説明

受信器及びそれを用いた負荷制御システム

【課題】負荷の動作等に伴って変動するノイズ環境に迅速かつ正確に対応して、正常な通信を行い負荷を制御する負荷制御システムを提供する
【解決手段】制御部36は、検波IC35から出力されたRSSI信号の電圧レベルを検知し、この電圧レベルを所定の閾値αと比較する。RSSI信号の電圧レベルが閾値αより大きい場合は、RSSI信号のビット同期の処理を行う。ビット同期方式による同期がとれると、信号に基づいて負荷5の動作を制御する。ビット同期がとれない状況が所定の時間以上継続すると、アンテナ31の受信周波数チャンネルを変更する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器から電波により送信された無線信号を受信して、負荷を制御する受信器と、それを用いた負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送信器から送信された無線信号を壁面などの造営面に配設されたスイッチにより受信する単方向通信を行い、スイッチが受信した信号に基づいて照明装置などの負荷の開閉動作を行うように構成された負荷制御システムが用いられている。無線通信を利用することにより、高機能なスイッチを、当該負荷制御システムの他の部分との間の配線作業等を行うことなく、既設のスイッチに替えて又は新規に、容易に配設することができる。このような無線通信を利用する負荷制御システムにおいて、用途によって、電波による無線通信により送信器とスイッチとの間で信号を送受信する方が、赤外光により送受信する場合よりも望ましい場合がある。これは、無線通信によれば、赤外光による場合よりも、電波の透過性や回折性等により、スイッチに信号を送信可能になる送信器のエリアが広くなる等のメリットがあるからである。
【0003】
しかしながら、電波による無線通信を用いる場合、負荷として接続されている電子機器が発生するノイズが無線通信の電波に干渉し、通信状態が劣化し、ひいては通信不能に陥る虞がある。このようなノイズによる干渉を回避するため、受信器に複数チャンネルの電波を受信できる機能を搭載し、手動によって受信チャンネルを切り替える負荷制御システムが提案されている。しかしながら、このような手動の負荷制御システムにあっては、システムの近傍に設置された生活家電製品、情報機器、AV機器等の電子機器による刻々と変化するノイズ環境に迅速に対応して受信チャンネルを切り替えることができない。
【0004】
ここで、特許文献1には、リモコン装置を用いた照明装置において、送信側と受信側とで定期的にチャンネルを変更し、制御信号を受信することが開示されている。しかしながら、この照明装置では、受信側が頻繁にチャンネルを切り替えるため、受信側において電力の消費が比較的大きくなるという問題、電文フォーマットが長くなることで反応までの処理時間が遅くなり、さらに送信器側では消費電流が大きくなるという問題、さらにはチャンネル切替処理時の受信不可時間の発生頻度が高くなることにより、反応までの処理時間が遅くなるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、車両用施解錠操作を行うための通信制御システムにおいて、ノイズ対策として、双方向通信により送信周波数変更制御を行い、確実に施解錠操作を行えるようにすることが開示されている。しかしながら、このような通信方式は、双方向通信を行うために複雑な制御を必要とするものであるため、上述のように単方向通信を行えばよいような、構成が単純な負荷制御システムに採用すると、製造コストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−278060号公報
【特許文献2】特開2008−60941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、日々刻々と変動するノイズ環境に迅速かつ正確に対応して、正常な通信を行い、負荷を制御する負荷制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、1回の無線信号の送信にあたって複数の周波数チャンネルで送信する送信器から電波により送信された無線信号を受信するアンテナと、該アンテナによって受信された無線信号を増幅する増幅部と、該増幅部によって増幅された信号に基づいて、接続されている負荷を制御する制御部を備えた受信器において、前記制御部から出力された制御信号に基づいて前記アンテナが受信する周波数チャンネルを変更するチャンネル変更部をさらに備え、前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルを検知し、この信号のレベルが所定の閾値よりも大きく、かつ該信号についてビット同期方式による同期がとれない状況が所定の時間以上継続した場合に、前記チャンネル変更部を介して、前記アンテナが受信する周波数チャンネルを、送信器から