収穫機の照明構造
【課題】 夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制できるようにして、夜間作業での作業効率の向上を図れるようにする。
【解決手段】 機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部5と、機体の前方を照明する照明装置25とを配備した収穫機の照明構造において、照明装置25が、光源体31からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、クロスライティングでの光の交点pを、収穫部5の前端に備えたデバイダ11の近傍に設定してある。
【解決手段】 機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部5と、機体の前方を照明する照明装置25とを配備した収穫機の照明構造において、照明装置25が、光源体31からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、クロスライティングでの光の交点pを、収穫部5の前端に備えたデバイダ11の近傍に設定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、サンデーファーマーの増加に伴って、夜間に収穫作業を行う割合も増加し、特に、麦の収穫のように収穫時期が集中する場合には、収穫作業が夜間にまで及ぶことが多くなっている。
【0003】
そこで、コンバインなどの収穫機においては、前照灯装置によって、収穫部に備えた分草具(デバイダ)の先端部、および、分草具の前方を照明するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。また、前照灯におけるリフレクタの反射面に、前照灯の光源体からの光を収穫部に向けて照射する反射領域を設けたものもある(例えば特許文献2参照)。さらに、収穫部の横側方から収穫部に備えた複数のデバイダに向けて照射する前照灯を装備したものもある(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−55094号公報
【特許文献2】特開2007−72号公報
【特許文献3】特開2007−75号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、夜間の収穫作業時には、収穫部に備えたデバイダやその周囲の収穫作物などを、照明装置によって明るく照明することができる。これにより、夜間の収穫作業時においても、デバイダと収穫作物との位置関係などを把握する際の視認性が向上し、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、収穫部に備えたデバイダやその周囲の収穫作物などを、照明装置によって均一に照明するだけであることから、例えば、植立穀稈の倒伏が激しい圃場において夜間作業を行う場合には、デバイダと収穫作物との位置関係などを把握する際の視認性が低下する虞があり、視認性が低下する場合には、前述した条合わせなどが行い難くなることから、作業効率の低下を招くことになる。
【0006】
本発明の目的は、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制できるようにして、夜間作業での作業効率の向上を図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造において、
前記照明装置が、光源体からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、
前記クロスライティングでの前記光の交点を、前記収穫部の前端に備えたデバイダの近傍に設定してあることを特徴とする。
【0008】
この特徴構成によると、クロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。これにより、機体の前方を均一に照明する場合に比較して、デバイダに対する視認性を高めることができる。その結果、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0009】
従って、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【0010】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
前記照明装置を、機体の左右に備えた前照灯により構成し、
前記照明装置が、左右の前記前照灯にそれぞれ備えた光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0011】
この特徴構成によると、機体の左側に備えた前照灯の光源体からの光と、機体の右側に備えた前照灯の光源体からの光とを交差させるクロスライティングによって、機体の前方を左右方向においてより広範囲に照明するようにしながら、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0012】
これにより、夜間における機体前方側での視認可能範囲をより広く確保できるようにして、機体前方の走行路面の状況や機体の左右幅などの把握を容易に行えるようにしながら、デバイダに対する視認性を高めることができる。その結果、夜間の移動走行や作業走行を行い易くしながら、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0013】
従って、夜間作業での移動走行性や作業走行性の向上を図りながら、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、結果、夜間作業での作業効率の向上をより効果的に図ることができる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の発明において、
前記照明装置を、複数の光源体を備える前照灯により構成し、
前記照明装置が、前記前照灯の前記複数の光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0015】
この特徴構成によると、単一の前照灯に備えたいくつかまたは全ての光源体からの光を交差させるクロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0016】
つまり、複数の前照灯を備える場合に比較して部品点数の削減を図りながら、デバイダに対する視認性を高めることができ、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができる。
【0017】
従って、構成の簡素化やコストの削減を図りながら、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記光源体として発光ダイオードを採用し、
複数の前記発光ダイオードを組み合わせて照明ユニットを構成し、
前記照明装置が、前記照明ユニットの前記複数の発光ダイオードからの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0019】
この特徴構成によると、照明ユニットを構成するいくつかまたは全ての発光ダイオードからの光を交差させるクロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0020】
つまり、光源体として、ハロゲンバルブや高輝度放電灯(HID)などに比較して、安価で発熱し難く寿命が長い上に消費電力の少ない発光ダイオードを採用して、照明に要するコストの削減を大幅に図るようにしながら、デバイダに対する視認性を高めることができ、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができる。
【0021】
