説明

固体酸化物形燃料電池セル、それを備えた燃料電池モジュール、および燃料電池装置

【課題】複数の燃料ガス流路に関して、複数の燃料ガス流路を流れる燃料ガス(生成ガス)の流量のばらつきを抑えることができ、さらに、固体酸化物形燃料電池セルの利用効率を従来より向上させることができる固体酸化物形燃料電池セルを得る。
【解決手段】並設される複数の燃料ガス流路2に関して、一の燃料ガス流路を燃料ガス供給部70から燃料ガスの供給を受け、オフガス放出部80へ燃料ガスの放出を行わない上流側燃料ガス流路2Uとし、他の燃料ガス流路2を主に上流側燃料ガス流路2Uから燃料ガスの供給を受け、且つオフガス放出部80へ燃料ガスの放出を行う下流側燃料ガス流路2Dとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させる燃料ガス流路を有する多孔質な導電性支持体の一方側の前記平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層が順に積層され、他方側の前記平坦面上に、インターコネクタが積層されて成り、
セルの一方側に設けられる燃料ガス供給部から前記燃料ガス流路に燃料ガスの供給を受けるとともに、セルの他方側に設けられるオフガス放出部へ前記燃料ガス流路を介して燃料ガスを放出する構成で、
前記導電性支持体の内部に、複数の前記燃料ガス流路を並設して備えた固体酸化物形燃料電池セル、それを備えた燃料電池モジュール、および燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような固体酸化物形燃料電池セルとして、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス流路を有するとともに、Niを含有してなる導電性支持体の一方側の平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層を順に積層するとともに、他方側の平坦面上にインターコネクタが積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルがある(例えば、特許文献1参照。)。
この種の固体酸化物形燃料電池セルは、その複数と、前記空気極層に電気的に接続される第一面と、前記インターコネクタに電気的に接続される第二面とを備えた集電部材との複数とを、集電部材の第一面に特定の固体酸化物形燃料電池セルの空気極層が電気的に接続され、集電部材の第二面に別の固体酸化物形燃料電池セルのインターコネクタが電気的に接続される形態で、固体酸化物形燃料電池セルと集電部材とを交互に配置して設け、固体酸化物形燃料電池モジュールを構成する。
更に、当該固体酸化物形燃料電池モジュールを所定形状の収納容器内に収納し、前記燃料ガス流路に燃料ガスを、さらに、前記燃料ガスに対する酸素含有ガスを前記収納容器内に供給することで、電力を発生させることができる。
【0003】
従来型の固体酸化物形燃料電池セルでは、特許文献1に記載されるように、セルの一方側に設けられる燃料ガス供給部(特許文献1に記載の例では、セルの下方に設けられるマニホールド16)から燃料ガスの供給を受けるとともに、セルの他方側に設けられるオフガス放出部(特許文献1に記載の例では、セルの上方部位でセルと改質器20との間の空間)へ燃料ガス流路を介してオフガス(通常、このオフガスには、発電により生成される生成ガスの他、発電に供されなかった燃料ガスも含まれる。)を放出する構成が採用されており、導電性支持体1の内部に、複数の上下方向に直線を成す燃料ガス流路が並設して備えられていた。
ここで、特許文献1の図1、2から明らかなように、並設される燃料ガス流路は、多くの場合、その流路径が同一とされるとともに、その流路長も同一とされ、燃料ガスは、燃料ガス流路を下方から上方へ並行流を成して流れる構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成を採用した場合、各燃料ガス流路においては、燃料ガスが燃料ガス供給部側から、オフガス放出部側へ単に直線路を成して流れる構造とされているため、多孔体とされている導電性支持体(アノード支持体)への燃料ガスの供給、同導電性支持体からの生成ガスの排出に一定の限界が発生し、固体酸化物形燃料電池セルの利用効率において限界がある。
【0006】
さらに、固体酸化物形燃料電池セルと集電体とを組み合わせて構成される固体酸化物形燃料電池モジュールにおいて、例えば、複数並列配置される固体酸化物形燃料電池セル間で、並設中央側に位置する固体酸化物形燃料電池セルと並設端側に位置する固体酸化物形燃料電池セルとの間で、燃料ガスの流量にばらつきが発生しやすい。
【0007】
このようなばらつきを吸収するためには、複数並列配置される固体酸化物形燃料電池セル間で、燃料ガス流路の孔径を調整することも考えられるが、この対策を採用した場合、導電性支持体(アノード支持体)内における燃料ガス、生成ガスの挙動(拡散性)が影響を受け、固体酸化物形燃料電池セルの特性が変化し好ましくなかった。
【0008】
本発明の目的は、複数の燃料ガス流路に関して、複数並列配置される固体酸化物形燃料電池セル間で、複数の燃料ガス流路を流れる燃料ガス(生成ガス)の流量のばらつきを抑えることができ、さらに、固体酸化物形燃料電池セルの利用効率を従来より向上させることができる固体酸化物形燃料電池セル、固体酸化物形燃料電池モジュール、さらには燃料電池装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成することができる、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させる燃料ガス流路を有する多孔質な導電性支持体の一方側の前記平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層が順に積層され、他方側の前記平坦面上に、インターコネクタが積層されて成り、
