説明

取手付き電気機器

【課題】取手をある程度引き上げると保持されて、取手の取扱いが容易であり、また取手を収納するとき、衝撃音を抑えて滑らかに収納され、また取手の支点が本体重心と外れていても、本体が揺れることなく安定して運搬でき、さらに本体の姿勢を正しく保ったまま安全に運搬できる取手付き電気機器を提供すること目的とする。
【解決手段】取手13の連結部16の側面が当接して摺接する押え部17を有し、押え部17に設けた溝21に連結部16に設けた突起部18を嵌入可能とし、また押え部17に設けた溝21に圧接して嵌入する第2の突起部20を連結部16に設けることで、取手13を便利に使用でき、また取手13を脚部22が本体ケース25の壁面11bと当接する位置まで回動可能に設け、さらに握り部13aは本体26の重心の直上に位置する寸法関係とすることにより、本体26を安定して安全に運搬できる取手付き電気機器を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用の取手を備えた取手付き電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の取手付き電気機器は、本体ケース天面に本体重心と同一垂直に設けた支点と、この支点を中心に回動可能に設けた取手を有し、本体ケースに設けた取手を収納する凹状収納部を有した空気清浄機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その取手付き電気機器について図6〜図8を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように、本体ケース101は、前面に室内空気を吸気する吸込グリル102を備え、本体ケース101内に空気浄化フィルター103、電動機104およびファン105を有し、吸込グリル102に吸い込まれた室内空気は空気浄化フィルター103を通過し、電動機104およびファン105に誘導されて本体ケース101上部後面に設けられた吹出し口106から室内へ排出される。また、吸込グリル102の上部にスイッチ部107を設け、本体ケース101の天面に、本体の重心と同一垂直面に設けた支点108に回動可能に支持される取手109を有し、取手109を収納できる凹状収納部110を設けている。
【特許文献1】特開2003−38923号公報(請求項3〜4、図6〜図9参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の取手付き電気機器では、取手を収納位置から引き出し、本体を持ち上げて移動させる際、取手の回動が固定されていないので、取手を略垂直まで引き上げて一時的に支持する必要があり、取扱いが不便であるという課題があり、取手をある程度引き上げると保持され、取手を用いた運搬が便利にできる取手付き電気機器が要求されている。
【0006】
また、取手を収納する際、取手を傾けて手を離すと、取手自身の自重により収納凹部に勢いよく戻され、衝撃音が発生するという課題があり、このような衝撃音を抑えて滑らかに取手が収納される取手付き電気機器が要求されている。
【0007】
また、近年は本体の小型化、薄型化に伴い、本体重心の上方位置に取手の支点を設けることができないので、本体がぐらついて状態で運搬されるという課題があり、取手の支点が本体重心と同一垂直面に設けられなくとも、取手を持って本体を安定して運搬できる取手付き電気機器が要求されている。
【0008】
また、同様に本体重心の上方位置に取手の支点を設けることができないので、本体が傾いた状態で運搬されると、持ち上げるときや設置時に不安定になるという課題があり、本体の姿勢を正しく保ったまま運搬できる取手付き電気機器が要求されている。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、取手をある程度引き上げると保持されて、取っ手の取扱いが容易であり、また取手を収納するとき、衝撃音を抑えて滑らかに収納され、また取手の支点が本体重心と外れていても、本体が揺れることなく安定して運搬でき、また本体の姿勢を正しく保ったまま安全に運搬できる取手付き電気機器を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の取手付き電気機器は上記目的を達成するために、本体ケースの天面に収納可能に設けた取手と、この取手の連結部を回動可能に支持する支軸と、前記本体ケースに設けた前記連結部の側面が当接して摺接する押え部を有し、この押え部は弾性を有するとともに、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能としたものである。
【0011】
この手段により、取手をある程度引き上げると保持されて、取っ手の取扱いを容易にすることができる取手付き電気機器が得られる。
【0012】
また、他の手段は、取手が本体ケースの天面に収納される手前の回動位置において、押え部に設けた溝に圧接して嵌入する第2の突起部を連結部に設けたものである。
【0013】
この手段により、取手を収納するとき、衝撃音を抑えて滑らかに収納できる取手付き電気機器が得られる。
【0014】
また、他の手段は、取手の脚部が本体ケース上部の壁面に当接する回動位置において、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能としたものである。
【0015】
この手段により、取手の支点が本体重心と外れていても、本体が揺れることなく安定して運搬できる取手付き電気機器が得られる。
【0016】
