説明

圧電アクチュエータ及びその製造方法

【課題】本発明は、圧電アクチュエータ及びその製造方法に関し、支持体に設けられた配線に起因する屈曲効率の低下を抑制することのできる圧電アクチュエータ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】第1及び第2の圧電カンチレバー21,22を備えた圧電アクチュエータ10であって、第1及び第2の圧電カンチレバー21,22が形成される支持体42の上面に設けられた配線19,26,27として、パターニングされた金属膜を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図40は、従来の圧電アクチュエータの平面図である。図41は、図40に示す圧電アクチュエータのX−X線方向の断面図である。
【0003】
図40及び図41を参照するに、従来の圧電アクチュエータ200は、支持部材201と、パッド203〜205と、共通下部電極206と、第1の圧電アクチュエータ207と、第2の圧電アクチュエータ208と、配線209とを有する。
【0004】
支持部材201は、厚さの厚い支持部211と、支持部211と一体的に構成され、支持部211よりも厚さの薄い支持体212とを有する。支持体212は、L字形状とされており、支持部211により支持されている。
【0005】
支持体212は、第1の圧電アクチュエータ207及び配線209が形成される第1の支持部Zと、第2の圧電アクチュエータ208が形成される第2の支持部Zとを有する。第1の支持部Zは、支持部211と第2の支持部Zとの間に配置されている。第1の支持部Zは、第1の圧電アクチュエータ207が形成される領域と、配線209が形成される領域とを有する。
【0006】
パッド203〜205は、支持部211の上面211Aに設けられている。パッド203,204は、第1の圧電アクチュエータ207に電圧を印加するためのパッドである。パッド204,205は、第2の圧電アクチュエータ208に電圧を印加するためのパッドである。
【0007】
共通下部電極206は、支持体212の上面212Aに設けられている。共通下部電極206は、パッド203と電気的に接続されている。
【0008】
第1の圧電アクチュエータ207は、第1の支持部Zの上面に設けられており、圧電体215と、圧電体215の下方に配置された部分の共通下部電極206と、圧電体215上に設けられた上部電極216とを有する。
【0009】
上部電極216は、パッド204と電気的に接続されている。第1の圧電アクチュエータ207は、電圧が印加された際、圧電体215が第1の方向(具体的には、縮む方向又は伸びる方向)に変位することで、第1の支持部Zを屈曲変形させる。
【0010】
第2の圧電アクチュエータ208は、第2の支持部Zの上面に設けられている。第2の圧電アクチュエータ208は、圧電体215と同様な圧電材料により構成された圧電体(時図示していない)と、該圧電体の下方に配置された部分の共通下部電極206と、圧電体上に設けられ、上部電極216とは駆動電圧の位相が180°異なる上部電極218とを有する。
【0011】
上部電極218は、上部電極216と同様な材料により構成されている。上部電極218は、配線209を介して、パッド205と電気的に接続されている。第2の圧電アクチュエータ208には、第1の方向とは逆の第2の方向(具体的には、例えば、第1の方向が縮む方向の場合、伸びる方向)に圧電体(図示せず)が変位するように、電圧が印加される。
【0012】
これにより、第2の支持部Zを、第1の支持部Zが屈曲変形する方向とは逆の方向に屈曲変形させることが可能となるため、支持体212の屈曲変形量を大きくすることができる。
【0013】
配線209は、第1の支持部Zに配置された部分の共通下部電極206の上面に設けられている。配線209は、共通下部電極206上に、圧電体215と同様な圧電材料により構成された圧電体221と、上部電極216,218と同様な材料により構成された配線本体223とを有する。配線本体223の一方の端部は、パッド205と接続されており、配線本体223の他方の端部は、上部電極218と接続されている。第2の圧電アクチュエータ208に電圧が印加された際、圧電体221は、第2の方向に変形する。
【0014】
なお、第1の圧電アクチュエータ207、第2の圧電アクチュエータ208、及び配線209は、共通下部電極206上に、圧電体215,221の母材となる圧電膜(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛膜(PZT膜))と、上部電極207,208及び配線本体223の母材となる金属膜(例えば、Ti膜と、Pt膜とが順次積層されたTi/Pt積層膜)とを順次形成し、その後、エッチングにより圧電膜及び金属膜をパターニングすることで形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−35600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の圧電アクチュエータ200では、第1の圧電アクチュエータ207が形成される第1の支持部Zの上面に、第1の方向(具体的には、縮む方向又は伸びる方向)に変形する圧電体215を備えた第1の圧電アクチュエータ207と、第1の方向とは反対の第2の方向(具体的には、例えば、第1の方向が縮む方向の場合、伸びる方向)に変形する圧電体221を備えた配線209とを配置していた。
【0017】
これにより、圧電体215とは逆の方向に変形する圧電体221が圧電体215の変形量の一部を打ち消してしまうため、第1の支持部Zの屈曲効率が低下してしまうという問題があった。
【0018】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、支持体に設けられた配線に起因する屈曲効率の低下を抑制することのできる圧電アクチュエータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一観点によれば、枠体(41)と、一方の端部が前記枠体(41)と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバー(21)の形成領域に対応する第1の支持部(52)、第2の圧電カンチレバー(22)の形成領域に対応すると共に、第1の支持部(52)とは分離された第2の支持部(53)、及び前記第1の支持部(52)と前記第2の支持部(53)とを接続する第3の支持部(54,55)を複数有し、前記枠体(41)の厚さよりも薄い厚さとされた支持体(42)と、を備えた支持部材(11)と、第1の下部電極(61)、該第1の下部電極(61)上に設けられた第1の圧電体(62)、及び該第1の圧電体(62)上に設けられた第1の上部電極(63)を有する前記第1の圧電カンチレバー(21)と、第2の下部電極(65)、該第2の下部電極(65)上に設けられた第2の圧電体(66)、及び該第2の圧電体(66)上に設けられた第2の上部電極(67)を有する前記第2の圧電カンチレバー(22)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、前記第1の下部電極(61)と前記第2の下部電極(65)とを電気的に接続する第1の配線(25−1,25−2)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部(52)に設けられた前記第1の上部電極(63)と電気的に接続される第2の配線(26)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部(53)に設けられた前記第2の上部電極(67)と電気的に接続される第3の配線(19,27)と、を備えた圧電アクチュエータ(10)であって、前記第2及び第3の配線(26,19,27)は、金属膜により構成することを特徴とする圧電アクチュエータ(10)が提供される。
【0020】
本発明によれば、支持体(42)の上面に設けられ、複数の第1の支持部(52)に設けられた第1の上部電極(63)と電気的に接続される第2の配線(26)と、支持体(42)の上面に設けられ、複数の第2の支持部(53)に設けられた第2の上部電極(67)と電気的に接続される第3の配線(19,27)とを、金属膜により構成することで、電圧が印加されて第1及び第2の圧電体(62,66)が変形した際、第1及び第2の圧電体(62,66)の変形方向とは逆の方向に第2及び第3の配線(26,19,27)が変形することがなくなるため、圧電アクチュエータ(10)の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0021】
本発明の他の観点によれば、枠体(41)と、一方の端部が前記枠体(41)と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバー(21)の形成領域に対応する第1の支持部(52)、第2の圧電カンチレバー(22)の形成領域に対応すると共に、第1の支持部(52)とは分離された第2の支持部(53)、及び前記第1の支持部(52)と前記第2の支持部(53)とを接続する第3の支持部(54,55)を複数有し、前記枠体(41)の厚さよりも薄い厚さとされた支持体(42)と、を備えた支持部材(11)と、第1の下部電極(61)、該第1の下部電極(61)上に設けられた第1の圧電体(62)、及び該第1の圧電体(62)上に設けられた第1の上部電極(63)を有する前記第1の圧電カンチレバー(21)と、第2の下部電極(65)、該第2の下部電極(65)上に設けられた第2の圧電体(66)、及び該第2の圧電体(66)上に設けられた第2の上部電極(67)を有する前記第2の圧電カンチレバー(22)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、前記第1の下部電極(61)と前記第2の下部電極(65)とを電気的に接続する第1の配線(25−1,25−2)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部(52)に設けられた前記第1の上部電極(63)と電気的に接続される第2の配線(26)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部(53)に設けられた前記第2の上部電極(53)と電気的に接続される第3の配線(19,27)と、を備えた圧電アクチュエータ(10)の製造方法であって、前記支持部材(11)の母材となる基板(81)の上面に、前記第1及び第2の下部電極(61,65)の母材となる第1の金属層(83)と、前記第1及び第2の圧電体(62,66)の母材となる誘電体層(84)と、前記第1及び第2の上部電極(63,67)の母材となる第2の金属層(85)と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、前記第2の金属層(85)及び前記誘電体層(84)をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の上部電極(63,67)と、前記第1及び第2の圧電体(62,66)とを同時に形成する上部電極及び圧電体形成工程と、前記第1の金属層(83)をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の下部電極(61,65)と前記第1乃至第3の配線(25−1,25−2,26,19,27)とを同時に形成する下部電極及び配線形成工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータ(10)の製造方法が提供される。
【0022】
本発明によれば、第1及び第2の下部電極(61,65)の母材となる第1の金属層(83)をエッチングによりパターニングすることで、第1及び第2の下部電極(61,65)と第1乃至第3の配線(25−1,25−2,26,19,27)とを同時に形成することにより、第2及び第3の配線(26,19,27)に圧電材料が含まれることがなくなるため、圧電アクチュエータ(10)の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0023】
また、第1及び第2の下部電極(61,65)と第1乃至第3の配線(25−1,25−2,26,19,27)とを同時に形成することにより、別途、第2及び第3の配線(26,19,27)を形成する工程を設けた場合と比較して、圧電アクチュエータ(10)の製造コストを低減することができる。
【0024】
本発明のその他の観点によれば、枠体(41)と、一方の端部が前記枠体(41)と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバー(21)の形成領域に対応する第1の支持部(52)、第2の圧電カンチレバー(22)の形成領域に対応すると共に、第1の支持部(52)とは分離された第2の支持部(53)、及び前記第1の支持部(52)と前記第2の支持部(53)とを接続する第3の支持部(54,55)を複数有し、前記枠体(41)の厚さよりも薄い厚さとされた支持体(42)と、を備えた支持部材(11)と、第1の下部電極(61)、該第1の下部電極(61)上に設けられた第1の圧電体(62)、及び該第1の圧電体(62)上に設けられた第1の上部電極(63)を有する前記第1の圧電カンチレバー(21)と、第2の下部電極(65)、該第2の下部電極(65)上に設けられた第2の圧電体(66)、及び該第2の圧電体(66)上に設けられた第2の上部電極(67)を有する前記第2の圧電カンチレバー(22)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、前記第1の下部電極(61)と前記第2の下部電極(65)とを電気的に接続する第1の配線(25−1,25−2)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部(52)に設けられた前記第1の上部電極(63)と電気的に接続される第2の配線(26)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部(53)に設けられた前記第2の上部電極(67)と電気的に接続される第3の配線(19,27)と、を備えた圧電アクチュエータ(100)の製造方法であって、前記支持部材(11)の母材となる基板(81)の上面に、前記第1及び第2の下部電極(61,65)の母材となる第1の金属層(83)と、前記第1及び第2の圧電体(62,66)の母材となる誘電体層(84)と、前記第1及び第2の上部電極(63,67)の母材となる第2の金属層(85)と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、前記第1の金属層(83)、前記誘電体層(84)、及び前記第2の金属層(85)をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)を形成する圧電カンチレバー形成工程と、前記第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)が形成された前記基板(81)の上面に、前記第2及び第3の配線(26,19,27)の形成領域に対応する部分の前記基板(81)の上面を露出すると共に、断面が逆テーパ形状とされた開口部(106)を有したリフトオフ用レジスト膜(105)を形成するリフトオフ用レジスト膜形成工程と、前記リフトオフ用レジスト膜形成工程後に、前記開口部(106)を介して、前記基板(81)の上面に金属膜(108)を成膜する金属膜形成工程と、前記リフトオフ用レジスト膜(105)を除去することにより、前記基板(81)の上面に、前記金属膜(108)よりなる前記第2及び第3の配線(26,19,27)を形成するリフトオフ工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータ(100)の製造方法が提供される。
