説明

吸引装置および吸引車

【課題】汚水等をタンク内に吸引回収する吸引車において、タンクの吸引口に設けられたフランジ付直管の摩耗を防止する。
【解決手段】回収対象物を吸引口51を通じて吸引回収するタンク5(6)と、タンク5(6)内の空気を減圧するための吸引ポンプ21と、タンク5(6)の吸引口51に設けられたフランジ付直管52と、フランジ付直管52に接続された管継手33と、を備える。管継手33は、ホース接続部332と、このホース接続部332の下流側に連続した曲がり管部331と、この曲がり管部331の下流側に連続した直管部333と、曲がり管部331の下流側端部または直管部333の中間部の周囲に形成されて、フランジ付直管52のフランジ521に締結された管継手側フランジ334と、を有する。管継手33の直管部333は吸引口51に設けられたフランジ付直管52内に挿通され、そのフランジ付直管52の内周面を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水、廃液などの回収対象物をタンク内に吸引回収するための吸引装置およびこの吸引装置を搭載した吸引車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚水、廃液等の回収対象物をタンク内に吸引回収する吸引車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この吸引車は、吸引ポンプによりタンク内の空気を吸引して減圧し、この減圧されたタンク内に吸引ホースを通じて回収対象物を一気に吸引する。
【0003】
図10は、従来の吸引車に搭載されているタンク61の吸引口62およびその周囲を示している。この図に示すように、タンク61の吸引口62には、フランジ付直管63がタンク61と一体に設けられ、このフランジ付直管63に管継手64が接続されている。管継手64は、エルボ641を含んでおり、そのエルボ641の一端側に吸引ホース65を接続するためのホース接続部642が、他端側に直管部643が溶接にて接続されている。また、管継手64(直管部643)のタンク61側の端部には、フランジ644が形成されており、このフランジ644がフランジ付直管63の端部に形成されたフランジ631にボルト66にて締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−168750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸引ホース65および管継手64を通じて吸引口62からタンク61内に吸引される回収対象物は、エルボ641内でその流れ方向が急変する。このことから、タンク61内に吸引される回収対象物は、慣性によりエルボ641の内壁に激しく衝突する。また、エルボ641の下流側では回収対象物の流れが複雑になることから、タンク61に設けられたフランジ付直管63の内壁にも回収対象物が衝突し易くなる。これらの結果、エルボ641の内壁が著しく摩耗するほか、タンク61に設けられたフランジ付直管63の内壁も摩耗する。
【0006】
管継手64(エルボ641)内の摩耗した部分を元の状態に回復させるためには、管継手64を新品に取り替えればよい。しかし、タンク61と一体に設けられたフランジ付直管63の摩耗した部分を元の状態に回復させるためには、そのフランジ付直管63の周囲のタンク61の一部を切断して切り取る工事が必要となり、当該工事に多くの労力および費用が掛かる。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みて創案されたものであり、タンクの吸引口に設けられたフランジ付直管の摩耗を防止できる吸引装置および吸引車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の吸引装置は、以下のように構成されている。
【0009】
すなわち、本発明の吸引装置は、回収対象物を吸引口を通じて吸引回収するタンクと、前記タンク内の空気を減圧するためのポンプと、前記タンクの吸引口に設けられたフランジ付直管と、前記フランジ付直管に接続された管継手と、を備えるものを前提とし、前記管継手は、ホース接続部と、このホース接続部の下流側に連続した曲がり管部と、この曲がり管部の下流側に連続した直管部と、前記曲がり管部の下流側端部または前記直管部の中間部の周囲に形成されて、前記フランジ付直管のフランジに締結された管継手側フランジと、を有する。そして、前記管継手の直管部が前記吸引口に設けられた前記フランジ付直管内に挿通され、そのフランジ付直管の内周面を覆っている、ことを特徴としている。
【0010】
上記吸引装置によれば、管継手の直管部がタンクの吸引口に設けられたフランジ付直管の内周面を覆っているので、フランジ付直管の内周面に回収対象物が衝突することがなくなり、フランジ付直管の内周面の摩耗が防止される。
【0011】
本発明の吸引車は、上記吸引装置を搭載したものである。
【0012】
