説明

回転ヒンジ構造及び携帯電子機器

【課題】簡単な部品構成によって、縦長状態又は縦長状態から表示部を左右どちらにも回転でき、横長又は縦長状態にすることができる回転ヒンジ構造及び携帯電子機器を提供する。
【解決手段】表示部4と第1の筐体1とが相対的に右又は左方向に回転することにより、第1の筐体1に対して表示部4を縦長状態と横長状態との間で相互に切り替え自在な回転ヒンジ構造であって、第1の筐体1は、縦溝54と、表示部4の所定角度以上の回転を規制する上下内壁面511,512と、を有するローターハウジング5と、表示部4と連結され、かつ、縦溝54に連通されたピン7と連結して、ピン7が縦溝54内を移動するとともに、ローターハウジング5に対して右又は左方向に回転自在に設けられたローター6と、ローター6とローターハウジング5とを連結し、表示部4が縦長又は横長状態を保持するようにローター6を縦溝54に対して付勢するバネ8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を縦長状態と横長状態との間で切り替え自在な回転ヒンジ構造及び携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部が設けられた第2の筐体と操作部が設けられた第2の筐体とをヒンジ部で折り畳み自在に連結した折り畳み式携帯電話機において、第一の筐体に対して表示部が、縦長状態と、縦方向ガイド溝に沿って第2ガイドピンが移動するとともに、左右方向ガイド溝に沿って第2ガイドピンが移動することによって右方向に回転して横長状態に切り替えられるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、表示部を左又は右に90度回転させ、この回転に応じて表示状態を自動的に変更するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−211576号公報
【特許文献2】特開平9−159467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の折り畳み式携帯電話機では、右回転しか考慮されておらず、利き手に応じて左回転させることができないという問題がある。また、上記特許文献2では、表示部の回転は左右共にできるように記載されているが、その機構がどのようなものであるかは開示されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な部品構成によって、縦長状態又は縦長状態から表示部を左右どちらにも回転できて、横長状態又は縦長状態にすることができる回転ヒンジ構造及び携帯電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示部と、
前記表示部が設けられた第1の筐体と、を備え、
前記表示部と前記第1の筐体とが相対的に右方向又は左方向に回転することによって、前記第1の筐体に対して前記表示部を縦長状態と横長状態との間で相互に切り替え自在な回転ヒンジ構造であって、
前記第1の筐体は、
上下に延在する縦溝と、前記表示部の所定角度以上の回転を規制する回転規制部と、を有する回転支持部と、
前記表示部と連結され、かつ、前記縦溝に連通されたピンと連結して、前記ピンが前記縦溝内を移動するとともに、前記回転支持部に対して右方向又は左方向に回転自在に設けられたカム部材と、
前記カム部材と前記回転支持部とを連結し、前記表示部が前記縦長状態又は前記横長状態を保持するように、前記カム部材を前記縦溝に対して付勢する弾性部材と、を備え、
前記縦長状態又は前記横長状態から、前記弾性部材の付勢力に抗して前記表示部を右方向又は左方向に回転させることによって、前記縦溝に沿って前記ピンが上下方向に移動するとともに、前記カム部材が前記回転規制部によって回転が規制されて前記横長状態又は前記縦長状態に保持されることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回転ヒンジ構造において、
前記カム部材は、右方向の回転時に前記回転規制部に接触して回転規制される第2の接触部及び第4の接触部と、左方向の回転時に前記回転規制部によって接触して回転規制される第1の接触部及び第3の接触部と、を備え、
前記右方向の回転時に前記第1の接触部及び前記第3の接触部は前記回転規制部に接触せずに、
前記左方向の回転時に前記第2の接触部及び前記第4の接触部は前記回転規制部に接触しないことを特徴とする。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の回転ヒンジ構造において、
