可動棚の昇降装置
【課題】構成を合理的に簡素化しつつ、より使い勝手の良い可動棚を開示する。
【解決手段】可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成した。前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成することが好ましい。
【解決手段】可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成した。前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棚を平行リンク機構によって昇降可能に支持した可動棚の昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流し台や調理台の上方などの頭上に位置する収容設備において、戸棚内部の棚板を昇降可能とすることで収容物の出し入れの便に供する昇降式吊戸棚が知られているが(例えば、特許文献1〜3参照)、こうした昇降式吊戸棚は、棚板の昇降と同期して戸を開閉させる機構を採用するなど、内部構造が非常に複雑であった。
【0003】
また、従来の昇降式吊戸棚は、通常、システムキッチンと統一して設置されるものであるから、仮に、既存のキッチンに追加する場合は、現在使用中の吊戸棚を撤去するなど、大掛かりな工事が必要であった。
【0004】
これに対して、戸を備えず、単に棚板を昇降させるようにした昇降棚装置が特許文献4によって公知である。この昇降棚装置は、棚板の昇降と戸の開閉を同期させる必要がないから、その分、構造が簡単であり、また、既存の吊戸棚の下面にも設置可能であるから、比較的小規模の工事で設置できるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2008−23107号公報
【特許文献2】特開2007−313227号公報
【特許文献3】特開2003−24152号公報
【特許文献4】特開2007−175333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献4には、棚板を上下二段としたものと、単段としたものの双方について開示がある。しかしながら、前者二段式の場合、上下の棚板を上アームおよび下アームによって連動して支持するため構造が複雑である。しかも、折り畳んだ状態では上下の棚板が重なることから、小物ですら棚板に乗せておくことができず、未使用時には棚板上の物を全て撤去するといった手間が生ずる。
【0007】
一方、後者単段式の場合、棚板は下降と共に奥に後退する軌跡を描くため、完全に引き下ろしたときは使用者から最も遠ざかったところに棚板が位置することになって、物の出し入れが行いづらい。なお、特許文献4は、棚板を下降位置で手前に引き出すスライド構造をも開示しているが、当該スライドのために構造が複雑化ばかりでなく、棚板を引き出すことによって重心が変位するから、安定性にも影響する。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、構成を合理的に簡素化しつつ、より使い勝手の良い可動棚を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明では、可動棚を左右2本ずつのリンクアームから構成される平行リンク機構によって水平なまま手前下方まで引き下げ可能とした。また、ダンパと前記リンクアームの一方とでクランク機構を構成し、昇降動作の速度調整を可能とした。即ち、本発明は、可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成したことを特徴とする可動棚の昇降装置である。
【0010】
上記平行リンク機構を構成する前後2本のリンクアームは常に連動して回動して可動棚の昇降動作を行うものであるから、何れか一方のアームの回動を規制すれば昇降動作も停止させることができる。そこで、本発明では、前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成するという手段により、特に可動棚の下降動作を停止させることとした。
【0011】
また、ダンパと一方のリンクアームの屈曲部とで構成されるクランク機構は、ピストンロッドの伸縮運動と当該リンクアームの回動運動を相互に変換する機能を有し、通常は、ピストンロッドの付勢力によって一方のクランクアームを上昇方向に付勢している。従って、可動棚を下降させるときは、上記付勢力に抗する力が必要であるから、ゆっくりと可動棚を下降させることができる。一方、可動棚を上昇させるときは、上記付勢力が補助となって、軽い力で可動棚を上昇させることができる。
【0012】
なお、前側のリンクアームに下降ストッパを屈成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてピストンロッドを枢支することで、前側のリンクアームに下降ストッパとクランク機構の一部を集約することができる。
【0013】
また、本発明では、ピストンロッドの付勢力を可動棚に係る荷重よりも小さく設定して、前記荷重により可動棚の下降状態を保持する。この点、クランク機構は、死点を経て上記一方のリンクアームを下降方向に付勢可能に構成することで、仮に上記付勢力が上記荷重よりも大きい場合でも可動棚を下降状態で保持することができる。
【0014】
さらに、ダンパの姿勢を、可動棚の上昇位置で水平とする手段によれば、当該上昇位置でリンクアームを最もコンパクトに折り畳むことができる。
【0015】
他方、可動棚は、例えば調味料や調理器具などの物品を載置するものであるため、物品が落下しないような手段を講ずる必要がある。このため、可動棚の後端に壁を立設することが好ましいが、この後壁とリンクアームの下端が干渉することが想定される。そこで、本発明では、左右の後アームの下端側同士を連接バーで接続するという手段を用いる。
【0016】
一方、可動棚の左右に側板を立設してなり、この側板にリンクアームの下端を枢支することで、リンクアームとの干渉を回避しつつ、可動棚の横から物品が脱落することを防止できる。
【0017】
さらに、可動棚の下面側にハンドルバーを水平に吊下することで、このハンドルバーを手で握って昇降動作を楽に行える。また、このハンドルバーは、タオルやレードルなどのハンガーとしても機能する。
【0018】
なお、本発明の可動棚を設置するには、その設置箇所にリンクアームの上端側を回動軸で軸支する部材が必要となる。そこで、本発明では、リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、壁面または吊戸棚の下面に取付可能なカバーを備えるという手段を用いる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、可動棚を平行リンク機構によって水平なまま昇降可能とすると共に、当該平行リンク機構を構成するリンクアームの一部とダンパとでクランク機構を構成して昇降動作の速度調整を可能としたため、合理的な構成によって操作性の高い可動棚とすることができた。また、可動棚は手前下方に引き下げ可能となるため、従来技術のように、奥に引き下げる場合よりも、物品の出し入れが簡単に行え、使い勝手がよい。
