説明

土鍋及び土鍋の製造方法

【課題】
最も好適な電磁誘導発熱体を備えた土鍋を提供する。
【解決手段】
土鍋11は、粘土3の成型により形成された土鍋本体12と、土鍋本体12の表面を覆う釉薬18とからなる。粘土3には、整磁合金の粉末15が混入されている。この土鍋11の製造方法は、整磁合金の粉末15を混入した粘土3を成型して土鍋本体12を形成する第1の工程と、土鍋本体12を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体12の表面16,17に釉薬18を塗布し土鍋本体12を焼成する第3の工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土によって形成された土鍋であって、電磁調理器によって加熱されることが可能な土鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁調理器は、これに金属製の容器を載せ、内部に配置したコイルに交番電流を流すと交番磁界が発生し、金属製の容器に電磁誘導による渦電流を発生させて自己発熱をさせ、金属製の容器を加熱するものである。電磁調理器は、エネルギー効率が高く、火なしで食材を加熱調理することができ、また、燃焼ガスも発生しないので一般家庭に普及し始めている。また、非導電性物質によって形成される容器の代表的な一例として土鍋が存在する。当該土鍋は、電磁調理器によって加熱させることができない。そのため、電磁調理器で加熱することができるように、土鍋の底壁に電磁誘導発熱体を設けた電磁調理器用土鍋が種々提案されている(例えば、特許文献1乃至6)。
【特許文献1】特開2000−133429号公報
【特許文献2】特開2000−237045号公報
【特許文献3】特開2003−325327号公報
【特許文献4】特開2004−241177号公報
【特許文献5】特開2005−237646号公報
【特許文献6】特開2006−247085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の電磁調理器用容器に使用される電磁誘導発熱体は、鉄、銀、アルミニウム等の金属である。土鍋に鉄や銀の電磁誘導発熱体を使用すると、土鍋と鉄や銀の熱膨張率の違いから使用時に土鍋本体が割れたりする場合があった。また、土鍋にアルミニウムの電磁誘導発熱体を使用すると、発熱時に電磁誘導発熱体が溶け出してしまう場合があった。また、上記した電磁誘導発熱体は、温度制御することができず、従って土鍋が高温状態になっても、その状態が維持され、土鍋本体がひび割れたり、土鍋本体の釉薬が溶けたりするという場合があった。従って従来の土鍋に最も適した電磁誘導発熱体は、見あたらないという問題点があった。
【0004】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、最も好適な電磁誘導発熱体を備えた土鍋を提供することを第1の目的とする。また、最も好適な電磁誘導発熱体を備えた土鍋の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成された土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、粘土には、整磁合金の粉末が混入されていることを特徴とする。
【0006】
本願請求項2に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成された土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、土鍋本体の外側又は内側の表面とコーティング材の間に、整磁合金の溶射層が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本願請求項3に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成された土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆う第1のコーティング材とからなる土鍋であって、土鍋本体の第1のコーティング材の外側又は内側の表面に整磁合金の溶射層が設けられ、整磁合金の溶射層の表面は第2のコーティング材によって覆われていることを特徴とする。
【0008】
本願請求項4に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成された土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、土鍋本体の外側又は内側の表面とコーティング材の間に、整磁合金の粉末層が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本願請求項5に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成された土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆う第1のコーティング材とからなる土鍋であって、土鍋本体の第1のコーティング材の外側又は内側の表面に整磁合金の粉末層が設けられ、整磁合金の粉末層の表面は第2のコーティング材によって覆われていることを特徴とする。
【0010】
本願請求項6に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、底壁には凹部が形成され、当該凹部には、整磁合金の粉末が混入された粘土によって成型された板状体が埋設されていることを特徴とする。
【0011】
本願請求項7に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、底壁には凹部が形成され、当該凹部には、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の溶射層が設けられた板状体が、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設されていることを特徴とする。
【0012】
本願請求項8に係る土鍋は、上記第1の目的を達成するため、粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、底壁には凹部が形成され、当該凹部には、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の粉末層が設けられた板状体が、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設されていることを特徴とする。
【0013】
本願請求項9に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)整磁合金の粉末を混入した粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程と、(ハ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第3の工程とからなる。
【0014】
本願請求項10に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程と、(ハ)素焼きの行った土鍋本体の外側又は内側の表面に、整磁合金を溶射して溶射層を形成する第3の工程と、(ニ)溶射層を覆うようにして土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程とからなる。
【0015】