前記回転規制部には、前記カム部材の外周面に係合する係合部が設けられ、
前記縦長状態及び前記横長状態の時に、前記カム部材の外周面と前記係合部とが係合することを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、携帯電子機器において、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転ヒンジ構造と、
操作部が設けられた第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な部品構成によって表示部を右方向又は左方向のどちらにも回転させることができ、縦長状態と横長状態の切り替えをスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本発明を適用する携帯電子機器として折り畳み式携帯電話機100を示すものであり、折り畳み式携帯電話機100は、第1の筐体1と第2の筐体2とがヒンジ部3を介して折り畳み開閉自在に連結されている。第2の筐体2にはキー操作部21が設けられ、第1の筐体1には別体の表示部4が回転ヒンジ構造を介して設けられている。
図1(a)は、第1の筐体1と第2の筐体2をヒンジ部3で折り畳んで重ねた折り畳み状態の斜視図、(b)は、第1の筐体1と第2の筐体2をヒンジ部3で開いた状態で、表示部4を縦長状態とした斜視図、(c)は、(b)の状態から表示部4を左方向に回転させて横長状態とした斜視図である。
【0010】
図2は、回転ヒンジ構造の一実施形態の構成として表示部4、第2の筐体2を分解した分解斜視図、図3は、表示部4、第1の筐体1のフロントケース11及びローター6の分解斜視図である。
第1の筐体1は、折り畳んだ際に内側(キー操作部23側)に位置するフロントケース11と、外側に位置するリアケース12とを備えている。フロントケース11は、平板状をなし、リアケース12は外側に向けて窪んだ略箱状をなしている。そして、フロントケース11とリアケース12とを互いに接合することによって第1の筐体1が構成されている。
フロントケース11とリアケース12とを接合することによって形成される空間内には、フロントケース11の表面上で表示部4を回転自在とするローターハウジング(回転支持部)5及びローター(カム部材)6が収容されている。また、上記空間内には、表示部4への配線(図8の矢印参照)やスピーカ(図示しない)等が収容されている。
第2の筐体2も、折り畳んだ際に内側に位置するフロントケースと、外側に位置するリアケースとを備え、フロントケースには操作キー群22を露出する操作キー孔群23が形成されており、フロントケースとリアケースとを接合することによって形成される空間内には、操作キー群22や、図示しないが折り畳み式携帯電話機100全体を制御するメインプロセッサ等が設けられた回路基板を支持する中ケース、キーシート、マイク、バッテリー、カメラユニット等が収容されている。
【0011】
図4は、ローター6、ローターハウジング5、ピン7及びバネ8の分解斜視図、図5(a)は、ローター6及びローターハウジング5をピン7によって固定し、ローターハウジング5の表面側から見た際の平面図、図5(b)は切断線V−Vに沿って切断した際の矢視断面図、図5(c)は図5(b)の要部拡大図である。
また、図6は、折り畳み式携帯電話機100を折り畳んだ状態で、第1の筐体1のリアケース12を取り外した際の斜視図、図7は図6の平面図である。なお、以下の説明において上下方向や左右方向とは図5(a)を基準として説明する。
ローターハウジング5は、上側に向けて凸となるような山形状のプレートであり、その表面に凹部51が形成されている。凹部51の平面形状は、その下端部を除いて、ローターハウジング5の外形に略沿って上側に向けて凸となる山形状に形成されている。凹部51を形成する内壁面のうち下端部の内壁面(回転規制部)511は、上向きに凸となるように円弧状に形成されている。そして、右方向に回転する際に、下端部内壁面511に、後述のローター6の第2の接触部62が接触することによって回転が規制され、上端部内壁面(回転規制部)512には、第4の接触部64が接触することによって回転が規制される。また、左方向に回転する際には、下端部内壁面511に第1の接触部61が接触することによって回転が規制され、上端部内壁面512には第3の接触部63が接触することによって回転が規制される。
