土木構築物の施工方法及び土木構築物用ユニット
【課題】 コンクリート板の浮き上がりを防止できると共に、各コンクリート板の互いの一体化強度を高めることができる土木構築物の施工方法を提供する。
【解決手段】 コンクリート板8−1,8−2として、その内面に、その上側配置端面8bと下側配置端面8aとの間においてアンカー10が備えられたものを用意し、各コンクリート板8−1,8−2を配設する度に、その各背面側にコンクリート30−1,30−2を、その各コンクリート板8−1,8−2の上側配置端面8bよりも下側であってアンカー10が埋め込まれるまで投入する。これにより、コンクリート30−2の作用力を2つのコンクリート板8−1,8−2に分散すると共に、コンクリート板8−1が、コンクリート板8−2の配設に伴って投入される投入コンクリート(コンクリート板8−1の背面側に入り込んで硬化したもの)を法面2側に押し付けるようにする。
【解決手段】 コンクリート板8−1,8−2として、その内面に、その上側配置端面8bと下側配置端面8aとの間においてアンカー10が備えられたものを用意し、各コンクリート板8−1,8−2を配設する度に、その各背面側にコンクリート30−1,30−2を、その各コンクリート板8−1,8−2の上側配置端面8bよりも下側であってアンカー10が埋め込まれるまで投入する。これにより、コンクリート30−2の作用力を2つのコンクリート板8−1,8−2に分散すると共に、コンクリート板8−1が、コンクリート板8−2の配設に伴って投入される投入コンクリート(コンクリート板8−1の背面側に入り込んで硬化したもの)を法面2側に押し付けるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物の施工方法及び土木構築物用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
土木構築物の施工方法には、特許文献1に示すように、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と法面との間に上方側からコンクリートを投入するものが提案されている。具体的には、コンクリート板を法面上に複数のジャッキを介して受け止め、その各ジャッキの調整によりコンクリート板の高さ、勾配調整を行い、そのコンクリート板を、そのジャッキと、高さ調整可能なねじ式スペーサとを利用することにより、そのコンクリート板の高さ、勾配状態を維持しつつスペーサに受け止めさせ、その後、そのコンクリート板全体と法面との間の空間にコンクリートを上側開口から投入して、そのコンクリート板の上側配置端面の高さまで投入コンクリートが充填されることになっている。これによれば、コンクリート投入前において、ジャッキにより、コンクリート板の高さ、勾配調整作業を容易にすることができる。
【特許文献1】特許2618800号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物の施工方法においては、各コンクリート板を配設する度のコンクリート投入に伴って、その流動状のコンクリートが1枚のコンクリート板全体に作用することになり、そのコンクリート板は浮き上がり易い状況にある。特に土木構築物の構築においては、強度を確保する必要上、コンクリートの投入後、その投入コンクリートをバイブレータ等で締固めてコンクリート打設を行うことが必要であり、これに伴い、投入コンクリートに基づくコンクリート板を浮き上がらせる力は大きくなる傾向にある。このため、コンクリート板が浮き上がった場合には、そのコンクリート板の高さ、姿勢が所定の状態(正規の状態)から変更されることになり、施工において、コンクリート板の浮き上がり防止を考慮する必要がある。
【0004】
また、上記施工方法においては、各コンクリート板を配設する度に、その各コンクリート板全体と法面との間の空間にコンクリートがそれぞれ投入されることになり、その投入コンクリートは、上下方向に隣り合うコンクリート板同士の継目(目地)付近位置でそれぞれ接合されている。しかし、各コンクリート板の配設に伴うコンクリートの投入タイミングは異なっており、上記各接合部分(コンクリート打継目部分)の接合強度(一体化強度)は、硬化の進行速度の違いに基づき弱くならざるを得ない。このため、仮に各コンクリート板をその各背面側の投入コンクリート部分にアンカーを介して係合させるとしても、各接合部分(コンクリート打継目部分)で破断し易く、各コンクリート板を投入コンクリートを介して互いに強固に一体化する関係を得ることは期待できない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、コンクリート板の浮き上がりを防止できると共に、各コンクリート板の互いの一体化強度を高めることができる土木構築物の施工方法を提供することにある。
第2の技術的課題は、上記土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、
前記各コンクリート板として、該各コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、
前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって前記浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入する構成としてある。
【0007】
上述の構成により、各コンクリート板として、その各コンクリート板の内面に、そのコンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、各コンクリート板を配設する度に、コンクリートを、その各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入することから、当該コンクリート板が一段目(最下段)である場合には、投入コンクリート量を、その一段目のコンクリート板の上側配置端面までコンクリートを投入する場合よりも少なくしてその一段目のコンクリート板に作用する投入コンクリートの作用力を低減することができ、当該コンクリート板が二段目以上である場合には、そのコンクリート板の配設に伴い投入する投入コンクリートを上下に隣り合うコンクリート板に跨るように投入して、投入コンクリートの作用力を上下各コンクリート板に分散でき、上下各コンクリート板に作用する投入コンクリートの作用力を低減できる。特に当該コンクリート板が2段目以上である場合には、当該コンクリート板の下側に配設される下側コンクリート板の内面側(コンクリート未投入空間)に入り込む投入コンクリート部分のコンクリート圧が、その投入コンクリートの高さ(深さ)に基づき大きくなるが、このときには、下側コンクリート板における浮き上がり防止用アンカーが、その下側コンクリート板の配設に伴って投入されたコンクリート(硬化)と係合して、その下側コンクリート板の姿勢の保持性を高めており、その下側コンクリート板が、上側コンクリートの配設に伴う投入コンクリートのコンクリート圧を的確に受け止める。
【0008】
また、各コンクリート板の配設の度に、その浮き上がり防止用アンカーを埋め込むまで投入されたコンクリートは、その硬化後、その浮き上がり防止用アンカーと一体化すると共に、その各コンクリート板の下側の下側コンクリート板の内面側に入り込んでその下側のコンクリート板と係合する。このため、下側コンクリート板が、その上側に配置される上側コンクリート板の配設に伴って投入される投入コンクリート(下側コンクリート板の内面側に入り込んで硬化したもの)を順次、法面側に押し付けることになり、各コンクリート板は、互いに一体化する。
【0009】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板が、該各コンクリート板の内面の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具を有していると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において前記浮き上がり防止用アンカーを有し、
前記コンクリートを投入するに際して、該コンクリートの投入後の上面を、該各コンクリート板における前記高さ調整具の位置よりも低い高さとする構成とされている(請求項2)。この好ましい態様においては、高さ調整具をもってコンクリート板の上側配置端面側の高さ調整を行って、各コンクリート板の姿勢(勾配)を調整できることは勿論、各コンクリート板の配設に伴って投入されるコンクリートが、そのコンクリート板の下側に配設される下側コンクリートの高さ調整具を埋め込み、その投入コンクリート内に、そのコンクリート板の浮き上がり防止用アンカーと下側コンクリート板の高さ調整具とが埋め込まれ、そのコンクリート板とその下側の下側コンクリート板とは、浮き上がり防止用アンカー、投入コンクリート(硬化したもの)及び高さ調整具を介して一体化される。このため、各コンクリート板が互いに一体化され、各コンクリート板の互いの一体化強度を、一層高めることができる。
【0010】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板を配設するに際して、該各コンクリート板の下側に配置される下側コンクリート板の上側配置端面に対して該各コンクリート板の下側配置端面を係合させると共に、
前記高さ調整具の先端を、前記浮き上がり防止用アンカーの先端を前記法面より離間した状態にしつつ、該法面に当接させる構成としてある(請求項3)。この好ましい態様においては、各コンクリート板の下側配置端面側をその下側の下側コンクリート板の上側配置端面側に係合(支持)させつつ、その各コンクリート板の上側配置端面側の高さ調整を高さ調整具をもって行うことができ(各コンクリート板の姿勢(勾配)調整)、その調整の際に、浮き上がり防止用アンカーの先端部が法面に当接することはない。このため、各コンクリート板の高さ、姿勢調整を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔内に進入してこないことを確認する構成としてある(請求項4)。この好ましい態様においては、各コンクリート板の配設に伴う投入コンクリートが、必要以上に投入されること防止して、その投入量を適量にできる。この場合、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリートに埋め込まれたことは、コンクリート板と法面との間の上側開口(コンクリート投入口)から視認する。