従って、コストの削減を効果的に図りながら、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1には、走行に伴って水稲や麦などの作物を収穫する3条収穫用のコンバイン(収穫機の一例)の全体側面図が示されている。また、図2にはその全体平面が示されている。これらの図に示すように、このコンバインは、角パイプ材などによって機体フレーム1が形成されている。機体フレーム1の右前部には、エンジン2などが搭載されるとともに搭乗運転部3が形成されている。機体フレーム1の下部には、エンジン2からの動力で駆動される左右一対のクローラ式走行装置4が配備されている。機体フレーム1の左前部には、3条刈り用の刈取搬送部(収穫部の一例)5が昇降可能に連結されている。機体フレーム1の左後部には、エンジン2からの動力で駆動される脱穀装置6が搭載されている。脱穀装置6の後部には、エンジン2からの動力で駆動される排ワラ処理装置7が装備されている。機体フレーム1の右後部には、エンジン1からの動力で駆動される穀粒排出装置8を備えた穀粒タンク9が搭載されている。
【0023】
図1〜3に示すように、刈取搬送部5は、丸パイプ材などによって形成された刈取フレーム10が機体フレーム1に上下揺動可能に連結されている。刈取搬送部5の前端には、機体の前方に位置する植立穀稈を、機体の走行に伴って植え付け条ごとに梳き分けながら梳き起こす4つのデバイダ11が配備されている。刈取搬送部5におけるデバイダ11の後方には、梳き起こされた各植立穀稈を所定の刈取姿勢に引き起こす3つの引起装置12が立設されている。刈取搬送部5における引起装置12の下端後方には、引き起こされた各植立穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈取装置13が配備されている。刈取搬送部5における刈取装置13の上方には、株元側が切断された植立穀稈(刈取穀稈)を刈取搬送部5の左右中央に寄せ集める補助搬送装置14などが配備されている。刈取搬送部5の左後部には、刈取搬送部5の左右中央に寄せ集められた刈取穀稈を起立姿勢から右倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方の脱穀装置6に向けて搬送する穀稈搬送装置15が配備されている。機体フレーム1と刈取フレーム10とにわたって、刈取搬送部5を昇降駆動する油圧式の昇降シリンダ16が架設されている。
【0024】
つまり、刈取搬送部5は、機体の走行に伴って3条の植立穀稈を刈り取るとともに、刈り取った植立穀稈(刈取穀稈)を所定の脱穀姿勢に姿勢変更しながら脱穀装置6に向けて搬送し、かつ、昇降シリンダ16の作動で昇降するように構成されている。
【0025】
図示は省略するが、脱穀装置6は、刈取搬送部5から受け取った刈取穀稈を後方に向けて搬送しながら、その穂先側に対して脱穀処理を施す。この脱穀処理で得られた処理物に対しては、篩い選別や風力選別による選別処理を施す。この選別処理で得られた単粒化穀粒を穀粒タンク9に供給し、未単粒化穀粒などに対しては再び脱穀処理や選別処理を施し、切れワラやワラ屑などの塵埃を機外に排出する。また、脱穀処理後の刈取穀稈(排ワラ)を排ワラ処理装置7に向けて搬送する。
【0026】
排ワラ処理装置7は、脱穀装置6からの排ワラをそのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、脱穀装置6からの排ワラを細断する細断放出状態とに、放出状態の切り換えが可能となるように構成されている。また、エンジン2からの動力で駆動されることにより、排ワラに対する細断処理が可能となる。
【0027】
穀粒排出装置8は、エンジン2からの動力で駆動されることにより、穀粒タンクに貯留された穀粒を機外の所定位置(例えばトラックの荷台など)に排出する。
【0028】
図1〜3に示すように、搭乗運転部3は、機体フレーム1の右前端部に立設したフロントパネル17に操縦レバー18や表示パネル19などが装備されている。刈取搬送部5との境界として立設されたサイドパネル20に主変速レバー21や副変速レバー22などが装備されている。エンジン2を上方から覆うエンジンカバー23に運転座席24が装備されている。
【0029】
操縦レバー18は、十字揺動式で中立復帰型に構成されている。また、その前後方向への揺動操作に基づいて刈取搬送部5が昇降し、かつ、左右方向への揺動操作に基づいて機体の方向転換が行われるように、刈取搬送部5の昇降駆動系や左右のクローラ式走行装置4の伝動系に、機械式の連係機構(図示せず)を介して操作連係されている。
【0030】
フロントパネル17は、その前面の右上側部分が前方に向けて膨出するように形成されている。これにより、搭乗運転部3の足元空間を狭めることなく、フロントパネル17の右側内部に、操縦レバー18に対する連係機構を配備することが可能な大きい空間が確保されている。
【0031】
図1〜4に示すように、このコンバインには、機体の前方を照明する照明装置25が装備されている。照明装置25は、正面視楕円形の前照灯26によって構成されている。前照灯26は、正面視楕円形のベースプレート27に、3つの照明ユニット28と、正面視楕円形で側面視お椀状に膨出形成された無色透明のカバー29とを備えて構成され、フロントパネル17における前面の右上側部分に、その上部側が下部側よりも刈取搬送部5に近づく左倒れ姿勢(正面視右上がり姿勢)で組み付けられている。
【0032】
前照灯26において、ベースプレート27は、その表面が反射面として機能するように表面にアルミ蒸着処理が施されている。ベースプレート27には、照明ユニット取り付け用の3つの取付孔27Aが、その長手方向に一定距離を隔てて一列に整列形成されている。3つの照明ユニット28のうち、最上位に位置する照明ユニット28は、機体の左前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の最上位の取付孔27Aに内嵌装着されている。上下中間に位置する照明ユニット28は、機体の左右中央前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の上下中間の取付孔27Aに内嵌装着されている。最下位に位置する照明ユニット28は、機体の右前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の最下位の取付孔27Aに内嵌装着されている。
【0033】
各照明ユニット28は、アルミ蒸着処理によって表面が反射面に形成されたリフレクタ30と、そのリフレクタ30に光源体31として取り付けられた5つの発光ダイオード(以下、LEDと略称する)とを備えて構成されている。リフレクタ30は、その中心と、中心を交点とする直交線上における中心から一定距離を隔てる4つの所定位置とに、それぞれLED31が配備されている。また、リフレクタ30における4つの所定位置には、対応するLED31からの光を、そのLED31の照射方向に向けて反射させるリフレクタ部30Aが形成されている。各リフレクタ部30Aは、正面視楕円形で、その最短径がリフレクタ30の径方向に沿う姿勢に姿勢設定され、対応するLED31からの光を、その長手方向に広角に反射させるように形成されている。つまり、各照明ユニット28には、対応するLED31の配光特性を高めるリフレクタ部30Aが備えられている。
【0034】
最上位の照明ユニット28および上下中間の照明ユニット28において、各LED31は、前照灯26をフロントパネル17に組み付けた場合に、照明ユニット28の中心に配置されたLED31の上下左右に他のLED31が位置する十字状に並ぶように配置設定されている。また、最下位の照明ユニット28において、各LED31は、前照灯26をフロントパネル17に組み付けた場合に、照明ユニット28の中心に配置されたLED31に対する斜め45度の位置に他のLED31が位置するX字状に並ぶように配置設定されている。
【0035】
最上位の照明ユニット28は、遠方照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。上下中間の照明ユニット28は、中間照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の左右中央に位置する2つのデバイダ11の近傍前方に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。最下位の照明ユニット28は、近傍照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。そして、最下位の照明ユニット28においては、その最下位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、最下位に位置する2つのLED31の照射方向が設定されている。
