説明

吐出容器

【課題】微生物等による汚染を防止でき、意図しない滴下や液垂れを防止することができる吐出容器を提供する。
【解決手段】吐出容器1は外層体3と内層体5と外層体3の口部3aに形成された外気導入孔7と有する二重容器9の口部9aに栓体11を組み付けてなり、栓体11は、先端が閉塞しその側壁に吐出孔21を有する筒体13dを立設するとともに、外気導入孔7につながる吸気孔19を有するベース13と、弾性材からなり内容液の送給経路Pの出口を閉塞する一方、液圧で弾性変形して押し開かれ送給経路Pの出口を介して内容液を流出させる筒状の吐出弁部29と、弾性材からなり吸気孔19を閉塞する一方、外層体内の負圧により弾性変形して吸気孔19を開放する吸気弁部31とを有し、吐出弁部29の上端内周縁には、筒体13dの外表面に全周に亘って当接して送給経路Pの出口をシールする突条29aを設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に収容された内容液を吐出する容器に関し、とくに、一旦吐出した液が容器内に逆流して微生物等により汚染されることを防止できる吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
点眼薬等を収容、吐出する容器としては、容器胴部を圧搾することによりノズルから内容液を吐出する、いわゆるスクイズボトル型の容器が知られている。このような吐出容器では、容器胴部を圧搾して内容液を吐出した後、該容器胴部の復元に伴って、ノズルに残留した内容液や外気が容器内部に引き込まれるため、大気中の微生物やノズルに付着した微生物が一緒に取り込まれ、容器内の内容液が微生物により汚染され易いという問題があった。このため、通常は、点眼薬等に予め防腐剤を配合して微生物による汚染を防止する措置が施されているが、防腐剤の使用は目の炎症やアレルギー反応をしばしば引き起こすなどの欠点がある。
【0003】
この点に関して、特許文献1には、微生物が容器内に侵入することを防止するため、ボトル本体を構成する外層の内面に該外層に剥離可能な内層を積層形成してなる積層剥離ボトルと、該ボトルの口部に取り付けられた栓体とを備え、栓体に、液体の通過を許容する一方で微生物の通過を阻止するメンブレンフィルターと、一旦吐出された内容液が内層内に戻るのを防止する分与弁とを設けてなる容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−263166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の容器は、分与弁がフィルターの上流側に設けられているため、分与弁とフィルターとの間に溜まった液が容器を傾けただけで流出し、意図しない滴下や液垂れ等の原因となっており、また、分与弁は、十字状の切込みを有するとともに通常の状態で内部方向に窪んだ弓状の形態を有し、容器の押圧により内部の圧力が増すと外へ向かう凸状に反転変形し切込みを開いて内容物を流出させる弾性体で構成されており、このような分与弁は、弾性体を反転させるのに比較的大きな圧力を必要とするため、点眼容器のように一滴だけ滴下したい場合などは、分与弁の開放の調整をうまく行うことができず、数滴連続滴下してしまう虞がある。
【0006】
それゆえ、この発明は、一旦吐出した液が容器内に逆流して微生物等により汚染されることを防止できる吐出容器であって、意図しない滴下や液垂れを防止することができ、しかも、容器をスクイズした際の弁開放が容易であり、内容液を一滴単位で滴下することができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の吐出容器は、外層体と外層体の内側に該外層体から剥離可能に積層された内層体とからなり、外層体の口部に外層体および内層体相互間に外気を導入するための外気導入孔を形成してなる二重容器と、該二重容器の口部に組み付けられ、内層体内の内容液を吐出する栓体とを備える吐出容器であって、前記栓体は、前記二重容器の口部を覆うベースであって、先端が閉塞しその側壁に内層体内に収容された内容液を吐出するための吐出孔を有する筒体を立設するとともに、前記外気導入孔につながる吸気孔を有するベースと、弾性材からなり、前記筒体の周りを取り囲んで該筒体との間に前記吐出孔から吐出した内容液の送給経路を形成するとともに該送給経路の出口を閉塞する一方、記吐出孔から吐出された内容液の液圧で弾性変形して押し開かれ前記送給経路の出口を介して内容液を外界に流出させる筒状の吐出弁部と、弾性材からなり、前記吸気孔を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体の減容に伴う外層体内の負圧により弾性変形して前記吸気孔を開放する吸気弁部と、を有し、前記吐出弁部の上端内周縁に、前記筒体の外表面に全周に亘って当接して前記送給経路の出口をシールする突条を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