【0025】
本発明によれば、第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)を形成した後に、リフトオフ法により、第2及び第3の配線(26,19,27)を形成することにより、第2及び第3の配線(26,19,27)に圧電材料が含まれることがなくなるため、圧電アクチュエータ(100)の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0026】
また、第2及び第3の配線(26,19,27)の母材となる金属膜(108)として抵抗値の低い膜を使用することが可能となり、抵抗値の低い第2及び第3の配線(26,19,27)を形成することができる。
【0027】
本発明のその他の観点によれば、枠体(41)と、一方の端部が前記枠体(41)と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバー(21)の形成領域に対応する第1の支持部(52)、第2の圧電カンチレバー(22)の形成領域に対応すると共に、第1の支持部(52)とは分離された第2の支持部(53)、及び前記第1の支持部(52)と前記第2の支持部(53)とを接続する第3の支持部(54,55)を複数有し、前記枠体(41)の厚さよりも薄い厚さとされた支持体(42)と、を備えた支持部材(11)と、第1の下部電極(61)、該第1の下部電極(61)上に設けられた第1の圧電体(62)、及び該第1の圧電体(62)上に設けられた第1の上部電極(63)を有する前記第1の圧電カンチレバー(21)と、第2の下部電極(65)、該第2の下部電極(65)上に設けられた第2の圧電体(66)、及び該第2の圧電体(66)上に設けられた第2の上部電極(67)を有する前記第2の圧電カンチレバー(22)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、前記第1の下部電極(61)と前記第2の下部電極(65)とを電気的に接続する第1の配線(118−1,118−2)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部(52)に設けられた前記第1の上部電極(63)と電気的に接続される第2の配線(112)と、前記支持体(42)の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部(53)に設けられた前記第2の上部電極(67)と電気的に接続される第3の配線(113)と、を備えた圧電アクチュエータ(110)の製造方法であって、前記支持部材(11)の母材となる基板(81)の上面に、金属膜(147)を成膜し、該金属膜(147)をパターニングすることで前記第2及び第3の配線(112,113)を形成する第2及び第3の配線形成工程と、前記第2及び第3の配線と前記基板(81)の上面とを覆うと共に、平坦な上面(114A)を有した絶縁層(114)を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層(114)の上面(114A)に、前記第1及び第2の下部電極(61,65)の母材となる第1の金属層(83)と、前記第1及び第2の圧電体(62,66)の母材となる誘電体層(84)と、前記第1及び第2の上部電極(63,67)の母材となる第2の金属層(85)と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、前記第2の金属層(85)及び前記誘電体層(84)をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の上部電極(63,67)と、前記第1及び第2の圧電体(62,66)とを同時に形成する上部電極及び圧電体形成工程と、前記第1の金属層(83)をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の下部電極(61,65)と前記第2及び第3の配線(112,113)とを同時に形成する下部電極及び配線形成工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータ(110)の製造方法が提供される。
【0028】
本発明によれば、支持部材(11)の母材となる基板(81)の上面に、金属膜(147)を成膜し、金属膜(147)をパターニングすることで第2及び第3の配線(112,113)を形成することにより、第2及び第3の配線(112,113)に圧電材料が含まれることがなくなるため、圧電アクチュエータ(110)の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0029】
また、第2及び第3の配線(112,113)の母材となる金属膜(147)として抵抗値の低い膜を使用することが可能となり、抵抗値の低い第2及び第3の配線(112,113)を形成することができる。
【0030】
さらに、第2及び第3の配線(112,113)を覆う絶縁層(114)の上面(114A)に、第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)を形成することにより、第1及び第2の支持部(52,53)に設けられた部分の絶縁層(114)の上面(114A)全体に第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)を形成することが可能となるため、第1及び第2の圧電カンチレバー(21,22)の屈曲変形量を大きくすることができる。
【0031】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、支持体に設けられた配線に起因する圧電アクチュエータの屈曲効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの平面図である。
【図2】図1に示す圧電アクチュエータのA−A線方向の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その1)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その2)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その3)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その4)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その5)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その6)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その7)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その8)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その9)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その10)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その11)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その12)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その13)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その1)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その2)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その3)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その4)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その5)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その6)である。
【図22】本発明の第2の実施の形態の圧電アクチュエータの平面図である。
【図23】図22に示す圧電アクチュエータのC−C線方向の断面図である。
【図24】図22に示す圧電アクチュエータのD−D線方向の断面図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その1)である。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その2)である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その3)である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その4)である。
【図29】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その5)である。
【図30】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その6)である。
【図31】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その7)である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その8)である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その9)である。
【図34】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その10)である。
【図35】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その11)である。
【図36】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その12)である。
【図37】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その13)である。
【図38】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その14)である。
【図39】本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図(その15)である。
【図40】従来の圧電アクチュエータの平面図である。
【図41】図40に示す圧電アクチュエータのX−X線方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの平面図であり、図2は、図1に示す圧電アクチュエータのA−A線方向の断面図である。
【0036】
図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10は、支持部材11と、パッド13〜15と、配線17,18,34,35,36−1,36−2,37−1,37−2と、第2の配線である配線19,26と、複数の第1の圧電カンチレバー21と、複数の第2の圧電カンチレバー22と、第1の配線である配線25−1,25−2と、第3の配線である配線27と、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3と、第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3とを有する。
【0037】
支持部材11は、枠体41と、支持体42とを有する。枠体41は、第1のシリコン基板45(例えば、厚さが470μm)と、第2のシリコン基板46(例えば、厚さが30μm)と、第1のシリコン基板45と第2のシリコン基板46との間に形成されたSiO膜47(例えば、厚さが0.5μm)と、第2のシリコン基板46の上面46Aに形成されたSiO膜48(例えば、厚さが0.5μm)と、第1のシリコン基板45の下面45Aに形成されたSiO膜49(例えば、厚さが0.5μm)とを有した構成とされている。
【0038】
枠体41は、支持体42を囲むような形状とされている。枠体41の厚さは、支持体42の厚さよりも厚くなるように構成されている。支持体42の厚さが31μmの場合、枠体41の厚さは、例えば、501.5μmとすることができる。枠体41は、支持体42の一方の端部と一体的に構成されており、支持体42を支持している。
【0039】
支持体42は、同一平面上に配置された接続部51、複数の第1の支持部52、複数の第2の支持部53、複数の第3の支持部54,55を有する。
【0040】
接続部51は、一方の端部が枠体41と一体的に構成されており、他方の端部が複数の第1の支持部52のうちの1つの第1の支持部52の端部と一体的に構成されている。
【0041】
複数の第1の支持部52は、複数の第1の支持部52が平行となるように所定の方向Bに配列されている。第1の支持部52は、平面視帯状とされており、第1の支持部52の長手方向が所定の方向Bと直交する方向となるように配列されている。
【0042】
複数の第2の支持部53は、第1の支持部52の形状と同様な形状とされている。複数の第2の支持部53は、複数の第1の支持部52に対して第2の支持部53が平行となるように、第1の支持部52間に配列されている。つまり、第1の支持部52及び第2の支持部53は、所定の方向Bに対して交互に配置されている。
【0043】
第3の支持部54は、第2の支持部53と隣り合う一方の第1の支持部52の一方の端部と第2の支持部53の一方の端部とを接続するように配置されている。第3の支持部54は、第2の支持部53及び第2の支持部53と隣り合う一方の第1の支持部52と一体的に構成されている。複数の第3の支持部54の厚さは、第1及び第2の支持部52,53と同じ厚さとされている。
【0044】
第3の支持部55は、第2の支持部53と隣り合う他方の第1の支持部52の他方の端部と第2の支持部53の他方の端部とを接続するように配置されている。第3の支持部55は、第2の支持部53及び第2の支持部53と隣り合う他方の第1の支持部52と一体的に構成されている。複数の第3の支持部55の厚さは、第1及び第2の支持部52と同じ厚さとされている。
【0045】
上記支持体42は、第2のシリコン基板46(例えば、厚さが30μm)と、第2のシリコン基板46の下面46Bに形成されたSiO膜47(例えば、厚さが0.5μm)と、第2のシリコン基板46の上面46Aに形成されたSiO膜48(例えば、厚さが0.5μm)とが積層された構成とされている。
【0046】
パッド13〜15は、枠体41の上面(枠体41を構成する部分のSiO膜48の上面48A)に設けられている。パッド13〜15は、接続部51の近傍に位置する部分の枠体41上に配置されている。
【0047】
パッド13は、配線17の一方の端部と接続されている。パッド13は、配線17,25−1,25−2を介して、複数の第1及び第2の下部電極61,65と電気的に接続されている。
