説明

可変電源装置

【課題】少ない損失で、高速に出力電圧を可変することが可能な可変電源装置を提供する。
【解決手段】異なる電位の直流電圧V1,V2,V3,V4を発生するN個の電源1,2,3,4を予め用意し、パワーアンプPからの指令電圧の情報を受ける毎に、切替制御手段61がN個の電源1,2,3,4のそれぞれに設けたスイッチ手段11,21,31,41をスイッチング動作させて、電圧供給路51中に0〜N個の電源を選択的に直列接続する。これにより、指令電圧に見合う出力電圧Voを電圧供給路51の両端間に生成させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電圧を極めて高速に可変できる可変電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)のような無線通信技術において、携帯電話の基地局に設置される送信パワーアンプは、増幅段における出力信号の歪みを極力小さくする必要があることから、A級またはB級の増幅回路が用いられる。そのため、効率は10〜20%程度に留まっており、パワーアンプとしての効率を向上させ、損失を低減させることが、省エネルギーの観点から重要である。
【0003】
一方、前記通信機器用のパワーアンプに使用される電源装置(DC−DCコンバータ)も、効率向上は最も重要な課題であるが、既に95%付近にまで効率が達しているため、これ以上の効率向上は極めて難しい。しかし、パワーアンプへの入力信号の包絡線に従って、電源装置の出力電圧を高速で可変させることで、パワーアンプの効率を格段に改善することが可能になる。
【0004】
こうした可変電源装置の例として、例えば特許文献1に開示されるようなシリーズレギュレータを備えたドロッパー方式の電源装置が知られている。ここでは、シリーズレギュレータに供給する制御信号によって、シリーズレギュレータに入力する電圧を適切な出力電圧に可変することができるが、入力電圧と出力電圧との差は全て損失となり、電源装置としての効率はさほど良くない。そのため、このような電源装置をパワーアンプ用に組み込むと、パワーアンプへの入力信号の包絡線に従って、電源装置の出力電圧を高速で可変できるものの、システムとしてはパワーアンプ素子の損失が電源装置に移行しただけで、効率の向上にはならない。
【0005】
また別な例として、スイッチング素子を周期的にスイッチング動作させ、入力電圧よりも低い出力電圧を取り出す降圧型コンバータを、可変電源装置として用いることも考えられる。これは、例えば特許文献2などに開示されているように、スイッチング素子のオン期間中は、チョークコイルとコンデンサとによる直列回路に入力電圧を印加し、スイッチング素子のオフ期間中は、前記直列回路の両端間を導通させて、それまでチョークコイルに蓄えられたエネルギーを出力側に送り出す構成となっており、コンデンサの両端間に発生する出力電圧は、最大入力電圧×デューティ(スイッチング周期に対するオン期間の比)となる。
【0006】
しかし、こうした降圧型コンバータをパワーアンプ用に組み込む場合、降圧型コンバータのスイッチング周波数は、出力電圧の可変周波数帯域の10倍以上に設定しないと、出力電圧を切換える際の位相遅れが大きくなって、実用的ではない。また、スイッチング周波数を高くすると、スイッチング素子の損失が増大し、結局は効率の低下が免れないものとなる。
【特許文献1】特開平10−14221号公報
【特許文献2】特開2006−262646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、少ない損失で、高速に出力電圧を可変することが可能な可変電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1における可変電源装置では、各々が電位の異なる直流電圧を発生するN個の電源と、前記N個の電源にそれぞれ設けられ、切替信号により対応する前記電源を電圧供給路に挿入接続し、若しくは前記電圧供給路から切離すスイッチ手段と、指令電圧の情報を受けて、この指令電圧に見合う出力電圧が前記電圧供給路の両端間に生成されるように、前記スイッチ手段の各々に前記切替信号を送出する切替制御手段と、を備えている。
【0009】
本発明の請求項2における可変電源装置では、前記電源の少なくとも一つが、アナログ制御電圧源またはスイッチング電源であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3における可変電源装置では、前記N個の電源は、各々の容量が2(E=0,1,2,…,N)分の1の比である容量性素子で構成される。