本願請求項11に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程と、(ハ)土鍋本体の表面に第1のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成して本焼きを行う第3の工程と、(ニ)本焼きを行った土鍋本体の外側又は内側の表面を加工して粗面化する第4の工程と、(ホ)粗面化した表面に整磁合金を溶射して溶射層を形成する第5の工程と、(へ)溶射層を覆うようにして土鍋本体の表面に第2のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第6の工程とからなる。
【0016】
本願請求項12に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程と、(ハ)素焼きの行った土鍋本体の外側又は内側の表面に、整磁合金の粉末を塗布して粉末層を形成する第3の工程と、(ニ)粉末層を覆うようにして土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程とからなる。
【0017】
本願請求項13に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程と、(ハ)土鍋本体の表面に第1のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成して本焼きを行う第3の工程と、(ニ)本焼きを行った土鍋本体の外側又は内側の表面を加工して粗面化する第4の工程と、(ホ)粗面化した表面に整磁合金の粉末を塗布して粉末層を形成する第5の工程と、(へ)粉末層を覆うようにして土鍋本体の表面に第2のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第6の工程とからなる。
【0018】
本願請求項14に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)底壁の凹部に、整磁合金の粉末が混入された粘土によって成型された板状体を埋設する第2の工程と、(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程と、(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程とからなる。
【0019】
本願請求項15に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)底壁の凹部に、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の溶射層が設けられた板状体を、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程と、(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程とからなる。
【0020】
本願請求項16に係る土鍋の製造方法は、上記第2の目的を達成するため、(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程と、(ロ)底壁の凹部に、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の粉末層が設けられた板状体を、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程と、(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程とからなる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明に係る土鍋は、電磁誘導発熱体として整磁合金を利用している。整磁合金は、所定温以下では、電気抵抗が大きく発熱量が高いが、所定温度以上になると磁性を失うため、発熱量が小さくなる。従って、本願発明に係る土鍋は、温度制御することができ、所定温度以上にはならないので、過熱の防止をすることができ、その結果、土鍋本体のひび割れや、コーティング材の熔解を防ぐことができ、商品寿命を延ばすことができるという効果がある。また、本願発明に係る土鍋は、整磁合金を板状ではなく、粉末状に微細化して使用しているので、整磁合金の熱膨張も小さく、発熱させても土鍋を割るような膨張はせず、従って整磁合金が土鍋本体に影響を与えることがきわめて少ないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本願発明に係る土鍋の実施の形態を図1乃至図10に基づいて説明する。図1は、本願発明に係る土鍋の一つの実施例を示す断面図である。図2は、本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。図3は、図2の土鍋の製造方法を示す断面図である。図4乃至図12は、本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、土鍋11は、粘土3の成型により形成された土鍋本体12と、土鍋本体12の表面を覆うコーティング材(釉薬)18とからなる。粘土3には、整磁合金の粉末15が混入されている。この土鍋11の製造方法は、整磁合金の粉末15を混入した粘土3を成型して土鍋本体12を形成する第1の工程と、土鍋本体12を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体12の内側及び外側の表面16,17にコーティング材(釉薬)18を塗布し土鍋本体12を焼成する第3の工程とからなる。
【0024】
図5に示すように、土鍋41は、粘土3の成型により形成された土鍋本体42と、土鍋本体42の表面を覆うコーティング材(釉薬)48とからなる。土鍋本体42の外側の表面47とコーティング材(釉薬)48の間に、整磁合金45の溶射層45bが設けられている。この土鍋41の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体42を形成する第1の工程と、土鍋本体42を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体42の外側の表面47に、整磁合金45を溶射して溶射層45bを形成する第3の工程と、溶射層45bを覆うようにして土鍋本体42の内側及び外側の表面46,47にコーティング材(釉薬)48を塗布し土鍋本体42を焼成する第4の工程とからなる。
【0025】
なお、図11に示すように、土鍋41は、粘土3の成型により形成された土鍋本体42と、土鍋本体42の表面を覆う第1のコーティング材48とからなる。土鍋本体42の外側の第1のコーティング材48の外側の表面48aに整磁合金45の溶射層45bが設けられている。整磁合金45の溶射層45bの表面49は第2のコーティング材50によって覆われている。この土鍋41の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体42を形成する第1の工程と、土鍋本体42を焼いて素焼きを行う第2の工程と、土鍋本体42の内側及び外側の表面46,47に第1のコーティング材48を塗布し土鍋本体42を焼成して本焼きを行う第3の工程と、本焼きを行った土鍋本体42の外側の表面49を加工して粗面化する第4の工程と、粗面化した表面49に整磁合金45を溶射して溶射層45bを形成する第5の工程と、溶射層45bを覆うようにして土鍋本体42の外側の表面49側に第2のコーティング材50を塗布し土鍋本体42を焼成する第6の工程とからなる。
【0026】