【0012】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔に進入してくることを確認する構成としてある(請求項5)。この好ましい態様においては、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリート内に埋め込まれたことを確認孔の状態により確認できると共に、投入コンクリートが充分に充填されたことが確認できる。
【0013】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔を有するものを用意し、前記コンクリートを、該第1確認孔に進入してくるようにしつつ該第2確認孔に進入してこないように投入する構成としてある(請求項6)。この好ましい態様においては、第1,第2確認孔の状態を見ているだけで、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリート内に埋め込まれたことを確認できると共に、投入コンクリートが、必要以上に投入されること防止して、その投入量を適量にできる。
【0014】
前記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項7に係る発明)にあっては、
コンクリート板が備えられ、該コンクリート板が、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、配設するために用いられ、該コンクリート板の内面が該法面との間にコンクリートを投入するための空間を形成する土木構築物用ユニットであって、
前記コンクリート板の下側配置端面に、被係合部又は係合部の一方が設けられ、
前記コンクリート板の上側配置端面に、前記一方に係合関係を有する被係合部又は係合部の他方が設けられ、
前記コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具が設けられていると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において、浮き上がり防止用アンカーが設けられている構成としてある。
【0015】
上述の構成においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、各コンクリート板の下側配置端面側を、その下側に配設される下側コンクリート板の上側配置端面側に係合させて、そのコンクリート板の姿勢調整を行うことができると共に、各コンクリート板の配設に伴って投入するコンクリート内に、各コンクリート板の浮き上がり防止用アンカーと、その下側に配置される下側コンクリート板の高さ調整具とを埋め込むことができ、前記請求項2と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている構成とされている(請求項8)。この好ましい態様においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、前記請求項4,5と同様の作用効果を得ることができる。このため、前記請求項4又は5に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを具体的に提供できる。
【0017】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている構成としてある(請求項9)。この好ましい態様においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、前記請求項6と同様の作用効果を得ることができる。このため、前記請求項6に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを提供できる。
【0018】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、平面視四角形状とされ、
角部側面が切り落とされた形状とされている構成としてある(請求項10)。この好ましい態様においては、当該コンクリート板を法面上に敷き詰めるだけで、角部において、隣り合う他のコンクリート板と協働して確認孔を形成でき、その確認孔の状態により、コンクリートが上下方向及び左右方向に隣り合うコンクリート板間に跨るように投入されたことを確認できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、当該方法を用いることにより、コンクリート板の浮き上がりを防止できると共に、各コンクリート板の互いの一体化強度を高めることができる。
【0020】
また、本発明(請求項7に係る発明)によれば、前記請求項2に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを具体的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
実施形態に係る土木構築物としての護岸1においては、図1に示すように、法面2が河川側(図1中、左側)から陸上側(図1中、右側)に向うに従って上方に向って延びるよう傾斜されており、その法面2の下端位置には基礎ブロック4が設けられている。法面2は、本実施形態においては、モルタル層5により形成されており、そのモルタル層5は、所定の勾配で整形された岩盤上にモルタル吹き付けを行うことにより形成されている。基礎ブロック4は、河川水の流れ方向(図1中、紙面垂直方向)に延びるようにして配置されており、その基礎ブロック4には、陸上側における上部において、上方に向うに従って河川側に傾斜する支持面4aが形成されている。
【0022】
前記法面2上には、図1,図2に示すように、護岸機能を発揮することを主目的として、複数の土木構築物用ユニット7が敷き詰められている。各土木構築物用ユニット7は、図1〜図6に示すように、主要要素としてのコンクリート板8と、高さ調整具9と、浮き上がり防止用アンカー(以下、アンカーと称す)10とを備えており、その高さ調整具9及びアンカー10はコンクリート板8の内面に取付けられている。尚、図2において、符号40は、カーブ施工のために現場打ちされるばち部分を示す。
【0023】
前記土木構築物用ユニット7のコンクリート板8は、図1〜図5に示すように、その板面をもって法面2を覆うものであり、そのコンクリート板8は、一定厚みの平面視略正方形状に形成されている。このコンクリート板8の一の側面が下側配置端面8aとされ、その下側配置端面8aに対向する側面が上側配置端面8bとされ、残りの2つの側面が横側側面8cとされている。本実施形態においては、このコンクリート板8として、厚み130mm前後、一辺1000mm前後のものが用いられている。
【0024】
このコンクリート板8の下側配置端面8aには、一定間隔だけ離間した一対の凹部(被係合部又は係合部の一方)13が形成され、その上側配置端面8bには、一対の凹部13に対応する一対の突部(被係合部又は係合部の他方)14が突設されている。一対の凹部13は、隣り合う別(下側)の土木構築物用ユニット7における一対の突部14に回動可能に嵌め込まれており、その嵌合(係合)状態において、その嵌合部を中心として、その土木構築物用ユニット7は、隣り合う別の土木構築物用ユニット7に対して相対的に上下方向に多少、揺動することが許容されることになっている。勿論このとき、本実施形態においては、一対の突部14と一対の凹部13との嵌合状態は、極力がたつかないようにしつつ回動可能とされており、当該土木構築物用ユニット7は、コンクリート板8の厚み方向(特に上方側)に変位動しないようにされている。
尚、本実施形態においては、凹部13として、一対の凹部13を用いているが、それに換えて、一対の凹部が連続的に連なるように構成した一つの凹部(長孔)を用いるようにしてもよい。
【0025】
このコンクリート板8の外面上には、図3に示すように、凹所15が形成され、その凹所15内には、専用吊上げ金具(図示略)を係止させて吊上げ搬送すべく、吊上げ用ピン16が立設されている。この場合、コンクリート板8を吊上げ搬送するに際して、所定傾斜状態(下側配置端面8bを上側配置端面8aよりも低くした姿勢)にすべく、吊上げ用ピン16の位置は、コンクリート板8の重心位置から上側配置端面8b側にオフセットされている。一方、コンクリート板8の内面には、図4〜図6に示すように、上側配置端面側8bにおいて高さ調整具9用の2つのインサートナット17が埋め込まれ、下側配置端面8a側においてアンカー10用の1つのインサートナット18が埋め込まれている。2つのインサートナット17は、上側配置端面8b側の角部付近(横方向両側)に配置され、インサートナット18は、下側配置端面8aよりもやや上側配置端面8b側の位置において、横方向(図5中、左右方向)略中央位置に位置されている。
【0026】
このコンクリート板8の横側側面8cの一方には、図3〜図5に示すように、第1,第2の縦溝19,20が形成されている。この第1,第2の縦溝19,20は、上側配置端面8b側向けて順に、配置されており、そのいずれもが、前記インサートナット17の位置と前記インサートナット18の位置との間に位置されている。この第1,第2の縦溝19,20は、平面視略半円弧状に形成され、その各縦溝19(20)は、コンクリート板8の内外面間を貫通している。
また、本実施形態においては、図3,図5に示すように、コンクリート板8の下側配置端面8aに縦溝21が形成されていると共に、そのコンクリート板8の四隅角部側面に平坦面8dが形成されている。縦溝21は、一対の凹部13間に位置されており(図5参照)、この縦溝21も、コンクリート板8の内外面間を貫通している。平坦面8dは、コンクリート板8の四隅角部を切り落とした形状とされている。