【0048】
パッド14は、配線18の一方の端部と接続されている。パッド14は、配線18,34,36−1,36−2を介して、複数の第1の上部電極63と電気的に接続されている。
【0049】
パッド15は、配線19の一方の端部と接続されている。パッド15は、配線19,35,37−1,37−2を介して、複数の第2の上部電極67と電気的に接続されている。
【0050】
パッド13,14は、パッド13,14間に電圧を印加して、複数の第1の圧電カンチレバー21に設けられた後述する第1の上部電極63と第1の下部電極61との間に電位差を発生させることにより、第1の上部電極63と第1の下部電極61との間に配置された第1の圧電体62を縮む方向或いは伸びる方向に変位させるためのパッドである。
【0051】
パッド13,15は、パッド13,15間に電圧を印加して、複数の第2の圧電カンチレバー22に設けられた後述する第2の上部電極67と第2の下部電極65との間に電位差を発生させることにより、第2の上部電極67と第2の下部電極65との間に配置された第2の圧電体66を、第1の圧電体62の変位方向とは異なる方向に変位させる(例えば、第1の圧電体62を縮む方向に変位させた場合、第2の圧電体66を伸びる方向に変位させる)ためのパッドである。
【0052】
上記構成とされたパッド13〜15の材料としては、例えば、第1及び第2の下部電極61,65と同じ材料を用いることができる。パッド13〜15の材料としては、例えば、SiO膜48の上面48Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0053】
配線17は、複数の第1の圧電カンチレバー21のうち、パッド13に最も近接して配置された第1の圧電カンチレバー21とパッド13との間に位置する部分の支持部材11の上面(支持部材11を構成する部分のSiO膜48の上面48A)に設けられている。配線17の一方の端部は、パッド13と一体的に構成されており、配線17の他方の端部は、パッド13に最も近接して配置された第1の下部電極61と一体的に構成されている。これにより、配線17は、パッド13に最も近接して配置された第1の下部電極61とパッド13とを電気的に接続している。
【0054】
配線18は、複数の第1の圧電カンチレバー21のうち、パッド14に最も近接して配置された第1の圧電カンチレバー21とパッド14との間に位置する部分の支持部材11の上面に設けられている。配線18の一方の端部は、パッド14と一体的に構成されており、配線18の他方の端部は、接続部51の上面に配置されている。
【0055】
配線19は、複数の第2の圧電カンチレバー22のうち、パッド15に最も近接して配置された第2の圧電カンチレバー22とパッド15との間に位置する部分の支持部材11の上面に設けられている。配線19の一方の端部は、パッド15と一体的に構成されている。配線19の他方の端部は、接続部51に最も近接して配置された第1の圧電カンチレバー21と接続部51に最も近接して配置された第2の圧電カンチレバー22との間に位置する第3の支持部54の上面に配置されている。
【0056】
上記説明した配線17〜19としては、金属膜を用いるとよい。配線17〜19としては、例えば、SiO膜48の上面48Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0057】
このように、配線17〜19として、金属膜を用いることにより、配線19の構成要素に、第1及び第2の圧電体62,66を構成する圧電材料が含まれることがなくなる。これにより、配線19により第1の圧電体62の変位の一部が打ち消されることがなくなるため、支持体42に設けられた配線19に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、圧電材料とは、それ自身の内的機能(物性)により電気エネルギーと機械エネルギーの相互変換を行うことができる材料のことである。圧電材料としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。
【0059】
第1の圧電カンチレバー21は、第1の下部電極61と、第1の圧電体62と、第1の上部電極63とを有する。第1の下部電極61は、複数の第1の支持部52の上面に設けられている。第1の下部電極61は、パッド13と電気的に接続されている。第1の下部電極61の幅Wは、第1の支持部52の上面に配線19又は配線27を形成可能なように、第1の支持部52の幅W22よりも狭くなるように構成されている。第1の支持部52の幅Wが200μmの場合、第1の圧電体62の幅Wは、例えば、150μmとすることができる。
【0060】
第1の下部電極61の材料としては、例えば、SiO膜48の上面48Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0061】
第1の圧電体62は、第1の下部電極61の上面61Aに設けられている。第1の圧電体62の材料としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。第1の圧電体62としては、例えば、PZT膜(例えば、厚さ2μm)を用いることができる。
【0062】
第1の上部電極63は、第1の圧電体62の上面62Aに設けられている。第1の上部電極63は、パッド14と電気的に接続されている。第1の上部電極63の材料としては、例えば、第1の圧電体62の上面62Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0063】
上記構成とされた第1の圧電カンチレバー21の側面は、第1の上部電極63から第1の下部電極61に向かうにつれて幅広形状となるような傾斜面とされている。第1の圧電カンチレバー21の側面の傾斜角度は、例えば、30度とすることができる。
【0064】
このように、第1の圧電カンチレバー21の側面を傾斜面とすることにより、第1の圧電カンチレバー21の側面に配置された第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3の上面が傾斜面となるため、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3の上面に形成される配線34,36−1,36−2の厚さを均一にすることが可能となる。このため、配線34により電気的に接続される第1の上部電極63と配線18との間の電気的接続信頼性と、配線36−1,36−2により電気的に接続される第1の上部電極63と配線26との間の電気的接続信頼性とを向上させることができる。
【0065】
第2の圧電カンチレバー22は、第2の下部電極65と、第2の圧電体66と、第2の上部電極67とを有する。第2の下部電極65は、複数の第2の支持部53の上面に設けられている。第2の下部電極65は、パッド13と電気的に接続されている。第2の下部電極65の幅Wは、第2の支持部53の上面に配線26を形成可能なように、第2の支持部53の幅W42よりも狭くなるように構成されている。第2の支持部53の幅Wが200μmの場合、第2の圧電体66の幅Wは、例えば、150μmとすることができる。
【0066】
第2の下部電極65の材料としては、例えば、SiO膜48の上面48Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0067】
第2の圧電体66は、第2の下部電極65の上面65Aに設けられている。第2の圧電体66の材料としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。第2の圧電体66としては、例えば、PZT膜(例えば、厚さ2μm)を用いることができる。
【0068】
第2の上部電極67は、第2の圧電体66の上面66Aに設けられている。第2の上部電極67は、パッド14と電気的に接続されている。第2の上部電極67の材料としては、例えば、第2の圧電体66の上面66Aに、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0069】
上記構成とされた第2の圧電カンチレバー22の側面は、第2の上部電極67から第2の下部電極65に向かうにつれて幅広形状となるような傾斜面とされている。第2の圧電カンチレバー22の側面の傾斜角度は、例えば、30度とすることができる。
【0070】
このように、第2の圧電カンチレバー22の側面を傾斜面とすることにより、第2の圧電カンチレバー22の側面に配置された第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3の上面が傾斜面となるため、第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3の上面に形成される配線35,37−1,37−2の厚さを均一にすることが可能となる。このため、配線35により電気的に接続される第2の上部電極67と配線19との間の電気的接続信頼性と、配線37−1,37−2により電気的に接続される第2の上部電極67と配線27との間の電気的接続信頼性とを向上させることができる。
【0071】
配線25−1は、第3の支持部54の上面から第3の支持部54と接続された部分の第1及び第2の支持部52,53の上面に亘るように設けられている。配線25−1の一方の端部は、第1の下部電極61と接続されており、配線25−1の他方の端部は、第2の下部電極65と接続されている。これにより、配線25−1は、第1の下部電極61と第2の下部電極65とを電気的に接続している。配線25−1は、第1及び第2の下部電極61,65と一体的に構成されている。配線25−1の幅は、例えば、150μmとすることができる。
【0072】
配線25−2は、第3の支持部55の上面から第3の支持部55と接続された部分の第1及び第2の支持部52,53の上面に亘るように設けられている。配線25−2の一方の端部は、第2の下部電極65と接続されており、配線25−2の他方の端部は、第1の下部電極61と接続されている。これにより、配線25−2は、第1の下部電極61と第2の下部電極65とを電気的に接続している。配線25−2は、第1及び第2の下部電極61,65と一体的に構成されている。配線25−2の幅は、例えば、150μmとすることができる。
【0073】
配線26は、配線25−1,25−2及び第2の下部電極65に沿うように、第1〜第3の支持部52〜55に設けられている。配線26は、第2の圧電カンチレバー22と隣り合うように配置された2つの第1の圧電カンチレバー21のうち、一方の第1の圧電カンチレバー21の端部の近傍に設けられた第1の接続部71と、他方の第1の圧電カンチレバー21の端部の近傍に設けられた第2の接続部72とを有する。第1の接続部71は、第3の支持部54の近傍に位置する部分の第1の支持部52の上面に配置されている。第2の接続部72は、第3の支持部55の上面に配置されている。
【0074】
第1の接続部71は、第1の上部電極63と接続された配線36−1が接続される部分である。第2の接続部72は、第1の上部電極63と接続された配線36−2が接続される部分である。配線26は、配線36−1,36−2を介して、複数の第1の上部電極63を電気的に接続している。第1及び第2の接続部71,72を除いた部分の配線26の幅は、例えば、15μmとすることができる。第1及び第2の接続部71,72は、他の部分の配線26の幅よりも広い幅とされている。
【0075】
配線27は、配線25−1,25−2及び第1の下部電極61に沿うように、第1〜第3の支持部52〜55に設けられている。配線27は、第1の圧電カンチレバー21と隣り合うように配置された2つの第2の圧電カンチレバー22のうち、一方の第2の圧電カンチレバー22の端部の近傍に設けられた第1の接続部74と、他方の第2の圧電カンチレバー22の端部の近傍に設けられた第2の接続部75とを有する。第1の接続部74は、第3の支持部55の近傍に位置する部分の第2の支持部53の上面に配置されている。第2の接続部75は、第3の支持部54の上面に配置されている。
【0076】
第1の接続部74は、第2の上部電極67と接続された配線37−1が接続される部分である。第2の接続部75は、第2の上部電極67と接続された配線37−2が接続される部分である。配線27は、配線37を介して、複数の第2の上部電極67を電気的に接続している。第1及び第2の接続部74,75を除いた部分の配線27の幅は、例えば、15μmとすることができる。第1及び第2の接続部74,75は、他の部分の配線27の幅よりも広い幅とされている。
【0077】
上記説明した配線25−1,25−2,26,27の材料としては、例えば、第1及び第2の下部電極61,65と同じ金属膜を用いることができる。具体的には、配線25−1,25−2,26,27としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0078】
このように、配線26として、金属膜を用いることにより、配線26の構成要素に、第1及び第2の圧電体62,66を構成する圧電材料が含まれることがなくなる。これにより、配線26により第2の圧電体66の変位の一部が打ち消されることがなくなるため、支持体42に設けられた配線26に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0079】
また、配線27として、金属膜を用いることにより、配線27の構成要素に、第1及び第2の圧電体62,66を構成する圧電材料が含まれることがなくなる。これにより、配線27により第1の圧電体62の変位の一部が打ち消されることがなくなるため、支持体42に設けられた配線27に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0080】
第1の絶縁部材31−1は、配線18の他方の端部の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63の端部から配線18の他方の端部に亘るように配設されている。第1の絶縁部材31−1の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材31−1は、第1の絶縁部材31−1の上面に形成される配線34が第1の下部電極61と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0081】
第1の絶縁部材31−2は、第1の接続部71の近傍に位置する部分の第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から第1の接続部71に亘るように配設されている。第1の絶縁部材31−2の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材31−2は、第1の絶縁部材31−2の上面に形成される配線36−1が第1の下部電極61と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0082】
第1の絶縁部材31−3は、第2の接続部72の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から第2の接続部72に亘るように配設されている。第1の絶縁部材31−3の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材31−3は、第1の絶縁部材31−3の上面に形成される配線36−2が第1の下部電極61と接続されることを防止するための部材である。
【0083】
