説明

含フッ素共重合体の製造方法

【課題】ETFEと同程度の耐侯性および引張り強度を有するとともに、展張作業性が良好であり、透明性にも優れる含フッ素共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン、エチレン及びプロピレンを含む単量体組成物を共重合させる工程を有し、前記単量体組成物におけるテトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレンのモル比が68〜32/20〜50/12〜18であり、前記共重合を溶液重合により行うことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含フッ素共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルハウスやパイプハウスに用いられる農業用被覆資材として、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、軟質塩化ビニル樹脂等からなるフィルムが使用されている。軟質塩化ビニル樹脂フィルムは、他のフィルムより施工性、価格、保温性等に優れているため農業用被覆資材の大半を占めている。しかし、軟質塩化ビニル樹脂フィルムは可塑剤を含んでいるため、可塑剤のブリードアウトによりフィルム表面が汚れやすく、短期間のうちに光線透過率が低下するという難点がある。
【0003】
また、上記の各種フィルムには耐候性向上のために紫外線吸収剤が配合されるものの、太陽光線、気温、風雨、酸化等の原因によって劣化するため、通常1〜2年で張りかえなければならない。しかも、紫外線吸収剤を配合したフィルムは、紫外線吸収特性に差こそあれ紫外線が遮蔽されるので、紫外線を必要とする作物(例えばナス、ある種の花卉類)の栽培や、活動するために紫外線を必要とする昆虫(例えばミツバチやシマハナアブ等)により受粉される作物(例えばイチゴ、メロン、スイカ、ピーマン等)の栽培にも適さない。
【0004】
近年、ハウス管理の省力化、栽培面積の拡大、ハウス寿命の長期化等の目的で、骨組みに透明板材を固定した大型ハウスが採用されている。大型ハウスには、従来、ポリエステル、ポリカーボネート、硬質塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、繊維強化プラスチック等からなるプラスチック板、またはガラス板等の被覆資材が5年以上の長期間使用されている。しかし、これら板状の被覆資材は厚みが大きく、高重量であるため、ハウスの骨組みに大型で太い専用基材が必要となるほか、組立て作業が複雑になり、かつ比較的高価であるという欠点がある。そのうえ、ハウスの骨組が太くなると、該骨組によって日光が遮断されるため、作物の生育に悪影響するので好ましくない。
【0005】
また、これら板状の被覆資材のうち、プラスチック板は、フィルムと同様に、通常、紫外線吸収剤が配合されるので、上述した紫外線を必要とする作物、または活動するために紫外線を必要とする昆虫類により受粉される作物の栽培には適さない。ガラス板は破損しやすく、プラスチック板より重いためハウスの骨組を更に太く高強度なものとする必要がある。
したがって、軽量で、長期間使用が可能な、農業用被覆資材の開発が要請される。
【0006】
これらの問題点を解決する目的で、耐候性や耐酸性雨性に優れ、汚れにくく、強度に優れ破れにくい特性を有する、テトラフルオロエチレン−エチレン系共重合体(以下、ETFEという)やフッ化ビニル系重合体(以下、PVFという。)等のフッ素樹脂からなるフィルムを農業用被覆資材とする提案がされている。特に、ETFEフィルムは、既に、農業用被覆資材として実用化され、15年以上の実績を有する。
【0007】
特許文献1には、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、エチレンに基づく繰り返し単位と、プロピレンに基づく繰り返し単位を有する含フッ素共重合体を、乳化重合により合成した例が記載されている。
該特許文献1の実施例に記載の共重合体は、ETFEと同様に、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、エチレンに基づく繰り返し単位を有しており、良好な耐候性および引張り強度を有するとともに、さらにプロピレンに基づく繰り返し単位を含有させたことにより展張作業性が改善される。
【特許文献1】特開平11−343315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、該特許文献1の実施例に記載の共重合体は、ヘイズが高くて透明性が充分でない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ETFEと同程度の耐侯性および引張り強度を有するとともに、展張作業性が良好であり、透明性にも優れる含フッ素共重合体を製造できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の含フッ素共重合体の製造方法は、テトラフルオロエチレン、エチレン及びプロピレンを含む単量体組成物を共重合させる工程を有する含フッ素共重合体の製造方法であって、前記単量体組成物におけるテトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレンのモル比が68〜32/20〜50/12〜18であり、前記共重合を溶液重合により行うことを特徴とする。
【0010】
前記溶液重合における重合媒体が、ハイドロフルオロカーボン及び下記式(1)で表されるでハイドロフルオロアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
−O−R …(1)