上記吸引車において、前記ポンプが前記タンク内から吸引する空気中の異物を分離除去するためのエアセパレータと、タンク内の空気圧を減圧する際に操作される切換弁と、前記ポンプの吐出空気中に含まれるオイルを分離除去するためのオイルセパレータと、をさらに備え、前記エアセパレータ、前記切換弁および前記オイルセパレータは、車両の左右同じ側の前後輪間位置に設置されている、ことが望ましい。
【0013】
上記吸引車によれば、エアセパレータ、切換弁およびオイルセパレータが車両の左右同じ側の前後輪間位置に設置されているので、従来の吸引車のように、切換弁およびオイルセパレータが車両片側の前後輪間位置に設置され、エアセパレータが車両反対側の後輪より後側に設置されていたものと比べて空気配管を短くすることが可能となり、配管抵抗も減らすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸引装置および吸引車によれば、タンクの吸引口に設けられたフランジ付直管の内周面に回収対象物が衝突することがなくなり、そのフランジ付直管の内周面の摩耗が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る吸引装置を搭載した吸引車を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る吸引装置を搭載した吸引車を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る吸引装置を搭載した吸引車を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る吸引装置の配管図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る管継手、フランジ付直管等を示す図である。
【図6】本発明の変形例に係る管継手、フランジ付直管等を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る管継手と、本発明の変形例に係る管継手の配置を比較説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る管継手、フランジ付直管等を示す図であって、タンクの直径サイズの拡大について説明するための図である。
【図9】従来の吸引車の平面図である。
【図10】従来例に係る管継手、フランジ付直管等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る吸引装置を搭載した吸引車について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る吸引装置1を搭載した吸引車2を示す左側面図、図2は上記吸引車2を示す平面図、図3は上記吸引車2を示す背面図である。
【0018】
図示する吸引車2においては、車両のシャーシフレーム3上にサブフレーム4が設置されている。サブフレーム4上には、後部に、回収対象物を吸引回収するタンク5が搭載されている。回収対象物は、例えば汚水、廃液等である。
【0019】
このタンク5は、後端開口を有する本体6と、前記後端開口を開閉するテールゲート7とを備えている。テールゲート7は、本体6の上部後端部にヒンジピン8を介して回動自在に軸支されている。本体6およびテールゲート7の間には開閉シリンダ9が配設されている。この開閉シリンダ9を伸縮作動させることによってテールゲート7は本体6の後端開口を開閉する。
【0020】
タンク5の本体6の上部には、吸引・加圧配管41が接続されており、この吸引・加圧配管41を介して接続される吸引ポンプ21(図1〜図3において図示せず、図4に図示)によって、タンク5内の空気が加減圧される。
【0021】
また、タンク5の本体6には、吸引対象物を吸引する吸引口51が形成されており、この吸引口51に管継手33の一端側が接続されている。管継手33の他端側には可撓性の吸引ホース42が接続されている。なお、管継手33については後に詳しく説明する。
【0022】
吸引ホース42の先端部はブラケット36を介してタンク5の本体6に支持固定されている。また吸引ホース42の先端部には、開閉弁34が設けられ、さらに、その開閉弁34の先端側に図示しないホースを接続するためのホースニップル35が取付けられている。
【0023】
テールゲート7の下側には、開閉弁付排出口12が設けられている。この開閉弁付排出口12は、回収対象物の排出口である。
【0024】
タンク5は、サブフレーム4(車体)に対して傾動ピン14を介して傾倒自在に軸支されており、サブフレーム4およびタンク5の間には傾倒シリンダ15が配設されている。傾倒シリンダ15を伸縮作動させることにより、タンク5が傾動ピン14回りに起立回動または倒伏回動する。
【0025】
吸引車2がそのタンク5内に回収対象物を吸引回収する場合、タンク5内の空気を減圧し、吸引ホース42を通じて外部からタンク5内に回収対象物を吸引する。
【0026】
一方、吸引車2がタンク5内の回収対象物を所定の場所(例えば汚水処理場など)へ排出する場合、タンク5内の空気を加圧し、開閉弁付排出口12に接続した図示しない排出ホースを通じてタンク5内の回収対象物を外部へ排出する。また、テールゲート7を開き、タンク5を起立回動させることによりタンク5内の回収対象物を排出することもできる。