【0020】
また、本発明では、一方のリンクアームに他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを設けたので、部材数を増やすことなく、合理的に平行リンク機構を制御することができる。さらに、下降ストッパを前側のリンクアームに形成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてダンパを接続することとしたので、平行リンク機構とクランク機構を一のリンクアームに集約できて、より合理的な構成とすることができる。
【0021】
他方、クランク機構の構成を可動棚の昇降動作中に死点を経て、一方のリンクアームを下降方向に付勢可能としたものは、ダンパの付勢力や可動棚の荷重によらずとも、可動棚の下降位置を確実に保持することができる。さらに、ダンパは、可動棚の上昇位置で水平としたものでは、未使用時の状態を最もコンパクトに設計することができる。
【0022】
また、左右の後アームの下端側間に連接バーを架設したので、可動棚の後方から物品が脱落するのを防止できると共に、左右の平行リンク機構を確実に連動させることができる。
【0023】
さらに、可動棚に側板を立設したものは可動棚の側方から物品が脱落するのを防止できると共に、可動棚に対するリンクアームの枢軸部が確保されるから、上昇位置で可動棚とリンクアームが干渉せず、物品を乗せたまま可動棚を上昇させることができる。
【0024】
さらにまた、可動棚の下面にハンドルバーを設けたので、昇降動作を楽に行えると共に、タオルなどのハンガーとしても利用できて、付加価値が高い。
【0025】
さらに、リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、上昇位置で前記リンクアームおよび可動棚が収容可能なカバーを備えたものは、未使用時の状態がすっきりすると共に、本発明装置の設置も簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の第一の実施形態を示したものであり、吊戸棚Cの下面への設置例を示したものである。同図中、10は可動棚、20は可動棚10と平行リンク機構を構成するリンクアーム、30はリンクアーム20の一部とクランク機構を構成するダンパ、40はカバーである。
【0027】
各構成について詳述すると、先ず可動棚10は、棚板11の左右に側板12を立設すると共に、棚板11の下面前方にハンドルバー13を吊下したものである。棚板11は、調味料や調理器具その他の物品を載置する台であり、側板12は、棚板11に載置したものが横から脱落させないガード板であると共に、上記リンクアーム20の下端側を枢支するものである。ハンドルバー13は、可動棚10を昇降させるときの握り棒として機能するもので、その他、タオルやレードルなどの物品を吊り下げるハンガーとしても機能する。
【0028】
次にリンクアーム20は、可動棚10の左右それぞれに前後して吊設した前アーム21と後アーム22の2本からなり、それぞれの上端側はカバー40の側板41に回動軸23・24で軸支して前後方向に回動可能としている。また、下端側は可動棚10の棚板11が水平となるようにその側板12に枢軸25・26で枢支している。ここで、各回動軸23・24および各枢軸25・26をそれぞれ同じ高さ位置に、同じ間隔で設けて、可動棚10を下辺とする平行リンク機構を構成している。即ち、回動軸同士を結ぶ上辺リンクL1および枢軸同士を結ぶ下辺リンクL2は同じ長さであり、且つ、水平に互いに平行している。この関係にあって、回動軸23・24と枢軸25・26とを結ぶ前後(図面上は右左)のリンクL3・L4同士が、同じ長さで平行することはもちろんである。
【0029】
なお、本実施形態では、回動軸23・24は吊戸棚Cの前方寄りに軸支すると共に、枢軸25・26は可動棚10の側板41後方寄りに枢支している。当該構成の平行リンク機構によって、可動棚10を回動軸23・24の後方上昇位置から下方下降位置まで昇降することができる。
【0030】
さらに、この実施形態では、前アーム21および後アーム22それぞれは、次のような特徴を有する。即ち、前アーム21は、上端をコ字状に屈曲した形状を呈するもので、上下2箇所の屈曲部のうち上側の屈曲部21aを回動軸23で軸支している。そして、回動軸23から延長された爪状の上端部を下降ストッパ21bとして、可動棚10の下降動作中に後アーム22の回動軸24の周面と当接して当該動作を停止させるものである。
【0031】
より具体的には、下降ストッパ21bは、次のような長さおよび角度に設定している。即ち、下降ストッパ21bは、可動棚10を下降させて、回動軸23・24の下方に棚板11が位置するとき、より詳しくは、可動棚10の先端が吊戸棚Cの前面位置と一致するとき、後アーム22の回動軸24の周面と当接可能な長さおよび角度に設定している。なお、この実施形態では、前アーム21と後アーム22が、図2および3に示すように、同一平面上に位置する。このため、下降ストッパ21bが可動棚10の下降位置以前に後アーム22と干渉することが考えられる。そこで、この実施形態では、下降ストッパ21bを厚み方向、即ちカバー40の側板41側に屈曲させて、前記干渉を回避し、より確実に後アーム22の回動軸24の周面に当接するように構成している。これに対して、後アーム22の回動軸24には、下降ストッパ21bが当接する際の音や衝撃を吸収するために、その外周を合成樹脂やゴム等の保護層24aで被覆している。
【0032】
さらに、前アーム21の下側の屈曲部21cは、図4に示した未使用状態の通り、可動棚10が上昇位置にあるとき、即ち可動棚10を上昇させて回動軸23と枢軸25を結ぶ前リンクL4が水平となるとき、後アーム22やその回動軸24との当接を回避するための盗み部であり、当接による金属音の発生等を防止するものである。
【0033】
また、前リンクL4が水平となるとき、後リンクL3も当然水平となるから、可動棚10の上昇位置で、後アーム22が前アーム21やその回動軸23と干渉することになる。そこで、本実施形態では、当該干渉を回避するため、後アーム22の上下端を同方向に屈曲したうえで、それぞれを回動軸24および枢軸26で軸支している。より詳しくは、本実施形態では、下端側の屈曲部22aを90度とする一方、上端側の屈曲部22bは鈍角(約128度)としている。
【0034】
さらに、後アーム22の左右には、下端側屈曲部22aの近傍に連接バー22dを架設しており、可動棚10に載置した物品が後方から脱落することを防止している。また、この連接バー22dは、左右のリンクアーム20をより確実に連動させる機能を有する。
【0035】
続いて、ダンパ30は、後アーム22の回動軸24の後方に取り付けたガスダンパであり、シリンダ31の一端からガス圧によってピストンロッド32を伸縮可能に付勢した構成である。そして、このダンパ30は、シリンダ31の他端をカバー40の側板41に回動軸33で軸支すると共に、ピストンロッド32の先端を後アーム22の上端側屈曲部22bに枢軸34で枢支してなる。