(式中、Rはポリフルオロアルキル基であり、Rはポリフルオロアルキル基またはアルキル基であり、RとRの少なくとも一方は水素原子を有し、RとRの合計の炭素原子数は3〜8である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、ETFEと同程度の耐侯性および引張り強度を有するとともに、展張作業性が良好であり、透明性にも優れる含フッ素共重合体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、「ポリフルオロアルキル基」とは、炭素原子間に酸素原子または硫黄原子が含まれてもよいアルキル基の、水素原子の2個以上(全部でもよい)がフッ素原子で置換された基を意味する。特に、「ポリフルオロアルキル基」の中でも、前記アルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基を「ペルフルオロアルキル基」という。
【0013】
本発明の含フッ素共重合体の製造方法は、テトラフルオロエチレン、エチレン及びプロピレンを含む単量体組成物を共重合させる工程を有する。
該単量体組成物における、テトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレンのモル比は68〜32/20〜50/12〜18である。
該モル比が上記の範囲にあると、フィルムの透明性、光線透過性に優れるとともに、引張り強度等の力学物性および成形性にも優れ、かつ耐候性も良好な含フッ素共重合体が得られる。
該モル比の好ましい範囲は、テトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレンが65〜44/22〜40/12〜16であり、60〜48/28〜37/12〜15がより好ましい。
【0014】
上記単量体組成物は、テトラフルオロエチレン、エチレン及びプロピレンのほかに、これらと共重合可能なその他の単量体を含有してもよい。該その他の単量体としては、ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、含フッ素アクリレート、CF=CFOR(ここで、Rは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)、CH=CX(CF(ここで、X及びXは、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、pは2〜10の整数である。)等の含フッ素オレフィン;酢酸ビニル等のビニルエステル;エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル等;が挙げられる。
その他の単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の単量体の含有量は、単量体組成物全体を100モル%とするとき、10モル%以下が好ましく、7モル%以下がより好ましい。10モル%以下であると含フッ素共重合体の透明性が充分でない。
【0015】
単量体組成物の共重合は溶液重合で行われる。重合媒体としては、フッ化炭化水素、フッ化炭化水素エーテル、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒が好ましい。重合媒体の沸点は、0℃〜150℃が好ましく、10℃〜130℃がより好ましく、20℃〜120℃が最も好ましい。重合媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記に挙げた重合媒体の中でも、フッ化炭化水素および/またはフッ化炭化水素エーテルが好ましく、特に炭化水素の水素原子の一部をフッ素原子で置換したハイドロフルオロカーボン、及び下記式(1)で表されるでハイドロフルオロアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることが、含フッ素共重合体の分子量及び重合速度の調整が容易であり、且つ地球温暖化係数が低い点で好ましい。
−O−R …(1)
(式中、Rはポリフルオロアルキル基であり、Rはポリフルオロアルキル基またはアルキル基であり、RとRの少なくとも一方は水素原子を有し、RとRの合計の炭素原子数は3〜8である。)
【0016】
上式(1)におけるR、Rとしてのポリフルオロアルキル基は、炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基が好ましい。具体例としては、CFCH−、CFCF−、CHFCF−、CFCHFCF−、CHFCFCH−、CF−、C−、C13−等が挙げられる。
としてのアルキル基は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
上式(1)で表わされるハイドロフルオロアルキルエーテルの具体例としては、CFCHOCFCFH、CFCFOCH、CFOCH、CFCHFCFOCHCFCHF、COCH、COC、C13OCH等が挙げられる。特に、CFCHOCFCFHが好ましい。
【0017】
ハイドロフルオロカーボンは、下記式(2)で表わされるものが好ましい。
…(2)
(式中、lは1〜10の整数、mは1〜21の整数、nは1〜21の整数をそれぞれ表す。)
具体例としては、CHF、CH、CHFCF、CHFCF、CHCF、CHCHF、CHFCHCF、CFCHCFCH、CFCHFCHFCFCF、CF(CFH、CF(CFCHCH、CF(CFCHCH等が挙げられる。特に、CF(CFH(1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン)が好ましい。
【0018】
単量体組成物の共重合は、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル共重合法が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、その半減期が10時間である温度が0℃〜100℃であるものが好ましく、20〜90℃であるものがより好ましい。
