説明

収納ケース、光モジュール及び光アダプタ

【課題】収納ケースの小型化を図る。
【解決手段】本発明は、光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部とを備えた収納ケースであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする収納ケースである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ケース、光モジュール及び光アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光スプリッタモジュールや光カプラモジュールや光ファンアウトモジュールなどの光モジュールが知られている。光部品や光ファイバ(若しくは光ファイバの一部)などから構成されるこれらの光モジュールでは、光コネクタとの接続を可能にするため、光アダプタを取り付けた収納ケースが用いられている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−165158号公報
【特許文献2】特開平10−90525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収納ケースでは、標準化・規格化されている光アダプタが採用されている。例えばJIS C 5973(F04形光ファイバコネクタ)では、SCコネクタと共に、その光アダプタの構造・形状・寸法等が規格化されている。
【0005】
図15は、通常の光アダプタ107の説明図である。図に示すように、光アダプタ107のハウジング130の両側面には、フランジが設けられている。フランジには、光アダプタ107を固定するためのビス穴が設けられている。
【0006】
このような光アダプタ107を取り付けることを想定して光ファイバを収納する収納ケースを設計する場合、収納ケースの全体の寸法は、光アダプタ107のフランジを考慮する必要がある。このとき、収納ケースの寸法を光アダプタ107の幅(フランジを含む幅)よりも狭くできないため、フランジがハウジング130の両側面から外側に突出していると、収納ケースの小型化に限界がある。
【0007】
特許文献2の光アダプタにおいても、光アダプタを収納ケースに固定するための微小なフランジがハウジングの側面に設けられている。このフランジにはビス穴がなく、フランジがハウジングから突出する量も微小である。但し、フランジがハウジングから突出していることに変わりないため、この光アダプタを用いて収納ケースを構成しても、収納ケースの小型化には限界がある。
【0008】
一方、収納ケースを用いた光モジュールを光接続箱に収容する場合、光接続箱の容積には制限がある。また、光接続箱に限らず、既設の配電盤等に光モジュールを収容する場合も、配電盤等の空きスペースには制限がある。このように収容ケースを用いた光モジュールの設置環境には制約があるため、収容ケースを少しでも小型化することが以前から求められていた。
【0009】
本発明は、収納ケースの小型化を目的とする。また、突出する部分の無い光アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための主たる第1の発明は、光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部とを備えた収納ケースであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする収納ケースである。
【0011】
また、上記目的を達成するための主たる第2の発明は、光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバの少なくとも外被で覆われた部分とその先の端部を収納する収納部とを備えた光アダプタであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする光アダプタである。
【0012】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納ケースを小型化できる。また、突出する部分の無い光アダプタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光スプリッタモジュールユニット1の説明図である。
【図2】本実施形態の収納ケース20の斜視図である。
【図3】内部コネクタ50と、内部コネクタ50を前側収納部41に収納した様子の斜視図である。
【図4】内部コネクタ50の分解図である。
【図5】カバー60の斜視図である。
【図6】カバー60の正投影図である。
【図7】ベース70の斜視図である。
【図8】ピン80の斜視図である。
【図9】組み立て時の様子の説明図である。
【図10】光スプリッタモジュールユニット1の使用例の説明図である。
【図11】変形例の光スプリッタモジュールの説明図である。
【図12】9個の挿入口を備えた光スプリッタモジュールの変形例の説明図である。
【図13】内部コネクタの変形例の説明図である。
【図14】光コネクタを装着可能な光アダプタ7の説明図である。
【図15】通常の光アダプタ107の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0016】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部とを備えた収納ケースであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする収納ケースが明らかとなる。このような収納ケースによれば、小型化を実現できる。
【0017】
また、前記ハウジング部は、複数の前記挿入口を有しており、並べて配置された前記挿入口と前記挿入口との間に、隔壁が設けられていることが望ましい。これにより、挿入口の並ぶ方向に関して、収納ケースの小型化を図ることができる。