セルの一方側に設けられる燃料ガス供給部から前記燃料ガス流路に燃料ガスの供給を受けるとともに、セルの他方側に設けられるオフガス放出部へ前記燃料ガス流路を介して燃料ガスを放出する構成で、
前記導電性支持体の内部に、複数の前記燃料ガス流路を並設して備えた固体酸化物形燃料電池セルの、本願第1の特徴構成は、
前記並設される前記複数の燃料ガス流路に関して、一の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部から燃料ガスの供給を受け、前記オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行わない上流側燃料ガス流路として構成し、他の燃料ガス流路を主に前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、且つ前記オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行う下流側燃料ガス流路として構成したことにある。
【0010】
この固体酸化物形燃料電池セルでは、複数並設される燃料ガス流路の一部を、上流側燃料ガス流路とし、さらに、一部を下流側燃料ガス流路とする。ここで、上流側燃料ガス流路は、燃料ガス供給部から燃料ガスの供給を受け、オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行わない燃料ガス流路とする。従って、上流側燃料ガス流路は、燃料ガス供給部から燃料ガスを受け入れ、実質的に、少なくとも導電性支持体、若しくは当該部位の下流側に備えられる燃料ガス流路への燃料ガスの供給元としての役割を果たす。一方、下流側燃料ガス流路は、主に前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、且つ前記オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行う。従って、下流側燃料ガス流路は、少なくとも導電性支持体、若しくは当該部位と上流側に備えられる燃料ガス流路からのオフガス(燃料ガス及び発電により生成された生成ガスを含む)の排出流路としての役割を果たす。
【0011】
従って、上流側燃料ガス流路と下流側燃料ガス流路とを含む本願にいう「複合形燃料ガス流路」は全体として、その圧力損失は増加する。
さらに、上流側燃料ガス流路を流れる燃料ガスのガス圧は、相対的に、従来のオフガス放出部側が開放された燃料ガス流路のガス圧より上昇する。結果、導電性支持体内への燃料ガスの送り込み、及び導電性支持体内からの生成ガスの排出を、従来より効率的に行うことができ、固体酸化物形燃料電池セルの利用効率を向上させることができた。
さらに、上流側燃料ガス流路と下流側燃料ガス流路とを備えた「複合形燃料ガス流路」全体で、圧力損失が増加することとなるため、結果的に複数並列配置される固体酸化物形燃料電池セル間で、流量のばらつきを抑えることが可能となった。
【0012】
上述のような、上流側燃料ガス流路と下流側燃料ガス流路とを備えた燃料ガス流路を形成するに当たり、以下のような構成を採用できる。
1.隣接する燃料ガス流路の一方を上流側燃料ガス流路とし、他方を下流側燃料ガス流路とする構成
この構成では、並設配置状態において並設方向で隣接する一対の燃料ガス流路に関し、
一方の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部側に開放され、前記オフガス放出部側で閉止された前記上流側燃料ガス流路として構成し、
他方の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部側で閉止され、前記オフガス放出部側に開放された前記下流側燃料ガス流路として構成する。
【0013】
このように構成することで、一方の燃料ガス流路(上流側燃料ガス流路)のオフガス放出部側は閉止され、他方の燃料ガス流路(下流側燃料ガス流路)の燃料ガス供給部側が閉止されているため、燃料ガスは、上流側燃料ガス流路に流入し、導電性支持体内を流れ、下流側燃料ガス流路に排出され、その後、オフガス放出部側に放出される。
【0014】
従って、導電性支持体内におけるガスの流れを流量が増大する方向に改善できるとともに、燃料ガス流路全体とした場合の圧力損失が増大することで、セルの利用効率を向上できるとともに、各燃料ガス流路全体間の流量のばらつきを抑えることができる。
【0015】
2.並設される燃料ガス流路を順に、上流側燃料ガス流路、中間燃料ガス流路、下流側燃料ガス流路とする構成
この構成では、並設方向で隣接する燃料ガス流路として、
前記燃料ガス供給部側に開放され、前記下流側燃料ガス流路に連通する前記上流側燃料ガス流路と、
当該上流側燃料ガス流路に連通され、前記オフガス放出部側に開放された前記下流側燃料ガス流路と、
さらに、前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、前記下流側燃料ガス流路に燃料ガスを供給する中間燃料ガス流路として構成する。
【0016】
