説明

収納ラック

【課題】天板上面の作業領域を犠牲とせず、かつ床上から離れた場所に収納物を収納するための収納ラックを提供する。
【解決手段】収納ラック1を、上下方向に延びる脚構造体2と、脚構造体2の上端側を机に係止する第1係止部3と、脚構造体2の下端側を床に係止する第2係止部4と、脚構造体2の上端と下端の間で机7の横架材に係止する第3係止部と、脚構造体2の第3係止部と反対側に設置した、収納物9を収納する収納部6で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机の下方に収納物を収納するための、収納ラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天板下に袖キャビネットなどを有しない天板と脚のみからなる机として、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1には、天板の前後左右に1本ずつ柱状の脚を有する机と、机の左右方向に延びる横梁を設け、この横梁に対して、左右両端に1本ずつの脚と、上面に天板を設けたものが記載されている。また、机を支える脚として、柱状ではなく板状脚を有する机が、例えば特許文献2に記載されている。特許文献2では、机を支える脚が板状の端部脚と柱状の中間脚であり、両脚の間を脚間モジュールで連結した机が記載されている。
【0003】
近年のパーソナル・コンピュータ(以下、PCという)等の電子機器の普及に伴い、これらの電子機器を机の周囲に配置することが一般化している。特許文献2では、これに対応すべく脚間モジュールに電子機器の配線を収納するためのダクトを設けたものが記載されている。
【0004】
ところで、前記特許文献2に記載の机は、電子機器の配線を納めるためのダクトを有しているが、机自体は汎用的に使用するものであるから、電子機器を収納するための機構等は有していない。このため、電子機器を机の上に置くと、本来作業のための領域である天板の一部が載置した電子機器によって占有されてしまう。電子機器以外にも、鞄や靴或いは書類等でも全く同じ問題が発生する。
【0005】
ここで、机の脇に専用の収納ラック等を配置することができなければ、電子機器や鞄、靴、書類等(以下、電子機器等という)は必然的に机の下、すなわち床上に置くこととなる。しかし、鞄や靴或いは書類等を土埃等で汚れた床上に置くことは忌避されることがあり、電子機器については床上に直置きすると埃を吸いこんで故障の原因となる。特に吸気ファンや排気ファンを使用して内部を冷却するPCにとって、床上のように埃を吸込み易い場所にこれを設置することは望ましくない。しかも、床上に電子機器等を置いた場合には、作業者の足元の空間が制限されることになり、これも望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−030810号公報
【特許文献2】特開2007−151824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述の状況に着目し、天板上面の作業領域を犠牲とせず、かつ床上から離れた場所に電子機器等を収納することができるようにした収納ラックを提供することを、その課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、天板の下方に横架材を有する机の当該天板の下方に設置する収納ラックであって、当該収納ラックは、上下方向に延びる脚構造体と、脚構造体上端に配設され、当該脚構造体上端側を天板の下面に当接する第1係止部と、脚構造体下端に配設され、当該脚構造体下端側を床に当接する第2係止部と、脚構造体背面の上端から下端の間に配設され、当該脚構造体を横架材に係止する第3係止部と、脚構造体前面の上端から下端の間に配設され、収納物を収納する収納部と、を具備してなることを特徴とするものである。
【0009】
本発明収納ラックは、第3係止部を、脚構造体を横架材に対して前後方向に係止すると共に、左右方向には移動を許容するように形成することが望ましい。
【0010】
本発明収納ラックは、記第3係止部が、脚構造体背面から後方に延びる第1横壁片と、該第1横壁片の後端から上方に延びる立壁片と、該立壁片上端から脚構造体背面側に延びる第2横壁片とを備え、脚構造体背面と、第1横壁片と、立壁片と、第2横壁片で囲まれた空間を横架材の構造部分が横貫することにより、前記脚構造体を当該横架材に係止すると好適である。
【0011】
本発明収納ラックは、第3係止部が、当該第3係止部を脚構造体に固定するための固定手段によって脚構造体に着脱可能に固定され、かつ、前記固定手段は、第3係止部の固定位置を前記脚構造体の上下方向において変位させる調節機構を備えてもよい。
