説明

地下茎作物等の収穫機

【課題】フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物を引き抜き搬送コンベアにより挟持引き抜き搬送する収穫機において、フイルムシートを収穫作業の効率を害することなく剥すことが可能で、容易に圃場に広げて乾燥可能な状態とする。
【解決手段】引抜き搬送コンベア6始端部より進行方向後方に位置してフイルムシートを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッター20が設けられていて、収穫機後方に、切断されたフイルムシートを圃場面から剥ぎ取るように案内可能なフイルムシートの誘導ローラー40を設け、誘導ローラー40は水平方向のガイドローラー401と、ガイドローラー401左右端にそれぞれ設けられガイドローラー外径より径大の鍔状ガイド部402とによって構成されている地下茎作物の収穫機を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物や根菜類の茎葉部を挟持し引抜いて収穫する引抜き搬送コンベアを設けた収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の引抜き搬送コンベアを備えた地下茎作物や根菜類の収穫機の従来技術として特許第3469998号公報(従来技術1)の「根菜収穫機の土壌被膜処理装置」が知られている。これには、「引抜き搬送帯(2)の始端がわ下方に土壌皮膜(3)を切開するカッター(4)を取り付け、前記カッター(4)により切開した掘り取り側の土壌皮膜3aを巻き取る巻取リール(5)を装着してある根菜収穫機」に関する記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3469998号公報(従来技術1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フイルムシートで被服された圃場に複数条に植えられた地下茎作物等の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部を設けた収穫機において収穫作業を行う場合、一つの畝に複数条に植えられている作物を一条ずつ掘り取り、収穫した条のフイルムシートを車体走行部で必要以上に踏み潰さないように取り除きながら作業しようとすると、収穫条のフイルムシートを未収穫側から切断分離する必要がある。このため、収穫作業中にフイルムシートを進行方向にシートカッターで切断しながら作業が行われる。
【0005】
従来技術1に開示される根菜収穫機の土壌皮膜処理装置は、マルチカッターによりマルチフイルムを切断したあと、その後方に設けた巻取りリールによって巻き取って回収するものである。
【0006】
フイルムシートを剥した直後では、フイルムシートに地表の水滴や土が付着した状態となっていて、従来技術1のように剥した直後に巻き取りリールで回収すると、水滴や土も同時に巻き取られた状態となり、回収されたフイルムシートを廃棄処理する場合に不都合であった。このため、フイルムシートを剥した後で圃場に一旦放置して乾燥させてから回収することが行われていた。
【0007】
また、巻き取りリールの大きさによっては、巻き取りリールからのフイルムシートの取出し作業が必要となり頻繁に収穫作業が中断され作業効率が悪いという問題があった。
【0008】
このため本発明の目的は、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物や根菜類を引き抜き搬送コンベアにより挟持引き抜き搬送する収穫機において、フイルムシートを収穫作業の効率を害することなく剥すことが可能で、容易に圃場に広げて乾燥可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物等の収穫装置を設けた自走収穫機において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設され圃場に植えられた作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物等の下方部を通過させ周辺の土を膨軟にするとともに根の一部を切断する根切刃と、引抜き搬送コンベア始端部より進行方向後方に位置してフイルムシートを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッターとが設けられていて、収穫機後方には、機体進行とともに切断された前記フイルムシートを圃場面から剥ぎ取るように案内可能なフイルムシートの誘導ローラーが設けてあり、誘導ローラーは機体進行方向と直交する水平方向のガイドローラーと、ガイドローラー左右端にそれぞれ設けられガイドローラー外径より径大の鍔状ガイド部とによって構成されていることを特徴とした地下茎作物の収穫機を提案する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、フイルムシートを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッターと、切断された前記フイルムシートを圃場面から剥ぎ取るように案内可能なフイルムシートの誘導ローラーが収穫機後方に設けてあり、地下茎作物の収穫作業と同時にフイルムシートを圃場面から剥ぎ取ることが可能で、剥ぎ取ったフイルムシートは圃場に広げた状態で置くことができるため、乾燥した後に土等を落として回収できる。また、巻き取り装置等の複雑な機構を組み込む必要が無く、簡単な構成で効率よい作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施した地下茎作物収穫機の側面図