【0036】
つまり、このコンバインにおいては、3つの照明ユニット28を備える3灯式に構成された前照灯26をフロントパネル17の最前端位置に配備し、かつ、各照明ユニット28による照明を機体前方の左右方向と遠近方向とに適切に振り分けたことで、夜間の移動走行時や作業走行時においては、機体の前方をより広範囲に明るく照明することができる。これにより、夜間における機体前方側での視認可能範囲が広くなり、機体前方の走行路面の状況や機体の左右幅などが把握し易くなることから、夜間での移動走行や作業走行が行い易くなる。
【0037】
さらに、走行面に近い最下位の照明ユニット28によって機体の右前方を重点的に照明することから、夜間の作業走行時には、機体の右側方に位置する畦や切株などに対する視認性が向上し、また、夜間の移動走行時には、農道の横側方に位置する溝などに対する視認性が向上する。これにより、夜間の作業走行時においては、畦や切株などに沿わせた走行が行い易くなり、また、夜間の移動走行時においては、側溝などから一定距離を隔てた走行などが行い易くなる。
【0038】
しかも、収穫作物に対して各デバイダ11を適切に位置させる条合わせの基準となる機体右端のデバイダ11を、その近傍に光線aの交点pが位置するように照射方向が設定された2つのLED31からの光によるクロスライティングによって、集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。これにより、機体の前方を均一に照明する場合に比較して、機体右端のデバイダ11に対する視認性を高めることができ、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、機体右端のデバイダ11を基準とした条合わせを適正かつ容易に行うことができる。
【0039】
その結果、夜間作業での移動走行性や作業走行性の向上を図りながら、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、よって、夜間作業での作業効率の向上を効果的に図ることができる。特に、機体右端のデバイダ11を基準とした条合わせを適正かつ容易に行えることにより、搭乗運転部3を圃場の既刈り側に位置させた状態で、未刈り穀稈における外周部側の植立穀稈から順に収穫する回り刈り作業などを行う上において重要な、機体右端のデバイダ11と、未刈り穀稈の最外方に位置する植立穀稈との位置合わせも行い易くなり、よって、夜間での回り刈り作業などにおける作業効率の向上を効果的に図ることができる。
【0040】
なお、図3に示す符号32は、機体の前部に備えた左右一対のウィンカである。
【0041】
〔別実施形態〕
【0042】
〔1〕収穫機としては、2条刈り用の刈取搬送部5や4条刈り用以上の刈取搬送部5を収穫部5の一例として機体の前部に配備したコンバインであってもよい。また、人参や大根あるいは玉葱などの葉茎を挟持して、それらを圃場から引き抜きながら搬送する引抜搬送装置を収穫部5の一例として機体の前部に配備した根菜収穫用や玉葱収穫用などの収穫機であってもよい。
【0043】
〔2〕収穫部5としては、機体フレーム1に対して左右方向にスライド変位可能に構成されたものであってもよい。また、機体フレーム1の左前端部を支点にした機体左外方への揺動変位が可能となるように構成されたものであってもよい。
【0044】
〔3〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31の照射方向を設定したものであってもよい。具体的には、例えば、最下位の照明ユニット28において、その最上位に位置する2つのLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最上位に位置する2つのLED31の照射方向を設定してもよい。また、最下位の照明ユニット28において、その最下位に位置する2つのLED31からの光と、中心に位置するLED31からの光とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最上位に位置する2つのLED31と中心に位置するLED31とのそれぞれの照射方向を設定してもよい。
【0045】
〔4〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11以外の他のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。
【0046】
〔5〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、いずれか一つのデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最下位の照明ユニット28における他の複数のLED31からの光が、他のいずれか一つのデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。具体的には、例えば、図5に示すように、最下位の照明ユニット28における、最下位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体右端のデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0047】
〔6〕照明装置25としては、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の前端に配置したいずれかのデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。また、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。
【0048】
〔7〕照明装置25としては、単一の前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうちのいずれか複数または全てが、それぞれのいずれか複数のLED31からの光を、対応するいずれかのデバイダ11の近傍において交差させるように構成されたものであってもよい。具体的には、例えば、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。また、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。さらに、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0049】
〔8〕照明装置25としては、単一の前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうちのいずれか複数または全てが、それらのいずれかのLED31からの光を、対応するいずれかのデバイダ11の近傍において交差させるように構成されたものであってもよい。具体的には、例えば、図6に示すように、最下位の照明ユニット28におけるいずれかのLED31からの光(光線a)と、上下中間の照明ユニット28におけるいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0050】
〔9〕照明装置25を、機体の左右に配備した一対の前照灯26により構成し、左右一方の前照灯26に備えた光源体31からの光と、左右他方の前照灯26に備えた光源体31からの光とが、機体の前端に備えたいずれかのデバイダ11の近傍において交差するように構成してもよい。具体的には、例えば、図7および図8に示すように、照明装置25を、刈取収穫部5の左右両端上部に配備した一対の前照灯26で構成し、各前照灯26として、上記の実施形態と同じ3つの照明ユニット28を備える3灯式のものを採用し、左側の前照灯26における最上位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)と、右側の前照灯26における最下位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、左側の前照灯26における最下位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)と、右側の前照灯26における最上位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0051】