【0012】
本発明収納ラックの第3係止部は、該第3係止部の固定手段を、第3係止部に配設された係止つばと、脚構造体背面の上下方向に列設した前記つばを係合する複数のスリットを調節機構として備えてもよい。
【0013】
本発明収納ラックを取り付ける机の横架材は、電子機器の配線を収納するためのダクトであってもよい。
【0014】
本発明収納ラックの第1係止部は、天板下面に当接する略水平な面を有する当接部と、該当接部と脚構造体上端の距離を調節する調節部とから構成され、前記脚構造体は、前記当接部を天板下面に圧接することにより机に係止されるようにしてもよい。
【0015】
本発明収納ラックは、第2係止部を1又は2以上のアジャスターから形成してもよい。
【0016】
本発明収納ラックの収納部は、収納物を載置する棚部と、当該棚部の左右両端からそれぞれ上方に立上げた立壁部を備え、前記立壁部後端側において脚構造体に固定されてもよい。
【0017】
本発明収納ラックの収納部は、該収納部を脚構造体に固定するための固定手段によって、脚構造体に着脱可能に固定され、かつ、前記固定手段は、収納部の固定位置を前記脚構造体の上下方向において変位させる調節機構を備えてもよい。
【0018】
本発明収納ラックの収納部は、該収納部の固定手段を、収納部の立壁後端側に配設された係止つばと、脚構造体前面の上下方向に列設した前記つばを係合する複数のスリットを調節機構として備えてもよい。
【0019】
本発明収納ラックの脚構造体は、電子機器を収納した際に、当該電子機器の配線を通すために当該脚構造体を前後方向に貫通する穴が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成により、電子機器等を机の天板下方に収納することができるので、天板上の作業領域が制限されることがない。また、床上から離れた収納部に収納物を収納できるので、土埃等で汚れた床上に収納物を直接置くことを回避することができる。収納物が電子機器の場合には、床上の埃を吸いこんで故障の原因となることを防ぐことができる。
本発明では、第1係止部と第2係止部に加えて、第1係止部と第2係止部の間にある第3係止部が収納ラックを横架材に係止する構成により、収納部の下方に柱等の構造体を別途に設けなくとも収納ラックの倒れを防止することができるので、作業者の足元の空間を制限することがなく、快適な作業環境を提供することができる。
【0021】
本発明の第3係止部を、収納ラックを前後方向において係止拘束すると共に、左右方向には移動を許容した場合には、第1及び第2係止部による係止を解くことで収納ラックは前後方向に関してのみ机に支持されている状態となるため、横架材をレール代わりにして横方向の任意の位置に移動することができる。
【0022】
本発明の第3係止部を、第1及び第2横壁片と、立壁片から構成され、側面視略コ字状断面の部材で形成した場合には、第3係止部の断面と脚構造体の背面によって上面の一部が開口した略箱形の空間が形成されるので、この箱型の空間内に横架材を通すことにより、左右方向、すなわち横架材の長さ方向については収納ラックを移動可能としつつ、上下及び前後方向において収納ラックの位置を固定することができる。収納ラックが前後方向に加え上下方向の位置も固定されることにより、第1及び第2係止部の係止状態を緩めても収納ラックが横架材から外れることはなく、当該ラックの左右方向の位置の変更をより容易におこなうことができる。
【0023】
本発明の横架材が配線を収納するためのダクトである場合には、OA用の机として天板と、脚と、配線収納ダクトのみで構成されている机も多数存在するので、この様なOA机に対しても本発明の収納ラックを好適に取り付けることができる。
【0024】
本発明の収納ラックが、第1係止部の略水平な面を有する当接部を天板下面に圧接することで机と係止される場合には、机側にこれを取り付けるための特定の形状又は構造を有している必要が無く、さまざまな机に汎用的に取り付けることができる。さらに、第1係止部の調節部によって脚構造体上端から当接部までの距離を調整することができるので、収納ラックをさまざまな高さの机に汎用的に取り付けることができる。
【0025】
本発明の第2係止部が、1又は2以上のアジャスターによって構成されている場合には、脚構造体の高さを調整できるので収納ラックをさまざまな高さの机に汎用的に取り付けることができる。さらに、第1係止部の調節部との協働作用により、収納ラック全体の高さを一定に保ちつつ、脚構造体及び第3係止部の上下方向位置を調節することができる。これにより、収納ラックをさまざまな高さの横架材に汎用的に取り付けることができる。また、アジャスターを2以上有する場合は、本発明の収納ラックを不陸な床に取り付ける場合でも、脚構造体を床と垂直方向に固定することが容易となる。