その具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド;ジイソプロピルペルオキシジカ−ボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート;tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル;(Z(CFCOO)(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、rは1〜10の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルペルオキシド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;等が挙げられる。
【0019】
単量体組成物を共重合させる際に、含フッ素共重合体の分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することも好ましい。
連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール;1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン;が挙げられる。
また、含フッ素共重合体の末端に接着性官能基を導入するための連鎖移動剤として、酢酸、無水酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等を用いてもよい。
【0020】
溶液重合では、重合媒体中に、ラジカル開始剤、単量体組成物、および必要に応じて連鎖移動剤を仕込み、撹拌下に加熱し、含フッ素共重合体を含んだスラリを得た後、該スラリ中の含フッ素共重合体を重合媒体とろ別し、乾燥して、含フッ素共重合体を得る方法が好ましい。また、スラリを攪拌しながら加熱し、溶剤等を留去しながら、造粒して、含フッ素共重合体を造粒物として単離することも好ましい。
【0021】
重合条件は特に限定されず、重合温度は0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。重合圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は1〜30時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。
【0022】
含フッ素共重合体の分子量は、特に限定されないが、フィルムの物性や製造性が良好なる点から、分子量の目安となる容量流速(以下「Q値」ということもある。)として1〜300mm/秒程度が好適であり、特に1〜200mm/秒の範囲が好ましい。該容量流速は、フローテスターを使用して、297℃、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの単位時間に流出する含フッ素共重合体の容量で表される値(mm/秒)で定義される。
【0023】
本発明によれば、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位、エチレンに基づく繰り返し単位、プロピレンに基づく繰り返し単位、および必要に応じて用いられるその他の単量体に基づく繰り返し単位からなる含フッ素共重合体が得られる。含フッ素共重合体中における各繰返し単位の含有割合は、単量体組成物中における各単量体の含有割合を制御することによって、適切な範囲に制御できる。
【0024】
本発明に係る含フッ素共重合体は、フィルムに成形して用いることが好ましい。特に農業被覆資材として用いられるフィルムに好適である。
フィルムの成形方法としては、インフレーション法、押出成形法等の公知の成形法が用いられる。フィルムの厚さは、薄すぎると破れやすく、厚すぎるとフィルムの切断、接着、展張作業等が不便であり、さらに光線透過率の低下が大きくなる。好ましいフィルムの厚さは、10〜400μmであり、好ましくは20〜250μmである。フィルムの幅は、通常1000〜5000mmがフィルムの製造や取扱いの点から好ましい。フィルムの成形性及び生産性の観点からは、幅が1000〜3000mmのフィルムがより好ましい。広幅のフィルムは、複数枚の狭幅のフィルムの端部同士を融着して製造することも可能である。
【0025】
フィルムには、着色剤(例えば、酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、沈降性シリカ、カーボンブラック、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、および/または紫外線吸収剤を含有させることも好ましい。該着色剤や紫外線吸収剤は、フィルム状に成形する前に、含フッ素共重合体と混練する方法で配合することが好ましい。
【0026】
本発明に係る含フッ素共重合体からなるフィルムを農業被覆資材として用いる場合、少なくともハウスの内側となる面を流滴剤で処理することが好ましい。高温高湿となる農園芸施設用のハウスにおいて、水蒸気が凝縮(結露)して、内部の天井や壁の内側面上に水滴が形成されると、水滴による光線の散乱が生じて光線透過率の低減につながる。これに対して、ハウスの内側となる面を流滴剤で処理すると、凝縮した水滴が流れ落ちやすくなるため、水滴による光線の散乱が低減され、光線透過率の低下が防止できる。
流滴剤としては、例えば、界面活性剤および無機親水性コロイド物質を溶媒や水に分散したもの、アルコール可溶型もしくは水分散型の含フッ素ポリマーに無機親水性コロイド物質を配合したもの、親水性重合体に界面活性剤を配合したもの、親水性重合体に界面活性剤および無機親水性コロイド物質を配合したもの等が挙げられる。
【0027】
流滴剤に用いられるアルコール可溶型もしくは水分散型の含フッ素ポリマーの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
無機親水性コロイド物質としては、例えばコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイダルチタニア等が使用できる。