【0018】
また、前記隔壁には、前記光コネクタを着脱方向に案内するための溝が形成されており、前記溝は、前記隔壁を挟む2つの挿入口のいずれに挿入される光コネクタに対しても案内可能であることが好ましい。これにより、挿入口の並ぶ方向に関して、収納ケースの小型化を図ることができる。また、外被で覆われた光ケーブルを接続する場合、外被や内部のテンションメンバが硬いため、光コネクタの向きを変え難くなるが、このような収容ケースの挿入口によれば、光コネクタの向きを180度回転させても挿入できるので、光コネクタの接続が容易になる。
【0019】
また、前記収納部は、余長処理された前記光ファイバを収納するための部材を有することが望ましい。これにより、余長処理された光ファイバを収納部に収納することができる。また、特に取り付け部材を必要とせずに、余長処理された光ファイバを収納する収納部にハウジング部を設けることができる。
【0020】
前記収納部は、余長処理された前記光ファイバを保持するための保持部を有することが好ましい。また、前記収納部は、余長処理された前記光ファイバに過度の曲げが生じることを防止するためのガイドを有することが好ましい。これにより、光ファイバを収納部に余長処理することが容易になる。
【0021】
前記収納部は、前記光ファイバに接続された光部品を固定するための光部品固定部を有することが望ましい。これにより、光スプリッタなどの光部品を収納部に収納することができる。また、特に取り付け部材を必要とせずに、光部品を収納する収納部にハウジング部を設けることができる。
【0022】
前記収納部は、前記光ファイバの一端に設けられた内部コネクタを収納するための内部コネクタ用収納部を有し、前記内部コネクタ用収納部は、前記内部コネクタの動きを規制するための位置規制部を有することが望ましい。これにより、挿入口に挿入された光コネクタと内部コネクタとが接触しても、内部コネクタが動くことを防止できる。
【0023】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部と、を備えた収納ケースを備えた光モジュールであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする光モジュールが明らかになる。このような光モジュールによれば、小型化を実現できる。
【0024】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバの少なくとも外被で覆われた部分とその先の端部を収納する収納部とを備えた光アダプタであって、前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されていることを特徴とする光アダプタが明らかになる。このような光アダプタによれば、突出する部分の無い光アダプタを提供できる。
【0025】
===ユニット全体の構成===
図1は、光スプリッタモジュールユニット1の説明図である。本実施形態の光スプリッタモジュールユニット1は、2個の光スプリッタモジュール2を有する。
【0026】
2個の光スプリッタモジュール2は、それぞれ、光信号の分岐・結合を行う光スプリッタを収納可能な光モジュールである。それぞれの光スプリッタモジュール2は、入出力ポートを5個ずつ備えている。本実施形態の光スプリッタモジュールユニット1では、一方の光スプリッタモジュール2に1×8の光スプリッタを収納することによって、1入力8出力(又は1出力8入力)にしている。但し、2個の光スプリッタモジュール2のそれぞれに1×4の光スプリッタを収納することによって、2つの1入力4出力(又は1出力4入力)の光スプリッタモジュール2として光スプリッタモジュールユニット1を用いることもできる。
【0027】
それぞれの光スプリッタモジュール2は、5個の光コネクタ3を接続することができる。両方の光スプリッタモジュール2に多数の光コネクタ3が接続されても光コネクタ3の着脱を容易にするため、それぞれの光スプリッタモジュール2は、ピン80を軸にしてベース70に対して回転可能になっている。
【0028】
===光スプリッタモジュール2===
<全体構成>
ここでは2個の光スプリッタモジュール2のうちの一方について説明し、他方の光スプリッタモジュール2の説明は省略する。但し、他方の光スプリッタモジュール2は構造が対称なだけである。
【0029】
本実施形態の光スプリッタモジュール2は、収納ケース20(図2参照)と、内部コネクタ50(図3、図4参照)と、カバー60(図5、図6参照)とを有する。以下、光スプリッタモジュール2の構成要素(収納ケース20、内部コネクタ50、カバー60)を順に説明する。
【0030】
<収納ケース20>
図2は、本実施形態の収納ケース20の斜視図である。
【0031】
以下の説明では、図に示すように、前後、上下、左右を定義する。すなわち、光コネクタの着脱方向を「前後方向」とし、光コネクタの挿入口31が開口する側を「前」とし、挿入口31の内部に向かう方向を「後」とする。また、5個の光コネクタの挿入口31の並ぶ方向を「上下方向」とし、図1の左側の光スプリッタモジュール2の位置まで光スプリッタモジュール2を回転させる方向を「上」とし、逆側を「下」とする。また、光スプリッタモジュール2の回転軸の軸方向を「左右方向」とし、図1に示すように光コネクタ3を着脱する作業者から見た方向から「左右」を定義する。
【0032】
収納ケース20は、ハウジング部30と、収納部40とを有する。ハウジング部30は収納ケース20の前側に位置し、収納部40は収納ケース20の後側に位置する。本実施形態の収納ケース20は樹脂製であり、ハウジング部30と収納部40とが一体的に成型されている。
【0033】
・ハウジング部30
