可搬式排水ポンプ装置
【課題】緊急時に容易に目的地まで搬送して冠水部に投入できると共に、冠水部に投入した排水ポンプの没水深さを容易に深くできる可搬式排水ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】台車本体11に車輪20A,B,C,Dを取り付けてなる台車10と、台車本体11に積載される排水ポンプ50とを具備する。一側辺側の2つの車輪20C,Dを浮体構造にすることで可搬式排水ポンプ装置を水陸両用にすると共に、没水させた可搬式排水ポンプ装置を車輪20C,Dを中心にして傾けて排水ポンプ50を深く没水させる。
【解決手段】台車本体11に車輪20A,B,C,Dを取り付けてなる台車10と、台車本体11に積載される排水ポンプ50とを具備する。一側辺側の2つの車輪20C,Dを浮体構造にすることで可搬式排水ポンプ装置を水陸両用にすると共に、没水させた可搬式排水ポンプ装置を車輪20C,Dを中心にして傾けて排水ポンプ50を深く没水させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急時(災害時など)に目的の設置位置(洪水発生現場など)に簡易に搬送して排水することができる可搬式排水ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、豪雨や水害などの緊急時に、簡易に排水ポンプを洪水発生現場などの排水場所まで搬送して水中に没し、排水を行う可搬式排水ポンプ装置がある。この種の緊急時用の可搬式排水ポンプ装置は、緊急時に人が目的地まで可搬できるように軽量化が図られており、重量も設置員一人が持ち運べる重量である30kg以下に設計されている。
【0003】
しかしながら排水ポンプの軽量化を図るためには、アルミ系の材料を使用するなどの材質の問題(高コスト化,製造煩雑化など)や、小型化のための特殊設計の必要性の問題などが生じ、高価なものになってしまう。
【0004】
また緊急時の排水は、冠水部(池部)に排水ポンプを投入する必要があるが、排水ポンプの重量は、冠水地点付近までは一人で運べるものの、冠水部に一人で投げ込めるような重量ではなく、投げ込み時には複数人での作業が必要になっていた。
【0005】
またこの種の排水ポンプ(緊急用排水ポンプ)においては、小型化(軽量化)を図るため、排水量や全揚程を大きく取ることができない。その為、排水量が足りない場合は複数の排水ポンプを並列運転することでこれに対応し、全揚程が足りない場合は複数の排水ポンプを直列接続することでこれに対応することになるが、いずれの場合も重量が1台の排水ポンプの複数倍になるため、人力で運ぶことが困難になってしまう。
【0006】
また複数の排水ポンプを直列接続する場合において、これら複数の排水ポンプを直接直列に接続する代わりに、2台の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって2台目(下流側)以降の排水ポンプを陸地に設置する手法が取られることがある(例えば下記する図13参照)。しかしながら排水ポンプは通常空運転が不可であるため、1台目(冠水部にあるもの)の排水ポンプが始動した後、2台目の排水ポンプまで水が到達したことを確認してから2台目の排水ポンプを始動することが必要になり、その始動手法に難があった。
【0007】
一方上記問題を解決する1つの方法として、排水ポンプ自体に駆動タイヤ(タイヤ駆動用電動機によって駆動される駆動タイヤ)及び従動タイヤを取り付け、さらにこれら駆動タイヤ及び従動タイヤにフロート機能を持たせ、これによって排水ポンプを排水場所まで自走できるようにすると共に水面を浮動できるようにし、冠水部の排水を行うように構成した可搬式排水ポンプ装置もある(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながらこの可搬式排水ポンプ装置の場合、ポンプ本体にタイヤ(車輪)を取り付けているのでポンプが特殊仕様となってしまい、このため可搬式排水ポンプ装置が高価になってしまう。
【0009】
またタイヤやタイヤ駆動用電動機が故障した場合、この可搬式排水ポンプ装置を手で運ぶ必要があるが、タイヤが邪魔になるとともに、タイヤなどを取り付けた分だけ重量が加算されているので、これを一人で運ぶことは困難になる。
【0010】
また可搬式排水ポンプ装置は水面を浮動するので、排水ポンプの必要没水深さ(水面からの空気吸込渦を生じない没水深さ)を確保しにくく、空気吸込渦を伴なう運転になる可能性がある。一方前記必要没水深さを確保するには、タイヤ径を大きくして排水ポンプの位置をできるだけ下方に位置させるなどの方法が考えられるが、このように構成すると可搬式排水ポンプ装置全体の構造・外形が大きく且つ重くなり、人力による運搬がさらに困難になるのはもちろんのこと、トラックへの積載もできなくなる等の課題が生じる。
【0011】
また別の従来例として、排水ポンプとなる水中モータポンプユニットに車輪を取り付け、且つ水中モータポンプユニットにフロートを装着してなる可搬式排水ポンプ装置もある(特許文献2参照)。しかしながらこの可搬式排水ポンプ装置の場合、水中モータポンプユニットに車輪を取り付けているので、水中モータポンプユニットが特殊仕様になってしまい、可搬式排水ポンプ装置が高価になってしまう。
【特許文献1】特開2007−46566号公報
【特許文献2】特許第3979514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、緊急時に容易に目的地まで搬送して容易に冠水部に投入することができ、また冠水部に投入した排水ポンプの没水深さを容易に且つ確実に設定でき、さらに製造が容易で安価であり、これらのことから経済性、信頼性、安全性を高くすることができる可搬式排水ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1に記載の発明は、台車本体に車輪を取り付けることで移動自在に構成される台車と、台車本体に積載される排水ポンプとを具備し、前記台車本体に浮きを取り付けるか或いは前記車輪を浮体構造にすることで水陸両用としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。なお台車に取り付ける車輪は4輪に限らず、1〜3輪、または5輪以上であっても良い。
【0014】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記車輪の内の所定の車輪を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底面方向に傾けて排水ポンプを没水させることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0015】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の可搬式排水ポンプ装置において、台車本体への排水ポンプの取付位置は、この可搬式排水ポンプ装置を没水させた際に排水ポンプの没水深さが水面より空気吸込渦を生じない必要没水深さ以上になる位置であることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0016】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車本体の排水ポンプ設置部分に、排水ポンプ固定用の開口を設けたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0017】
本願請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車本体に複数台の排水ポンプを設置すると共に、この台車本体内にて複数台の排水ポンプを直列接続したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0018】
本願請求項6に記載の発明は、請求項2又は3に記載の可搬式排水ポンプ装置において、浮体構造としていない1又は複数の車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0019】
本願請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車には取っ手が着脱自在且つ台車への取付位置が変更できるように取り付けられていることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0020】
本願請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、没水した際に水底面側を向く台車の車輪の外側に、この車輪の水底面への係合を防止する車輪保護部材を設置したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0021】
本願請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、排水ポンプと台車間を可撓性連結具で連結し、没水した際に前記可撓性連結部によって排水ポンプを台車から吊り下げることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0022】
また本発明は、台車に排水ポンプを積載してなる可搬式排水ポンプ装置であって、前記台車にこの台車を水中に浮かせる浮体(浮き及び浮体構造の車輪を含む)を取り付け、さらにこの浮体はこの浮体によって水中に浮いた台車が傾いて排水ポンプが没水する位置に取り付けられるように構成することも好ましい。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、排水ポンプを台車に載せたまま陸上移動し、且つ水中に設置することが可能となり、排水ポンプを人力によって直接持ち上げて運ぶ必要がなくなる。これにより排水ポンプの無理な軽量化は不要となり、高価な軽量材料を用いる等の配慮が不要となり、安価な可搬式排水ポンプ装置を提供できる。また台車に排水ポンプを積載する構成なので、排水ポンプのポンプ本体を特殊仕様とする必要はなく、現状で用いられているどの排水ポンプでもこれらを台車に積載するだけでよくなり、この点からも安価な可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、浮体構造とした車輪を中心にして台車を傾けて排水ポンプを没水させるので、台車が水平のまま浮いている場合に比べて排水ポンプを容易に所定の水深まで没水させることができ、従って可搬式排水ポンプ装置を大型化する等の対応をしなくても容易に空気吸込渦を防止でき、排水ポンプの安定した運転を得ることができる。また小型化が図れるので人力による搬送やトラックへの積載が容易に行えるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、必要没水深さ以上の水深位置に常に排水ポンプを没水させることができるので、排水ポンプの故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、さらに安定した排水ポンプの運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、各種排水ポンプを容易に台車に着脱することができるので、互換性に優れた経済性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。また開口を複数の位置に設けておけば、台車上の排水ポンプの積載位置を変更できるので、容量(吐出量等)の違う排水ポンプでも容易にそれぞれの必要没水深さになるように排水ポンプを台車に設置することが可能となる。また台車や排水ポンプが故障した場合、容易に両者を分離して運ぶことができるので、一人または小人数での運搬が可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、複数台の排水ポンプを容易に直列接続することが可能となり、且つ複数台の排水ポンプを1台の台車で運ぶので人力での移動も簡易になる。また従来のように複数台の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって下流側の排水ポンプを陸地の法面等に設置する必要がなくなるので、複数台の排水ポンプの設置手順及び始動手順の煩雑さや空運転の恐れ等がなくなる。これらのことから、信頼性・操作性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、冠水部より岸に可搬式排水ポンプ装置を引き上げていくだけで、水底面へ接触した車輪の湾曲面によって自動的に傾いていた台車が陸上での姿勢に戻っていく。従って可搬式排水ポンプ装置の引き上げ時の労力低減が可能となる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、陸地での取っ手の位置と、没水時の取っ手の位置とを、それぞれの場合に好適となる位置に容易に変更することが可能となる。これにより例えば没水させたときに取っ手が水底面に引っ掛かるのを防止でき、またその際に取っ手を水面近傍位置に付け替えることでこの可搬式排水ポンプ装置の引き上げを容易にすることもできるようになる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、可搬式排水ポンプ装置の引き上げ時に、車輪が水底面に引っ掛かることを防止できる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、台車をコンパクトに構成する(小型化する)ことができる。また没水時に排水ポンプを台車から吊り下げるので、水底面への台車の引掛りが生じなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1,図2は本発明の第1実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1の陸上における概略構成図であり、図1は平面図、図2は側面図である。両図に示すように可搬式排水ポンプ装置1−1は、台車10に排水ポンプ50を積載して構成されている。以下各構成部分について説明する。
【0033】
台車10は略平板状の台車本体11の対向する左右両側辺に2つずつの車輪20A,B,C,Dを取り付けて構成されている。台車本体11はこの例では略矩形状の外形形状を有しており、その一端辺(車輪20A,B,C,Dを取り付けていない端辺)近傍に上方向に突出してその先端部分を台車10から離れる方向に折り曲げてなる取っ手13を取り付けて構成されている。台車本体11は略平板状の板によって構成しても良いし、棒部材(アングル部材)等を骨格状に連結して構成しても良いし、それ以外の部材で構成しても良い。また必ずしも平面状でなくても良い。
【0034】
台車本体11の左右両側辺からは2本の車軸15のそれぞれ両端が突出しており、各車軸15の先端に車輪20A,B,C,Dが取り付けられている。一方の側辺の2つの車輪20A,Bは通常の車輪であり、もう一方の側辺の2つの車輪20C,Dは大きな浮力を有する浮体構造の車輪(フロート形車輪)である。つまり一方の側面の車輪のみを浮体構造の車輪20C,Dとしている。2つの車輪20C,Dの両者を合せた浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−1を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。車輪20A,Bは通常の車輪であればどのような材質・構造のものでも良く、例えばゴム製のタイヤを有する車輪でも良いし、ゴム以外の合成樹脂等の他の材質からなる車輪でもよい。一方車輪20C,Dは上述のように大きな浮力を有するフロート機能を兼用する車輪であればどのような材質・構造のものでもよく、例えばゴム製のタイヤの内部に大量の空気を充填してその体積に対する重量を小さくしてなるものでも良いし、発泡材等の水より軽い材質からなるフロート形車輪でも良い。
【0035】