また、下端部内壁面511は、ローター6の外周面65,66,67に係合する係合部511aとされている。また、凹部51を形成する内壁面のうち左側の内壁面で、かつ、上端部内壁面512を除く部分には、右方向に回転する際にローター6の第1の接触部61が挿入され、左方向に回転する際に第4の接触部64が挿入されるスリット部52が形成されている。さらに、スリット部52に対向する右側の壁部は、右方向に回転する際にローター6の第3の接触部63がその表面上に乗り上げて移動し、左方向に回転する際に第2の接触部62が乗り上げて移動できるように、他の壁部(左側の壁部、下端部壁部や上端部壁部)に比べて高さが低くなっており、段差部53が形成されている。この段差部53の長さと、スリット部52の長さとは略等しい長さとされている。
また、凹部51の略中央の底面には、後述のピン7が移動することによってローター6を回転可能とする上下に長い縦溝54が形成されている。
なお、ローターハウジング5の上端部には、ローターハウジング5とフロントケース11とをネジN1,N1によって固定するネジ穴55,55が左右にそれぞれ形成されている。また、ローターハウジング5の下端部には、ローターハウジング5とフロントケース1とをネジN2によって固定するネジ穴56a、フロントケース11とリアケース12とをネジN3,N3によって固定するネジ穴56b,56bが形成されている。
【0012】
ローター6は、平面視略X字形の板状をなし、左下、右下、右上及び左上にそれぞれ延出し、ローターハウジング5の凹部51を形成する内壁面(具体的には凹部51を形成する上端部内壁面512や下端部内壁面511)に接触することによって回転が規制される第1の接触部61、第2の接触部62、第3の接触部63及び第4の接触部64が形成されている。第1の接触部61と第4の接触部64との間の外周面65は、ローターハウジング5の係合部511aに沿って同形状に円弧状に形成され、係合部511aに係合可能とされている。第2の接触部62と第3の接触部63との間の外周面66や、第1の接触部61と第2の接触部62との間の外周面67も、ローターハウジング5の係合部511aに沿って同形状に円弧状に形成され、係合部511aに係合可能とされている。そのため、表示部4を右方向又は左方向に回転させて横長状態とした場合に、係合部511aにローター6の外周面65又は外周面66が係合して回転移動が停止されるようになっている。また、表示部4を縦長状態とした場合にも、係合部511aにローター6の外周面67が係合して回転移動が停止されるようになっている。このように、係合部511aによって、ローター6は、図5(a)の状態から右方向にも左方向にも90度以上の回転ができないように規制されている。
また、第1〜第4の接触部61〜64(点Ma、Mb、Mc、Md)は、後述するが図11(a)に示す表示部4の二つの対角線上において、中心点Aと表示部4のコーナー部である各点P1〜P4との間の中点に位置するようになっている。
【0013】
また、ローター6の略中央には、ピン7が挿入されるピン穴68が形成され、ピン穴68の下側には、ローター6と表示部4とを固定するネジ穴69,69,…が形成されている。ネジ穴69に挿通されたネジN4は、表示部4側に予め固定されたボス41(図3参照)により止着されるようになっている。
ローター6とローターハウジング5とは、ピン7が縦溝54に挿通されることによって互いに固定されている。ピン7は、縦溝54から抜けないようにローターハウジング5の裏面で固定される固定板71と、固定板71に形成されて縦溝54及びローター6のピン穴67に挿通されるピン部72と、ピン部72の先端に形成されてピン穴68に係止する係止部73と、から構成されている。したがって、ピン部72を、縦溝54及びピン穴67に挿通させて、係止部73でピン穴68に係止させることにより固定されている。また、固定板71の裏面とローターハウジング5の裏面とは、左右にそれぞれバネ8,8によって接続されており、ピン7を縦溝54の下方向へ常に付勢している。すなわち、バネ8の一端部81が固定板71の裏面に固定され、他端部82がローターハウジング5の裏面に固定されている。
【0014】
図8は図7の切断線VIII−VIIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
表示部4への配線経路は、図8の矢印で示すように、第2の筐体2内に設けられた回路基板(図示しない)からヒンジ部3内を介して第1の筐体1のリアケース12とフロントケース11との間の空間を通って、ピン7のピン部72内に挿通されて表示部4側に引き出されて接続されている。
【0015】
図9(a)〜(c)は、表示部4を右方向に回転させた場合のローター6の回転移動を示した図であり、図10(a)〜(c)は、表示部4を左方向に回転させた場合のローター6の回転移動を示した図である。