ハウジング部30は、光コネクタ3(図1参照)を前後方向に案内するための部材である。ハウジング部30は、光コネクタを挿入するための挿入口31を5個備えている。5個の挿入口31は、上下方向に並んで配置されている。また、ハウジング部30は、左右の側壁32と、上壁33及び下壁34と、4個の隔壁35とを有する。最も上側に位置する挿入口31は、ハウジング部30の左右の側壁32と、ハウジング部30の上壁33と、隔壁35とによって形成される。最も下側に位置する挿入口31は、ハウジング部30の左右の側壁32と、ハウジング部30の下壁34と、隔壁35とによって形成される。また、中央に位置する挿入口31は、ハウジング部30の左右の側壁32と、上下の隔壁35によって形成される。隔壁35は、挿入口31と挿入口31との間に設けられている。言い換えると、5個の挿入口31は、4個の隔壁35によって区切られている。
【0034】
ハウジング部30は樹脂にて一体的に成型されている。つまり、5個の挿入口31を形成している側壁32、上壁33、下壁34及び隔壁35は、一体的に成型されている。この結果、それぞれの隔壁35の上面は、その隔壁35の上側の挿入口31の下面を形成するとともに、その隔壁35の下面は、その隔壁35の下側の挿入口31の上面を形成している。
【0035】
本実施形態のハウジング部30は、通常の光アダプタ(例えば図15の光アダプタ107)を単に5個並べて5個の挿入口31を構成した場合と比べて、小型化されている。もし仮に、通常の光アダプタを単に5個並べた場合には、挿入口と挿入口との間には光アダプタの外壁(上壁と下壁)の2枚分の厚みができる。これに対し、本実施形態では、挿入口31と挿入口31との間は隔壁1枚分の厚みだけになる。このため、本実施形態のハウジング部30の上下方向の長さは、通常の光アダプタを単に5個並べた場合と比べて、およそ光アダプタの外壁(上壁又は下壁)の厚さの4枚分だけ小型化されている。
【0036】
ハウジング部30の上壁33、下壁34及び隔壁35は、それぞれSCコネクタ用のキー溝36を有している。キー溝36は、SCコネクタを前後方向(着脱方向)に案内するための溝である。本実施形態では、キー溝36は、挿入口31の数(5個)に対して、1個だけ余分にある(6個ある)。6個のキー溝36は、上下方向に並んで形成されている。それぞれの挿入口31の上面及び下面に、それぞれキー溝36が形成されている。
【0037】
それぞれの隔壁35のキー溝36は、その隔壁35の上側の挿入口31に挿入されるSCコネクタを前後方向に案内できるとともに、その隔壁35の下側の挿入口31に挿入されるSCコネクタ挿入されるSCコネクタを前後方向に案内できる。このように、隔壁35のキー溝36は、その隔壁35を挟む2つの挿入口31のいずれに挿入されるSCコネクタに対しても案内可能である。これにより、本実施形態の光スプリッタモジュール2にSCコネクタを上下逆に挿入できるとともに、光スプリッタモジュール2の上下方向の長さを小型化できる。
【0038】
なお、外被で覆われた光ケーブルを接続する場合、外被や内部のテンションメンバが硬いため、光コネクタの向きを変え難いことがある。このような状況下においても、本実施形態の収納ケース20であれば、光コネクタの向きを上下逆に挿入できるので(光コネクタの向きを180度回転させて挿入できるので)、光コネクタの接続が容易になる。
【0039】
本実施形態では、ハウジング部30は、収納部40と一体的に成型されている。このため、ハウジング部30を収納部40に取り付けるための部材(通常の光アダプタのフランジに相当する部材)が不要になる。これにより、本実施形態の光スプリッタモジュール2を小型化できる。
【0040】
・収納部40
収納部40は、光コネクタ3(図3参照)に光接続されることになる光ファイバを収納するための部材である。特に、本実施形態の収納部40は、余長処理された光ファイバを収納することになる。なお、本実施形態の収納部40が収納する光ファイバは、外被の無い状態である(いわゆる光ファイバ心線や光ファイバ素線である)。但し、光スプリッタモジュール2の中に収納されれば外部に曝されずに済むので、光ファイバは外被の無い状態でも構わない。
【0041】
収納部40は、前側収納部41と後側収納部45とを有する。前側収納部41と後側収納部45は、ハウジング部30とともに一体的に成型されている。作業者が収納部40に光部品や光ファイバを配置できるようにするため、収納部40の一方の面(図2では収納部40の左側の面)は開放されている。
【0042】
前側収納部41は、内部コネクタ50(後述、図3参照)を収納するための内部コネクタ用収納部である。前側収納部41は、上下にある外壁42と、4個の仕切り43と、背面部44とを有する。外壁42の外側には、カバー60の前側を固定するための前側係止部42Aが設けられている。外壁42の内面と仕切り43との間に、若しくは仕切り43と仕切り43の間に、内部コネクタ50が収納されることになる(図3参照)。言い換えると、外壁42の内面や仕切り43は、内部コネクタ50を上下方向に位置決めしている。背面部44の内側(図2の左側)の面には、内部コネクタ50を前後方向に位置決めするための凸部44Aが設けられている。この凸部44Aは、内部コネクタ50の前後方向の動きを規制するための位置規制部として機能する。
【0043】
後側収納部45は、光スプリッタや光ファイバを収納するためのものである。後側収納部45は、背面46と外周壁47によって収納空間48を形成している。図2では図示されていないが、背面46の外側(図2の右側)の面は、前側収納部41の背面部44の外側の面や、ハウジング部30の右側の側壁32と同一平面になっている。これにより、図1のように光スプリッタモジュール2を回転させるときに、互いの光スプリッタモジュール2の背面同士がぶつからないようになっている。外周壁47の外側には、カバー60の後側を固定するための後側係止部47Aが設けられている。
【0044】