上記構成とされた第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3の材料としては、例えば、感光性樹脂を用いることができる。
【0084】
第2の絶縁部材32−1は、配線19の他方の端部の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67の端部から配線19の他方の端部に亘るように配設されている。第2の絶縁部材32−1の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第2の絶縁部材32−1は、第2の絶縁部材32−1の上面に形成される配線35が第2の下部電極65と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0085】
第2の絶縁部材32−2は、第1の接続部74の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から第1の接続部74に亘るように配設されている。第2の絶縁部材32−2の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第2の絶縁部材32−2は、第2の絶縁部材32−2の上面に形成される配線37−1が第2の下部電極67と接続されることを防止するための部材である。
【0086】
第2の絶縁部材32−3は、第2の接続部75の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から第2の接続部75に亘るように配置されている。第2の絶縁部材32−3の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第2の絶縁部材32−3は、第2の絶縁部材32−3の上面に形成される配線36−2が第2の下部電極65と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0087】
上記構成とされた第1の絶縁部材32−1,32−2,32−3の材料としては、例えば、感光性樹脂を用いることができる。
【0088】
配線34は、第1の絶縁部材31−1の上面に設けられている。配線34の一方の端部は、配線18の上面と接続されており、配線34の他方の端部は、第1の上部電極63の上面と接続されている。これにより、配線34は、パッド14と接続された配線18と第1の上部電極63とを電気的に接続している。
【0089】
配線35は、第2の絶縁部材32−1の上面に設けられている。配線35の一方の端部は、配線19の上面と接続されており、配線35の他方の端部は、第2の上部電極67の上面と接続されている。これにより、配線35は、パッド15と接続された配線19と第2の上部電極67とを電気的に接続している。
【0090】
配線36−1は、第1の絶縁部材31−2の上面に設けられている。配線36−1の一方の端部は、第1の接続部71の上面と接続されており、配線36−1の他方の端部は、第1の上部電極63の上面と接続されている。これにより、配線36−1は、パッド15と接続された配線19と第1の上部電極63とを電気的に接続している。
【0091】
配線36−2は、第1の絶縁部材31−3の上面に設けられている。配線36−2の一方の端部は、第2の接続部72の上面と接続されており、配線36−2の他方の端部は、第1の上部電極63の上面と接続されている。これにより、配線36−2は、配線26,36−1を介して、第1の上部電極63と他の第1の上部電極63とを電気的に接続している。
【0092】
上記構成とされた配線36−1,36−2は、配線26を介して、複数の第1の上部電極63を電気的に接続している。
【0093】
配線37−1は、第2の絶縁部材32−2の上面に設けられている。配線37−1の一方の端部は、第1の接続部74の上面と接続されており、配線37−1の他方の端部は、第2の上部電極67の上面と接続されている。これにより、配線37−1は、配線27と第2の上部電極67とを電気的に接続している。
【0094】
配線37−2は、第2の絶縁部材32−3の上面に設けられている。配線37−2の一方の端部は、第2の接続部75の上面と接続されており、配線37−2の他方の端部は、第2の上部電極67の上面と接続されている。これにより、配線37−2は、配線27,37−1を介して、第2の上部電極67と他の第2の上部電極67とを電気的に接続している。
【0095】
上記構成とされた配線37−1,37−2は、配線27を介して、複数の第2の上部電極67を電気的に接続している。
【0096】
上記説明した配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0097】
このように、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2としてTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜を用いることで、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2の抵抗値を低くすることができる。
【0098】
本実施の形態の圧電アクチュエータによれば、支持体42の上面に設けられ、複数の第1の支持部52に設けられた第1の上部電極63と電気的に接続される配線26と、支持体42の上面に設けられ、複数の第2の支持部53に設けられた第2の上部電極67と電気的に接続される配線19,27とを、金属膜により構成することで、配線19,26,27に圧電材料が含まれることがなくなるため、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0099】
図3〜図15は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図である。図3〜図15において、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0100】
図3〜図15を参照して、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10の製造方法について説明する。
【0101】
始めに、図3に示す工程では、支持部材11の母材となる基板81を準備する。基板81としては、例えば、第1のシリコン基板45(例えば、厚さが470μm)と、第2のシリコン基板46(例えば、厚さが30μm)と、第1のシリコン基板45と第2のシリコン基板46との間に形成されたSiO膜47(例えば、厚さが0.5μm)と、第2のシリコン基板46の上面46Aに形成されたSiO膜48(例えば、厚さが0.5μm)と、第1のシリコン基板45の下面45Aに形成されたSiO膜49(例えば、厚さが0.5μm)とを有したSOI(Silicon on Insulator)ウエハを用いることができる。
【0102】
次いで、図4に示す工程では、基板81に設けられたSiO膜48の上面48A(基板81の上面)に、第1及び第2の下部電極61,65の母材となる第1の金属層83と、第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84と、第1及び第2の上部電極63,67の母材となる第2の金属層85とを順次形成する(圧電カンチレバー母材形成工程)。
【0103】
第1の金属層83及び第2の金属層85は、例えば、スパッタ法により形成する。第1及び第2の金属層83,85としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。誘電体層84としては、例えば、PZT膜(例えば、厚さ2μm)を用いることができる。PZT膜は、例えば、ゾル・ゲル法(CSD(Chemical Solution Deposition)法ともいう)で成膜することができる。ゾル・ゲル法では、成膜に使用する装置が安価であるため、製造コストを下げることができる。また、PZT膜は、スパッタ法で成膜してもよい。
【0104】
次いで、図5に示す工程では、第1及び第2の圧電カンチレバー21,22の形成領域に対応する部分の第2の金属層85の上面85Aを覆うエッチング用レジスト膜87を形成する。
【0105】
次いで、図6に示す工程では、エッチング用レジスト膜87をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜87から露出された部分の誘電体層84及び第2の金属層85を、第1の金属層83の上面83Aが露出されるまでエッチングすることで、第1及び第2の上部電極63,67と、第1及び第2の圧電体62,66とを同時に形成する(上部電極及び圧電体形成工程)。
【0106】
このとき、第1の上部電極63及び第1の圧電体62よりなる構造体の側面、及び第2の上部電極67及び第2の圧電体66よりなる構造体の側面が、エッチング用レジスト膜87から第1の金属層83に向かうにつれて幅広形状とされた傾斜面(例えば、傾斜角度は30度)となるようにエッチングする。
【0107】
具体的には、例えば、第1の上部電極63及び第1の圧電体62よりなる構造体の側面、及び第2の上部電極67及び第2の圧電体66よりなる構造体の側面に、デポが付着しないようなエッチング条件を用いて、エッチングを行う。
【0108】
次いで、図7に示す工程では、図6に示すエッチング用レジスト膜87を除去し、その後、第1及び第2の上部電極63,67の上面と、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27の形成領域に対応する部分の第1の金属層83の上面83Aとを覆うエッチング用レジスト膜89を形成する。
【0109】
次いで、図8に示す工程では、エッチング用レジスト膜89をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜89から露出された部分の第1の金属層83を、SiO膜48の上面48Aが露出するまでエッチングすることで、第1及び第2の下部電極61,65と、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27とを同時に形成する(下部電極及び配線形成工程)。なお、図8〜図15において、パッド14,15及び配線17、25−1,25−2,26,27を図示することは困難なため、同図において、パッド14,15及び配線17、25−1,25−2,26,27の図示を省略する。
【0110】
このように、第1及び第2の下部電極61,65の母材となる第1の金属層83(例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜)をパターニングすることで、配線17〜19、25−1,25−2,26,27を形成することにより、配線19,26,27の構成要素に、圧電材料(第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84)が含まれることがなくなるため、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0111】
なお、第1の上部電極63及び第1の圧電体62よりなる構造体の側面、及び第2の上部電極67及び第2の圧電体66よりなる構造体の側面が、エッチング用レジスト膜87から第1の金属層83に向かうにつれて幅広形状とされた傾斜面(デポが付着した傾斜面)とされているため、上記下部電極及び配線形成工程を行うことで、第1及び第2の下部電極61,65の側面も傾斜面となる。
【0112】
次いで、図9に示す工程では、図8に示すエッチング用レジスト膜89を除去する。
【0113】
次いで、図10に示す工程では、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を同時に形成する(絶縁部材形成工程)。なお、図9〜図15では、第1の絶縁部材31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を図示することは困難なため、同図において、第1の絶縁部材31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3の図示を省略する。
【0114】
具体的には、図9に示す構造体上に、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を塗布し、次いで、感光性樹脂を露光、現像処理し、その後、感光性樹脂を熱硬化させることにより、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を同時に形成する。
【0115】
第1の絶縁部材31−1は、配線18の他方の端部の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63の端部から配線18の他方の端部に亘るように形成する。第1の絶縁部材31−2は、第1の接続部71の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から第1の接続部71に亘るように形成する。
【0116】
第1の絶縁部材31−3は、第2の接続部72の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー21の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から第2の接続部72に亘るように形成する。第2の絶縁部材32−1は、配線19の他方の端部の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67の端部から配線19の他方の端部に亘るように形成する。
【0117】
第2の絶縁部材32−2は、第1の接続部74の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から第1の接続部74に亘るように形成する。第2の絶縁部材31−3は、第2の接続部75の近傍に位置する第2の圧電カンチレバー22の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から第2の接続部75に亘るように形成する。
【0118】
上記説明したように、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を用いて第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を形成することにより、安価に第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を形成することが可能となるため、圧電アクチュエータ10の製造コストを低減することができる。
【0119】
また、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を用いて第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3を形成することにより、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2が形成される第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3及び第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3の上面が緩やかな傾斜面となるため、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2の厚さを均一にすることが可能となる。
【0120】
