説明

吹付用添加器

【課題】簡便な構成により、搬送管内部に付着や閉塞を発生させることなく、搬送管内を圧送される材料に添加剤を良好に混合することができる吹付用添加器を提供する。
【解決手段】吹付用添加器10は、圧縮気体により主材料が搬送される第1搬送管と、圧縮気体により添加剤が搬送される第2搬送管2とを連結し、主材料と添加剤とを第3搬送管に送出する。主管部11は、上流側に第1搬送管が接続されるとともに、下流側に第3搬送管が接続される。側管部12は、主管部11に連通するとともに、第2搬送管2が接続される。側管部12は、外側管14および内側管15を備える。外側管14は主管部11に支持される。内側管15は、下流側端部を遊動端15aとして外側管14に支持されている。第2搬送管2内を搬送された添加剤は内側管15の内部を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火材料、コンクリート、モルタル等の材料を被施工体に吹き付ける吹付装置において、当該材料に搬送途中で添加剤を混合するための吹付用添加器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、耐火材料、コンクリート、モルタル等の各種材料を、粉末、造粒体(例えば、粒状物、小成形物、ブリケット等)、湿潤粉末等の状態で施工場所まで搬送管内をエア搬送し、エア搬送された材料を被施工体に吹き付ける施工方法が広く使用されている。
【0003】
このような吹付施工では、必要に応じて添加剤が材料(主材料)に混合される。添加剤は、材料搬送前、材料搬送中、吹き付け時等、適宜選択されたタイミングで主材料に添加される。ここでは、添加剤は、エア搬送ために調製された主材料に事後的に混合されるものを指し、主材料以外の他の材料、急結剤、凝結剤等の混和材料のほか、吹き付け時に被施工体に接着せず落下した吹付材料(いわゆる、リバウンド材)等を含む。
【0004】
また、添加剤の混合を伴う吹付施工では、均質な混合を実現するとともに、主材料や添加剤、またはこれらの混合物の良好な搬送を実現する必要がある。このため、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0005】
特許文献1は、材料を搬送する搬送ホースの中間適所で、用液を圧縮エアと共に添加して材料をドライミックス状態からウェットミックス状態に変化させ、ホース先端の吹付ノズルから噴射するコンクリート類の吹付方法を開示している。また、ドライミックス材料に用液を添加する機構として、Y字状の分岐金物や、ホース外周面に固定したプレートおよび当該プレートを斜めに貫くパイプとを有する添加機構を開示している。後者の構成によれば、ホース材質であるゴム質の弾性により異物添加上問題となる付着が生じず、万一付着しても弾性により自然に剥離するとされている(特許文献1 第4頁左上段第19行目〜右上段第17行目)。
【0006】
特許文献2は、吹付けコンクリートにおける液状混和剤の添加装置に関し、噴霧ノズルを設けた複数の急結剤添加管を材料圧送管に傾斜状態で接続する構成を開示している。この構成では、多方向から均一状態の混和剤を噴出するので、ドライミックスコンクリートに混和剤を均質に添加できるとされている。
【0007】
特許文献3は、供給用ホッパーおよび圧送経路に振動を与えながら、土木補修工事などで厚付け吹付けに使用される低流動変形性モルタルを圧送する構成を開示している。この構成では、搬送一時停止時にホッパー内および圧送経路内で静止状態になった低流動変形性モルタルが、搬送再開時に静止状態を維持し続けることを防止できるとされている。
【0008】
特許文献4は、セメントコンクリートを輸送する内管と、急結剤を輸送する外管との二重管構造からなる吹付ノズルを開示している。この構成では、セメントコンクリートと急結剤を吐出後に合流、混合するため、セメントコンクリートの硬化により配管が詰まることがない、とされている。
【0009】
特許文献5は、不定形耐火物用粉体組成物に水を加えて混練した坏土を空気搬送するとともに、搬送経路の途中に設けた急結剤注入口から急結剤を注入して吹付ノズルにより吹付施工する方法を開示している。また、急結剤注入口としてY型形状のノズル管を使用する構成を開示している。
【0010】
特許文献6は、流動物圧送管によって流動物を圧送するとともに、凝結剤エア圧送管によって凝結剤を圧送し、吹き付け口から数10m手前に設けたエア流動物合流装置によって両者を合流させる圧送吹付け施工方法を開示している。また、エア流動物合流装置として、直線状の主エア圧縮管、主エア圧縮管に斜めに合流する流動物送入管、および流動物送入管に斜めに合流する流動物エア管からなる多岐状管を開示している。この構成では、凝結剤エア管は逆止弁を介して主エア圧縮管に接続されている(特許文献6 段落0030)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭57−209366号公報