〔10〕図9に示すように、照明装置25を、刈取収穫部5の左右両端上部に配備した一対の前照灯26で構成し、機体左側の前照灯26においては、その最上位の照明ユニット28が、遠方照射用として、機体の右端に位置するデバイダ11の前方を照射し、上下中間の照明ユニット28が、中間照射用として、機体の左右中央に位置するデバイダ11の近傍前方を照射し、最下位の照明ユニット28が、近傍照射用として、機体の左端に位置するデバイダ11やその周辺を照射し、かつ、その最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定し、また、機体右側の前照灯26においては、その最上位の照明ユニット28が、遠方照射用として、機体の左端に位置するデバイダ11の前方を照射し、上下中間の照明ユニット28が、中間照射用として、機体の左右中央に位置するデバイダ11の近傍前方を照射し、最下位の照明ユニット28が、近傍照射用として、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺を照射し、かつ、その最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0052】
〔11〕前照灯26に備える照明ユニット28の数量としては種々の変更が可能であり、例えば、前照灯26に単一の照明ユニット28または2つの照明ユニット28を備えるようにしてもよく、また、4つ以上の照明ユニット28を備えるようにしてもよい。前照灯26に2つの照明ユニット28を備えた場合には、例えば、第1具体例として、図10に示すように、2つの照明ユニット28が上下に並ぶように前照灯26を縦長姿勢でフロントパネル17に装備し、下側の照明ユニット28を、近傍照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうとともに、いずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、下側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定し、かつ、上側の照明ユニット28を、遠方照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、上側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定してもよい。また、第2具体例として、図11に示すように、上側の照明ユニット28を、近傍照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうとともに、いずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、上側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定し、かつ、下側の照明ユニット28を、遠方照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、下側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定してもよい。
【0053】
〔12〕前照灯26としては、図12に示すように、フロントパネル17に組み付けた場合に、前照灯26に備えた全ての照明ユニット28において、各LED31が十字状に並ぶように構成されたものであってもよい。また、図示は省略するが、フロントパネル17に組み付けた場合に、前照灯26に備えた全ての照明ユニット28において、各LED31がX字状に並ぶように構成されたものであってもよい。
【0054】
〔13〕前照灯26としては、図13に示すように、前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうち、最下位の照明ユニット28がより機体下方側に位置するように、下側2つの照明ユニット28の配置間隔が上側2つの照明ユニット28の配置間隔よりも大きくなるように配置設定したものであってもよい。また、図示は省略するが、前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうち、下側2つの照明ユニット28がより機体下方側に位置するように、上側2つの照明ユニット28の配置間隔が下側2つの照明ユニット28の配置間隔よりも大きくなるように配置設定したものであってもよい。
【0055】
〔14〕前照灯26の形状や組み付け姿勢としては種々の変更が可能である。例えば、前照灯26を正面視縦長の小判形や正面視円形などに形成してもよい。また、前照灯26を、その上下両部の収穫部5からの距離が同じになる垂直姿勢や、その下部側が上部側よりも収穫部5に近づく右倒れ姿勢(正面視左上がり姿勢)で配備するようにしてもよい。
【0056】
〔15〕図5および図7〜9に示すように、前照灯26におけるカバー29の上下中間部にウィンカ32を一体装備して、カバー29の剛性を高めるようにしてもよい。
【0057】
〔16〕照明ユニット28におけるLED31の装備数量は種々の変更が可能である。
【0058】
〔17〕光源体31として、ハロゲンバルブや高輝度放電灯(HID)などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインにおける要部の平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】前照灯の正面図
【図5】別実施形態〔5〕および〔15〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図6】別実施形態〔8〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図7】別実施形態〔9〕および〔15〕の具体例を示すコンバイン前部の平面図
【図8】別実施形態〔9〕および〔15〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図9】別実施形態〔10〕および〔15〕での照射構造を示すコンバイン前半部の正面図
【図10】別実施形態〔11〕の第1具体例を示すコンバイン前半部の正面図
【図11】別実施形態〔11〕の第2具体例を示すコンバイン前半部の正面図
【図12】別実施形態〔12〕での前照灯の構成を示す前照灯の正面図
【図13】別実施形態〔13〕での前照灯の構成を示す前照灯の正面図
【符号の説明】
【0060】
5 収穫部
11 デバイダ
25 照明装置
26 前照灯
28 照明ユニット
31 光源体(発光ダイオード)
p 光の交点
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、サンデーファーマーの増加に伴って、夜間に収穫作業を行う割合も増加し、特に、麦の収穫のように収穫時期が集中する場合には、収穫作業が夜間にまで及ぶことが多くなっている。
【0003】
そこで、コンバインなどの収穫機においては、前照灯装置によって、収穫部に備えた分草具(デバイダ)の先端部、および、分草具の前方を照明するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。また、前照灯におけるリフレクタの反射面に、前照灯の光源体からの光を収穫部に向けて照射する反射領域を設けたものもある(例えば特許文献2参照)。さらに、収穫部の横側方から収穫部に備えた複数のデバイダに向けて照射する前照灯を装備したものもある(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−55094号公報
【特許文献2】特開2007−72号公報