まず、表示部4を右方向に回転させた場合の動作について説明する。
図9(a)は、表示部4が縦長状態であり、このとき第1の接触部61及び第2の接触部62はローターハウジング5の凹部51を形成する下端部内壁面511に接触するとともに、第1の接触部61と第2の接触部62との間の外周面67と係合部511aとが係合している。また、第3の接触部63は、段差部53近傍の内壁面に当接し、第4の接触部64はスリット部52の入口近傍の内壁面に当接している。これによってローター6の移動が停止され、表示部4が縦長状態に保持されている。
図9(b)は、図9(a)の状態から、右方向に90度回転させる途中の状態を示しており、バネ8の付勢力に抗して右方向に回転させると、ピン7は縦溝54の上端部に移動するとともに、第1の接触部61はスリット部52内に挿入され、第2の接触部62は下端部内壁面511に沿って移動する。第3の接触部63は段差部53に乗り上げて段差部53上を移動し、第4の接触部64は上端部内壁面512に沿って移動する。このとき、第2の接触部62と第4の接触部64とが下端部内壁面511及び上端部内壁面512に接触しているので、これによってローター6の移動が規制されている。
図9(c)は、図9(b)の状態から、右方向にさらに回転させて表示部4を横長状態とした場合である。このとき、バネ8の付勢力によってピン7は縦溝54の下端部に移動するとともに、第1の接触部61はスリット部52の内壁面に当接し、第2の接触部62は下端部内壁面511の左端部に移動する。第3の接触部63は下端部内壁面511の右端部に移動し、第4の接触部64は段差部53の内壁面に当接する。これによってローター6の移動が停止され、表示部4が横長状態に保持される。
【0016】
次に、表示部4を左方向に回転させた場合の動作について説明する。
図10(a)は、図9(a)と同様に表示部4が縦長状態に保持されている。
図10(b)は、図10(a)の状態から、左方向に90度回転させる途中の状態を示しており、バネ8の付勢力に抗して左方向に回転させると、ピン7は縦溝54の上端部に移動するとともに、第1の接触部61は下端部内壁面511に沿って移動し、第2の接触部62は段差部53に乗り上げて段差部53上を移動する。第3の接触部63は上端部内壁面512に沿って移動し、第4の接触部64はスリット部52内に挿入される。このとき、第1の接触部61と第3の接触部63とが下端部内壁面511及び上端部内壁面512に当接しているので、これによってローター6の移動が規制されている。
図10(c)は、図10(b)の状態から、左方向にさらに回転させて表示部4を横長状態とした場合である。このとき、バネ8の付勢力によってピン7は縦溝54の下端部に移動するとともに、第1の接触部61は、図10(b)の状態から、左方向にさらに回転させて表示部4を横長状態とした場合である。このとき、バネ8の付勢力によってピン7は縦溝54の下端部に移動するとともに、第1の接触部61は下端部内壁面511の右端部に移動し、第2の接触部62は段差部53の内壁面に当接する。第3の接触部63はスリット部52の内壁面に接触し、第4の接触部64は下端部内壁面511の左端部に移動する。これによってローター6の移動が停止され、表示部4が横長状態に保持される。
【0017】
ここで、ローター6の第1〜第4の接触部61〜64における軌跡について説明する。図11(a)〜(c)は、表示部4及びローター6の軌跡を示した図であり、図11(a)は、表示部4が縦長状態の場合であり、図11(b)は、表示部4を右方向に90度回転させる際の軌跡、図11(c)は、表示部4を左方向に90度回転させる際の軌跡を示している。例えば、図11(b)中、「Ma−45°」とは、左方向に表示部を45°回転させた場合の点Maの位置を示している。
図11(a)〜(c)において、ローター6の第1の接触部61を点Maとし、第2接触部62を点Mb、第3の接触部63を点Mc、第4の接触部64を点Mdとして説明する。点線mは表示部4の左右方向の中心線、点線nは表示部4の上下方向の中心線、点Aは中心線mと中心線nとの交点、円Cは点Ma又は点Mbの軌道円、点Oは円Cの中心点、曲線Qは点Mcの軌跡、曲線Rは点Mdの軌跡を示している。また、点Maは点Aと点P1との間の中点、点Mbは点Aと点P2との間の中点、点Mcは点Aと点P3との間の中点、点Mdは点Aと点P4との間の中点である。
図11(a)から右方向に90度回転させる場合、点Mbは円Cの円周上を左方向に90度移動し、点Mdは曲線Q上を右方向に移動する。
図11(a)から左方向に90度回転させる場合、点Maは円Cの円周上を右方向に90度移動し、点Mcは曲線R上を左方向に移動する。