【0027】
前記高さ調整具9は、図1に示すように、コンクリート板8内面における上側配置端面8b側と法面2との間に介在されて、コンクリート板8の高さ(間隔)調整するものであり、この高さ調整具9によりコンクリート板8内面と法面2との間に空間43が形成されることになる。本実施形態においては、前記2つのインサートナット17に取付けるべく、2つの高さ調整具9が用意されており、その各高さ調整具9は、図6に示すように、基本的には、ねじ棒22と、筒状のナット23とを備えている。各高さ調整具9のねじ棒22は、その一端部がインサートナット17に螺合されて取付けられており、そのねじ棒22の他端部にはナット23が螺合されて、そのナット23の螺合状態を調整することにより、コンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量が調整できることになっている。このため、ナット23の螺合状態を調整できる範囲でコンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量を調整できるが、その突出量が未だ不足する場合には、図7に示すように、ナット23の先端側(図7中、下側)にボルト24が螺合される。これにより、コンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量には、ナット23の調整量の他にボルト24の調整量も加わることになり、該突出量を、ボルト24が存在しない場合に比べて長くすることができる。尚、符号25は、高さ調整具9のねじ棒22をインサートナット17に強固に取付けるための締付け用ナットである。
【0028】
前記アンカー10は、後述のコンクリート層27との係合に基づき、投入コンクリートによりコンクリート板8が浮き上がることを規制するものである。このアンカー10は、本実施形態においては、ボルトにより構成されており、そのアンカー10は、前記インサートナット18に螺合することによりコンクリート板8内面に取付けられている。この場合、アンカー10のコンクリート板8内面からの突出量は、前記高さ調整具9の突出量が最短縮状態にある場合よりも短くなるように設定されている。尚、符号26は、アンカー10をインサートナット18に強固に取付けるための締付け用ナットである。
【0029】
前記法面2上に敷き詰められた土木構築物用ユニット7のコンクリート板8とモルタル層5との間の空間43には、図1に示すように、コンクリート層27が介在されている。このコンクリート層27には、各土木構築物用ユニットの高さ調整具9及びアンカー10が埋設さており、その高さ調整具9及びアンカー10は、コンクリート層27に係合している。
【0030】
前記法面2上に敷き詰められた各土木構築物用ユニット7のコンクリート板8の四隅には、図2に示すように、隣り合う他の土木構築物ユニット7のコンクリート板8と協働して確認孔31が形成されている。この確認孔31は、各土木構築物用ユニット7における角部側面の平坦面8dが区画している。また、各土木構築物用ユニット7の第1,第2の縦溝19,20は、他の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8の横側側面8cと協働して、第1,第2の確認孔19A,20Aを形成し、縦溝21は、他の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8の上側配置端面8bと協働して、確認孔21Aを形成している。尚、図1において、符号41は天端コンクリート,42は地盤層を示す。
【0031】
このような護岸(土木構築物)1は、次のようにしてに施工される。
先ず、所定の勾配(例えば1:1.5)で法面整形を行うと共に基礎ブロック4を設置する。この法面整形を行うに際しては、岩盤を所定の勾配に整形し、その所定の勾配の岩盤上にモルタル吹き付け工を行う。これにより、岩盤上にモルタル層5が形成されることになり、このモルタル層5により、所定の勾配の法面2が確保されると共に、スレーキングが抑制される。基礎ブロック4は、モルタル層5の下側において、掘削空間を確保し、その掘削空間内にコンクリートを充填することにより、形成され、その基礎ブロック4は、河川の流れ方向(図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。この基礎ブロック4には、モルタル層5の上面に対して略垂直に起立する支持面4aが形成されており、その支持面4aには、最下段である一段目の土木構築物用ユニット7−1(コンクリート板8−1)を位置決めるための位置決めピン28が設置されている。
【0032】
次に、図9に示すように、一段目の土木構築物用ユニット7−1(7)を所定の一段目設置位置に吊上げ搬送する。この土木構築物用ユニット7−1の吊上げ搬送に際しては、専用吊上げ金具、それをワイヤWを介して吊り上げるクレーンが用いられ、それらを利用して、土木構築物用ユニット7−1は、所定の傾斜状態をもって所定の一段目設置位置に搬送される。一段目設置位置に土木構築物用ユニット7−1が搬送されると、その土木構築物用ユニット7−1の吊上げ状態を維持しつつ、そのコンクリート板8−1の下側配置端面8aが基礎ブロック4の支持面4aに当接されると共に、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8b側が高さ調整具9を介してモルタル層5上に支持される。このとき、コンクリート板8−1の下側配置端面8aの一対の凹部13内に基礎ブロック4の位置決めピン28が入り込むようにされ、コンクリート板8−1の下側配置端面8a側の位置決めが行われる。しかし、この位置決め状態でも、この土木構築物用ユニット7−1は、上下方向に多少、揺動することができることになる。
【0033】
次に、図10に示すように、一段目における土木構築物用ユニット7−1の勾配を調整する。この土木構築物用ユニット7−1の勾配の調整においては、そのコンクリート板8の上側配置端面8a側とモルタル層5との間にジャッキ(高さ調整装置)29がセットされ、そのジャッキ29を用いて、コンクリート板8−1の上側配置端面8a側とモルタル層5との距離を調整することにより、コンクリート板8−1(土木構築物用ユニット7−1)をモルタル層5の所定の勾配にされる。そしてこの後、高さ調整具9(ナット23)を調整して、土木構築物用ユニット7−1をその所定の勾配に維持するように支持した上で、コンクリート板8−1に対するジャッキ29による支持が解除され、そのジャッキ29はコンクリート板8とモルタル層5との間から取り除かれる。
【0034】
この実施形態においては、より安全で確実な方法として、ジャッキ29による調整方法を用いているが、高さ調整具9にモンキー等の締結具を用いることにより、直接、高さ調整具9の伸長を調整してもよい。その場合には、高さ調整具9が外れても作業員の安全を確保すべく、コンクリート板8と法面2との間にスペーサ等の受け具を介在させて作業を行うことが好ましい。
【0035】
次に、図11に示すように、一段目の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8−1とモルタル層5との間の空間43にコンクリート30−1を投入する。このコンクリート30−1の投入は、その上面30aが、モルタル層5に沿って、コンクリート板8の下側配置端面8aから1/2〜2/3の範囲になるように行われ、その投入された投入コンクリート30−1内には、アンカー10だけが埋め込まれ、高さ調整具9は、その投入コンクリート30−1内に埋め込まれない。このとき、このコンクリート30−1の投入に伴って、バイブレータ等により入念に締固めが行われるが、このバイブレータ等の作用によりコンクリート30−1の粘度が低下され、それに基づき、そのコンクリート30−1は、第1確認孔19Aの位置に達したとき、第1確認孔19A内に進入する。作業者は、そのコンクリート30−1の第1確認孔19Aへの進入を確認して、コンクリート30−1の投入作業をやめると共に、バイブレータ等の作動を停止する。これにより、コンクリート30−1の粘度が上昇し、コンクリート30−1の第1確認孔19A内への進入が止まり、コンクリート30−1が第1確認孔19Aから溢れ出すことはない。またこのとき、作業者は、コンクリート30−1が必要以上に投入されることを防止するために、第2確認孔20A内にコンクリート30−1が進入していないことも確認する。
【0036】
この結果、コンクリート30−1が、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8bよりも下側であってアンカー10が埋め込まれるまで投入され、投入コンクリート30−1の量を、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8bまでコンクリートを投入する場合よりも少なくできることになり、コンクリート板8−1に作用する投入コンクリート30−1の作用力は低減することになる。
【0037】
次に、図12に示すように、二段目の土木構築物用ユニット7−2(7)を二段目設置位置に搬送する。この二段目設置位置では、二段目の土木構築物用ユニット7−2における下側配置端面8aの一対の凹部13が一段目の土木構築物用ユニット7−1の突部14に嵌合され、その二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2(8)の上側配置端面8b側が高さ調整具9を介してモルタル層5上に支持される。そして、このときも、一段目の土木構築物用ユニット7−1の勾配調整の場合同様、図13に示すように、ジャッキ29と高さ調整具9とを用いて、二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2の勾配調整が行われ、そのコンクリート板8−2の上面が、一段目のコンクリート板8−1に連続して連なるようにされる。