なお、この発明の吐出容器にあっては、前記突条を、前記筒体の外表面に線接触するよう構成してなることが好ましい。
【0009】
また、この発明の吐出容器にあっては、前記吐出弁部と前記吸気弁部とを一体成形品として構成してなることが好ましい。
【0010】
さらに、この発明の吐出容器にあっては、前記筒体は、先端に、前記送給経路の出口から流出した内容液を合流させる凸部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の吐出容器にあっては、使用者が外層体の胴部をスクイズ(圧搾)すると、内層体が収縮して(外層体と内層体との間に空気が存在する場合には吸気孔は吸気弁部によって閉鎖されているので外層体と内層体との間の空気が加圧されて内層体が収縮する。)、内層体内の内容液の液圧が高まり、この液圧によって、筒体と吐出弁部との間に内容液が流通するとともに吐出弁部の上端が外側に向けて弾性変形し、内層体内の内容液は吐出孔および送給経路を通って吐出する。内容液の吐出が終了し、外層体のスクイズを解放すると外層体はその復元性により元の形状に復帰する一方、吐出弁部の上端は、筒体の外表面に再び密に当接するため内層体と外層体との間が負圧となり、該負圧により吸気弁部が弾性変形して吸気孔が開放され、外気が吸気孔および外気導入孔を通って内層体と外層体との間に流入する。
【0012】
したがって、この発明の吐出容器によれば、吐出弁部によって、一旦吐出された内容液の内層体内へ逆流が阻止されるとともに、内容液の減少に伴って内層体が収縮し、外気は外層体と内層体との間のみに流入するため、内容液への微生物の混入および内容液と外気との接触を阻止することができる。また、筒体の周りを取り囲む吐出弁部の上端を弾性変形させることで送給経路が開放されるよう構成するとともに、吐出弁部の上端内周縁に、筒体の外表面に全周に亘って当接する突条を設けて送給経路の出口をシールしたことから、反転変形する弾性体に切込みを形成してなる従来の分与弁に比べて小さな圧力で吐出弁部の開放の調整を行うことができ、中身の滴下を一滴単位で行うことが可能となる。さらに、外層体が未だ押圧されていない状態において吐出弁部の突条は筒体の外表面に常に接触しているため、容器を傾けたぐらいでは内容液は流出せず、意図しない滴下や液垂れを防止することができる。さらに、外層体の圧搾終了(吐出終了)と同時に吐出弁部が閉鎖するため、液切れの良好な吐出容器を提供することができる。さらに、吐出弁部の上端内周縁に設けられた突条によって良好なシール性(気密性)を確保することができ、内容液が外気と接触するのを確実に防止することができる。
【0013】
また、この吐出容器によれば、筒体の外表面に沿って吐出弁部を設けたことから(すなわち、筒体の先端を除く部分を吐出弁部で覆う構成としたことから)、筒体の外部への露出面積を減らすことができ、微生物の付着、繁殖面積を減らすことができる。さらに、この吐出容器によれば、ベースに筒体を立設し、該筒体の側壁に吐出孔を開口する構成を採用したことから、吐出容器のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明にしたがう実施の形態の吐出容器の要部を一部断面で示した正面図である。
【図2】図1の吐出容器の使用状態(外層体の胴部をスクイズした状態)を示す図である。
【図3】図1の吐出容器の使用状態(外層体の胴部のスクイズを解放した状態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、この発明の吐出容器は、点眼容器などの各種薬剤容器として用いることができる他、化粧品容器等その他の容器としても用いることができる。
【0016】
図1に示すように、この吐出容器1は、外層体3と外層体3の内側に該外層体3から剥離可能に積層された薄肉の内層体5とからなり、外層体3の口部3aに外層体3および内層体5相互間に外気を導入するための外気導入孔7を形成してなる二重容器(デラミ容器)9と、該二重容器9の口部9aに組み付けられ、内層体5内の内容液を吐出する栓体11とを備えるものである。
【0017】