【特許文献3】特開2007−75号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、夜間の収穫作業時には、収穫部に備えたデバイダやその周囲の収穫作物などを、照明装置によって明るく照明することができる。これにより、夜間の収穫作業時においても、デバイダと収穫作物との位置関係などを把握する際の視認性が向上し、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、収穫部に備えたデバイダやその周囲の収穫作物などを、照明装置によって均一に照明するだけであることから、例えば、植立穀稈の倒伏が激しい圃場において夜間作業を行う場合には、デバイダと収穫作物との位置関係などを把握する際の視認性が低下する虞があり、視認性が低下する場合には、前述した条合わせなどが行い難くなることから、作業効率の低下を招くことになる。
【0006】
本発明の目的は、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制できるようにして、夜間作業での作業効率の向上を図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造において、
前記照明装置が、光源体からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、
前記クロスライティングでの前記光の交点を、前記収穫部の前端に備えたデバイダの近傍に設定してあることを特徴とする。
【0008】
この特徴構成によると、クロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。これにより、機体の前方を均一に照明する場合に比較して、デバイダに対する視認性を高めることができる。その結果、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0009】
従って、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【0010】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
前記照明装置を、機体の左右に備えた前照灯により構成し、
前記照明装置が、左右の前記前照灯にそれぞれ備えた光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0011】
この特徴構成によると、機体の左側に備えた前照灯の光源体からの光と、機体の右側に備えた前照灯の光源体からの光とを交差させるクロスライティングによって、機体の前方を左右方向においてより広範囲に照明するようにしながら、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0012】
これにより、夜間における機体前方側での視認可能範囲をより広く確保できるようにして、機体前方の走行路面の状況や機体の左右幅などの把握を容易に行えるようにしながら、デバイダに対する視認性を高めることができる。その結果、夜間の移動走行や作業走行を行い易くしながら、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、収穫作物に対する適切な位置にデバイダを位置させる条合わせなどを容易かつ迅速に行える。
【0013】
従って、夜間作業での移動走行性や作業走行性の向上を図りながら、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、結果、夜間作業での作業効率の向上をより効果的に図ることができる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の発明において、
前記照明装置を、複数の光源体を備える前照灯により構成し、
前記照明装置が、前記前照灯の前記複数の光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0015】
この特徴構成によると、単一の前照灯に備えたいくつかまたは全ての光源体からの光を交差させるクロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0016】
つまり、複数の前照灯を備える場合に比較して部品点数の削減を図りながら、デバイダに対する視認性を高めることができ、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができる。
【0017】
従って、構成の簡素化やコストの削減を図りながら、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記光源体として発光ダイオードを採用し、
複数の前記発光ダイオードを組み合わせて照明ユニットを構成し、
前記照明装置が、前記照明ユニットの前記複数の発光ダイオードからの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする。
【0019】
この特徴構成によると、照明ユニットを構成するいくつかまたは全ての発光ダイオードからの光を交差させるクロスライティングによって、デバイダの近傍を集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。
【0020】
つまり、光源体として、ハロゲンバルブや高輝度放電灯(HID)などに比較して、安価で発熱し難く寿命が長い上に消費電力の少ない発光ダイオードを採用して、照明に要するコストの削減を大幅に図るようにしながら、デバイダに対する視認性を高めることができ、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができる。
【0021】
従って、コストの削減を効果的に図りながら、夜間作業での作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1には、走行に伴って水稲や麦などの作物を収穫する3条収穫用のコンバイン(収穫機の一例)の全体側面図が示されている。また、図2にはその全体平面が示されている。これらの図に示すように、このコンバインは、角パイプ材などによって機体フレーム1が形成されている。機体フレーム1の右前部には、エンジン2などが搭載されるとともに搭乗運転部3が形成されている。機体フレーム1の下部には、エンジン2からの動力で駆動される左右一対のクローラ式走行装置4が配備されている。機体フレーム1の左前部には、3条刈り用の刈取搬送部(収穫部の一例)5が昇降可能に連結されている。機体フレーム1の左後部には、エンジン2からの動力で駆動される脱穀装置6が搭載されている。脱穀装置6の後部には、エンジン2からの動力で駆動される排ワラ処理装置7が装備されている。機体フレーム1の右後部には、エンジン1からの動力で駆動される穀粒排出装置8を備えた穀粒タンク9が搭載されている。
【0023】
図1〜3に示すように、刈取搬送部5は、丸パイプ材などによって形成された刈取フレーム10が機体フレーム1に上下揺動可能に連結されている。刈取搬送部5の前端には、機体の前方に位置する植立穀稈を、機体の走行に伴って植え付け条ごとに梳き分けながら梳き起こす4つのデバイダ11が配備されている。刈取搬送部5におけるデバイダ11の後方には、梳き起こされた各植立穀稈を所定の刈取姿勢に引き起こす3つの引起装置12が立設されている。刈取搬送部5における引起装置12の下端後方には、引き起こされた各植立穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈取装置13が配備されている。刈取搬送部5における刈取装置13の上方には、株元側が切断された植立穀稈(刈取穀稈)を刈取搬送部5の左右中央に寄せ集める補助搬送装置14などが配備されている。刈取搬送部5の左後部には、刈取搬送部5の左右中央に寄せ集められた刈取穀稈を起立姿勢から右倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方の脱穀装置6に向けて搬送する穀稈搬送装置15が配備されている。機体フレーム1と刈取フレーム10とにわたって、刈取搬送部5を昇降駆動する油圧式の昇降シリンダ16が架設されている。
【0024】
つまり、刈取搬送部5は、機体の走行に伴って3条の植立穀稈を刈り取るとともに、刈り取った植立穀稈(刈取穀稈)を所定の脱穀姿勢に姿勢変更しながら脱穀装置6に向けて搬送し、かつ、昇降シリンダ16の作動で昇降するように構成されている。
【0025】