この構成では、上流側燃料ガス流路がオフガス放出部側で閉止され、下流側燃料ガス流路がオフガス放出部側に開放され、さらに、前記上流側燃料ガス流路と前記下流側燃料ガス流路との間に位置する燃料ガス流路(中間燃料ガス流路)が、前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、前記下流側燃料ガス流路に燃料ガスを供給する構成とされているため、燃料ガスは、上流側燃料ガス流路に流入し、導電性支持体内及び中間燃料ガス流路をながれ、下流側燃料ガス流路に排出され、その後、オフガス放出部側に放出される。
【0017】
従って、導電性支持体内におけるガスの流れを流量が増大する方向に改善できるとともに、燃料ガス流路全体とした場合の圧力損失が増大することで、セルの利用効率を向上できるとともに、各燃料ガス流路全体間の流量のばらつきを抑えることができる。
【0018】
そして、これまで説明してきた燃料ガス流路の閉止構造、開放構造、あるいは燃料ガス流路間の連通構造としては、以下の構造が採用できる。
【0019】
閉止構造
前記燃料ガス流路の燃料ガス供給部側若しくはオフガス放出部側を閉止するに、前記燃料ガス供給部から前記オフガス放出部に向かう方向であるガス流通方向において、
セルに設けられる発電に寄与する発電寄与部分の端面位置を越えた位置の燃料ガス流路端部側部位で前記燃料ガス流路を閉止する。
ここで、発電に寄与する発電寄与部分とは、燃料極層、固体電解質層及び空気極層が積層された部分であり、多くの場合、ガス流通方向の当該発電寄与部分に集電部材が電気的に接続して設けられる。
【0020】
固体酸化物形燃料電池セルにおいて、実質的に発電に寄与している部分(発電寄与部分)は、燃料ガス供給部からオフガス放出部に向かう方向(例えば図3(a)の上下方向H)で見た場合、燃料極層、固体電解質層及び空気極層が積層された部分である。これに対して、発電寄与部分の端面位置を越えた位置の燃料ガス流路端部側部位(燃料ガス供給部側或いはオフガス放出部側のいずれの側でもよい:図5(b)参照)は、実質的に発電に寄与しない。従って、この発電寄与部分の端面位置を越えた位置の燃料ガス流路端部側部位に何らかの部材を設け、燃料ガス流路の閉止に利用したとしても、燃料電池性能に大きく影響することがない。よって、燃料ガス流路の閉止を行うに、燃料ガス流路端部側部位で閉止を行うことで、発電への影響を最小限に抑えて、本願発明の構成を実現できる。
【0021】
このように燃料ガス流路内に別部材を挿入して燃料ガス流路の閉止を実現する場合は、導電性支持体の構成部材より熱膨張率が同じ若しくは閉止状態を維持できる限りにおいて小さい材料により、燃料ガス流路を閉止することが好ましい。
導電性支持体内に設けられた孔を閉止する構造とする場合、その閉止体が、導電成支持体の熱膨張率より大きいと、熱膨張量の差に起因して、導電性支持体に無理な熱応力がかかり損傷する可能性がある。これに対して、閉止体の熱膨張率を導電性支持体の熱膨張率と同じかより低く抑えることで、熱ひずみの発生、損傷の発生を抑えることができる。
【0022】
閉止・開放・連通構造
上記の閉止構造においては、燃料ガス流路の閉止を行うのに、導電性支持体内に形成された燃料ガス流路内に閉止体を挿入して、閉止を行う構造に関して説明したが、燃料ガス流路の入口或いは出口に、その流路への燃料ガスの流入、流出、或いはその燃料ガス流路から他の燃料ガスの流出をコントロール(調整)するための燃料ガス流路調整部材(例えば、調整用プレート)を設けてもよい。
【0023】
即ち、前記燃料ガス流路の燃料ガス供給部側若しくはオフガス放出部側或いはそれらの両方を、閉止、開放あるいは、他の燃料ガス流路と連通するに、
前記燃料ガス供給部から前記オフガス放出部に向かう方向であるガス流通方向の複数の燃料ガス流路の端部外側に、燃料ガス流路調整部材を設け、
前記燃料ガス流路調整部材により、前記燃料ガス流路の閉止、開放あるいは、他の燃料ガス流路と連通を行うのである。
【0024】
このように構成する場合は、複数の燃料ガス流路の端部外側に、燃料ガス流路調整部材を設けることにより、当該燃料ガス流路調整部材で、複数の燃料ガス流路の閉止、開放・連通を任意に設定することができる。
【0025】
これまで説明してきた固体酸化物形燃料電池セルは、それら複数と、前記空気極層に電気的に接続される第一面と、前記インターコネクタに電気的に接続される第二面とを備えた集電部材との複数とを備え、前記集電部材の第一面に特定の固体酸化物形燃料電池セルの前記空気極層が電気的に接続され、前記集電部材の第二面に別の固体酸化物形燃料電池セルの前記インターコネクタが電気的に接続される形態で、固体酸化物形燃料電池セルと集電部材とを交互に配置して設けた固体酸化物形燃料電池モジュールを構成することができる。
【0026】
また、これまで説明してきた固体酸化物形燃料電池モジュールを備えた燃料電池装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】燃料電池装置全体の概略構成を示す図
【図2】燃料電池モジュールの概略構成を示す図
【図3】燃料電池セルスタックの概略構成を示す図
【図4】燃料電池セルの詳細断面構成を示す図
【図5】第1実施形態における燃料電池セル内の燃料ガスの流れ状態を示す図
【図6】導電性支持体内に於けるガスの状態を示す説明図
【図7】第2実施形態における燃料電池セル内の燃料ガスの流れ状態を示す図
【図8】調整用プレートを備えた別実施例形態の要部構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願に係る燃料電池装置FC、燃料電池モジュールFCM、及び固体酸化物形燃料電池セル(以下、単に燃料電池セルと呼ぶことがある)に関して、図面に基づいて説明する。