【0026】
本発明の第3係止部が、その固定位置を調節機構によって上下方向に変位することができる場合には、収納ラックをさまざまな高さの横架材に汎用的に取り付けることができる。また、第3係止部が固定手段によって着脱可能な構成となっていることにより、横架材の形状や構造に合わせて第3係止部を交換することができるので、収納ラックをさまざまな形状、構造の横架材に汎用的に取り付けることができる。
【0027】
本発明の第3係止部と脚構造体が、第3係止部に配設された係止つばを脚構造体に配設されたスリットに係合して固定される場合には、例えばボルトとナットを使用して固定する場合等のように専用工具を用いる必要がなく、第3係止部の着脱や交換を容易におこなうことができる。
【0028】
本発明の収納部が、電子機器を載置する棚部と、棚部の左右両端から上方に延びる2枚の立壁部から構成されている場合には、この立壁部が電子機器の荷重を受け止める構造となっている。これにより収納部を薄板等を折り曲げて製造することができるので、製造コストを低くすることができる。
【0029】
本発明の収納部が、その固定位置を調節機構によって脚構造体の上下方向に変位することができる場合には、さまざまな高さを持つ電子機器を収納ラックに収納することができる。ここで、収納部は固定手段によって着脱可能な構成となっていることにより、収納する電子機器の形状や構造、大きさによって収納部を交換することができるので、さまざまな形態の電子機器を収容することができる。
【0030】
本発明の収納部と脚構造体が、収納部に配設された係止つばを脚構造体に配設されたスリットに係合して固定される場合には、例えばボルトとナットを使用して固定する場合等のように専用工具を用いる必要がなく、収納部の着脱や交換を容易におこなうことができる。
【0031】
本発明の脚構造体に前後方向に貫通する穴を設けた場合には、収納した電子機器の配線を穴を通して収納ラックの収納部と反対側に出すことができる。作業者の足元を配線が這うことを防止できると共に、複数の配線を必要とする電子機器においては、配線をまとめやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の収納ラックの実施形態の一例を示す図で、(a)は正面側俯瞰斜視図、(b)は背面側蛙瞰斜視図。
【図2】図1の実施形態における右側面図。
【図3】図1の実施形態における正面図。
【図4】図1の実施形態における平面図。
【図5】図1の実施形態における底面図。
【図6】図3の実施形態におけるA−A線矢視上半部の拡大断面図
【図7】図1の実施形態における第1係止部の一の作用を説明するための側面図。
【図8】図1の実施形態における第1係止部の他の作用を説明するための側面図。
【図9】本発明の収納ラックの使用態様の一例を示す正面図。
【図10】本発明の収納ラックの使用態様の一例を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態の一例に係る収納ラック1は、図1〜図5に示すように、脚構造体2と、第1係止部3と、第2係止部4と、第3係止部5と、収納部6から成る。
【0034】
一方、上記の収納ラック1を取り付ける机7は、たとえば図9に示すように、天板10と、左右の端部脚11と、両脚11の間の中間脚12と、横架材の一例としてダクト13、14(図2参照)を有しており、板状の端部脚11と柱状の中間脚12によって板状の天板10を支えた上で、これを左右に複数連結している。端部脚11と中間脚12の間には、図2に示すように、断面縦長略コ字状の板材によるダクト13、14が開口部を互いに向き合わせて横架されている。ダクト13、14の断面は、立壁13a、14aと、該立壁13aの上下端部を水平方向に曲げた天壁13b、14bと、底壁13c、14cと、天、底両壁端で垂直方向に返した返し立壁13d、14dを備えて、底壁部に電子機器等の配線等を収納できる形状となっている。また、ダクト13、14には、図10に示すように、天壁13b、14bに蓋23が取り付けられ、底壁13c、14cに底板24が取り付けられている。
【0035】
本発明収納ラック1における本実施形態例の脚構造体2は、図1〜図5に示すように、上下に延びる平行な2本の柱2a、2bと、両柱2a、2bの上端部、中間部、下端部をそれぞれつなぐブラケット2c、2d、2eから構成されている。両柱2a、2bはそれぞれ平面視断面略コ字状の板材であり、互いの開口部を向き合わせて配置されている。