排水ポンプ50は従来から用いられている電動式の可搬式排水ポンプ(水中モータポンプ)であり、一端に吸込口51、他端に吐出口53を設けて構成されている。排水ポンプ50は台車本体11に例えば下記する結束バンド(取付部材)によって着脱自在に取り付けられている。吐出口53にはこの可搬式排水ポンプ装置1−1の使用時に排水ホース60の一端が着脱自在に接続される。排水ホース60の他端は図示しない排水場所(例えば河川等)に設置される。排水ホース60にはこれに沿って排水ポンプ50の水中モータ駆動用の給電線が取り付けられており、給電線の他端は排水ホース60の途中から分離されて電源設備に接続される。
【0036】
排水ポンプ50の設置位置は、その吸込口51(そのポンプ軸L1)が前記浮体構造とした2つの車輪20C,Dを結ぶ線a1(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−1を下記するように没水した際に車輪20C,Dが浮く水面の位置)に平行な方向を向くと共に、線a1から吸込口51のポンプ軸L1までの距離sを、この排水ポンプ50の必要没水深さ以上を隔離した距離としている。ここで必要没水深さとは前述のように、排水ポンプ50を運転した際に水面から発生する空気吸込渦を防止するのに必要な水深をいう。
【0037】
次に可搬式排水ポンプ装置1−1の使用方法を説明する。豪雨や水害などの緊急時には、可搬式排水ポンプ装置1−1を例えば人力などによって排水の必要な場所(例えば洪水発生現場など)近傍に搬送する。このとき排水ポンプ50の重量が重くても、台車10に載せたまま陸上移動できるのでその搬送は容易である。そして排水ポンプ50の吐出口53に排水ホース60の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。
【0038】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−1を台車10ごと冠水部(池部)に投入し、没水させる。図3は可搬式排水ポンプ装置1−1を没水させた状態を側面から示す概略側面図である。同図に示すように没水された可搬式排水ポンプ装置1−1の台車10は、浮体構造の2つの車輪20C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50は没水する。この例では台車10は約90°傾き、台車本体11の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50の没水深さsは、車輪20C,D(水面)から排水ポンプ50までの離間距離となっている。
【0039】
そして前記電源設備から排水ポンプ50の水中モータに給電して排水ポンプ50の駆動を開始し、排水ポンプ50の吸込口51から水を吸い込んで排水場所に排水していく。このとき排水ポンプ50は、必要没水深さ以上の水深位置(没水深さsの位置)に常に没水しているので、排水ポンプ50の故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50の運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0040】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−1においては、台車10の左右両側辺の4つの車輪20A,B,C,Dの内の一方の側辺側に設置した2つの車輪20C,Dを浮体構造としたが、その代りに、前輪を構成する一対の車輪20A,Cを浮体構造として後輪を構成する一対の車輪B,Dを通常の車輪としたり、逆に前輪を構成する一対の車輪20A,Cを通常の車輪として後輪を構成する一対の車輪B,Dを浮体構造の車輪としてもよい。この場合も可搬式排水ポンプ装置1−1を没水した際に台車10が水底面方向に傾き、排水ポンプ50を所望の水深に設置できる。なお前記「前輪」と「後輪」は、台車10の移動方向によって逆にもなるものであるが、説明の便宜上、取っ手13から離れている側を「前輪」、取っ手13に近い側を「後輪」としている。以下の各例においても同様である。
【0041】
また上記可搬式排水ポンプ装置1−1においては、排水ポンプ50の駆動手段として水中モータを用いたが、水中モータの代りに例えば水力によって駆動する排水ポンプ(水力式ポンプ)を用いても良い。水力式ポンプの場合は、排水ポンプ50に電気を給電する給電線の代りに、水(水圧)を給水する加圧ホース(給水ホース)を接続する。
【0042】
また上記可搬式排水ポンプ装置1−1の浮力が、2つの浮体構造の車輪20C,Dでは足りない場合や、微妙な浮力調整が必要な場合などは、さらに図3に点線で示すように、台車10の排水ポンプ50を設置した位置よりも車輪20C,D側の位置に、浮力調整用の補助浮き30を設置しても良い。補助浮き30は着脱自在として異なる浮力のものを容易に付け替えられるようにするのが好ましい。これによって容易に浮力調整が行える。なお補助浮き30は場合によっては台車10の排水ポンプ50を設置した位置よりも車輪20A,B側の位置に設置しても良い。補助浮き30は下記する各例においても同様に取付可能である。
【0043】
以上説明したように可搬式排水ポンプ装置1−1によれば、排水ポンプ50を台車10に載せたまま陸上移動し、且つ水中に設置することが可能となり、排水ポンプ50を人力によって直接持ち上げて運ぶ必要がなくなる。これにより排水ポンプ50の無理な軽量化は不要となり、高価な軽量材料を用いる等の配慮が不要となり、安価な可搬式排水ポンプ装置1−1を提供できる。また台車10に排水ポンプ50を積載する構成なので、排水ポンプ50自体に車輪を取り付ける等の特殊仕様とする必要はなく、現状で用いられているどの排水ポンプでもこれらを台車10に積載するだけでよくなり、この点からも安価な可搬式排水ポンプ装置1−1とすることができる。またこの可搬式排水ポンプ装置1−1によれば、浮体構造とした車輪20C,Dを中心にして台車10を傾けて排水ポンプ50を没水させるので、台車10が水平のまま浮いている場合に比べて排水ポンプ50を容易に所定の水深まで没水させることができ、従って可搬式排水ポンプ装置1−1を大型化する等の対応をしなくても容易に排水ポンプ50の安定した運転を得ることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
図4,図5は本発明の第2実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−2の概略構成図であり、図4は地上における概略側面図、図5は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−2において、前記図1〜図3に示す可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−2」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0045】
この可搬式排水ポンプ装置1−2において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を3つ(20−2A,B,C)とし、その内の1つの車輪20−2Cを浮体構造とし、またそれに合せて台車10−2の形状を変更した点である。即ち可搬式排水ポンプ装置1−2の台車10−2は、略平板状の台車本体11−2の対向する左右両側辺の幅を前方に向かって狭めるようにして台形状とし、幅の広い側の左右両側辺近傍に2つの後輪となる車輪20−2A,Bを設置し、幅の狭い方の前方の辺の中央に1つの前輪となる車輪20−2Cを設置して構成されている。また台車10−2の後方の辺近傍には前記可搬式排水ポンプ装置1−1と同様の取っ手13−2が取り付けられている。
【0046】
後輪となる両車輪20−2A,Bは通常の車輪であり、前輪となる車輪20−2Cは浮体構造の車輪である。即ち車輪20−2A,Bは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20A,Bで説明したものと同一のものであり、車輪20−2Cは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20C,Dで説明したものと同一のものである。1つの車輪20−2Cの浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−2を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。なお排水ポンプ50−2の構成は前記排水ポンプ50の構成と同じである。
【0047】
この可搬式排水ポンプ装置1−2の場合も、台車本体11−2への排水ポンプ50−2の取付位置は、浮体構造とした1つの車輪20−2Cの位置(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−2を図5に示すように没水した際に車輪20−2Cが浮く水面の位置)a1−2から吸込口51−2までの没水深さs−2が、この排水ポンプ50−2の必要没水深さ以上になる位置である。
【0048】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−2の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送される。そして排水ポンプ50−2の吐出口53−2に排水ホース60−2の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−2を台車10−2ごと冠水部(池部)に投入し、図5に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−2の台車10−2は、浮体構造の1つの車輪20−2Cを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−2は没水する。この例では台車10−2は取っ手13−2側を下にして約90°傾き、台車本体11−2の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50−2の没水深さs−2は、車輪20−2C(水面)から排水ポンプ50までの離間距離となる。排水ポンプ50−2の吸込口51−2は水底面方向を向く。
【0049】
そして排水ポンプ50−2を駆動すれば、吸込口51−2から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この場合も排水ポンプ50−2は、必要没水深さ以上の没水深さs−2に常に没水しているので、空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50−2の運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0050】
ところで可搬式排水ポンプ装置1−2の2つの車輪20−2A,Bを省略して台車10−2を車輪20−2Cのみの1輪車としても、上記と同様の作用・効果を発揮させることができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図6,図7は本発明の第3実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−3の概略構成図であり、図6は陸上における概略側面図、図7は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−3において、前記図1〜図5に示す可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−3」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図6に示す実施形態と同じである。
【0052】
この可搬式排水ポンプ装置1−3において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を前輪だけの2つ(20−3C,D)とし、これら2つの車輪20−3C,Dを何れも浮体構造とし、またそれに合せて台車10−3の形状を変更した点である。即ち台車10−3は、略平板状の台車本体11−3の前方の端部近傍の左右両側辺に2つの前輪となる車輪20−3C,Dを設置し、また台車10−3の後方の端部に取っ手13−3を取り付けて構成されている。前輪となる両車輪20−3C,Dは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20C,Dで説明したものと同一のものである。2つの車輪20−3C,Dを合せた浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−3を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。排水ポンプ50−3の構成は前記排水ポンプ50の構成と同じである。
【0053】
この可搬式排水ポンプ装置1−3の場合も、台車本体11−3への排水ポンプ50−3の取付位置は、浮体構造とした2つの車輪20−3C,Dの位置(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−3を図7に示すように没水した際に車輪20−3C,Dが浮く水面の位置)a1−3から吸込口51−3までの没水深さs−3が、この排水ポンプ50−3の必要没水深さ以上になる位置である。この例の場合も前記可搬式排水ポンプ装置1−2の場合と同様に、没水した際の排水ポンプ50−3の吸込口51−3が下方向を向く。
【0054】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−3の場合も緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送され、排水ポンプ50−3の吐出口53−3に排水ホース60−3の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−3を台車10−3ごと冠水部(池部)に投入し、図7に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−3の台車10−3は、浮体構造の2つの車輪20−3C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−3は没水する。この例では台車10−3は取っ手13−3側を下にして約90°傾き、台車本体11−3の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50−3の没水深さs−3は、車輪20−3C,D(水面)から排水ポンプ50−3までの離間距離となる。排水ポンプ50−3の吸込口51−3は水底面方向を向く。そして排水ポンプ50−3を駆動すれば、吸込口51−3から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−3においても可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2の場合と同様の作用・効果を生じる。
【0055】
以上可搬式排水ポンプ装置1−1〜1−3を用いて説明したように、台車に取り付ける車輪の数は排水ポンプを搬送できる構成であれば1輪またはそれ以上の複数輪であればよく、要は台車に取り付けた車輪の内の所定の車輪(台車に取り付けた車輪の内の一部の車輪でも良いし全部の車輪でも良い)を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底方向に傾けて排水ポンプを没水させることができる構造であればどのような構造であっても良い。
【0056】
〔台車本体の具体例〕