【図2】本発明を実施した地下茎作物収穫機の平面図
【図3】本発明を実施した地下茎作物収穫機の後面図
【図4】地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図
【図5】フイルムシートの剥ぎ取り作業を説明した側面図
【図6】フイルムシート埋め込み体部の作業時の正面断面図
【図7】シートカッター部の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明を実施した地下茎作物収穫機の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく後面図、図4は地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図、図5はフイルムシートの剥ぎ取り作業を説明した側面図、図6はシートカッター部の作業時の正面断面図、図7はシートカッター部の要部側面図を示したものである。
【0013】
この発明の一つの実施形態である地下茎作物の収穫機は、自走可能な車体1と、操縦席2と、操作装置3と、地下茎作物の収穫装置4と、作業者の乗車部5を設けている。自走可能な車体1は、クローラ装置1aにより自走し、操縦席2に座る操縦者の操縦によって走行する。操縦者は、操作装置3を操作して収穫装置4を作動させる。
【0014】
収穫装置4は、後上がりに斜設される引抜き搬送コンベア部6と、引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に設けられる根切刃7と、引抜き搬送コンベア部6に設けられ地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部と地下茎部とを切断分離する茎葉部切断部8と、茎葉部切断部8の下方に設けられる地下茎受け部9と、地下茎部を載置可能に移動させる球根移動体10a及び地下茎部から毛根部と茎を切断する毛根茎切断刃10bを有する毛根切断部10と、切断部貯留コンテナ14と、受け部貯留コンテナ15とを設ける。
【0015】
作業者の乗車部5は座席からなる。この実施例では走行方向と直交する方向に並んだ2つの座席からなり、毛根切断部10の球根移動体10aに隣接して走行方向を向いて設けられる。
【0016】
引抜き搬送コンベア部6は、左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aを前部上流側を下部、後部下流側を上部に位置させ斜めに配設され、左右それぞれの弾性エンドレスベルト6a、6aは後方上部に位置する駆動スプロケットと、前方下部に位置する従動スプロケット間に掛け渡され、対向面は互いに左右から対向して接し前部下方から後部上方に移動しエンドレス回転する。引抜き搬送コンベア部6の先端には、茎葉ガイド13を設けている。
【0017】
引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に根切刃7を設ける。根切刃7は、引抜き搬送コンベア部6のフレームに回動自在に軸支される根切りフレーム7aの先端に走行方向とは直交する方向に掛け渡されてなり、土中の地下茎作物Cの下方部を通過させるとともに前後に揺動させ地下茎周辺の土を膨軟化するとともに根部の一部を切断する。
【0018】
引抜き搬送コンベア部6のフレームに設けられる茎葉部切断部8は、引抜き搬送コンベア部6のフレーム下部に設けられる対向する2つの円形の回転カッター8a、8aからなり、互いに逆回転して、搬送されてくる地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部Lと地下茎部Uとに切断分離する。
【0019】
引抜き搬送コンベア部6の上端部で下流側端部となる位置にエンドレスチェーンコンベアからなる排葉体11を設ける。排葉体11は、エンドレスチェーンコンベアの上流側端部を引抜き搬送コンベア部6の下流側端部と隣接して設け、茎葉部切断部8で切断された茎葉部Lのみを引っ掛けて排葉体11の下流側端部に連設される排葉シュート12から排出する。
【0020】
引抜き搬送コンベア部6始端部より進行方向後方且つ茎葉部の挟持部より未収穫作物側に位置し、作物植付け畝Gを被覆してあるフイルムシートFを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッター20が引抜き搬送コンベア部6を構成する引抜き搬送コンベアフレーム6dに設けられている。また、シートカッター20の未収穫作物側且つシートカッター20の切断位置より後方に位置し、機体進行とともに切断されたフイルムシートFの作物未収穫側端部を土中に連続的に埋め込むフイルムシート埋め込み体21が設けられている。
【0021】
シートカッター20は、進行方向と直交する水平方向のカッター回転軸20aにより回転自在な外周を鋭利に形成された垂直方向の円板で構成されていて、本実施例においては駆動モータ20bにより機体前進速度より速い速度で前進側に強制回転駆動させて、先端外周を土中に貫入させフイルムシートFを切断していくように構成されている。強制駆動させずに自転させることでも切断は可能である。
【0022】