なお、本実施形態例の脚構造体2は上記のように2本の柱2a、2bによって上下の荷重を支える構成となっているが、これを板状部材の両端を折り曲げて柱を形成する等しても良い。その際には、両柱の間に穴を設け、収容物9が電子機器である場合に配線を通すことができるようにしてもよい。
【0036】
上記脚構造体2の上端部に配置形成された第1係止部3は、図1(a)及び図6に示すように、正面視略コ字型の当接部16と、これを上下方向に昇降させる調節部15から構成されている。
当接部16は図3に示すように、水平面16aと、水平面16aの左右両端の下向き立脚片16bから構成されている。水平面16aの上面には、滑り止めのためのゴム19が貼着されている。また、一方の立脚片16bの下端は、さらに横方向に延びる返し部16cを有している。左右の立脚片16bを後述するスリット17bに挿入することにより、当接部16が脚構造体2に取り付けられている。
調節部15は、ネジ18と、脚構造体2上端部のブラケット2cにネジ18を螺装するためのネジ穴17aと、ブラケット2cに当接部16を架装するためのスリット17bから構成されている。前記2つのネジ穴17aに夫々にネジ18を取り付け、ネジ18を正逆回転させることで、ブラケット2cからのネジ18の出没量を変化させることができる。
図7及び図8に示すように、ネジ18の進出方向には水平面16aが存在するので、ネジ18を正逆回転させることにより水平面18aと脚構造体2の上端面との距離を調節することができる。なお、本発明収納ラック1を運搬時などに天地逆さま姿勢にしても、返し部16cがブラケット2cに引っ掛かることによって、当接部16が調節部15から脱落することを防止する。
【0037】
第2係止部4は、具体的には図3に示すように、脚構造体2下端に取り付けられた2つのアジャスター4a、4bにより構成されている。このアジャスター4a及び4bは、脚構造体2下端部のブラケット2eの左右にそれぞれ取り付けられており、アジャスター4a又は4bを正逆回転させることによって脚構造体2下端と床8との距離を調節することができる。
【0038】
第3係止部5は、図2及び図6に示すように、側面大略コ字状部を備えた部材で形成されている。具体的には、脚構造体2の柱2a、2bの背面と当接する立姿勢のフランジ5a、該フランジ上端から後方に延びる第1横壁片5b、第1横壁片末端から上方に延びる立壁片5c、立壁片の上端から脚構造体2の背面側に向けて延びる第2横壁片5dから構成されている。
第3係止部5は脚構造体2における柱2a、2bの背面、第1横壁片5b、立壁片5c、第2横壁片5dによって、図6に示すように箱形断面を形成している。
本実施形態における収納ラック1を机7に取り付ける際には、上記箱形断面の内側にダクト13a下部の構成部分13a、13c、13dの外面を当接させて、ダクト13を横架材として第3係止部5が係止される。
また、この第3係止部5のフランジ5aには左右に2つのネジ穴5e(図3参照)が設けられており、一方でこれに対して脚構造体2中間部のブラケット2dにも、これに対応するボルト穴2fが設けられている。第3係止部の取り付けは、ブラケット2dのボルト穴2fをボルト20が貫通し、フランジ5aのネジ穴5eに螺合して行う。
なお、本実施例ではブラケット2dを介して第3係止部を脚構造体2に取り付けているが、脚構造体2自体に直接ボルト等で取り付けても良く、さらに、第3係止部5と脚構造体2との固定を、ボルトに変えてスリットと係止用つばにしてもよい。ブラケット2dの取付位置やスリットを脚構造体2の上下方向に複数設けて、第3係止部の取付位置を上下に調整可能とすることも有効である。ここで、第3係止部5は、収納部6よりも高い位置で脚構造体2に設定する方が、本発明収納ラックの転倒防止効果は高くなる。
【0039】
収納部6は、図2〜図5に示すように、収納物9を載置するための棚部6aと、棚部6aの左右両端から上方向に立ち上げた2枚の立壁部6b、6cから構成されている。立壁部6b、6cには、脚構造体2との当接側に折り返し部6d、6eを有しており、この折り返し部6d、6eに穴6fが設けられている。一方、脚構造体2の左右の柱2a、2bの収納部6と当接する前面には穴2gが設けられており、収納部6を脚構造体2に取り付ける際に、前記収納部6の穴6fと脚構造体2の穴2gの位置を合わせ、両穴にボルト21を通して締結することにより取り付ける。