図8は図1に示す台車本体11の1具体例を示す要部拡大平面図である。この台車本体11は、複数の棒部材を縦横方向に格子状に組み付け、これによって複数の結束バンド取付用の開口111をマトリクス状に設けて構成されている。そして排水ポンプ50の外周に2組の結束バンド60をそれぞれ巻き回してそれらの両端をそれぞれ所望の開口111に挿入して台車本体11と連結することで排水ポンプ50を結束して取り付けている。結束バンド60はゴム製または鋼製などの各種材料にて構成されている。なお排水ポンプ50を固定する結束バンド60の数は1本又は3本以上の複数本でも良い。また開口111を設ける部分は、台車本体11の全面でなくても良く、少なくとも排水ポンプ50を設置するその周辺部分であれば良い。また開口111への結束バンド60の取付構造は種々の変更が可能であり、例えば結束バンド60の両端をそれぞれ開口111に引掛けることで結束バンド60を台車本体11に取り付けても良い。要は台車10の排水ポンプ50の設置部分に、排水ポンプ50固定用の開口111を設ける構造であれば良い。また台車本体11の構造も種々の変更が可能であり、例えば図9に示すように、台車本体11を1枚の板材で構成してこの板材に孔明け加工を施すことで開口111を設けても良い。
【0057】
以上のように構成すれば、排水ポンプ50を容易に台車10に着脱することができるので、互換性に優れた経済性の高い可搬式排水ポンプ装置1−1を提供できる。また上記例のように開口111を複数の位置に設けておけば、台車10上の排水ポンプ50の積載位置を変更できるので、容量(吐出量等)の違う排水ポンプ50でも容易にそれぞれの必要没水深さになるように排水ポンプ50を台車10に設置することが可能となる。また台車10や排水ポンプ50が故障した場合、容易に両者を分離して運ぶことができるので、一人または小人数での運搬が可能となる。なおこの台車10の構造が本願で説明する他の各例(可搬式排水ポンプ装置1−2〜1−8)にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0058】
〔第4実施形態〕
図10,図11,図12は本発明の第4実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−4を示す図であり、図10は陸上における概略平面図、図11は陸上における概略側面図、図12は没水させた際の概略側面図である。これらの図に示す可搬式排水ポンプ装置1−4において、前記図1〜図3に示す可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−4」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0059】
この可搬式排水ポンプ装置1−4において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、台車10−4に積載する排水ポンプ50−4A,Bの数を複数台(2台)とし、これら複数台の排水ポンプ50−4A,Bを、両排水ポンプ50−4A,Bのポンプ軸L1,L2が略平行であって吸込口51−4A,Bが逆向きとなるように設置すると共に、浮体構造の車輪20−4C,Dに近い側の排水ポンプ50−4Aの吸込口51−4Aと遠い側の排水ポンプ50−4Bの吐出口53−4Bとを直列接続用アタッチメント55−4にて連結し、排水ポンプ50−4Aの吐出口53−4Aに排水ホース60−4の一端を接続した点である。即ちこの可搬式排水ポンプ装置1−4は、台車10−4に複数台の排水ポンプ50−4A,Bを設置し、この台車10−4内にて複数台の排水ポンプ50−4A,Bを直列接続して排水する構成となっている。なお直列接続用アタッチメント55−4は、鋼製の管またはホース等によって構成されている。
【0060】
この可搬式排水ポンプ装置1−4の場合、浮体構造の車輪20−4C,Dから遠い側の排水ポンプ50−4Bの取付位置は、浮体構造とした2つの車輪20C,Dを結ぶ線a1−4(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−4を図12に示すように没水した際に車輪20−4C,Dが浮く水面の位置)に平行な方向を向くと共に、線a1−4から吸込口51−4Bのポンプ軸L2までの没水深さs−4が、この排水ポンプ50−4Bの必要没水深さ以上になる位置である。ここでいう必要没水深さも、両排水ポンプ50−4A,Bを共に運転した際に水面から発生する空気吸込渦を防止するに必要な水深をいう。
【0061】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−4の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送される。このとき排水ポンプ50−4A,Bは複数台なので特にその重量が重いが、台車10−4に載せたまま陸上移動できるのでその搬送は容易である。そして排水ポンプ50−4Aの吐出口53−4Aに排水ホース60−4の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。
【0062】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−4を台車10−4ごと冠水部(池部)に投入し、没水させれば、図12に示すように没水された可搬式排水ポンプ装置1−4の台車10−4は、浮体構造の2つの車輪20−4C,D(線a1−4)を中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−4A,Bは没水する。この例でも台車10−4は約90°傾く。
【0063】
そして電源設備から排水ポンプ50−4A,Bの水中モータに給電して排水ポンプ50−4A,Bの駆動を開始し、排水ポンプ50−4Bの吸込口51−4Bから水を吸い込んで排水場所に排水していく。このとき排水ポンプ50−4Bは、必要没水深さ以上の没水深さs−4の位置に常に没水しているので、排水ポンプ50−4A,Bの故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50−4A,Bの運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。なおこの例では上側の排水ポンプ50−4Aも没水させているが、場合によっては排水ポンプ50−4Aは没水させなくてもよい。もちろん排水ポンプ50−4Aはこれを没水させた方がより容易に吸水できるので好適である。
【0064】
ところで従来、可搬式の複数台の排水ポンプを直接直列接続することは、人力で持ち上げるのが困難な重量になってしまうので、現実的ではなかった。その対策として図14に示すように、1台の排水ポンプ210を冠水部に没水すると共にもう1台の排水ポンプ230を排水ホース250の中間部に設置し、この排水ポンプ230を陸地の法面などに設置する方法が用いられていた。しかしながら排水ポンプ210,230は空運転ができないことから、2台目の排水ポンプ230の始動には十分な注意(1台目の排水ポンプ210にて揚水した水が2台目の排水ポンプ230に入っていることを確認してから始動すること)が必要であり、信頼性に欠けていた。これに対して可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、容易に直列の直接接続を行うことができ、且つ人力での移動も簡易である信頼性・操作性の高い設備を提供することができる。
【0065】
さらに可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、1台目の排水ポンプ50−4Bが故障しても、2台目の排水ポンプ50−4Aによる1台分の排水は可能であり、排水能力を0にすることなく、運転可能である。図13は同一性能の排水ポンプを2台直列接続した場合の排水ポンプ2台運転時と排水ポンプ1台運転時のそれぞれの性能特性を示す図である。同図に示すように2台直列時運転点よりも1台故障時の1台運転点の方が揚程及び吐出量の何れにおいても性能は劣るものの、効果的な排水が可能であることがわかる。これに対して上記図14のような従来の構成では、1台目の排水ポンプ210が故障すると、2台目の排水ポンプ230の吸い込み側が排水ホース250であるため負圧により潰れて水を吸い上げることができず、結果、2台目の排水ポンプ230は空(気中)運転状態となり故障してしまうため運転できない。
【0066】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−4において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりする等の各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。また排水ポンプは3台以上の複数台を直列接続しても良い。またこの可搬式排水ポンプ装置1−4のように複数台の排水ポンプを設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0067】
以上説明したように可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、複数台の排水ポンプを容易に直列接続することが可能となり、且つ複数台の排水ポンプを台車で運ぶので人力での移動も簡易になる。また従来のように複数の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって下流側の排水ポンプを陸地の法面等に設置する必要がなくなるので、複数の排水ポンプの設置手順及び始動手順の煩雑さや空運転の恐れ等がなくなる。これらのことから、信頼性・操作性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0068】
〔第5実施形態〕
図15,図16,図17は本発明の第5実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−5を示す図であり、図15は陸上における概略平面図、図16は陸上における概略側面図、図17は没水させた際の概略側面図である。これらの図に示す可搬式排水ポンプ装置1−5において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−5」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0069】
この可搬式排水ポンプ装置1−5において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、浮体構造としていない複数(2つ)の車輪20−5A,Bの外側面を外方に向かって凸となる湾曲面(この例では略球面)とした点である。即ち車輪20−5A,Bは何れも略半球体形状に形成されており、その略球面状の面が外方を向いている。
【0070】
以上のように構成された可搬式排水ポンプ装置1−5の場合も、前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様に、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送されて冠水部(池部)に投入され、排水ポンプ50−5の駆動によって排水が行われ、その際前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果が生じる。
【0071】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−5によれば、排水が終了しまたはそれ以外の事情により可搬式排水ポンプ装置1−5を陸上に引き上げる際、その引き上げが容易に行える。図18〜図20は、この可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていく際の車輪20−5B(20−5A),20−5D(20−5C)及び台車10−5の状態を示す引き上げ状態説明図である。即ちまず図18に示すように、冠水部に投入されている可搬式排水ポンプ装置1−5は台車10−5が約90°傾くことでその面が略垂直下方向を向いている。そして可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていくと、図19に示すように浅瀬に近づき水底面Kに車輪20−5B(20−5A)が当接するが、車輪20−5B(20−5A)の表面は略球面状に形成されているので、この球面に水底面Kが接触していくことで台車10−5は略垂直な状態から自動的に水平な姿勢に戻っていく。さらに可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていくと、図20に示すように台車10−5はさらに水平な姿勢に戻ってゆき、そのまま陸地に引き上げることができる。
【0072】
即ちこの可搬式排水ポンプ装置1−5によれば、冠水部より岸に可搬式排水ポンプ装置1−5を引き上げていくだけで、冠水部底面へ接触した略球面の車輪20−5A,Bによって自動的に傾いていた台車10−5が陸上での姿勢に戻ってゆき、従って可搬式排水ポンプ装置1−5の引き上げ時の労力低減が可能となる。
【0073】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−5においては、車輪20−5A,Bの外側面を略球面で構成したが、球面以外の各種湾曲面で構成しても良く、要はその車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面で形成すればよい。
【0074】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−5において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりするなどの各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。またこの可搬式排水ポンプ装置1−5のような車輪とする構造が本願で説明する他の例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0075】
〔第6実施形態〕
図21は本発明の第6実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−6の概略平面図である。同図に示す可搬式排水ポンプ装置1−6において、前記図4,図5に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−2と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−6」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図4,図5に示す実施形態と同じである。
【0076】
この可搬式排水ポンプ装置1−6において、前記可搬式排水ポンプ装置1−2と相違する点は、取っ手13−6を台車本体11−6から着脱自在に取り外せるようにすると共に、図21に点線で示すように、台車本体11−6の先端側の辺(前記取っ手13−6を取り付けた辺と対向する反対側の辺)近傍にもこの取っ手13−6を着脱自在に取り付けられるように構成した点である。
【0077】
このように構成すれば、この可搬式排水ポンプ装置1−6を没水させた際に、予め図22に示すように取っ手13−6を取り外しておくことで、取っ手13−6が水底面に引っ掛からないようにすることができる。さらに図23に示すように、この可搬式排水ポンプ装置1−6を没水させた際に、予め取っ手13−6を取り外して台車10−6のもう一方の取付位置に取り付けておくことで、水面から浮かせて突出させておき(水面側に設置させておき)、これによって取っ手13−6が水底面に引っ掛からないようにできるばかりか、この可搬式排水ポンプ装置1−6を陸上に引き上げる際にこの取っ手13−6を掴むことで、その引き上げを容易に行うことができる。
【0078】
なお取っ手を着脱自在とする構成は、他の各例にも同様に適用できる。
【0079】
〔第7実施形態〕
図24,図25は本発明の第7実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−7を示す図であり、図24は陸上における概略平面図、図25は図24に示す可搬式排水ポンプ装置1−7の概略右側面図(取っ手13−7や排水ホース60−7等の記載は省略)である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−7において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−7」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0080】