尚、二段目の土木構築物用ユニット7−2における下側配置端面8aの一対の凹部13を一段目の土木構築物用ユニット7−1の突部14に嵌合させるに際しては、高さ調整具9を短めに短縮しておくことが好ましい。当該嵌合作業に際して、高さ調整具9を法面2に干渉(当接)しにくくして、当該嵌合作業を円滑に行うためである。
【0038】
次に、図14に示すように、二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2と法面2との間にコンクリート30−2を投入する。この投入コンクリート30−2は、一段目のコンクリート板8−1とモルタル層5との間の未投入空間43に投入されると共に、二段目のコンクリート板8−2の下端から1/2〜2/3の位置にまで投入され、その投入コンクリート30−2内には、一段目における土木構築物用ユニット7−1の高さ調整具9及び二段目の土木構築物用ユニット7−2のアンカー10が埋め込まれ、二段目の土木構築物用ユニット7−2の高さ調整具9は投入コンクリート30b内に埋め込まれない。勿論このときも、作業者は、第1,第2確認孔19A,20Aにより、コンクリート30−2の適正な投入を確認する。
【0039】
これにより、投入コンクリート30−2の作用力を、第1,第2コンクリート板8−1,8−2に分散でき、各第1,第2コンクリート板8−1,8−2に作用する投入コンクリート30−2の作用力を低減できることになる。またこの場合、コンクリート板8−1の内面側(コンクリート未投入空間43)に入り込む投入コンクリート30−2部分のコンクリート圧が、その投入コンクリート30−2の高さ(深さ)に基づき大きくなるが、このときには、コンクリート板8−1におけるアンカー10が、そのコンクリート板8−1の配設に伴って投入されたコンクリート(硬化)30−1と係合して、そのコンクリート板8−1の姿勢の保持性を高めており、その強固な状態に保持されたコンクリート板8−1が、投入コンクリート30−2のコンクリート圧を的確に受け止めることになる。しかも、この強固な状態に保持されたコンクリート板8−1における一対の突部14にコンクリート板8−2の一対の凹部13が嵌合されて、コンクリート板8−2がその厚み方向(特に上方側)に変位できないようになっており、コンクリート板8−2は、このことによっても、投入コンクリート30−2の作用力に基づき変位動する(浮き上がる)ことはない。
【0040】
またこの場合、投入コンクリート30−2は、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2とに跨ることになる。このため、その投入コンクリート30−2の硬化後、その投入コンクリート30−2と一段目のコンクリート板8−1とは高さ調整具9を介して連結され、投入コンクリート30−2と二段目のコンクリート板8−2とはアンカー10を介して連結されることになり、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2とは投入コンクリート30−2を介して連結されることになる。またこのとき、一段目のコンクリート板8−1が、その内面側に入り込んできたコンクリート30−2に係合することになり、一段目のコンクリート板8−1のこの作用により、二段目のコンクリート板8−2は法面2に押し付けられることになる。この結果、これらの作用に基づき、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2との一体化は高まることになる。
【0041】
この後、三段目以降の土木構築物用ユニット7の据え付けについても、同様の作業が繰り返され、最後に、天端コンクリート処理として、天端コンクリート41が形成され、施工作業が完了する。
【0042】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)河川3における護岸を対象とする場合に限らず、湖水、海における護岸等にも本発明を適用すること。
(2)高さ調整具9を1又は3以上設けること。
(3)位置決めピン28に換えて、基礎ブロック4の支持面4aに、コンクリート板8の凹部13に嵌合する突部を形成してもよいこと。
(4)実施形態では、施工の確実をきすために、コンクリート板8として、浮き上がり防止用アンカー10を設けたものを用いたが、コンクリート板8として、アンカー10を省いたものを用いてもよいこと。その場合には、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該コンクリートの高さ面が該各コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間に位置するように投入する、ことになる。これにより、投入コンクリートの作用力を、上下に隣り合うコンクリート板が受け止めることになり、その投入コンクリートの作用力を分散できることになる。
(5)浮き上がり防止用アンカーを複数用いること。
(6)コンクリート板8の表面に、自然石を植石したり、水質浄化材、植生基盤等を取付けること。
(7)コンクリート板8にポーラスコンクリートを使用したり、コンクリート板8の表面を擬石形状にしたりすること。
(8)実施形態では、法面2をモルタル層5により形成しているが、モルタルに限らず、均しコンクリートを用いて法面2を形成してもよく、また、岩等のしっかりとした支持地盤であれば、それ自体で法面2を形成し、モルタル層5を省いてもよいこと。
(10)法面2の状態が、必ずしも平滑である必要はなく、多少の凹凸が許容されること。
【0043】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る護岸を説明する縦断面図。
【図2】実施形態に係る護岸を平面的に説明する説明図。
【図3】実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図4】実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す右側面図。
【図5】実施形態に係る土木構築物用ユニットの内面側を示す図。
【図6】実施形態に係る高さ調整具を示す説明図。
【図7】図6の高さ調整具の変形使用態様を示す説明図。
【図8】実施形態に係るアンカーを示す説明図。
【図9】緩勾配の護岸を施工工程を説明する説明図。
【図10】図9に続く工程を説明する説明図。
【図11】図10に続く工程を説明する説明図。
【図12】図11に続く工程を説明する説明図。
【図13】図12に続く工程を説明する説明図。
【図14】図13に続く工程を説明する説明図。
【符号の説明】
【0045】
1 護岸
2 法面
8,8−1,8−2 コンクリート板
8a コンクリート板の下側配置端面
8b コンクリート板の上側配置端面
8d コンクリート板の平坦面
9 高さ調整具
10 浮き上がり防止用アンカー
13 一対の凹部
14 一対の突部
19A 第1確認孔
20A 第2確認孔
30,30−1,30−2 コンクリート
30a コンクリートの上面
43 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物の施工方法及び土木構築物用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
土木構築物の施工方法には、特許文献1に示すように、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と法面との間に上方側からコンクリートを投入するものが提案されている。具体的には、コンクリート板を法面上に複数のジャッキを介して受け止め、その各ジャッキの調整によりコンクリート板の高さ、勾配調整を行い、そのコンクリート板を、そのジャッキと、高さ調整可能なねじ式スペーサとを利用することにより、そのコンクリート板の高さ、勾配状態を維持しつつスペーサに受け止めさせ、その後、そのコンクリート板全体と法面との間の空間にコンクリートを上側開口から投入して、そのコンクリート板の上側配置端面の高さまで投入コンクリートが充填されることになっている。これによれば、コンクリート投入前において、ジャッキにより、コンクリート板の高さ、勾配調整作業を容易にすることができる。
【特許文献1】特許2618800号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物の施工方法においては、各コンクリート板を配設する度のコンクリート投入に伴って、その流動状のコンクリートが1枚のコンクリート板全体に作用することになり、そのコンクリート板は浮き上がり易い状況にある。特に土木構築物の構築においては、強度を確保する必要上、コンクリートの投入後、その投入コンクリートをバイブレータ等で締固めてコンクリート打設を行うことが必要であり、これに伴い、投入コンクリートに基づくコンクリート板を浮き上がらせる力は大きくなる傾向にある。このため、コンクリート板が浮き上がった場合には、そのコンクリート板の高さ、姿勢が所定の状態(正規の状態)から変更されることになり、施工において、コンクリート板の浮き上がり防止を考慮する必要がある。
【0004】
また、上記施工方法においては、各コンクリート板を配設する度に、その各コンクリート板全体と法面との間の空間にコンクリートがそれぞれ投入されることになり、その投入コンクリートは、上下方向に隣り合うコンクリート板同士の継目(目地)付近位置でそれぞれ接合されている。しかし、各コンクリート板の配設に伴うコンクリートの投入タイミングは異なっており、上記各接合部分(コンクリート打継目部分)の接合強度(一体化強度)は、硬化の進行速度の違いに基づき弱くならざるを得ない。このため、仮に各コンクリート板をその各背面側の投入コンクリート部分にアンカーを介して係合させるとしても、各接合部分(コンクリート打継目部分)で破断し易く、各コンクリート板を投入コンクリートを介して互いに強固に一体化する関係を得ることは期待できない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、コンクリート板の浮き上がりを防止できると共に、各コンクリート板の互いの一体化強度を高めることができる土木構築物の施工方法を提供することにある。