【0036】
当該構成によって、ダンパ30と後アーム22は、ダンパ30をピストン(スライダ)、その枢軸34を連接軸、後アーム22の回動軸24をクランク軸、後アーム22の上端側屈曲部22bから回動軸24までをクランク22cとしたクランク機構を構成する。そして、当該クランク機構によって、可動棚10の昇降動作中、ダンパ30は、後アーム22の回動動作に追従してシリンダ31が回動し、且つ、ピストンロッド32を伸縮させる。換言すれば、可動棚10の昇降動作中、後アーム22の回動運動はピストンロッド32の伸縮運動に変換される。また、ダンパ30のピストンロッド32はガス圧によって付勢されているため、当該付勢力によるピストンロッド32の伸長運動は後アーム22の回動運動、引いては前アーム21を含めたリンクアーム20全体の回動運動に変換される。
【0037】
なお、ダンパ30は、後アーム22の回動軸24の後方に設けるが、さらに詳しくは、図3に示すように、リンクアーム20とカバー40の側板41との間に位置させ、リンクアーム20や可動棚10との干渉を避けている。また、この実施形態では、ダンパ30としてガスダンパを採用したが、ピストンロッドを伸縮可能に付勢したものであれば、スプリングダンパ、油圧ダンパなど、その他のダンパを採用することができる。
【0038】
最後に、カバー40は、リンクアーム20の上端側をそれぞれ回動可能に軸支する左右の側板41と、その前方に前板42と、後方に背板43とを備えてなり、未使用時に、ハンドルバー13を除き、可動棚10とリンクアーム20を被蔽可能に収容する大きさ・形状からなる。ここで側板41はL字状に折曲され、その側面41aにリンクアーム20およびダンパ30の回動軸23・24・33を軸支すると共に、天面41bを吊戸棚Cの底板下面に取付可能としたものである(図2参照)。また、本実施形態では、カバー40内に照明器具50を装置すると共に(図2参照)、その前板42に照明器具50のスイッチ51を設けている。
【0039】
図5は、本実施形態の可動棚の昇降動作を説明したものであり、同図(a)は可動棚10を完全に上昇させた未使用状態、同図(d)は可動棚10を完全に引き下ろした使用状態、同図(b)はその中間状態を示しており、さらに、同図(c)はダンパ30の伸長運動と収縮運動が分岐する点、即ちクランク機構の死点を示している。
【0040】
各状態に基づいて、当該第一実施形態に係る本発明装置の作用効果を詳述すると、未使用状態では、図5(a)に示したように、前アーム21および後アーム22が水平となってリンクアーム20が折り畳まれた状態となる。従って、未使用時の状態が非常にコンパクトであり、リンクアーム20と可動棚10はカバー40に収容されて被蔽されるため、見た目もすっきりする。また、可動棚10の上方には吊戸棚Cとの間で空間が確保されるため、物品を載置したまま可動棚10を当該(a)の未使用状態とすることができる。
【0041】
そして、この未使用状態は、次のようにして維持される。即ち、本可動棚は、上述のように、後アーム22の上端側とダンパ30とでクランク機構を構成し、後アーム22の上端側屈曲部22bにダンパ30からピストンロッド32の付勢力が作用することで、この付勢力は後アーム22(のクランク22c)の上昇方向(図面上、時計回り)の回転力に変換され、当該回転力によって未使用状態が保持される。
【0042】
なお、この実施形態では、図4に示されるように、後アーム22が吊戸棚Cの底板と当接することで上昇動作を停止させるようにしている。従って、当該当接による音の発生や損傷を防止するため、この実施形態では、吊戸棚Cの底板にゴムなどの緩衝部材44を設けている。
【0043】
この未使用状態から図5(d)に示す使用状態とするには、可動棚10のハンドルバー13を手で握って、可動棚10を手前下方に引き下げればよい。この下降動作中、後アーム22は、図5(b)に示すように、下降方向(図面上、反時計回り)に回転するが、この回転運動は上端側のクランク22cを介し、ダンパ30の付勢力に抗してピストンロッド32の収縮運動に変換される。このダンパ30の収縮運動は、後アーム22のクランク22cとダンパ30のピストンロッド32が一直線となるクランク機構の死点状態(図5(c)参照)まで続く。即ち、図5(a)の未使用状態から同図(c)の下死点状態の間では、ピストンロッド32を付勢力に抗して収縮させながら、後アーム22が回転することになるため、ダンパ30の当該減速機能によって可動棚10をゆっくりと下降させることができる。
【0044】
そして、図5(c)の死点状態から、さらに可動棚10を引き下げれば、前アーム21の下降ストッパ21bが前アーム22の回動軸24周面と当接して、当該下降動作が停止し、可動棚10を使用状態とすることができる(図5(d)参照)。ここで、図5(d)の使用状態もまた、次のようにして、維持される。即ち、図5(c)を境に、今度はダンパ30のピストンロッド32が伸長し始め、その付勢力によって後アーム22(のクランク22c)には下降方向(図面上、反時計回り)の回転力が付与されて、下降ストッパ21bの当接状態が保持され、使用状態を維持するのである。
【0045】
一方、図5(d)の使用状態から図5(a)の未使用状態とするには、ハンドルバー13を手で握って可動棚10を後方に持ち上げるのであるが、この上昇動作では、ダンパ30が上記下降動作とは全く逆の伸縮運動を行う。即ち、上昇動作中、図5(c)まではダンパ30は収縮するが、それ以降は伸長し始め、ピストンロッド32の付勢力が後アーム22の上昇方向(図面上、時計回り)の回転を補助するように作用するため、可動棚10を小さな力で上昇させることができる。
【0046】
次に、図6および7は、第二の実施形態を示したものであり、それぞれ可動棚10の下降位置(使用状態)および上昇位置(未使用状態)を示している。なお、上記第一実施形態と同じ部材については、共通の符号を付し、上記第一実施形態からの変更点を重点に説明する。
【0047】
即ち、この第二実施形態における変更点は、前アーム21の下降ストッパ21bの先端にダンパ30のピストンロッド32を枢支することで、下降ストッパ21bとクランク機構を構成する屈曲部を一のリンクアーム(前アーム21)に集約したことである。従って、前アーム21の下降ストッパ21bはクランクとしても機能する。また、後アーム22の回動軸24および枢軸26も、前アーム22のそれ23・25よりも若干低い位置に取り付けるように変更している。当該変更によって、平行リンク機構およびクランク機構の状態が変更され、可動棚10の昇降動作中にクランク機構の死点が構成されず、常に前アーム21をダンパ30の付勢力F1によって上昇方向に回転させるような作用を行うことになる。この点、第二実施形態では、ピストンロッド32の付勢力F1を可動棚10の自重や物品を載置したときの荷重F2よりも小さく設定することで、付勢力F1による上昇方向の回転力R1よりも下降方向の回転力R2を大きく確保することによって、結果として、可動棚10を図6の使用状態で保持するものである。