図示は省略するが、脱穀装置6は、刈取搬送部5から受け取った刈取穀稈を後方に向けて搬送しながら、その穂先側に対して脱穀処理を施す。この脱穀処理で得られた処理物に対しては、篩い選別や風力選別による選別処理を施す。この選別処理で得られた単粒化穀粒を穀粒タンク9に供給し、未単粒化穀粒などに対しては再び脱穀処理や選別処理を施し、切れワラやワラ屑などの塵埃を機外に排出する。また、脱穀処理後の刈取穀稈(排ワラ)を排ワラ処理装置7に向けて搬送する。
【0026】
排ワラ処理装置7は、脱穀装置6からの排ワラをそのまま機外に放出する長ワラ放出状態と、脱穀装置6からの排ワラを細断する細断放出状態とに、放出状態の切り換えが可能となるように構成されている。また、エンジン2からの動力で駆動されることにより、排ワラに対する細断処理が可能となる。
【0027】
穀粒排出装置8は、エンジン2からの動力で駆動されることにより、穀粒タンクに貯留された穀粒を機外の所定位置(例えばトラックの荷台など)に排出する。
【0028】
図1〜3に示すように、搭乗運転部3は、機体フレーム1の右前端部に立設したフロントパネル17に操縦レバー18や表示パネル19などが装備されている。刈取搬送部5との境界として立設されたサイドパネル20に主変速レバー21や副変速レバー22などが装備されている。エンジン2を上方から覆うエンジンカバー23に運転座席24が装備されている。
【0029】
操縦レバー18は、十字揺動式で中立復帰型に構成されている。また、その前後方向への揺動操作に基づいて刈取搬送部5が昇降し、かつ、左右方向への揺動操作に基づいて機体の方向転換が行われるように、刈取搬送部5の昇降駆動系や左右のクローラ式走行装置4の伝動系に、機械式の連係機構(図示せず)を介して操作連係されている。
【0030】
フロントパネル17は、その前面の右上側部分が前方に向けて膨出するように形成されている。これにより、搭乗運転部3の足元空間を狭めることなく、フロントパネル17の右側内部に、操縦レバー18に対する連係機構を配備することが可能な大きい空間が確保されている。
【0031】
図1〜4に示すように、このコンバインには、機体の前方を照明する照明装置25が装備されている。照明装置25は、正面視楕円形の前照灯26によって構成されている。前照灯26は、正面視楕円形のベースプレート27に、3つの照明ユニット28と、正面視楕円形で側面視お椀状に膨出形成された無色透明のカバー29とを備えて構成され、フロントパネル17における前面の右上側部分に、その上部側が下部側よりも刈取搬送部5に近づく左倒れ姿勢(正面視右上がり姿勢)で組み付けられている。
【0032】
前照灯26において、ベースプレート27は、その表面が反射面として機能するように表面にアルミ蒸着処理が施されている。ベースプレート27には、照明ユニット取り付け用の3つの取付孔27Aが、その長手方向に一定距離を隔てて一列に整列形成されている。3つの照明ユニット28のうち、最上位に位置する照明ユニット28は、機体の左前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の最上位の取付孔27Aに内嵌装着されている。上下中間に位置する照明ユニット28は、機体の左右中央前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の上下中間の取付孔27Aに内嵌装着されている。最下位に位置する照明ユニット28は、機体の右前方を重点的に照明するように向き設定された状態で、ベースプレート27の最下位の取付孔27Aに内嵌装着されている。
【0033】
各照明ユニット28は、アルミ蒸着処理によって表面が反射面に形成されたリフレクタ30と、そのリフレクタ30に光源体31として取り付けられた5つの発光ダイオード(以下、LEDと略称する)とを備えて構成されている。リフレクタ30は、その中心と、中心を交点とする直交線上における中心から一定距離を隔てる4つの所定位置とに、それぞれLED31が配備されている。また、リフレクタ30における4つの所定位置には、対応するLED31からの光を、そのLED31の照射方向に向けて反射させるリフレクタ部30Aが形成されている。各リフレクタ部30Aは、正面視楕円形で、その最短径がリフレクタ30の径方向に沿う姿勢に姿勢設定され、対応するLED31からの光を、その長手方向に広角に反射させるように形成されている。つまり、各照明ユニット28には、対応するLED31の配光特性を高めるリフレクタ部30Aが備えられている。
【0034】
最上位の照明ユニット28および上下中間の照明ユニット28において、各LED31は、前照灯26をフロントパネル17に組み付けた場合に、照明ユニット28の中心に配置されたLED31の上下左右に他のLED31が位置する十字状に並ぶように配置設定されている。また、最下位の照明ユニット28において、各LED31は、前照灯26をフロントパネル17に組み付けた場合に、照明ユニット28の中心に配置されたLED31に対する斜め45度の位置に他のLED31が位置するX字状に並ぶように配置設定されている。
【0035】
最上位の照明ユニット28は、遠方照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。上下中間の照明ユニット28は、中間照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の左右中央に位置する2つのデバイダ11の近傍前方に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。最下位の照明ユニット28は、近傍照射用で、各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうように、各LED31の照射方向が設定されている。そして、最下位の照明ユニット28においては、その最下位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、最下位に位置する2つのLED31の照射方向が設定されている。
【0036】
つまり、このコンバインにおいては、3つの照明ユニット28を備える3灯式に構成された前照灯26をフロントパネル17の最前端位置に配備し、かつ、各照明ユニット28による照明を機体前方の左右方向と遠近方向とに適切に振り分けたことで、夜間の移動走行時や作業走行時においては、機体の前方をより広範囲に明るく照明することができる。これにより、夜間における機体前方側での視認可能範囲が広くなり、機体前方の走行路面の状況や機体の左右幅などが把握し易くなることから、夜間での移動走行や作業走行が行い易くなる。
【0037】
さらに、走行面に近い最下位の照明ユニット28によって機体の右前方を重点的に照明することから、夜間の作業走行時には、機体の右側方に位置する畦や切株などに対する視認性が向上し、また、夜間の移動走行時には、農道の横側方に位置する溝などに対する視認性が向上する。これにより、夜間の作業走行時においては、畦や切株などに沿わせた走行が行い易くなり、また、夜間の移動走行時においては、側溝などから一定距離を隔てた走行などが行い易くなる。
【0038】
しかも、収穫作物に対して各デバイダ11を適切に位置させる条合わせの基準となる機体右端のデバイダ11を、その近傍に光線aの交点pが位置するように照射方向が設定された2つのLED31からの光によるクロスライティングによって、集中的に適切な輝度でより明るく照明することができる。これにより、機体の前方を均一に照明する場合に比較して、機体右端のデバイダ11に対する視認性を高めることができ、植立穀稈の倒伏が激しい圃場での夜間作業においても、機体右端のデバイダ11を基準とした条合わせを適正かつ容易に行うことができる。
【0039】
その結果、夜間作業での移動走行性や作業走行性の向上を図りながら、夜間作業における倒伏穀稈などに起因した作業効率の低下を抑制することができ、よって、夜間作業での作業効率の向上を効果的に図ることができる。特に、機体右端のデバイダ11を基準とした条合わせを適正かつ容易に行えることにより、搭乗運転部3を圃場の既刈り側に位置させた状態で、未刈り穀稈における外周部側の植立穀稈から順に収穫する回り刈り作業などを行う上において重要な、機体右端のデバイダ11と、未刈り穀稈の最外方に位置する植立穀稈との位置合わせも行い易くなり、よって、夜間での回り刈り作業などにおける作業効率の向上を効果的に図ることができる。