親水性重合体としては、例えばポリビニルアルコール;−SOH、−COOH、−NH、−CN、−(OCHCHH等の親水性官能基を有する重合体;が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの界面活性剤であってもよい。
流滴剤は市販品からも入手可能である。
【0028】
本発明の製造方法で得られる含フッ素共重合体からなるフィルムは、後述の実施例に示されるように、良好な耐候性および展張作業性を有するとともに、優れた引張り強度および透明性を両立させることができ、農業用被覆資材として好適なレベルの引張り強度、ヘイズ、および全光線透過率を同時に満たすことができる。
【0029】
本発明に係る含フッ素共重合体は、農業用被覆資材のほかにも、種々のフィルムへの適用が可能である。具体例としては、太陽電池用表面保護フィルム、太陽電池用バックシート、離型フィルム、遮音材保護フィルム、防汚性壁紙、耐侯性保護フィルム、耐侯性フィルム構造建造物、医薬品包装用フィルム、食品包装用フィルム、プリント基盤、コンデンサ用フィルム、ガスサンプリングバッグ、薬液バッグ、マーキングフィルム、表面コート用フィルム、鋼鈑・建材ラミネート用フィルム、燃料電池用フィルム、屋根材、合わせ硝子中間膜、飛散防止ガラス板等が挙げられる。
【0030】
また、フィルム以外に、チューブその他の成形品への適応が可能である。該成形品としては、UVランプカバー、ガスケット、LED封止材、有機EL封止材、塗料配管、熱交換器用チューブ、燃料移送チューブ、食品・飲料用チューブ、薬液移送チューブ、水移送用チューブ、殺菌用チューブ、収縮チューブ、産業用ホース、食品用ホース、フレキシブルチューブ、ベロー、膨張継手、機器配線用電線、耐熱電線、フラットケーブル、同軸ケーブルジャケット、化学・医薬実験器具、薬液用タンク、燃料用タンク、タワーパッキン、薬品用バルブ、食品用、医療用、半導体用、化学プラント用等の反応器、容器、配管等、薬液輸送用タンクローリー、バルブ・パイプ・継手類のライニング、ポンプ・タンクのライニング、飛散防止ガラスビン、耐磨耗性セラミックス部品、スクリーン、フィルター等の用途に適する。
【0031】
さらに本発明に係る含フッ素共重合体は、各種基材の表面を被覆する被覆材料としても好適である。
基材の材質としては、本発明に係る含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂等の有機材料;鉄、ステンレス鋼、銅、黄銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム合金、チタン等の金属材料;ガラス、セラミックス等の無機材料;が挙げられる。
基材を被覆する方法としては、静電粉体成形法、回転成形法、溶射成形法、流動浸漬法、ディスパージョン法、溶媒キャスト法等が採用できる。
【0032】
静電粉体成形法は、含フッ素共重合体の粉末に負の高電圧を印加して帯電させ、基材表面に付着させ、ついで付着した含フッ素共重合体をその融点以上分解点以下の温度で5分〜1時間、加熱して溶融させ、基材表面に一定の厚さの含フッ素共重合体の被膜を形成させる方法が好ましい。
回転成形法は、缶状や筒状の基材の内部に含フッ素共重合体の粉末を挿入し、基材を回転させながら含フッ素共重合体の融点以上分解点以下の温度に5分〜1時間、基材を加熱して含フッ素共重合体を溶融させ、基材の内面に均一な厚さの含フッ素共重合体の被膜を形成させる方法が好ましい。
溶射成形法は、予熱した基材に粉末溶射器を用いて、半融解状態の含フッ素共重合体を吹き付けることによって、基材表面に含フッ素共重合体の被膜を形成させる方法が好ましい。
流動浸漬法は、含フッ素共重合体の粉末を、底が通気性を有する多孔板である容器に入れ、多孔板より気体を送ることにより粉末を流動化させ、この流動層中に含フッ素共重合体の融点以上分解点以下に加熱した基材を1分以上1時間以下浸漬することにより、基材表面に均一な含フッ素共重合体の被膜を形成させる方法が好ましい。
ディスパージョン法は、まず含フッ素共重合体の微粉末を水又は溶剤に浮遊、又は液に懸濁させて、これを基材に噴射して、水又は溶剤を蒸発させて均一な粉末の堆積層を形成させる。ついで、含フッ素共重合体の融点以上分解点以下に1分〜1時間加熱し溶融させ、基材表面に含フッ素共重合体の被膜を形成させる方法が好ましい。
含フッ素共重合体を溶媒に溶解できる場合には、キャスティング(溶媒キャスト法)、浸漬等により基材の表面に塗布して、含フッ素共重合体の被膜を形成することも好ましい。
【0033】
前記基材の表面は、被膜との接着性を向上するために前処理されることも好ましい。前処理方法としては、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、ナトリウムエッチング処理、サンドブラスト処理、リン酸塩処理、塩酸処理、硫酸処理等が挙げられる。
【0034】
本発明に係る含フッ素共重合体で被覆された被覆物品は、耐熱性、耐薬品性、耐食性、耐油性、耐候性等に優れることから、食品用、医療用、半導体用、化学プラント用等の反応器、容器、配管等、薬液輸送用タンクローリー、飛散防止ガラス板、飛散防止ガラスビン、耐磨耗性セラミックス部品、ラミネート鋼鈑・建材、屋根材、UVランプカバー、スクリーン、フィルター、デミスター等の用途に適する。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