【0048】
また、図7の未使用状態において、リンクアーム20が水平に折り畳まれることは第一実施形態と同じであるが、この第二実施形態では、当該未使用状態でダンパ30が水平となるようにしている。従って、前アーム21に対するダンパ30の枢軸34位置が第一実施形態よりも高くなる。これと同時に、第二実施形態では、リンクアーム20の下端側枢軸25・26についても、上記第一実施形態に比べて可動棚10の側板12の深い位置(棚板11寄り)に取り付けたので、未使用状態での可動棚10の位置が高くなる。従って、未使用時における装置全体の上下幅が第一実施形態よりも小さくなり、よりコンパクトに折り畳むことができる。
【0049】
続いて、図8は第三実施形態を示したものであり、前アーム21の上端に延長した下降ストッパ21bにダンパ30のピストンロッド32を枢支して、この下降ストッパ21bにクランク機能を集約したことは上記第二実施形態と同じであり、その他、同じ部材について同一の符号を付して、上記二つの実施形態からの変更点を重点に説明する。
【0050】
即ち、この第三実施形態における変更点は、前アーム21を下降ストッパ21bを屈成したL字状の部材とすると共に、後アーム22は一直線状の部材としたことである。この点、上述した2つの実施形態は何れも、前アーム21と後アーム22が同一面を回動するため、後アーム22の上下端を屈曲することによって未使用時に前アーム21と干渉しない形状としたり、また下降ストッパ21bが後アーム22と干渉しないように当該部分のみを厚み方向に屈曲している。
【0051】
そこで、当該第三実施形態では、前アーム21と後アーム22を互いに干渉しない位置で回動させるようにしており、具体的には、図9に示したように、前アーム22を後アーム22との間に所定間隔wを空けてカバー40の側板41寄りに取り付けている。従って、両者21・22の回動面は平行することになり、干渉することがない。ただし、前アーム21の下降ストッパ21bの回動面には後アーム22の回動軸24が位置するから、上記2つの実施形態と同様、下降ストッパ21bを後アーム22の回動軸24周面に当接させて下降動作を停止させることができる。
【0052】
また、当該構成によれば、図10に示したように、上昇時に前アーム21の直線部分が後アーム22の回動軸24周面と当接することで、当該上昇動作を停止させることも可能である。
【0053】
なお、ここまで例示した三つの実施形態では、前アーム21に下降ストッパ21bを設け、これを後アーム22の回動軸24の周面に上方から当接させることとした。しかし、第四の実施形態を示した図11の通り、下降ストッパ21bを後アーム22の回動軸24から上端側に延長屈曲し、これを前アーム21の回動軸23の周面に下方から当接させるような構成を採用することも可能である。この第四実施形態において、下降ストッパ21bは、この部分のみを第一・第二実施形態のように厚み方向に屈曲するか、第三実施形態のように前アーム21と後アーム22とを幅方向に平行して設けることで、前アームの回動軸23に当接可能な構成とすることができる。
【0054】
その他、本発明は上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本可動棚の取付位置は、吊戸棚Cの下面でなくてもよく、それ自身を吊戸棚として単独で使用することができる。また、取付け先にリンクアーム20を回動可能に吊下する部材があれば、カバー40を省略することができる。
【0055】
さらに、可動棚10は少なくとも棚板11を備えていればよく、側板12を省略して、棚板11の側面にリンクアーム20の下端側を枢支することも可能である。また、可動棚10は、棚板11を上下に多段設けたものであってもよい。この場合、棚板11同士で平行リンク機構を構成する必要はなく、ハンドルバー13のように棚板11の下面に他の棚板を吊下して設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第一実施形態を示した側面図(使用状態)
【図2】同、使用状態の正面図
【図3】同、使用状態の平面図
【図4】同、未使用状態を示した側面図
【図5】同、昇降動作の説明図であって、(a)は可動棚が上昇位置にある未使用状態、(b)は中間位置の状態、(c)はダンパの伸縮が分岐する状態、(d)は可動棚が下降位置にある使用状態を示したものである。
【図6】本発明の第二実施形態を示した側面図(使用状態)
【図7】同、未使用状態を示した側面図
【図8】本発明の第三実施形態を示した側面図(使用状態)
【図9】同、上部構造の詳細を示した正面図
【図10】同、未使用状態を示した側面図
【図11】本発明の第四実施形態を示した側面図(使用状態)
【符号の説明】
【0057】
10 可動棚
20 リンクアーム
21 前アーム
22 後アーム
30 ダンパ
40 カバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、棚を平行リンク機構によって昇降可能に支持した可動棚の昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流し台や調理台の上方などの頭上に位置する収容設備において、戸棚内部の棚板を昇降可能とすることで収容物の出し入れの便に供する昇降式吊戸棚が知られているが(例えば、特許文献1〜3参照)、こうした昇降式吊戸棚は、棚板の昇降と同期して戸を開閉させる機構を採用するなど、内部構造が非常に複雑であった。
【0003】
また、従来の昇降式吊戸棚は、通常、システムキッチンと統一して設置されるものであるから、仮に、既存のキッチンに追加する場合は、現在使用中の吊戸棚を撤去するなど、大掛かりな工事が必要であった。
【0004】
これに対して、戸を備えず、単に棚板を昇降させるようにした昇降棚装置が特許文献4によって公知である。この昇降棚装置は、棚板の昇降と戸の開閉を同期させる必要がないから、その分、構造が簡単であり、また、既存の吊戸棚の下面にも設置可能であるから、比較的小規模の工事で設置できるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2008−23107号公報
【特許文献2】特開2007−313227号公報
【特許文献3】特開2003−24152号公報
【特許文献4】特開2007−175333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献4には、棚板を上下二段としたものと、単段としたものの双方について開示がある。しかしながら、前者二段式の場合、上下の棚板を上アームおよび下アームによって連動して支持するため構造が複雑である。しかも、折り畳んだ状態では上下の棚板が重なることから、小物ですら棚板に乗せておくことができず、未使用時には棚板上の物を全て撤去するといった手間が生ずる。
【0007】