なお、脚構造体2側の穴2gを上下方向に複数設け、収納部6を固定する位置を上下に変更できるようにしてもよい。また、収納部6と脚構造体2との固定はボルト21を使用しているが、これをスリットと係止つばに変更してもよい。
【0040】
本発明において、前記収納部6の棚部6aの左右両端付近には、固定用ベルト22を通すためのスリット6gが設けられている。このスリット6gは、収納物9を収納ラック1に収納する際に、収納物9を棚部6a上に載置し、脚構造体2の両柱2a、2bの間に配線を通した上で、固定用ベルト22によって収納物9を収納部6に固定するためのものである。
【0041】
以上に説明した本発明収納ラック1を机7に取り付ける際には、図9及び図10に例示するように、脚構造体2の両柱2a、2bの背面と第3係止部5の第1横壁片5b、立壁片5c、第2横壁片5dによって形成された箱状空間内に、ダクト13の下部の構成部分が包接されるように支持させる。そして、アジャスター4a、4bを調節して第2係止部4を床8と当接させて、収納ラック1を床8上に載置する。次いで、調節部15によって当接部16の水平面16aを上昇させ、天板10の下面にこれを圧接する。上記操作によって、天板10の下面と床8の間に収納ラック1を突っ張らせ、これを固定する。
【0042】
本実施形態に係る収納ラック1は、上記構成により机7の天板下方に設置されるから、収納物9を机7の上に置く場合のように天板10の作業面積を制限することなく、収納物9を収納することができる。さらに、収納部6が床8から離れた位置に位置付けられるので、土埃等で汚れた床上に収納物9を直接置くことを回避することができる。さらに、収納物9がPC等の電子機器である場合に、埃を吸いこむことで故障の原因となることを防ぐことができる。PC等は吸気ファンや排気ファンを用いて内部を冷却するので、特に有効である。
また、収納ラック1には収納部6に載置した収納物9の重量等によりこれを前方に倒す方向の荷重がかかるが、これを第3係止部5で受け止めているので、収納部6の下方には収納物9の重量を支えるための柱等を別途用いる必要が無い。第1係止部、第2係止部、第3係止部の3つの係止部で収納ラック1を机に取り付ける事により、作業者の足元空間を犠牲にすることなく収納ラック1の倒れを防止することができ、作業者の足等が収納ラック1に接触した場合でも、第3係止部5が机7のダクト13に係止されているので、収納ラック1の倒れを防止することができる。
【0043】
本発明収納ラック1は第3係止部5によって横架部材であるダクト13に係止されているが、このダクト13が脚構造体2と第3係止部5の間の空間を左右に通すように係止されているので、ダクト13の前後及び上下方向に収納ラック1の位置を変更することはできないが、左右方向には位置を変えることが可能となっている。これにより、収納ラック1を机7に取り付ける際には、図9に示すように、第3係止部5をダクト13に係止した状態で、ダクト13をあたかもレールの様にして左右方向に移動させることができる。特に、収納ラック1を机7に取り付けて収納物9を収納した後に、収納ラック1の位置を変更したい場合には、第1係止部3及び第2係止部4の係止を緩めるだけで位置を容易に変更することができる。位置を変更した後は、再度第1係止部3及び第2係止部4を係止するのみで済み、大がかりな作業を必要としない。
【0044】
第1係止部3は、調節部15によって当接部16と脚構造体2上端の距離を調節する。これにより、収納ラック1の上下方向長さを伸縮できるので、この伸縮が可能な範囲において、収納ラック1をさまざまな高さの机に取り付けることができる。また、第1係止部3と机7の係止は、当接部の水平面16aを天板10の下面に圧接することでおこなうので、天板10側には収納ラック1を係止するための特定の形状や構造を有している必要が無く、収納ラック1は汎用的にさまざまな机に取り付けることができる。
【0045】
第2係止部4は、左右方向に配置された2つのアジャスター4a、4bによって構成されている。これにより、脚構造体2及びこれに取り付けられた第3係止部5の高さを調整することができるので、調節部15の機能と併せてさらに調整範囲を大きくすることができる。特に、収納ラック1の全体の高さを変えずに、脚構造体2及び第3係止部5の上下位置を調整することができるので、この調整範囲において、さまざまな高さのダクト13に汎用的に収納ラック1を取り付けることができる。
また、アジャスター4a、4bが2つ設けられているので、これをそれぞれ独自に調節することにより、床8が不陸な場合であっても本発明収納ラック1を容易に取り付けることができ、かつ左右方向にその収納ラック1が倒れにくくなる。
【0046】