【特許文献2】特開昭60−005966号公報
【特許文献3】特開平05−025937号公報
【特許文献4】特開2002−129896号公報
【特許文献5】特開2004−245574号公報
【特許文献6】特開2002−068816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の各特許文献が開示する技術は以下のような問題を有している。
【0013】
特許文献1では、ホースのゴム質の弾性により、万一付着しても弾性により自然に剥離するとされているが、そもそも、ゴム質の弾性のみでは、付着を完全に抑制することは困難である。特に、搬送ホースの中間部において主材料に急結剤を添加する場合や、プラスチック耐火物のように可塑性を有する物質を主材料や添加剤として使用する場合には、ゴム質のホースであっても当該中間部での付着が著しくなり閉塞に至ってしまう。
【0014】
特許文献2が開示する技術は、添加剤が液体である場合には、添加剤を均質に混合することができる。しかしながら、噴霧ノズルを使用しているため、固体の添加への適用は困難である。特に、添加剤として、プラスチック耐火物のような可塑性を有する物質を使用する場合には、閉塞が発生するため使用できない。
【0015】
特許文献3が開示する技術では、付着が発生しやすい主材料や添加剤を使用する場合であっても、付与する振動を大きくすれば付着を抑制する効果は得られるかもしれない。しかしながら、その場合には、大きな振動を付与する装置を各部に配置する必要があるため装置が複雑になる上、装置コストが増大してしまう。
【0016】
特許文献4が開示する技術では、ノズルから吐出された後に合流、混合する構成であるため、均質に混合されない可能性がある。また、添加剤として、プラスチック耐火物のような可塑性を有する物質を使用する場合には、内管と外管との間で閉塞が発生する可能性もある。
【0017】
特許文献5が開示する技術は、添加器として、単にY型形状のノズル管を使用する構成であるため、当該ノズル管内に付着、閉塞が発生する可能性があり、特許文献6が開示する技術においても、固体の主材料と固体の添加剤とを混合する場合には、逆止弁に付着、閉塞が発生する可能性がある。
【0018】
以上のように、上述の各特許文献が開示する技術は、低コストで、主材料および添加剤の態(固体であるか液体であるか等)に関わらず、搬送管内における付着、閉塞を完全に抑制するという観点では、十分に満足できるものではない。
【0019】
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、簡便な構成により、搬送管内部に付着や閉塞を発生させることなく、搬送管内を圧送される材料に添加剤を良好に混合することができる吹付用添加器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、主材料と添加剤との混合物による吹付施工に適用される吹付用添加器を前提としている。また、本発明に係る吹付用添加器は、主管部および側管部を備え、圧縮気体により主材料が搬送される第1搬送管と、圧縮気体により添加剤が搬送される第2搬送管とを連結し、主材料と添加剤とを第3搬送管に送出する。主管部は、上流側に第1搬送管が接続されるとともに、下流側に第3搬送管が接続される。側管部は、主管部に連通するとともに、第2搬送管が接続される。この側管部は、外側管および内側管を備える。外側管は主管部に支持される。また、内側管は、下流側端部を遊動端として外側管に支持されている。第2搬送管内を搬送された添加剤は内側管の内部を通過する。
【0021】
この吹付用添加器によれば、主材料が主管部内を搬送されるとき、あるいは添加剤が側管部内を搬送されるときに、外側管に固定されていない内側管の下流側端部が振動する。当該振動により、内側管内壁への主材料や添加剤の付着を抑制でき、付着、閉塞が発生する可能性の高い、第1搬送管と第2搬送管との連結部において、搬送管内に主材料や添加剤が付着することを防止できる。
【0022】
上記振動を好適に発生する観点では、内側管の遊動端と外側管との間に隙間を設けることが好ましい。なお、内側管は、例えば、ゴム弾性を有する弾性材料により構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送管内部に付着や閉塞を発生させることなく、搬送管内を圧送される材料に対して添加剤を良好に混合することができる。また、非常に簡便な構成で実現可能であるため、施工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における吹付用添加器を適用した吹付装置の一例を示す図