送信されてくる複数の周波数チャネルのうち異なる周波数チャンネルに変更することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の受信器において、前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を所定の時間間隔毎に定期的に行い、この信号レベルが所定の回数以上連続して前記閾値よりも大きい場合に、前記チャンネル変更部を介して前記アンテナが受信する周波数チャンネルを変更することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の受信器において、時間を計数するタイマをさらに備え、前記制御部は、前記負荷を制御する時間帯に応じて、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2に記載の受信器において、前記制御部は、前記負荷の使用頻度に応じて、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の受信器において、前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの1回の検知において、前記増幅部によって増幅された信号のサンプリングを所定回数以上に亘って行い、その平均値を前記閾値と比較することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載の受信器において、前記制御部は、前記負荷の使用状態に応じて前記サンプリングの回数を変更することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の受信器において、前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を行う時間間隔を当初は長く設定し、該増幅部によって増幅された信号のレベルが前記所定の閾値よりも大きくなると、該増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を行う時間間隔を短く設定することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項5に記載の受信器において、前記制御部は、サンプリングを行った信号のレベルに周期性があるか否かを判定し、該周期性があると判定した場合、次のレベルの検知から信号のサンプリングを行う周期を変更することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の受信器において、受信器が設置される環境の温度を検知する温度センサをさらに備え、該温度センサによって検知された温度に応じて前記閾値を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項5に記載の受信器において、前記制御部は、前記増幅部を間欠動作させ、該増幅部が動作中に前記増幅部によって増幅された信号のサンプリングを所定回数以上に亘って行うことを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の受信器と、該受信器に接続される負荷と、前記負荷を制御するための無線信号を電波により送信する請求項1に記載の送信器とを備えたことを特徴とする負荷制御システムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、増幅部によって増幅された信号のレベルが所定の閾値よりも大きく、かつ同期がとれない状況が所定の時間以上継続した場合に、すなわち、負荷の動作等に伴って発生するノイズによって通信環境が悪化したと判断できる場合に、アンテナが受信する周波数チャンネルが変更される。これにより、変動するノイズ環境に迅速かつ正確に対応し、正常な通信を行うことが可能になる。特に、アナログ方式の送信器から送信された無線信号に対応する受信器に適用する場合には、送信当初の周波数が安定しない状況においても、ノイズ環境を正しく認識することが可能となり、正常な通信を行うことができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、信号のレベルの検知を所定の時間間隔毎に定期的に間引いて行うので、信号のレベルの検知に要する電力を削減でき、受信器の消費電力の低減を図ることができる。また、何らかの事情により、信号レベルが閾値よりも単発的に大きくなった場合には、周波数チャンネルを変更しないので、安定した通信状態に早期に復帰することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、負荷が使用されることが少ない深夜や早朝においては、信号のレベルの検知をさらに間引いて行う、すなわち検知の頻度を下げることにより、より一層受信器の消費電力の低減を図ることができる。一方、負荷が使用されることが多い食事等の時間帯においては、検知の頻度を上げることにより、通信の信頼性を高めることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、時間帯毎の負荷の使用頻度に応じて信号のレベルの検知の頻度を変更するので、接続される負荷に応じて、受信器の消費電力を低減したり、通信の信頼性を高めたりすることが可能となる。