また、図8に示すように、土鍋71は、粘土3の成型により形成された土鍋本体72と、土鍋本体72の表面を覆うコーティング材(釉薬)78とからなる。土鍋本体72の内側の表面76とコーティング材(釉薬)78の間に、整磁合金75の溶射層75bが設けられている。この土鍋71の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体72を形成する第1の工程と、土鍋本体72を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体72の内側の表面76に、整磁合金75を溶射して溶射層75bを形成する第3の工程と、溶射層75bを覆うようにして土鍋本体72の内側及び外側の表面76,77にコーティング材(釉薬)78を塗布し土鍋本体72を焼成する第4の工程とからなる。
【0027】
なお、図12に示すように、土鍋71は、粘土3の成型により形成された土鍋本体72と、土鍋本体72の表面を覆う第1のコーティング材78とからなる。土鍋本体72の内側の第1のコーティング材78の内側の表面78aに整磁合金75の溶射層75bが設けられている。整磁合金75の溶射層75bの表面79は第2のコーティング材80によって覆われている。この土鍋71の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体72を形成する第1の工程と、土鍋本体72を焼いて素焼きを行う第2の工程と、土鍋本体72の内側及び外側の表面76,77に第1のコーティング材78を塗布し土鍋本体72を焼成して本焼きを行う第3の工程と、本焼きを行った土鍋本体72の内側の表面79を加工して粗面化する第4の工程と、粗面化した表面79に整磁合金75を溶射して溶射層75bを形成する第5の工程と、溶射層75bを覆うようにして土鍋本体72の内側の表面79側に第2のコーティング材80を塗布し土鍋本体72を焼成する第6の工程とからなる。
【0028】
図5に示すように、土鍋41は、粘土3の成型により形成された土鍋本体42と、土鍋本体42の表面を覆うコーティング材(釉薬)48とからなる。土鍋本体42の外側の表面47とコーティング材(釉薬)48の間に、整磁合金45の粉末層45aが設けられている。土鍋41の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体42を形成する第1の工程と、土鍋本体42を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体42の外側の表面47に、整磁合金45の粉末を塗布して粉末層45aを形成する第3の工程と、粉末層45aを覆うようにして土鍋本体42の内側及び外側の表面46,47にコーティング材(釉薬)48を塗布し土鍋本体42を焼成する第4の工程とからなる。
【0029】
なお、図11に示すように、土鍋41は、粘土3の成型により形成された土鍋本体42と、土鍋本体42の表面を覆う第1のコーティング材48とからなる。土鍋本体42の外側の第1のコーティング材48の外側の表面48aに整磁合金45の粉末層45aが設けられている。整磁合金45の粉末層45aの表面49は第2のコーティング材50によって覆われている。この土鍋41の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体42を形成する第1の工程と、土鍋本体42を焼いて素焼きを行う第2の工程と、土鍋本体42の内側及び外側の表面46,47に第1のコーティング材48を塗布し土鍋本体42を焼成して本焼きを行う第3の工程と、本焼きを行った土鍋本体42の外側の表面49を加工して粗面化する第4の工程と、粗面化した表面49に整磁合金45の粉末を塗布して粉末層45aを形成する第5の工程と、粉末層45aを覆うようにして土鍋本体42の外側の表面49側に第2のコーティング材50を塗布し土鍋本体42を焼成する第6の工程とからなる。
【0030】
また、図8に示すように、土鍋71は、粘土3の成型により形成された土鍋本体72と、土鍋本体72の表面を覆うコーティング材(釉薬)78とからなる。土鍋本体72の内側の表面76とコーティング材(釉薬)78の間に、整磁合金75の粉末層75aが設けられている。この土鍋71の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体72を形成する第1の工程と、土鍋本体72を焼いて素焼きを行う第2の工程と、素焼きの行った土鍋本体72の内側の表面76に、整磁合金75の粉末を塗布して粉末層75aを形成する第3の工程と、粉末層75aを覆うようにして土鍋本体72の内側及び外側の表面76,77にコーティング材(釉薬)78を塗布し土鍋本体72を焼成する第4の工程とからなる。
【0031】
なお、図12に示すように、土鍋71は、粘土3の成型により形成された土鍋本体72と、土鍋本体72の表面を覆う第1のコーティング材78とからなる。土鍋本体72の内側の第1のコーティング材78の内側の表面78aに整磁合金75の粉末層75aが設けられている。整磁合金75の粉末層75aの表面79は第2のコーティング材80によって覆われている。この土鍋71の製造方法は、粘土3を成型して土鍋本体72を形成する第1の工程と、土鍋本体72を焼いて素焼きを行う第2の工程と、土鍋本体72の内側及び外側の表面76,77に第1のコーティング材78を塗布し土鍋本体72を焼成して本焼きを行う第3の工程と、本焼きを行った土鍋本体72の内側の表面79を加工して粗面化する第4の工程と、粗面化した表面79に整磁合金75の粉末を塗布して粉末層75aを形成する第5の工程と、粉末層75aを覆うようにして土鍋本体72の内側の表面79に第2のコーティング材80を塗布し土鍋本体72を焼成する第6の工程とからなる。
【0032】
図7に示すように、土鍋61は、粘土3の成型により形成され、底壁63と底壁63の周囲に形成された周壁64とからなる土鍋本体62と、土鍋本体62の表面を覆うコーティング材(釉薬)68とからなる。底壁63には凹部63aが形成されている。当該凹部63aには、整磁合金の粉末が混入された粘土3によって成型された板状体65が埋設されている。土鍋61の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁63と底壁63の周囲に形成された周壁64とからなり、底壁63に凹部63aが形成された土鍋本体62を形成する第1の工程と、底壁63の凹部63aに、整磁合金の粉末が混入された粘土3によって成型された板状体65を埋設する第2の工程と、土鍋本体62を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体62の内側及び外側の表面66,67にコーティング材(釉薬)68を塗布し土鍋本体62を焼成する第4の工程とからなる。
【0033】
図10に示すように、土鍋91は、粘土3の成型により形成され、底壁93と底壁93の周囲に形成された周壁94とからなる土鍋本体92と、土鍋本体92の表面を覆うコーティング材(釉薬)98とからなる。底壁93には凹部93aが形成されている。当該凹部93aには、整磁合金の粉末が混入された粘土3によって成型された板状体95が埋設されている。土鍋91の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁93と底壁93の周囲に形成された周壁94とからなり、底壁93に凹部93aが形成された土鍋本体92を形成する第1の工程と、底壁93の凹部93aに、整磁合金の粉末が混入された粘土3によって成型された板状体95を埋設する第2の工程と、土鍋本体92を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体92の内側及び外側の表面96,97にコーティング材(釉薬)98を塗布し土鍋本体92を焼成する第4の工程とからなる。