【0040】
なお、図3に示す符号32は、機体の前部に備えた左右一対のウィンカである。
【0041】
〔別実施形態〕
【0042】
〔1〕収穫機としては、2条刈り用の刈取搬送部5や4条刈り用以上の刈取搬送部5を収穫部5の一例として機体の前部に配備したコンバインであってもよい。また、人参や大根あるいは玉葱などの葉茎を挟持して、それらを圃場から引き抜きながら搬送する引抜搬送装置を収穫部5の一例として機体の前部に配備した根菜収穫用や玉葱収穫用などの収穫機であってもよい。
【0043】
〔2〕収穫部5としては、機体フレーム1に対して左右方向にスライド変位可能に構成されたものであってもよい。また、機体フレーム1の左前端部を支点にした機体左外方への揺動変位が可能となるように構成されたものであってもよい。
【0044】
〔3〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31の照射方向を設定したものであってもよい。具体的には、例えば、最下位の照明ユニット28において、その最上位に位置する2つのLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最上位に位置する2つのLED31の照射方向を設定してもよい。また、最下位の照明ユニット28において、その最下位に位置する2つのLED31からの光と、中心に位置するLED31からの光とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、最上位に位置する2つのLED31と中心に位置するLED31とのそれぞれの照射方向を設定してもよい。
【0045】
〔4〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11以外の他のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。
【0046】
〔5〕照明装置25としては、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、いずれか一つのデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最下位の照明ユニット28における他の複数のLED31からの光が、他のいずれか一つのデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。具体的には、例えば、図5に示すように、最下位の照明ユニット28における、最下位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体右端のデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位に位置する2つのLED31からの光(光線a)が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0047】
〔6〕照明装置25としては、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の前端に配置したいずれかのデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。また、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定したものであってもよい。
【0048】
〔7〕照明装置25としては、単一の前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうちのいずれか複数または全てが、それぞれのいずれか複数のLED31からの光を、対応するいずれかのデバイダ11の近傍において交差させるように構成されたものであってもよい。具体的には、例えば、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。また、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。さらに、最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、上下中間の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体右側から2つ目のデバイダ11の近傍において交差し、かつ、最上位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光が、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0049】
〔8〕照明装置25としては、単一の前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうちのいずれか複数または全てが、それらのいずれかのLED31からの光を、対応するいずれかのデバイダ11の近傍において交差させるように構成されたものであってもよい。具体的には、例えば、図6に示すように、最下位の照明ユニット28におけるいずれかのLED31からの光(光線a)と、上下中間の照明ユニット28におけるいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0050】
〔9〕照明装置25を、機体の左右に配備した一対の前照灯26により構成し、左右一方の前照灯26に備えた光源体31からの光と、左右他方の前照灯26に備えた光源体31からの光とが、機体の前端に備えたいずれかのデバイダ11の近傍において交差するように構成してもよい。具体的には、例えば、図7および図8に示すように、照明装置25を、刈取収穫部5の左右両端上部に配備した一対の前照灯26で構成し、各前照灯26として、上記の実施形態と同じ3つの照明ユニット28を備える3灯式のものを採用し、左側の前照灯26における最上位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)と、右側の前照灯26における最下位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の右端に配置したデバイダ11の近傍において交差し、かつ、左側の前照灯26における最下位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)と、右側の前照灯26における最上位の照明ユニット28のいずれかのLED31からの光(光線a)とが、機体の左端に配置したデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0051】
〔10〕図9に示すように、照明装置25を、刈取収穫部5の左右両端上部に配備した一対の前照灯26で構成し、機体左側の前照灯26においては、その最上位の照明ユニット28が、遠方照射用として、機体の右端に位置するデバイダ11の前方を照射し、上下中間の照明ユニット28が、中間照射用として、機体の左右中央に位置するデバイダ11の近傍前方を照射し、最下位の照明ユニット28が、近傍照射用として、機体の左端に位置するデバイダ11やその周辺を照射し、かつ、その最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定し、また、機体右側の前照灯26においては、その最上位の照明ユニット28が、遠方照射用として、機体の左端に位置するデバイダ11の前方を照射し、上下中間の照明ユニット28が、中間照射用として、機体の左右中央に位置するデバイダ11の近傍前方を照射し、最下位の照明ユニット28が、近傍照射用として、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺を照射し、かつ、その最下位の照明ユニット28におけるいずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11の近傍において交差するように、それらのLED31の照射方向を設定してもよい。
【0052】