【0011】
本発明の請求項4における可変電源装置では、前記電源の少なくとも一つは、アナログ制御電圧源またはスイッチング電源であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1では、異なる電位の直流電圧を発生するN個の電源を予め用意し、指令電圧の情報を受ける毎に、N個の電源のそれぞれに設けたスイッチ手段を動作させて、電圧供給路中に0〜N個の電源を選択的に直列接続することで、指令電圧に見合う出力電圧を電圧供給路の両端間に生成させることが可能になる。ここでの損失は、スイッチ手段のスイッチング動作に伴うものだけで、しかもそのスイッチング周波数は、指令電圧の情報が切替る時間よりも高くする必要はない。また、電圧レベルの高い電源に対応するスイッチ手段であるほど、スイッチングの頻度は少なくなるので、スイッチング損失は最小化される。よって、従来のドロッパー電源や降圧型コンバータよりも少ない損失で、高速に出力電圧を可変することが可能になる。
【0013】
本発明の請求項2では、N個の電源の各電位は、2の累乗すなわち1:2:4:…:2の比となっているので、指令電圧の情報に基づき各スイッチ手段を開閉するための切替信号を、切替制御手段によりディジタル的なビットパターンで生成すれば、アナログ的に変化する出力電圧を電圧供給路の両端間に生成させることが可能になる。
【0014】
本発明の請求項3では、各々の容量が2(E=0,1,2,…,N)分の1の比である容量性素子でN個の電源を構成し、必要に応じてこれらの容量性素子に充電電圧を印加すれば、N個の容量性素子の各電位を、2の累乗すなわち1:2:4:…:2の比とすることができる。
【0015】
本発明の請求項4では、電源の少なくとも一つを、その電位の調整が可能なアナログ制御電圧源またはスイッチング電源で構成することで、出力電圧のレベルが切替る最小ステップをより細かく制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における可変電源装置について、好ましい実施例を説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施例における可変電源装置の回路図を示している。ここに示す可変電源装置は、負荷である通信機器用のパワーアンプPに可変した出力電圧Voを供給するものとして、図示しない携帯電話の無線基地局内にパワーアンプPと共に設置される、但し、こうしたパワーアンプP用に限定されず、出力電圧Voを高速に可変するあらゆる用途に適用できる。
【0018】
同図において、1,2,3,4は、各々が電位の異なる直流電圧V1,V2,V3,V4を発生する電源である。ここでは説明の都合上、4個の電源1,2,3,4を提示しているが、その数については特に限定されない。またここでは、4個の電源1,2,3,4の各電位が、2の累乗すなわち1:2:4:8の比となるように、それぞれの直流電圧V1,V2,V3,V4が設定されている。具体的には、電源1の直流電圧V1を最小ステップの電圧レベルVとして、電源2の直流電圧V2は電圧Vの2倍であり、電源3の直流電圧V3は電圧Vの4倍であり、電源4の直流電圧V4は電圧Vの8倍である(V1=1×V,V2=2×V,V3=4×V,V4=8×V)。
【0019】
電源1には、対をなす開閉スイッチ11a,11bからなるスイッチ手段11が設けられる。一方の開閉スイッチ11aは電源1との直列回路をなし、この直列回路の両端間に他方の開閉スイッチ11bを接続して、第1の電源供給回路12を構成している。
【0020】
電源2には、対をなす開閉スイッチ21a,21bからなるスイッチ手段21が設けられる。一方の開閉スイッチ21aは電源2との直列回路をなし、この直列回路の両端間に他方の開閉スイッチ21bを接続して、第2の電源供給回路22を構成している。
【0021】
電源3には、対をなす開閉スイッチ31a,31bからなるスイッチ手段31が設けられる。一方の開閉スイッチ31aは電源3との直列回路をなし、この直列回路の両端間に他方の開閉スイッチ31bを接続して、第3の電源供給回路32を構成している。
【0022】
電源4には、対をなす開閉スイッチ41a,41bからなるスイッチ手段41が設けられる。一方の開閉スイッチ41aは電源4との直列回路をなし、この直列回路の両端間に他方の開閉スイッチ41bを接続して、第4の電源供給回路42を構成している。