【0027】
タンク5の前部周辺には、タンク5内の空気を加減圧するための吸引ポンプ21、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25等の配管・機器類が搭載されている。なお、吸引ポンプ21は、吸引車2の図示しない動力取出し装置(PTO)を介してエンジンに連結され、エンジンの回転動力によって回転駆動される。
【0028】
−配管図−
以下、図4に示す配管図に基づいて吸引車2が搭載している吸引装置1の配管構成について説明する。
【0029】
符号21は、ベーンポンプからなる吸引ポンプを示している。この吸引ポンプ21は、タンク5内の空気を加減圧するためのものである。吸引ポンプ21の吸込側は、吸引配管44を介して四方弁25(切換弁)の第1ポート251に接続されている。吸引配管44には、吸引ポンプ21が吸引する空気の逆流を防止するための逆止弁22が設けられている。また、吸引ポンプ21の吐出側は、吐出配管45を介して四方弁25の第4ポート254に接続されている。
【0030】
吸引ポンプ21の吐出側と四方弁25の第4ポート254との間を接続する配管上には、サブオイルセパレータ23およびオイルセパレータ24が設置されている。吸引ポンプ21が吐出する空気に含まれるオイルは、まず、サブオイルセパレータ23によって分離除去され、次に、オイルセパレータ24によって分離除去される。サブオイルセパレータ23によって分離除去されたオイルおよびオイルセパレータ24によって分離除去されたオイルは、オイルセパレータ24内のオイル溜り部24aに貯留される。オイル溜り部24aは、オイル供給配管43により吸引ポンプ21のオイル補給口に接続されており、この配管43を通じて吸引ポンプ21を潤滑および冷却するためのオイルが供給される。オイル供給配管43の途中には、オイル内の異物を除去するためのオイルストレーナ27が設けられている。
【0031】
符号26は、吸引ポンプ21の吐出側の空気を排出するための排気管である。排気管26の基端部は、四方弁25の第3ポート253に接続されており、排気管26の先端部にはサイレンサ30が設置されている。
【0032】
タンク5は、吸引・加圧配管41を介して、四方弁25の第2ポート252に接続されている。吸引・加圧配管41のタンク5側の端部(タンク5内)には、吸引回収対象物のオーバフローを防止するオーバフローストップ弁31が設置されている。また、吸引・加圧配管41の途中には、オーバフローセフティ弁29、エアセパレータ28、安全弁32等が設置されている。
【0033】
オーバフローセフティ弁29は、万一、吸引回収対象物のオーバフローをオーバフローストップ弁31で止めることができなかった場合に吸引・加圧配管41内の流路を閉塞するために設けられている。
【0034】
エアセパレータ28は、タンク5側から吸引ポンプ21側へ吸引・加圧配管41内を流れる空気に含まれるごみ等の異物を分離除去するためのものである。図4に例示するエアセパレータ28は、タンク5の減圧時にエアセパレータ28内への空気の入口となる入口ポート281と、タンク5の減圧時にエアセパレータ28内の空気の出口となる出口ポート282とを有する。また、エアセパレータ28は、更にその内部において、入口ポート281と出口ポート282との間にパンチングメタル、金網体等からなる異物分離フィルタ284を有している。なお、エアセパレータ28に設けられた符号283で示す部分は、透明ガラス等からなる覗き窓であり、この覗き窓283からエアセパレータ28の異物分離フィルタ284によって分離され落下した異物の堆積量を確認できる。
【0035】
以上の構成を備える吸引装置1において、汚水等の回収対象物をタンク5に吸引回収する場合、吸引ポンプ21を駆動するとともに、切換弁である四方弁25の切換ハンドルを操作して、第1ポート251と第2ポート252とを連通させ、第3ポート253と第4ポート254とを連通させる。その結果、タンク5内の空気は、エアセパレータ28、四方弁25、逆止弁22を介して吸引ポンプ21により吸引され、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24および四方弁25および排気管26を通じて外部に吐き出される。これにより、タンク5内が減圧され、吸引ホース42、管継手33を通じて回収対象物がタンク5に吸引回収される。
【0036】
また、吸引装置1においてタンク5内を加圧する場合、吸引ポンプ21を駆動するとともに、四方弁25の切換ハンドルを操作して、第1ポート251と第3ポート253とを連通させ、第2ポート252と第4ポート254とを連通させる。その結果、外気が排気管26、四方弁25、逆止弁22を介して吸引ポンプ21に吸引され、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24および四方弁25、エアセパレータ28を介してタンク5内に供給される。
【0037】
また、吸引装置1においてタンク5内の圧力を解放する場合、四方弁25の切換ハンドルを操作して、第1ポート251と第4ポート254とを連通させ、第2ポート252と第3ポート253とを連通させる。これにより、タンク5は、エアセパレータ28、四方弁25、排気管26を介して大気と連通する。