一方、後者単段式の場合、棚板は下降と共に奥に後退する軌跡を描くため、完全に引き下ろしたときは使用者から最も遠ざかったところに棚板が位置することになって、物の出し入れが行いづらい。なお、特許文献4は、棚板を下降位置で手前に引き出すスライド構造をも開示しているが、当該スライドのために構造が複雑化ばかりでなく、棚板を引き出すことによって重心が変位するから、安定性にも影響する。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、構成を合理的に簡素化しつつ、より使い勝手の良い可動棚を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明では、可動棚を左右2本ずつのリンクアームから構成される平行リンク機構によって水平なまま手前下方まで引き下げ可能とした。また、ダンパと前記リンクアームの一方とでクランク機構を構成し、昇降動作の速度調整を可能とした。即ち、本発明は、可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成したことを特徴とする可動棚の昇降装置である。
【0010】
上記平行リンク機構を構成する前後2本のリンクアームは常に連動して回動して可動棚の昇降動作を行うものであるから、何れか一方のアームの回動を規制すれば昇降動作も停止させることができる。そこで、本発明では、前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成するという手段により、特に可動棚の下降動作を停止させることとした。
【0011】
また、ダンパと一方のリンクアームの屈曲部とで構成されるクランク機構は、ピストンロッドの伸縮運動と当該リンクアームの回動運動を相互に変換する機能を有し、通常は、ピストンロッドの付勢力によって一方のクランクアームを上昇方向に付勢している。従って、可動棚を下降させるときは、上記付勢力に抗する力が必要であるから、ゆっくりと可動棚を下降させることができる。一方、可動棚を上昇させるときは、上記付勢力が補助となって、軽い力で可動棚を上昇させることができる。
【0012】
なお、前側のリンクアームに下降ストッパを屈成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてピストンロッドを枢支することで、前側のリンクアームに下降ストッパとクランク機構の一部を集約することができる。
【0013】
また、本発明では、ピストンロッドの付勢力を可動棚に係る荷重よりも小さく設定して、前記荷重により可動棚の下降状態を保持する。この点、クランク機構は、死点を経て上記一方のリンクアームを下降方向に付勢可能に構成することで、仮に上記付勢力が上記荷重よりも大きい場合でも可動棚を下降状態で保持することができる。
【0014】
さらに、ダンパの姿勢を、可動棚の上昇位置で水平とする手段によれば、当該上昇位置でリンクアームを最もコンパクトに折り畳むことができる。
【0015】
他方、可動棚は、例えば調味料や調理器具などの物品を載置するものであるため、物品が落下しないような手段を講ずる必要がある。このため、可動棚の後端に壁を立設することが好ましいが、この後壁とリンクアームの下端が干渉することが想定される。そこで、本発明では、左右の後アームの下端側同士を連接バーで接続するという手段を用いる。
【0016】
一方、可動棚の左右に側板を立設してなり、この側板にリンクアームの下端を枢支することで、リンクアームとの干渉を回避しつつ、可動棚の横から物品が脱落することを防止できる。
【0017】
さらに、可動棚の下面側にハンドルバーを水平に吊下することで、このハンドルバーを手で握って昇降動作を楽に行える。また、このハンドルバーは、タオルやレードルなどのハンガーとしても機能する。
【0018】
なお、本発明の可動棚を設置するには、その設置箇所にリンクアームの上端側を回動軸で軸支する部材が必要となる。そこで、本発明では、リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、壁面または吊戸棚の下面に取付可能なカバーを備えるという手段を用いる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、可動棚を平行リンク機構によって水平なまま昇降可能とすると共に、当該平行リンク機構を構成するリンクアームの一部とダンパとでクランク機構を構成して昇降動作の速度調整を可能としたため、合理的な構成によって操作性の高い可動棚とすることができた。また、可動棚は手前下方に引き下げ可能となるため、従来技術のように、奥に引き下げる場合よりも、物品の出し入れが簡単に行え、使い勝手がよい。
【0020】
また、本発明では、一方のリンクアームに他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを設けたので、部材数を増やすことなく、合理的に平行リンク機構を制御することができる。さらに、下降ストッパを前側のリンクアームに形成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてダンパを接続することとしたので、平行リンク機構とクランク機構を一のリンクアームに集約できて、より合理的な構成とすることができる。
【0021】
他方、クランク機構の構成を可動棚の昇降動作中に死点を経て、一方のリンクアームを下降方向に付勢可能としたものは、ダンパの付勢力や可動棚の荷重によらずとも、可動棚の下降位置を確実に保持することができる。さらに、ダンパは、可動棚の上昇位置で水平としたものでは、未使用時の状態を最もコンパクトに設計することができる。
【0022】
また、左右の後アームの下端側間に連接バーを架設したので、可動棚の後方から物品が脱落するのを防止できると共に、左右の平行リンク機構を確実に連動させることができる。
【0023】
さらに、可動棚に側板を立設したものは可動棚の側方から物品が脱落するのを防止できると共に、可動棚に対するリンクアームの枢軸部が確保されるから、上昇位置で可動棚とリンクアームが干渉せず、物品を乗せたまま可動棚を上昇させることができる。
【0024】
さらにまた、可動棚の下面にハンドルバーを設けたので、昇降動作を楽に行えると共に、タオルなどのハンガーとしても利用できて、付加価値が高い。
【0025】
さらに、リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、上昇位置で前記リンクアームおよび可動棚が収容可能なカバーを備えたものは、未使用時の状態がすっきりすると共に、本発明装置の設置も簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の第一の実施形態を示したものであり、吊戸棚Cの下面への設置例を示したものである。同図中、10は可動棚、20は可動棚10と平行リンク機構を構成するリンクアーム、30はリンクアーム20の一部とクランク機構を構成するダンパ、40はカバーである。
【0027】
