説明

吊り下げ式伸縮扉

【課題】回転レールの取り付け角度を簡単な構造で容易に調整できると共に,回転レールの長手方向の軸心廻りの捩れを防止できるようにする。
【解決手段】ガイドレール3に沿って走行する戸車5,5aと、戸車5,5aにより吊り下げられた伸縮扉体4とを備え、ガイドレール3の吊り元側に、収縮状態の伸縮扉体4を吊り下げた状態で吊り元側のヒンジ手段8廻りに回転収納可能な回転レール7を備え、伸縮扉体4はヒンジ手段8により回転自在に枢着された吊り元側端枠16を備え、回転レール7の前後両側に取り付けブラケット62を固定し、両取り付けブラケット62の吊り元側を吊り元側端枠16の上端部に、両取り付けブラケット62に挿通された前後方向の連結軸63により連結し、各取り付けブラケット62の下部と吊り元側端枠16との間に、連結軸63廻りに回転レール7の取り付け角度を調整する角度調整手段66を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り元側で収縮状態の伸縮扉体を回転収納可能にした吊り下げ式伸縮扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、固定レールと回転レールとから成るガイドレールに沿って走行する複数個の戸車により吊り下げられた伸縮扉体を吊り元側に収縮させた後、回転レールをヒンジ手段廻りに後方の回転収納位置へと回転させて、収縮状態の伸縮扉体を回転レールに吊り下げた状態のままで回転収納するようにした回転収納型の吊り下げ式伸縮扉において、その回転レールを吊り元側端枠の上端部に片持ち状に固定すると共に、その回転レールの遊端側が垂れ下がらないように、吊り元側端枠に対する回転レールの取り付け角度を調整可能にしたものを既に提案した(特願2005−91440号)。
【0003】
この吊り下げ式伸縮扉では、下側の開口部から下方に伸びる主補強金具を回転レール内の吊り元側に固定すると共に、回転レールの吊り元側の前後両側に副補強金具を固定し、各副補強金具と吊り元側端枠の前後の側壁部とを前後両側の枢軸により連結しておき、主補強金具の下端部に螺合され且つ先端が吊り元側端枠に当接する調整ネジを操作して、枢軸廻りに回転レールの取り付け角度を調整し、その後に調整ネジの上側で主補強金具と吊り元側端枠とを締結して固定するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この吊り下げ式伸縮扉は、回転レールの取り付け角度を調整できるものの、次のような問題がある。即ち、枢軸が回転レールの前後に分かれている上に、主補強金具が回転レールの中央にあって、この主補強金具の下端部に調整ネジを設けているため、回転レールにその長手方向の軸心廻りの捩れが生じ易く、また捩れが生じた場合には、それを修正する調整が困難である。しかも、構造的に非常に複雑であり、部品点数が多いため、製作コストがアップする問題もある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、回転レールの取り付け角度を簡単な構造で容易に調整できると共に,回転レールの長手方向の軸心廻りの捩れが生じ難く、仮に捩れが生じた場合にも容易に修正できる吊り下げ式伸縮扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ガイドレール3に沿って走行する戸車5,5aと、該戸車5,5aにより吊り下げられた伸縮扉体4とを備え、前記ガイドレール3の吊り元側に、収縮状態の前記伸縮扉体4を吊り下げた状態で前記吊り元側のヒンジ手段8廻りに回転収納可能な回転レール7を備えた吊り下げ式伸縮扉において、前記伸縮扉体4は前記ヒンジ手段8により回転自在に枢着された吊り元側端枠16を備え、前記回転レール7の前後両側に取り付けブラケット62を固定し、該両取り付けブラケット62の吊り元側を前記吊り元側端枠16の上端部に、該両取り付けブラケット62に挿通された前後方向の連結軸63により連結し、前記各取り付けブラケット62の下部と前記吊り元側端枠16との間に、前記連結軸63廻りに前記回転レール7の取り付け角度を調整する角度調整手段66を設けたものである。
【0007】
前記回転レール7の吊り元側に、その前後の側壁部3b間の間隔を規制するレール補強部材61を設け、前記回転レール7及び前記レール補強部材61に前記連結軸63を挿通してもよい。
【0008】
前記各取り付けブラケット62は前記回転レール7に固定された横腕部64と、前記吊り元側端枠16に沿う縦腕部65とを一体に備え、前記各角度調整手段66は前記取り付けブラケット62に前記伸縮扉体4側から進退自在に螺合され且つ前記端枠補強板60に当接する調整ネジ66aを備えたものでもよい。
【0009】
前記吊り元側端枠16はその上端部に嵌合する端枠補強板60を有し、前記連結軸63は、前記端枠補強板60の前後の側壁部60b間に配置され且つ前記各取り付けブラケット62に挿通された軸部材63aと、前記吊り元側端枠16の前後両側から該吊り元側端枠16及び前記端枠補強板60の側壁部16b,60bを貫通して前記軸部材63aの両側に結合された前後一対の固定具63bとを備えたものでもよい。
【0010】
前記各取り付けブラケット62の下端部を前記吊り元側端枠16の前後両側から該吊り元側端枠16及び前記端枠補強板60の側壁部16b,60bに締結する締結手段67を備えたものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、伸縮扉体4はヒンジ手段8により回転自在に枢着された吊り元側端枠16を備え、回転レール7の前後両側に取り付けブラケット62を固定し、該両取り付けブラケット62の吊り元側を吊り元側端枠16の上端部に、該両取り付けブラケット62に挿通された前後方向の連結軸63により連結し、各取り付けブラケット62の下部と吊り元側端枠16との間に、連結軸63廻りに回転レール7の取り付け角度を調整する角度調整手段66を設けているので、回転レール7の取り付け角度を簡単な構造で容易に調整できると共に,回転レール7の長手方向の軸心廻りの捩れが生じ難く、仮に捩れが生じた場合にも容易に修正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1乃至図19は本発明に係る吊り下げ式伸縮扉の第1の実施例を例示する。
【0013】
この吊り下げ式伸縮扉は左右両側に開閉する左右対称な両開き式であって、図1及び図2に示すように、出入口等の地面g側の左右両側に立設された左右一対の吊り元支柱1と、この吊り元支柱1の上部間に左右方向に架設された上枠2と、この上枠2の下側に左右方向に装着されたガイドレール3と、左右の吊り元支柱1間にガイドレール3に沿って左右方向に伸縮自在に配置された左右一対の伸縮扉体4と、ガイドレール3に沿って左右方向に走行し且つ各伸縮扉体4を吊り下げ状に支持する複数個の戸車5,5aとを備えている。