【0023】
請求項5の発明によれば、増幅部によって増幅された信号のレベルの1回の検知において、信号のサンプリングを所定回数以上に亘って行い、その平均値を用いるので、瞬間的なノイズによって周波数チャンネルが過敏に変更されることがなくなり、通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0024】
請求項6の発明によれば、負荷の使用状態(稼働状態)に応じてサンプリングの回数を変更するので、受信器の消費電力を低減しつつ、通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0025】
請求項7の発明によれば、増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を行う時間間隔を当初は長く設定するので、受信器の消費電力を低減することができる。また、上記信号のレベルが所定の閾値よりも大きくなると、上記時間間隔を短く設定するので、通信の信頼性を高めることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、サンプリングを行った信号のレベルに周期性がある場合、次のレベルの検知から信号のサンプリングを行う周期を変更して、負荷が接続されているスイッチング電源等から発生する周期的なノイズとの同期を回避する。これにより、正確にノイズ環境を認識できるようになる。
【0027】
請求項9の発明によれば、受信器の各部を構成するICの動作が周辺環境の温度に依存する場合であっても、閾値を変更することにより、周辺環境の温度に適切に対応させることができ、通信の信頼性を高めることができる。
【0028】
請求項10の発明によれば、増幅部を間欠動作させることにより、受信器の消費電力を低減できる。また、増幅部が動作していないときには信号のサンプリングは行われないので、上記平均値を適切に算出できる。
【0029】
請求項11の発明によれば、消費電力が低廉で、かつ信頼性の高い負荷制御システムを容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係る負荷制御システムを示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る別の負荷制御システムを示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る照明制御システムの一例を示すブロック図。
【図4】制御部が、アンテナの受信周波数チャンネルを変更する動作を示すフローチャート。
【図5】制御部が、アンテナの受信周波数チャンネルを変更する動作の一部を説明する図。
【図6】制御部によってサンプリングされるRSSI信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る負荷制御システムを示す。負荷制御システム1は、送信器と、受信器と、電源と、負荷等によって構成される。送信器、受信器及び負荷は、負荷制御システム1内に複数存在してもよい。例えば、図1においては、n個の受信器及び負荷が負荷制御システム1内に存在し、1つの送信器によって複数の負荷が制御される。送信器には、各受信器に対応するボタンが設けられており、いずれかのボタンが操作されると、対応する受信器に付与されているIDを付加した制御信号が送信器から送信される。受信器は、送信器から送信された信号を受信し、IDの照合を行い、自己に対して送信された信号に基づいて負荷を制御する。送信器からは、負荷制御システム1が設置されている通信環境に適する周波数で通信できるように、1回の送信にあたって複数の周波数チャンネル(例えば、f1,f2,f3の周波数チャンネル)で無線信号が送信される。受信器は、送信器と同様の複数の周波数チャンネルの電波を選択的に受信可能に構成され、必要に応じて周波数チャンネルを切り替えながら送信器から送信された無線信号を受信して、その無線信号に応じて負荷を制御する。例えば、受信器は、受信した無線信号に応じて負荷に電力を供給する電源のオン/オフを制御する。電源は、負荷に直流又は交流の電力を供給する。負荷の一例としては、例えば、蛍光灯等の照明装置が挙げられる。この場合、負荷制御システム1によって照明装置の点灯状態が制御される。
【0032】