【0034】
図2、3に示すように、土鍋21は、粘土3の成型により形成され、底壁23と底壁23の周囲に形成された周壁24とからなる土鍋本体22と、土鍋本体22の表面を覆うコーティング材(釉薬)28とからなる。底壁23には凹部23aが形成されている。当該凹部23aには、粘土3によって成型され、一方の面29aに整磁合金25の溶射層25bが設けられた板状体29が、一方の面29aが底壁23の内部側に位置するようにして埋設されている。土鍋21の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁23と底壁23の周囲に形成された周壁24とからなり、底壁23に凹部23aが形成された土鍋本体22を形成する第1の工程と、底壁23の凹部23aに、粘土3によって成型され、一方の面29aに整磁合金25の溶射層25bが設けられた板状体29を、一方の面29aが底壁23の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、土鍋本体22を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体22の内側及び外側の表面26,27にコーティング材(釉薬)28を塗布し土鍋本体22を焼成する第4の工程とからなる。
【0035】
図4に示すように、土鍋31は、粘土3の成型により形成され、底壁33と底壁33の周囲に形成された周壁34とからなる土鍋本体32と、土鍋本体32の表面を覆うコーティング材(釉薬)38とからなる。底壁33には凹部33aが形成されている。当該凹部33aには、粘土3によって成型され、一方の面39aに整磁合金35の溶射層35bが設けられた板状体39が、一方の面39aが底壁33の内部側に位置するようにして埋設されている。土鍋31の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁33と底壁33の周囲に形成された周壁34とからなり、底壁33に凹部33aが形成された土鍋本体32を形成する第1の工程と、底壁33の凹部33aに、粘土3によって成型され、一方の面39aに整磁合金35の溶射層35bが設けられた板状体39を、一方の面39aが底壁33の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、土鍋本体32を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体32の内側及び外側の表面36,37にコーティング材(釉薬)38を塗布し土鍋本体32を焼成する第4の工程とからなる。
【0036】
図2、3に示すように、土鍋21は、粘土3の成型により形成され、底壁23と底壁23の周囲に形成された周壁24とからなる土鍋本体22と、土鍋本体22の表面を覆うコーティング材(釉薬)28とからなる。底壁23には凹部23aが形成されている。当該凹部23aには、粘土によって成型され、一方の面29aに整磁合金25の粉末層25aが設けられた板状体29が、一方の面29aが底壁23の内部側に位置するようにして埋設されている。土鍋21の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁23と底壁23の周囲に形成された周壁24とからなり、底壁23に凹部23aが形成された土鍋本体22を形成する第1の工程と、底壁23の凹部23aに、粘土3によって成型され、一方の面に整磁合金25の粉末層25aが設けられた板状体29を、一方の面29aが底壁23の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、土鍋本体22を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体22の内側及び外側の表面26,27にコーティング材(釉薬)28を塗布し土鍋本体22を焼成する第4の工程とからなる。
【0037】
図4に示すように、土鍋31は、粘土3の成型により形成され、底壁33と底壁33の周囲に形成された周壁34とからなる土鍋本体32と、土鍋本体32の表面を覆うコーティング材(釉薬)38とからなる。底壁33には凹部33aが形成されている。当該凹部33aには、粘土3によって成型され、一方の面39aに整磁合金35の粉末層35aが設けられた板状体39が、一方の面39aが底壁33の内部側に位置するようにして埋設されている。土鍋31の製造方法は、粘土3の成型により形成され、底壁33と底壁33の周囲に形成された周壁34とからなり、底壁33に凹部33aが形成された土鍋本体32を形成する第1の工程と、底壁33の凹部33aに、粘土3によって成型され、一方の面39aに整磁合金35の粉末層35aが設けられた板状体39を、一方の面39aが底壁33の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程と、土鍋本体32を焼いて素焼きを行う第3の工程と、素焼きの行った土鍋本体32の内側及び外側の表面36,37にコーティング材(釉薬)38を塗布し土鍋本体32を焼成する第4の工程とからなる。
【0038】
土鍋11〜91は、電磁誘導発熱体として整磁合金を利用している。整磁合金は、所定温度以下では、電気抵抗が大きく発熱量が高いが、所定温度以上になると磁性を失うため、発熱量が小さくなる。従って、土鍋11〜91は、温度制御することができ、所定温度以上にはならないので、過熱の防止をすることができ、その結果、土鍋本体22〜92のひび割れや、コーティング材(釉薬)の熔解を防ぐことができ、商品寿命を延ばすことがことができる。また、土鍋11〜91は、整磁合金を板状ではなく、粉末状に微細化して使用しているので、整磁合金の熱膨張も小さく、発熱させても土鍋を割るような膨張はせず、従って整磁合金が土鍋本体に影響を与えることがきわめて少ない。
【0039】
本願発明の土鍋について詳細に説明する。図1に示すように、土鍋11の土鍋本体12は、底壁13と、底壁13の周囲に形成された周壁14とからなる。土鍋本体12は、以下のようにして作られる。整磁合金の粉末15を粘土3に混入し、整磁合金の粉末15が均一に混入するように粘土3を十分に練る。整磁合金の粉末15が混入した粘土3を土鍋本体12の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体12の内面16及び外面17を粗面化し、土鍋本体12の内面16及び外面17にコーティング材(釉薬)18を塗ってから焼成する。土鍋11は、このようにして製造される。
【0040】
上記土鍋11は、これに所定の蓋19をして電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋11の整磁合金の粉末15が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体12全体を加熱する。このようにして、土鍋本体12に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋11は、整磁合金が約300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体12がこれ以上加熱されることがない。
【0041】