この可搬式排水ポンプ装置1−7において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、水中に浮かせた際に水底面側を向く台車10−7の車輪(即ち浮体構造としていない複数(2つ)の車輪)20−7A,Bの外側に、これら車輪20−7A,Bの水底面への係合を防止する車輪保護部材70−7を設置した点である。
【0081】
車輪保護部材70−7は両車輪20−7A,Bを結ぶ方向(台車10−7の進行方向)に向かって延びる略帯状平板であって、その両端を台車10−7側に向けて湾曲させて構成されている。即ち車輪保護部材70−7の形状は、船底やスノーボードやソリなどに近い形状である。そしてその中央部分に設けた取付部71−7を台車本体11−7の側面に固定することで、台車10−7に一体に取り付けられている。
【0082】
以上のように構成された可搬式排水ポンプ装置1−7の場合も、前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様に、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送されて冠水部(池部)に投入され、排水ポンプ50−7の駆動によって排水が行われ、その際前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果が生じる。
【0083】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−7によれば、排水が終了し、またはそれ以外の事情により可搬式排水ポンプ装置1−7を陸上に引き上げる際に、水深が浅くなっていくが、そのとき車輪保護部材70−7が水底面に当接するので、この車輪保護部材70−7をソリのように使用してその引き上げを行うことができ、これによって車輪20−7A,Bが水底面に引っ掛かることを防止できる。陸上に引き上げた際、またはその前に台車10−7を起こして水平にすれば、陸上でもそのまま可搬式排水ポンプ装置1−7を搬送していくことができる。
【0084】
なお上記車輪保護部材70−7の形状・構造に種々の変形が可能であることはいうまでもなく、例えば車輪保護部材70−7は棒部材等によって構成しても良いし、2つの車輪20−7A,Bのそれぞれに単独の2つの車輪保護部材70−7を設置しても良いし、場合によっては一方の車輪の外側のみに車輪保護部材70−7を設置しても良い。
【0085】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−7において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりするなどの各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。またこの可搬式排水ポンプ装置1−7のように車輪保護部材を設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0086】
〔第8実施形態〕
図26は本発明の第8実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−8の陸上における平面図である。同図に示す可搬式排水ポンプ装置1−8において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−8」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0087】
この可搬式排水ポンプ装置1−8において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を2つ(20−8C,D)(左右1つずつ)とし、これら2つの車輪20−8C,Dを何れも浮体構造とし、またそれに合せて台車10−8(台車本体11−8)の形状を矩形状で小型化し、さらに排水ポンプ50−8と台車10−8間を可撓性連結具80−8で連結した点である。なお排水ポンプ50−8は、例えば図8に示す結束バンド60等の取付部材を用いて着脱自在に台車10−8(台車本体11−8)に取り付けられている。また台車10−8には取っ手13−8が取り付けられている。また可撓性連結具80−8はこの例ではチェーンを用いているが、ロープやベルトなどの他の各種部材を用いて構成しても良い。可撓性連結具80−8の台車10−8や排水ポンプ50−8との取付位置を変更することで、その長さが変更できるように構成されている。
【0088】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−8の場合も緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送し、排水ポンプ50−8の吐出口53−8に排水ホース60−8の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そして台車10−8に固定していた排水ポンプ50−8を結束バンド等の取付部材を取り外すことで台車10−8から取り外し(可撓性連結具80−8は装着したままとする)、図27に示すように台車10−8ごと排水ポンプ50−8を冠水部(池部)に投入し、図28に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−8の台車10−8は、浮体構造の2つの車輪20−8C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、さらに排水ポンプ50−8は可撓性連結具80−8によって台車10−8の下方に吊下げられる。これによって排水ポンプ50−8は必要没水深さ以上の没水深さs−8まで容易に没水する。この例では排水ポンプ50−8の吸込口51−8は水底面方向を向いている。即ち可搬式排水ポンプ装置1−8は、これを水中に浮かせた際に可撓性連結部80−8にて排水ポンプ50−8を台車10−8から吊り下げる構成である。
【0089】
そして排水ポンプ50−8を駆動すれば、排水ポンプ50−8の吸込口51−8から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−8においても可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2,1−3などの場合と同様の作用・効果を生じる。
【0090】
この可搬式排水ポンプ装置1−8においては、可撓性連結具80−8の長さを調整することで容易に排水ポンプ50−8の没水深さs−8を調整することができる。また上記可搬式排水ポンプ装置1−1などのように浮体構造の車輪と排水ポンプの離間距離を所定の寸法設ける必要がないので、台車10−8をコンパクト化する(小型化する)ことができる。また没水時に台車10−8全体を排水ポンプ50−8よりも上部に位置させることができるので、水底面への台車10−8の引掛りが生じなくなる。
【0091】
なおこの可搬式排水ポンプ装置1−8のように可撓性連結部を取り付ける構造が本願で説明する他の例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0092】
〔第9実施形態〕
図29,図30は本発明の第9実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−9の概略構成図であり、図29は地上における概略平面図、図30は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−9において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−9」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0093】
この可搬式排水ポンプ装置1−9において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、全て(4つ)の車輪20−9A,B,C,Dを通常の(浮体構造ではない)車輪で構成し、一方台車10−9の排水ポンプ50−9を設置する位置よりも車輪20−9C,D側の位置に、浮き40−9を設置した点である。浮き40−9の浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−9を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。浮き40−9はフロート機能を有するものであればどのような材質・構造のものでも良く、例えばゴムや合成樹脂やその他の材質のものの内部に空気を充填してその体積に対する重量を小さくした構造のものでも良いし、発泡材等の他の材質を所定形状に成形したものでも良い。
【0094】
排水ポンプ50−9の設置位置は、この可搬式排水ポンプ装置1−9を図30に示すように没水した際にその吸込口51−9(そのポンプ軸L1)が水面に対して平行な方向を向くと共に、水面からポンプ軸L1までの没水深さs−9がこの排水ポンプ50−9の必要没水深さ以上となる位置に設置されている。言い換えればそのような位置に排水ポンプ50−9が設置されるように浮き40−9の浮力と位置が設定されている。
【0095】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−9の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送する。そして排水ポンプ50−9の吐出口53−9に排水ホース60−9の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−9を台車10−9ごと冠水部(池部)に投入し、図30に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−9の台車10−9は、浮き40−9を中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−9は没水する。
【0096】
そして排水ポンプ50−9を駆動すれば、排水ポンプ50−9の吸込口51−9から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−9においても可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果を生じる。
【0097】
なおこの可搬式排水ポンプ装置1−9のように浮体構造の車輪を設置する代わりに浮きを設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0098】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、台車、排水ポンプ、取っ手、浮体構造の車輪、通常の車輪の何れも種々の形状や構造の変更が可能であることはいうまでもない。また浮体構造とする車輪は、台車に取り付けた車輪の内の全部または一部でもよい。また排水ポンプが空気を吸い込んでも問題ない構造の場合は、排水ポンプの没水深さは水面からの空気吸込渦を生じる可能性のある水深としても良い。また上記各例では可搬式排水ポンプ装置1−1〜1−9を没水した際に浮体構造の車輪や浮きの一部が水面上に露出する場合について説明したが、浮体構造の車輪や浮きはその全体が水中に没水して浮くように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】可搬式排水ポンプ装置1−1の陸地における概略平面図である。
【図2】可搬式排水ポンプ装置1−1の陸地における概略側面図である。
【図3】可搬式排水ポンプ装置1−1の没水時の概略側面図である。
【図4】可搬式排水ポンプ装置1−2の陸上における概略側面図である。
【図5】可搬式排水ポンプ装置1−2の没水時の概略側面図である。
【図6】可搬式排水ポンプ装置1−3の陸上における概略側面図である。
【図7】可搬式排水ポンプ装置1−3の没水時の概略側面図である。
【図8】台車本体11の1具体例を示す要部拡大平面図である。
【図9】台車本体11の他の具体例を示す要部拡大平面図である。
【図10】可搬式排水ポンプ装置1−4の陸上における概略平面図である。
【図11】可搬式排水ポンプ装置1−4の陸上における概略側面図である。
【図12】可搬式排水ポンプ装置1−4の没水時の概略側面図である。
【図13】排水ポンプの性能特性図である。
【図14】2台の排水ポンプ210,230を用いて排水する従来例を示す図である。
【図15】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸上における概略平面図である。
【図16】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸上における概略側面図である。
【図17】可搬式排水ポンプ装置1−5の没水時の概略側面図である。
【図18】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図19】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図20】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図21】可搬式排水ポンプ装置1−6の陸上における概略平面図である。
【図22】可搬式排水ポンプ装置1−6の使用状態説明図である。
【図23】可搬式排水ポンプ装置1−6の使用状態説明図である。
【図24】可搬式排水ポンプ装置1−7の陸上における概略平面図である。
【図25】可搬式排水ポンプ装置1−7の概略右側面図である。
【図26】可搬式排水ポンプ装置1−8の陸上における概略平面図である。
【図27】可搬式排水ポンプ装置1−8の使用状態説明図である。
【図28】可搬式排水ポンプ装置1−8の使用状態説明図である。
【図29】可搬式排水ポンプ装置1−9の陸上における概略平面図である。
【図30】可搬式排水ポンプ装置1−9の没水時の概略側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1−1〜1−9 可搬式排水ポンプ装置
10〜10−9 台車
11〜11−9 台車本体
13〜13−9 取っ手
20A〜20A−9 車輪
20B〜20B−9 車輪
20C〜20C−9 車輪
20D〜20D−9 車輪
50〜50−9 排水ポンプ
60〜60−9 排水ホース
111 結束バンド取付用開口
70−5 車輪保護部材
80−8 可撓性連結具
40−9 浮き
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急時(災害時など)に目的の設置位置(洪水発生現場など)に簡易に搬送して排水することができる可搬式排水ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、豪雨や水害などの緊急時に、簡易に排水ポンプを洪水発生現場などの排水場所まで搬送して水中に没し、排水を行う可搬式排水ポンプ装置がある。この種の緊急時用の可搬式排水ポンプ装置は、緊急時に人が目的地まで可搬できるように軽量化が図られており、重量も設置員一人が持ち運べる重量である30kg以下に設計されている。
【0003】
しかしながら排水ポンプの軽量化を図るためには、アルミ系の材料を使用するなどの材質の問題(高コスト化,製造煩雑化など)や、小型化のための特殊設計の必要性の問題などが生じ、高価なものになってしまう。
【0004】
また緊急時の排水は、冠水部(池部)に排水ポンプを投入する必要があるが、排水ポンプの重量は、冠水地点付近までは一人で運べるものの、冠水部に一人で投げ込めるような重量ではなく、投げ込み時には複数人での作業が必要になっていた。
【0005】
またこの種の排水ポンプ(緊急用排水ポンプ)においては、小型化(軽量化)を図るため、排水量や全揚程を大きく取ることができない。その為、排水量が足りない場合は複数の排水ポンプを並列運転することでこれに対応し、全揚程が足りない場合は複数の排水ポンプを直列接続することでこれに対応することになるが、いずれの場合も重量が1台の排水ポンプの複数倍になるため、人力で運ぶことが困難になってしまう。