後側収納部45の収納空間48には、光スプリッタを固定するための光スプリッタ固定部481がある。なお、後側収納部45の収納空間48に、光スプリッタ以外の光部品(例えば、光コネクタ、メカニカルスプライス、融着補強スリーブ、WDMフィルタなど)を固定するための光部品固定部を設けても良い。収納空間48には、余長処理された光ファイバを収納するための舌部482と円筒ガイド483が設けられている。舌部482は、余長処理されて収納された光ファイバを保持する保持部である。舌部482に光ファイバが引っ掛けられて保持されることによって、光ファイバの位置が規制される。なお、図中の舌部482の形状に限らず、光ファイバを保持するための保持部として様々な形状のファイバクランプを適用できる。収納空間48に収納された光ファイバは、収納部40の開放面から飛び出さないように舌部482に引っ掛けられることになる。円筒ガイド483は、余長処理されて収納される光ファイバに過度の曲げが生じないようにするための部材である。収納空間48に収納された光ファイバは、円筒ガイド483の外周面に巻回されることになる。なお、円筒ガイド483のような円筒形状のガイドに限らず、半円筒状のガイド、角を丸めた略長方形状のガイド、円弧状のガイド、若しくは複数のピンを円弧状に配置したガイドなどを用いて光ファイバに過度の曲げが生じないようにしても良い。
【0045】
円筒ガイド483の内側には、軸穴484と位置合わせ用窓485が設けられている。軸穴484は、ピン80(図1参照)を挿入するための穴である。この軸穴484を中心にして、光スプリッタモジュール2が回転することになる。位置合わせ用窓485は、円形穴485Aと矩形穴485Bとを結合した窓(穴)である。位置合わせ用窓485には、光スプリッタモジュールユニット1の組み立て時に、ピン80が一時的に挿入される(後述、図9参照)。円筒ガイド483の内側には光ファイバが配線されることがないので、軸穴484や位置合わせ用窓485にピン80を挿入するときに、収納空間48に収納された光ファイバがピン80の挿入の邪魔になることはない。
【0046】
後側収納部45の背面46には、連絡窓486が設けられている。2個の光スプリッタモジュール2の背面同士を合わせると、互いの連絡窓486が対向することになる。これにより、2個のスプリッタモジュール間で連絡窓486を通じて光ファイバを配線することができ、それぞれ5個の挿入口31しかない光スプリッタモジュール2を2個用いて1入力8出力(又は1出力8入力)の光スプリッタモジュールユニット1を構成することが可能になっている。
【0047】
なお、連絡窓486は、円筒ガイド483の外側に、軸穴484の近くに設けられており、上下方向に延びた形状をしている。これにより、図1に示すように一方の光スプリッタモジュール2を回転させても、互いの連絡窓486の少なくとも一部は対向し続けている。また、連絡窓486は、内部コネクタ50を通せる程度の幅を有している。
【0048】
前側収納部41は、光ファイバや光スプリッタなどと比べて厚みのある内部コネクタ50を収納するため、後側収納部45よりも厚みが必要になる(前側収納部41の外壁42の左右方向の幅は、後側収納部45の外周壁47の左右方向の幅よりも大きい必要がある。)。その一方、前側収納部41の背面部44の外側の面は、後側収納部45の背面46の外側(図2の右側)の面と同一平面にする必要がある。このため、収納部40の開放されている側(図2の左側)は、およそ2段階で左右方向の高さが異なっている。つまり、前側収納部41の外壁42は、後側収納部45の外周壁47よりも、図2の左側に突出している。
【0049】
<内部コネクタ50>
図15の光アダプタ107は、2個のハウジング130でスリーブ151と割スリーブ152を挟むことによって、スリーブ151と割スリーブ152を内包している。但し、本実施形態の収納ケース20ではハウジング部30の全体が一体成型されるため、ハウジング部30の内部にスリーブや割スリーブを内包させることができない。そこで、本実施形態では、収納ケース20の収納部40に内部コネクタ50を収納させている。
【0050】
図3は、内部コネクタ50と、内部コネクタ50を前側収納部41に収納した様子の斜視図である。図4は、内部コネクタ50の分解図である。
【0051】
内部コネクタ50は、ハウジング部30の挿入口31に挿入される光コネクタ(例えばSCコネクタ)と接続するために光スプリッタモジュール2内に設けられたコネクタである。内部コネクタ50は、コネクタ本体51と、割スリーブ52と、フェルール53と、バネ54と、バネ押さえ55とを有する。
【0052】
コネクタ本体51は、スリーブ部51Aと、割スリーブ収納部51Bと、前フランジ51Cと、後フランジ51Dと、係止窓51Eとを有する。スリーブ部51Aは、ハウジング部30の挿入口31に挿入される光コネクタと接続する部材である。スリーブ部51Aの前側は、挿入口31に挿入される光コネクタの規格に従った形状になっている。割スリーブ収納部51Bは、コネクタ本体51の後側から挿入された割スリーブ52を収納する。前フランジ51Cと後フランジ51Dは、コネクタ本体51を前後方向に位置決めするための部材である。コネクタ本体51が収納部40の前側収納部41に収納されたとき、前フランジ51Cと後フランジ51Dとの間に、前側収納部41の凸部44Aが入り込むことによって、コネクタ本体51が位置決めされる。これにより、挿入口31に光コネクタが挿入されて内部コネクタ50と物理的に接触しても、内部コネクタ50が後側にずれることが防止される。
【0053】
フェルール53は、収納部40に収納される光ファイバ(不図示)の端部を保持する部材である。フェルール53は、例えばジルコニア製、樹脂製又はステンレス製である。バネ54は、フェルール53を前後方向に付勢するための部材である。バネ54の一端はフェルール53に接触し、他端はバネ押さえ55に接触する。コネクタ接続時にバネ54がフェルール53を適度に押すことにより、光ファイバ端面同士が安定してPC接続(PCは、Physical Contactの略)されることになる。
【0054】