これにより、配線34,36−1,36−2を介して、電気的に接続される第1の上部電極63と配線18,26と間の電気的接続信頼性、及び配線35,37−1,37−2を介して、電気的に接続される第2の上部電極67と配線19,27と間の電気的接続信頼性を向上させることができる。
【0121】
次いで、図11に示す工程では、図10に示す構造体上に、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2の形成領域に対応する部分の配線18、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3、第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3、第1の接続部71,74、及び第2の接続部72,75を露出する開口部92を有したリフトオフ用レジスト膜91を形成する。
【0122】
開口部92の側面に対応する部分のリフトオフ用レジスト膜91の断面は、逆テーパ形状とされている。つまり、開口部92は、リフトオフ用レジスト膜91の上面から下面に向かうにつれて、幅広形状とされている。
【0123】
次いで、図12に示す工程では、図11に示す構造体の上面側から金属膜94を成膜することで、開口部92を通過した金属膜94により構成された配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2を形成する(配線形成工程)。このとき、リフトオフ用レジスト膜91の上面に不要な金属膜94が形成される。
【0124】
配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2を構成する金属膜94としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0125】
このように、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2としてTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜を用いることで、配線34,35,36−1,36−2,37−1,37−2の抵抗値を低くすることができる。
【0126】
次いで、図13に示す工程では、図12に示すリフトオフ用レジスト膜91を除去するする。これにより、リフトオフ用レジスト膜91の上面に形成された不要な金属膜94は、リフトオフ用レジスト膜91と共に除去される。
【0127】
次いで、図14に示す工程では、図1に示す枠体41と支持体42との間に位置する部分の第2のシリコン基板46及びSiO膜47,48をエッチングにより除去することで、基板81に第1のシリコン基板45の上面45Bを露出する溝97を形成する。
【0128】
具体的には、図13に示す構造体上に、溝97の形成領域に対応する部分のSiO膜48の上面48Aを露出する開口部(図示せず)を有したエッチング用レジスト膜(図示せず)を形成し、このエッチング用レジスト膜をマスクとする異方性エッチングにより、溝97を形成する。エッチング用レジスト膜は、溝97を形成後に除去する。
【0129】
次いで、図15に示す工程では、図14に示す構造体の下面側から、枠体41の形成領域に対応する部分の第1のシリコン基板45及びSiO膜49をエッチングにより除去することで、枠体41及び支持体42を備えた支持部材11を形成する。これにより、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10が製造される。
【0130】
具体的には、図14に示す構造体の下面側に、溝97及び支持体42の形成領域に対応する部分のSiO膜49の下面49Aを露出する開口部(図示せず)を有したエッチング用レジスト膜(図示せず)を形成し、このエッチング用レジスト膜をマスクとする異方性エッチングにより、開口部(図示せず)から露出された部分の第1のシリコン基板45及びSiO膜49を除去することで、枠体41及び支持体42を備えた支持部材11を形成する。
【0131】
本実施の形態の圧電アクチュエータの製造方法によれば、下部電極の母材となる第1の金属層83(例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜)をパターニングすることで、配線19,26,27を形成することにより、配線19,26,27の構成要素に、圧電材料(第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84)が含まれることがなくなるため、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0132】
上記説明した第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10では、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27として、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜(つまり、第1及び第2の下部電極61,65と同じ膜)を用いた場合を例に挙げて説明したが、Ti/Pt積層膜の代わりとして、例えば、Ti膜(25nm)と、Ni膜(25nm)と、Au膜(100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)によりパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を構成してもよい。
【0133】
このように、Ti/Ni/Au積層膜やAl膜によりパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を構成することで、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ10の屈曲効率の低下を抑制することができると共に、Ti/Pt積層膜を用いた場合と比較して、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27の抵抗値を小さくすることができる。
【0134】
なお、Ti/Ni/Au積層膜、或いはAl膜によりパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27が構成された圧電アクチュエータを第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータ100として、以下の説明を行う。
【0135】
圧電アクチュエータ100は、圧電アクチュエータ100を構成するパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を構成する金属膜が、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10を構成するパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を構成する金属膜と異なる以外は、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10と同様に構成される。
【0136】
図16〜図21は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図である。図16〜図21において、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0137】
図16〜図21を参照して、第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータ100の製造方法について説明する。
【0138】
始めに、図16に示す工程では、先に説明した図1〜図5に示す工程と同様な処理を行うことで、図5に示す構造体を形成し、次いで、異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜87から露出された部分の図5に示す第1の金属層83、誘電体層84、及び第2の金属層85をパターニングすることにより、側面がテーパ形状(傾斜面)とされた第1及び第2の圧電カンチレバー21,22を形成する(圧電カンチレバー形成工程)。
【0139】
次いで、図17に示す工程では、図16に示すエッチング用レジスト膜87を除去する。
【0140】
次いで、図18に示す工程では、図17に示す構造体上に、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27の形成領域に対応する部分の基板81の上面を露出すると共に、断面が逆テーパ形状とされた開口部106を有したリフトオフ用レジスト膜105を形成する(リフトオフ用レジスト膜形成工程)。
【0141】
次いで、図19に示す工程では、図18に示す構造体の上面側から金属膜108を成膜することで、開口部106を通過した金属膜108により構成されたパッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を形成する(金属膜形成工程)。なお、図19〜図21では、パッド14,15及び配線18,19、25−1,25−2,26,27を図示することは困難なため、同図において、パッド14,15及び配線18,19、25−1,25−2,26,27の図示を省略する。
【0142】
このとき、リフトオフ用レジスト膜105の上面に不要な金属膜108が形成される。金属膜108としては、例えば、第1及び第2の下部電極61,65を構成する金属膜よりも抵抗値の低い金属膜を用いるとよい。金属膜108としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いるとよい。
【0143】
このように、第1及び第2の下部電極61,65を構成する金属膜よりも抵抗値の低い金属膜108をパターニングすることで、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を形成することにより、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ100の屈曲効率の低下を抑制することができると共に、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27の抵抗値を低くすることができる。
【0144】
次いで、図20に示す工程では、図19に示すリフトオフ用レジスト膜105を除去する(リフトオフ工程)。
【0145】
これにより、リフトオフ用レジスト膜105の上面に形成された不要な金属膜108は、リフトオフ用レジスト膜105と共に除去される。
【0146】
次いで、図21に示す工程では、先に説明した図14及び図15に示す工程と同様な処理を行うことで、枠体41及び支持体42を備えた支持部材11を形成する。これにより、第1の実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータ100が製造される。
【0147】
本実施の形態の変形例に係る圧電アクチュエータの製造方法によれば、第1及び第2の下部電極61,65を構成する金属膜よりも抵抗値の低い金属膜108をパターニングすることで、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27を形成することにより、配線19,26,27に起因する圧電アクチュエータ100の屈曲効率の低下を抑制することができると共に、パッド13〜15及び配線17〜19、25−1,25−2,26,27の抵抗値を低くすることができる。
【0148】
(第2の実施の形態)
図22は、本発明の第2の実施の形態の圧電アクチュエータの平面図である。図23は、図22に示す圧電アクチュエータのC−C線方向の断面図であり、図24は、図22に示す圧電アクチュエータのD−D線方向の断面図である。
【0149】
図22〜図23を参照するに、第2の実施の形態の圧電アクチュエータ110は、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ10に設けられた配線18,19,25−1,25−2,26,27,34,35,36−1,36−2,37−1,37−2、第1及び第2の圧電カンチレバー21,22、第1の絶縁部材31−1,31−2,31−3、第2の絶縁部材32−1,32−2,32−3の代わりに、第2の配線である配線112、第3の配線である配線113、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117、第1の配線である配線118−1,118−2、第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4、第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3、配線131,132、第4の配線である配線133〜135、及び第5の配線である配線136,137を設けると共に、さらに絶縁層114を設け、絶縁層114の上面114Aにパッド13〜15及び配線17を配置した以外は、圧電アクチュエータ10と同様に構成される。
【0150】
配線112は、連続する1つの配線であり、接続部51の上面、及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に設けられている。配線112は、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の外形に沿うような形状とされている。配線112は、配線131,133〜135と接続されることにより、パッド14及び複数の第1の上部電極63を電気的に接続するための配線である。
【0151】
配線112は、金属膜により構成されている。配線112を構成する金属膜としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜や、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とが順次積層されたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0152】
このように、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配置される配線112を金属膜により構成することにより、配線112の構成要素に、圧電材料(第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84)が含まれることがなくなるため、配線112に起因する圧電アクチュエータ110の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0153】
また、配線112を構成する金属膜として、Ti/Ni/Au積層膜やAl膜を用いることにより、配線112の抵抗値を小さくすることができる。配線112の幅は、例えば、15μmとすることができる。
【0154】
配線113は、連続する1つの配線であり、接続部51の上面、及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に設けられている。配線113は、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の外形に沿うような形状とされている。配線113は、配線132,136,137と接続されることにより、パッド15及び複数の第2の上部電極67を電気的に接続するための配線である。
【0155】