【0023】
つまり、ここでの電源供給回路12,22,32,42は、電源1,2,3,4の直流電圧V1,V2,V3,V4が異なる以外は、何れも同一の回路構成を有し、これらの電源供給回路12,22,32,42を直列に接続することで、その両端間に所望の出力電圧Voを生成する電圧供給路51が形成される。なお、52は出力電圧Voを平滑化する出力コンデンサである。
【0024】
スイッチ手段11,21,31,41を構成する一方の開閉スイッチ11a,21a,31a,41aと、他方の開閉スイッチ11b,21b,31b,41bは、何れも高速動作が可能なFETなどの半導体スイッチ素子が用いられる。勿論、それ以外の各種スイッチ素子を用いても構わない。
【0025】
61は、前記パワーアンプPからの指令電圧の情報を受けて、この指令電圧に比例した出力電圧Voが前記電圧供給路の両端間に生成されるように、前記スイッチ手段11,21,31,41の各々に切替信号を送出する切替制御手段である。ここでは、パワーアンプPへの入力信号の包絡線に従って、当該パワーアンプPが、適切な出力電圧Voを生成できるような指令電圧の情報を切替制御手段61に時々刻々と出力する。各スイッチ手段11,21,31,41は、切替制御手段61からの切替信号によってそれぞれが独自に動作するが、例えばスイッチ手段11において、対をなす開閉スイッチ11a,11bは、その一方がオンして閉状態になると、他方はオフして開状態となり、また電源1の両端間が短絡するのを防ぐために、開閉スイッチ11a,11bが共にオンしないような切替信号が与えられる。これは他のスイッチ手段21,31,41に与えられる各切替信号についても、同じことがいえる。これにより、電源1,2,3,4のそれぞれは、一方の開閉スイッチ11a,21a,31a,41aがオン,他方の開閉スイッチ11b,21b,31b,41bがオフの状態で、電圧供給路51に挿入接続され、一方の開閉スイッチ11a,21a,31a,41aがオフ,他方の開閉スイッチ11b,21b,31b,41bがオンの状態で、電圧供給路51から切離されるようになっている。
【0026】
次に、上記構成についてその作用を説明する。パワーアンプPへの入力信号の包絡線レベルが変動するのに伴い、当該パワーアンプPからシステムとして最適な効率が得られるような出力電圧Voに見合う指令電圧の情報が、切替制御手段61に送出される。このアナログ指令値である指令電圧の情報は、切替制御手段61によって、各スイッチ手段11,21,31,41の動作を決定する「0」または「1」のディジタル切替信号に変換される。ここで各スイッチ手段11,21,31,41において、一方の開閉スイッチ11a,21a,31a,41aがオフ(オープン),他方の開閉スイッチ11b,21b,31b,41bがオン(クローズ)になる場合を「0」とし、一方の開閉スイッチ11a,21a,31a,41aがオン,他方の開閉スイッチ11b,21b,31b,41bがオフになる場合を「1」として、切替制御手段61から各スイッチ手段11,21,31,41に切替信号が与えられるとすると、パワーアンプPに供給される出力電圧Voは、最小ステップの電圧レベルをVとして、次の表のようになる。
【0027】
【表1】

【0028】
このように、パワーアンプPからの指令電圧の情報を受けて、その指令電圧に比例した出力電圧Voが、電圧供給路51の両端間に発生するように、切替制御手段61が各スイッチ手段11,21,31,41に切替信号を供給することで、パワーアンプPへの出力電圧Voを、電源1の直流電圧V1に相当する最小ステップの電圧レベルV毎に、高速に可変することが可能になる。
【0029】
図2は、実際のディジタル切替信号と出力電圧Voの遷移を示している。上段の波形図は、各スイッチ手段11,21,31,41に供給されるディジタル切替信号を示し、パルスの立上がりが「1」に相当し、パルスの立下がり「0」に相当する。また、下段は出力電圧Voを示している。スイッチ手段11に関し、当該ディジタル切替信号を分岐して、その他方に反転器を設けることで、一方の開閉スイッチ11aと、他方の開閉スイッチ11bに、お互いが反転する切替信号を供給できる。これは、他のスイッチ手段21,31,41についても同じことがいえる。ここでは、各スイッチ手段11,21,31,41に供給する各ディジタル切替信号を適宜切替えることで、出力電圧Voを例えば直流6V〜18Vの範囲(この例では、最小ステップの電圧レベルVが2ボルト)で高速に可変させることができる。