【0014】
ガイドレール3は固定レール6と回転レール7とを備えている。回転レール7は固定レール6に接続する接続位置Aと、前後方向(内外方向)の後方側(敷地内側)の回転収納位置Bとの間でヒンジ手段8廻りに回転可能であり、この回転レール7の回転により、吊り元側に収縮させた収縮状態の伸縮扉体4を、吊り元支柱1の後方側の回転収納位置Bに回転収納可能である。
【0015】
回転レール7と固定レール6との接続部の近傍には、図3、図4に示すように接続位置Aの回転レール7を下側から受けるレール受け具9と、回転レール7を接続位置Aで回転不能にロックするレールロック手段10とがガイドレール3の前後に振り分けて設けられている。また回転レール7には、収縮状態の伸縮扉体4の移動端側の戸車5aをロックする戸車ロック手段12が後面側に、収縮状態の伸縮扉体4における移動端側の戸車5aの反吊り元側(固定レール6側)への移動を弾性的に規制する移動規制手段11が内部側に夫々設けられ、その戸車ロック手段12に対応して戸車ロック操作手段13が設けられている。なお、レールロック手段10、戸車ロック手段12は、回転レール7の後面側に装着された保護カバー14により覆われている。
【0016】
各伸縮扉体4は左右方向に1個又は複数個、例えば2個の扉面体15を接続して成り、その一端側にはヒンジ手段8により吊り元支柱1に連結された吊り元側端枠16が設けられ、また他端側には施錠側端枠である移動側端枠17が設けられている。吊り元側端枠16、移動側端枠17は、その内外方向の中央が扉面体15の中央と略一致するように、伸縮扉体4の略同一面上に設けられている。
【0017】
各扉面体15は、各左右方向に伸縮自在に構成された上下二列のパンタグラフ機構18と、このパンタグラフ機構18の内外両側に左右方向に等間隔をおいて配置され且つパンタグラフ機構18に連結された複数本の縦桟19とを有する。伸縮扉体4の各扉面体15の対向端側の縦桟19は帯状の連結部材20を介して連結され、その連結部材20に、伸長状態の中間位置で地面g側の落とし孔21に係脱自在に係合する落とし棒22が設けられている。
【0018】
各伸縮扉体4の移動側端枠17は、ガイドレール3により案内される戸車5aと姿勢保持部材23との協働によりガイドレール3に沿った施錠姿勢に保持されており、左右方向の略中央で互いに当接可能である。また各移動側端枠17には開閉用の把手24、当接状態で互いに施錠する施錠手段の他に、最大伸長位置(図1、図2の実線状態)、吊り元側の収縮位置(図2の一点鎖線状態)、及び回転収納位置Bで地面g側の落とし孔25等に係脱自在に係合する落とし棒26と、レールロック手段10を操作する操作ロッド27とが設けられている。
【0019】
ガイドレール3は、図5〜図7、図11〜図13に主に回転レール7側を示すように断面角形C字状等であって、上壁部3aと、この上壁部3aの前後両端から下方に延びる前後一対の側壁部3bと、各側壁部3bの下端から内外方向に内向きに屈曲する前後一対の車輪走行部3cと、両車輪走行部3cの間に設けられた開口部3dとを左右方向(長手方向)の全長に備えている。
【0020】
固定レール6はガイドレール3の左右方向の中間に配置され、上枠2の下面側に固定されている。回転レール7は固定レール6の左右方向の両側の各吊り元支柱1側に配置され、上枠2の下側に回転収納位置B側からヒンジ手段8廻りに出退自在である。固定レール6と回転レール7との対向端縁は、図4及び図7に示すように前側が吊り元支柱1側となり、後側がそれと反対側となるように、平面視において斜め方向に傾斜している。上枠2の前端下部には、下方に突出して固定レール6、回転レール7との隙間を前側から塞ぐリブ状の突出部2aが設けられている。突出部2aは上枠2の左右方向の全長にわたって一体に設けられており、吊り元端側では回転レール7のストッパーとして機能する。
【0021】
回転レール7は図3及び図4に示すように、その吊り元側が吊り元側端枠16の上端部に片持ち状に固定され、また吊り元側端枠16は吊り元支柱1に対してヒンジ手段8により縦軸心廻りに回転自在に枢支されている。従って、回転レール7はヒンジ手段8廻りに接続位置Aと回転収納位置Bとの二位置間で回転可能である。なお、接続位置Aと回転収納位置Bとの間の回転範囲は略90度程度であるが、回転収納位置Bの設定如何で適宜決定すればよい。
【0022】
吊り元支柱1は角筒状等であり、この吊り元支柱1の伸縮扉体4側の側面に、後方側に若干突出するヒンジ手段8を介して吊り元側端枠16が装着されている。ヒンジ手段8は図12、図13及び図15に示すように、上下に配置された固定ブラケット8a及び可動ブラケット8bと、この各固定ブラケット8a及び可動ブラケット8bを回転自在に枢着する縦軸8cとを備え、各ブラケット8a,8bが吊り元支柱1及び吊り元側端枠16の対向面に固定されている。なお、ヒンジ手段8は吊り元側端枠16の上下方向に所定の間隔をおいて複数個設けられている。
【0023】
戸車5,5aは図5〜図7、図11及び図13に示すように、左右方向に長い戸車枠30と、この戸車枠30の前後左右に配置され且つガイドレール3の車輪走行部3c上を左右方向に転動する4個(複数個)の車輪31とを備えている。戸車枠30には、車輪走行部3c間の開口部3dを経てガイドレール3の下側に突出するボルト等の吊り具32が中央に設けられ、この吊り具32が伸縮扉体4の移動側端枠17側の前後一対の縦桟19、及び中間の前後一対の縦桟19の上端間に装着された金具33の中央部に固定されている。
【0024】
従って、戸車5,5aは伸縮扉体4の前後方向の略中央に、戸車5,5aを案内する回転レール7は伸縮扉体4の前後方向の略中央に夫々配置されており、回転レール7は伸縮扉体4の略中心を通る平面上に設けられている。なお、伸縮扉体4は中間部に配置された2個の戸車5と、移動側端枠17上の戸車5aとによりガイドレール3に吊り下げられている。
【0025】
姿勢保持部材23は図4及び図11に示すように、移動側端枠17の吊り元側に位置する戸車5aからガイドレール3の長手方向に所定の間隔を置いて移動端側に設けられ、戸車5aとの協働により移動側端枠17を施錠姿勢に保持するようになっている。姿勢保持部材23はガイドレール3により案内されながら縦軸23a廻りに回転自在な案内ローラ23bを有し、この案内ローラ23bがガイドレール3の前後の車輪走行部3c間の開口部3dに嵌合されている。なお、縦軸23aはボルト等により構成され、移動側端枠17の上端に上下調整可能に固定されている。
【0026】
レール受け具9は図6及び図10に示すように、回転レール7の遊端側を下側から受ける受け部9aと、この受け部9aの前端から起立する取り付け部9bとを一体に備え、固定レール6から回転レール7側に突出した状態でその取り付け部9bが固定レール6の前面にネジ、リベット等により固定されている。そして、回転レール7はヒンジ手段8廻りの回転によりレール受け具9の受け部9a上に対して後側から係脱自在である。