第2の技術的課題は、上記土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、
前記各コンクリート板として、該各コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、
前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって前記浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入する構成としてある。
【0007】
上述の構成により、各コンクリート板として、その各コンクリート板の内面に、そのコンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、各コンクリート板を配設する度に、コンクリートを、その各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入することから、当該コンクリート板が一段目(最下段)である場合には、投入コンクリート量を、その一段目のコンクリート板の上側配置端面までコンクリートを投入する場合よりも少なくしてその一段目のコンクリート板に作用する投入コンクリートの作用力を低減することができ、当該コンクリート板が二段目以上である場合には、そのコンクリート板の配設に伴い投入する投入コンクリートを上下に隣り合うコンクリート板に跨るように投入して、投入コンクリートの作用力を上下各コンクリート板に分散でき、上下各コンクリート板に作用する投入コンクリートの作用力を低減できる。特に当該コンクリート板が2段目以上である場合には、当該コンクリート板の下側に配設される下側コンクリート板の内面側(コンクリート未投入空間)に入り込む投入コンクリート部分のコンクリート圧が、その投入コンクリートの高さ(深さ)に基づき大きくなるが、このときには、下側コンクリート板における浮き上がり防止用アンカーが、その下側コンクリート板の配設に伴って投入されたコンクリート(硬化)と係合して、その下側コンクリート板の姿勢の保持性を高めており、その下側コンクリート板が、上側コンクリートの配設に伴う投入コンクリートのコンクリート圧を的確に受け止める。
【0008】
また、各コンクリート板の配設の度に、その浮き上がり防止用アンカーを埋め込むまで投入されたコンクリートは、その硬化後、その浮き上がり防止用アンカーと一体化すると共に、その各コンクリート板の下側の下側コンクリート板の内面側に入り込んでその下側のコンクリート板と係合する。このため、下側コンクリート板が、その上側に配置される上側コンクリート板の配設に伴って投入される投入コンクリート(下側コンクリート板の内面側に入り込んで硬化したもの)を順次、法面側に押し付けることになり、各コンクリート板は、互いに一体化する。
【0009】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板が、該各コンクリート板の内面の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具を有していると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において前記浮き上がり防止用アンカーを有し、
前記コンクリートを投入するに際して、該コンクリートの投入後の上面を、該各コンクリート板における前記高さ調整具の位置よりも低い高さとする構成とされている(請求項2)。この好ましい態様においては、高さ調整具をもってコンクリート板の上側配置端面側の高さ調整を行って、各コンクリート板の姿勢(勾配)を調整できることは勿論、各コンクリート板の配設に伴って投入されるコンクリートが、そのコンクリート板の下側に配設される下側コンクリートの高さ調整具を埋め込み、その投入コンクリート内に、そのコンクリート板の浮き上がり防止用アンカーと下側コンクリート板の高さ調整具とが埋め込まれ、そのコンクリート板とその下側の下側コンクリート板とは、浮き上がり防止用アンカー、投入コンクリート(硬化したもの)及び高さ調整具を介して一体化される。このため、各コンクリート板が互いに一体化され、各コンクリート板の互いの一体化強度を、一層高めることができる。
【0010】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板を配設するに際して、該各コンクリート板の下側に配置される下側コンクリート板の上側配置端面に対して該各コンクリート板の下側配置端面を係合させると共に、
前記高さ調整具の先端を、前記浮き上がり防止用アンカーの先端を前記法面より離間した状態にしつつ、該法面に当接させる構成としてある(請求項3)。この好ましい態様においては、各コンクリート板の下側配置端面側をその下側の下側コンクリート板の上側配置端面側に係合(支持)させつつ、その各コンクリート板の上側配置端面側の高さ調整を高さ調整具をもって行うことができ(各コンクリート板の姿勢(勾配)調整)、その調整の際に、浮き上がり防止用アンカーの先端部が法面に当接することはない。このため、各コンクリート板の高さ、姿勢調整を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔内に進入してこないことを確認する構成としてある(請求項4)。この好ましい態様においては、各コンクリート板の配設に伴う投入コンクリートが、必要以上に投入されること防止して、その投入量を適量にできる。この場合、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリートに埋め込まれたことは、コンクリート板と法面との間の上側開口(コンクリート投入口)から視認する。
【0012】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔に進入してくることを確認する構成としてある(請求項5)。この好ましい態様においては、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリート内に埋め込まれたことを確認孔の状態により確認できると共に、投入コンクリートが充分に充填されたことが確認できる。
【0013】
本発明においては、請求項1の好ましい態様として、前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔を有するものを用意し、前記コンクリートを、該第1確認孔に進入してくるようにしつつ該第2確認孔に進入してこないように投入する構成としてある(請求項6)。この好ましい態様においては、第1,第2確認孔の状態を見ているだけで、浮き上がり防止用アンカーが投入コンクリート内に埋め込まれたことを確認できると共に、投入コンクリートが、必要以上に投入されること防止して、その投入量を適量にできる。
【0014】
前記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項7に係る発明)にあっては、
コンクリート板が備えられ、該コンクリート板が、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、配設するために用いられ、該コンクリート板の内面が該法面との間にコンクリートを投入するための空間を形成する土木構築物用ユニットであって、
前記コンクリート板の下側配置端面に、被係合部又は係合部の一方が設けられ、
前記コンクリート板の上側配置端面に、前記一方に係合関係を有する被係合部又は係合部の他方が設けられ、
前記コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具が設けられていると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において、浮き上がり防止用アンカーが設けられている構成としてある。
【0015】
上述の構成においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、各コンクリート板の下側配置端面側を、その下側に配設される下側コンクリート板の上側配置端面側に係合させて、そのコンクリート板の姿勢調整を行うことができると共に、各コンクリート板の配設に伴って投入するコンクリート内に、各コンクリート板の浮き上がり防止用アンカーと、その下側に配置される下側コンクリート板の高さ調整具とを埋め込むことができ、前記請求項2と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている構成とされている(請求項8)。この好ましい態様においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、前記請求項4,5と同様の作用効果を得ることができる。このため、前記請求項4又は5に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを具体的に提供できる。
【0017】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている構成としてある(請求項9)。この好ましい態様においては、当該土木構築物用ユニットを用いることにより、前記請求項6と同様の作用効果を得ることができる。このため、前記請求項6に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを提供できる。
【0018】
本発明においては、請求項7の好ましい態様として、平面視四角形状とされ、
角部側面が切り落とされた形状とされている構成としてある(請求項10)。この好ましい態様においては、当該コンクリート板を法面上に敷き詰めるだけで、角部において、隣り合う他のコンクリート板と協働して確認孔を形成でき、その確認孔の状態により、コンクリートが上下方向及び左右方向に隣り合うコンクリート板間に跨るように投入されたことを確認できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、当該方法を用いることにより、コンクリート板の浮き上がりを防止できると共に、各コンクリート板の互いの一体化強度を高めることができる。