配線113は、金属膜により構成されている。配線113を構成する金属膜としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜や、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とが順次積層されたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0156】
このように、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配置される配線113を金属膜により構成することにより、配線113の構成要素に、圧電材料(第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84)が含まれることがなくなるため、配線113に起因する圧電アクチュエータ110の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0157】
また、配線113を構成するとして、Ti/Ni/Au積層膜やAl膜を用いることにより、配線113の抵抗値を小さくすることができる。配線113の幅は、例えば、15μmとすることができる。
【0158】
絶縁層114は、第1及び第2の支持部52,53の上面に形成された部分の配線112,113を覆うように、支持部材11の上面に設けられている。絶縁層114の上面114Aは、平坦な面とされている。第1の支持部52に配置された部分の絶縁層114の上面114Aは、第1の圧電カンチレバー116を形成するための面である。また、第2の支持部53に配置された部分の絶縁層114の上面114Aは、第2の圧電カンチレバー117を形成するための面である。
【0159】
絶縁層114は、開口部141〜143を有する。開口部141は、接続部51に配置された部分の配線112,113の上面を露出するように形成されている。開口部142は、第3の支持部54に配置された部分の配線112,113の上面を露出するように形成されている。開口部143は、第3の支持部55に配置された部分の配線112,113の上面を露出するように形成されている。絶縁層114としては、例えば、SiO膜を用いることができる。この場合、絶縁層114の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0160】
第1の圧電カンチレバー116は、第1の支持部52に配置された部分の絶縁層114の上面114A全体に設けられている。つまり、第1の圧電カンチレバー116は、配線112,113が形成された平面(SiO膜48の上面48A)とは、別の平面(絶縁層114の上面114A)に設けられている。第1の圧電カンチレバー116は、第1の実施の形態で説明した第1の圧電カンチレバー21よりも幅が広い(面積が大きい)以外は第1の圧電カンチレバー21と同様な構成(具体的には、第1の下部電極61と、第1の圧電体62と、第1の上部電極63とが順次積層された構成)とされている。
【0161】
このように、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に、配線112,113を設け、平坦な上面114Aを有し、第1及び第2の支持部52,53の上面に形成された部分の配線112,113を覆う絶縁層114を設け、第1の支持部52に形成された部分の絶縁層114の上面114Aに第1の圧電カンチレバー116を設けることにより、絶縁層114の上面114A全体に第1の圧電カンチレバー116を配置することが可能となるため、第1の圧電体62の面積を増加させることができる。これにより、第1の圧電カンチレバー116の屈曲変位量を増加させることができる。
【0162】
第1の支持部52の幅Wが200μmの場合、第1の圧電体62の幅Wは、例えば、180μmとすることができる。
【0163】
第2の圧電カンチレバー117は、第2の支持部53に配置された部分の絶縁層114の上面114A全体に設けられている。つまり、配線112,113が形成された平面(SiO膜48の上面48A)とは、別の平面(絶縁層114の上面114A)に設けられている。第2の圧電カンチレバー117は、第1の実施の形態で説明した第2の圧電カンチレバー22よりも幅が広い以外は第2の圧電カンチレバー22と同様な構成(具体的には、第2の下部電極65と、第2の圧電体66と、第2の上部電極67とが順次積層された構成)とされている。
【0164】
このように、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に、配線112,113を設け、平坦な上面114Aを有し、第1及び第2の支持部52,53の上面に形成された部分の配線112,113を覆う絶縁層114を設け、第2の支持部53に形成された部分の絶縁層114の上面114Aに第2の圧電カンチレバー117を設けることにより、絶縁層114の上面114A全体に第2の圧電カンチレバー117を配置することが可能となるため、第2の圧電体66の面積を増加させることができる。これにより、第2の圧電カンチレバー117の屈曲変位量を増加させることができる。
【0165】
第2の支持部53の幅Wが200μmの場合、第2の圧電体66の幅Wは、例えば、180μmとすることができる。
【0166】
配線118−1は、第3の支持部54に形成された絶縁層114の上面114Aに設けられている。配線118−1は、一方の端部が第1の下部電極61と接続されており、他方の端部が第2の下部電極65と接続されている。
【0167】
配線118−2は、第3の支持部55に形成された絶縁層114の上面114Aに設けられている。配線118−1は、一方の端部が第2の下部電極65と接続されており、他方の端部が第1の下部電極61と接続されている。
【0168】
上記配線118−1,118−2は、複数の第1及び第2の下部電極61,65と一体的に構成されると共に、複数の第1及び第2の下部電極61,65を電気的に接続している。
【0169】
配線118−1,118−2としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。
【0170】
第1の絶縁部材121−1は、パッド14の端部から開口部141から露出された部分の配線112の上面に亘るように配置されている。第1の絶縁部材121−1の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材121−1は、配線131を形成するための部材である。
【0171】
第1の絶縁部材121−2は、開口部141の近傍に位置する部分の第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、開口部141により露出された部分の配線112の上面から第1の上部電極63に亘るように配置されている。第1の絶縁部材121−2の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材121−2は、第1の絶縁部材121−2の上面に形成される配線133が第1の下部電極61と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0172】
第1の絶縁部材121−3は、開口部142の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、開口部142により露出された部分の配線112の上面から第1の上部電極63に亘るように配置されている。第1の絶縁部材121−3の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材121−3は、第1の絶縁部材121−3の上面に形成される配線134が第1の下部電極61と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0173】
第1の絶縁部材121−4は、開口部143の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、開口部143により露出された部分の配線112の上面から第1の上部電極63に亘るように配置されている。第1の絶縁部材121−4の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材121−4は、第1の絶縁部材121−4の上面に形成される配線135が第1の下部電極61と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0174】
上記構成とされた第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4の材料としては、例えば、感光性樹脂を用いることができる。
【0175】
第2の絶縁部材122−1は、パッド15の端部から開口部141から露出された部分の配線113の上面に亘るように配置されている。第2の絶縁部材122−1の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第1の絶縁部材121−1は、配線132を形成するための部材である。
【0176】
第2の絶縁部材122−2は、開口部142の近傍に位置する部分の第2の圧電カンチレバー117の側面を覆うと共に、開口部142により露出された部分の配線113の上面から第2の上部電極67に亘るように配置されている。第2の絶縁部材122−2の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第2の絶縁部材122−2は、第2の絶縁部材122−2の上面に形成される配線136が第2の下部電極65と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0177】
第2の絶縁部材122−3は、開口部142の近傍に位置する第1の圧電カンチレバー117の側面を覆うと共に、開口部142により露出された部分の配線113の上面から第2の上部電極67に亘るように配置されている。第2の絶縁部材122−3の上面は、緩やかな傾斜面とされている。第2の絶縁部材122−3は、第2の絶縁部材122−3の上面に形成される配線137が第2の下部電極65と電気的に接続されることを防止するための部材である。
【0178】
配線131は、第1の絶縁部材121−1の上面に設けられている。配線131の一方の端部は、パッド14の上面と接続されており、配線131の他方の端部は、開口部141から露出された部分の配線112の上面と接続されている。これにより、配線131は、パッド14と配線112とを電気的に接続している。
【0179】
配線132は、第2の絶縁部材122−1の上面に設けられている。配線132の一方の端部は、パッド15の上面と接続されており、配線132の他方の端部は、開口部141から露出された部分の配線113の上面と接続されている。これにより、配線132は、パッド15と配線113とを電気的に接続している。
【0180】
配線133は、第1の絶縁部材121−2の上面に設けられている。配線133の一方の端部は、開口部141から露出された部分の配線112の上面と接続されており、配線133の他方の端部は、第1の上部電極63の上面と接続されている。これにより、配線133は、配線112,131を介して、パッド14と第1の上部電極63とを電気的に接続している。
【0181】
配線134は、第1の絶縁部材121−3の上面に設けられている。配線134の一方の端部は、開口部142の近傍に位置する部分の第1の上部電極63と接続されており、配線134の他方の端部は、開口部142から露出された部分の配線112の上面と接続されている。
【0182】
配線135は、第1の絶縁部材121−4の上面に設けられている。配線135の一方の端部は、開口部143の近傍に位置する部分の第1の上部電極63と接続されており、配線135の他方の端部は、開口部143から露出された部分の配線112の上面と接続されている。これにより、複数の第1の上部電極63は、配線112,134,135を介して、電気的に接続されている。
【0183】
配線136は、第1の絶縁部材122−2の上面に設けられている。配線136の一方の端部は、開口部142から露出された部分の配線113の上面と接続されており、配線136の他方の端部は、第2の上部電極67の上面と接続されている。これにより、配線136は、配線113,132を介して、パッド15と第2の上部電極67とを電気的に接続している。
【0184】
配線137は、第1の絶縁部材122−3の上面に設けられている。配線137の一方の端部は、開口部143から露出された部分の配線113の上面と接続されており、配線137の他方の端部は、第2の上部電極67の上面と接続されている。これにより、複数の第2の上部電極67は、配線113,136,137を介して、電気的に接続されている。
【0185】
配線131〜137としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0186】
このように、配線131〜137としてTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜を用いることで、配線131〜137の抵抗値を低くすることができる。
【0187】
本実施の形態の圧電アクチュエータによれば、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配置される配線112,113を金属膜により構成することにより、配線112,113の構成要素に、圧電材料(第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84)が含まれることがなくなるため、配線112,113に起因する圧電アクチュエータ110の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0188】
また、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配線112,113を設け、第1及び第2の支持部52,53上に配置された配線112,113を覆う絶縁層114の上面114Aに、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を配置することにより、第1及び第2の支持部52,53に設けられた絶縁層114の上面114A全体に第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を設けることが可能となるため、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117の屈曲変位量を増加させることができる。
【0189】
図25〜図39は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電アクチュエータの製造工程を示す図である。図25〜図39において、第2の実施の形態の圧電アクチュエータ110と同一構成部分には同一符号を付す。
【0190】
図25〜図39を参照して、第2の実施の形態の圧電アクチュエータ110の製造方法について説明する。始めに、第1の実施の形態で説明した図3に示す基板81を準備する。
【0191】
次いで、図25に示す工程では、基板81の上面に、金属膜147を成膜し、次いで、配線112,113の形成領域に対応する部分の金属膜147の上面147Aを覆うエッチング用レジスト膜148を形成する。
【0192】