〔11〕前照灯26に備える照明ユニット28の数量としては種々の変更が可能であり、例えば、前照灯26に単一の照明ユニット28または2つの照明ユニット28を備えるようにしてもよく、また、4つ以上の照明ユニット28を備えるようにしてもよい。前照灯26に2つの照明ユニット28を備えた場合には、例えば、第1具体例として、図10に示すように、2つの照明ユニット28が上下に並ぶように前照灯26を縦長姿勢でフロントパネル17に装備し、下側の照明ユニット28を、近傍照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうとともに、いずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、下側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定し、かつ、上側の照明ユニット28を、遠方照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、上側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定してもよい。また、第2具体例として、図11に示すように、上側の照明ユニット28を、近傍照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の右端に位置するデバイダ11やその周辺に向かうとともに、いずれか複数のLED31からの光(光線a)が、機体の右端に配置されたデバイダ11の近傍において交差するように、上側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定し、かつ、下側の照明ユニット28を、遠方照射用として機能させるために、その各LED31からの光(光線a)が、機体の左端に位置するデバイダ11の前方に向かうように、下側の照明ユニット28における各LED31の照射方向を設定してもよい。
【0053】
〔12〕前照灯26としては、図12に示すように、フロントパネル17に組み付けた場合に、前照灯26に備えた全ての照明ユニット28において、各LED31が十字状に並ぶように構成されたものであってもよい。また、図示は省略するが、フロントパネル17に組み付けた場合に、前照灯26に備えた全ての照明ユニット28において、各LED31がX字状に並ぶように構成されたものであってもよい。
【0054】
〔13〕前照灯26としては、図13に示すように、前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうち、最下位の照明ユニット28がより機体下方側に位置するように、下側2つの照明ユニット28の配置間隔が上側2つの照明ユニット28の配置間隔よりも大きくなるように配置設定したものであってもよい。また、図示は省略するが、前照灯26に備えた3つの照明ユニット28のうち、下側2つの照明ユニット28がより機体下方側に位置するように、上側2つの照明ユニット28の配置間隔が下側2つの照明ユニット28の配置間隔よりも大きくなるように配置設定したものであってもよい。
【0055】
〔14〕前照灯26の形状や組み付け姿勢としては種々の変更が可能である。例えば、前照灯26を正面視縦長の小判形や正面視円形などに形成してもよい。また、前照灯26を、その上下両部の収穫部5からの距離が同じになる垂直姿勢や、その下部側が上部側よりも収穫部5に近づく右倒れ姿勢(正面視左上がり姿勢)で配備するようにしてもよい。
【0056】
〔15〕図5および図7〜9に示すように、前照灯26におけるカバー29の上下中間部にウィンカ32を一体装備して、カバー29の剛性を高めるようにしてもよい。
【0057】
〔16〕照明ユニット28におけるLED31の装備数量は種々の変更が可能である。
【0058】
〔17〕光源体31として、ハロゲンバルブや高輝度放電灯(HID)などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインにおける要部の平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】前照灯の正面図
【図5】別実施形態〔5〕および〔15〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図6】別実施形態〔8〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図7】別実施形態〔9〕および〔15〕の具体例を示すコンバイン前部の平面図
【図8】別実施形態〔9〕および〔15〕の具体例を示すコンバインの正面図
【図9】別実施形態〔10〕および〔15〕での照射構造を示すコンバイン前半部の正面図
【図10】別実施形態〔11〕の第1具体例を示すコンバイン前半部の正面図
【図11】別実施形態〔11〕の第2具体例を示すコンバイン前半部の正面図
【図12】別実施形態〔12〕での前照灯の構成を示す前照灯の正面図
【図13】別実施形態〔13〕での前照灯の構成を示す前照灯の正面図
【符号の説明】
【0060】
5 収穫部
11 デバイダ
25 照明装置
26 前照灯
28 照明ユニット
31 光源体(発光ダイオード)
p 光の交点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造であって、
前記照明装置が、光源体からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、
前記クロスライティングでの前記光の交点を、前記収穫部の前端に備えたデバイダの近傍に設定してあることを特徴とする収穫機の照明構造。
【請求項2】
前記照明装置を、機体の左右に備えた前照灯により構成し、
前記照明装置が、左右の前記前照灯にそれぞれ備えた光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の収穫機の照明構造。
【請求項3】
前記照明装置を、複数の光源体を備える前照灯により構成し、
前記照明装置が、前記前照灯の前記複数の光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の収穫機の照明構造。
【請求項4】
前記光源体として発光ダイオードを採用し、
複数の前記発光ダイオードを組み合わせて照明ユニットを構成し、
前記照明装置が、前記照明ユニットの前記複数の発光ダイオードからの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の収穫機の照明構造。
【請求項1】
機体の前部に、機体の走行に伴って作物を収穫する収穫部と、機体の前方を照明する照明装置とを配備した収穫機の照明構造であって、
前記照明装置が、光源体からの光を交差させるクロスライティングを行うように構成し、
前記クロスライティングでの前記光の交点を、前記収穫部の前端に備えたデバイダの近傍に設定してあることを特徴とする収穫機の照明構造。
【請求項2】
前記照明装置を、機体の左右に備えた前照灯により構成し、
前記照明装置が、左右の前記前照灯にそれぞれ備えた光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の収穫機の照明構造。
【請求項3】
前記照明装置を、複数の光源体を備える前照灯により構成し、
前記照明装置が、前記前照灯の前記複数の光源体からの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の収穫機の照明構造。
【請求項4】
前記光源体として発光ダイオードを採用し、
複数の前記発光ダイオードを組み合わせて照明ユニットを構成し、
前記照明装置が、前記照明ユニットの前記複数の発光ダイオードからの光を交差させて前記クロスライティングを行うように構成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の収穫機の照明構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−237061(P2008−237061A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80003(P2007−80003)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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