また、他の手段は、取手の握り部が本体ケース重心の真上となる回動位置において、押え部に設けた溝に連結部に設けた突起部を嵌入可能とするとともに、前記本体ケース上部の壁面に設けた当てリブに前記取手の脚部を当接可能としたものである。
【0017】
この手段により、本体の姿勢を正しく保ったまま安全に運搬できる取手付き電気機器が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、取手を収納部から引き上げると、引き上げた姿勢を保持するので、一時的に手で支える必要がなく、取手の取扱いが容易で便利に使用できる効果のある取手付き電気機器を提供できる。
【0019】
また、取手を収納するときに衝撃音を発生せず、滑らかに収納できる効果のある取手付き電気機器を提供できる。
【0020】
また、取手の支点が本体重心と外れていても、取っ手を持つだけで、本体をぐらつかないように支えて運搬できる効果のある取手付き電気機器を提供できる。
【0021】
また、取手の支点が本体重心と外れていても、取手をそのまま自然に持ち上げるだけで、本体の姿勢を正しく保ったまま安全に運搬できる効果のある取手付き電気機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の請求項1記載の発明は、本体ケースの天面に収納可能に設けた取手と、この取手の連結部を回動可能に支持する支軸と、前記本体ケースに設けた前記連結部の側面が当接して摺接する押え部を有し、この押え部は弾性を有するとともに、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能としたものであり、本体を移動する際に、本体上面に収納されている取手を引き上げると、引き上げた姿勢を保持するので、一時的に手で支える必要がなく、取手の取扱いが簡単かつ便利にできるという作用を有する。
【0023】
また、取手が本体ケースの天面に収納される手前の回動位置において、押え部に設けた溝に圧接して嵌入する第2の突起部を連結部に設けた構成としたものであり、取手を収納させる際に第2の突起部が溝に圧接しながら徐々に嵌入するので、取手の回動速度が低減され、衝撃音を発生しないように滑らかに収納することができるという作用を有する。
【0024】
また、取手の脚部が本体ケース上部の壁面に当接する回動位置において、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能としたものであり、取手の支点が本体重心から外れている場合でも、取手の脚部を本体ケース上部の壁面に当接させることで、取手が本体の揺れを防ぐように支えるので、半固定した状態で運搬できるという作用を有する。
【0025】
また、取手の握り部が本体ケース重心の真上となる回動位置において、押え部に設けた溝に連結部に設けた突起部を嵌入可能とするとともに、前記本体ケース上部の壁面に設けた当てリブに前記取手の脚部を当接可能としたものであり、取手の支点が本体重心から外れている場合でも、本体重心の真上に取手の握り部が位置するとともに、押え部の溝への突起部の嵌入と、取手と本体の当接による支持があるので、取手をそのまま自然に持ち上げるだけで、本体の姿勢を正しく保ったまま安全に運搬できるという作用を有する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、内部ケース5は電動機2とファン3とファンケーシング4を備え、内部ケース5と裏ケース1を連結し、操作部6を組み込むことで本体ケース25を形成し、本体ケース25の両側面に格子9を一体に形成した排気口10を有している。本体ケース25の吸い込み側には吸込グリル7と空気清浄フィルター8が載置され、空気清浄機の本体26が構成されている。本体ケース25の天面は水平面11aと垂直な壁面11bと傾斜面11cを設け、また本体ケース25の天面には取手13の連結部16が回動可能に支持される支軸14が設けられ、取手13の傾斜面11cに取手13を収納する収納凹部15が一体に形成されている。
【0028】
また、内部ケース5には、取手13の連結部16側面と当接する位置に、弾力性を備えた押え部17を2ヶ所成型し、押え部17に取手13の連結部16が当接した状態で断面だるま形状の支軸14と嵌合されている。取手13の連結部16に突起部18を設け、押え部17に溝21を設け、取手13を上側に起こした位置にて、取手13の突起部18が押え部17の溝21に嵌合する形状となっている。
【0029】
上記構成において、操作部6により運転を開始すると、室内の汚染された空気は電動機2およびファン3の運転により空気清浄フィルター8を通り、浄化された空気は排気口10から室内へ排出される。
【0030】
また、本体ケース1を運搬するときは、収納凹部15から取手13を上方に引き上げて所定角度になると、連結部16に設けた突起部18が押え部17に設けた溝21に嵌合し、押え部17の弾力性により取手13を立設した状態で保持することができる。引き上げた取手13を維持するために一時的に手で支える必要がなく、本体1を移動する際に引き上げた取手13を持ち運びができる状態で保持できるので、取手13の取扱いが簡単で便利に使用できることとなる。
【0031】
なお、本実施の形態では取手付き電気機器として空気清浄機を用いて説明したが、除湿機、電気暖房機などの移動して使用される電気機器に適用しても同様の効果を奏するものである。
【0032】
(実施の形態2)