図2に示すように、土鍋21の土鍋本体22は、底壁23と、底壁23の周囲に形成された周壁24とからなる。土鍋本体22は、以下のようにして作られる。図3に示すように、粘土3を土鍋本体22の型に成型し、底壁23の外面27に矩形又は円形の凹部23aを形成する。また、凹部23aに嵌合する形状であって、凹部23aの深さと略同じ長さの厚みを備えた板状体29を土鍋本体22と同じ粘土3で成型する。板状体29の一方の面29aに整磁合金25の粉末を塗布して粉末層25aを形成する。整磁合金25の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水)に入れて液体状にすることが望ましい。なお、板状体29の一方の面29aに整磁合金25を溶射して溶射層25bを形成しても良い。
【0042】
板状体29は、粉末層25a(溶射層25b)が形成された一方の面29aが凹部23aの内部に位置するようにして、底壁23の凹部23aに嵌合する。板状体29と凹部23aの境界がわからなくなるように、板状体29の周縁と凹部23aの周縁を練り込んで接続する。このようにして成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体22の内面26及び外面27を粗面化し、土鍋本体22の内面26及び外面27にコーティング材(釉薬)28を塗ってから焼成する。土鍋21は、このようにして製造される。
【0043】
上記土鍋21は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋21の整磁合金25の粉末層25a(溶射層25b)が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体22全体を加熱する。このようにして、土鍋本体22に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋21は、整磁合金25が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体22がこれ以上加熱されることがない。
【0044】
図4に示すように、土鍋31の土鍋本体32は、底壁33と、底壁33の周囲に形成された周壁34とからなる。土鍋本体32は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体32の型に成型し、底壁33の内面36に矩形又は円形の凹部33aを形成する。また、凹部33aに嵌合する形状であって、凹部33aの深さと略同じ長さの厚みを備えた板状体39を土鍋本体32と同じ粘土3で成型する。板状体39の一方の面39aに整磁合金35の粉末を塗布して粉末層35aを形成する。整磁合金35の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水)に入れて液体状にすることが望ましい。なお、板状体39の一方の面39aに整磁合金35を溶射して溶射層35bを形成しても良い。
【0045】
板状体39は、粉末層35a(溶射層35b)が形成された一方の面39aが凹部33aの内部に位置するようにして、底壁33の凹部33aに嵌合する。板状体39と凹部33aの境界がわからなくなるように、板状体39の周縁と凹部33aの周縁を練り込んで接続する。このようにして成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体32の内面36及び外面37を粗面化し、土鍋本体32の内面36及び外面37にコーティング材(釉薬)38を塗ってから焼成する。土鍋31は、このようにして製造される。
【0046】
上記土鍋31は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋31の粉末層35a(溶射層35b)が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体32全体を加熱する。このようにして、土鍋本体32に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋31は、整磁合金35が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体32がこれ以上加熱されることがない。
【0047】
図5に示すように、土鍋41の土鍋本体42は、底壁43と、底壁43の周囲に形成された周壁44とからなる。土鍋本体42は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体42の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体42の内面46及び外面47を粗面化し、外面47全体に整磁合金45を溶射して溶射層45bを形成する。さらに、土鍋本体42の内面46及び外面47にコーティング材(釉薬)48を塗ってから焼成する。溶射層45bは、コーティング材(釉薬)48によって覆われる。土鍋41は、このようにして製造される。なお、素焼きを行った土鍋本体42の内面46及び外面47を粗面化し、外面47全体に整磁合金45の粉末を塗布して粉末層45aを形成しても構わない。整磁合金45の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水、接着材等)に入れて液体状にすることが望ましい。この粉末層45aを覆うようにして、土鍋本体42の内面46及び外面47にコーティング材(釉薬)48を塗ってから焼成する。土鍋41は、このようにして製造される。
【0048】
上記土鍋41は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋41の溶射層45b(粉末層45a)が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体42全体を加熱する。このようにして、土鍋本体42に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋41は、整磁合金45が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体42がこれ以上加熱されることがない。
【0049】
なお、土鍋本体42は、以下のようにして作られても良い。粘土3を土鍋本体42の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体42の内面46及び外面47に第1のコーティング材(釉薬)48を塗ってから焼成して本焼きを行う。本焼きを行った土鍋本体42の外側の第1のコーティング材48の外面48aを粗面化し、外面48a全体に整磁合金45を溶射して溶射層45bを形成する。さらに、土鍋本体42の溶射層45bの外面49に第2のコーティング材(釉薬)50を塗ってから焼成する。溶射層45bは、第2のコーティング材(釉薬)50によって覆われる。土鍋41は、このようにして製造される。なお、本焼きを行った土鍋本体42の外側の第1のコーティング材48の外面48aを粗面化し、外面48a全体に整磁合金45の粉末を塗布して粉末層45aを形成しても構わない。整磁合金45の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水、接着材等)に入れて液体状にすることが望ましい。この粉末層45aを覆うようにして、土鍋本体42の粉末層45aの外面49に第2のコーティング材(釉薬)50を塗ってから焼成する。土鍋41は、このようにしても製造することができる。土鍋本体42の内側の第1のコーティング材48及び外側の第2のコーティン材50は、フッ素樹脂であっても構わない。
【0050】