【0006】
また複数の排水ポンプを直列接続する場合において、これら複数の排水ポンプを直接直列に接続する代わりに、2台の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって2台目(下流側)以降の排水ポンプを陸地に設置する手法が取られることがある(例えば下記する図13参照)。しかしながら排水ポンプは通常空運転が不可であるため、1台目(冠水部にあるもの)の排水ポンプが始動した後、2台目の排水ポンプまで水が到達したことを確認してから2台目の排水ポンプを始動することが必要になり、その始動手法に難があった。
【0007】
一方上記問題を解決する1つの方法として、排水ポンプ自体に駆動タイヤ(タイヤ駆動用電動機によって駆動される駆動タイヤ)及び従動タイヤを取り付け、さらにこれら駆動タイヤ及び従動タイヤにフロート機能を持たせ、これによって排水ポンプを排水場所まで自走できるようにすると共に水面を浮動できるようにし、冠水部の排水を行うように構成した可搬式排水ポンプ装置もある(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながらこの可搬式排水ポンプ装置の場合、ポンプ本体にタイヤ(車輪)を取り付けているのでポンプが特殊仕様となってしまい、このため可搬式排水ポンプ装置が高価になってしまう。
【0009】
またタイヤやタイヤ駆動用電動機が故障した場合、この可搬式排水ポンプ装置を手で運ぶ必要があるが、タイヤが邪魔になるとともに、タイヤなどを取り付けた分だけ重量が加算されているので、これを一人で運ぶことは困難になる。
【0010】
また可搬式排水ポンプ装置は水面を浮動するので、排水ポンプの必要没水深さ(水面からの空気吸込渦を生じない没水深さ)を確保しにくく、空気吸込渦を伴なう運転になる可能性がある。一方前記必要没水深さを確保するには、タイヤ径を大きくして排水ポンプの位置をできるだけ下方に位置させるなどの方法が考えられるが、このように構成すると可搬式排水ポンプ装置全体の構造・外形が大きく且つ重くなり、人力による運搬がさらに困難になるのはもちろんのこと、トラックへの積載もできなくなる等の課題が生じる。
【0011】
また別の従来例として、排水ポンプとなる水中モータポンプユニットに車輪を取り付け、且つ水中モータポンプユニットにフロートを装着してなる可搬式排水ポンプ装置もある(特許文献2参照)。しかしながらこの可搬式排水ポンプ装置の場合、水中モータポンプユニットに車輪を取り付けているので、水中モータポンプユニットが特殊仕様になってしまい、可搬式排水ポンプ装置が高価になってしまう。
【特許文献1】特開2007−46566号公報
【特許文献2】特許第3979514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、緊急時に容易に目的地まで搬送して容易に冠水部に投入することができ、また冠水部に投入した排水ポンプの没水深さを容易に且つ確実に設定でき、さらに製造が容易で安価であり、これらのことから経済性、信頼性、安全性を高くすることができる可搬式排水ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1に記載の発明は、台車本体に車輪を取り付けることで移動自在に構成される台車と、台車本体に積載される排水ポンプとを具備し、前記台車本体に浮きを取り付けるか或いは前記車輪を浮体構造にすることで水陸両用としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。なお台車に取り付ける車輪は4輪に限らず、1〜3輪、または5輪以上であっても良い。
【0014】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記車輪の内の所定の車輪を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底面方向に傾けて排水ポンプを没水させることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0015】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の可搬式排水ポンプ装置において、台車本体への排水ポンプの取付位置は、この可搬式排水ポンプ装置を没水させた際に排水ポンプの没水深さが水面より空気吸込渦を生じない必要没水深さ以上になる位置であることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0016】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車本体の排水ポンプ設置部分に、排水ポンプ固定用の開口を設けたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0017】
本願請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車本体に複数台の排水ポンプを設置すると共に、この台車本体内にて複数台の排水ポンプを直列接続したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0018】
本願請求項6に記載の発明は、請求項2又は3に記載の可搬式排水ポンプ装置において、浮体構造としていない1又は複数の車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0019】
本願請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、前記台車には取っ手が着脱自在且つ台車への取付位置が変更できるように取り付けられていることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0020】
本願請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、没水した際に水底面側を向く台車の車輪の外側に、この車輪の水底面への係合を防止する車輪保護部材を設置したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0021】
本願請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、排水ポンプと台車間を可撓性連結具で連結し、没水した際に前記可撓性連結部によって排水ポンプを台車から吊り下げることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置にある。
【0022】
また本発明は、台車に排水ポンプを積載してなる可搬式排水ポンプ装置であって、前記台車にこの台車を水中に浮かせる浮体(浮き及び浮体構造の車輪を含む)を取り付け、さらにこの浮体はこの浮体によって水中に浮いた台車が傾いて排水ポンプが没水する位置に取り付けられるように構成することも好ましい。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、排水ポンプを台車に載せたまま陸上移動し、且つ水中に設置することが可能となり、排水ポンプを人力によって直接持ち上げて運ぶ必要がなくなる。これにより排水ポンプの無理な軽量化は不要となり、高価な軽量材料を用いる等の配慮が不要となり、安価な可搬式排水ポンプ装置を提供できる。また台車に排水ポンプを積載する構成なので、排水ポンプのポンプ本体を特殊仕様とする必要はなく、現状で用いられているどの排水ポンプでもこれらを台車に積載するだけでよくなり、この点からも安価な可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、浮体構造とした車輪を中心にして台車を傾けて排水ポンプを没水させるので、台車が水平のまま浮いている場合に比べて排水ポンプを容易に所定の水深まで没水させることができ、従って可搬式排水ポンプ装置を大型化する等の対応をしなくても容易に空気吸込渦を防止でき、排水ポンプの安定した運転を得ることができる。また小型化が図れるので人力による搬送やトラックへの積載が容易に行えるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、必要没水深さ以上の水深位置に常に排水ポンプを没水させることができるので、排水ポンプの故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、さらに安定した排水ポンプの運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、各種排水ポンプを容易に台車に着脱することができるので、互換性に優れた経済性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。また開口を複数の位置に設けておけば、台車上の排水ポンプの積載位置を変更できるので、容量(吐出量等)の違う排水ポンプでも容易にそれぞれの必要没水深さになるように排水ポンプを台車に設置することが可能となる。また台車や排水ポンプが故障した場合、容易に両者を分離して運ぶことができるので、一人または小人数での運搬が可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、複数台の排水ポンプを容易に直列接続することが可能となり、且つ複数台の排水ポンプを1台の台車で運ぶので人力での移動も簡易になる。また従来のように複数台の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって下流側の排水ポンプを陸地の法面等に設置する必要がなくなるので、複数台の排水ポンプの設置手順及び始動手順の煩雑さや空運転の恐れ等がなくなる。これらのことから、信頼性・操作性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、冠水部より岸に可搬式排水ポンプ装置を引き上げていくだけで、水底面へ接触した車輪の湾曲面によって自動的に傾いていた台車が陸上での姿勢に戻っていく。従って可搬式排水ポンプ装置の引き上げ時の労力低減が可能となる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、陸地での取っ手の位置と、没水時の取っ手の位置とを、それぞれの場合に好適となる位置に容易に変更することが可能となる。これにより例えば没水させたときに取っ手が水底面に引っ掛かるのを防止でき、またその際に取っ手を水面近傍位置に付け替えることでこの可搬式排水ポンプ装置の引き上げを容易にすることもできるようになる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、可搬式排水ポンプ装置の引き上げ時に、車輪が水底面に引っ掛かることを防止できる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、台車をコンパクトに構成する(小型化する)ことができる。また没水時に排水ポンプを台車から吊り下げるので、水底面への台車の引掛りが生じなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1,図2は本発明の第1実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1の陸上における概略構成図であり、図1は平面図、図2は側面図である。両図に示すように可搬式排水ポンプ装置1−1は、台車10に排水ポンプ50を積載して構成されている。以下各構成部分について説明する。
【0033】
台車10は略平板状の台車本体11の対向する左右両側辺に2つずつの車輪20A,B,C,Dを取り付けて構成されている。台車本体11はこの例では略矩形状の外形形状を有しており、その一端辺(車輪20A,B,C,Dを取り付けていない端辺)近傍に上方向に突出してその先端部分を台車10から離れる方向に折り曲げてなる取っ手13を取り付けて構成されている。台車本体11は略平板状の板によって構成しても良いし、棒部材(アングル部材)等を骨格状に連結して構成しても良いし、それ以外の部材で構成しても良い。また必ずしも平面状でなくても良い。
【0034】
台車本体11の左右両側辺からは2本の車軸15のそれぞれ両端が突出しており、各車軸15の先端に車輪20A,B,C,Dが取り付けられている。一方の側辺の2つの車輪20A,Bは通常の車輪であり、もう一方の側辺の2つの車輪20C,Dは大きな浮力を有する浮体構造の車輪(フロート形車輪)である。つまり一方の側面の車輪のみを浮体構造の車輪20C,Dとしている。2つの車輪20C,Dの両者を合せた浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−1を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。車輪20A,Bは通常の車輪であればどのような材質・構造のものでも良く、例えばゴム製のタイヤを有する車輪でも良いし、ゴム以外の合成樹脂等の他の材質からなる車輪でもよい。一方車輪20C,Dは上述のように大きな浮力を有するフロート機能を兼用する車輪であればどのような材質・構造のものでもよく、例えばゴム製のタイヤの内部に大量の空気を充填してその体積に対する重量を小さくしてなるものでも良いし、発泡材等の水より軽い材質からなるフロート形車輪でも良い。
【0035】
排水ポンプ50は従来から用いられている電動式の可搬式排水ポンプ(水中モータポンプ)であり、一端に吸込口51、他端に吐出口53を設けて構成されている。排水ポンプ50は台車本体11に例えば下記する結束バンド(取付部材)によって着脱自在に取り付けられている。吐出口53にはこの可搬式排水ポンプ装置1−1の使用時に排水ホース60の一端が着脱自在に接続される。排水ホース60の他端は図示しない排水場所(例えば河川等)に設置される。排水ホース60にはこれに沿って排水ポンプ50の水中モータ駆動用の給電線が取り付けられており、給電線の他端は排水ホース60の途中から分離されて電源設備に接続される。
【0036】
排水ポンプ50の設置位置は、その吸込口51(そのポンプ軸L1)が前記浮体構造とした2つの車輪20C,Dを結ぶ線a1(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−1を下記するように没水した際に車輪20C,Dが浮く水面の位置)に平行な方向を向くと共に、線a1から吸込口51のポンプ軸L1までの距離sを、この排水ポンプ50の必要没水深さ以上を隔離した距離としている。ここで必要没水深さとは前述のように、排水ポンプ50を運転した際に水面から発生する空気吸込渦を防止するのに必要な水深をいう。
【0037】
次に可搬式排水ポンプ装置1−1の使用方法を説明する。豪雨や水害などの緊急時には、可搬式排水ポンプ装置1−1を例えば人力などによって排水の必要な場所(例えば洪水発生現場など)近傍に搬送する。このとき排水ポンプ50の重量が重くても、台車10に載せたまま陸上移動できるのでその搬送は容易である。そして排水ポンプ50の吐出口53に排水ホース60の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。
【0038】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−1を台車10ごと冠水部(池部)に投入し、没水させる。図3は可搬式排水ポンプ装置1−1を没水させた状態を側面から示す概略側面図である。同図に示すように没水された可搬式排水ポンプ装置1−1の台車10は、浮体構造の2つの車輪20C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50は没水する。この例では台車10は約90°傾き、台車本体11の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50の没水深さsは、車輪20C,D(水面)から排水ポンプ50までの離間距離となっている。
【0039】