さらに、本実施例の収納ラック1は第3係止部5をダクト13と係止し、かつ脚構造体2の両柱2a、2bの間に配線を通すことができることにより、収納物9がPC等の電子機器である場合には配線を両柱2a、2bの間に通してダクト13に誘導することができ、配線の取り回しを簡素で外観を損なわないものとすることができる。また、収納部6は棚部6aと、その左右両端から上方向に延びる立壁部6b、6cから構成されているので、収納部6は立壁部6b、6cによって上下及び前後方向に剛性を付与するリブとしての効果が得られる。これにより、収納部6が金属薄板等を折り曲げて形成したものであっても、収納物9の重量を支えることができる。
【0047】
なお、本発明の構成は上記実施形態に限られるものではない。
例えば本実施形態ではダクト13を横架材として利用しているが、配線を収納できない横方向の天板支持体や梁部材でもよい。
また、本実施形態では脚構造体2を両柱2a、2bをブラケット2c、2d、2eでつなげた構成としているが、十分に剛性がある材質を使用して柱を設けない板状部材としても良い。他にも、両柱2a、2bの間の空間を有効に利用するために、脚構造体2を箱状の筺体として構成しても良い。この場合には収納部6に収納物9を収納した上で、さらに新たな収納スペースを収納ラック1に設けることができるので、作業者が靴を脱ぎ換えた際に、脱いだ靴を一時的に収納しておくことも可能となる。
また、収納部6の形状や構成は収納物9によってさまざまな形状、構造とすることができる。本実施形態では収納物として電子機器のような重量物を載置できる構成としているが、鞄や靴等を収納する場合には、例えば収納部6をフック状部材とし、該フック状部材に鞄や靴を引っかけるようにしてもよい。
その他の具体的構成についても上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 収納ラック
2 脚構造体
3 第1係止部
4 第2係止部
5 第3係止部
6 収納部
7 机
8 床
9 収納物
10 天板
11 端部脚
12 中間脚
13、14 ダクト
15 調節部
16 当接部
17a ネジ穴
17b スリット
18 ネジ
19 ゴム
20、21 ボルト
22 固定用ベルト
23 蓋
24 底板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の下方に横架材を有する机の当該天板の下方に設置する収納ラックであって、当該収納ラックは、
上下方向に延びる脚構造体と、
脚構造体上端に配設され、当該脚構造体上端側を天板の下面に当接する第1係止部と、
脚構造体下端に配設され、当該脚構造体下端側を床に当接する第2係止部と、
脚構造体背面の上端から下端の間に配設され、当該脚構造体を横架材に係止する第3係止部と、
脚構造体前面の上端から下端の間に配設され、収納物を収納する収納部と、
を具備してなることを特徴とする収納ラック。
【請求項2】
第3係止部は、脚構造体を横架材に対して前後方向に係止すると共に、左右方向には移動を許容するように形成した請求項1の収納ラック。
【請求項3】
第3係止部は、脚構造体背面から後方に延びる第1横壁片と、該第1横壁片の後端から上方に延びる立壁片と、該立壁片上端から脚構造体背面側に延びる第2横壁片とを備え、
脚構造体背面と、第1横壁片と、立壁片と、第2横壁片で囲まれた空間を横架材の構造部分が横貫することにより、前記脚構造体を当該横架材に係止する請求項2の収納ラック。
【請求項4】
第3係止部は、当該第3係止部を脚構造体に固定するための固定手段によって脚構造体に着脱可能に固定され、かつ、
前記固定手段は、第3係止部の固定位置を前記脚構造体の上下方向において変位させる調節機構を備えた請求項1〜3のいずれかの収納ラック。
【請求項5】
第3係止部の固定手段は、第3係止部に配設された係止つばと、脚構造体背面の上下方向に列設した前記つばを係合する複数のスリットを調節機構として備えた請求項4の収納ラック。
【請求項6】
横架材は、電子機器の配線を収納するためのダクトである請求項1〜5のいずれかの収納ラック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52166(P2013−52166A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193572(P2011−193572)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【出願人】(390005452)伊藤喜オールスチール株式会社 (35)
【Fターム(参考)】