図6に示すように、土鍋51の土鍋本体52は、底壁53と、底壁53の周囲に形成された周壁54とからなる。土鍋本体52は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体52の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体52の内面56及び外面57を粗面化する。土鍋本体52の底壁53の外面57に板状体55を接着する。
【0051】
板状体55は、整磁合金の粉末を練り込んだ粘土3によって板状に成形されたもの、粘土3が板状に成型され、一方の面に整磁合金の粉末層又は溶射層が形成されたもの、ゴム・プラスチック・紙等の板の一方の面に整磁合金の粉末層が形成されたもの、整磁合金の粉末を混合したゴム・プラスチック・紙によって板状に成形されたもの、ガラスクロスや紙等のフィルム状生地に整磁合金の粉末をコーティング・ディッピング等したもの等がある。
【0052】
板状体55を底壁53の外面57に接着した後、土鍋本体52の内面56及び外面57にコーティング材(釉薬)58を塗ってから焼成する。土鍋51は、このようにして製造される。板状板55は、紙等の高温で燃焼する素材である場合、高温での焼成により分解炭化するが、整磁合金の粉末が板の形状として残る。整磁合金は、粉末状であるため、熱膨張等によって土鍋本体51に与える影響が極めて少なく、しかも密集しているため電磁誘導発熱体としての機能を損なうことはない。
【0053】
上記土鍋51は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋51の板状体55の整磁合金が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体52全体を加熱する。このようにして、土鍋本体52に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋51は、整磁合金が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体52がこれ以上加熱されることがない。
【0054】
図7に示すように、土鍋61の土鍋本体62は、底壁63と、底壁63の周囲に形成された周壁64とからなる。土鍋本体62は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体62の型に成型し、底壁63の外面67に矩形又は円形の凹部63aを形成する。また、凹部63aに嵌合する形状であって、凹部63aの深さと略同じ長さの厚みを備えた板状体65を底壁63の凹部63aに嵌合固着する。板状体65は、前述した板状体55と同じ素材である。このようにして成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体62の内面66及び外面67を粗面化し、土鍋本体62の内面66及び外面67にコーティング材(釉薬)68を塗ってから焼成する。土鍋61は、このようにして製造される。また、土鍋本体62は、底壁63に凹部63aを形成した後に素焼きを行い、素焼きを行った後の凹部63aに板状体65を嵌合固着し、土鍋本体62の内面66及び外面67にコーティング材(釉薬)68を塗ってから焼成しても構わない。
【0055】
上記土鍋61は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋61の板状体65の整磁合金が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体62全体を加熱する。このようにして、土鍋本体62に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋61は、整磁合金が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体62がこれ以上加熱されることがない。
【0056】
図8に示すように、土鍋71の土鍋本体72は、底壁73と、底壁73の周囲に形成された周壁74とからなる。土鍋本体72は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体72の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体72の内面76及び外面77を粗面化し、内面76全体に整磁合金75を溶射して溶射層75bを形成する。溶射層75bを覆うようにして土鍋本体72の内面76及び外面77にコーティング材(釉薬)78を塗ってから焼成する。土鍋71は、このようにして製造される。なお、素焼きを行った土鍋本体72の内面76及び外面77を粗面化し、内面76全体に整磁合金75の粉末を塗布して粉末層75aを形成しても良い。整磁合金75の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水、接着材等)に入れて液体状にすることが望ましい。この粉末層75aを覆うようにして、土鍋本体72の内面76及び外面77にコーティング材(釉薬)78を塗ってから焼成する。土鍋71は、このようにして製造されても良い。
【0057】
上記土鍋71は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋71の溶射層75b(粉末層75a)が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体72全体を加熱する。このようにして、土鍋本体72に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋71は、整磁合金75が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体72がこれ以上加熱されることがない。
【0058】
なお、土鍋本体72は、以下のようにして作られても良い。粘土3を土鍋本体72の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体72の内面76及び外面47に第1のコーティング材(釉薬)78を塗ってから焼成して本焼きを行う。本焼きを行った土鍋本体72の内側の第1のコーティング材78の内面78aを粗面化し、外面78a全体に整磁合金75を溶射して溶射層75bを形成する。さらに、土鍋本体72の溶射層75bの内面79に第2のコーティング材(釉薬)80を塗ってから焼成する。溶射層75bは、第2のコーティング材(釉薬)80によって覆われる。土鍋71は、このようにして製造される。なお、本焼きを行った土鍋本体72の内側の第1のコーティング材78の内面78aを粗面化し、内面78a全体に整磁合金75の粉末を塗布して粉末層75aを形成しても構わない。整磁合金75の粉末は、塗布しやすいように、溶剤(例えば水、接着材等)に入れて液体状にすることが望ましい。この粉末層75aを覆うようにして、土鍋本体72の粉末層75aの内面79に第2のコーティング材(釉薬)80を塗ってから焼成する。土鍋71は、このようにしても製造することができる。土鍋本体82の外側の第1のコーティング材78及び内側の第2のコーティン材80は、フッ素樹脂であっても構わない。
【0059】
図9に示すように、土鍋81の土鍋本体82は、底壁83と、底壁83の周囲に形成された周壁84とからなる。土鍋本体82は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体82の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体82の内面86及び外面87を粗面化する。土鍋本体82の底壁83の内面86に板状体85を接着する。板状体85は、板状体55と同じものである。板状体85を底壁83の内面86に接着した土鍋本体82の内面86及び外面87にコーティング材(釉薬)88を塗ってから焼成する。土鍋81は、このようにして製造される。