【図2】本発明の一実施形態における吹付用添加器の構造を示す部分断面図
【図3】本発明の一実施形態における吹付用添加器における側幹部の構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態における吹付用添加器を適用した吹付装置の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る吹付用添加器10は、圧縮空気により主材料が搬送(圧送)される第1搬送管1と、圧縮空気により添加剤が搬送(圧送)される第2搬送管2とを連結し、主材料および添加剤を第3搬送管3に送出する。主材料および添加剤の混合材は、第3搬送管3内を圧送され、第3搬送管3の下流側端部に接続された吹付ノズル4から被施工体6に向けて吹き付けられる。被施工体6に付着した混合材は施工体5を構成する。
【0026】
主材料は、被施工体6に吹付施工可能な材料であれば特に限定されない。例えば、不定形耐火材料、コンクリート、モルタル等の各種材料を使用することができる。また、主材料は、第1搬送管1および第3搬送管3を経由して施工場所まで圧送可能となるように、粉末、造粒体(例えば、粒状物、小成形物、ブリケット等)、湿潤粉末等の状態に調製され、例えば、第1搬送管1に連結された主材料送出装置(図示せず)に投入される。本実施形態では、第1搬送管1内を搬送キャリアである圧縮空気が流通しており、当該第1搬送管1に、主材料送出装置が一定速度で主材料を送り出す構成になっている。このような、主材料送出装置は公知であるためここでの詳細な説明は省略する。
【0027】
また、添加剤は、搬送ために調製された主材料に事後的に混合されるものであって、主材料以外の他の材料、急結剤、凝結剤等の混和材料のほか、吹き付け時に被施工体6に接着せず落下した材料(いわゆる、リバウンド材)等を含む。本実施形態では、第2搬送管2内を搬送キャリアである圧縮空気が流通しており、当該第2搬送管2に連結された添加剤送出装置(図示せず)が一定速度で添加剤を送り出す構成になっている。本実施形態では、第1搬送管1として、内径50mm、壁面厚10mmのホースを使用している。また、第2搬送管2として、内径32mm、壁面厚7.5mmのホースを使用している。
【0028】
図2は、本実施形態における吹付用添加器10の構造を示す部分断面図である。図2に示すように、吹付用添加器10は、主管部11と、当該主管部11の外周面に設けられ、主管部11に連通する側管部12とを備える。主管部11の両端には、継手17および継手18がそれぞれ設けられている。また、側管部12の端部には、継手16が設けられている。継手17は、第1搬送管1(図1参照)の下流側端部に設けられた継手と嵌合し、継手18は、第3搬送管3(図1参照)の上流側端部に設けられた継手と嵌合し、継手16は、第2搬送管2の下流側端部に設けられた継手20と嵌合する。
【0029】
図3は、図2に示すB−B線に沿う側管部12の断面を示す図である。図2および図3に示すように、側管部12は、外側管14および内側管15を備える。第2搬送管2内を搬送された添加剤は内側管15の内部を通過する。外側管14は、主管部11の外周面および外側管14の外周面に接する支持部材(ケーシング)13によって主管部11に固定されている。支持部材13は、例えば、鉄やアルミニウム等からなる金物により構成することができる。支持部材13と、主管部11および外側管14とは、例えば、六角穴付ボルトのようなボルトやねじ等により固定することができる。なお、支持部材13は、外側管14を主管部11に固定可能であれば、他の構成を採用可能である。
【0030】
図2に示すように、内側管15は、その上流側端部15bが外側管14に支持される。ここでは、内側管15の上流側端部15bにフランジ状の鍔部を設け、当該鍔部を、継手16のフランジ部16aと、当該フランジ部16aと外側管14との間に設置されるリング状のライナー押さえ21とで、挟み込むことで内側管15を外側管14に固定している。なお、内側管15の下流側端部15aは外側管14に固定されておらず、遊動可能に構成されている。以下、上流側端部15bを固定端15b、下流側端部15aを遊動端15aという。
【0031】
特に限定されないが、本実施形態の吹付用添加器10は、主管部11の外周面に、主管部11の軸心に対して軸心が傾斜した貫通孔19が設けられており、当該貫通孔19に外側管14が挿入される構成を有する。ここでは、外側管14の挿入側端部は、貫通孔19への挿入時に主管部11の内壁面と面一になる形状を有している。また、貫通孔19は、吹付用添加器10より上流側の第1搬送管1の軸心(継手17の軸心)と、第2搬送管2の軸心(継手16の軸心)とのなす角θが鋭角となる状態で設けられる。角θは、例えば、10度〜45度の範囲内とすることが好ましく、15度〜25度の範囲内とすることがより好ましい。このような角度を採用することで、主管部11内を第1搬送管1から第3搬送管3へ搬送される主材料の進行を阻害することなく添加剤を良好に混合できるとともに、主材料の側管部12への進入を防止できる。ここでは、角θを20度としている。