バネ押さえ55は、貫通穴55Aと、ガイド部55Bと、押さえ部55Cと、固定プレート55Dとを有する。貫通穴55Aには、フェルール53が保持している光ファイバが挿通される。ガイド部55Bはバネ54を前後方向に伸縮可能に案内する。押さえ部55Cは、バネ54の端部と接触し、バネ54を介してフェルール53を前後方向に付勢する。固定プレート55Dは、コネクタ本体51の係止窓51Eに係合して、バネ押さえ55をコネクタ本体51に固定するための部材である。バネ押さえ55の固定プレート55Dがコネクタ本体51の係止窓51Eに係合したとき、バネ54が適度に弾性変形することによって、バネ54がフェルール53を適度に押すことができる。
【0055】
<カバー60>
図5は、カバー60の斜視図である。図6は、カバー60の正投影図である。カバー60は、収納ケース20の収納部40を覆うための部材である。カバー60は、樹脂製の部材であり、前側カバー61と、後側カバー62とを有する。
【0056】
前側カバー61は、収納ケース20の前側収納部41を覆う部分である。前側カバー61は、前側係合部61Aと凸部61Bとを有する。前側係合部61Aは、収納ケース20の前側係止部42A(図2参照)に係合して、カバー60を収納ケース20に固定する。凸部61Bは、カバー60の内側の面に5個並んで設けられている。この凸部61Bは、内部コネクタ50を前後方向に位置決めするための部材である。この凸部61Bは、内部コネクタ50の前後方向の動きを規制するための位置規制部として機能する。カバー60が収納ケース20に固定されたとき、内部コネクタ50の前フランジ51Cと後フランジ51Dとの間に凸部61Bが入り込むことによって、内部コネクタ50が位置決めされる。つまり、光スプリッタモジュール2の中の内部コネクタ50は、前フランジ51Cと後フランジ51Dとの間に収納ケース20の凸部44Aとカバー60の凸部61Bとが入り込むことによって、固定されている。これにより、挿入口31に光コネクタが挿入されて内部コネクタ50と物理的に接触しても、内部コネクタ50が後側にずれることが防止される。
【0057】
後側カバー62は、収納ケース20の後側収納部45を覆う部分である。後側カバー62は、後側係合部62Aと、軸穴62Bと、突起62Cとを有する。後側係合部62Aは、収納ケース20の後側係止部47A(図2参照)に係合して、カバー60を収納ケース20に固定する。軸穴62Bは、ピン80(図1参照)を挿入するための穴である。この軸穴62Bを中心にして、光スプリッタモジュール2が回転することになる。突起62Cは、ベース70の位置決め穴72B(後述、図7参照)に入り込むことによって、光スプリッタモジュール2の回転方向の位置決めを行うための部材である。
【0058】
なお、収納ケース20の収納部40の開放側(図2の左側)では2段階で高さが異なっているため、このような収納ケース20の形状に適合するように、カバー60の前側カバー61と後側カバー62との間にも段差ができている。
【0059】
===ベース70とピン80===
<ベース70>
図7は、ベース70の斜視図である。ベース70は、光スプリッタモジュール2を固定するための部材である。ベース70は、ほぼU字型の樹脂製の部材であり、左右に設けられた側面部72と、底面部74と、固定部76とを有する。
【0060】
側面部72は、2個の光スプリッタモジュール2を挟み込む部材である。左右のそれぞれの側面部72は、軸穴72Aと、2個の位置決め穴72Bとを有する。
【0061】
軸穴72Aは、ピン80(図1参照)を挿入するための穴である。この軸穴72Aを中心にして、光スプリッタモジュール2が回転することになる。
位置決め穴72Bは、光スプリッタモジュール2の回転方向の位置を規制するためのものである。位置決め穴72Bにカバー60の突起62C(図5、図6参照)が入り込むことによって、光スプリッタモジュール2の回転方向の位置決めが行われる。図1の右側の光スプリッタモジュール2は、2個の位置決め穴72Bのうちの下側の位置決め穴72Bにカバー60の突起62Cが入り込むことによって、位置決めされている。また、図1の左側の光スプリッタモジュール2は、上側の位置決め穴72Bにカバー60の突起62Cが入り込むことによって、位置決めされている。
可撓部72Cは、可撓性のある部分であり、外側に向かって撓むことができる。可撓部72Cは、一部を残して周囲を切り込みで囲まれている。2個の位置決め穴72Bは、可撓部72Cに設けられている。これにより、作業者が光スプリッタモジュール2を回転させるときに、可撓部72Cが外側に向かって撓み、突起62Cが位置決め穴72Bから外れやすくなっている。
【0062】
なお、側面部72は、2個の光スプリッタモジュール2の後側を挟持している。これにより、光スプリッタモジュールユニット1の左右方向の幅を狭くすることができる。もし仮に側面部72が光スプリッタモジュール2の前側を挟持すると、光スプリッタモジュール2は後側よりも前側の方が厚いため、光スプリッタモジュールユニット1の左右方向の幅は広くなってしまう。
【0063】
底面部74は、左右の側面部72を連結する部材である。固定部76は、光スプリッタモジュールユニット1を固定するための部材である。
【0064】
<ピン80>
図8は、ピン80の斜視図である。ピン80は、ベース70に対して光スプリッタモジュール2を回転可能に固定するための部材である。ピン80は、樹脂製の部材であり、主軸部81と、頭部82と、首部83と、切欠部84と、終端部85とを有する。
【0065】
主軸部81は、光スプリッタモジュール2の回転軸となる。首部83を含む主軸部81の軸方向の長さは、光スプリッタモジュール2の2個分の厚さに相当する。
【0066】
頭部82は、ピン80の先を先太にしてフック形状にした部分である。頭部82は、切欠部84によって2つに割れた形状になっている。頭部82の最も太い部分は、光スプリッタモジュール2の軸穴(収納ケース20の軸穴484、カバー60の軸穴62B)やベース70の軸穴72Aよりも若干太い。但し、切欠部84によって2つに分割された頭部82は内側に向かって若干撓むことが可能であるため、これらの軸穴(484、62B、72A)に頭部82を挿入することが可能になっている。また、図1に示すように軸穴を貫通した頭部82の撓みが戻れば、フック形状によってピン80が外れることが防止される。