【0060】
上記土鍋81は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋81の板状体85の整磁合金が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体82全体を加熱する。このようにして、土鍋本体82に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋81は、整磁合金が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体82がこれ以上加熱されることがない。
【0061】
図10に示すように、土鍋91の土鍋本体92は、底壁93と、底壁93の周囲に形成された周壁94とからなる。土鍋本体92は、以下のようにして作られる。粘土3を土鍋本体92の型に成型し、底壁93の内面96に矩形又は円形の凹部93aを形成する。また、凹部93aに嵌合する形状であって、凹部93aの深さと略同じ長さの厚みを備えた板状体95を底壁93の凹部93aに嵌合固着する。板状体95は、前述した板状体55と同じ素材である。このようにして成型した粘土3を焼いて素焼きを行う。素焼きを行った土鍋本体92の内面96及び外面97を粗面化し、土鍋本体92の内面96及び外面97にコーティング材(釉薬)98を塗ってから焼成する。土鍋91は、このようにして製造される。なお、土鍋本体92は、底壁93に凹部93aを形成した後に素焼きを行い、素焼きを行った後の凹部93aに板状体95を嵌合固着し、土鍋本体92の内面96及び外面97にコーティング材(釉薬)98を塗ってから焼成しても構わない。
【0062】
上記土鍋91は、これに所定の蓋19をして前記したように電磁調理器1に載せる。電磁調理器1を作動させ、内部に配置したコイル2に交番電流を流すと交番磁界が発生し、土鍋91の板状体95の整磁合金が電磁誘導による渦電流を発生して自己発熱し、土鍋本体92全体を加熱する。このようにして、土鍋本体92に入れた食材を加熱調理することができる。なお、土鍋91は、整磁合金が300℃以上になると磁性を失う特性を有するため、土鍋本体92がこれ以上加熱されることがない。
【0063】
また、図5、8に示す、土鍋41、71において、粘土3を土鍋本体42,72の型に成型し、成型した粘土3を焼いて素焼きを行い、素焼きを行った土鍋本体42,72の内面46,76及び外面47,77を粗面化し、土鍋本体42の内面46,76及び外面47,77にコーティング材(釉薬)48,88を塗ってから焼成して、土鍋本体42,72を完成させる。次に、釉薬(塗装)部分であって、内面46,76又は外面47,77を粗面化し、この粗面化した面に整磁合金の粉末45,75を塗布する。この整磁合金の粉末層45a,75aをガラスコーティングすることによって、土鍋41,71を完成させても良い。また、土鍋本体12〜92の内面にコーティングされるコーティング材は、釉薬に限定されるものではなく、フッ素樹脂であっても構わないのは、勿論である。
【0064】
上記土鍋の製造過程で用いられる釉薬の変わりに、ガラスコーティング、セラミックコーティング等の公知のコーティング材を使用しても構わないのは勿論である。また、整磁合金は、電磁誘導発熱体として利用しているが、導電性物質なので、直接電流を流して発熱させる発熱体としても利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本願発明は、電磁調理器で加熱可能な土鍋に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本願発明に係る土鍋の一つの実施例を示す断面図である。
【図2】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図3】図2の土鍋の製造方法を示す断面図である。
【図4】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図6】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図7】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図8】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図9】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図11】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【図12】本願発明に係る土鍋の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 電磁調理器
2 コイル
3 粘土
11 土鍋
12 土鍋本体
13 底壁
14 周壁
15 整磁合金の粉末
16 内面(内側の表面)
17 外面(外側の表面)
18 コーティング材(釉薬)
19 蓋
21 土鍋
22 土鍋本体
23 底壁
23a 凹部
24 周壁
25 整磁合金
25a 整磁合金の粉末層
25b 整磁合金の溶射層
26 内面(内側の表面)
27 外面(外側の表面)
28 コーティング材(釉薬)
29 板状体
29a 一方の面
31 土鍋
32 土鍋本体
33 底壁
33a 凹部
34 周壁
35 整磁合金
35a 整磁合金の粉末層
35b 整磁合金の溶射層
36 内面(内側の表面)
37 外面(外側の表面)
38 コーティング材(釉薬)
39 板状体
39a 一方の面
41 土鍋
42 土鍋本体
43 底壁
44 周壁
45 整磁合金
45a 整磁合金の粉末層
45b 整磁合金の溶射層
46 内面(内側の表面)
47 外面(外側の表面)
48 コーティング材(釉薬)
48a 表面(外面)
49 表面(外面)
50 コーティング材
51 土鍋
52 土鍋本体
53 底壁
54 周壁
55 板状体
56 内面(内側の表面)
57 外面(外側の表面)
58 コーティング材(釉薬)
61 土鍋
62 土鍋本体
63 底壁
63a 凹部
64 周壁
65 板状体
66 内面(内側の表面)
67 外面(外側の表面)
68 コーティング材(釉薬)
71 土鍋
72 土鍋本体
73 底壁
74 周壁
75 整磁合金
75a 整磁合金の粉末層
75b 整磁合金の溶射層
76 内面(内側の表面)
77 外面(外側の表面)
78 コーティング材(釉薬)
78a 表面(内面)
79 表面(内面)
80 コーティング材
81 土鍋
82 土鍋本体
83 底壁
84 周壁
85 板状体
86 内面(内側の表面)
87 外面(外側の表面)
88 コーティング材(釉薬)
91 土鍋
92 土鍋本体
93 底壁
93a 凹部
94 周壁
95 板状体
96 内面(内側の表面)
97 外面(外側の表面)
98 コーティング材(釉薬)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土の成型により形成された土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
粘土には、整磁合金の粉末が混入されていることを特徴とする土鍋。
【請求項2】
粘土の成型により形成された土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
土鍋本体の外側又は内側の表面とコーティング材の間に、整磁合金の溶射層が設けられていることを特徴とする土鍋。