このように、点Ma及び点Mbはともに点Oを中心とした円Cの円周上を移動し、点Mc及び点Mdはともに左右方向の中心線mで線対称な曲線軌道を移動し、右方向の回転と左方向の回転で点Maと点Mb、点Mcと点Mdは同じ軌道を通る。
【0018】
以上のように本発明の実施の形態によれば、縦長状態から、バネ8の付勢力に抗して表示部4を右方向又は左方向に回転させることによって、縦溝54に沿ってピン7が上下方向に移動するとともに、ローター6の第一及び第三の接触部61,63又は第二及び第四の接触部62,64がローターハウジング5の凹部51を形成する下端部内壁面511及び上端部内壁面512に接触することによって回転が規制され、その後、ローター6の外周面65又は外周面66がローターハウジング5の係合部511aに係合することによって横長状態に保持される。また、横長状態から、同様に右方向又は左方向に回転させることによって、第一及び第三の接触部61,63又は第二及び第四の接触部62,64が下端部内壁面511及び上端部内壁面512に接触することによって回転が規制され、その後、ローター6の外周面67が係合部511aに係合することによって縦長状態に保持される。このように簡単な部品構成によって表示部4を右方向又は左方向のどちらにも回転させることができ、縦長状態と横長状態の切り替えをスムーズに行うことができる。
また、ローター6は、第1〜第4の接触部61〜64を備え、右方向の回転時に第2及び第4の接触部62,64が下端部内壁面511及び上端部内壁面512に接触し、第1の接触部61はスリット部52内に挿入され、第3の接触部63は段差部53上に乗り上げられて、上記内壁面511,512には接触せずにフリーな状態とされる。そして、左方向の回転時に第1及び第3の接触部61,63が下端部内壁面511及び上端部内壁面512に接触し、第4の接触部64はスリット部52内に挿入され、第2の接触部62は段差部53上に乗り上げられて、上記内壁面511,512には接触せずにフリーな状態とされる。このようにローター6の四つの接触部61〜64のうちピン7を中心とした点対称の関係となる1組の2点が接触し、他の2点がフリーな状態となるので、単純な構成で右方向又は左方向の回転をスムーズに行うことができる。
さらに、ローターハウジング5にはローター6の外周面65,66,67に係合する係合部511aが設けられ、縦長状態及び横長状態の時に、ローター6の外周面65,66,67のいずれかと係合部511aとが係合するので、縦長状態及び横長状態で停止されて、その状態を確実に保持することができる。
また、折り畳み式携帯電話機100は、上述の回転ヒンジ構造と、操作キー部23が設けられた第2の筐体2と、第1の筐体1と第2の筐体2とを折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部3と、を備えるので、操作者が右利きでも左利きの場合でも容易に回転させて操作することができる。
【0019】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では携帯電子機器として折り畳み式携帯電話機100を適用したが、折り畳み式に限るものではなく、第1の筐体1と第2の筐体2とを相対的にスライドさせるもので右方向あるいは左方向に回転させて縦長状態から横長状態に切り替えるような構成としても良い。また、折り畳み式やスライド式以外に、表示部4と操作キー部23とが同一平面上にあるストレートタイプの携帯電話機に本発明を適用しても良い。
また、その他、デジタルカメラ、ビデオカメラ、PDA、ノートパソコン、ウェラブルパソコン、電卓、電子辞書等の携帯電子機器全てに用いることができる。
【0020】
また、表示部4及びローター6を下方向に付勢する手段としてバネ8以外に、ゴム等の弾性部材を使用しても良いし、その他具体的な細部構造等についても適宜変更可能なことは勿論である。
また、ローターの形状はX字形以外にもY字形、その他の形状にしてもよく、この場合ローターハウジングの形状をローターの形状に合わせて変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、第1の筐体1と第2の筐体2をヒンジ部3で折り畳んで重ねた折り畳み状態の斜視図、(b)は、第1の筐体1と第2の筐体2をヒンジ部3で開いた状態で、表示部4を縦長状態とした斜視図、(c)は、(b)の状態から表示部4を左方向に回転させて横長状態とした斜視図である。
【図2】図2は、回転ヒンジ構造の一実施形態の構成として表示部4、第2の筐体2を分解した分解斜視図である。
【図3】表示部4、第1の筐体1のフロントケース11及びローター6の分解斜視図である。