【0020】
また、本発明(請求項7に係る発明)によれば、前記請求項2に係る土木構築物の施工方法に用いられる土木構築物用ユニットを具体的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
実施形態に係る土木構築物としての護岸1においては、図1に示すように、法面2が河川側(図1中、左側)から陸上側(図1中、右側)に向うに従って上方に向って延びるよう傾斜されており、その法面2の下端位置には基礎ブロック4が設けられている。法面2は、本実施形態においては、モルタル層5により形成されており、そのモルタル層5は、所定の勾配で整形された岩盤上にモルタル吹き付けを行うことにより形成されている。基礎ブロック4は、河川水の流れ方向(図1中、紙面垂直方向)に延びるようにして配置されており、その基礎ブロック4には、陸上側における上部において、上方に向うに従って河川側に傾斜する支持面4aが形成されている。
【0022】
前記法面2上には、図1,図2に示すように、護岸機能を発揮することを主目的として、複数の土木構築物用ユニット7が敷き詰められている。各土木構築物用ユニット7は、図1〜図6に示すように、主要要素としてのコンクリート板8と、高さ調整具9と、浮き上がり防止用アンカー(以下、アンカーと称す)10とを備えており、その高さ調整具9及びアンカー10はコンクリート板8の内面に取付けられている。尚、図2において、符号40は、カーブ施工のために現場打ちされるばち部分を示す。
【0023】
前記土木構築物用ユニット7のコンクリート板8は、図1〜図5に示すように、その板面をもって法面2を覆うものであり、そのコンクリート板8は、一定厚みの平面視略正方形状に形成されている。このコンクリート板8の一の側面が下側配置端面8aとされ、その下側配置端面8aに対向する側面が上側配置端面8bとされ、残りの2つの側面が横側側面8cとされている。本実施形態においては、このコンクリート板8として、厚み130mm前後、一辺1000mm前後のものが用いられている。
【0024】
このコンクリート板8の下側配置端面8aには、一定間隔だけ離間した一対の凹部(被係合部又は係合部の一方)13が形成され、その上側配置端面8bには、一対の凹部13に対応する一対の突部(被係合部又は係合部の他方)14が突設されている。一対の凹部13は、隣り合う別(下側)の土木構築物用ユニット7における一対の突部14に回動可能に嵌め込まれており、その嵌合(係合)状態において、その嵌合部を中心として、その土木構築物用ユニット7は、隣り合う別の土木構築物用ユニット7に対して相対的に上下方向に多少、揺動することが許容されることになっている。勿論このとき、本実施形態においては、一対の突部14と一対の凹部13との嵌合状態は、極力がたつかないようにしつつ回動可能とされており、当該土木構築物用ユニット7は、コンクリート板8の厚み方向(特に上方側)に変位動しないようにされている。
尚、本実施形態においては、凹部13として、一対の凹部13を用いているが、それに換えて、一対の凹部が連続的に連なるように構成した一つの凹部(長孔)を用いるようにしてもよい。
【0025】
このコンクリート板8の外面上には、図3に示すように、凹所15が形成され、その凹所15内には、専用吊上げ金具(図示略)を係止させて吊上げ搬送すべく、吊上げ用ピン16が立設されている。この場合、コンクリート板8を吊上げ搬送するに際して、所定傾斜状態(下側配置端面8bを上側配置端面8aよりも低くした姿勢)にすべく、吊上げ用ピン16の位置は、コンクリート板8の重心位置から上側配置端面8b側にオフセットされている。一方、コンクリート板8の内面には、図4〜図6に示すように、上側配置端面側8bにおいて高さ調整具9用の2つのインサートナット17が埋め込まれ、下側配置端面8a側においてアンカー10用の1つのインサートナット18が埋め込まれている。2つのインサートナット17は、上側配置端面8b側の角部付近(横方向両側)に配置され、インサートナット18は、下側配置端面8aよりもやや上側配置端面8b側の位置において、横方向(図5中、左右方向)略中央位置に位置されている。
【0026】
このコンクリート板8の横側側面8cの一方には、図3〜図5に示すように、第1,第2の縦溝19,20が形成されている。この第1,第2の縦溝19,20は、上側配置端面8b側向けて順に、配置されており、そのいずれもが、前記インサートナット17の位置と前記インサートナット18の位置との間に位置されている。この第1,第2の縦溝19,20は、平面視略半円弧状に形成され、その各縦溝19(20)は、コンクリート板8の内外面間を貫通している。
また、本実施形態においては、図3,図5に示すように、コンクリート板8の下側配置端面8aに縦溝21が形成されていると共に、そのコンクリート板8の四隅角部側面に平坦面8dが形成されている。縦溝21は、一対の凹部13間に位置されており(図5参照)、この縦溝21も、コンクリート板8の内外面間を貫通している。平坦面8dは、コンクリート板8の四隅角部を切り落とした形状とされている。
【0027】
前記高さ調整具9は、図1に示すように、コンクリート板8内面における上側配置端面8b側と法面2との間に介在されて、コンクリート板8の高さ(間隔)調整するものであり、この高さ調整具9によりコンクリート板8内面と法面2との間に空間43が形成されることになる。本実施形態においては、前記2つのインサートナット17に取付けるべく、2つの高さ調整具9が用意されており、その各高さ調整具9は、図6に示すように、基本的には、ねじ棒22と、筒状のナット23とを備えている。各高さ調整具9のねじ棒22は、その一端部がインサートナット17に螺合されて取付けられており、そのねじ棒22の他端部にはナット23が螺合されて、そのナット23の螺合状態を調整することにより、コンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量が調整できることになっている。このため、ナット23の螺合状態を調整できる範囲でコンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量を調整できるが、その突出量が未だ不足する場合には、図7に示すように、ナット23の先端側(図7中、下側)にボルト24が螺合される。これにより、コンクリート板8内面からの高さ調整具9の突出量には、ナット23の調整量の他にボルト24の調整量も加わることになり、該突出量を、ボルト24が存在しない場合に比べて長くすることができる。尚、符号25は、高さ調整具9のねじ棒22をインサートナット17に強固に取付けるための締付け用ナットである。
【0028】
前記アンカー10は、後述のコンクリート層27との係合に基づき、投入コンクリートによりコンクリート板8が浮き上がることを規制するものである。このアンカー10は、本実施形態においては、ボルトにより構成されており、そのアンカー10は、前記インサートナット18に螺合することによりコンクリート板8内面に取付けられている。この場合、アンカー10のコンクリート板8内面からの突出量は、前記高さ調整具9の突出量が最短縮状態にある場合よりも短くなるように設定されている。尚、符号26は、アンカー10をインサートナット18に強固に取付けるための締付け用ナットである。
【0029】
前記法面2上に敷き詰められた土木構築物用ユニット7のコンクリート板8とモルタル層5との間の空間43には、図1に示すように、コンクリート層27が介在されている。このコンクリート層27には、各土木構築物用ユニットの高さ調整具9及びアンカー10が埋設さており、その高さ調整具9及びアンカー10は、コンクリート層27に係合している。
【0030】
前記法面2上に敷き詰められた各土木構築物用ユニット7のコンクリート板8の四隅には、図2に示すように、隣り合う他の土木構築物ユニット7のコンクリート板8と協働して確認孔31が形成されている。この確認孔31は、各土木構築物用ユニット7における角部側面の平坦面8dが区画している。また、各土木構築物用ユニット7の第1,第2の縦溝19,20は、他の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8の横側側面8cと協働して、第1,第2の確認孔19A,20Aを形成し、縦溝21は、他の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8の上側配置端面8bと協働して、確認孔21Aを形成している。尚、図1において、符号41は天端コンクリート,42は地盤層を示す。
【0031】
このような護岸(土木構築物)1は、次のようにしてに施工される。
先ず、所定の勾配(例えば1:1.5)で法面整形を行うと共に基礎ブロック4を設置する。この法面整形を行うに際しては、岩盤を所定の勾配に整形し、その所定の勾配の岩盤上にモルタル吹き付け工を行う。これにより、岩盤上にモルタル層5が形成されることになり、このモルタル層5により、所定の勾配の法面2が確保されると共に、スレーキングが抑制される。基礎ブロック4は、モルタル層5の下側において、掘削空間を確保し、その掘削空間内にコンクリートを充填することにより、形成され、その基礎ブロック4は、河川の流れ方向(図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。この基礎ブロック4には、モルタル層5の上面に対して略垂直に起立する支持面4aが形成されており、その支持面4aには、最下段である一段目の土木構築物用ユニット7−1(コンクリート板8−1)を位置決めるための位置決めピン28が設置されている。
【0032】