各構成について詳述すると、先ず可動棚10は、棚板11の左右に側板12を立設すると共に、棚板11の下面前方にハンドルバー13を吊下したものである。棚板11は、調味料や調理器具その他の物品を載置する台であり、側板12は、棚板11に載置したものが横から脱落させないガード板であると共に、上記リンクアーム20の下端側を枢支するものである。ハンドルバー13は、可動棚10を昇降させるときの握り棒として機能するもので、その他、タオルやレードルなどの物品を吊り下げるハンガーとしても機能する。
【0028】
次にリンクアーム20は、可動棚10の左右それぞれに前後して吊設した前アーム21と後アーム22の2本からなり、それぞれの上端側はカバー40の側板41に回動軸23・24で軸支して前後方向に回動可能としている。また、下端側は可動棚10の棚板11が水平となるようにその側板12に枢軸25・26で枢支している。ここで、各回動軸23・24および各枢軸25・26をそれぞれ同じ高さ位置に、同じ間隔で設けて、可動棚10を下辺とする平行リンク機構を構成している。即ち、回動軸同士を結ぶ上辺リンクL1および枢軸同士を結ぶ下辺リンクL2は同じ長さであり、且つ、水平に互いに平行している。この関係にあって、回動軸23・24と枢軸25・26とを結ぶ前後(図面上は右左)のリンクL3・L4同士が、同じ長さで平行することはもちろんである。
【0029】
なお、本実施形態では、回動軸23・24は吊戸棚Cの前方寄りに軸支すると共に、枢軸25・26は可動棚10の側板41後方寄りに枢支している。当該構成の平行リンク機構によって、可動棚10を回動軸23・24の後方上昇位置から下方下降位置まで昇降することができる。
【0030】
さらに、この実施形態では、前アーム21および後アーム22それぞれは、次のような特徴を有する。即ち、前アーム21は、上端をコ字状に屈曲した形状を呈するもので、上下2箇所の屈曲部のうち上側の屈曲部21aを回動軸23で軸支している。そして、回動軸23から延長された爪状の上端部を下降ストッパ21bとして、可動棚10の下降動作中に後アーム22の回動軸24の周面と当接して当該動作を停止させるものである。
【0031】
より具体的には、下降ストッパ21bは、次のような長さおよび角度に設定している。即ち、下降ストッパ21bは、可動棚10を下降させて、回動軸23・24の下方に棚板11が位置するとき、より詳しくは、可動棚10の先端が吊戸棚Cの前面位置と一致するとき、後アーム22の回動軸24の周面と当接可能な長さおよび角度に設定している。なお、この実施形態では、前アーム21と後アーム22が、図2および3に示すように、同一平面上に位置する。このため、下降ストッパ21bが可動棚10の下降位置以前に後アーム22と干渉することが考えられる。そこで、この実施形態では、下降ストッパ21bを厚み方向、即ちカバー40の側板41側に屈曲させて、前記干渉を回避し、より確実に後アーム22の回動軸24の周面に当接するように構成している。これに対して、後アーム22の回動軸24には、下降ストッパ21bが当接する際の音や衝撃を吸収するために、その外周を合成樹脂やゴム等の保護層24aで被覆している。
【0032】
さらに、前アーム21の下側の屈曲部21cは、図4に示した未使用状態の通り、可動棚10が上昇位置にあるとき、即ち可動棚10を上昇させて回動軸23と枢軸25を結ぶ前リンクL4が水平となるとき、後アーム22やその回動軸24との当接を回避するための盗み部であり、当接による金属音の発生等を防止するものである。
【0033】
また、前リンクL4が水平となるとき、後リンクL3も当然水平となるから、可動棚10の上昇位置で、後アーム22が前アーム21やその回動軸23と干渉することになる。そこで、本実施形態では、当該干渉を回避するため、後アーム22の上下端を同方向に屈曲したうえで、それぞれを回動軸24および枢軸26で軸支している。より詳しくは、本実施形態では、下端側の屈曲部22aを90度とする一方、上端側の屈曲部22bは鈍角(約128度)としている。
【0034】
さらに、後アーム22の左右には、下端側屈曲部22aの近傍に連接バー22dを架設しており、可動棚10に載置した物品が後方から脱落することを防止している。また、この連接バー22dは、左右のリンクアーム20をより確実に連動させる機能を有する。
【0035】
続いて、ダンパ30は、後アーム22の回動軸24の後方に取り付けたガスダンパであり、シリンダ31の一端からガス圧によってピストンロッド32を伸縮可能に付勢した構成である。そして、このダンパ30は、シリンダ31の他端をカバー40の側板41に回動軸33で軸支すると共に、ピストンロッド32の先端を後アーム22の上端側屈曲部22bに枢軸34で枢支してなる。
【0036】
当該構成によって、ダンパ30と後アーム22は、ダンパ30をピストン(スライダ)、その枢軸34を連接軸、後アーム22の回動軸24をクランク軸、後アーム22の上端側屈曲部22bから回動軸24までをクランク22cとしたクランク機構を構成する。そして、当該クランク機構によって、可動棚10の昇降動作中、ダンパ30は、後アーム22の回動動作に追従してシリンダ31が回動し、且つ、ピストンロッド32を伸縮させる。換言すれば、可動棚10の昇降動作中、後アーム22の回動運動はピストンロッド32の伸縮運動に変換される。また、ダンパ30のピストンロッド32はガス圧によって付勢されているため、当該付勢力によるピストンロッド32の伸長運動は後アーム22の回動運動、引いては前アーム21を含めたリンクアーム20全体の回動運動に変換される。
【0037】
なお、ダンパ30は、後アーム22の回動軸24の後方に設けるが、さらに詳しくは、図3に示すように、リンクアーム20とカバー40の側板41との間に位置させ、リンクアーム20や可動棚10との干渉を避けている。また、この実施形態では、ダンパ30としてガスダンパを採用したが、ピストンロッドを伸縮可能に付勢したものであれば、スプリングダンパ、油圧ダンパなど、その他のダンパを採用することができる。
【0038】
最後に、カバー40は、リンクアーム20の上端側をそれぞれ回動可能に軸支する左右の側板41と、その前方に前板42と、後方に背板43とを備えてなり、未使用時に、ハンドルバー13を除き、可動棚10とリンクアーム20を被蔽可能に収容する大きさ・形状からなる。ここで側板41はL字状に折曲され、その側面41aにリンクアーム20およびダンパ30の回動軸23・24・33を軸支すると共に、天面41bを吊戸棚Cの底板下面に取付可能としたものである(図2参照)。また、本実施形態では、カバー40内に照明器具50を装置すると共に(図2参照)、その前板42に照明器具50のスイッチ51を設けている。
【0039】
図5は、本実施形態の可動棚の昇降動作を説明したものであり、同図(a)は可動棚10を完全に上昇させた未使用状態、同図(d)は可動棚10を完全に引き下ろした使用状態、同図(b)はその中間状態を示しており、さらに、同図(c)はダンパ30の伸長運動と収縮運動が分岐する点、即ちクランク機構の死点を示している。
【0040】