金属膜147は、配線112,113の母材となる膜である。金属膜147は、例えば、スパッタ法により形成することができる。金属膜147としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜や、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とが順次積層されたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0193】
また、金属膜147としてTi/Ni/Au積層膜やAl膜を用いることにより、配線112,113の抵抗値を小さくすることができる。
【0194】
次いで、図26に示す工程では、異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜148から露出された部分の金属膜147を、SiO膜48の上面48Aが露出するまでエッチングすることで、エッチング用レジスト膜148に覆われた配線112,113を形成する。なお、図25及び図26に示す工程が、「第2及び第3の配線形成工程」に相当する工程である。
【0195】
このように、金属膜147をパターニングして配線112,113を形成することにより、第2及び第3の配線112,113の構成に圧電材料が含まれることがなくなるため、圧電アクチュエータ110の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0196】
配線112の幅は、例えば、50μmとすることができる。配線113の幅は、例えば、50μmとすることができる。
【0197】
次いで、図27に示す工程では、図26に示すエッチング用レジスト膜148を除去する。
【0198】
次いで、図28に示す工程では、配線112,113及び基板81の上面を覆うと共に、平坦な上面114Aを有した絶縁層114を形成する(絶縁層形成工程)。
【0199】
具体的には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、絶縁層114の母材となるSiO膜(例えば、厚さ2.5μm)を形成し、その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、絶縁層114の上面114Aの平坦化を行う。平坦化後の絶縁層114の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0200】
このように、絶縁層114の上面114Aを平坦な面にすることで、絶縁層114の上面114Aに第1及び第2の圧電アクチュエータ116,117を精度良く形成することができる。
【0201】
次いで、図29に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図4に示す工程と同様な処理を行うことで、絶縁層114の上面114Aに、第1及び第2の下部電極61,65の母材となる第1の金属層83と、第1及び第2の圧電体62,66の母材となる誘電体層84と、第1及び第2の上部電極63,67の母材となる第2の金属層85とを順次形成する(圧電カンチレバー母材形成工程)。
【0202】
第1及び第2の金属層83,85としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さが10nm)と、Pt膜(例えば、厚さが100nm)とを順次積層させたTi/Pt積層膜を用いることができる。誘電体層84としては、例えば、PZT膜(例えば、厚さ2μm)を用いることができる。
【0203】
その後、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117の形成領域に対応する部分の第2の金属層85の上面85Aを覆うエッチング用レジスト膜151を形成する。
【0204】
次いで、図30に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図6に示す工程と同様な処理を行うことにより、エッチング用レジスト膜151から露出された部分の誘電体層84及び第2の金属層85をエッチングすることで、第1及び第2の上部電極63,67と、第1及び第2の圧電体62,66とを同時に形成する(上部電極及び圧電体形成工程)。
【0205】
このとき、第1の上部電極63及び第1の圧電体62よりなる構造体の側面、及び第2の上部電極67及び第2の圧電体66よりなる構造体の側面が、エッチング用レジスト膜87から第1の金属層83に向かうにつれて幅広形状とされた傾斜面(例えば、傾斜角度は30度)となるようにエッチングする。
【0206】
次いで、図31に示す工程では、図30に示すエッチング用レジスト膜151を除去し、その後、第1及び第2の上部電極63,67の上面と、パッド13〜15及び配線17,118−1,118−2の形成領域に対応する部分の第2の金属膜85の上面85Aとを覆うエッチング用レジスト膜153を形成する。
【0207】
次いで、図32に示す工程では、エッチング用レジスト膜153をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜153から露出された部分の第1の金属層83を除去することで、第1及び第2の下部電極61,65と、パッド13〜15及び配線17,118−1,118−2とを同時に形成する(下部電極及び配線形成工程)。
【0208】
なお、図32〜図39では、パッド13,15及び配線17,118−1,118−2を図示することが困難なため、同図において、パッド13,15及び配線17,118−1,118−2の図示を省略する。
【0209】
これにより、第1の支持部52に設けられた絶縁層114の上面114Aに、第1の圧電カンチレバー116が形成されると共に、第2の支持部53に設けられた絶縁層114の上面114Aに、第2の圧電カンチレバー117が形成される。このとき、第1及び第2の下部電極61,65の側面もテーパー形状となる。
【0210】
また、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配線112,113を形成し、第1及び第2の支持部52,53上に配置された配線112,113を覆う絶縁層114の上面114Aに、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を形成することにより、第1及び第2の支持部52,53に設けられた絶縁層114の上面114A全体に第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を形成ことが可能となるため、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117の屈曲変位量を増加させることができる。
【0211】
次いで、図33に示す工程では、図32に示すエッチング用レジスト膜153を除去する。
【0212】
次いで、図34に示す工程では、図33に示す構造体上に、開口部141〜143(図22参照)の形成領域に対応する部分の絶縁層114の上面114Aを露出する開口部156を有したエッチング用レジスト膜155を形成する。
【0213】
次いで、図35に示す工程では、異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、エッチング用レジスト膜155から露出された部分の絶縁層114を、配線112,113の上面が露出するまでエッチングすることで、開口部141〜143を形成する。図34及び図35に示す工程が、「開口部形成工程」に相当する工程である。
【0214】
なお、図34〜図39では、開口部142を図示することが困難なため、同図において、開口部142の図示を省略する。
【0215】
次いで、図36に示す工程では、図35に示すエッチング用レジスト膜155を除去する。
【0216】
次いで、図37に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図10に示す工程と同様な処理を行うことで、第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4と、第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3とを同時に形成する(絶縁部材形成工程)。
【0217】
第1の絶縁部材121−1は、開口部141の近傍に位置する部分のパッド14の端部から開口部141に露出された配線112の上面に亘るように形成する。第1の絶縁部材121−2は、開口部141の近傍に位置する部分の第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から開口部141に露出された部分の配線112の上面に亘るように形成する。
【0218】
第1の絶縁部材121−3は、開口部142の近傍に位置する部分の第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から開口部142に露出された部分の配線112の上面に亘るように形成する。第1の絶縁部材121−4は、開口部143の近傍に位置する部分の第1の圧電カンチレバー116の側面を覆うと共に、第1の上部電極63から開口部143に露出された部分の配線112の上面に亘るように形成する。
【0219】
第2の絶縁部材122−1は、開口部141の近傍に位置する部分のパッド15の端部から開口部141に露出された配線113の上面に亘るように形成する。第2の絶縁部材122−2は、開口部142の近傍に位置する部分の第2の圧電カンチレバー117の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から開口部142に露出された部分の配線113の上面に亘るように形成する。
【0220】
第2の絶縁部材122−3は、開口部143の近傍に位置する部分の第2の圧電カンチレバー117の側面を覆うと共に、第2の上部電極67から開口部143に露出された部分の配線113の上面に亘るように形成する。
【0221】
上記説明した第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4及び第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3の材料としては、例えば、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を用いることができる。
【0222】
このように、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を用いて第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4及び第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3を形成することにより、第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4及び第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3を安価に形成することができる。
【0223】
また、感光性樹脂(例えば、感光性レジスト)を用いて第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4及び第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3を形成することにより、配線131〜137が形成される第1の絶縁部材121−1,121−2,121−3,121−4及び第2の絶縁部材122−1,122−2,122−3の上面が緩やかな傾斜面になるため、配線131〜137を均一な厚さに形成することが可能となる。
【0224】
これにより、配線131,133〜135を介して、電気的に接続される配線112と複数の第1の上部電極63との間の電気的接続信頼性、及び配線132,136,137を介して、電気的に接続される配線113と複数の第2の上部電極67との間の電気的接続信頼性を向上させることができる。
【0225】
次いで、図38に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図11〜図13に示す工程と同様な処理を行うことにより、配線131〜137を形成する(第4及び第5の配線形成工程)。
【0226】
なお、図38及び図39では、配線132,134〜136を図示することが困難なため、同図において、配線132,134〜136の図示を省略する。
【0227】
配線131は、パッド14及び配線112と接続されるように、第1の絶縁部材121−1の上面に形成する。配線132は、パッド15及び配線113と接続されるように、第2の絶縁部材122−1の上面に形成する。
【0228】
配線133は、開口部141から露出された部分の配線112及び第1の上部電極63と接続されるように、第1の絶縁部材121−2の上面に形成する。配線134は、開口部142から露出された部分の配線112及び第1の上部電極63と接続されるように、第1の絶縁部材121−3の上面に形成する。
【0229】
配線135は、開口部143から露出された部分の配線112及び第1の上部電極63と接続されるように、第1の絶縁部材121−4の上面に形成する。配線136は、開口部142から露出された部分の配線113及び第2の上部電極67と接続されるように、第2の絶縁部材122−2の上面に形成する。
【0230】
配線137は、開口部143から露出された部分の配線113及び第2の上部電極67と接続されるように、第2の絶縁部材122−3の上面に形成する。
【0231】
このように、配線131〜137を形成することにより、パッド14と複数の第1の上部電極63とが電気的に接続されると共に、パッド15と複数の第2の上部電極67とが電気的に接続される。
【0232】
配線131〜137としては、例えば、Ti膜(例えば、厚さ25nm)と、Ni膜(例えば、厚さ25nm)と、Au膜(例えば、厚さ100nm)とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜(例えば、厚さ100nm)を用いることができる。
【0233】
このように、配線131〜137としてTi/Ni/Au積層膜、或いはAl膜を用いることで、配線131〜137の抵抗値を低くすることができる。
【0234】
次いで、図39に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図14及び図15に示す工程と同様な処理を行うことで、枠体41及び支持体42を備えた支持部材11を形成する。これにより、第2の実施の形態の圧電アクチュエータ110が製造される。
【0235】
本実施の形態の圧電アクチュエータの製造方法によれば、金属膜147をパターニングして配線112,113を形成することにより、第2及び第3の配線112,113の構成に圧電材料が含まれることがなくなるため、圧電アクチュエータ110の屈曲効率の低下を抑制することができる。
【0236】
また、接続部51及び第1〜第3の支持部52〜55の上面に配線112,113を形成し、第1及び第2の支持部52,53上に配置された配線112,113を覆う絶縁層114の上面114Aに、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を形成することにより、第1及び第2の支持部52,53に設けられた絶縁層114の上面114A全体に第1及び第2の圧電カンチレバー116,117を形成ことが可能となるため、第1及び第2の圧電カンチレバー116,117の屈曲変位量を増加させることができる。