【0032】
以上のような構成を有する吹付用添加器10では、主材料が主管部11内を搬送されるとき、あるいは添加剤が側管部12内を搬送されるときに、主材料や添加剤の搬送キャリアである圧縮空気の移動に伴って内側管15の遊動端15aが振動する。本実施形態の吹付用添加器10のようにト字状に主材料と添加剤とが合流する構成では、合流部において異方向に進行する主材料と添加剤とが互いに衝突するため、合流部の近傍の内壁に、分岐および合流のない搬送管の直進部に比べて多くの主材料および添加剤が衝突する。特に、本実施形態の吹付用添加器10では、主管部11を直進する主材料に側管部12から添加剤が進入するため、主管部11の搬送方向下流側に位置する側管部12内壁に多くの添加剤が衝突する。そのため、例えば、可塑性を有する材料等を添加剤として使用する場合、当該部分の内壁に添加剤が付着しやすくなる。また、急結剤、凝結剤等を添加剤として使用する場合、合流部の内壁に急結剤、凝結剤等が付着すると、当該付着した添加剤と接触した主材料が、当該壁面上で凝結することになる。しかしながら、本実施形態の吹付用添加器10では、上述のように、内側管15の遊動端15aが振動するため、内壁への添加剤の付着を抑制することができる。加えて、仮に、添加剤が付着した場合でも振動により離脱されるため、添加剤の付着に起因する内側管15の閉塞を防止することができる。
【0033】
また、図2および図3から理解できるように、本実施形態では、遊動端15aと外側管14との間に隙間を設けている。このような隙間を設けることにより、遊動端15aがより容易に振動できるため、添加剤による内側管15の閉塞をより確実に防止することができる。例えば、隙間の間隔(外側管14の内壁面に垂直な方向)は、1mm〜20mm、より好ましくは、5mm〜10mmとすればよい。
【0034】
このような隙間は、任意の手法により設けることができる。例えば、外側管14の内径を均一に構成するとともに、内側管15の固定端15bの外径より内側管15の遊動端15aの外径を小さくする構成を採用することにより実現できる。あるいは、内側管15の外径を均一に構成するとともに、外側管14の上流側内径よりも下流側内径を大きくする構成を採用することにより実現できる。本実施形態では、固定端15bから遊動端15aに向かって外径および内径が徐々に小さくなる内側管15を、内径が均一な外側管14に挿入した構成になっている。例えば、遊動端15aの内径を固定端15bの内径の7〜9割程度に設定すると、より容易に遊動端15aを振動させることができる。なお、ここでは、遊動端15aの内径は、内側管15の軸心に垂直な面内、かつ断面の全周に壁面が存在する端部(図2中の位置A)における内径を意味する。
【0035】
内側管15は、遊動端15aが遊動可能であれば任意の材料により構成することができる。添加剤の付着をより抑制する観点では、内側管15は弾性体で構成することが好ましい。内側管15を弾性体で構成することにより、添加剤が衝突してもその衝撃を緩和できるため、可塑性を有する添加剤を使用する場合であっても、添加剤の付着をより抑制することができる。このような弾性体としては、ゴムやプラスチック(軟質プラスチック)等のゴム弾性を有する材料を使用することができる。なお、この場合、内側管15の内径の変動を伴う振動が発生する。
【0036】
弾性体としてゴムを使用する場合、例えば、耐摩耗性ゴム、硬質ゴム、軟質ゴム、合成ゴム、天然ゴム等を適宜選択することができる。付着性や弾性、耐摩耗性の観点では、天然ゴムを使用することがより好ましい。例えば、厚さ1mm〜10mm、より好ましくは厚さ3mm〜5mmの天然ゴムを使用することができる。
【0037】
本実施形態では、厚さ4mmの天然ゴムにより内側管15(ゴムノズル)を構成し、遊動端15aの内径を31mm、固定端15bの内径を38mmとしている。また、外側管14の内径は50mmとしているため、遊動端15aにおける内側管15と外側管14との間の隙間の間隔は、5mm(位置A)〜8mm(最先端)程度である。
【0038】
なお、主管部11と、側管部12の外側管14には、例えば、ゴムなど、圧送に使用される公知の材質を適宜使用することができる。
【0039】
以上のような構成を有する吹付用添加器10において添加剤が混合された主材料(混合材)は、第3搬送管3内を圧送され、第3搬送管3の他端に接続された吹付ノズル4から被施工体6に向けて吹き付けられる。