内容積1.2リットルの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを脱気した後、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン(旭硝子社製、製品名:AC−2000、以下、AC−2000という。)の1217g、メタノールの10gを仕込み、ついでオートクレーブ内を66℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという)の180g、エチレン(以下、Eという)の7.7g、プロピレン(以下、Pという)の3gを仕込んで圧力を1.5MPa/Gまで昇圧した。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの1.0質量%AC−2000溶液の5cmを仕込み、重合を開始させた。重合の進行とともに圧力が低下するので、重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するようにTFE/E/P=54/34/12(モル%)の混合ガスを連続的に仕込んだ。重合開始6時間後、TFE/E/P=54.5/34.5/12.0(モル%)の混合ガスの100gを仕込んだ時点で、オートクレーブ内温を室温まで降温するとともに常圧までパージし、重合を終了した。
得られた含フッ素共重合体1のスラリをガラスフィルターで濾過して、含フッ素共重合体1を溶媒と分離した後、150℃で15時間乾燥することにより、含フッ素共重合体1の98gを得た。
溶融NMR分析及び赤外吸収スペクトル分析の結果から、含フッ素共重合体1の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.1/33.8/12.1(モル%)であった。融点は200℃、Q値は8mm/秒であった。
【0036】
[実施例2]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを180g、Eを7.4g、Pを3.2gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.5/32.5/13(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体2の98gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体2の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.4/32.6/13.0(モル%)であった。融点は198℃、Q値は10mm/秒であった。
【0037】
[実施例3]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを181g、Eを7.1g、Pを3.4gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.5/31.5/14(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体3の97gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体3の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.5/31.4/14.1(モル%)であった。融点は196.5℃、Q値は13mm/秒であった。
【0038】
[実施例4]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを181g、Eを6.7g、Pを4.0gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.7/29.3/16.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体4の98gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体4の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.6/29.5/15.9(モル%)であった。融点は192.5℃、Q値は17mm/秒であった。
【0039】
[実施例5]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを182g、Eを6.2g、Pを4.4gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.8/27.2/18.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体5の98gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体5の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.6/27.5/17.9(モル%)であった。融点は188.5℃、Q値は24mm/秒であった。
【0040】
[実施例6]
実施例1において、重合媒体をAC−2000から1,1,2,2,−テトラフルオロエチル−2´,2´,2´,−トリフルオロエチルエーテル(旭硝子社製AE−3000)の1074gに変更した。オートクレーブ内に仕込むTFEを180g、Eを7.7g、Pを3.0gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガスをTFE/E/P=54/34/12(モル%)の混合ガスに変更した。重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、TFE/E/P=54.5/34.5/12.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体6の96gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体6の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=53.9/33.7/12.4(モル%)であった。融点は200℃、Q値は12mm/秒であった。
【0041】