【0237】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0238】
本発明は、圧電アクチュエータ及びその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0239】
10,100,110 圧電アクチュエータ
11 支持部材
13〜15 パッド
17〜19,25−1,25−2,26,27,34,35,36−1,36−2,37−1,37−2,112,113,118−1,118−2,131〜137 配線
21,116 第1の圧電カンチレバー
22,117 第2の圧電カンチレバー
31−1,31−2,31−3,121−1,121−2,121−3,121−4 第1の絶縁部材
32−1,32−2,32−3,122−1,122−2,122−3 第2の絶縁部材
41 枠体
42 支持体
45 第1のシリコン基板
45A,46B,49A 下面
45B,46A,48A,61A,62A,63A,65A,66A,67A,83A,85A,114A,147A 上面
46 第2のシリコン基板
47〜49 SiO
51 接続部
52 第1の支持部
53 第2の支持部
54,55 第3の支持部
61 第1の下部電極
62 第1の圧電体
63 第1の上部電極
65 第2の下部電極
66 第2の圧電体
67 第2の上部電極
71,74 第1の接続部
72,75 第2の接続部
81 基板
83 第1の金属層
84 誘電体層
85 第2の金属層
87,89,148,151,153,155 エッチング用レジスト膜
91,105 リフトオフ用レジスト膜
92,106 開口部
94,147 金属膜
97 溝
114 絶縁層
141〜143,156 開口部
B 所定の方向
,W,W,W,W,W

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、一方の端部が前記枠体と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバーの形成領域に対応する第1の支持部、第2の圧電カンチレバーの形成領域に対応すると共に、第1の支持部とは分離された第2の支持部、及び前記第1の支持部と前記第2の支持部とを接続する第3の支持部を複数有し、前記枠体の厚さよりも薄い厚さとされた支持体と、を備えた支持部材と、
第1の下部電極、該第1の下部電極上に設けられた第1の圧電体、及び該第1の圧電体上に設けられた第1の上部電極を有する前記第1の圧電カンチレバーと、
第2の下部電極、該第2の下部電極上に設けられた第2の圧電体、及び該第2の圧電体上に設けられた第2の上部電極を有する前記第2の圧電カンチレバーと、
前記支持体の上面に設けられ、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極とを電気的に接続する第1の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部に設けられた前記第1の上部電極と電気的に接続される第2の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部に設けられた前記第2の上部電極と電気的に接続される第3の配線と、
を備えた圧電アクチュエータであって、
前記第2及び第3の配線は、金属膜により構成することを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2及び第3の配線は、前記第1及び第2の下部電極よりも抵抗値が低いことを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記金属膜は、Ti膜と、Ni膜と、Au膜とを順次積層させたTi/Ni/Au積層膜、またはAl膜であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記支持体の上面に、前記第2及び第3の配線を配置し、
前記第1及び第2の支持部に対応する部分の前記支持体の上面、及び前記第1及び第2の支持部に対応する前記支持体の上面に配置された部分の前記第2及び第3の配線を覆うと共に、上面が平坦な面とされた絶縁層を設け、
前記第1の支持部に設けられた前記絶縁層の上面に、前記第1の圧電カンチレバーを配置すると共に、前記第2の支持部に設けられた前記絶縁層の上面に、前記第2の圧電カンチレバーを配置したことを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記第3の支持部に設けられた部分の前記絶縁層には、前記第3の支持部に配置された部分の前記第2及び第3の配線の上面を露出する開口部が形成されており、
前記第1の圧電カンチレバーの側面を覆う第1の絶縁部材と、
前記第1の絶縁部材上に設けられ、一方の端部が前記第1の上部電極と接続され、他方の端部が前記開口部から露出された部分の前記第2の配線と接続された第4の配線と、
前記第2の圧電カンチレバーの側面を覆う第2の絶縁部材と、
前記第2の絶縁部材上に設けられ、一方の端部が前記第2の上部電極と接続され、他方の端部が前記開口部から露出された部分の前記第3の配線と接続された第5の配線と、を有することを特徴とする請求項4記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1の圧電カンチレバーの側面は、前記第1の上部電極から前記第1の下部電極に向かうにつれて幅広形状となる傾斜面とされており、
前記第2の圧電カンチレバーの側面は、前記第2の上部電極から前記第2の下部電極に向かうにつれて幅広形状となる傾斜面であることを特徴とする請求項5記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
枠体と、一方の端部が前記枠体と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバーの形成領域に対応する第1の支持部、第2の圧電カンチレバーの形成領域に対応すると共に、第1の支持部とは分離された第2の支持部、及び前記第1の支持部と前記第2の支持部とを接続する第3の支持部を複数有し、前記枠体の厚さよりも薄い厚さとされた支持体と、を備えた支持部材と、
第1の下部電極、該第1の下部電極上に設けられた第1の圧電体、及び該第1の圧電体上に設けられた第1の上部電極を有する前記第1の圧電カンチレバーと、
第2の下部電極、該第2の下部電極上に設けられた第2の圧電体、及び該第2の圧電体上に設けられた第2の上部電極を有する前記第2の圧電カンチレバーと、
前記支持体の上面に設けられ、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極とを電気的に接続する第1の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部に設けられた前記第1の上部電極と電気的に接続される第2の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部に設けられた前記第2の上部電極と電気的に接続される第3の配線と、
を備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記支持部材の母材となる基板の上面に、前記第1及び第2の下部電極の母材となる第1の金属層と、前記第1及び第2の圧電体の母材となる誘電体層と、前記第1及び第2の上部電極の母材となる第2の金属層と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、
前記第2の金属層及び前記誘電体層をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の上部電極と、前記第1及び第2の圧電体とを同時に形成する上部電極及び圧電体形成工程と、
前記第1の金属層をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の下部電極と前記第1乃至第3の配線とを同時に形成する下部電極及び配線形成工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項8】
枠体と、一方の端部が前記枠体と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバーの形成領域に対応する第1の支持部、第2の圧電カンチレバーの形成領域に対応すると共に、第1の支持部とは分離された第2の支持部、及び前記第1の支持部と前記第2の支持部とを接続する第3の支持部を複数有し、前記枠体の厚さよりも薄い厚さとされた支持体と、を備えた支持部材と、
第1の下部電極、該第1の下部電極上に設けられた第1の圧電体、及び該第1の圧電体上に設けられた第1の上部電極を有する前記第1の圧電カンチレバーと、
第2の下部電極、該第2の下部電極上に設けられた第2の圧電体、及び該第2の圧電体上に設けられた第2の上部電極を有する前記第2の圧電カンチレバーと、
前記支持体の上面に設けられ、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極とを電気的に接続する第1の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部に設けられた前記第1の上部電極と電気的に接続される第2の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部に設けられた前記第2の上部電極と電気的に接続される第3の配線と、
を備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記支持部材の母材となる基板の上面に、前記第1及び第2の下部電極の母材となる第1の金属層と、前記第1及び第2の圧電体の母材となる誘電体層と、前記第1及び第2の上部電極の母材となる第2の金属層と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、
前記第1の金属層、前記誘電体層、及び前記第2の金属層をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の圧電カンチレバーを形成する圧電カンチレバー形成工程と、
前記第1及び第2の圧電カンチレバーが形成された前記基板の上面に、前記第2及び第3の配線の形成領域に対応する部分の前記基板の上面を露出すると共に、断面が逆テーパ形状とされた開口部を有したリフトオフ用レジスト膜を形成するリフトオフ用レジスト膜形成工程と、
前記リフトオフ用レジスト膜形成工程後に、前記開口部を介して、前記基板の上面に金属膜を成膜する金属膜形成工程と、
前記リフトオフ用レジスト膜を除去することにより、前記基板の上面に、前記金属膜よりなる前記第2及び第3の配線を形成するリフトオフ工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項9】
前記第1の上部電極の端部に位置する部分の前記第1の圧電カンチレバーの側面を覆う第1の絶縁部材を形成する第1の絶縁部材と、前記第2の上部電極の端部に位置する部分の前記第2の圧電カンチレバーの側面を覆う第2の絶縁部材とを同時に形成する絶縁部材形成工程と、
前記第1の絶縁部材上に配置されると共に、一方の端部が前記第1の上部電極と接続され、他方の端部が前記第2の配線と接続された第4の配線と、前記第2の絶縁部材上に配置されると共に、一方の端部が前記第2の上部電極と接続され、他方の端部が前記第3の配線と接続された第5の配線とを同時に形成する配線形成工程と、を有することを特徴とする請求項7又は8記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項10】
枠体と、一方の端部が前記枠体と一体的に構成され、第1の圧電カンチレバーの形成領域に対応する第1の支持部、第2の圧電カンチレバーの形成領域に対応すると共に、第1の支持部とは分離された第2の支持部、及び前記第1の支持部と前記第2の支持部とを接続する第3の支持部を複数有し、前記枠体の厚さよりも薄い厚さとされた支持体と、を備えた支持部材と、
第1の下部電極、該第1の下部電極上に設けられた第1の圧電体、及び該第1の圧電体上に設けられた第1の上部電極を有する前記第1の圧電カンチレバーと、
第2の下部電極、該第2の下部電極上に設けられた第2の圧電体、及び該第2の圧電体上に設けられた第2の上部電極を有する前記第2の圧電カンチレバーと、
前記支持体の上面に設けられ、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極とを電気的に接続する第1の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第1の支持部に設けられた前記第1の上部電極と電気的に接続される第2の配線と、
前記支持体の上面に設けられ、複数の前記第2の支持部に設けられた前記第2の上部電極と電気的に接続される第3の配線と、
を備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記支持部材の母材となる基板の上面に、金属膜を成膜し、該金属膜をパターニングすることで前記第2及び第3の配線を形成する第2及び第3の配線形成工程と、
前記第2及び第3の配線と前記基板の上面とを覆うと共に、平坦な上面を有した絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層の上面に、前記第1及び第2の下部電極の母材となる第1の金属層と、前記第1及び第2の圧電体の母材となる誘電体層と、前記第1及び第2の上部電極の母材となる第2の金属層と、を順次形成する圧電カンチレバー母材形成工程と、
前記第2の金属層及び前記誘電体層をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の上部電極と、前記第1及び第2の圧電体とを同時に形成する上部電極及び圧電体形成工程と、
前記第1の金属層をエッチングによりパターニングすることで、前記第1及び第2の下部電極と前記第2及び第3の配線とを同時に形成する下部電極及び配線形成工程と、を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項11】
前記第3の支持部に位置する部分の前記絶縁層に、前記第3の支持部に配置された部分の前記第2の配線の上面及び前記第3の配線の上面を露出する開口部を形成する開口部形成工程と、
前記第1の上部電極の端部に位置する部分の前記第1の圧電カンチレバーの側面を覆う第1の絶縁部材と、前記第2の上部電極の端部に位置する部分の前記第2の圧電カンチレバーの側面を覆う第2の絶縁部材とを同時に形成する絶縁部材形成工程と、
前記第1の絶縁部材上に配置されると共に、一方の端部が前記第1の上部電極と接続され、他方の端部が前記開口部から露出された部分の前記第2の配線と接続された第4の配線と、前記第2の絶縁部材上に配置されると共に、一方の端部が前記第2の上部電極と接続され、他方の端部が前記開口部から露出された部分の前記第3の配線と接続された第5の配線とを同時に形成する第4及び第5の配線形成工程と、を有することを特徴とする請求項10記載の圧電アクチュエータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2010−259213(P2010−259213A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106085(P2009−106085)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】