【0030】
因みに、各スイッチ手段11,21,31,41のオン,オフ切替えの際には、スイッチング損失が発生するが、図2の波形図に示すように、低い電圧レベルの電源(例えば電源1)に対応するスイッチ手段11であるほど、スイッチングの頻度が多くなり、逆に高い電圧レベルの電源(例えば、電源4)に対応するスイッチ手段41であるほど、スイッチングの頻度が少なくなるので、可変電源装置としてのスイッチング損失は最小化される。
【0031】
図3は、図1の別な変形例を示したものである。なお、図1と同一部分には同一符号を付し、同一箇所の説明は重複を避けるため極力省略する。
【0032】
ここでは、前記電源1,2,3,4として、充放電可能な容量性素子であるコンデンサ71,72,73,74が各々設けられる。ここでは、各コンデンサ71,72,73,74の静電容量(キャパシタンス)が、2の累乗分の1すなわち1:1/2:1/4:1/8の比となるように設定されている。具体的には、基準となるコンデンサ71のキャパシタンスC1をCとすると、コンデンサ72のキャパシタンスC2は、コンデンサ71のキャパシタンスCの1/2となり、コンデンサ73のキャパシタンスC3は、コンデンサ71のキャパシタンスCの1/4となり、コンデンサ74のキャパシタンスC4は、コンデンサ71のキャパシタンスCの1/8となる(C1=1×C,C2=C/2,C3=C/4,C4=C/8)。
【0033】
また、これらのコンデンサ71,72,73,74を適宜タイミングで充電する充電部81として、直流電圧Vinを発生する電源82と、この電源82に直列接続される入力スイッチ手段83がそれぞれ設けられる。充電部81は、その一端が開閉スイッチ41aを介して電圧供給路51の一端に接続されると共に、その他端が電圧供給路51の他端に接続される。なお、充電部81の一端を直接電圧供給路51の一端に接続してもよい。入力スイッチ手段83は、他のスイッチ手段11,21,31,41と同様に、ここでは図示しない切替制御手段61からの切替信号を受けて、オン(クローズ)またはオフ(オープン)の何れかにスイッチング動作するようになっている。
【0034】
そしてここでは、入力スイッチ手段83と、開閉スイッチ31a,21a,11aをオンにし、開閉スイッチ41a,41b,31b,21b,11bをオフにする充電モードに移行すると、コンデンサ71,72,73,74の直列回路が電源82の両端間に接続され、コンデンサ71の両端間の電圧はVin/15となり、コンデンサ72の両端間の電圧は2Vin/15となり、コンデンサ73の両端間の電圧は4Vin/15となり、コンデンサ72の両端間の電圧は8Vin/15となる。したがって、上述のような比でキャパシタンスC1,C2,C3,C4を設定すれば、コンデンサ71,72,73,74の各電位が、2の累乗すなわち1:2:4:8の比となる。また、このときのコンデンサ71の両端間に発生する電圧は不変である。この充電モードは、パワーアンプPから出力電圧Voの供給を要求しない信号が切替制御手段61に出力された時に、当該切替制御手段61からの切替信号に基づいて実行されるのが好ましい。
【0035】
一方、上記充電モード以外では、図1の実施例と同様に、パワーアンプPからの指令電圧の情報を受けて、その指令電圧に比例した出力電圧Voが、電圧供給路51の両端間に発生するように、切替制御手段61が各スイッチ手段11,21,31,41に切替信号を供給する。このとき、入力スイッチ手段83はオフ状態となり、充電部81は電圧供給路51から切り離される。その他の構成や動作については、図1の回路図と共通している。
【0036】
このように本実施例では、各々が電位の異なる直流電圧V1,V2,V3,V4を発生するN個の電源1,2,3,4と、前記N個の電源1,2,3,4にそれぞれ設けられ、切替制御手段61から与えられる切替信号により、対応する電源1,2,3,4を電圧供給路51に挿入接続し、若しくはこの電圧供給路51から切離すN個のスイッチ手段11,21,31,41と、例えばパワーアンプPなどからの指令電圧の情報を受けて、この指令電圧に見合う出力電圧Voが電圧供給路51の両端間に生成されるように、スイッチ手段11,21,31,41の各々に切替信号を送出する切替制御手段61と、を備えている。
【0037】