次に、図9に示すように、一段目の土木構築物用ユニット7−1(7)を所定の一段目設置位置に吊上げ搬送する。この土木構築物用ユニット7−1の吊上げ搬送に際しては、専用吊上げ金具、それをワイヤWを介して吊り上げるクレーンが用いられ、それらを利用して、土木構築物用ユニット7−1は、所定の傾斜状態をもって所定の一段目設置位置に搬送される。一段目設置位置に土木構築物用ユニット7−1が搬送されると、その土木構築物用ユニット7−1の吊上げ状態を維持しつつ、そのコンクリート板8−1の下側配置端面8aが基礎ブロック4の支持面4aに当接されると共に、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8b側が高さ調整具9を介してモルタル層5上に支持される。このとき、コンクリート板8−1の下側配置端面8aの一対の凹部13内に基礎ブロック4の位置決めピン28が入り込むようにされ、コンクリート板8−1の下側配置端面8a側の位置決めが行われる。しかし、この位置決め状態でも、この土木構築物用ユニット7−1は、上下方向に多少、揺動することができることになる。
【0033】
次に、図10に示すように、一段目における土木構築物用ユニット7−1の勾配を調整する。この土木構築物用ユニット7−1の勾配の調整においては、そのコンクリート板8の上側配置端面8a側とモルタル層5との間にジャッキ(高さ調整装置)29がセットされ、そのジャッキ29を用いて、コンクリート板8−1の上側配置端面8a側とモルタル層5との距離を調整することにより、コンクリート板8−1(土木構築物用ユニット7−1)をモルタル層5の所定の勾配にされる。そしてこの後、高さ調整具9(ナット23)を調整して、土木構築物用ユニット7−1をその所定の勾配に維持するように支持した上で、コンクリート板8−1に対するジャッキ29による支持が解除され、そのジャッキ29はコンクリート板8とモルタル層5との間から取り除かれる。
【0034】
この実施形態においては、より安全で確実な方法として、ジャッキ29による調整方法を用いているが、高さ調整具9にモンキー等の締結具を用いることにより、直接、高さ調整具9の伸長を調整してもよい。その場合には、高さ調整具9が外れても作業員の安全を確保すべく、コンクリート板8と法面2との間にスペーサ等の受け具を介在させて作業を行うことが好ましい。
【0035】
次に、図11に示すように、一段目の土木構築物用ユニット7におけるコンクリート板8−1とモルタル層5との間の空間43にコンクリート30−1を投入する。このコンクリート30−1の投入は、その上面30aが、モルタル層5に沿って、コンクリート板8の下側配置端面8aから1/2〜2/3の範囲になるように行われ、その投入された投入コンクリート30−1内には、アンカー10だけが埋め込まれ、高さ調整具9は、その投入コンクリート30−1内に埋め込まれない。このとき、このコンクリート30−1の投入に伴って、バイブレータ等により入念に締固めが行われるが、このバイブレータ等の作用によりコンクリート30−1の粘度が低下され、それに基づき、そのコンクリート30−1は、第1確認孔19Aの位置に達したとき、第1確認孔19A内に進入する。作業者は、そのコンクリート30−1の第1確認孔19Aへの進入を確認して、コンクリート30−1の投入作業をやめると共に、バイブレータ等の作動を停止する。これにより、コンクリート30−1の粘度が上昇し、コンクリート30−1の第1確認孔19A内への進入が止まり、コンクリート30−1が第1確認孔19Aから溢れ出すことはない。またこのとき、作業者は、コンクリート30−1が必要以上に投入されることを防止するために、第2確認孔20A内にコンクリート30−1が進入していないことも確認する。
【0036】
この結果、コンクリート30−1が、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8bよりも下側であってアンカー10が埋め込まれるまで投入され、投入コンクリート30−1の量を、そのコンクリート板8−1の上側配置端面8bまでコンクリートを投入する場合よりも少なくできることになり、コンクリート板8−1に作用する投入コンクリート30−1の作用力は低減することになる。
【0037】
次に、図12に示すように、二段目の土木構築物用ユニット7−2(7)を二段目設置位置に搬送する。この二段目設置位置では、二段目の土木構築物用ユニット7−2における下側配置端面8aの一対の凹部13が一段目の土木構築物用ユニット7−1の突部14に嵌合され、その二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2(8)の上側配置端面8b側が高さ調整具9を介してモルタル層5上に支持される。そして、このときも、一段目の土木構築物用ユニット7−1の勾配調整の場合同様、図13に示すように、ジャッキ29と高さ調整具9とを用いて、二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2の勾配調整が行われ、そのコンクリート板8−2の上面が、一段目のコンクリート板8−1に連続して連なるようにされる。
尚、二段目の土木構築物用ユニット7−2における下側配置端面8aの一対の凹部13を一段目の土木構築物用ユニット7−1の突部14に嵌合させるに際しては、高さ調整具9を短めに短縮しておくことが好ましい。当該嵌合作業に際して、高さ調整具9を法面2に干渉(当接)しにくくして、当該嵌合作業を円滑に行うためである。
【0038】
次に、図14に示すように、二段目の土木構築物用ユニット7−2におけるコンクリート板8−2と法面2との間にコンクリート30−2を投入する。この投入コンクリート30−2は、一段目のコンクリート板8−1とモルタル層5との間の未投入空間43に投入されると共に、二段目のコンクリート板8−2の下端から1/2〜2/3の位置にまで投入され、その投入コンクリート30−2内には、一段目における土木構築物用ユニット7−1の高さ調整具9及び二段目の土木構築物用ユニット7−2のアンカー10が埋め込まれ、二段目の土木構築物用ユニット7−2の高さ調整具9は投入コンクリート30b内に埋め込まれない。勿論このときも、作業者は、第1,第2確認孔19A,20Aにより、コンクリート30−2の適正な投入を確認する。
【0039】
これにより、投入コンクリート30−2の作用力を、第1,第2コンクリート板8−1,8−2に分散でき、各第1,第2コンクリート板8−1,8−2に作用する投入コンクリート30−2の作用力を低減できることになる。またこの場合、コンクリート板8−1の内面側(コンクリート未投入空間43)に入り込む投入コンクリート30−2部分のコンクリート圧が、その投入コンクリート30−2の高さ(深さ)に基づき大きくなるが、このときには、コンクリート板8−1におけるアンカー10が、そのコンクリート板8−1の配設に伴って投入されたコンクリート(硬化)30−1と係合して、そのコンクリート板8−1の姿勢の保持性を高めており、その強固な状態に保持されたコンクリート板8−1が、投入コンクリート30−2のコンクリート圧を的確に受け止めることになる。しかも、この強固な状態に保持されたコンクリート板8−1における一対の突部14にコンクリート板8−2の一対の凹部13が嵌合されて、コンクリート板8−2がその厚み方向(特に上方側)に変位できないようになっており、コンクリート板8−2は、このことによっても、投入コンクリート30−2の作用力に基づき変位動する(浮き上がる)ことはない。
【0040】
またこの場合、投入コンクリート30−2は、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2とに跨ることになる。このため、その投入コンクリート30−2の硬化後、その投入コンクリート30−2と一段目のコンクリート板8−1とは高さ調整具9を介して連結され、投入コンクリート30−2と二段目のコンクリート板8−2とはアンカー10を介して連結されることになり、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2とは投入コンクリート30−2を介して連結されることになる。またこのとき、一段目のコンクリート板8−1が、その内面側に入り込んできたコンクリート30−2に係合することになり、一段目のコンクリート板8−1のこの作用により、二段目のコンクリート板8−2は法面2に押し付けられることになる。この結果、これらの作用に基づき、一段目のコンクリート板8−1と二段目のコンクリート板8−2との一体化は高まることになる。
【0041】
この後、三段目以降の土木構築物用ユニット7の据え付けについても、同様の作業が繰り返され、最後に、天端コンクリート処理として、天端コンクリート41が形成され、施工作業が完了する。
【0042】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)河川3における護岸を対象とする場合に限らず、湖水、海における護岸等にも本発明を適用すること。
(2)高さ調整具9を1又は3以上設けること。
(3)位置決めピン28に換えて、基礎ブロック4の支持面4aに、コンクリート板8の凹部13に嵌合する突部を形成してもよいこと。
(4)実施形態では、施工の確実をきすために、コンクリート板8として、浮き上がり防止用アンカー10を設けたものを用いたが、コンクリート板8として、アンカー10を省いたものを用いてもよいこと。その場合には、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該コンクリートの高さ面が該各コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間に位置するように投入する、ことになる。これにより、投入コンクリートの作用力を、上下に隣り合うコンクリート板が受け止めることになり、その投入コンクリートの作用力を分散できることになる。
(5)浮き上がり防止用アンカーを複数用いること。
(6)コンクリート板8の表面に、自然石を植石したり、水質浄化材、植生基盤等を取付けること。
(7)コンクリート板8にポーラスコンクリートを使用したり、コンクリート板8の表面を擬石形状にしたりすること。
(8)実施形態では、法面2をモルタル層5により形成しているが、モルタルに限らず、均しコンクリートを用いて法面2を形成してもよく、また、岩等のしっかりとした支持地盤であれば、それ自体で法面2を形成し、モルタル層5を省いてもよいこと。