【0027】
なお、レール受け具9の後端部には、回転レール7を受け部9a上へと案内する傾斜案内部9cが設けられている。またレール受け具9の取り付け部9bと接続位置Aの回転レール7との間には、前後方向に若干の隙間が設けられている。
【0028】
レールロック手段10は図3、図4、図6、図7〜図10に示すように、取り付け部35aが固定レール6の側壁部3bの後面にネジ、リベット等の固定具34により固定された受け具35と、取り付け部37aが回転レール7の側壁部3bの後面にネジ、リベット等の固定具36により固定された支持台37と、この支持台37上に受け具35に対して上側から係脱自在に支持され、且つ回転レール7が回転収納位置B側から接続位置Aまで回転したときに、その回転動作により係合方向に案内されて受け具35に係合する掛け具38とを備え、ガイドレール3の後面側に配置されている。
【0029】
受け具35には、掛け具38が上側から係脱自在に係合する係合凹部39と、この係合凹部39の後側に設けられ且つ掛け具38の接続位置Aへの回転動作時に掛け具38を係合方向に案内する係合案内部40とが設けられている。係合案内部40は掛け具38の回転動作時に掛け具38を持ち上げながら係合方向に案内する傾斜面状に形成され、後ろ下がりに45度前後の傾斜角度で傾斜している。なお、係合案内部40は後上向きに突出する円弧状その他の曲面状に構成してもよい。
【0030】
支持台37は受け具35の係合凹部39に対応して左右方向の凹部41を有し、その凹部41内に掛け具38が配置されている。掛け具38はガイドレール3と左右方向に略平行な棒状であって、吊り元側の端部が前後方向の支軸42により支持台37の吊り元側端部に上下動自在に枢着されると共に、支軸42に巻き掛けられたつる巻きバネ等のバネ43により、受け具35に係合方向に付勢されている。
【0031】
また掛け具38は支持台37から受け具35側に突出しており、その先端側には、受け具35の係合案内部40により案内される被案内部44が設けられ、この被案内部44は前下向きに突出する円弧状その他の曲面状に構成されている。なお、支軸42はネジ等により構成されている。被案内部44は、係合案内部40が傾斜面状又は曲面状の場合には傾斜面状に構成してもよい。
【0032】
戸車ロック手段12は図3、図4、図6、図7及び図10に示すように、掛け具38の上側で支持台37の取り付け部37aから後方に突出する保持体45と、この保持体45に前後方向に摺動自在に保持され且つ前端部が移動端側の戸車5aの反吊り元側に出退自在に突出してその戸車5aの反吊り元側への移動を規制するロックピン46と、ロックピン46を係合方向に付勢するバネ47とを備えている。保持体45は掛け具38の上昇を規制するように、支軸42よりも反吊り元側で支持台37と一体に設けられている。
【0033】
なお、保持体45は支持台37とは別に回転レール7に設けてもよい。ロックピン46は、保護カバー14を貫通して後方に突出する軸部46aを有し、その軸部46aの後端に操作摘まみ48が設けられている。操作摘まみ48は保護カバー14の後側にあり、施工後の調整時に、この操作摘まみ48によって、ロックピン46を前後方向に出退操作できるようになっている。
【0034】
戸車ロック操作手段13は図3、図6、図7及び図10に示すように、回転レール7を接続位置Aから回転収納位置B側へと回転させたときに戸車ロック手段12をロック操作し、回転レール7を接続位置Aに戻したときに戸車ロック手段12を解除操作するためのものであり、保護カバー14内でロックピン46の軸部46aに固定された円板状、その他の被押圧部材49と、回転レール7の上側で上枠2の下面に固定され且つ回転レール7から後方に突出する押圧部材50とを備えている。被押圧部材49は軸部46aに前後方向に位置調整可能に螺合され、ロックナット49aにより固定されている。なお、被押圧部材49は軸部46aに遊嵌してナットにより固定してもよい。
【0035】
押圧部材50は板材等の突起から成り、保持体45の上側で被押圧部材49の上部と対応しており、回転レール7が接続位置Aのときに被押圧部材49を介してロックピン46をアンロック位置に押圧する。なお、押圧部材50の後端には、回転レール7を押圧部材50の下側へと案内する傾斜案内部50aが設けられている。
【0036】
保護カバー14は前側が開放する左右方向に長い箱状であって、レールロック手段10等を覆うように複数個のネジ等の固定具14aを介して支持台37に着脱自在に装着されている。保護カバー14は回転レール7から固定レール6側及び上枠2側に突出しており、回転レール7を接続位置Aにしたときに、その突出部分の前端縁が固定レール6及び上枠2の後面に当接又は近接する。
【0037】
移動規制手段11は、回転レール7側で伸縮扉体4を収縮状態にしたときに移動端側の戸車5aの反吊り元側への移動を弾性的に規制し、移動端側の戸車5aに吊り元側、反吊り元側へと所定の力が加わったときに、その弾性に抗して移動端側の戸車5aを吊り元側、反吊り元側へと双方向に通過可能にするもので、図6及び図11に示すように、回転レール7内の上部で下向きに突出する規制部53を有し、移動端側の戸車5aの被規制部54に係脱自在に係合して、収縮状態の伸縮扉体4における移動端側の戸車5aに対応して回転レール7内に設けられている。
【0038】
規制部53は回転レール7の長手方向に配置された帯板等の弾性規制部材55の中間部に設けられ、伸縮扉体4を収縮状態にしたときにその移動端側の戸車5aの被規制部54に対して反吊り元側から係合する位置に配置されている。また規制部53は、移動側端枠17の操作ロッド27がレールロック手段10の下側に対応する位置、即ち操作ロッド27が支持台37の下側に形成された開口41aの下側に略一致する位置で移動端側の戸車5aの被規制部54に係合又は近接するように配置されている。なお、開口41aに対応して保護カバー14にも開口14bが形成されている。
【0039】
弾性規制部材55はその長手方向の中間に形成された規制部53と、長手方向の両端に設けられた一対の取り付け脚部56と、この一対の取り付け脚部56と規制部53との間に設けられた弾性変形部57とを一体に有し、各取り付け脚部56がリベット等の固定具58により回転レール7の上壁部3aの下面に固定されている。なお、弾性規制部材55は板バネ等により構成されている。
【0040】
被規制部54は戸車枠30から突出する吊り具32の頭部により構成され、この被規制部54に規制部53が係合するようになっている。移動端側の戸車5aを除く他の戸車5の吊り具32の頭部は、図5に示すように規制部53と干渉しない高さ、即ち移動端側の戸車5aの被規制部54よりも低くなっている。従って、移動規制手段11は、複数個の戸車5,5aの内、伸縮扉体4の移動端側の戸車5a以外の戸車5を規制しないようになっている。