[比較例1]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを179g、Eを8.3g、Pを2.3gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.4/36.6/9.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体7の97gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体7の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.3/36.7/9.0(モル%)であった。融点は207.1℃、Q値は3mm/秒であった。
【0042】
[比較例2]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを180g、Eを7.9g、Pを2.7gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.5/34.5/11.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体8の96gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体8の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.5/34.4/11.1(モル%)であった。融点は202℃、Q値は5mm/秒であった。
【0043】
[比較例3]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを182g、Eを5.9g、Pを4.7gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=54.9/26.1/19.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体9の98gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体9の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=55.0/26.0/19.0(モル%)であった。融点は186℃、Q値は30mm/秒であった。
【0044】
[比較例4]
実施例1において、オートクレーブ内に仕込むTFEを183g、Eを5.5g、Pを5.2gに変更した。重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するために連続的に仕込む混合ガス、および重合開始6時間後に100g仕込む混合ガスを、いずれもTFE/E/P=55.0/24.0/21.0(モル%)の混合ガスに変更した。その他は実施例1と同様にして含フッ素共重合体10の97gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体10の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=55.1/23.8/21.1(モル%)であった。融点は182℃、Q値は33mm/秒であった。
【0045】
[比較例5]
TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位が54/46(モル%)の組成である含フッ素共重合体(製品名:フルオンETFE C−88AXP、旭硝子社製)を320℃でプレス成形し、厚さ100μmのフィルムを製造した。このフィルムは、特許文献1の例4(比較例)で測定されたフィルムと同一のものである。
【0046】
[比較例6]
乳化重合により含フッ素共重合体を合成した。
内容積1.2リットルの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを脱気した後、脱塩水の844g、乳化剤としてCOCFCFOCFCOONHの40gを仕込み、ついでオートクレーブ内を66℃に昇温し、TFEの36g、Eの1.1g、Pの1gを仕込んで圧力を1.5MPa/Gまで昇圧した。重合開始剤として過硫酸アンモニウムの13質量%水溶液の10cmを仕込み、重合を開始させた。重合の進行とともに圧力が低下するので、重合中圧力を1.5MPa/Gに保持するようにTFE/E/P=54.0/34.0/12.0(モル%)の混合ガスを連続的に仕込んだ。重合開始6時間後、TFE/E/P=54.0/34.0/12.0(モル%)の混合ガスの100gを仕込んだ時点で、オートクレーブ内温を室温まで降温するとともに常圧までパージし、重合を終了した。
【0047】
こうして得られた含フッ素共重合体11のラテックス900gを1質量%の塩酸水溶液2000gに添加し凝集させ、ガラスフィルターで濾過し、含フッ素共重合体11を溶媒と分離した後、2000gの脱塩水で洗浄、ろ別した。その後、150℃で15時間乾燥することにより、含フッ素共重合体11の96gを得た。
実施例1と同様の分析の結果から、含フッ素共重合体11の共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=54.2/33.8/12.0(モル%)であった。融点は202℃、Q値は1mm/秒であった。
得られた含フッ素共重合体11を300℃でプレス成形し、厚さ100μmのフィルムを製造した。
【0048】
[評価]
実施例1〜6および比較例1〜4で得られた含フッ素共重合体1〜10を300℃でプレス成形し、厚さ100μmのフィルムを製造した。こうして得られたフィルムおよび比較例5,6で得られたフィルムについて、下記の方法で各特性を評価した。その結果を表1〜3に示す。
【0049】
[フィルムの光学特性(透明性)]
JIS K7105に準拠し、厚さ100μmのフィルムを、ヘイズメーター(日本精密光学社製、型式:SEP−T)を用い全光線透過率およびヘイズを測定し透明性の尺度とした。農業用被覆資材に用いる場合、全光線透過率が高いほど紫外光線、可視光線を必要とする作物の栽培に適しており、全光線透過率が95%以上であることが望ましい。