(10)法面2の状態が、必ずしも平滑である必要はなく、多少の凹凸が許容されること。
【0043】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る護岸を説明する縦断面図。
【図2】実施形態に係る護岸を平面的に説明する説明図。
【図3】実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図4】実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す右側面図。
【図5】実施形態に係る土木構築物用ユニットの内面側を示す図。
【図6】実施形態に係る高さ調整具を示す説明図。
【図7】図6の高さ調整具の変形使用態様を示す説明図。
【図8】実施形態に係るアンカーを示す説明図。
【図9】緩勾配の護岸を施工工程を説明する説明図。
【図10】図9に続く工程を説明する説明図。
【図11】図10に続く工程を説明する説明図。
【図12】図11に続く工程を説明する説明図。
【図13】図12に続く工程を説明する説明図。
【図14】図13に続く工程を説明する説明図。
【符号の説明】
【0045】
1 護岸
2 法面
8,8−1,8−2 コンクリート板
8a コンクリート板の下側配置端面
8b コンクリート板の上側配置端面
8d コンクリート板の平坦面
9 高さ調整具
10 浮き上がり防止用アンカー
13 一対の凹部
14 一対の突部
19A 第1確認孔
20A 第2確認孔
30,30−1,30−2 コンクリート
30a コンクリートの上面
43 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、
前記各コンクリート板として、該各コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、
前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって前記浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記各コンクリート板が、該各コンクリート板の内面の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具を有していると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において前記浮き上がり防止用アンカーを有し、
前記コンクリートを投入するに際して、該コンクリートの投入後の上面を、該各コンクリート板における前記高さ調整具の位置よりも低い高さとする、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記各コンクリート板を配設するに際して、該各コンクリート板の下側に配置される下側コンクリート板の上側配置端面に対して該各コンクリート板の下側配置端面を係合させると共に、
前記高さ調整具の先端を、前記浮き上がり防止用アンカーの先端を前記法面より離間した状態にしつつ、該法面に当接させる、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔内に進入してこないことを確認する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔に進入してくることを確認する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔を有するものを用意し、前記コンクリートを、該第1確認孔に進入してくるようにしつつ該第2確認孔に進入してこないように投入する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項7】
コンクリート板が備えられ、該コンクリート板が、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、配設するために用いられ、該コンクリート板の内面が該法面との間にコンクリートを投入するための空間を形成する土木構築物用ユニットであって、
前記コンクリート板の下側配置端面に、被係合部又は係合部の一方が設けられ、
前記コンクリート板の上側配置端面に、前記一方に係合関係を有する被係合部又は係合部の他方が設けられ、
前記コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具が設けられていると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において、浮き上がり防止用アンカーが設けられている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項9】
請求項7において、
前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項10】
請求項7において、
平面視四角形状とされ、
角部側面が切り落とされた形状とされている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項1】
法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、コンクリート板を配設すると共に、該各コンクリート板と該法面との間に上側からコンクリートを投入する土木構築物の施工方法において、
前記各コンクリート板として、該各コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面と下側配置端面との間において浮き上がり防止用アンカーが備えられたものを用意し、
前記各コンクリート板を配設する度に、前記コンクリートを、該各コンクリート板の上側配置端面よりも下側であって前記浮き上がり防止用アンカーが埋め込まれるまで投入する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記各コンクリート板が、該各コンクリート板の内面の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具を有していると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において前記浮き上がり防止用アンカーを有し、
前記コンクリートを投入するに際して、該コンクリートの投入後の上面を、該各コンクリート板における前記高さ調整具の位置よりも低い高さとする、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記各コンクリート板を配設するに際して、該各コンクリート板の下側に配置される下側コンクリート板の上側配置端面に対して該各コンクリート板の下側配置端面を係合させると共に、
前記高さ調整具の先端を、前記浮き上がり防止用アンカーの先端を前記法面より離間した状態にしつつ、該法面に当接させる、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔内に進入してこないことを確認する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において確認孔を有するものを用意して、前記コンクリートが該確認孔に進入してくることを確認する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記各コンクリート板として、前記浮き上がり防止用アンカーよりも上側配置端面側において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔を有するものを用意し、前記コンクリートを、該第1確認孔に進入してくるようにしつつ該第2確認孔に進入してこないように投入する、
ことを特徴とする土木構築物の施工方法。
【請求項7】
コンクリート板が備えられ、該コンクリート板が、法面に対して一定間隔をあけつつ該法面に沿って下側から上側に向けて順次、配設するために用いられ、該コンクリート板の内面が該法面との間にコンクリートを投入するための空間を形成する土木構築物用ユニットであって、
前記コンクリート板の下側配置端面に、被係合部又は係合部の一方が設けられ、
前記コンクリート板の上側配置端面に、前記一方に係合関係を有する被係合部又は係合部の他方が設けられ、
前記コンクリート板の内面に、該コンクリート板の上側配置端面側において、伸縮可能な高さ調整具が設けられていると共に、該高さ調整具よりも下側配置端面側において、浮き上がり防止用アンカーが設けられている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項9】
請求項7において、
前記コンクリート板に、前記浮き上がり防止用アンカーと該コンクリート板の上側配置端面との間において、該上側配置端面側に向けて順に、第1,第2確認孔が内外面を貫通するようにして形成されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項10】
請求項7において、
平面視四角形状とされ、
角部側面が切り落とされた形状とされている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−262773(P2007−262773A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90250(P2006−90250)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【出願人】(301015864)株式会社環境工学研究所 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【出願人】(301015864)株式会社環境工学研究所 (18)
【Fターム(参考)】
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