【0041】
吊り元側端枠16は図3、図4、図12〜図15に示すように、吊り元支柱1と反対側が開放する平面コ字状であって、吊り元支柱1に対応する端壁部16aと、この端壁部16aの前後両端から吊り元支柱1と反対側に向かって屈曲する前後一対の側壁部16bとを備え、各側壁部16bの開放端側に吊り元側の前後一対の縦桟19を一体に備えている。そして、この吊り元側端枠16は、上端部等の各ヒンジ手段8に対応する部分がその内面に沿って屈曲する平面視コ字状の端枠補強板60により補強されている。
【0042】
回転レール7の吊り元側には図12〜図15に示すように、前後の側壁部3b間にその前後方向の間隔を規制するレール補強部材61が介在され、また前後両側に正面視逆L状の取り付けブラケット62がネジ64aにより固定されている。そして、回転レール7、レール補強部材61及び各取り付けブラケット62は、その吊り元側が吊り元側端枠16の上端部の側壁部16b間に端枠補強板60を介して嵌合されると共に、吊り元側端枠16及び端枠補強板60の側壁部16b,60b間に前後方向に挿通された連結軸63により吊り元側端枠16に回動自在に枢支し連結されている。
【0043】
レール補強部材61は、回転レール7の各側壁部3bに内側から添接する前後一対の添接部61aと、その両添接部61aの吊り元側を連結する連結部61bとを備え、反吊り元側が開放する平面視コ字状に構成されている。なお、レール補強部材61は、回転レール7の側壁部3b間の間隔と略同じ長さを有する筒体等で構成してもよい。
【0044】
各取り付けブラケット62は、横腕部64と、この横腕部64の吊り元側から吊り元側端枠16に沿って下方に突出する縦腕部65とを略直角方向に一体に備えている。各取り付けブラケット62は、前後方向に所定の厚さを有する鋳造製等であって、縦腕部65の上端側、特に横腕部64と縦腕部65との交差部側が、連結軸63を挿通するための軸挿通部62aとなっており、少なくともこの軸挿通部62aは前後方向の寸法が大になっている。横腕部64は左右方向に複数個のネジ64aにより回転レール7の側壁部3bに固定されている。なお、吊り元端側のネジ64aは、レール補強部材61の添接部61aの先端側に螺合されている。
【0045】
連結軸63は端枠補強板60の前後の側壁部60b間に配置された円柱状の軸部材63aと、吊り元側端枠16の前後両側から端枠補強板60の側壁部60bを経て軸部材63aの両側に結合されたネジ等の前後一対の固定具63bとを備えている。従って、軸部材63aは固定具63bにより吊り元側端枠16及び端枠補強板60の側壁部60bに固定され、この軸部材63a廻りに回転レール7等が回動可能になっている。
【0046】
各取り付けブラケット62の縦腕部65の下部と吊り元側端枠16との間には、連結軸63廻りに回転レール7の取り付け角度を調整する角度調整手段66と、その調整後の角度で取り付けブラケット62を吊り元側端枠16の側壁部16b側に締結して固定するための締結手段67とが設けられている。
【0047】
角度調整手段66は図12、図14及び図15に示すように、取り付けブラケット62の縦腕部65の下端部に反吊り元側から進退自在に螺合された左右方向の調整ネジ66aを有し、その調整ネジ66aの先端が端枠補強板60の段部等の適当箇所に当接している。そして、調整ネジ66aはドライバ等の工具により回転操作したときに進退して、取り付けブラケット62と吊り元側端枠16の端壁部16aとの下端部側の隙間を連結軸63廻りに調整可能である。調整ネジ66aには固定用のロックナット66bが螺合されている。
【0048】
締結手段67は図12、図14及び図15に示すように、吊り元側端枠16、端枠補強板60に形成された挿通孔16c,60cと、挿通孔16c,60cを経て取り付けブラケット62の下端部側のネジ孔69に螺合する前後方向の締結ネジ70とを有し、その締結ネジ70により、取り付けブラケット62を吊り元側端枠16及び端枠補強板60の側壁部16b,60bに締結するようになっている。なお、挿通孔16c,60cは連結軸63廻りの円弧状の長孔、左右方向の長孔等により形成されているが、締結ネジ70と吊り元側端枠16の側壁部16bとの間に座金を介在する等して、取り付けブラケット62の調整代に見合う大きさの丸孔等にすることも可能である。
【0049】
移動側端枠17は図16〜図18に示すように、開放側に前後一対の縦桟19が形成されたコ字状の連結部17aと、この連結部17aの中央部分から突出する角筒状の当接枠部17bとを一体に備えている。移動側端枠17の当接枠部17bには、その前後両側に開閉用の把手24が、反吊り元側の端面側に施錠手段が設けられ、また後面側の把手24の上側に操作ロッド27が、下側に落とし棒26が外付け等により設けられている。
【0050】
操作ロッド27は図16〜図18に示すように、溝付きの保持部材72に上下摺動自在に保持されている。保持部材72は後方側が開放する縦長状の溝部72aを有し、把手24の上側近傍から移動側端枠17の上端にわたって上下方向に配置され、溝部72a内のネジ等の固定具73a,73bにより移動側端枠17に固定されている。
【0051】
操作ロッド27は保持部材72の溝部72aの後端開放側に保持され、下降位置と掛け具38を離脱状態に押し上げる上昇位置との間で上下摺動自在である。操作ロッド27の下部には、この操作ロッド27を上昇方向に操作する操作部、例えば把手27aと、操作ロッド27を下降位置へと下方に付勢する引っ張りバネ等のバネ74とが前後に設けられている。把手27aは保持部材72の溝部72aから後方に突出しており、取り付け部材27bを介して操作ロッド27に固定されている。取り付け部材27bは保持部材72と略同幅の縦長状であって、保持部材72の後端面に相対上下動自在に近接又は当接している。
【0052】
バネ74は操作ロッド27の前側で保持部材72の溝部72a内に上下方向に配置され、上端がネジ等のバネ掛け具74aにより操作ロッド27に、下端が固定具73aに夫々取り付けられている。なお、操作ロッド27はその上昇時に支持台37の下面側の開口41aを貫通して掛け具38を上昇操作するようになっており、下降位置ではその下端が保持部材72のキャップ27cに当接している。また操作ロッド27はバネ掛け具74aと頭部が固定具73bの頭部に当接して上限を規制するようになっている。
【0053】
このような構成の吊り下げ式伸縮扉では、各伸縮扉体4の移動側端枠17の把手を把持して左右方向に操作すれば、ガイドレール3に沿って複数個の戸車5,5aが走行して、その戸車5,5aを介して吊り下げ状態の伸縮扉体4が左右方向に伸縮する。このため出入口等を容易に開閉できる。
【0054】