そして前記電源設備から排水ポンプ50の水中モータに給電して排水ポンプ50の駆動を開始し、排水ポンプ50の吸込口51から水を吸い込んで排水場所に排水していく。このとき排水ポンプ50は、必要没水深さ以上の水深位置(没水深さsの位置)に常に没水しているので、排水ポンプ50の故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50の運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0040】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−1においては、台車10の左右両側辺の4つの車輪20A,B,C,Dの内の一方の側辺側に設置した2つの車輪20C,Dを浮体構造としたが、その代りに、前輪を構成する一対の車輪20A,Cを浮体構造として後輪を構成する一対の車輪B,Dを通常の車輪としたり、逆に前輪を構成する一対の車輪20A,Cを通常の車輪として後輪を構成する一対の車輪B,Dを浮体構造の車輪としてもよい。この場合も可搬式排水ポンプ装置1−1を没水した際に台車10が水底面方向に傾き、排水ポンプ50を所望の水深に設置できる。なお前記「前輪」と「後輪」は、台車10の移動方向によって逆にもなるものであるが、説明の便宜上、取っ手13から離れている側を「前輪」、取っ手13に近い側を「後輪」としている。以下の各例においても同様である。
【0041】
また上記可搬式排水ポンプ装置1−1においては、排水ポンプ50の駆動手段として水中モータを用いたが、水中モータの代りに例えば水力によって駆動する排水ポンプ(水力式ポンプ)を用いても良い。水力式ポンプの場合は、排水ポンプ50に電気を給電する給電線の代りに、水(水圧)を給水する加圧ホース(給水ホース)を接続する。
【0042】
また上記可搬式排水ポンプ装置1−1の浮力が、2つの浮体構造の車輪20C,Dでは足りない場合や、微妙な浮力調整が必要な場合などは、さらに図3に点線で示すように、台車10の排水ポンプ50を設置した位置よりも車輪20C,D側の位置に、浮力調整用の補助浮き30を設置しても良い。補助浮き30は着脱自在として異なる浮力のものを容易に付け替えられるようにするのが好ましい。これによって容易に浮力調整が行える。なお補助浮き30は場合によっては台車10の排水ポンプ50を設置した位置よりも車輪20A,B側の位置に設置しても良い。補助浮き30は下記する各例においても同様に取付可能である。
【0043】
以上説明したように可搬式排水ポンプ装置1−1によれば、排水ポンプ50を台車10に載せたまま陸上移動し、且つ水中に設置することが可能となり、排水ポンプ50を人力によって直接持ち上げて運ぶ必要がなくなる。これにより排水ポンプ50の無理な軽量化は不要となり、高価な軽量材料を用いる等の配慮が不要となり、安価な可搬式排水ポンプ装置1−1を提供できる。また台車10に排水ポンプ50を積載する構成なので、排水ポンプ50自体に車輪を取り付ける等の特殊仕様とする必要はなく、現状で用いられているどの排水ポンプでもこれらを台車10に積載するだけでよくなり、この点からも安価な可搬式排水ポンプ装置1−1とすることができる。またこの可搬式排水ポンプ装置1−1によれば、浮体構造とした車輪20C,Dを中心にして台車10を傾けて排水ポンプ50を没水させるので、台車10が水平のまま浮いている場合に比べて排水ポンプ50を容易に所定の水深まで没水させることができ、従って可搬式排水ポンプ装置1−1を大型化する等の対応をしなくても容易に排水ポンプ50の安定した運転を得ることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
図4,図5は本発明の第2実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−2の概略構成図であり、図4は地上における概略側面図、図5は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−2において、前記図1〜図3に示す可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−2」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0045】
この可搬式排水ポンプ装置1−2において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を3つ(20−2A,B,C)とし、その内の1つの車輪20−2Cを浮体構造とし、またそれに合せて台車10−2の形状を変更した点である。即ち可搬式排水ポンプ装置1−2の台車10−2は、略平板状の台車本体11−2の対向する左右両側辺の幅を前方に向かって狭めるようにして台形状とし、幅の広い側の左右両側辺近傍に2つの後輪となる車輪20−2A,Bを設置し、幅の狭い方の前方の辺の中央に1つの前輪となる車輪20−2Cを設置して構成されている。また台車10−2の後方の辺近傍には前記可搬式排水ポンプ装置1−1と同様の取っ手13−2が取り付けられている。
【0046】
後輪となる両車輪20−2A,Bは通常の車輪であり、前輪となる車輪20−2Cは浮体構造の車輪である。即ち車輪20−2A,Bは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20A,Bで説明したものと同一のものであり、車輪20−2Cは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20C,Dで説明したものと同一のものである。1つの車輪20−2Cの浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−2を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。なお排水ポンプ50−2の構成は前記排水ポンプ50の構成と同じである。
【0047】
この可搬式排水ポンプ装置1−2の場合も、台車本体11−2への排水ポンプ50−2の取付位置は、浮体構造とした1つの車輪20−2Cの位置(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−2を図5に示すように没水した際に車輪20−2Cが浮く水面の位置)a1−2から吸込口51−2までの没水深さs−2が、この排水ポンプ50−2の必要没水深さ以上になる位置である。
【0048】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−2の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送される。そして排水ポンプ50−2の吐出口53−2に排水ホース60−2の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−2を台車10−2ごと冠水部(池部)に投入し、図5に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−2の台車10−2は、浮体構造の1つの車輪20−2Cを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−2は没水する。この例では台車10−2は取っ手13−2側を下にして約90°傾き、台車本体11−2の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50−2の没水深さs−2は、車輪20−2C(水面)から排水ポンプ50までの離間距離となる。排水ポンプ50−2の吸込口51−2は水底面方向を向く。
【0049】
そして排水ポンプ50−2を駆動すれば、吸込口51−2から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この場合も排水ポンプ50−2は、必要没水深さ以上の没水深さs−2に常に没水しているので、空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50−2の運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0050】
ところで可搬式排水ポンプ装置1−2の2つの車輪20−2A,Bを省略して台車10−2を車輪20−2Cのみの1輪車としても、上記と同様の作用・効果を発揮させることができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図6,図7は本発明の第3実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−3の概略構成図であり、図6は陸上における概略側面図、図7は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−3において、前記図1〜図5に示す可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−3」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図6に示す実施形態と同じである。
【0052】
この可搬式排水ポンプ装置1−3において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を前輪だけの2つ(20−3C,D)とし、これら2つの車輪20−3C,Dを何れも浮体構造とし、またそれに合せて台車10−3の形状を変更した点である。即ち台車10−3は、略平板状の台車本体11−3の前方の端部近傍の左右両側辺に2つの前輪となる車輪20−3C,Dを設置し、また台車10−3の後方の端部に取っ手13−3を取り付けて構成されている。前輪となる両車輪20−3C,Dは前記可搬式排水ポンプ装置1−1の車輪20C,Dで説明したものと同一のものである。2つの車輪20−3C,Dを合せた浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−3を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。排水ポンプ50−3の構成は前記排水ポンプ50の構成と同じである。
【0053】
この可搬式排水ポンプ装置1−3の場合も、台車本体11−3への排水ポンプ50−3の取付位置は、浮体構造とした2つの車輪20−3C,Dの位置(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−3を図7に示すように没水した際に車輪20−3C,Dが浮く水面の位置)a1−3から吸込口51−3までの没水深さs−3が、この排水ポンプ50−3の必要没水深さ以上になる位置である。この例の場合も前記可搬式排水ポンプ装置1−2の場合と同様に、没水した際の排水ポンプ50−3の吸込口51−3が下方向を向く。
【0054】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−3の場合も緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送され、排水ポンプ50−3の吐出口53−3に排水ホース60−3の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−3を台車10−3ごと冠水部(池部)に投入し、図7に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−3の台車10−3は、浮体構造の2つの車輪20−3C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−3は没水する。この例では台車10−3は取っ手13−3側を下にして約90°傾き、台車本体11−3の面が略垂直方向を向き、排水ポンプ50−3の没水深さs−3は、車輪20−3C,D(水面)から排水ポンプ50−3までの離間距離となる。排水ポンプ50−3の吸込口51−3は水底面方向を向く。そして排水ポンプ50−3を駆動すれば、吸込口51−3から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−3においても可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2の場合と同様の作用・効果を生じる。
【0055】
以上可搬式排水ポンプ装置1−1〜1−3を用いて説明したように、台車に取り付ける車輪の数は排水ポンプを搬送できる構成であれば1輪またはそれ以上の複数輪であればよく、要は台車に取り付けた車輪の内の所定の車輪(台車に取り付けた車輪の内の一部の車輪でも良いし全部の車輪でも良い)を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底方向に傾けて排水ポンプを没水させることができる構造であればどのような構造であっても良い。
【0056】
〔台車本体の具体例〕
図8は図1に示す台車本体11の1具体例を示す要部拡大平面図である。この台車本体11は、複数の棒部材を縦横方向に格子状に組み付け、これによって複数の結束バンド取付用の開口111をマトリクス状に設けて構成されている。そして排水ポンプ50の外周に2組の結束バンド60をそれぞれ巻き回してそれらの両端をそれぞれ所望の開口111に挿入して台車本体11と連結することで排水ポンプ50を結束して取り付けている。結束バンド60はゴム製または鋼製などの各種材料にて構成されている。なお排水ポンプ50を固定する結束バンド60の数は1本又は3本以上の複数本でも良い。また開口111を設ける部分は、台車本体11の全面でなくても良く、少なくとも排水ポンプ50を設置するその周辺部分であれば良い。また開口111への結束バンド60の取付構造は種々の変更が可能であり、例えば結束バンド60の両端をそれぞれ開口111に引掛けることで結束バンド60を台車本体11に取り付けても良い。要は台車10の排水ポンプ50の設置部分に、排水ポンプ50固定用の開口111を設ける構造であれば良い。また台車本体11の構造も種々の変更が可能であり、例えば図9に示すように、台車本体11を1枚の板材で構成してこの板材に孔明け加工を施すことで開口111を設けても良い。
【0057】
以上のように構成すれば、排水ポンプ50を容易に台車10に着脱することができるので、互換性に優れた経済性の高い可搬式排水ポンプ装置1−1を提供できる。また上記例のように開口111を複数の位置に設けておけば、台車10上の排水ポンプ50の積載位置を変更できるので、容量(吐出量等)の違う排水ポンプ50でも容易にそれぞれの必要没水深さになるように排水ポンプ50を台車10に設置することが可能となる。また台車10や排水ポンプ50が故障した場合、容易に両者を分離して運ぶことができるので、一人または小人数での運搬が可能となる。なおこの台車10の構造が本願で説明する他の各例(可搬式排水ポンプ装置1−2〜1−8)にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0058】
〔第4実施形態〕
図10,図11,図12は本発明の第4実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−4を示す図であり、図10は陸上における概略平面図、図11は陸上における概略側面図、図12は没水させた際の概略側面図である。これらの図に示す可搬式排水ポンプ装置1−4において、前記図1〜図3に示す可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−4」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0059】
この可搬式排水ポンプ装置1−4において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、台車10−4に積載する排水ポンプ50−4A,Bの数を複数台(2台)とし、これら複数台の排水ポンプ50−4A,Bを、両排水ポンプ50−4A,Bのポンプ軸L1,L2が略平行であって吸込口51−4A,Bが逆向きとなるように設置すると共に、浮体構造の車輪20−4C,Dに近い側の排水ポンプ50−4Aの吸込口51−4Aと遠い側の排水ポンプ50−4Bの吐出口53−4Bとを直列接続用アタッチメント55−4にて連結し、排水ポンプ50−4Aの吐出口53−4Aに排水ホース60−4の一端を接続した点である。即ちこの可搬式排水ポンプ装置1−4は、台車10−4に複数台の排水ポンプ50−4A,Bを設置し、この台車10−4内にて複数台の排水ポンプ50−4A,Bを直列接続して排水する構成となっている。なお直列接続用アタッチメント55−4は、鋼製の管またはホース等によって構成されている。