燃料電池装置FCの概略
図1に燃料電池装置FCの概略構造を、図2に、燃料電池モジュールFCMの外観斜視図を示した。
図1、図2に示すように、燃料電池装置FCは、概略、外装ケース50内に燃料電池モジュールFCMと、燃料電池セルスタック装置CSを動作させるための補機とを収納して構成されている。
これら図からも判明するように、燃料電池装置FCは、外装ケース50内を仕切板51により上下に区画した構成とされており、その上方室52が燃料電池モジュールFCMを収納するモジュール収納室とされ、下方室53が燃料電池モジュールFCMを動作させるための補機類(図示省略)を収納する補機収納室とされている。
【0029】
仕切板51には、下方室53の空気を上方室52側に流すための空気流通口54が設けられており、外装板25には、上方室52内の空気を排気するための排気口55が設けられている。
【0030】
燃料電池モジュール・燃料電池セルスタック装置
図2は、燃料電池モジュールFCMの一例を示す外観斜視図であり、燃料電池モジュールFCMは直方体状の収納容器30の内部に燃料電池セルスタック装置CSを収納して構成されている。
【0031】
この例では、燃料電池セル10にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20を燃料電池セルスタック12の上方に配置している。改質器20で生成された燃料ガスは、ガス流通管21を介して燃料電池セルスタック装置CSの下部領域に設けられたマニホールドMに供給され、このマニホールドMを介して燃料電池セル10の内部に設けられた燃料ガス流路2に供給される。
【0032】
図2は、収納容器30の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置CSおよび改質器20を後方に取り出した状態を示している。
【0033】
収納容器30の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、マニホールドMに並置された一対の燃料電池セルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル10の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル10の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、収容容器30内に酸素含有ガスを供給し燃料電池セル10内での発電の用に供するとともに、燃料電池セル10のガス流路より排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル10の上端部側で燃焼させる。このように、燃料電池セル10の上端部側にて、燃料電池セル10のガス流路から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル10(燃料電池セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。
【0034】
図3に示すように、各燃料電池セルスタック12は、燃料電池セル10の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成される。図3(a)は燃料電池セルスタック装置CSを概略的に示す側面図であり、図3(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置CSの上下方向中間断面の一部拡大平面図である。(b)で示す燃料電池セル10においては、インターコネクタ8上にP型半導体層17を設けた例を示している。
【0035】
この例においては、燃料電池セルスタック装置CSは、各燃料電池セル10を集電部材13を介して配列することで燃料電池セルスタック12を構成しており、各燃料電池セル10の下端が、燃料電池セル10に燃料ガスを供給するためのマニホールドMに、ガラスシール材等の接着剤により固定されている。また、燃料電池セル10の配列方向の両端から集電部材13を介して燃料電池セルスタック12を挟持するように、マニホールドMに下端が固定された弾性変形可能な導電部材14を具備している。
【0036】
導電部材14においては、燃料電池セル10の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、燃料電池セルスタック12(燃料電池セル10)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部15が設けられている。
【0037】
以上、燃料電池装置FC、燃料電池モジュールFCM装置、燃料電池セルスタック装置に関して説明した。これら構成に関しては、従来形の装置構成と変わるところはない。
以下、本願独特の構成を有する燃料電池セルについて説明する。本願では、燃料電池セルの実施形態として、第1実施形態、第2実施形態を紹介する。これらの実施形態において、その異なるところは、「複合形燃料ガス流路200」の形成形態であるため、先ず、全ての実施形態で共通する共通構成に関して説明する。
【0038】
図4は、本発明の燃料電池セルの概略構造を示すものであり、その斜視図である。燃料電池セル10の各構成を一部拡大等して示している。図4は、図3において燃料電池セル10を、その上下方向中間断面を示した図面である。
【0039】