出入口等を閉鎖する場合には、各伸縮扉体4の移動側端枠17同士を当接させた後、両移動側端枠17を施錠手段で施錠する。また必要に応じて各落とし棒22,26を地面g側の落とし孔21,25に落とし込んで、各伸縮扉体4をロックする。出入口等を開放する場合には、図2に一点鎖線で示すように各伸縮扉体4を吊り元支柱1側へと移動させて収縮させるか、又は図2に点線で示すように収縮状態の伸縮扉体4をヒンジ手段8の縦軸8c廻りに回転収納位置Bまで回転させて後方に収納する。
【0055】
通常、回転レール7は図4に示すように固定レール6と接続する接続位置Aにあり、その接続位置Aでレールロック手段10によりロックされている。即ち、レールロック手段10の掛け具38が受け具35に上側から係合して、回転レール7が縦軸8c廻りに不安定に回転しないように固定している。このため各戸車5,5aは固定レール6と回転レール7との相互間で自由に走行でき、伸縮扉体4の開閉に何等支障を来すことはない。
【0056】
回転レール7の遊端側はレール受け具9上に乗っているので、回転レール7が吊り元側端枠16に対して片持ち状であるにも拘わらず、回転レール7の遊端側の垂れ下がり等を未然に防止できる。また回転レール7が接続位置Aにあるときは、図6に示すように戸車ロック操作手段13の被押圧部材49が押圧部材50に当接しているため、ロックピン46がバネ47に抗して後側に押圧されて解除位置にある。このため戸車5,5aは戸車ロック手段12に関係なく回転レール7上を走行できる。
【0057】
伸縮扉体4の回転収納に際しては、先ず伸縮扉体4を図2の一点鎖線、図3及び図4に示すように吊り元支柱1側で最小状態まで収縮させる。すると、伸縮扉体4の3個の戸車5,5aが全て回転レール7側に移動し、伸縮扉体4が戸車5,5aを介して回転レール7に吊り下がった状態となる。この場合、吊り元側の戸車5から順次回転レール7へと走行して移動規制手段11の下側を通過するが、移動端側の戸車5aを除く他の各戸車5が規制部53と干渉することはない。
【0058】
移動端側の戸車5aが移動規制手段11を吊り元側へと通過すると、図11に示すようにその規制部53が移動端側の被規制部54に対して反吊り元側(固定レール6側)から係合して、収縮状態の伸縮扉体4の固定レール6側への移動を規制する。即ち、移動端側の戸車5aが移動規制手段11を吊り元側へと通過するときに、その被規制部54が弾性規制部材55の規制部53に接触して弾性変形部57の変形により上側へと弾性変形させる。そして、被規制部54が通過した後、規制部53が復元して下降して被規制部54に反吊り元側(固定レール6側)から係合し、収縮状態の伸縮扉体4の固定レール6側への移動を規制する。このため伸縮扉体4の収縮後に戸車5aが不用意に固定レール6側へと移動して回転レール7から脱落するようなことはない。
【0059】
次に移動側端枠17の操作ロッド27の把手27aを把持しバネ74に抗して上側へと操作し、操作ロッド27を下降位置(図16の実線位置)から上昇位置(図16の二点鎖線位置)へと上昇させる。すると操作ロッド27が支持台37の開口41aから掛け具38に当接して押し上げ、掛け具38が図16に二点鎖線で示すようにバネ43に抗して支軸42廻りに反時計方向へと回動して受け具35から離脱する。
【0060】
その状態で操作ロッド27の把手27aを把持したままで後方へと引っ張ると、伸縮扉体4がヒンジ手段8廻りに接続位置Aから回転収納位置B側へと回転し、掛け具38が受け具35の係合案内部40側へと外れる。これによって回転レール7の固定レール6に対するロックを解除できる。
【0061】
接続位置Aでは回転レール7の先端側がレール受け具9に載っているが、操作ロッド27の状態が掛け具38の開口41aを貫通しているため、把手27aを把持して後方へと引いたときに、操作ロッド27を介して回転レール7の遊端側に後方の回転力が加わることになり、伸縮扉体4と一体に回転させながら回転レール7をレール受け具9から容易に外すことができる。
【0062】
その後、操作ロッド27の把手27aから把手24に持ち変えて、図18に示すように伸縮扉体4を回転収納位置Bへと回転させて行く。操作ロッド27の把手27aを離せば、バネ74により操作ロッド27が下降位置へと下降し、レールロック手段10の掛け具38がバネ43により時計方向に回転して下降し、支持台37上で略水平状態になる。従って、伸縮扉体4の回転時にも、掛け具38が衝撃、振動等によってガタつくようなこともない。
【0063】
回転レール7、伸縮扉体4がヒンジ手段8廻りに回転収納位置Bへと回転し始めると、その回転に伴って戸車ロック操作手段13が戸車ロック手段12をロック操作する。即ち、回転レール7が図19に示すように後方へとa矢示方向に回転すると、戸車ロック操作手段13の被押圧部材49が押圧部材50から後方に離れて行く。
【0064】
このため戸車ロック手段12のロックピン46が、図6に二点鎖線で示すようにバネ47に押されて移動端側の戸車5a側の車輪31の反吊り元側へとc矢示方向に突出して移動端側の戸車5aに係合し、戸車ロック手段12により回転レール7に対して移動端側の戸車5aを略移動不能にロックできる。従って、回転レール7が接続位置Aから後方側にある場合に、その戸車5aが回転レール7から外れる等のおそれはなく、伸縮扉体4の回転時の安全性が著しく向上する。
【0065】
その後、収縮状態の伸縮扉体4を回転レール7により吊り下げた状態のままで、回転レール7、吊り元側端枠16と一体に伸縮扉体4をヒンジ手段8廻りに回転収納位置Bまでa矢示方向へと回転させる。そして、回転収納位置Bまで回転すれば、必要に応じて落とし棒26により伸縮扉体4をロックする。
【0066】
回転収納位置Bから伸縮扉体4を戻す場合には、ヒンジ手段8廻りに反a矢示方向へと回転させる。そして、回転レール7が接続位置Aに接近すれば、図9に二点鎖線で示すように掛け具38の被案内部44が受け具35の係合案内部40によりb矢示方向へと案内されて、掛け具38がバネ43に抗しながら支軸42廻りに上昇する。そして回転レール7が接続位置Aまで回転したときに、掛け具38が係合案内部40を乗り越えて図9に実線で示すように係合凹部39に係合し、回転レール7を接続位置Aで移動不能にロックする。従って、回転レール7、伸縮扉体4を接続位置Aへと戻すだけでレールロック手段10により回転レール7を自動的にロックできる。
【0067】
また回転レール7が接続位置Aの手前側近傍まで達すると、その遊端側が図6に示すようにレール受け具9上に乗り上がる。このため接続位置Aでは、回転レール7を吊り元側端枠16とレール受け具9とで両持ち状に支持できる。従って、回転レール7は吊り元側端枠16と一体にヒンジ手段8の縦軸8c廻りに回転可能であるにも拘わらず、固定レール6に接続した状態で安定的に支持でき、伸縮扉体4の重量等による遊端側の垂れ下がり等を防止できる。
【0068】