各状態に基づいて、当該第一実施形態に係る本発明装置の作用効果を詳述すると、未使用状態では、図5(a)に示したように、前アーム21および後アーム22が水平となってリンクアーム20が折り畳まれた状態となる。従って、未使用時の状態が非常にコンパクトであり、リンクアーム20と可動棚10はカバー40に収容されて被蔽されるため、見た目もすっきりする。また、可動棚10の上方には吊戸棚Cとの間で空間が確保されるため、物品を載置したまま可動棚10を当該(a)の未使用状態とすることができる。
【0041】
そして、この未使用状態は、次のようにして維持される。即ち、本可動棚は、上述のように、後アーム22の上端側とダンパ30とでクランク機構を構成し、後アーム22の上端側屈曲部22bにダンパ30からピストンロッド32の付勢力が作用することで、この付勢力は後アーム22(のクランク22c)の上昇方向(図面上、時計回り)の回転力に変換され、当該回転力によって未使用状態が保持される。
【0042】
なお、この実施形態では、図4に示されるように、後アーム22が吊戸棚Cの底板と当接することで上昇動作を停止させるようにしている。従って、当該当接による音の発生や損傷を防止するため、この実施形態では、吊戸棚Cの底板にゴムなどの緩衝部材44を設けている。
【0043】
この未使用状態から図5(d)に示す使用状態とするには、可動棚10のハンドルバー13を手で握って、可動棚10を手前下方に引き下げればよい。この下降動作中、後アーム22は、図5(b)に示すように、下降方向(図面上、反時計回り)に回転するが、この回転運動は上端側のクランク22cを介し、ダンパ30の付勢力に抗してピストンロッド32の収縮運動に変換される。このダンパ30の収縮運動は、後アーム22のクランク22cとダンパ30のピストンロッド32が一直線となるクランク機構の死点状態(図5(c)参照)まで続く。即ち、図5(a)の未使用状態から同図(c)の下死点状態の間では、ピストンロッド32を付勢力に抗して収縮させながら、後アーム22が回転することになるため、ダンパ30の当該減速機能によって可動棚10をゆっくりと下降させることができる。
【0044】
そして、図5(c)の死点状態から、さらに可動棚10を引き下げれば、前アーム21の下降ストッパ21bが前アーム22の回動軸24周面と当接して、当該下降動作が停止し、可動棚10を使用状態とすることができる(図5(d)参照)。ここで、図5(d)の使用状態もまた、次のようにして、維持される。即ち、図5(c)を境に、今度はダンパ30のピストンロッド32が伸長し始め、その付勢力によって後アーム22(のクランク22c)には下降方向(図面上、反時計回り)の回転力が付与されて、下降ストッパ21bの当接状態が保持され、使用状態を維持するのである。
【0045】
一方、図5(d)の使用状態から図5(a)の未使用状態とするには、ハンドルバー13を手で握って可動棚10を後方に持ち上げるのであるが、この上昇動作では、ダンパ30が上記下降動作とは全く逆の伸縮運動を行う。即ち、上昇動作中、図5(c)まではダンパ30は収縮するが、それ以降は伸長し始め、ピストンロッド32の付勢力が後アーム22の上昇方向(図面上、時計回り)の回転を補助するように作用するため、可動棚10を小さな力で上昇させることができる。
【0046】
次に、図6および7は、第二の実施形態を示したものであり、それぞれ可動棚10の下降位置(使用状態)および上昇位置(未使用状態)を示している。なお、上記第一実施形態と同じ部材については、共通の符号を付し、上記第一実施形態からの変更点を重点に説明する。
【0047】
即ち、この第二実施形態における変更点は、前アーム21の下降ストッパ21bの先端にダンパ30のピストンロッド32を枢支することで、下降ストッパ21bとクランク機構を構成する屈曲部を一のリンクアーム(前アーム21)に集約したことである。従って、前アーム21の下降ストッパ21bはクランクとしても機能する。また、後アーム22の回動軸24および枢軸26も、前アーム22のそれ23・25よりも若干低い位置に取り付けるように変更している。当該変更によって、平行リンク機構およびクランク機構の状態が変更され、可動棚10の昇降動作中にクランク機構の死点が構成されず、常に前アーム21をダンパ30の付勢力F1によって上昇方向に回転させるような作用を行うことになる。この点、第二実施形態では、ピストンロッド32の付勢力F1を可動棚10の自重や物品を載置したときの荷重F2よりも小さく設定することで、付勢力F1による上昇方向の回転力R1よりも下降方向の回転力R2を大きく確保することによって、結果として、可動棚10を図6の使用状態で保持するものである。
【0048】
また、図7の未使用状態において、リンクアーム20が水平に折り畳まれることは第一実施形態と同じであるが、この第二実施形態では、当該未使用状態でダンパ30が水平となるようにしている。従って、前アーム21に対するダンパ30の枢軸34位置が第一実施形態よりも高くなる。これと同時に、第二実施形態では、リンクアーム20の下端側枢軸25・26についても、上記第一実施形態に比べて可動棚10の側板12の深い位置(棚板11寄り)に取り付けたので、未使用状態での可動棚10の位置が高くなる。従って、未使用時における装置全体の上下幅が第一実施形態よりも小さくなり、よりコンパクトに折り畳むことができる。
【0049】
続いて、図8は第三実施形態を示したものであり、前アーム21の上端に延長した下降ストッパ21bにダンパ30のピストンロッド32を枢支して、この下降ストッパ21bにクランク機能を集約したことは上記第二実施形態と同じであり、その他、同じ部材について同一の符号を付して、上記二つの実施形態からの変更点を重点に説明する。
【0050】
即ち、この第三実施形態における変更点は、前アーム21を下降ストッパ21bを屈成したL字状の部材とすると共に、後アーム22は一直線状の部材としたことである。この点、上述した2つの実施形態は何れも、前アーム21と後アーム22が同一面を回動するため、後アーム22の上下端を屈曲することによって未使用時に前アーム21と干渉しない形状としたり、また下降ストッパ21bが後アーム22と干渉しないように当該部分のみを厚み方向に屈曲している。
【0051】
そこで、当該第三実施形態では、前アーム21と後アーム22を互いに干渉しない位置で回動させるようにしており、具体的には、図9に示したように、前アーム22を後アーム22との間に所定間隔wを空けてカバー40の側板41寄りに取り付けている。従って、両者21・22の回動面は平行することになり、干渉することがない。ただし、前アーム21の下降ストッパ21bの回動面には後アーム22の回動軸24が位置するから、上記2つの実施形態と同様、下降ストッパ21bを後アーム22の回動軸24周面に当接させて下降動作を停止させることができる。
【0052】
また、当該構成によれば、図10に示したように、上昇時に前アーム21の直線部分が後アーム22の回動軸24周面と当接することで、当該上昇動作を停止させることも可能である。
【0053】