燃料電池セル10は、中空平板型の燃料電池セル10で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をしたNiを含有してなる多孔質の導電性支持体1を備えている。導電性支持体1の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス流路2が長手方向に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持体1に各種の部材が設けられた構造を有している。
【0040】
導電性支持体1は、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦面nの一方の表面と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層3が設けられており、さらに、この燃料極層3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4には、中間層5を介して、燃料極層3と対面するように、多孔質な空気極層6が積層されている。また、燃料極層3および固体電解質層4が積層されていない他方の平坦面nには、密着層7を介してMgを含有してなるインターコネクタ8が形成されている。
【0041】
燃料極層3および固体電解質層4は、両端の弧状面mを経由してインターコネクタ8(密着層7)の両サイドにまで延びており、導電性支持体1の表面が外部に露出しないように構成されている。
【0042】
ここで、燃料電池セル10は、燃料極層3と空気極層6との対面している部分が電極として機能して発電する。即ち、空気極層6の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ導電性支持体1内の燃料ガス流路2に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持体1に取り付けられているインターコネクタ8を介して集電される。
【0043】
以下、燃料電池セル10を構成する各部材について説明する。
【0044】
導電性支持体1は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ8を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、Niおよび/またはNiOと、特定の希土類酸化物とにより形成されることが好ましい。
【0045】
特定の希土類酸化物とは、導電性支持体1の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu(ルテチウム)、Yb、Tm(ツリウム)、Er(エルビウム)、Ho(ホルミウム)、Dy(ジスプロシウム)、Gd、Sm、Pr(プラセオジム)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類酸化物が、Niおよび/またはNiOとの組み合わせで使用することができる。このような希土類酸化物の具体例としては、Y23、Lu23、Yb23、Tm23、Er23、Ho23、Dy23、Gd23、Sm23、Pr23を例示することができ、Niおよび/またはNiOとの固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層4とほとんど同程度であり、かつ安価であるという点から、Y23、Yb23が好ましい。
【0046】
また、導電性支持体1は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
【0047】
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成することが好ましい。例えば、希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶したCeO2と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、導電性支持体1において例示した希土類元素を用いることができ、例えばYが固溶したZrO2(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
【0048】
燃料極層3中の希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶しているCeO2の含有量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含有量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましい。
【0049】
固体電解質層4は、3〜15モル%のY(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、Yb(イッテルビウム)等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層4は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましい。
【0050】
なお、固体電解質層4と後述する空気極層6の間に、固体電解質層4と空気極層6との接合を強固とするとともに、固体電解質層4の成分と空気極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で中間層5を備えることもでき、図4に示した燃料電池セル10においては中間層5を備えた例を示している。
【0051】