この場合、それぞれが異なる電位の直流電圧V1,V2,V3,V4を発生するN個の電源1,2,3,4を予め用意し、パワーアンプPからの指令電圧の情報を受ける毎に、切替制御手段61がN個の電源1,2,3,4のそれぞれに設けたスイッチ手段11,21,31,41をスイッチング動作させて、電圧供給路51中に0〜N個の電源を選択的に直列接続することで、指令電圧に見合う出力電圧Voを電圧供給路51の両端間に生成させることが可能になる。ここでの損失は、スイッチ手段11,21,31,41のスイッチング動作に伴うものだけで、しかもそのスイッチング周波数は、指令電圧の情報が切替る時間よりも高くする必要はない。また、電圧レベルの高い例えば電源4に対応するスイッチ手段41であるほど、スイッチングの頻度は少なくなるので、スイッチング損失は最小化される。よって、従来のドロッパー電源や降圧型コンバータよりも少ない損失で、高速に出力電圧Voを可変することが可能になる。
【0038】
また、N個の電源1,2,3,4の各電位は、2の累乗すなわち1:2:4:…:2の比となっているので、指令電圧の情報に基づき各スイッチ手段11,21,31,41を開閉するための切替信号を、切替制御手段61によりディジタル的なビットパターンで生成すれば、アナログ的に変化する出力電圧Voを電圧供給路51の両端間に生成させることが可能になる。
【0039】
また、上記変形例において、N個の電源1,2,3,4は、各々の容量が2(E=0,1,2,…,N)分の1の比である容量性素子としてのコンデンサ71,72,73,74で構成される。このように、各々の容量が2(E=0,1,2,…,N)分の1の比であるコンデンサ71,72,73,74でN個の電源1,2,3,4を構成し、必要に応じてこれらのコンデンサ71,72,73,74に充電部81から充電電圧を印加すれば、N個のコンデンサ71,72,73,74の各電位を、2の累乗すなわち1:2:4:…:2の比とすることができる。
【0040】
なお、上記実施例では、電源1,2,3,4の少なくとも一つを、アナログ制御電圧源またはスイッチング電源で構成してもよい。つまり、電源1,2,3,4の少なくとも一つを、その電位の調整が可能なアナログ制御電圧源またはスイッチング電源で構成することで、出力電圧Voのレベルが切替る最小ステップVをより細かく制御することが可能になる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば電源1,2,3,4として、一次電池や二次電池を用いてもよい。またスイッチ手段11,21,31,41によって、対応する各電源1,2,3,4を電圧供給路51に挿入接続し、または電圧供給路51から切離すことができれば、どのような回路構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の好ましい一実施例における可変電源装置の回路図である。
【図2】同上、切替信号と出力電圧の遷移を示す波形図である。
【図3】同上、図1の変形例を示す可変電源装置の回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1,2,3,4 電源
11,21,31,41 スイッチ手段
51 電圧供給路
61 切替制御手段
71,72,73,74 コンデンサ(容量性素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が電位の異なる直流電圧を発生するN個の電源と、
前記N個の電源にそれぞれ設けられ、切替信号により対応する前記電源を電圧供給路に挿入接続し、若しくは前記電圧供給路から切離すスイッチ手段と、
指令電圧の情報を受けて、この指令電圧に見合う出力電圧が前記電圧供給路の両端間に生成されるように、前記スイッチ手段の各々に前記切替信号を送出する切替制御手段と、を備えたことを特徴とする可変電源装置。
【請求項2】
前記N個の電源の各電位は、2(E=0,1,2,…,N)の比であることを特徴とする請求項1記載の可変電源装置。
【請求項3】
前記N個の電源は、各々の容量が2(E=0,1,2,…,N)分の1の比である容量性素子で構成されることを特徴とする請求項2記載の可変電源装置。
【請求項4】
前記電源の少なくとも一つは、アナログ制御電圧源またはスイッチング電源であることを特徴とする請求項1記載の可変電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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