なお、ここまで例示した三つの実施形態では、前アーム21に下降ストッパ21bを設け、これを後アーム22の回動軸24の周面に上方から当接させることとした。しかし、第四の実施形態を示した図11の通り、下降ストッパ21bを後アーム22の回動軸24から上端側に延長屈曲し、これを前アーム21の回動軸23の周面に下方から当接させるような構成を採用することも可能である。この第四実施形態において、下降ストッパ21bは、この部分のみを第一・第二実施形態のように厚み方向に屈曲するか、第三実施形態のように前アーム21と後アーム22とを幅方向に平行して設けることで、前アームの回動軸23に当接可能な構成とすることができる。
【0054】
その他、本発明は上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本可動棚の取付位置は、吊戸棚Cの下面でなくてもよく、それ自身を吊戸棚として単独で使用することができる。また、取付け先にリンクアーム20を回動可能に吊下する部材があれば、カバー40を省略することができる。
【0055】
さらに、可動棚10は少なくとも棚板11を備えていればよく、側板12を省略して、棚板11の側面にリンクアーム20の下端側を枢支することも可能である。また、可動棚10は、棚板11を上下に多段設けたものであってもよい。この場合、棚板11同士で平行リンク機構を構成する必要はなく、ハンドルバー13のように棚板11の下面に他の棚板を吊下して設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第一実施形態を示した側面図(使用状態)
【図2】同、使用状態の正面図
【図3】同、使用状態の平面図
【図4】同、未使用状態を示した側面図
【図5】同、昇降動作の説明図であって、(a)は可動棚が上昇位置にある未使用状態、(b)は中間位置の状態、(c)はダンパの伸縮が分岐する状態、(d)は可動棚が下降位置にある使用状態を示したものである。
【図6】本発明の第二実施形態を示した側面図(使用状態)
【図7】同、未使用状態を示した側面図
【図8】本発明の第三実施形態を示した側面図(使用状態)
【図9】同、上部構造の詳細を示した正面図
【図10】同、未使用状態を示した側面図
【図11】本発明の第四実施形態を示した側面図(使用状態)
【符号の説明】
【0057】
10 可動棚
20 リンクアーム
21 前アーム
22 後アーム
30 ダンパ
40 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成したことを特徴とする可動棚の昇降装置。
【請求項2】
前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成してなる請求項1記載の可動棚の昇降装置。
【請求項3】
前側のリンクアームに下降ストッパを屈成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてピストンロッドを枢支した請求項2記載の可動棚の昇降装置。
【請求項4】
クランク機構は、死点を経て上記一方のリンクアームを下降方向に付勢可能に構成した請求項2記載の可動棚の昇降装置。
【請求項5】
ダンパは、可動棚の上昇位置で水平である請求項1、2または3記載の可動棚の昇降装置。
【請求項6】
後ろ側のリンクアームの下端側間に連接バーを架設した請求項1から4のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項7】
可動棚は、左右に側板を立設してなり、この側板にリンクアームの下端を枢支した請求項1から6のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項8】
可動棚は、下面側にハンドルバーを吊下してなる請求項1から7のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項9】
リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、上昇位置で前記リンクアームおよび可動棚が収容可能なカバーを備えてなる請求項1から8のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項1】
可動棚と、この可動棚の左右それぞれに下端を枢支した前後2本のリンクアームと、これら2本のリンクアームの上端側後方に一端が回動可能に軸支され、他端からは前記リンクアームに向かってピストンロッドを伸縮可能に付勢してなるダンパとを備え、前記2本のリンクアームの上端それぞれを回動軸で軸支して前記可動棚を当該回動軸の後方から下方まで昇降可能な平行リンク機構を構成する一方、リンクアームの一方はその回動軸近傍に屈曲部を形成してなり、当該屈曲部に前記ダンパのピストンロッドを枢支して当該一方のリンクアームを上昇方向に付勢可能なクランク機構を構成したことを特徴とする可動棚の昇降装置。
【請求項2】
前後何れかのリンクアームは、その回動軸から上端側を延長して、可動棚の下降位置で他方のリンクアームの回動軸周面と当接可能な下降ストッパを屈成してなる請求項1記載の可動棚の昇降装置。
【請求項3】
前側のリンクアームに下降ストッパを屈成すると共に、この下降ストッパを屈曲部としてピストンロッドを枢支した請求項2記載の可動棚の昇降装置。
【請求項4】
クランク機構は、死点を経て上記一方のリンクアームを下降方向に付勢可能に構成した請求項2記載の可動棚の昇降装置。
【請求項5】
ダンパは、可動棚の上昇位置で水平である請求項1、2または3記載の可動棚の昇降装置。
【請求項6】
後ろ側のリンクアームの下端側間に連接バーを架設した請求項1から4のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項7】
可動棚は、左右に側板を立設してなり、この側板にリンクアームの下端を枢支した請求項1から6のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項8】
可動棚は、下面側にハンドルバーを吊下してなる請求項1から7のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【請求項9】
リンクアームの回動軸が軸支可能な側板を有し、且つ、上昇位置で前記リンクアームおよび可動棚が収容可能なカバーを備えてなる請求項1から8のうち何れか一項記載の可動棚の昇降装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−226100(P2009−226100A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77227(P2008−77227)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(591092523)株式会社伸晃 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(591092523)株式会社伸晃 (18)
【Fターム(参考)】
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