ここで、中間層5としては、Ce(セリウム)と他の希土類元素とを含有する組成にて形成することができる。
【0052】
また、空気極層6は、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層6を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0053】
また、導電性支持体1の空気極層6側と反対側の平坦面n上には、密着層7を介してMgを含有してなるインターコネクタ8が積層されている。
【0054】
インターコネクタ8としては、導電性セラミックスにより形成されることが好ましいが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用され、特に導電性支持体1と固体電解質層4との熱膨張係数を近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO3系酸化物が用いられる。なおMgのモル量は、インターコネクタ8の熱膨張係数が、導電性支持体1および固体電解質層4の熱膨張係数に近づくように、具体的には10〜12ppm/Kとなるように適宜調整することができる。
【0055】
さらに、導電性支持体1とインターコネクタ8との間には、インターコネクタ8と導電性支持体1との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層7が形成されている。
【0056】
このような密着層7としては、燃料極層3と類似した組成とすることができる。例えば、希土類酸化物、希土類元素が固溶したZrO2、希土類元素が固溶したCeO2のうち少なくとも1種と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。
【0057】
以上が、本願の燃料電池セルの共通構成である。
以下、第1実施形態、第2実施形態を紹介する。
図5、図7,図8は、上下方向が図3(a)の上下方向である。ここで、下方から上方に向かう方向で、本願における「ガス流通方向」である。即ち、図3(a)下側に、マニホールドMが位置されており、このマニホールドMが燃料ガス供給部70となっている。一方、図3(a)上側が、燃料ガス流路2からオフガス(生成ガス及び燃料ガスから成る)が放出されるオフガス放出部80となっている。先にも説明したように、このオフガス放出部80では、燃料ガスが酸素含有ガスと混合され、燃焼炎81が形成される。図5、図7、図8には、実線矢印で、主に燃料ガスの流れ方向を示している。
【0058】
第1実施形態
図5に示すように、この実施形態の燃料電池セル10では、並設方向で隣接する燃料ガス流路2がそれぞれ対を成して、本願に言う「複合形燃料ガス流路200」を構成する。
即ち、対を成す一方の燃料ガス流路2の上部側先端に閉止部40を設け、燃料ガス供給部70側に開放され、オフガス放出部80側で閉止された上流側燃料ガス流路2Uとして構成する。一方、図上他方の燃料ガス流路2の下部側先端に閉止部40を設け、燃料ガス供給部70側で閉止され、オフガス放出部80側に開放された下流側燃料ガス流路2Dとして構成する。
【0059】
このように構成することで、燃料ガスは、上流側燃料ガス流路2Uに流入し、導電性支持体1内を流れ、下流側燃料ガス流路2Dに排出され、その後、オフガス放出部80側に放出される。
【0060】
ここで、上記の閉止部40は、セルに対して設けられる集電部材13の端面位置(図5に仮想線(二点鎖線)で示す)を、下方若しくは上方に越えた位置の燃料ガス流路端部側部位で燃料ガス流路2を閉止する構造が採用されている。燃料電池セル10では、燃料極層3、固体電解質層4、空気極層6が重畳した部分で発電するため、この重畳部分(本願の発電寄与部分)に集電部材13が接続されている場合について説明し、この重畳部分(集電部材13)の端面位置を超えた部分で閉止した形態について説明したが、上記重畳部分を下方もしくは上方に越えた部位で閉止することが好ましい。
【0061】
さらに、閉止部40を構成する部材としては、導電性支持体1の構成部材より熱膨張率が同程度か、やや小さい材料(具体的にはセラミック系接着剤、ガラス、セメントなど)で構成されている。
【0062】
図6(a)に、導電性支持体1および、燃料極層3近傍のガスの状態を模式的に示した。
同図において、「A」「B」「C」「D」「E」は、燃料ガス流路2(2U,2D)及び導電性支持体1内の位置に対応している(図6(b)において同じ)。本願に係る固体酸化物形燃料電池においては、導電性支持体1内に進入した燃料ガス(H2,CO)は燃料極層3において酸素の供与を受けて、生成ガス(H2O,CO2)を生成する。図6(b)に、本願構成(左図)と従来構成(右図)に関して、導電性支持体1内における燃料ガス濃度及び燃料ガスの流量を示した。実線が本願構造の燃料ガス濃度を示し、実線矢印が燃料ガスの流れ方向及びその流量を示している。実線矢印の矢示方向が燃料ガスの流れ方向であり、その太さが燃料ガス流量を示している。ここで、太い方が流量が大きい。矢印の表記において、図6(b)では、下側を燃料ガス供給部70側とし、上側をオフガス放出部80側として模式的にしている。この図から判明するように、本願構成にあっては、上流側燃料ガス流路2Uのガス圧が上昇することとなるため、従来構造に比較して、燃料ガスの導電性支持体1内への進入効率が高くなるとともに、反応面での燃料ガス濃度が上昇し、さらに導電性支持体1内からの生成ガス(H2O,CO2)の排出効率も上昇する。結果、全体として燃料電池の利用効率を上昇させることができる。
【0063】