【請求項3】
粘土の成型により形成された土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆う第1のコーティング材とからなる土鍋であって、
土鍋本体の第1のコーティング材の外側又は内側の表面に整磁合金の溶射層が設けられ、
整磁合金の溶射層の表面は第2のコーティング材によって覆われていることを特徴とする土鍋。
【請求項4】
粘土の成型により形成された土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
土鍋本体の外側又は内側の表面とコーティング材の間に、整磁合金の粉末層が設けられていることを特徴とする土鍋。
【請求項5】
粘土の成型により形成された土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆う第1のコーティング材とからなる土鍋であって、
土鍋本体の第1のコーティング材の外側又は内側の表面に整磁合金の粉末層が設けられ、
整磁合金の粉末層の表面は第2のコーティング材によって覆われていることを特徴とする土鍋。
【請求項6】
粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
底壁には凹部が形成され、
当該凹部には、整磁合金の粉末が混入された粘土によって成型された板状体が埋設されていることを特徴とする土鍋。
【請求項7】
粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
底壁には凹部が形成され、
当該凹部には、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の溶射層が設けられた板状体が、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設されていることを特徴とする土鍋。
【請求項8】
粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなる土鍋本体と、
土鍋本体の表面を覆うコーティング材とからなる土鍋であって、
底壁には凹部が形成され、
当該凹部には、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の粉末層が設けられた板状体が、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設されていることを特徴とする土鍋。
【請求項9】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)整磁合金の粉末を混入した粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程。
(ハ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第3の工程。
【請求項10】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程。
(ハ)素焼きの行った土鍋本体の外側又は内側の表面に、整磁合金を溶射して溶射層を形成する第3の工程。
(ニ)溶射層を覆うようにして土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程。
【請求項11】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程。
(ハ)土鍋本体の表面に第1のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成して本焼きを行う第3の工程。
(ニ)本焼きを行った土鍋本体の外側又は内側の表面を加工して粗面化する第4の工程。
(ホ)粗面化した表面に整磁合金を溶射して溶射層を形成する第5の工程。
(へ)溶射層を覆うようにして土鍋本体の表面に第2のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第6の工程。
【請求項12】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程。
(ハ)素焼きの行った土鍋本体の外側又は内側の表面に、整磁合金の粉末を塗布して粉末層を形成する第3の工程。
(ニ)粉末層を覆うようにして土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程。
【請求項13】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土を成型して土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第2の工程。
(ハ)土鍋本体の表面に第1のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成して本焼きを行う第3の工程。
(ニ)本焼きを行った土鍋本体の外側又は内側の表面を加工して粗面化する第4の工程。
(ホ)粗面化した表面に整磁合金の粉末を塗布して粉末層を形成する第5の工程。
(へ)粉末層を覆うようにして土鍋本体の表面に第2のコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第6の工程。
【請求項14】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)底壁の凹部に、整磁合金の粉末が混入された粘土によって成型された板状体を埋設する第2の工程。
(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程。
(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程。
【請求項15】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)底壁の凹部に、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の溶射層が設けられた板状体を、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程。
(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程。
(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程。
【請求項16】
下記の工程からなることを特徴とする土鍋の製造方法。
(イ)粘土の成型により形成され、底壁と底壁の周囲に形成された周壁とからなり、底壁に凹部が形成された土鍋本体を形成する第1の工程。
(ロ)底壁の凹部に、粘土によって成型され、一方の面に整磁合金の粉末層が設けられた板状体を、一方の面が底壁の内部側に位置するようにして埋設する第2の工程。
(ハ)土鍋本体を焼いて素焼きを行う第3の工程。
(ニ)素焼きの行った土鍋本体の表面にコーティング材を塗布し土鍋本体を焼成する第4の工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−112328(P2009−112328A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285173(P2007−285173)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505386096)小野工芸株式会社 (9)
【Fターム(参考)】