【0040】
上述の吹付用添加器10を適用した吹付施工の一例として、主材料としてプラスチック耐火物、添加剤としてリバウンド材を用いて吹付施工を実施した。プラスチック耐火物は、耐火性骨材、耐火粘土および少量の粘着材等を含み、水を適当量添加して混練し、適度な軟らかさに調製したものを主材料として使用した。また、リバウンド材は、被施工体6に吹き付けられたプラスチック耐火物のうち被施工体6に接着せず落下した耐火物である。なお、主材料送出装置から吹付用添加器10までの間の第1搬送管1の長さは50m、添加剤送出装置から吹付用添加器10までの間の第2搬送管2の長さは10m、第3搬送管3の長さは10mである。
【0041】
このように、主材料および添加剤が可塑性を有する材料を使用する場合、例えば、上記特許文献5が開示するようなY型形状のノズル管を使用すると、その合流部分で可塑性を有する材料が付着し、短時間で閉塞が発生する。しかしながら、本実施形態の吹付用添加器10を使用した場合、ゴムノズルからなる内側管15が振動することにより、主材料であるプラスチック耐火物も、添加剤であるリバウンド材も、ホース(搬送管)内および吹付用添加器10内に付着、閉塞することなく吹付施工を実施することが可能であった。
【0042】
以上説明したように、本発明に係る吹付用添加器では、主管部内を搬送される主材料に添加剤を混合する状況下において、主材料が主管部内を搬送されるとき、あるいは添加剤が側管部内を搬送されるときに、外側管に固定されていない内側管の下流側端部が振動する。当該振動により、内側管への主材料や添加剤の付着を抑制でき、付着、閉塞が発生する可能性の高い、第1搬送管と第2搬送管との連結部において、内部に主材料や添加剤が付着することを防止できる。また、非常に簡便な構成で実現可能であるため、施工コストを低減することができる。
【0043】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、本発明の添加器は、主材料と添加剤との混合材により吹付施工を実施する場合に、任意の主材料と添加剤との組み合わせに使用可能である。また、上記では、圧縮空気により主材料および添加剤を圧送したが、搬送キャリアとして使用可能であれば、空気以外の気体を圧送に使用することを妨げない。さらに、吹付ノズルや、搬送キャリアを搬送管に供給する機構等の構成も特に限定されるものではなく、任意の構成のものを使用することができる。加えて、第1、第2および第3搬送管は、金属管等の剛性を有するパイプや柔軟性を有するホース等、任意の材質の配管を採用できる。なお、配管の断面形状は円形であることが好ましいが、他の断面形状を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、簡便な構成により、搬送管内部に付着や閉塞を発生させることなく、搬送管内を圧送される材料に添加剤を良好に混合することができ、吹付用添加器として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 第1搬送管
2 第2搬送管
3 第3搬送管
4 吹付ノズル
10 吹付用添加器
11 主管部
12 側管部
13 支持部材(ケーシング)
14 外側管
15 内側管
45a 遊動端
45b 固定端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主材料と添加剤との混合物による吹付施工に適用され、圧縮気体により主材料が搬送される第1搬送管と、圧縮気体により添加剤が搬送される第2搬送管とを連結し、主材料と添加剤とを第3搬送管に送出する吹付用添加器であって、
上流側に前記第1搬送管が接続されるとともに、下流側に前記第3搬送管が接続される主管部と、
前記主管部に連通するとともに、前記第2搬送管が接続される側管部と、
を備え、
前記側管部が、
前記主管部に支持される外側管と、
下流側端部を遊動端として前記外側管に支持され、前記第2搬送管内を搬送された添加剤が内部を通過する内側管と、
を備える、吹付用添加器。
【請求項2】
前記内側管の遊動端と、前記外側管との間に隙間を備える、請求項1記載の吹付用添加器。
【請求項3】
前記内側管が、ゴム弾性を有する弾性材料からなる、請求項1または2記載の吹付用添加器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−131207(P2012−131207A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287512(P2010−287512)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001971)品川リフラクトリーズ株式会社 (112)
【Fターム(参考)】