以上、導電性支持体1内における燃料ガスの流量が増大する方向に改善できるとともに、「複合形燃料ガス流路200(2U+2D)」の圧力損失が増大することで、燃料ガス流路2の径を従来構造の径としたまま、セルの利用効率を向上できるとともに、各燃料ガス流路全体間のばらつきを抑えることができる。
【0064】
これまで説明してきた図5に示す実施形態では、燃料電池セル10の幅方向Wにおいて、その両端側に下流側燃料ガス流路2D、その内側に上流側燃料ガス流路2Uを配置する構成としたが、この配置を逆として、燃料電池セル10の幅方向において、その両端側に上流側燃料ガス流路2U、その内側に下流側燃料ガス流路2Dを配置する構成としてもよい。
【0065】
さらに、これまで説明してきた実施形態では、上流側燃料ガス流路2U或いは下流側燃料ガス流路2Dを構成するに、燃料ガス流路2内に栓状の閉止部40を設ける、設けないの構成で、燃料ガス流路の閉止、開放を実現したが、図8に示すように、燃料電池セル10の端面に燃料ガス流路調整部材(例えば、平板状の調整用プレートMc)を設け、各燃料ガス流路2に関して、閉止とする部位では、その流路調整部材における燃料ガス、或いは燃料ガスと生成ガスとの流通を阻止するように孔等を設けない構造とし、開放とする部位では、燃料ガス供給部70或いはオフガス放出部80とのガスの流通を許容する連通孔を設ける構造としておくこともできる。
【0066】
第2実施形態
図7に示すように、この実施形態では、並設方向で隣接する3の燃料ガス流路2で、本願に言う「複合形燃料ガス流路200」を構成している。この実施形態は、先に説明した調整用プレートMc(燃料ガス流路調整部材の一例)を採用する例であり、入口側調整用プレートMcI及び出口側調整用プレートMcOを設けている。
この実施形態では、一対の「複合形燃料ガス流路200」を備えており、断面視で燃料電池セル10の幅方向両端側で燃料ガスの供給を受け、中央側で開放して、燃料炎81が形成される構造が採用されている。
以下、図上、左側に位置する「複合形燃料ガス流路200」に関して説明する。
この例では、図上、3の燃料ガス流路2のうち、左側に位置する(即ち一方の並設方向端に位置する)一端側燃料ガス流路を、燃料ガス供給部70側に開放され、下流側の燃料ガス流路2Mに連通された上流側燃料ガス流路2Uとしている。一方、3の燃料ガス流路2のうち、最も右側に位置する(他方の並設方向端に位置する)他端側燃料ガス流路を上流側の燃料ガス流路2Mに連通され、オフガス放出部80側に開放された下流側燃料ガス流路2Dとして構成している。さらに、一端側燃料ガス流路2Uと他端側燃料ガス流路2Dとの間に位置する燃料ガス流路2を、一端側燃料ガス流路2Uから燃料ガスの供給を受け、他端側燃料ガス流路2Dに燃料ガスを供給する中間燃料ガス流路2Mとして構成している。
【0067】
結果、この実施形態では、燃料ガスは、上流側燃料ガス流路2Uに流入し、導電性支持体1内及び中間燃料ガス流路2Mを流れ、下流側燃料ガス流路2Dに排出され、その後、オフガス放出部側に放出される。
【0068】
図から判明するように、この例では、燃料ガス流路の入口2I或いは出口2Oに、その流路内への燃料ガスの流入、或いはその流路からの燃料ガスの流出をコントロール(調整)するための調整部材である調整用プレートMcを設けている。
即ち、燃料電池セル10の両端部に、入口側調整用プレートMcI及び出口側調整用プレートMcOを設け、燃料ガス流路調整部材により、燃料ガス流路の開放、閉止、上流側或いは下流側燃料ガス流路との連通を行っている。
入口側調整用プレートMcIには、燃料ガス供給部70側に開口する連通路p1と、燃料ガス供給部70側に対して閉止され、中間燃料ガス流路2Mと下流側燃料ガス流路2Dとを連通する連通路p2を設けている。ここで、連通路p1,p2は、燃料ガス供給部70側において遮断されている。
出口側調整用プレートMcOには、オフガス放出部80側に対して閉止され、上流側燃料ガス流路2Uと中間燃料ガス流路2Mとを連通する連通路p3を備えている。この出口側調整用プレートMcOは、下流側燃料ガス流路2Dのオフガス放出部80側に開口する構造を採用している。
従って、この例では、「複合形燃料ガス流路200」では、燃料ガスが実線矢印で示すように、燃料ガス供給部70から、上方流、下方流さらに上方流として移流し、オフガス放出部80に流れる。
【0069】
結果、導電性支持体1内におけるガスの流れを流量が増大する方向に改善できるとともに、「複合形燃料ガス流路200」の圧力損失が増大することで、セルの利用効率を向上できるとともに、各燃料ガス流路間のばらつきを抑えることができる。
【0070】
上記例では、断面視で燃料電池セル10の幅方向両端側で燃料ガス供給部70側から燃料ガスの供給を受け、中央側でオフガス放出部80側に開放して、燃料炎が形成される構造としたが、この配置方向を逆として、断面視で燃料電池セル10の幅方向中央側で燃料ガス供給部70側から燃料ガスの供給を受け、両端側でオフガス放出部80側に放出して、燃料炎81が形成される構造としてもよい。
【0071】
さらに、これまでの説明では、第1実施形態、第2実施形態を別個に説明してきたが、先に説明したように、本願の目的の一つは、燃料電池セル10に設けられる複数の燃料ガス流路2について、燃料電池セル10の幅方向中央側と両端側との燃料ガス流れに発生する圧力損失の増大であるため、異なった実施形態の組合せで目的を達成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