更に回転レール7が接続位置Aに接近すれば、戸車ロック操作手段13の被押圧部材49が上枠2側の押圧部材50に当接し、この押圧部材50によって被押圧部材49がバネ47に抗して後方へと反c矢示方向に押圧され、回転レール7の回転に伴って戸車ロック手段12のロックピン46が実線位置へと移動し、戸車5aの反吊り元側から離脱する。このため回転レール7を接続位置Aへと戻すだけで戸車ロック操作手段13により戸車ロック手段12を解除操作でき、戸車ロック手段12が解除状態となる。従って、各戸車5,5aは回転レール7に沿って走行可能な状態となり、ガイドレール3に沿って伸縮扉体4を自由に伸縮させることができる。
【0069】
施工等に際して、吊り元側端枠16に対する回転レール7の取り付け角度を調整する場合には、角度調整手段66の調整ネジ66aを操作して進退させ、回転レール7を上向き勝手に調整する。そして、その後に締結手段67により各取り付けブラケット62の縦腕部65を吊り元側端枠16に締結し固定する。従って、回転レール7が接続位置A以外にあって、それ自体で伸縮扉体4を支持するときにも、その伸縮扉体4側の重量によって回転レール7が水平状態よりも下方に垂れ下がらないように維持できる。
【0070】
角度調整手段66による取り付け角度の調整時には、先ず前後両側の締結手段67の締結ネジ70を緩めておき、その状態で角度調整手段66の調整ネジ66aをドライバ等の工具で回転操作する。すると調整ネジ66aの先端が吊り元側端枠16側の端枠補強板60に当接しているため、例えば図14に二点鎖線で示すように、上隅部の連結軸63を支点として各取り付けブラケット62の取り付け角度が変化し、吊り元側端枠16に対する回転レール7の取り付け角度を調整できる。
【0071】
この場合、伸縮扉体4の重量、回転レール7の剛性等を考慮して、回転レール7がレール受け具9から離脱し収縮状態の伸縮扉体4側の重量を回転レール7で支持する状態において、回転レール7が略水平状態となる角度に調整する。そして、その後、前後両側の締結ネジ70を締め付けて固定する。また回転レール7の前後に取り付けブラケット62があり、その夫々に対応して角度調整手段66を備えているため、回転レール7の前後で別々に角度調整が可能であり、前後別々に角度を調整できる。
【0072】
施工後の点検等に際して、回転レール7を接続位置Aから後方に回転させた状態で、戸車ロック手段12を解除する必要がある場合には、ロックピン46の操作摘まみ48を持って引っ張る。するとロックピン46がバネ47に抗して後退し、このロックピン46による移動端側の戸車5aのロックを解除できる。従って、戸車ロック手段12を保護カバー14で覆っているにも拘わらず、点検その他の作業を容易にできる。
【0073】
このような構成の吊り下げ式伸縮扉では、次のような利点がある。即ち、回転レール7をガイドレール3の固定レール6に接続する接続位置Aでロックするレールロック手段10は、回転レール7と固定レール6との一方に設けられた受け具35と、他方側にこの受け具35に対して係脱自在に設けられた掛け具38とを備え、回転レール7が回転収納位置B側から接続位置Aまで回転したときにその回転動作により掛け具38が係合方向に案内されて受け具35に係合するようにしているため、回転レール7を接続位置Aでレールロック手段10により自動的にロックでき、伸縮扉体4を回転収納位置Bから接続位置Aへと戻す場合の操作性が向上する。
【0074】
掛け具38を係合方向に付勢するバネ43を設け、受け具35側と掛け具38側との一方に、掛け具38が接続位置Aへと回動したときにバネ43に抗して掛け具38を係合方向に案内する案内部を、他方にこの案内部により案内される被案内部44を夫々設けることにより、その案内部が被案内部44を案内しながら、バネ43により掛け具38を受け具35に確実に係合させることができ、また掛け具38の振動等によるガタツキ等を防止できる。
【0075】
固定レール6側の受け具35は、回転レール7側の掛け具38が上側から係脱する係合凹部39と、この係合凹部39よりも回転収納位置B側に設けられた係合案内部40とを備え、案内部は回転レール7側が接続位置Aへと回動するときに掛け具38を持ち上げながら係合凹部39へと案内する傾斜面状とすることにより、受け具35及び掛け具38の構造を簡単にしながらも、確実に両者を係合できる。
【0076】
またレールロック手段10が収縮状態の伸縮扉体4の移動側端枠17の上方にあり、上昇時に掛け具38を解除操作可能な操作ロッド27を移動側端枠17に上下動自在に備えると共に、この操作ロッド27を下降位置に付勢するバネを備えているため、操作ロッド27により掛け具38を簡単な構造で容易に操作でき、また操作ロッド27の下げ忘れ等も防止できる。
【0077】
移動規制手段11は、複数個の戸車5,5aのうち、伸縮扉体4の移動端側の戸車5a以外の戸車5を規制しないので、固定レール6、回転レール7相互間で戸車5,5aを走行させながら伸縮扉体4を伸縮させる場合に、移動規制手段11が邪魔にならず伸縮扉体4を軽快に開閉できる。
【0078】
移動規制手段11は回転レール7内の上部で下向きに突出する弾性規制部材55を有し、移動端側の戸車5aは他の戸車5よりも上側に突出し且つ弾性規制部材55により規制される被規制部54を有するので、弾性規制部材55により移動端側の戸車5aのみを規制することが可能であり、また弾性規制部材55により戸車5aの前後方向の中央部を規制することも可能である。
【0079】
弾性規制部材55は収縮状態の伸縮扉体4の移動端側の戸車5aに対して反吊り元側の近傍に配置された規制部53を有し且つ弾性材により構成されているため、移動規制手段11の構成が簡単である。
【0080】
吊り元側端枠16の上端部に、回転レール7と、この回転レール7の前後両側に固定された取り付けブラケット62とを嵌合して、回転レール7及び各取り付けブラケット62に挿通された前後方向の連結軸63により吊り元側端枠16に連結し、各取り付けブラケット62の下部と吊り元側端枠16との間に、回転レール7の取り付け角度を調整する角度調整手段66を設けているので、回転レール7の角度を容易に調整できると共に、前後の角度調整手段66の調整により、回転レール7の長手方向の軸芯廻りの捩れ、反り等も個々の角度調整により吸収可能である。
【0081】
吊り元側端枠16の上端部内に、回転レール7及び各取り付けブラケット62が嵌合する端枠補強板60を設け、回転レール7内に、その前後方向の間隔を規制するレール補強部材61を設け、端枠補強板60及びレール補強部材61に連結軸63を挿通しているので、吊り元側端枠16の上端部、回転レール7の吊り元側の損傷、変形等を簡単な構造で防止しながら、連結軸63により回転レール7を確実に枢支できる。
【0082】
連結軸63はコ字状の端枠補強板60の前後間に配置された軸部材63aと、吊り元側端枠16の前後両側から端枠補強板60を経て軸部材63aの両側に結合された前後一対の固定具63bとを備えているので、連結軸63を端枠補強板60に固定しながら、回転レール7及びその前後両側の取り付けブラケット62を回転自在に枢支できる。