また、図2においては、n個の送信器が負荷制御システム1内に存在し、複数の送信器によって1つの負荷が制御される。この場合も各送信器に設けられているボタンが操作されると、その送信器から受信器に付与されているIDを付加した制御信号が送信される。この場合であっても、各送信器からは、1回の送信にあたって複数の周波数チャンネル(例えば、f1,f2,f3の周波数チャンネル)で無線信号が送信され、受信器は、必要に応じて周波数チャンネルを切り替えながら送信器から送信された無線信号を受信する。なお、図1及び図2に示した負荷制御システム1を組み合わせることにより、複数の送信器から複数の受信器に無線信号を送信し、各送信器から複数の負荷を個別に又は一括して制御することが可能である。また、1つの受信器によって複数の負荷を一括して制御することも可能である。
【0033】
図3は、送信器、受信器及び負荷が単一である場合の負荷制御システム1の構成を示している。受信器3は、送信器2、電源4及び負荷5と共に負荷制御システム1を構成する。受信器3は、アンテナ31、LNA(増幅部)32、混合部33、IFアンプ34、検波IC35、制御部36、温度センサ37、タイマ38と局部発振部(チャンネル変更部)39等によって構成されている。アンテナ31は、送信器2から電波により送信された無線信号を受信する。LNA32は、アンテナ31によって受信された無線信号を増幅する。混合部33は、LNA32によって増幅された信号と局部発振部39から出力された局部発振信号を混合する。IFアンプ34は、混合部33によって局部発振信号が混合された中間周波数の信号を増幅する。検波IC35は、IFアンプ34によって増幅された信号の周波数を電圧に変換して制御部36に出力する。制御部36は、受信器3の各部の制御を司る。例えば、制御部36は、検波IC35から出力されたRSSI(Received Signal Strength Indicator)信号に応じて、電源4のオン/オフを制御することにより、負荷5の動作を制御する。また、制御部36は、検波IC35から出力された信号に応じて、局部発信部39に制御信号を出力し、アンテナ31が受信する周波数チャンネルを変更させる。温度センサ37は、受信器3が設置されている環境の温度を検知する。タイマ38は時間を計数する。局部発振部39は、局部発振信号を混合部33に出力し、アンテナ31が受信する周波数チャンネルを変更する。
【0034】
図4は、通信時に制御部36が、アンテナ31の受信周波数チャンネルを変更する動作を示している。まず、制御部36は、後述するループ回数をリセットし(#1)、検波IC35から出力された信号に対してビット同期方式による同期をとる(#2)。ビットの同期が取れると(#2においてYES)、負荷を制御するための信号の受信処理を行う(#3)。信号の受信が成功すると(#3においてYES)、その信号に基づいて負荷5の動作を制御する(#4)。これによって1回の通信が終了する。一方、ビット同期方式による同期が取れない場合には、RSSI信号を検知し(#5)、この電圧レベルを所定の閾値αと比較する(#6)。RSSI信号の電圧レベルが閾値αより大きい場合は(#6においてYES)、#2,#5,#6の処理に係るループ回数を1カウントし(#7)、このループ回数が所定回数を超えると(#8においてYES)、局部発信部39に周波数チャンネルを変更する旨の制御信号を出力し(#9)、#1に戻る。一方、ループ回数が所定回数未満の場合は(#8においてNO)、#2に戻る。なお、RSSI信号の電圧レベルが閾値αより大きくない場合は(#6においてNO)、#1に戻る。一回の#2,#5,#6のループ処理に要する時間は、略一定であるので、制御部36は、ループ回数をカウントすることにより、RSSI信号のレベルが所定の閾値αよりも大きく、かつビット同期がとれない状況が所定の時間以上継続したか否かを判定することができる。また、図4においては、ビット同期の処理を行った後、RSSI信号の検知し、その電圧レベルを閾値と比較しているが、先にRSSI信号の検知し、その電圧レベルを閾値と比較した後、ビット同期の処理を行うように構成してもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る負荷制御システム1によれば、RSSI信号のレベルが所定の閾値αよりも大きく、かつビット同期がとれない状況が所定の時間以上継続したと判断できる場合に、すなわち、負荷の動作等に伴って発生するノイズによって通信環境が悪化した場合に、局部発信部39によってアンテナ31が受信する周波数チャンネルが変更される。これにより、変動するノイズ環境に迅速かつ正確に対応し、正常な通信を行うことが可能になる。特に、アナログ方式の送信器2から送信された無線信号に対応する受信器3に適用する場合には、送信当初の周波数が安定しない状況においても、ノイズ環境を正しく認識することが可能となり、正常な通信を行うことができる。
【0036】