複数の燃料ガス流路に関して、複数の燃料ガス流路を流れる燃料ガス(生成ガス)の流量のばらつきを抑えることができ、さらに、固体酸化物形燃料電池セルの利用効率を従来より向上させることができる固体酸化物形燃料電池セル、固体酸化物形燃料電池モジュール、さらには燃料電池装置を得ることができた。
【符号の説明】
【0073】
1 導電性支持体
2 燃料ガス流路
2U 上流側燃料ガス流路
2D 下流側燃料ガス流路
2M 中間燃料ガス流路
3 燃料極層
4 固体電解質層
5 中間層
6 空気極層
7 密着層
8 インターコネクタ
10 固体酸化物形燃料電池セル(燃料電池セル)
13 集電部材
40 閉止部
70 燃料ガス供給部
80 オフガス放出部
FC 燃料電池装置
FCM 燃料電池モジュール
CS 燃料電池セルスタック装置
Mc 調整用プレート(燃料ガス流路調整部材)
p1、p2、p3 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させる燃料ガス流路を有する多孔質な導電性支持体の一方側の前記平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層が順に積層され、他方側の前記平坦面上に、インターコネクタが積層されて成り、
セルの一方側に設けられる燃料ガス供給部から前記燃料ガス流路に燃料ガスの供給を受けるとともに、セルの他方側に設けられるオフガス放出部へ前記燃料ガス流路を介して燃料ガスを放出する構成で、
前記導電性支持体の内部に、複数の前記燃料ガス流路を並設して備えた固体酸化物形燃料電池セルであって、
前記並設される前記複数の燃料ガス流路に関して、一の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部から燃料ガスの供給を受け、前記オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行わない上流側燃料ガス流路として構成し、他の燃料ガス流路を主に前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、且つ前記オフガス放出部へ燃料ガスの放出を行う下流側燃料ガス流路として構成した固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項2】
前記並設配置状態において並設方向で隣接する一対の燃料ガス流路に関し、
一方の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部側に開放され、前記オフガス放出部側で閉止された前記上流側燃料ガス流路として構成し、
他方の燃料ガス流路を前記燃料ガス供給部側で閉止され、前記オフガス放出部側に開放された前記下流側燃料ガス流路として構成した、
請求項1記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項3】
並設方向で隣接する燃料ガス流路として、
前記燃料ガス供給部側に開放され、前記下流側燃料ガス流路に連通される前記上流側燃料ガス流路と、
当該上流側燃料ガス流路に連通され、前記オフガス放出部側に開放された前記下流側燃料ガス流路と、
さらに、前記上流側燃料ガス流路から燃料ガスの供給を受け、前記下流側燃料ガス流路に燃料ガスを供給する中間燃料ガス流路を有する請求項1記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項4】
前記燃料ガス流路の燃料ガス供給部側若しくはオフガス放出部側を閉止するに、
前記燃料ガス供給部から前記オフガス放出部に向かう方向であるガス流通方向において、
セルに設けられる発電に寄与する発電寄与部分の端面位置を越えた位置の燃料ガス流路端部側部位で前記燃料ガス流路を閉止する請求項2記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項5】
前記燃料ガス流路を閉止するに、前記導電性支持体の構成部材より熱膨張率が同じ若しくは閉止状態を維持できる限りにおいて小さい材料により、
前記燃料ガス流路を閉止する請求項2又は4記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項6】
前記燃料ガス流路の燃料ガス供給部側若しくはオフガス放出部側を閉止、開放あるいは他の燃料ガス流路と連通するに、
前記燃料ガス供給部から前記オフガス放出部に向かう方向であるガス流通方向の複数の燃料ガス流路の端部外側に、燃料ガス流路調整部材を設け、
前記燃料ガス流路調整部材により、前記燃料ガス流路の閉止、開放あるいは他の燃料ガス流路と連通する請求項2又は3記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルの複数と、前記空気極層に電気的に接続される第一面と、前記インターコネクタに電気的に接続される第二面とを備えた集電部材との複数とを備え、
前記集電部材の第一面に特定の固体酸化物形燃料電池セルの前記空気極層が電気的に接続され、前記集電部材の第二面に別の固体酸化物形燃料電池セルの前記インターコネクタが電気的に接続される形態で、固体酸化物形燃料電池セルと集電部材とを交互に配置して設けた固体酸化物形燃料電池モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池モジュールを備えた燃料電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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