【0083】
角度調整手段66は取り付けブラケット62に進退自在に螺合され且つ端枠補強板60に当接する調整ネジ66aを備えた構成であるため、その構造及び調整を容易に行える利点がある。
【0084】
図20〜図22は本発明の第2の実施例を例示する。この吊り下げ式伸縮扉は図20〜図22に示すように、上部側のガイドレール3の他に、地面g側に溝状等の下部ガイドレール90を備え、伸縮扉体4の下端部に、その下部ガイドレール90に沿って案内される被案内部91が設けられている。被案内部91は縦軸91a廻りに回転する回転ローラ91b、又は突起等により構成され、伸縮扉体4の移動側端枠17、及びその中間部分の縦桟19等に設けられている。
【0085】
下部ガイドレール90の吊り元端側には、収縮状態の伸縮扉体4が回転収納位置Bへと回転できるように、被案内部91を下部ガイドレール90から後方へ離脱させるための切欠き部92が後壁部93に形成されている。その他の構成は、第1の実施例と略同じである。このような伸縮扉の場合にも、前述と同様に実施可能である。
【0086】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば伸縮扉体4は、パンタグラフ機構18に多数の縦桟19を取り付けたものを例示しているが、縦桟19のないものでもよいし、複数枚の扉体をヒンジ手段8でジグザグ状に折り畳み可能に連結して伸縮自在に構成したものでもよい。
【0087】
ガイドレール3、戸車5,5aは、例えば戸車枠30の片側に車輪31を備えた戸車5,5a、及びこれに対応したガイドレール3を採用する等、ガイドレール3に沿って戸車5,5aが走行できるものであれば、他の形式のものでもよい。戸車5,5aの車輪31は戸車枠30の片側又は両側に1個でもよいし、1個以上でもよい。
【0088】
レールロック手段10は、固定レール6側の受け具35を下向きにし、回転レール7側の掛け具38がその受け具35に対して下側から係脱自在に係合するようにしてもよい。この場合、支軸42に対して受け具35と反対側で掛け具38を操作ロッド27により押し上げるようにすれば、移動側端枠17側の操作ロッド27により掛け具38の操作が可能である。また受け具35を回転レール7側に設け、掛け具38を固定レール6側に設けてもよいし、その掛け具38を固定し、受け具35を可動式にしてもよい。
【0089】
回転レール7の接続位置Aへの回転動作時に、掛け具38を受け具35の係合方向へと相対的に案内する案内構造としては、実施例に例示の傾斜面状の係合案内部40と曲面状の被案内部44等が構造的に簡単であるが、例えば棒状の固定の案内部を設けてもよいし、係合案内部40と被案内部44とが当接した後に、両者が回動動作をしながら、一方が他方を係合方向に持ち上げて係合させるようにする等、その両方又は一方が案内時に作動するようにしてもよい。
【0090】
掛け具38を係合方向に付勢するバネ43は、つる巻きバネの他、引っ張りバネを使用してもよい。また操作ロッド27を下降位置に付勢するバネ74に引っ張りバネを使用する場合に、実施例のように操作ロッド27の外側に略平行に配置する他、筒状の操作ロッド27の内部に組み込むことも可能である。またコイルバネを使用する場合には、そのコイルバネを操作ロッド27の外周に套嵌してもよいし、操作ロッド27の内周に内嵌してもよい。なお、バネ43,74は省略することも可能である。
【0091】
操作ロッド27は上昇位置と下降位置との二位置で保持可能にしてもよい。この場合、操作ロッド27を上昇位置に保持した状態では、回転レール7を接続位置Aに戻してもレールロック手段10は自動的にロックしないが、下降状態に降ろしておけば、前述と同様にレールロック手段10が自動的にロックする。従って、操作ロッド27は上昇位置と下降位置との二位置で保持可能にしてもよいし、その操作力を解除したときに、バネ74又は自重で下降位置まで下降するようにしてもよい。
【0092】
移動規制手段11は、実施例のように板バネ材等の弾性材を使用して、その弾性材に規制部53を形成するのが最も望ましいが、弾性のない突起状その他の規制部材を戸車5aの被規制部54に対して出退自在に設け、戸車5aの被規制部54が所定の力で規制部材に当接したときに、規制部材が戸車5aの通過を許すように構成してもよい。被規制部54は戸車枠30の一部、例えば車輪31を利用してもよい。
【0093】
車輪31を被規制部54として移動規制手段11により戸車5aの移動を規制する場合には、前後の各車輪31に対応して移動規制手段11(例えば弾性規制部材55)を個別に設けてもよいし、両車輪31に共通に1個の移動規制手段11(例えば弾性規制部材55)を設けてもよい。更に移動規制手段11により、前後又は左右の何れかの車輪31を規制するようにしてもよい。なお、車輪31を被規制部54とする場合には、戸車5aの吊り具32の頭部は、他の戸車32と同じ突出量でよい。
【0094】
各取り付けブラケット62は逆L字状でもよいし、三角形状でもよい。各取り付けブラケット62を回転レール7よりも吊り元側に突出させて、その各取り付けブラケット62の突出部分に連結軸63を挿通しても良い。この場合、前後の取り付けブラケット62はその軸挿通部62a同士を当接させるか、両者間にスペーサ等を介在するのが望ましい。
【0095】
角度調整手段66は、取り付けブラケット62の下部を貫通して吊り元側端枠16側のメネジ部に螺合する締結ネジと、取り付けブラケット62の下部と吊り元側端枠16との間に挿入された楔等の介在物とを組み合わせて、その介在物の出し入れ等により、回転レール7の取り付け角度を調整して締結ネジで固定するようにしてもよい。角度調整手段66自体に取り付けブラケット62を固定する機能がある場合には、締結手段67は簡単なものにするか、又は省略することも可能である。角度調整手段66にはその他の構造のものを使用することも可能である。
【0096】
戸車ロック手段12は、ロックピン46を一対の車輪31間に出退させるようにしてもよい。その場合には、回転レール7側での双方向の移動を規制することも可能である。
【0097】
戸車ロック操作手段13は、他の構成のものでもよい。例えば、被押圧部材49をロックピン46から上枠2又は固定レール6に向かって前側へと突出させて設け、上枠2又は固定レール6の後面で被押圧部材49を操作するようにしてもよい。この場合には、上枠2又は固定レール6の後面が押圧部材50として機能する。ロックピン46はその基部を軸で枢支し、回転運動によって戸車5aに係脱するようにしてもよい。その場合、ロックピン46は軸に套嵌されたつる巻きバネで付勢してもよいし、引っ張りバネで付勢してもよい。
【0098】