図3に示すように、取手13の連結部16には、弾力性を備えた厚肉部19を形成し、取手13が本体ケース25の天面の収納凹部15に回動して収納されるときに、その手前の位置から押え部17と厚肉部19とが徐々に当接することにより、取手13の回動速度が弱まる構成としている。また取手13の連結部16に第2の突起部20を設け、取手13が収納凹部15の底面に当接する位置よりやや手前で、取手13の第2の突起部20が押え部17の溝21に嵌合する形状となっている。
【0033】
上記構成において、取手13を収納凹部15の収納するため、下方に回動するとともに手を離すと、連結部16に設けた厚肉部19が押え部17に圧接して、重力に抗して回動速度が徐々に低下し、取手13が収納凹部15の底面に当接する位置よりやや手前で、連結部16の第2の突起部20が押さえリブ17に設けた溝21に嵌合して収まり、取手13を収納凹部15に収納させるときに衝撃音が無く滑らかに収納することができる。
【0034】
(実施の形態3)
図4に示すように、取手13を脚部22が本体ケース25の壁面11bと当接する位置まで回動可能に設け、この回動位置で取手13の突起部18が押え部17の溝21に嵌合する構成としている。なお、本体26の重心位置は支軸14の後方にあるものとする。
【0035】
上記構成において、取手13を引き上げて壁面11bに当接する位置まで回動すると、
取手13の突起部18が押え部17の溝21に嵌合して仮固定される。このとき取手13の支軸14は本体26の重心位置より前方にあるため、取手13を持ち上げると本体ケース25は後傾姿勢となるので、取手13の脚部22に本体ケース25の壁面11bが押圧状態となり、取手13が本体ケース25の上部に張り付いたように支持することができる。従って取手13の支軸14が本体26重心と外れた位置にあっても、取っ手を持つだけで、本体26をぐらつかないように支えて運搬することができる。
【0036】
(実施の形態4)
図5に示すように、本体ケース25上面に設けた壁面11bに角度調節用の当てリブ23を形成し、取手13の脚部22に当接可能に設けている。取手13の先端には握り部13aを備え、取手13の脚部22が壁面11bの当てリブ23に当接したときに、握り部13aは本体26の重心の直上に位置する寸法関係としている。このとき連結部16に設けた突起部18と押え部17に設けた溝19は嵌合して仮固定した状態で取手13を保持する構成となっている。
【0037】
上記構成において、取手13の支軸14を支点として回動し、当てリブ23と取手13の脚部22が当接されることにより、取手13の握り部13aか本体26の重心位置の直上に配置される。同時に取手13の突起部18が押え部17の溝21に嵌合して仮固定される。この状態で取手13の握り部13aを持ち本体26を上げると、本体26がいずれの方向にも倒れることなく姿勢を保ちつつ持ち上がり、そのままぐらつくことなく運搬することができる。また本体26を床面に降ろすときも、本体26の姿勢を崩すことなく安定して載置することができ、このように取手13の支軸14が本体26の重心と外れた位置にあっても、安全に運搬し設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本体に取付けた取手を用いて容易にかつ安全に持ち運びができるので、電気機器以外の取手を備えた装置の運搬性を向上させる用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1の取手付き電気機器の分解斜視図
【図2】同要部断面図
【図3】本発明の実施の形態2の取手付き電気機器の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態3の取手付き電気機器の要部断面図
【図5】本発明の実施の形態4の取手付き電気機器の要部断面図
【図6】従来の取手付き電気機器の外観斜視図
【図7】同要部斜視図
【図8】同要部断面図
【符号の説明】
【0040】
11b 壁面
13 取手
13a 握り部
14 支軸
16 連結部
17 押え部
18 突起部
20 第2の突起部
21 溝
22 脚部
23 当てリブ
25 本体ケース
26 本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの天面に収納可能に設けた取手と、この取手の連結部を回動可能に支持する支軸と、前記本体ケースに設けた前記連結部の側面が当接して摺接する押え部を有し、この押え部は弾性を有するとともに、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能とした取手付き電気機器。
【請求項2】
取手が本体ケースの天面に収納される手前の回動位置において、押え部に設けた溝に圧接して嵌入する第2の突起部を連結部に設けた請求項1記載の取手付き電気機器。
【請求項3】
取手の脚部が本体ケース上部の壁面に当接する回動位置において、押え部に設けた溝に前記連結部に設けた突起部を嵌入可能とした請求項1記載の取手付き電気機器。
【請求項4】
取手の握り部が本体重心の真上となる回動位置において、押え部に設けた溝に連結部に設けた突起部を嵌入可能とするとともに、前記本体ケース上部の壁面に設けた当てリブに前記取手の脚部を当接可能とした請求項1記載の取手付き電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−103783(P2006−103783A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295936(P2004−295936)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】