二重容器9は、上記口部(外層体3の口部を符号3aで示し、内層体5の口部を符号5aで示す。)9aと、口部9aの下端に繋がる肩部(外層体3の肩部を符号3bで示し、内層体5の肩部を符号5bで示す。)9bと、肩部9bに繋がる筒状の胴部(外層体3の胴部を符号3cで示し、内層体5の胴部を符号5cで示す。)9cと、該胴部9cの下端を閉塞する底部(図示省略)とを有している。外層体3の胴部3cは、スクイズ変形可能な肉厚を有しており、外層体3をスクイズ変形させることにより内層体5が圧縮され(外層体3と内層体5との間に空気が存在する場合には該空気が加圧されることによって内層体5が圧縮される。)、これにより内層体5内の内容液が栓体11を通って吐出することになる。内層体5は内容液の減少に伴って収縮(すなわち減容)することができる。このような二重容器9は例えば、高密度ポリエチレン製樹脂からなる外層体3と高密度ポリエチレン製樹脂との相溶性がないナイロン製樹脂からなる内層体5を、積層状に共押し出ししてブロー成形する、または、同種の合成樹脂製の外層プリフォームと内層プリフォームとを剥離層を介在して密着、積層してなる積層プリフォームを2軸延伸ブロー成形する等により製造することができる。
【0018】
栓体11は、二重容器9の口部9aに保持され該口部9aを覆うベース13と該ベース13に保持される弁部材15と、これらのベース13および弁部材15を二重容器9の口部9aに取り付ける装着部17とを有している。
【0019】
ベース13は、下面が口部9aの突端に当接し内側が開口した天壁13aと、該天壁13aの内周縁から起立した内筒壁13bと、該内筒壁13bの上部から僅かに半径方向内側に延びる水平環状壁13cと、該水平環状壁13cの内周縁から起立する筒体13dとを有している。また、天壁13aの裏面には、内層体5の口部5a内に嵌入されるインナーリング13eが垂設されている。さらに、天壁13aの外縁には、内筒壁13bとの間に環状溝m1を形成する外筒壁13fが立設されている。内筒壁13bの上部と水平環状壁13cの上面との間には、後述する吐出弁部29の基部と係合する段差Sが形成されている。また、ベース13の天壁13aには、後述する隙間gを介して外気導入孔7と通じる吸気孔19が形成されている。
【0020】
筒体13dは先端がドーム状に閉塞し、その側壁には内層体5内に収容された内容液を吐出するための吐出孔21が形成されている。この例では、吐出孔21は周上の対向する2箇所に設けられているが、吐出孔21の個数は1つでも3つ以上でもよい。また、筒体13dの先端には軸方向に突出する凸部23が設けられている。ここでいう「軸方向」とは、筒体13dの延在方向、すなわち二重容器9の口部9aの延在方向を意味する。
【0021】
装着部17は、ベース13および弁部材15を二重容器9の口部9aに装着するものであって、外層体3の口部3aの周りを該口部3aとの間に上記隙間gを空けて取り囲む装着筒壁17aと、該装着筒壁17aの上部に連設され、ベース13の外筒壁13fを包み込む包囲壁17bと、該包囲壁17bの上面内縁部から起立して弁部材15を押圧、保持する押圧壁17cとを有している。押圧壁17cには、環状溝m1と外部とを連通する貫通孔24が形成されている。装着筒壁17aは、その下部が、外層体3の口部3aの下端部に形成された拡径部25に気密に当接しシールされるとともに外層体3の口部3aの拡径部25の下方に形成された突部27にアンダーカット嵌合して外層体3の口部3aに固定されている。
【0022】
弁部材15は、シリコンゴムのような弾性材で構成されており、筒体13dの周りを取り囲んで該筒体13dとの間に上記吐出孔21から吐出した内容液の送給経路Pを形成するとともに該送給経路Pの出口を閉塞する一方、吐出孔21から吐出された内容液の液圧で弾性変形して押し開かれ送給経路Pの出口を介して内容液を外界に流出させる筒状の吐出弁部29と、吸気孔19を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体5の減容に伴う外層体3内(外層体3と内層体5の間)の負圧により弾性変形して吸気孔19を開放する吸気弁部31と、を一体に有する一体成形品である。なお、吐出弁部29と吸気弁部31は別部品として構成してもよい。
【0023】
吐出弁部29は、外層体3がスクイズ変形された際に弾性変形して押し開かれ内容液の吐出を許容する一方で、外層体3のスクイズが解放されると元の形状に復元し再び筒体13dの外表面に密に当接し吐出された内容液の逆流および外気の侵入を阻止する、逆止弁としての機能を果たすものである。詳細には、吐出弁部29は、筒体13dの外表面形状に沿って延び、その下端部が水平環状壁13cおよび段差Sの間に支持されている。また、吐出弁部29の先端部と下端部との間の部分はその外周面が押圧壁17cに当接しており、該部分の半径方向外側への過度の移動、変形が規制されている。吐出弁部29の上端は筒体13dの先端に設けられた凸部23に近接配置されている。ここでいう「近接」とは、吐出弁部29の上端が凸部23に接触しない程度の近さを意味する。
【0024】