なお、頭部82の軸方向の長さは、後側収納部45の厚さよりも短い。これは、頭部82を位置合わせ用窓485に頭部82を挿通した状態で(後述、図9参照)、収納ケース20にカバー60を取り付け可能にするためである。
【0067】
首部83は、主軸部81と頭部82との間のくびれた部分である。首部83には、互いに平行な2つの平面が形成されている。首部83も切欠部84によって2つに割れた形状になっている。首部83の2つの平面の間隔は、収納ケース20の位置合わせ用窓485の矩形穴485B(図2参照)の幅とほぼ等しい。
【0068】
切欠部84は、ピン80の先から軸方向に沿って形成された切欠である。切欠部84は、頭部82と首部83を2つに分割するように構成されている。これにより、2つに分割された頭部82及び首部83は、内側に向かって若干撓むことが可能である。
【0069】
終端部85は、頭部82とは反対側のピン80の端部に設けられた円盤状の部材である。終端部85は主軸部81の径よりも大きい。図1では不図示であるが、終端部85は、ベース70の右側の側面部72と接触している。言い換えると、ピン80は、終端部85の位置まで軸穴に差し込まれている。
【0070】
===組み立て方===
ここでは、1入力8出力(又は1出力8入力)の光スプリッタモジュールユニット1の組み立て方について説明する。図9は、組み立て時の様子の説明図である。
【0071】
まず、作業者は、2個の収納ケース20とピン80を用意する。そして、作業者は、2個の収納ケース20の背面同士を合わせ、互いの連絡窓486を対向させるとともに、互いの位置合わせ用窓485を対向させる。作業者は、互いの位置合わせ用窓485を合わせた状態で、ピン80の頭部82を円形穴485Aに挿通させた後、ピン80を収納ケース20に対して後方向にスライドさせて、ピン80の首部83を矩形穴485B(図2参照)に差し込む。これにより、2個の収納ケース20が固定され、互いの連絡窓486の対向状態が維持される。なお、図9は、このときの状態を示している。
【0072】
次に、作業者は、ピン80の頭部82の側の収納ケース20に、光部品や光ファイバを配置・配線する。例えば、作業者は、1×8の光スプリッタを光スプリッタ固定部481と外周壁47との間に挟んで固定する。光スプリッタの入力側の光ファイバの端部には内部コネクタ50が取り付けられており、その内部コネクタ50は、収納ケース20の前側収納部41に収納される。また、光スプリッタの出力側の8本の光ファイバのうちの4本の光ファイバの端部にも内部コネクタ50が取り付けられており、これらの4個の内部コネクタ50も、収納ケース20の前側収納部41に収納される。光ファイバは、必要に応じて、円筒ガイド483の外周面に巻き回され、舌部482に引っ掛けられることによって、余長処理される。
【0073】
さらに、作業者は、光スプリッタの出力側の残りの4本の光ファイバを、連絡窓486を通じて、反対側の光スプリッタモジュール2に送り出す。連絡窓486は内部コネクタ50を通せる程度の幅を有しているので、残りの光ファイバの端部に内部コネクタ50が取り付けられていても、光ファイバを反対側の光スプリッタモジュール2に送り出すことができる。また、ピン80によって2個の収納ケース20が固定されているため、残りの光ファイバを連絡窓486に挿通させる作業は容易になる。
【0074】
作業者は、ピン80の頭部82の側の収納ケース20に光部品や光ファイバを配置・配線した後、収納ケース20にカバー60を取り付ける。ピン80の頭部82の軸方向の長さが後側収納部45の厚さよりも短いため、図9に示す状態でカバー60を収納ケース20に取り付けることが可能である。カバー60が収納ケース20に取り付けられると、収納ケース20の凸部44Aとカバー60の凸部61Bが、内部コネクタ50の前フランジ51Cと後フランジ51Dとの間に入り込み、内部コネクタ50が光スプリッタモジュール2内で前後方向にずれないように固定される。
【0075】
次に、作業者は、反対側の収納ケース20に、光部品や光ファイバを配置・配線する。連絡窓486を通じて受け渡された4本の光ファイバの端部には内部コネクタ50が取り付けられており、この4個の内部コネクタ50は、収納ケース20の前側収納部41に収納される。また、光ファイバは、必要に応じて、円筒ガイド483の外周面に巻き回され、舌部482に引っ掛けられることによって、余長処理される。作業者は、反対側の収納ケース20に光部品や光ファイバを配置・配線した後、ピン80を位置合わせ用窓485から外し、収納ケース20にカバー60を取り付ける。その後、作業者は、速やかに2個の光スプリッタモジュール2をベース70の側面部72の間に入れて、位置合わせ用窓485から外したばかりのピン80を軸穴に挿入する。作業者は、ピン80の終端部85がベース70の側面部72に突き当たり、ピン80の頭部82が反対側の側面部72に達して引っ掛かるようになるまで、ピン80を挿入する。これにより、光スプリッタモジュールユニット1の組み立てが完了する。
【0076】
===使用例===
図10は、光スプリッタモジュールユニット1の使用例の説明図である。
【0077】
大規模ビルやマンションの各階の壁面に光接続箱5が設置されている。光接続箱5の本体パネル5Aには、前述の光スプリッタモジュールユニット1が設置されている。このように、光スプリッタモジュールユニット1は、光接続箱5の本体パネル5Aと上蓋5Bとの間のごく限られた空間に設置する必要がある。
【0078】
前述の光スプリッタモジュールユニット1では収納ケース20のハウジング部30と収納部40が一体的に成型されているため、光スプリッタモジュールユニット1が小型化されており、光接続箱5の限られた空間に光スプリッタモジュールユニット1を設置する際に有利である。
