左右両側板5a,5a、6a,6a及び背板5b、6bが取付けられている。図9に示されるように、昇降棚1の上昇位置では、空洞部75内で上下段の棚板5,6が前後に並設して配置されるとともに、上下段の各棚板5、6に取付けられた両側板5a,6a、背板5b,6b及び棚板5、6に載置した載置物品Eの各上部が開口部77cを介して内壁部77bよりも上方に位置する。
【0075】
このような構成によれば、昇降棚1の降下位置において上下段の各棚板5,6に適宜の物品を仮置き載置できるばかりか、下段の棚板6に載置物品Eを載置した状態で昇降棚1を上昇位置に配置することで横フレーム72の空洞部75内に収納できる。
【実施例3】
【0076】
次に、実施例3に係る厨房設備につき、図10を参照して説明する。尚、前記実施例と重複する構成及びその効果については説明を省略する。
【0077】
図10に示されるように、本実施例の厨房設備を構成する横フレーム82は、下方に開口する断面視略コ字形状に形成され、略コ字形状に形成された横フレーム82内部が空洞部85に形成されている。また、横フレーム82の前側(図示左側)に配設され、キッチン側である厨房設備の前方(図示左方)から物品を出し入れ可能な昇降棚1と、横フレーム82の後側(図示右側)に配設され、図示しないダイニング側である厨房設備の後方(図示右方)から物品を出し入れ可能な昇降棚1’とが、互いの背面側を対向配置させて、横フレーム82に前後に並設されている。昇降棚1,1’は、上昇位置では横フレーム82の空洞部85内に配置される。
【0078】
キッチン側である厨房設備の前方(図示左方)の昇降棚1に調理用具等を載置すると共に、ダイニング側である厨房設備の後方(図示右方)の昇降棚1’に配膳用具等を載置するなど、厨房設備の前後各方からそれぞれの昇降棚1,1’にアプローチし使用できる。
【0079】
このような構成によれば、横フレーム82の前後何れの方向からも昇降棚1,1’に物品を出し入れできるため、厨房設備をペニンシュラー型やアイランド型等のキッチンに適用しても、キッチン側からの収納領域に加え、ダイニング側からの収納領域も確保できる。
【実施例4】
【0080】
次に、実施例4に係る厨房設備につき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例と重複する構成及びその効果については説明を省略する。
【0081】
図11に示されるように、本実施例の厨房設備を構成する横フレーム92は、下方に開口する断面視略コ字形状に形成され、略コ字形状に形成された横フレーム92内部が空洞部86に形成されている。横フレーム92の前側(図示左側)に配設され、キッチン側である厨房設備の前方(図示左方)から物品を出し入れ可能な昇降棚としての可動収納体95と、横フレーム92の後側(図示右側)に配設され、図示しないダイニング側である厨房設備の後方(図示右方)から物品を出し入れ可能な可動収納体95’とが、互いの背面側を対向配置させて、横フレーム92に前後に並設されている。昇降棚95,95’は、上昇位置では横フレーム92の空洞部86内に配置される。以下、両可動収納体95,95’は、同じ構成・機能を有しているため、横フレーム92の前側(図示左側)の可動収納体95についてのみ説明する。
【0082】
可動収納体95は、棚部としての内側収納ケース93と該内側収納ケース93を外包する外側収納ケース94とからなり、該外側収納ケース94は、その閉状態(図11右側参照)から、その前方側(図示左方側)が下方に揺動開放され、内側収納ケース93は外側収納ケース94の揺動開放に伴って上方から前面下方に水平状態を維持して降下するようになっている(図11左側参照)。
【0083】
内側収納ケース93は、前面及び上面が開口する載置収納部96を有しており、この載置収納部96における載置面は水平面とされ、該載置面上には、主に転倒すると中身がこぼれる虞がある調味料等の物品が収納される。
【0084】
内側収納ケース93及び外側収納ケース94の開閉時の移動は、該両ケース93、94に連係するリンク機構90により行われるようになっている。詳しくは、横フレーム92の内底面92aには、取付具としての左右一対のベース部材91が固設されており、該左右のベース部材91それぞれに左右一対のリンク機構90の一端が取付けられ、該リンク機構90の他端に内側収納ケース93及び外側収納ケース94が取付けられている。
【0085】
具体的には、リンク機構90は、一端がベース部材91に設けた支持ピンa,b,cに回動自在に軸支される第1アーム97、第2アーム98及び第3アーム99から構成されており、第1アーム97の他端は内側収納ケース93及び外側収納ケース94の左右側板の後端上部に支持ピンdにより軸支され、第2アーム98の他端は内側収納ケース93に支持ピンeにより軸支され、第3アーム99の他端は外側収納ケース94に支持ピンfにより軸支されている。
【0086】
これらアームのうち、第1アーム97及び第2アーム98は、支持ピンa,b、d、eの平行四辺形配列による平行四節リンク機構を構成し、内側収納ケース93を水平を保持した状態で上下方向に前後しながら移動させることができる。一方、第1アーム97及び第3アーム99は支持ピンa,c、d、fの非平行四辺形配列による非平行四節リンク機構を構成し、外側収納ケース94を後方側を中心として前方側が上下方向に揺動できる。
【0087】
また、左右それぞれの第1アーム97の一端は、内側収納ケース93及び外側収納ケース94の左右側板間に渡って架設される連結材89の左右端部に連結されているため、左右の第1アーム97が同調するようになっている。
【0088】