また、吐出弁部29は、その上端内周縁に、筒体13dの外表面に全周に亘って当接して送給経路Pの出口をシールする突条29aが設けられている。突条29aは、この例では、断面円弧状に形成されて筒体13dの外表面に線接触するよう構成されている。なお、突条29aは断面円弧状に限定されず、先端が尖った断面山形状に形成してもよい。
【0025】
吸気弁部31は、吐出弁部29の外周面から略水平に延びる基部31aを経た後、下方に向けて傾斜しながら延在する円錐テーパー形状を有し、その下端外周縁が装着部17の包囲壁17bの内周面に気密に弾性当接している。吸気弁部31は、内容液を吐出させるために外層体3をスクイズ変形させた際に、内層体5と外層体3内の圧縮空気が吸気孔19を通って外部に漏れ出すのを阻止する一方、外層体3のスクイズの解放により外層体3と内層体5との間が負圧となると、該負圧により弾性変形して吸気孔19を開放し外気の導入を許容する、逆止弁としての機能を果たす。
【0026】
また、この実施形態では、吐出容器1は、栓体11を覆い隠して装着筒壁17aの外面に嵌合、保持されるキャップ33を備えており、該キャップ33は、その天面に、キャップ33を装着した状態で吐出弁部29の先端部に当接し、吐出弁部29の上端内周縁を筒体13dの先端部に押し付けるドーム状の押え部33aを有している。なお、この例では、キャップ33は装着筒壁17aの外面にねじ嵌合により保持されているが、ねじに代えてアンダーカットのような係合手段により装着筒壁17aに保持されてもよい(図示省略)。
【0027】
このような構成になる吐出容器1にあっては、キャップ33を外し、使用者が外層体3の胴部3cをスクイズ(圧搾)すると、図2に示すように、内層体5が収縮して(外層体3と内層体5との間に空気が存在する場合には吸気孔19は吸気弁部31によって閉鎖されているので外層体3と内層体5との間の空気が加圧されて内層体5が収縮する。)、内層体5内の内容液の液圧が高まり、この液圧によって、筒体13dと吐出弁部29との間に内容液が流通するとともに吐出弁部29の上端が外側に向けて弾性変形し、内層体5内の内容液は吐出孔21および送給経路Pを通って吐出する。内容液の吐出が終了し、図3に示すように、外層体3のスクイズを解放すると外層体3はその復元性により元の形状に復帰する一方、吐出弁部29の上端は、筒体13dの外表面に再び密に当接するため内層体5と外層体3との間が負圧となり、該負圧により吸気弁部31が弾性変形して吸気孔19が開放され、外気が貫通孔24、吸気孔19、外層体3の口部3aの外壁と装着筒壁17aとの間に形成される隙間g、および外気導入孔7を通って内層体5と外層体3との間に流入する。
【0028】
したがって、この吐出容器1によれば、吐出弁部29によって、一旦吐出された内容液の内層体5内へ逆流が阻止されるとともに、内容液の減少に伴って内層体5が収縮し、外気は外層体3と内層体5との間のみに流入するため、内容液への微生物の混入および内容液と外気との接触を阻止することができる。また、筒体13dの周りを取り囲む吐出弁部29の上端を弾性変形させることで送給経路Pが開放されるよう構成するとともに、吐出弁部29の上端内周縁に、筒体13dの外表面に全周に亘って当接する突条29aを設けて送給経路Pの出口をシールしたことから、反転変形する弾性体に切込みを形成してなる従来の分与弁に比べて小さな圧力で吐出弁部29の開放の調整を行うことができ、中身の滴下を一滴単位で行うことが可能となる。さらに、キャップ33が外されかつ外層体3の胴部3cが未だ押圧されていない状態(以下、「未押圧時」という。)において吐出弁部29の突条29aは筒体13dの外表面に常に接触しているため、容器1を傾けたぐらいでは内容液は流出せず、未押圧時における意図しない滴下や液垂れを防止することができる。さらに、外層体3の胴部3cの圧搾終了(吐出終了)と同時に吐出弁部29が閉鎖するため、液切れの良好な吐出容器1を提供することができる。さらに、吐出弁部29の上端内周縁に設けられた突条29aによって良好なシール性(気密性)を確保することができ、内容液が外気と接触するのを確実に防止することができる。
【0029】
また、この吐出容器1によれば、筒体13dの外表面に沿って吐出弁部29を設けたことから(すなわち、筒体13dの先端を除く部分を吐出弁部29で覆う構成としたことから)、筒体13dの外部への露出面積を減らすことができ、微生物の付着、繁殖面積を減らすことができる。さらに、この吐出容器1によれば、ベース13に筒体13dを立設し、該筒体13dの側壁に吐出孔21を開口する構成を採用したことから、吐出容器1のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0030】