吊り下げ式伸縮扉は、実施例では左右一対の伸縮扉体4が左右両側で伸縮して開閉する両開き式を例示しているが、一方側の伸縮扉体4のみとし、その移動側端枠17(戸当たり側端枠)が戸当たり支柱に当接して施錠する片開き式でもよい。また門扉の他、間仕切り、雨戸、その他に使用する各種のつり下げ式伸縮扉においても応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略立面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略平面図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示す収縮状態の一部破断立面図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す収縮状態の一部破断平面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す回転レール側の縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段側の縦断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段側の平面断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段の支持台側の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段の受け具側の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段側の分解斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施例を示す移動規制手段側の一部破断立面図である。
【図12】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部の縦断面図である。
【図13】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部の平面断面図である。
【図14】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部の断面立面図である。
【図15】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部の分解斜視図である。
【図16】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段、操作ロッド側の一部破断立面図である。
【図17】本発明の第1の実施例を示す操作ロッド下部の縦断面図である。
【図18】本発明の第1の実施例を示す移動側端枠の平面図である。
【図19】本発明の第1の実施例を示す回転収納時の動作説明図である。
【図20】本発明の第2の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略立面図である。
【図21】本発明の第2の実施例を示す伸縮扉の下部の断面図である。
【図22】本発明の第2の実施例を示す伸縮扉の下部の断面図である。
【符号の説明】
【0100】
3 ガイドレール
3b 側壁部
4 伸縮扉体
5,5a 戸車
8 ヒンジ手段
16 吊り元側端枠
16b,60b 側壁部
60 端枠補強板
61 レール補強部材
62 取り付けブラケット
63 連結軸
63a 軸部材
63b 固定具
64 横腕部
65 縦腕部
66 角度調整手段
66a 調整ネジ
67 締結手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレール(3)に沿って走行する戸車(5)(5a)と、該戸車(5)(5a)により吊り下げられた伸縮扉体(4)とを備え、前記ガイドレール(3)の吊り元側に、収縮状態の前記伸縮扉体(4)を吊り下げた状態で前記吊り元側のヒンジ手段(8)廻りに回転収納可能な回転レール(7)を備えた吊り下げ式伸縮扉において、前記伸縮扉体(4)は前記ヒンジ手段(8)により回転自在に枢着された吊り元側端枠(16)を備え、前記回転レール(7)の前後両側に取り付けブラケット(62)を固定し、該両取り付けブラケット(62)の吊り元側を前記吊り元側端枠(16)の上端部に、該両取り付けブラケット(62)に挿通された前後方向の連結軸(63)により連結し、前記各取り付けブラケット(62)の下部と前記吊り元側端枠(16)との間に、前記連結軸(63)廻りに前記回転レール(7)の取り付け角度を調整する角度調整手段(66)を設けたことを特徴とする吊り下げ式伸縮扉。
【請求項2】
前記回転レール(7)の吊り元側に、その前後の側壁部(3b)間の間隔を規制するレール補強部材(61)を設け、前記回転レール(7)及び前記レール補強部材(61)に前記連結軸(63)を挿通したことを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項3】
前記各取り付けブラケット(62)は前記回転レール(7)に固定された横腕部(64)と、前記吊り元側端枠(16)に沿う縦腕部(65)とを一体に備え、前記各角度調整手段(66)は前記取り付けブラケット(62)に前記伸縮扉体(4)側から進退自在に螺合され且つ前記端枠補強板(60)に当接する調整ネジ(66a)を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項4】
前記吊り元側端枠(16)はその上端部に嵌合する端枠補強板(60)を有し、前記連結軸(63)は、前記端枠補強板(60)の前後の側壁部(60b)間に配置され且つ前記各取り付けブラケット(62)に挿通された軸部材(63a)と、前記吊り元側端枠(16)の前後両側から該吊り元側端枠(16)及び前記端枠補強板(60)の側壁部(16b)(60b)を貫通して前記軸部材(63a)の両側に結合された前後一対の固定具(63b)とを備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項5】
前記各取り付けブラケット(62)の下端部を前記吊り元側端枠(16)の前後両側から該吊り元側端枠(16)及び前記端枠補強板(60)の側壁部(16b)(60b)に締結する締結手段(67)を備えたことを特徴とする請求項4に記載の吊り下げ式伸縮扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−113313(P2007−113313A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307155(P2005−307155)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000230984)日本工機株式会社 (36)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】