【図4】ローター6、ローターハウジング5、ピン7及びバネ8の分解斜視図である。
【図5】(a)は、ローター6及びローターハウジング5をピン7によって固定し、ローターハウジング5の表面側から見た際の平面図、(b)は切断線V−Vに沿って切断した際の矢視断面図、(c)は(b)の要部拡大図である。
【図6】折り畳み式携帯電話機100を折り畳んだ状態で、第1の筐体1のリアケース12を取り外した際の斜視図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】図7の切断線VIII−VIIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、表示部4を右方向に回転させた場合のローター6の回転移動を示した図である。
【図10】(a)〜(c)は、表示部4を左方向に回転させた場合のローター6の回転移動を示した図である。
【図11】(a)〜(c)は、表示部4及びローター6の軌跡を示した図であり、(a)は、表示部4が縦長状態の場合であり、(b)は、表示部4を右方向に90度回転させる際の軌跡、(c)は、表示部4を左方向に90度回転させる際の軌跡を示している。
【符号の説明】
【0022】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 ヒンジ部
4 表示部
5 ローターハウジング(回転支持部)
6 ローター(カム部材)
7 ピン
8 バネ(弾性部材)
21 キー操作部
54 縦溝
61 第1の接触部
62 第2の接触部
63 第3の接触部
64 第4の接触部
65,66,67 外周面
100 折り畳み式携帯電話機
511 下端部内壁面(回転規制部)
512 上端部内壁面(回転規制部)
511a 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部が設けられた第1の筐体と、を備え、
前記表示部と前記第1の筐体とが相対的に右方向又は左方向に回転することによって、前記第1の筐体に対して前記表示部を縦長状態と横長状態との間で相互に切り替え自在な回転ヒンジ構造であって、
前記第1の筐体は、
上下に延在する縦溝と、前記表示部の所定角度以上の回転を規制する回転規制部と、を有する回転支持部と、
前記表示部と連結され、かつ、前記縦溝に連通されたピンと連結して、前記ピンが前記縦溝内を移動するとともに、前記回転支持部に対して右方向又は左方向に回転自在に設けられたカム部材と、
前記カム部材と前記回転支持部とを連結し、前記表示部が前記縦長状態又は前記横長状態を保持するように、前記カム部材を前記縦溝に対して付勢する弾性部材と、を備え、
前記縦長状態又は前記横長状態から、前記弾性部材の付勢力に抗して前記表示部を右方向又は左方向に回転させることによって、前記縦溝に沿って前記ピンが上下方向に移動するとともに、前記カム部材が前記回転規制部によって回転が規制されて前記横長状態又は前記縦長状態に保持されることを特徴とする回転ヒンジ構造。
【請求項2】
前記カム部材は、右方向の回転時に前記回転規制部に接触して回転規制される第2の接触部及び第4の接触部と、左方向の回転時に前記回転規制部によって接触して回転規制される第1の接触部及び第3の接触部と、を備え、
前記右方向の回転時に前記第1の接触部及び前記第3の接触部は前記回転規制部に接触せずに、
前記左方向の回転時に前記第2の接触部及び前記第4の接触部は前記回転規制部に接触しないことを特徴とする請求項1に記載の回転ヒンジ構造。
【請求項3】
前記回転規制部には、前記カム部材の外周面に係合する係合部が設けられ、
前記縦長状態及び前記横長状態の時に、前記カム部材の外周面と前記係合部とが係合することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転ヒンジ構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転ヒンジ構造と、
操作部が設けられた第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳み開閉自在に連結するヒンジ部と、を備えたことを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−111694(P2009−111694A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281637(P2007−281637)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】