さらに、この実施形態の吐出容器1にあっては、突条29aを、筒体13dの外表面に線接触するよう構成したことから、筒体13dの外表面に対する吐出弁部29のシール性を高めることができ、未押圧時における意図しない滴下や液垂れをより確実に防止することができる。
【0031】
さらに、この実施形態の吐出容器1にあっては、吐出弁部29と吸気弁部31とを一体成形品としたことから、構造が簡単でありコンパクトな吐出容器1とすることができる。
【0032】
さらに、この実施形態の吐出容器1にあっては、筒体13dの先端に、送給経路Pの出口から流出した内容液を合流させる凸部23を設けたことから、吐出された内容液をスムーズに滴下させることができ、液切れ性をさらに向上させることができる。また、この実施形態の吐出容器1にあっては、送給経路Pの出口となる吐出弁部29の上端を凸部23に近接配置したことから、滴下後に筒体13dの外表面に残留する液を減らすことができ、筒体13d上での微生物の繁殖を抑制することができる。
【0033】
さらに、この実施形態の吐出容器1によれば、キャップ33の天面に、キャップ33を装着した状態で吐出弁部29の上端部に当接し、吐出弁部29の上端内周縁を筒体13dの先端部に押し付ける押え部33aを設けたことから、流通時等における吐出弁部29からの内容液の漏出を確実に防止することができる。
【0034】
しかも、この実施形態の吐出容器1によれば、ベース13と装着部17との間に弁部材15を狭持する構成を採用したことから、弁部材15にガタが生じるのを防止することができ、高い弁機能(気密性)を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
かくして、この発明により、一旦吐出した液が容器内に逆流して微生物等により汚染されることを防止できる吐出容器であって、意図しない滴下や液垂れを防止することができ、しかも、容器をスクイズした際の弁開放が容易であり、内容液を一滴単位で滴下することができる吐出容器を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0036】
1 吐出容器
3 外層体
5 内層体
7 外気導入孔
9 二重容器
11 栓体
13 ベース
13d 筒体
15 弁部材
17 装着部
19 吸気孔
21 吐出孔
29 吐出弁部
31 吸気弁部
33 キャップ
33a 押え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と外層体の内側に該外層体から剥離可能に積層された内層体とからなり、外層体の口部に外層体および内層体相互間に外気を導入するための外気導入孔を形成してなる二重容器と、該二重容器の口部に組み付けられ、内層体内の内容液を吐出する栓体とを備える吐出容器であって、
前記栓体は、前記二重容器の口部を覆うベースであって、先端が閉塞しその側壁に内層体内に収容された内容液を吐出するための吐出孔を有する筒体を立設するとともに、前記外気導入孔につながる吸気孔を有するベースと、弾性材からなり、前記筒体の周りを取り囲んで該筒体との間に前記吐出孔から吐出した内容液の送給経路を形成するとともに該送給経路の出口を閉塞する一方、記吐出孔から吐出された内容液の液圧で弾性変形して押し開かれ前記送給経路の出口を介して内容液を外界に流出させる筒状の吐出弁部と、弾性材からなり、前記吸気孔を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体の減容に伴う外層体内の負圧により弾性変形して前記吸気孔を開放する吸気弁部と、を有し、
前記吐出弁部の上端内周縁に、前記筒体の外表面に全周に亘って当接して前記送給経路の出口をシールする突条を設けたことを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記突条を、前記筒体の外表面に線接触するよう構成してなる、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記吐出弁部と前記吸気弁部とを一体成形品として構成してなる、請求項1または2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記筒体は、先端に、前記送給経路の出口から流出した内容液を合流させる凸部を有する、請求項1に記載の吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95477(P2013−95477A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239701(P2011−239701)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】