【0060】
この可搬式排水ポンプ装置1−4の場合、浮体構造の車輪20−4C,Dから遠い側の排水ポンプ50−4Bの取付位置は、浮体構造とした2つの車輪20C,Dを結ぶ線a1−4(正確にはこの可搬式排水ポンプ装置1−4を図12に示すように没水した際に車輪20−4C,Dが浮く水面の位置)に平行な方向を向くと共に、線a1−4から吸込口51−4Bのポンプ軸L2までの没水深さs−4が、この排水ポンプ50−4Bの必要没水深さ以上になる位置である。ここでいう必要没水深さも、両排水ポンプ50−4A,Bを共に運転した際に水面から発生する空気吸込渦を防止するに必要な水深をいう。
【0061】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−4の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送される。このとき排水ポンプ50−4A,Bは複数台なので特にその重量が重いが、台車10−4に載せたまま陸上移動できるのでその搬送は容易である。そして排水ポンプ50−4Aの吐出口53−4Aに排水ホース60−4の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。
【0062】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−4を台車10−4ごと冠水部(池部)に投入し、没水させれば、図12に示すように没水された可搬式排水ポンプ装置1−4の台車10−4は、浮体構造の2つの車輪20−4C,D(線a1−4)を中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−4A,Bは没水する。この例でも台車10−4は約90°傾く。
【0063】
そして電源設備から排水ポンプ50−4A,Bの水中モータに給電して排水ポンプ50−4A,Bの駆動を開始し、排水ポンプ50−4Bの吸込口51−4Bから水を吸い込んで排水場所に排水していく。このとき排水ポンプ50−4Bは、必要没水深さ以上の没水深さs−4の位置に常に没水しているので、排水ポンプ50−4A,Bの故障の原因となる水面から発生する空気吸込渦を確実に防止でき、安定した排水ポンプ50−4A,Bの運転が可能となり、高い信頼性を得ることができる。なおこの例では上側の排水ポンプ50−4Aも没水させているが、場合によっては排水ポンプ50−4Aは没水させなくてもよい。もちろん排水ポンプ50−4Aはこれを没水させた方がより容易に吸水できるので好適である。
【0064】
ところで従来、可搬式の複数台の排水ポンプを直接直列接続することは、人力で持ち上げるのが困難な重量になってしまうので、現実的ではなかった。その対策として図14に示すように、1台の排水ポンプ210を冠水部に没水すると共にもう1台の排水ポンプ230を排水ホース250の中間部に設置し、この排水ポンプ230を陸地の法面などに設置する方法が用いられていた。しかしながら排水ポンプ210,230は空運転ができないことから、2台目の排水ポンプ230の始動には十分な注意(1台目の排水ポンプ210にて揚水した水が2台目の排水ポンプ230に入っていることを確認してから始動すること)が必要であり、信頼性に欠けていた。これに対して可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、容易に直列の直接接続を行うことができ、且つ人力での移動も簡易である信頼性・操作性の高い設備を提供することができる。
【0065】
さらに可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、1台目の排水ポンプ50−4Bが故障しても、2台目の排水ポンプ50−4Aによる1台分の排水は可能であり、排水能力を0にすることなく、運転可能である。図13は同一性能の排水ポンプを2台直列接続した場合の排水ポンプ2台運転時と排水ポンプ1台運転時のそれぞれの性能特性を示す図である。同図に示すように2台直列時運転点よりも1台故障時の1台運転点の方が揚程及び吐出量の何れにおいても性能は劣るものの、効果的な排水が可能であることがわかる。これに対して上記図14のような従来の構成では、1台目の排水ポンプ210が故障すると、2台目の排水ポンプ230の吸い込み側が排水ホース250であるため負圧により潰れて水を吸い上げることができず、結果、2台目の排水ポンプ230は空(気中)運転状態となり故障してしまうため運転できない。
【0066】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−4において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりする等の各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。また排水ポンプは3台以上の複数台を直列接続しても良い。またこの可搬式排水ポンプ装置1−4のように複数台の排水ポンプを設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0067】
以上説明したように可搬式排水ポンプ装置1−4によれば、複数台の排水ポンプを容易に直列接続することが可能となり、且つ複数台の排水ポンプを台車で運ぶので人力での移動も簡易になる。また従来のように複数の排水ポンプを排水ホースを介して離して直列接続し、これによって下流側の排水ポンプを陸地の法面等に設置する必要がなくなるので、複数の排水ポンプの設置手順及び始動手順の煩雑さや空運転の恐れ等がなくなる。これらのことから、信頼性・操作性の高い可搬式排水ポンプ装置を提供できる。
【0068】
〔第5実施形態〕
図15,図16,図17は本発明の第5実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−5を示す図であり、図15は陸上における概略平面図、図16は陸上における概略側面図、図17は没水させた際の概略側面図である。これらの図に示す可搬式排水ポンプ装置1−5において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−5」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0069】
この可搬式排水ポンプ装置1−5において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、浮体構造としていない複数(2つ)の車輪20−5A,Bの外側面を外方に向かって凸となる湾曲面(この例では略球面)とした点である。即ち車輪20−5A,Bは何れも略半球体形状に形成されており、その略球面状の面が外方を向いている。
【0070】
以上のように構成された可搬式排水ポンプ装置1−5の場合も、前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様に、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送されて冠水部(池部)に投入され、排水ポンプ50−5の駆動によって排水が行われ、その際前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果が生じる。
【0071】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−5によれば、排水が終了しまたはそれ以外の事情により可搬式排水ポンプ装置1−5を陸上に引き上げる際、その引き上げが容易に行える。図18〜図20は、この可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていく際の車輪20−5B(20−5A),20−5D(20−5C)及び台車10−5の状態を示す引き上げ状態説明図である。即ちまず図18に示すように、冠水部に投入されている可搬式排水ポンプ装置1−5は台車10−5が約90°傾くことでその面が略垂直下方向を向いている。そして可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていくと、図19に示すように浅瀬に近づき水底面Kに車輪20−5B(20−5A)が当接するが、車輪20−5B(20−5A)の表面は略球面状に形成されているので、この球面に水底面Kが接触していくことで台車10−5は略垂直な状態から自動的に水平な姿勢に戻っていく。さらに可搬式排水ポンプ装置1−5を陸地に引き上げていくと、図20に示すように台車10−5はさらに水平な姿勢に戻ってゆき、そのまま陸地に引き上げることができる。
【0072】
即ちこの可搬式排水ポンプ装置1−5によれば、冠水部より岸に可搬式排水ポンプ装置1−5を引き上げていくだけで、冠水部底面へ接触した略球面の車輪20−5A,Bによって自動的に傾いていた台車10−5が陸上での姿勢に戻ってゆき、従って可搬式排水ポンプ装置1−5の引き上げ時の労力低減が可能となる。
【0073】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−5においては、車輪20−5A,Bの外側面を略球面で構成したが、球面以外の各種湾曲面で構成しても良く、要はその車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面で形成すればよい。
【0074】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−5において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりするなどの各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。またこの可搬式排水ポンプ装置1−5のような車輪とする構造が本願で説明する他の例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0075】
〔第6実施形態〕
図21は本発明の第6実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−6の概略平面図である。同図に示す可搬式排水ポンプ装置1−6において、前記図4,図5に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−2と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−6」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図4,図5に示す実施形態と同じである。
【0076】
この可搬式排水ポンプ装置1−6において、前記可搬式排水ポンプ装置1−2と相違する点は、取っ手13−6を台車本体11−6から着脱自在に取り外せるようにすると共に、図21に点線で示すように、台車本体11−6の先端側の辺(前記取っ手13−6を取り付けた辺と対向する反対側の辺)近傍にもこの取っ手13−6を着脱自在に取り付けられるように構成した点である。
【0077】
このように構成すれば、この可搬式排水ポンプ装置1−6を没水させた際に、予め図22に示すように取っ手13−6を取り外しておくことで、取っ手13−6が水底面に引っ掛からないようにすることができる。さらに図23に示すように、この可搬式排水ポンプ装置1−6を没水させた際に、予め取っ手13−6を取り外して台車10−6のもう一方の取付位置に取り付けておくことで、水面から浮かせて突出させておき(水面側に設置させておき)、これによって取っ手13−6が水底面に引っ掛からないようにできるばかりか、この可搬式排水ポンプ装置1−6を陸上に引き上げる際にこの取っ手13−6を掴むことで、その引き上げを容易に行うことができる。
【0078】
なお取っ手を着脱自在とする構成は、他の各例にも同様に適用できる。
【0079】
〔第7実施形態〕
図24,図25は本発明の第7実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−7を示す図であり、図24は陸上における概略平面図、図25は図24に示す可搬式排水ポンプ装置1−7の概略右側面図(取っ手13−7や排水ホース60−7等の記載は省略)である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−7において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−7」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0080】
この可搬式排水ポンプ装置1−7において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、水中に浮かせた際に水底面側を向く台車10−7の車輪(即ち浮体構造としていない複数(2つ)の車輪)20−7A,Bの外側に、これら車輪20−7A,Bの水底面への係合を防止する車輪保護部材70−7を設置した点である。
【0081】
車輪保護部材70−7は両車輪20−7A,Bを結ぶ方向(台車10−7の進行方向)に向かって延びる略帯状平板であって、その両端を台車10−7側に向けて湾曲させて構成されている。即ち車輪保護部材70−7の形状は、船底やスノーボードやソリなどに近い形状である。そしてその中央部分に設けた取付部71−7を台車本体11−7の側面に固定することで、台車10−7に一体に取り付けられている。
【0082】
以上のように構成された可搬式排水ポンプ装置1−7の場合も、前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様に、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送されて冠水部(池部)に投入され、排水ポンプ50−7の駆動によって排水が行われ、その際前記可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果が生じる。
【0083】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−7によれば、排水が終了し、またはそれ以外の事情により可搬式排水ポンプ装置1−7を陸上に引き上げる際に、水深が浅くなっていくが、そのとき車輪保護部材70−7が水底面に当接するので、この車輪保護部材70−7をソリのように使用してその引き上げを行うことができ、これによって車輪20−7A,Bが水底面に引っ掛かることを防止できる。陸上に引き上げた際、またはその前に台車10−7を起こして水平にすれば、陸上でもそのまま可搬式排水ポンプ装置1−7を搬送していくことができる。
【0084】
なお上記車輪保護部材70−7の形状・構造に種々の変形が可能であることはいうまでもなく、例えば車輪保護部材70−7は棒部材等によって構成しても良いし、2つの車輪20−7A,Bのそれぞれに単独の2つの車輪保護部材70−7を設置しても良いし、場合によっては一方の車輪の外側のみに車輪保護部材70−7を設置しても良い。
【0085】
なお上記可搬式排水ポンプ装置1−7において、車輪の数を変更したり、浮体構造とする車輪を変更したり、また排水ポンプに水力式ポンプを用いたり、浮力調整用の補助浮きを設置したりするなどの各種の変更は、上記可搬式排水ポンプ装置1−1において説明したのと同様に変更可能である。またこの可搬式排水ポンプ装置1−7のように車輪保護部材を設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0086】
〔第8実施形態〕