そして、図11に示されるように、内側収納ケース93及び外側収納ケース94の最大開状態(図11左側参照)では、外側収納ケース94が前下がり傾斜状態で保持され、外側収納ケース94内部である収納部が横フレーム92の下方位置に位置するため、前記収納部に収納された物品を容易に取り出すことができるとともに、内側収納ケース93の載置収納部96も、その収容位置よりも下方で、かつ、前方側に位置するため、載置収納部96に収納された物品を容易に取り出すことができる。
【0089】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0090】
例えば、前記実施例1〜3では、棚部に棚板5,6が適用され、前記実施例4では、棚部に内側収納ケース93,外側収納ケース94が適用されていたが、このような部材からなる棚部に限定されるものではなく、前後方向に並設される複数本のパイプ等からなる水切り棚等を適用してもよい。
【0091】
また、前記実施例1では、縦フレーム43が、横フレーム42から下方に延びキッチンカウンタ50に支持されているが、例えば、縦フレームが、横フレームから上方に延び天井面に支持されていてもよい。
【0092】
また、前記実施例1では、縦フレーム43に、横フレーム42とキッチンカウンタ50との間に向けて開口した収納部49が設けられているが、この収納部49に替えて、若しくは加えて、縦フレームの例えば手前側に向けて開口した収納部が設けられていてもよいし、或いは縦フレームに収納部が設けられなくても構わない。
【0093】
また、前記実施例では、ペニンシュラー型のキッチンカウンタ50にて説明したが、例えばキッチンカウンタの加熱機器側に壁を有しないアイランド型キッチンに適用してもよく、更にキッチンカウンタの長手方向両端部に縦フレームをそれぞれ設けた態様でアイランド型キッチンに適用してもよい。更に昇降棚は、例えばダイニング側から物品を出し入れできる配置としてもよい。
【0094】
更に、前記実施例1では、横フレーム42及びレンジフード46の支持構造に関し、横フレーム42側の吊支体64を共用させて両部材を支持する構造を説明したが、例えば横フレームのみを支持する吊支体と、当該吊支体とは別個にレンジフードのみを支持する吊支体とをそれぞれ設け、これ等両吊支体をいずれもレンジフードの化粧板により被覆してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 昇降棚
5 棚板(棚部)
5a,5b 側板,背板(落下防止体)
6 棚板(棚部)
6a,6b 側板,背板(落下防止体)
8〜11 アーム
36 フレーム本体
42 横フレーム
43 縦フレーム
44 フレームカバー部
45 空洞部
46 レンジフード
48 開閉扉
49 収納部
50 キッチンカウンタ
56 加熱器
58 化粧板
64 吊支体
72 横フレーム
73 縦フレーム
74 フレームカバー部
75 空洞部
76 レンジフード
77 フレーム本体
82 横フレーム
85 空洞部
86 空洞部
92 横フレーム
93 内側収納ケース(棚部)
94 外側収納ケース(棚部)
95 可動収納体(昇降棚)
97〜99 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンカウンタの上方且つ天井の下方に離間させた位置に、内部の空洞部に収納棚が設けられた横フレームが配設され、該横フレームの水平方向に隣接して前記天井から吊下されるレンジフードが設けられた厨房設備であって、
前記天井に支持される吊支体が、前記横フレームの端部を支持しており、前記吊支体は、前記レンジフードを被覆する化粧板により被覆されていることを特徴とする厨房設備。
【請求項2】
前記吊支体は、前記レンジフードの少なくとも一部を支持していることを特徴とする請求項1に記載の厨房設備。
【請求項3】
前記収納棚は、各々の上端が前記横フレームの内部に枢着された複数のアームと、前記複数のアームの各々の下端に枢着された棚部とから構成され、前記アームを折り畳み前記棚部が前記空洞部内に収納される上昇位置と、前記棚部が前記空洞部の下方に配置される降下位置とに、昇降自在に設けられた昇降棚であることを特徴とする請求項1または2に記載の厨房設備。
【請求項4】
前記昇降棚は、前記アームに枢着された前記棚部が略水平を維持した状態で昇降自在に支持され、該棚板の両側端部、及び前後端部の一方に、載置物品の落下を防止する落下防止体が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の厨房設備。
【請求項5】
前記横フレームの空洞部に、前後方向に複数の前記昇降棚が併設されており、前記複数の昇降棚は、前側の前記昇降棚が前記横フレームの前方から物品を出し入れでき、後側の前記昇降棚が前記横フレームの後方から物品を出し入れできるように、互いの前記昇降棚の背面を対向して配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の厨房設備。
【請求項6】
前記横フレームの他端部に縦フレームが連設されており、前記縦フレームは、上面に少なくともシンクを設けた前記キッチンカウンタに対し固定設置され、該縦フレームの奥行寸法は前記キッチンカウンタの奥行寸法よりも小さく、該縦フレームの奥側位置は前記シンクの奥側位置を越える位置であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の厨房設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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