【0079】
===変形例===
<変形例1>
前述の実施形態では、光コネクタの挿入口31の上下方向にキー溝36が設けられていた(図1、図2参照)。但し、キー溝の位置や光コネクタの方向は、これに限られるものではない。
【0080】
図11は、変形例の光スプリッタモジュールの説明図である。このように、挿入口の左右方向にキー溝を設けても良い。この場合、光スプリッタモジュールの幅は長くなるが、厚さを抑えることができる。つまり、挿入口の断面形状が長方形の場合、その長方形の長辺方向に沿って挿入口を並べれば、光スプリッタモジュールの厚さを短辺長さ相当に抑えることができる。
【0081】
また、前述の実施形態では2個の光スプリッタモジュールが用いられているが、これに限られるものではない。図11に示すように、光スプリッタモジュールが単独で用いられても良い。
【0082】
<変形例2>
前述の実施形態では、光スプリッタモジュール2の挿入口の数は5個であった。但し、挿入口の数は、これに限られるものではない。
【0083】
図12は、9個の挿入口を備えた光スプリッタモジュールの変形例の説明図である。それぞれの光スプリッタモジュールには、挿入口が9個設けられている。このような光スプリッタモジュールを2個用いて、1入力16出力(又は1出力16入力)の光スプリッタモジュールユニットを構成することができる。若しくは、それぞれの光スプリッタモジュールを1入力8出力(又は1出力8入力)にしてもよい。
【0084】
<変形例3>
前述の実施形態では、内部コネクタ50は、フェルール53を付勢するためのバネ54やバネ押さえ55などを備えていた(図4参照)。但し、内部コネクタは、このような構造に限られるものではない。
【0085】
図13は、内部コネクタの変形例の説明図である。この内部コネクタ50’は、コネクタ本体51’と、割スリーブ52’と、簡易フェルール及びブーツからなる簡易プラグ53’とを有する。コネクタ本体51’の後側には、簡易プラグ53’と係合するための係止片が設けられている。
【0086】
このような内部コネクタ50’によれば、コネクタ接続時の光ファイバ間の接触圧力を適正に保てずに接続精度が悪くなるかもしれないが、内部コネクタの部品点数を減らすことは可能である。
【0087】
<変形例4>
前述の実施形態では、光スプリッタモジュールのハウジング部と収納部が一体的に成型されていた。但し、ハウジング部と収納部を一体的に成型した光モジュールは、光スプリッタモジュールに限られるものではない。例えば、光カプラモジュールでも良いし、光ファンアウトモジュールであっても良い。つまり、光部品や光ファイバ(若しくは光ファイバの一部)などから構成される光モジュールに、ハウジング部と収納部を一体的に成型した収容ケースを用いても良い。光スプリッタモジュール以外の光モジュールの場合であっても、ハウジング部と収納部とを一体的に成型することによって、その光モジュールの小型化を図ることができる。
【0088】
なお、光ファンアウトモジュールは、多心の光ファイバテープ心線等を複数の単心光ファイバに変換するための光モジュールである。このため、光ファンアウトモジュールの収納ケースのハウジング部と収納部を一体的に成型する場合には、ハウジング部は、多心光ファイバの光コネクタを挿入できる挿入口を備えるとよい。例えば、多心のMPOアダプタと同形状の挿入口を備えたハウジング部を収納部と一体的に成型して収納ケースを構成するとよい。なお、光ファンアウトモジュールの収納ケースの中に光部品であるMPOアダプタを収納してもよい。
【0089】
また、前述の実施形態では、光モジュールへの入出力は全てコネクタを介していたが、これに限られるものではない。収納ケースに光ファイバを直接導入する導入口が設けられていても良い。例えば、収納ケースにケーブル導入口を設け、このケーブル導入口からコネクタを介さずに光ファイバケーブルを収納ケースに導入し、導入された光ファイバケーブルから口出しされた光ファイバを収納ケースの収納部に収納するとともに、光ファイバの端部に内部コネクタを取り付け、その内部コネクタを収納ケースの前側収納部に収納し、ハウジング部の挿入口から光コネクタを介して出力できるようにしても良い。
【0090】
<変形例5>
前述の実施形態では、光コネクタ3はSCコネクタであったが、光コネクタの種類はこれに限られない。例えば、MUコネクタやその他の種類の光コネクタであっても良い。また、単心の光コネクタでなく、多心の光コネクタであっても良い。
【0091】
===別の実施形態===
図14は、光コネクタを装着可能な光アダプタ7の説明図である。以下の説明では、図に示すように、前後、上下、左右を定義する。
【0092】
本実施形態の光アダプタは、ハウジング部30’と、収納部40’とを有する。ハウジング部30’は収納部40’の前側に位置する。本実施形態の光アダプタは樹脂製であり、ハウジング部30’と収納部40’とが一体的に成型されている。また、本実施形態では、ハウジング部30’の外形と、収納部40’の外形が同じになっており、光アダプタの外面には段差や突出が無い。
【0093】
ハウジング部30’は、光コネクタ(例えばSCコネクタ)を前後方向に案内するための部材である。ハウジング部30’は、光コネクタを挿入するための挿入口31’を備えている。
【0094】
収納部40’は、光コネクタに光接続される光ファイバの少なくとも外被(例えば光ファイバコードのPVC被覆)で覆われた部分とその先の端部を収納する。これにより、本実施形態の収納部40’は、外被で覆われた部分から先の部分(外被が除去されている端部)を完全に収納している。つまり、収納部40’は、光ファイバの端部のうち、外部に曝すことを避けたい部分を全て収納している。このため、収納部40’は、光ファイバの外被が除去された部分を保護する機能も果たしている。そして、収納部40’の後側からは、外被で覆われた部分(いわゆる光ファイバコード)だけが露出することになる。