図26は本発明の第8実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−8の陸上における平面図である。同図に示す可搬式排水ポンプ装置1−8において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−8」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0087】
この可搬式排水ポンプ装置1−8において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、車輪の数を2つ(20−8C,D)(左右1つずつ)とし、これら2つの車輪20−8C,Dを何れも浮体構造とし、またそれに合せて台車10−8(台車本体11−8)の形状を矩形状で小型化し、さらに排水ポンプ50−8と台車10−8間を可撓性連結具80−8で連結した点である。なお排水ポンプ50−8は、例えば図8に示す結束バンド60等の取付部材を用いて着脱自在に台車10−8(台車本体11−8)に取り付けられている。また台車10−8には取っ手13−8が取り付けられている。また可撓性連結具80−8はこの例ではチェーンを用いているが、ロープやベルトなどの他の各種部材を用いて構成しても良い。可撓性連結具80−8の台車10−8や排水ポンプ50−8との取付位置を変更することで、その長さが変更できるように構成されている。
【0088】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−8の場合も緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送し、排水ポンプ50−8の吐出口53−8に排水ホース60−8の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そして台車10−8に固定していた排水ポンプ50−8を結束バンド等の取付部材を取り外すことで台車10−8から取り外し(可撓性連結具80−8は装着したままとする)、図27に示すように台車10−8ごと排水ポンプ50−8を冠水部(池部)に投入し、図28に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−8の台車10−8は、浮体構造の2つの車輪20−8C,Dを中心にして自重によって水底面方向に傾き、さらに排水ポンプ50−8は可撓性連結具80−8によって台車10−8の下方に吊下げられる。これによって排水ポンプ50−8は必要没水深さ以上の没水深さs−8まで容易に没水する。この例では排水ポンプ50−8の吸込口51−8は水底面方向を向いている。即ち可搬式排水ポンプ装置1−8は、これを水中に浮かせた際に可撓性連結部80−8にて排水ポンプ50−8を台車10−8から吊り下げる構成である。
【0089】
そして排水ポンプ50−8を駆動すれば、排水ポンプ50−8の吸込口51−8から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−8においても可搬式排水ポンプ装置1−1,1−2,1−3などの場合と同様の作用・効果を生じる。
【0090】
この可搬式排水ポンプ装置1−8においては、可撓性連結具80−8の長さを調整することで容易に排水ポンプ50−8の没水深さs−8を調整することができる。また上記可搬式排水ポンプ装置1−1などのように浮体構造の車輪と排水ポンプの離間距離を所定の寸法設ける必要がないので、台車10−8をコンパクト化する(小型化する)ことができる。また没水時に台車10−8全体を排水ポンプ50−8よりも上部に位置させることができるので、水底面への台車10−8の引掛りが生じなくなる。
【0091】
なおこの可搬式排水ポンプ装置1−8のように可撓性連結部を取り付ける構造が本願で説明する他の例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0092】
〔第9実施形態〕
図29,図30は本発明の第9実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−9の概略構成図であり、図29は地上における概略平面図、図30は没水させた際の概略側面図である。両図に示す可搬式排水ポンプ装置1−9において、前記図1〜図3に示す実施形態にかかる可搬式排水ポンプ装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−9」の符号を付記する)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図3に示す実施形態と同じである。
【0093】
この可搬式排水ポンプ装置1−9において、前記可搬式排水ポンプ装置1−1と相違する点は、全て(4つ)の車輪20−9A,B,C,Dを通常の(浮体構造ではない)車輪で構成し、一方台車10−9の排水ポンプ50−9を設置する位置よりも車輪20−9C,D側の位置に、浮き40−9を設置した点である。浮き40−9の浮力は、没水した可搬式排水ポンプ装置1−9を水中で浮かせるに必要な浮力となっている。浮き40−9はフロート機能を有するものであればどのような材質・構造のものでも良く、例えばゴムや合成樹脂やその他の材質のものの内部に空気を充填してその体積に対する重量を小さくした構造のものでも良いし、発泡材等の他の材質を所定形状に成形したものでも良い。
【0094】
排水ポンプ50−9の設置位置は、この可搬式排水ポンプ装置1−9を図30に示すように没水した際にその吸込口51−9(そのポンプ軸L1)が水面に対して平行な方向を向くと共に、水面からポンプ軸L1までの没水深さs−9がこの排水ポンプ50−9の必要没水深さ以上となる位置に設置されている。言い換えればそのような位置に排水ポンプ50−9が設置されるように浮き40−9の浮力と位置が設定されている。
【0095】
そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−9の場合も、豪雨や水害などの緊急時に、例えば人力などによって排水の必要な場所近傍に搬送する。そして排水ポンプ50−9の吐出口53−9に排水ホース60−9の一端を接続し、他端を図示しない排水場所(例えば河川等)に設置する。同時に給電線を電源設備に接続する。そしてこの可搬式排水ポンプ装置1−9を台車10−9ごと冠水部(池部)に投入し、図30に示すように没水させる。没水された可搬式排水ポンプ装置1−9の台車10−9は、浮き40−9を中心にして自重によって水底面方向に傾き、これによって排水ポンプ50−9は没水する。
【0096】
そして排水ポンプ50−9を駆動すれば、排水ポンプ50−9の吸込口51−9から水が吸い込まれて排水場所に排水されていく。この可搬式排水ポンプ装置1−9においても可搬式排水ポンプ装置1−1の場合と同様の作用・効果を生じる。
【0097】
なおこの可搬式排水ポンプ装置1−9のように浮体構造の車輪を設置する代わりに浮きを設置する構造が本願で説明する他の各例にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0098】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、台車、排水ポンプ、取っ手、浮体構造の車輪、通常の車輪の何れも種々の形状や構造の変更が可能であることはいうまでもない。また浮体構造とする車輪は、台車に取り付けた車輪の内の全部または一部でもよい。また排水ポンプが空気を吸い込んでも問題ない構造の場合は、排水ポンプの没水深さは水面からの空気吸込渦を生じる可能性のある水深としても良い。また上記各例では可搬式排水ポンプ装置1−1〜1−9を没水した際に浮体構造の車輪や浮きの一部が水面上に露出する場合について説明したが、浮体構造の車輪や浮きはその全体が水中に没水して浮くように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】可搬式排水ポンプ装置1−1の陸地における概略平面図である。
【図2】可搬式排水ポンプ装置1−1の陸地における概略側面図である。
【図3】可搬式排水ポンプ装置1−1の没水時の概略側面図である。
【図4】可搬式排水ポンプ装置1−2の陸上における概略側面図である。
【図5】可搬式排水ポンプ装置1−2の没水時の概略側面図である。
【図6】可搬式排水ポンプ装置1−3の陸上における概略側面図である。
【図7】可搬式排水ポンプ装置1−3の没水時の概略側面図である。
【図8】台車本体11の1具体例を示す要部拡大平面図である。
【図9】台車本体11の他の具体例を示す要部拡大平面図である。
【図10】可搬式排水ポンプ装置1−4の陸上における概略平面図である。
【図11】可搬式排水ポンプ装置1−4の陸上における概略側面図である。
【図12】可搬式排水ポンプ装置1−4の没水時の概略側面図である。
【図13】排水ポンプの性能特性図である。
【図14】2台の排水ポンプ210,230を用いて排水する従来例を示す図である。
【図15】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸上における概略平面図である。
【図16】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸上における概略側面図である。
【図17】可搬式排水ポンプ装置1−5の没水時の概略側面図である。
【図18】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図19】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図20】可搬式排水ポンプ装置1−5の陸地への引き上げ状態説明図である。
【図21】可搬式排水ポンプ装置1−6の陸上における概略平面図である。
【図22】可搬式排水ポンプ装置1−6の使用状態説明図である。
【図23】可搬式排水ポンプ装置1−6の使用状態説明図である。
【図24】可搬式排水ポンプ装置1−7の陸上における概略平面図である。
【図25】可搬式排水ポンプ装置1−7の概略右側面図である。
【図26】可搬式排水ポンプ装置1−8の陸上における概略平面図である。
【図27】可搬式排水ポンプ装置1−8の使用状態説明図である。
【図28】可搬式排水ポンプ装置1−8の使用状態説明図である。
【図29】可搬式排水ポンプ装置1−9の陸上における概略平面図である。
【図30】可搬式排水ポンプ装置1−9の没水時の概略側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1−1〜1−9 可搬式排水ポンプ装置
10〜10−9 台車
11〜11−9 台車本体
13〜13−9 取っ手
20A〜20A−9 車輪
20B〜20B−9 車輪
20C〜20C−9 車輪
20D〜20D−9 車輪
50〜50−9 排水ポンプ
60〜60−9 排水ホース
111 結束バンド取付用開口
70−5 車輪保護部材
80−8 可撓性連結具
40−9 浮き
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体に車輪を取り付けることで移動自在に構成される台車と、台車本体に積載される排水ポンプとを具備し、
前記台車本体に浮きを取り付けるか或いは前記車輪を浮体構造にすることで水陸両用としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記車輪の内の所定の車輪を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底面方向に傾けて排水ポンプを没水させることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
台車本体への排水ポンプの取付位置は、この可搬式排水ポンプ装置を没水させた際に排水ポンプの没水深さが水面より空気吸込渦を生じない必要没水深さ以上になる位置であることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車本体の排水ポンプ設置部分に、排水ポンプ固定用の開口を設けたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車本体に複数台の排水ポンプを設置すると共に、この台車本体内にて複数台の排水ポンプを直列接続したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
浮体構造としていない1又は複数の車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車には取っ手が着脱自在且つ台車への取付位置が変更できるように取り付けられていることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
没水した際に水底面側を向く台車の車輪の外側に、この車輪の水底面への係合を防止する車輪保護部材を設置したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
排水ポンプと台車間を可撓性連結具で連結し、没水した際に前記可撓性連結部によって排水ポンプを台車から吊り下げることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項1】
台車本体に車輪を取り付けることで移動自在に構成される台車と、台車本体に積載される排水ポンプとを具備し、
前記台車本体に浮きを取り付けるか或いは前記車輪を浮体構造にすることで水陸両用としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記車輪の内の所定の車輪を浮体構造とすることで、浮体構造とした車輪を中心にして台車を水底面方向に傾けて排水ポンプを没水させることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
台車本体への排水ポンプの取付位置は、この可搬式排水ポンプ装置を没水させた際に排水ポンプの没水深さが水面より空気吸込渦を生じない必要没水深さ以上になる位置であることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車本体の排水ポンプ設置部分に、排水ポンプ固定用の開口を設けたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車本体に複数台の排水ポンプを設置すると共に、この台車本体内にて複数台の排水ポンプを直列接続したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の可搬式排水ポンプ装置において、
浮体構造としていない1又は複数の車輪の少なくとも外側面を外方に向かって凸となる湾曲面としたことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
前記台車には取っ手が着脱自在且つ台車への取付位置が変更できるように取り付けられていることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
没水した際に水底面側を向く台車の車輪の外側に、この車輪の水底面への係合を防止する車輪保護部材を設置したことを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の可搬式排水ポンプ装置において、
排水ポンプと台車間を可撓性連結具で連結し、没水した際に前記可撓性連結部によって排水ポンプを台車から吊り下げることを特徴とする可搬式排水ポンプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2009−197669(P2009−197669A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39615(P2008−39615)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(506236820)株式会社 荏原由倉ハイドロテック (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(506236820)株式会社 荏原由倉ハイドロテック (31)
【Fターム(参考)】
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