図5に示すように、受信レベルの検知、すなわちRSSI信号のサンプリングは、所定の時間間隔毎(同図においてはτ秒毎)に定期的に行う。本実施形態においては、受信器3の消費電力を低減するために、LNA32は、制御部36によって間欠動作するように制御される。検波IC35から出力されたRSSI信号は、LNA32がオンしているときにのみ検知可能である。従って、RSSI信号をサンプリングするタイミングは、LNA32がオンしているタイミングと同期がとられている。このように、RSSI信号の電圧レベルの検知を所定の時間間隔(τ秒)毎に定期的に間引いて行うので、RSSI信号の電圧レベルの検知に要する電力を削減でき、受信器の消費電力の低減を図ることができる。
【0037】
また、図5に示すように、制御部36は、RSSI信号の電圧レベルが所定の回数(同図においては5回)以上連続して閾値αよりも大きい場合に、局部発振部39に周波数チャンネルを変更する旨の制御信号を出力するように構成してもよい。この場合においては、何らかの事情により、RSSI信号の電圧レベルが閾値αよりも単発的に大きくなった場合には、周波数チャンネルを変更しないので、安定した通信状態に早期に復帰することができる。
【0038】
また、受信器3は、タイマ38を備えているので、負荷5を制御する時間帯に応じて、上記所定の時間間隔(τ秒)を変更するように構成してもよい。例えば、負荷5が使用されることが少ない深夜や早朝においては、RSSI信号の電圧レベルの検知をさらに間引いて行う、すなわち検知の頻度を下げることにより、より一層受信器3の消費電力の低減を図ることができる。一方、負荷5が使用されることが多い食事等の時間帯においては、検知の頻度を上げることにより、通信の信頼性を高めることができる。
【0039】
また、制御部36は、負荷5の使用回数をカウント・記憶し、負荷5の使用頻度に応じて、所定の時間間隔(τ秒)を変更するように構成してもよい。例えば、使用頻度の高い負荷5については、所定の時間間隔(τ秒)を短く設定して検知の頻度を上げ、使用頻度の低い負荷5については、所定の時間間隔(τ秒)を長く設定して検知の頻度を下げる。これにより、受信器3の消費電力を低減し、又は通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0040】
制御部36は、所定の時間間隔(τ秒)を当初は長く設定し、RSSI信号の電圧レベルが閾値αよりも大きくなると、時間間隔(τ秒)を短く設定するように構成してもよい。これにより、RSSI信号の電圧レベルの検知を行う時間間隔(τ秒)を当初は長く設定するので、受信器の消費電力を低減することができる。また、上記信号の電圧レベルが閾値αよりも大きくなると、時間間隔(τ秒)を短く設定するので、通信の信頼性を高めることができる。
【0041】
また、図6に示すように、制御部36は、検波IC35から出力されたRSSI信号の1回の検知において、RSSI信号のサンプリングを所定回数以上(同図おいては10回)に亘って行い、その平均値を閾値αと比較するように構成してもよい。これにより、瞬間的なノイズによって周波数チャンネルが過敏に変更されることがなくなり、通信の信頼性を高めることが可能となる。この場合においては、LNA32がオフであるとき、RSSI信号を検知することができないので、同図においては、LNA32がオンした後、tμ秒後にRSSI信号のサンプリングを開始して、LNA32が動作中にRSSI信号の検知を行えるように担保している。このように、LNA32を間欠動作させることにより、受信器3の消費電力を低減できる。また、LNA32が動作していないときには信号のサンプリングは行われないので、上記平均値を適切に算出できる。
【0042】
また、制御部36は、負荷5の使用状態を把握しているので、負荷5の使用状態に応じてサンプリングの回数を負荷5の使用状態に応じて変更するように構成してもよい。例えば、負荷5を使用中の場合には、負荷5からノイズが発生する虞があるため、サンプリングの回数を増やして、ノイズ環境を正しく認識できるようにする。負荷5を使用していない場合には、サンプリングの回数を減らして受信器3の消費電力を低減する。これにより、受信器3の消費電力を低減しつつ、通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0043】
また、負荷5の電源4等から発生した周期的なノイズが干渉する場合には、サンプリングを行った信号の電圧レベルに周期性が生ずることがある。このような場合、制御部36は、次の電圧レベルの検知からRSSI信号のサンプリングを行う周期を変更するように構成してもよい。これにより、正確にノイズ環境を認識できるようになる。
【0044】
また、温度センサ37によって検知された温度に応じて閾値αを変更するように構成してもよい。これにより、受信器3の各部を構成するICの動作が、周辺環境の温度に依存する場合であっても、閾値αを変更することにより、周辺環境の温度に適切に対応させることができ、通信の信頼性を高めることができる。
【0045】