【0038】
−管継手の構造−
つぎに管継手33およびその周囲の構造について説明する。図5に示すように、タンク5の本体6には、吸引対象物を吸引する吸引口51にフランジ付直管52が形成され、このフランジ付直管52に、管継手33が接続されている。
【0039】
管継手33は、曲がり管部331を有し、その曲がり管部331の上流側には吸引ホース42を接続するためのホース接続部332が連続して形成され、曲がり管部331の下流側には直管部333が連続して形成されている。また、曲がり管部331の下流側端部の周囲にはフランジ部334(管継手側フランジ)が形成されており、このフランジ部334がフランジ付直管52の端部に形成されたフランジ521(タンク側フランジ)にボルト66にて締結されている。なお、図5に例示する管継手33では、曲がり管部331として90°エルボが採用されている。
【0040】
管継手33の直管部333は、タンク5の本体6の吸引口51に設けられたフランジ付直管52内に挿通され、そのフランジ付直管52の内周面を覆っている。したがって、上記管継手33およびフランジ付直管52の接続構造によれば、フランジ付直管52の内周面に回収対象物が衝突することがなくなり、当該フランジ付直管52の内周面の摩耗が防止される。この結果、吸引口51より吸引される回収対象物との衝突で摩耗する部材は、取替え容易な管継手33のみとなり、タンク5に一体に設けられたフランジ付直管52を取り替えるためにタンク5の一部を切断するような工事は不要となる。
【0041】
既述した管継手33のほか、図6に示すような管継手33Aを採用してもよい。この管継手33Aは、既述の管継手33と比較して、フランジ部334が曲がり管部331の下流側端部の周囲ではなく、直管部333の中間部の周囲に形成されている点で相違している。
【0042】
このような管継手33Aおよびフランジ付直管52の接続構造によっても、管継手33の直管部333がタンクの本体6に一体に設けられたフランジ付直管52の内周面を覆うようになされているので、フランジ付直管52の内周面に回収対象物が衝突することがなく、当該フランジ付直管52の内周面の摩耗が防止される。
【0043】
但し、図7に示すように、曲がり管部331の下流側端部の周囲にフランジ部334を設けた管継手33と、直管部333の中間部の周囲にフランジ部334を設けた管継手33Aとを比較した場合、前者を採用した場合の全高Hの方が後者を採用した場合の全高H’よりも低く設定することができ、吸引車2の車両転倒角度が改善される。また、前者を採用し、その全高Hを後者を採用した場合の全高H’に一致させた場合には、その分、図8において2点鎖線で示すように、タンク5の本体6の直径サイズをアップすることが可能となるほか、水面の最上位位置も高くすることが可能となり、回収対象物の回収量を増すことができる。
【0044】
−エアセパレータ等の配置−
以下、エアセパレータ28等の配置について説明する。図2は本実施形態に係る吸引車2の平面図であり、図9は従来の吸引車2Aの平面図である。
【0045】
図9に示す従来の吸引車2A(吸引装置1A)は、本実施形態に係る吸引装置1と同様に図4に基づき説明した配管構成と同様のものを備えている。但し、エアセパレータ28の配置、エアセパレータ28に接続している配管の配置などにおいて両者が相違している。
【0046】
すなわち、従来の吸引車2Aでは、図9に示すように、エアセパレータ28が右側の後輪17の後ろ側(タンク61の右後部の近傍)に設置され、車両の左側の前輪16と後輪17との間(タンク61の左前部の近傍)に設置されたサブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25、サイレンサ30等から遠く離れている。このため、タンク61と四方弁25とを接続する吸引・加圧配管41A(41A−1〜41A−4)は、長いものとならざるを得なかった。
【0047】
例えば、上記吸引・加圧配管41Aは、図9に示すように、タンク61の上部から出発して、車幅方向右側にタンク61の胴部周方向に沿って延び(符号41A−1を参照)、タンク61の右側部に設置されたオーバフローセフティ弁29に達した後、車両後方に延びてタンク61の右後部に設置されたエアセパレータ28に接続されている(符号41A−2を参照)。そして、エアセパレータ28を通過した吸引・加圧配管41Aはタンク61の前端部右側まで車両前方に延びた後(符号41A−3を参照)、タンク61の下を横切って、タンク61の左側に設置されている四方弁25に接続されている(符号41A−4を参照)。
【0048】
一方、本実施形態に係る吸引車2では、図2に示すように、車両の左側の前輪16と後輪17との間(タンク5の左前部の近傍)に、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25、サイレンサ30等が設置され、エアセパレータ28もこれらと同様に車両の左側の前輪16と後輪17との間に設置されている。このため、タンク5と四方弁25とを接続する吸引・加圧配管41(41−1〜41−3)は、従来例に係る吸引車2Aの吸引・加圧配管41Aより格段に短くなっている。