【0095】
なお、特に図示はしていないが、収納部40’は、光コネクタ(例えばSCコネクタ)の先端部と係合する係止片を備えたスリーブや、光コネクタに光接続される光ファイバの端部を保持するフェルールや、収納部40’の後側の開口を塞ぐためのブーツなども必要に応じて収納している。
【0096】
本実施形態においても、ハウジング部30’は、収納部40’と一体的に成型されている。このため、ハウジング部30’を収納部40’に取り付けるための部材(通常の光アダプタのフランジに相当する部材)が不要になる。これにより、本実施形態の光アダプタは、左右方向の長さを小型化できる。また、光アダプタの外面から突出するような部分を形成しなくて済む。
【符号の説明】
【0097】
1 光スプリッタモジュールユニット、2 光スプリッタモジュール、3 光コネクタ、
5 光接続箱、5A 本体パネル、5B 上蓋、7 光アダプタ、
20 収納ケース、
30 ハウジング部、31 挿入口、32 側壁、33 上壁、34 下壁、
35 隔壁、36 キー溝、
40 収納部、41 前側収納部、42 外壁、42A 前側係止部、
43 仕切り、44 背面部、44A 凸部、
45 後側収納部、46 背面、47 外周壁、47A 後側係止部、
48 収納空間、481 光スプリッタ固定部、482 舌部、
483 円筒ガイド、484 軸穴、
485 位置合わせ用窓、485A 円形穴、485B 矩形穴、486 連絡窓、
50 内部コネクタ、51 コネクタ本体、51A スリーブ部、
51B 割スリーブ収納部、51C 前フランジ、51D 後フランジ、51E 係止窓、
52 割スリーブ、53 フェルール、54 バネ、55 バネ押さえ、
55A 貫通穴、55B ガイド部、55C 押さえ部、55D 固定プレート、
60 カバー、61 前側カバー、61A 前側係合部、61B 凸部、
62 後側カバー、62A 後側係合部、62B 軸穴、62C 突起、
70 ベース、72 側面部、72A 軸穴、72B 位置決め穴、72C 可撓部、
74 底面部、76 固定部、
80 ピン、81 主軸部、82 頭部、83 首部、84 切欠部、85 終端部、
107 光アダプタ、130 ハウジング、151 スリーブ、152 割スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、
前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部と
を備えた収納ケースであって、
前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されている
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ケースであって、
前記ハウジング部は、複数の前記挿入口を有しており、
並べて配置された前記挿入口と前記挿入口との間に、隔壁が設けられている
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の収納ケースであって、
前記隔壁には、前記光コネクタを着脱方向に案内するための溝が形成されており、
前記溝は、前記隔壁を挟む2つの挿入口のいずれに挿入される光コネクタに対しても案内可能である
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の収納ケースであって、
前記収納部は、余長処理された前記光ファイバを収納するための部材を有する
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項5】
請求項4に記載の収納ケースであって、
前記収納部は、余長処理された前記光ファイバを保持するための保持部を有する
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の収納ケースであって、
前記収納部は、余長処理された前記光ファイバに過度の曲げが生じることを防止するためのガイドを有する
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の収納ケースであって、
前記収納部は、前記光ファイバに接続された光部品を固定するための光部品固定部を有する
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の収納ケースであって、
前記収納部は、前記光ファイバの一端に設けられた内部コネクタを収納するための内部コネクタ用収納部を有し、
前記内部コネクタ用収納部は、前記内部コネクタの動きを規制するための位置規制部を有する
ことを特徴とする収納ケース。
【請求項9】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバを収納するための収納部と、を備えた収納ケースを備えた光モジュールであって、
前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されている
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
光コネクタを挿入するための挿入口が形成されているハウジング部と、
前記光コネクタに光接続されることになる光ファイバの少なくとも外被で覆われた部分とその先の端部を収納する収納部と
を備えた光アダプタであって、
前記ハウジング部と前記収納部とが一体成型されている
ことを特徴とする光アダプタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−191333(P2011−191333A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54921(P2010−54921)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】