なお、本発明は、上述のように照明装置を制御する照明制御システムのほか、送信器から送信された信号に応じて動作をオン・オフする空調システムや給湯システム、又は送信器から送信された所定の信号を受信して通報動作を行う防犯システムなど、他の用途に用いられる負荷制御システムにおいても用いることが可能である。
【0046】
1 負荷制御システム
2 送信器
3 受信器
5 負荷
31 アンテナ
32 LNA(増幅部)
36 制御部
37 温度センサ
38 タイマ
39 局部発振部(チャンネル変更部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回の無線信号の送信にあたって複数の周波数チャンネルで送信する送信器から電波により送信された無線信号を受信するアンテナと、該アンテナによって受信された無線信号を増幅する増幅部と、該増幅部によって増幅された信号に基づいて、接続されている負荷を制御する制御部を備えた受信器において、
前記制御部から出力された制御信号に基づいて前記アンテナが受信する周波数チャンネルを変更するチャンネル変更部をさらに備え、
前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルを検知し、この信号のレベルが所定の閾値よりも大きく、かつ該信号についてビット同期方式による同期がとれない状況が所定の時間以上継続した場合に、前記チャンネル変更部を介して、前記アンテナが受信する周波数チャンネルを、送信器から送信されてくる複数の周波数チャネルのうち異なる周波数チャンネルに変更することを特徴とする受信器。
【請求項2】
前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を所定の時間間隔毎に定期的に行い、この信号レベルが所定の回数以上連続して前記閾値よりも大きい場合に、前記チャンネル変更部を介して前記アンテナが受信する周波数チャンネルを変更することを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
時間を計数するタイマをさらに備え、
前記制御部は、前記負荷を制御する時間帯に応じて、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする請求項2に記載の受信器。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷の使用頻度に応じて、前記所定の時間間隔を変更することを特徴とする請求項2に記載の受信器。
【請求項5】
前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの1回の検知において、前記増幅部によって増幅された信号のサンプリングを所定回数以上に亘って行い、その平均値を前記閾値と比較することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の受信器。
【請求項6】
前記制御部は、前記負荷の使用状態に応じて前記サンプリングの回数を変更することを特徴とする請求項5に記載の受信器。
【請求項7】
前記制御部は、前記増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を行う時間間隔を当初は長く設定し、該増幅部によって増幅された信号のレベルが前記所定の閾値よりも大きくなると、該増幅部によって増幅された信号のレベルの検知を行う時間間隔を短く設定することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の受信器。
【請求項8】
前記制御部は、サンプリングを行った信号のレベルに周期性があるか否かを判定し、該周期性があると判定した場合、次のレベルの検知から信号のサンプリングを行う周期を変更することを特徴とする請求項5に記載の受信器。
【請求項9】
受信器が設置される環境の温度を検知する温度センサをさらに備え、該温度センサによって検知された温度に応じて前記閾値を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の受信器。
【請求項10】
前記制御部は、前記増幅部を間欠動作させ、該増幅部が動作中に前記増幅部によって増幅された信号のサンプリングを所定回数以上に亘って行うことを特徴とする請求項5に記載の受信器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の受信器と、該受信器に接続される負荷と、前記負荷を制御するための無線信号を電波により送信する請求項1に記載の送信器とを備えたことを特徴とする負荷制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−4286(P2011−4286A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147052(P2009−147052)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】