【0049】
例えば、本実施形態に係る吸引車2の吸引・加圧配管41は、図1および図2に示すように、タンク5の上部から出発して、車幅方向左側にタンク5の胴部周方向に沿って延び(符号41−1を参照)、タンク5の左側部に設置されたオーバフローセフティ弁29に接続されている。その後、吸引・加圧配管41は、車両後方に延びた後、反転して車両前方に延び、エアセパレータ28に接続されている(符号41−2を参照)。そして、エアセパレータ28を通過した吸引・加圧配管41はそのエアセパレータ28の近くに設置されている四方弁25に接続されている(符号41−3を参照)。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る吸引車2によれば、エアセパレータ28、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25、サイレンサ30等の機器が何れも車両の左側の前輪16と後輪17との間に集まって設置されていることから、これらの機器を接続する空気配管の長さを従来のものと比較して短くすることができる。その結果、配管抵抗を低減させることができ、回収対象物のタンク5内への吸引力を高めることができる。
【0051】
また、従来の吸引車2Aでは、回収対象物のタンク61内への吸引力を高めれば、吸引口62(図10参照)を通過する回収対象物の流速が大きくなり、吸引口62に設けられたフランジ付直管63の内周面の磨耗が促進されるおそれがあったが、本実施形態に係る吸引車2によれば、吸引口51(図5、図6参照)に設けられたフランジ付直管52の内周面に回収対象物が衝突しないので、フランジ付直管52の内周面の摩耗を心配することなく、吸引力を高めることができる。
【0052】
また、エアセパレータ28、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25、サイレンサ30等の機器が何れも車両の左側の前輪16と後輪17との間に集まって設置されているので、作業者は1箇所に留まって作業を行うことができ、作業効率が向上する。
【0053】
なお、上記実施形態では、エアセパレータ28、サブオイルセパレータ23、オイルセパレータ24、四方弁25、サイレンサ30等の機器類が車両の左側において、前輪16と後輪17との間の位置(前後輪間位置)に設置されているが、上記機器類は、車両の右側において、前輪16と後輪17との間の位置に設置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、汚水、廃液などをタンク内に吸引回収するための吸引装置およびこの吸引装置を搭載した吸引車に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 吸引装置
2 吸引車
5 タンク
21 吸引ポンプ
23 サブオイルセパレータ
24 オイルセパレータ
25 四方弁(切換弁)
28 エアセパレータ
33 管継手
33A 管継手
331 エルボ(曲がり管部)
332 直管部
51 吸引口
52 フランジ付直管
521 フランジ(タンク側フランジ)
334 フランジ部(管継手側フランジ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収対象物を吸引口を通じて吸引回収するタンクと、
前記タンク内の空気を減圧するためのポンプと、
前記タンクの吸引口に設けられたフランジ付直管と、
前記フランジ付直管に接続された管継手と、
を備える吸引装置において、
前記管継手は、ホース接続部と、このホース接続部の下流側に連続した曲がり管部と、この曲がり管部の下流側に連続した直管部と、前記曲がり管部の下流側端部または前記直管部の中間部の周囲に形成されて、前記フランジ付直管のフランジに締結された管継手側フランジと、を有し、
前記管継手の直管部が前記吸引口に設けられた前記フランジ付直管内に挿通され、そのフランジ付直管の内周面を覆っている、ことを特徴とする吸引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸引装置を搭載した吸引車。
【請求項3】
請求項2に記載の吸引車において、
前記ポンプが前記タンク内から吸引する空気中の異物を分離除去するためのエアセパレータと、
タンク内の空気圧を減圧する際に操作される切換弁と、
前記ポンプの吐出空気中に含まれるオイルを分離除去するためのオイルセパレータと、をさらに備え、
前記エアセパレータ、前記切換弁および前記オイルセパレータは、車両の左右同じ側の前後輪間位置に設置されている、ことを特徴とする吸引車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−62685(P2012−62685A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207620(P2010−207620)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】