また、ヘイズが小さいほど透明性が高いことを意味しており、農業用被覆資材として用いる場合には、ヘイズ値が1.5%以下であることが望ましい。また、薬液移送チューブ等に用いる場合は、内部流体の目視観察が容易になるという利点があり、2.0%以下であることが望ましい。
【0050】
[引張り強度]
プレス成型で得られた厚さ100μmのフィルムをJIS K7162に記載されている5B型試験片を切り抜いてサンプルとし、東洋精機社製の引張り強度試験機を用いて25℃における引張り強度を測定した。引張速度は200mm/分とした。農業用被覆資材に用いる場合、この引張り強度が高いほど幅広の開口部に展張する場合も多数の骨組みを必要とせず、より日射光線を農業ハウス内に取り込むことができる。且つ展張後の被覆資材のしわ、弛みの発生が少なく被覆資材として優れており、実用上は48MPa以上であることが望ましい。
【0051】
[耐候性評価]
JIS K7350−4の規定に従い、オープンフレームカーボンアークランプを使用した耐候性試験を、500時間実施し、試験前後での引張り強度を上記の方法で測定した。耐候試験前の引張り強度の値を100%とするときに、耐候試験後の引張り強度の値の割合を引張強度保持率(単位:%)とする。該引張強度保持率により農業用被覆資材の耐候性を評価した。引張強度保持率が95%以上を○(優)、90%〜94%を△(良)、90%未満を×(不良)とした。
【0052】
[展張作業性]
展張作業性の評価として、厚さ100μmのフィルムを展張して骨組みに固定用部材を使用して固定するときの施工の難易度を評価した。「施工が容易である」を◎、「軟質塩化ビニル樹脂と比較して施工が若干難しい」を○、「施工は可能であるが、硬くて人力を要し、フィルムにシワが入りやすい」を△とした。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
図1は、実施例1〜6および比較例1〜5で得られた含フッ素共重合体について、含フッ素共重合体中のPに基づく繰り返し単位の含有量(表には「含フッ素共重合体中プロピレン含有量」と記載する)。を横軸とし、引張り強度を左縦軸とし、全光線透過率を右縦軸としたグラフであり、図2は、Pに基づく繰り返し単位の含有量を横軸とし、引張り強度を左縦軸とし、ヘイズを右縦軸としたグラフである。
図1に示されるように、含フッ素共重合体中におけるPに基づく繰り返し単位の含有量(単に、プロピレン含有量ということもある。)が0から12モル%にかけて、全光線透過率は増加し、12モル%付近で急激に増加する。12モル%以上はほぼ横這いとなる。また図2に示されるように、該プロピレン含有量が0から12モル%にかけて、ヘイズも漸次低下し、12モル%以上の範囲ではほぼゼロに近い値となる。
また図1,2に示されるように、プロピレン含有量と、フィルムの引張り強度とは、極大点を有するグラフで表わされる関係にあり、プロピレン含有量が18モル%以下の範囲では、プロピレン含有量が0である比較例5(ETFEの組成に該当する)の共重合体とほぼ同等の引張り強度を有する。
したがって、溶液重合を用い、かつプロピレン含有量を12〜18モル%とすることにより、良好なヘイズと全光線透過率と引張り強度とを同時に満たすことができる。また表2,3に示されるように、良好な耐侯性および展張作業性も得られる。
【0057】
すなわち表1に示すように、実施例1〜6の含フッ素共重合体フィルムは、引張り強度、ヘイズ、および全光線透過率の良好な値を同時に満たしている。すなわち、前述した農業用被覆資材として適した物性値である、引張り強度が48MPa以上、ヘイズが1.5%以下、および全光線透過率が95%以上の全てを満たしており農業用被覆資材として良好なフィルム物性値であった。
一方、乳化重合により製造した比較例6は、溶液重合を用いた実施例1〜6および比較例1〜4の含フッ素共重合体フィルムに比べて、光線透過率が低く、ヘイズ値が高い。
表2に示す耐侯性評価では、実施例、比較例全てにおいて良好な結果であった。
表3に示す展張作業性では、実施例、比較例の全てにおいて優劣は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例および比較例にかかる含フッ素共重合体における、プロピレンに基づく繰り返し単位の含有量と、フィルムの引張り強度および全光線透過率との関係を示すグラフである。
【図2】実施例および比較例にかかる含フッ素共重合体における、プロピレンに基づく繰り返し単位の含有量と、フィルムの引張り強度およびヘイズとの関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラフルオロエチレン、エチレン及びプロピレンを含む単量体組成物を共重合させる工程を有する含フッ素共重合体の製造方法であって、
前記単量体組成物におけるテトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレンのモル比が68〜32/20〜50/12〜18であり、前記共重合を溶液重合により行うことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記溶液重合における重合媒体が、ハイドロフルオロカーボン及び下記式(1)で表されるでハイドロフルオロアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の含フッ素共重合体の製造方法。
−O−R …(1)
(式中、Rはポリフルオロアルキル基であり、Rはポリフルオロアルキル基またはアルキル基であり、RとRの少なくとも一方は水素原子を有し、RとRの合計の炭素原子数は3〜8である。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−150478(P2010−150478A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332585(P2008−332585)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】