シートカッター20は、引抜き搬送コンベアフレーム6dに対しスイングアーム22により上下左右揺動可能に設けられている。スイングアーム22の一端の引抜き搬送コンベアフレーム6dへの連結部は、垂直方向の左右回動軸22aと水平方向の上下回動軸22bにより上下左右に揺動する揺動部材22cを介して連結されていてスイングアーム22は上下左右へ揺動可能であり、他端にはシートカッター20が設けられている。
【0023】
また、スイングアーム22の前記揺動部材22cとシートカッター20との間には、スイングアーム22を下方に付勢するスプリング24が設けてあり、スプリング24は引抜き搬送コンベアフレーム6dとスイングアーム22に架け渡されたサポートロッド23に挿入されていて、サポートロッド23はスイングアーム22に対し一端が軸方向にスライド可能であり、スライドすることでスプリング24が伸縮しスイングアーム22を付勢している。これによりシートカッター20は、圃場の凹凸や車体のローリングに対し追従しフイルムシートFを切断していく。
【0024】
スイングアーム22のシートカッター回転軸であるカッター回転軸20aの後方側には、フイルムシート埋め込み体21を保持するサポートアーム21eがボルトにより固着されている。フイルムシート埋め込み体21は、埋め込みディスク21aとスクレーパー21dにより構成されていて、埋め込みディスク21aは、垂直方向の円板で、該円板側面には円板の回転軸21cと同心で且つ円板外径より小径のフランジ部21bが設けられている。サポートアーム21eには埋め込みディスク21aの回転軸21cが車体進行方向と直交する水平方向に固着され設けられ、この回転軸21cに埋め込みディスク21aが回転自在に保持されている。円板側面のフランジ部21bは、畝G表面に当接しフイルムシートFの埋め込み深さを一定に保つとともに埋め込み部を鎮圧する。
【0025】
埋め込みディスク21aは、シートカッター20で切断された後のフイルムシートFの端部を土中に押し込み埋めていく作用のため、シートカッター20のカッター回転軸20aより後方にフイルムシート埋め込み体21の回転軸21cが位置しているとともに、シートカッター20の未収穫作物側に位置している。
【0026】
サポートアーム21eにはスクレーパー21dが固着されていて、回転する埋め込みディスク21aに付着した土を掻き落す。
【0027】
フイルムシート埋め込み体21を保持するサポートアーム21eのスイングアーム22への固着部は、フイルムシート埋め込み体21をシートカッター20に対し上下調整可能とするために、上下方向に回動して固着可能に固着ボルト部を設けている。
【0028】
引抜き搬送コンベア部6前方端部の茎葉部挟持始端部にはフイルムシート押さえ部材30が設けられていて、引抜き搬送コンベア部6で挟持され上方に引抜かれた地下茎作物により持ち上げられようとするフイルムシートFを押さえ込む。
【0029】
フイルムシート押さえ部材30は、引抜き搬送コンベア部6の茎葉部挟持始端部の挟持位置両側に前後2個設けられた押さえローラー30aで構成されていて、押さえローラー30aはそれぞれ引抜き搬送コンベアフレーム6dにローラーアーム30bにより上下回動自在に保持されている。ローラーアーム30bの一端は引抜き搬送コンベアフレーム6dに進行方向と直交する回動軸で回動自在に保持され、他端に押さえローラー30aが回転自在に保持されている。押さえローラー30aが上下動することで引抜き搬送コンベアフレーム6dが上下した場合や畝Gの凹凸に対応追従しフイルムシートFを押さえ込む。本発明の押さえローラー30aは自重により下方に垂れ下がりフイルムシートFを押さえ付けているが、スプリング等で下方に付勢した構造としても良い。
【0030】
引抜き搬送コンベア部6の前方には、茎葉挟持高さ位置を安定させるためのゲージ輪31が設けてあり、畝G上面を転動しながら高さを安定させるとともに、フイルムシートFの浮き上がりをフイルムシート押さえ部材30とともに防止する。フイルムシート押さえ部材は、前工程で切断されたフイルムシートF端部が風などで捲れあがると押さえることができないため、引抜き搬送コンベア部にフイルムシートFが巻き込まれる等の不具合が発生する。このため前工程で埋め込みディスク21aにより端部を土中に埋め込むことにより捲れの防止がされるとともにフイルムシートFが張られた状態となっているためシートカッター20による切断が確実に行われ切り残しが発生しない。
【0031】
図6は、作業時の畝Gの正面断面図を示したもので、畝Gに複数条植えられた地下茎作物Cの条間部をシートカッター20とフイルムシート埋め込み体21が通過してフイルムシートFが切断されるとともに土中にフイルムシートF切断端部が埋め込まれて行く。シートカッター20で切断された未収穫側のフイルムシートF端部は、シートカッター20の後方で且つ未収穫側にオフセットして位置するフイルムシート埋め込み体21の埋め込みディスク21aにより土中に引き込まれて埋め込まれる。埋め込みディスク21a側面には埋め込みディスク21aの回転軸21cと同心で且つ埋め込みディスク21a外径より小径のフランジ部21bが設けられ、このフランジ部21bにより埋め込み深さが一定となるとともに、埋め込み部を鎮圧しフイルムシートFの抜けが防止されフイルムシートF端部が埋め込まれる。
【0032】
地下茎受け部9は、この実施形態ではベルトコンベアからなり、走行方向とは直交する方向へ平行して隣接される球根移動体10aの速度より遅い速度で移動する。地下茎受け部9の終端側には、受け部貯留コンテナ15が載置されていて搬送された地下茎部Uが収容される。
【0033】
一方、毛根接断部10が地下茎受け部9に隣接して平行に設けられていて、作業者が地下茎受け部9に載置された地下茎部Uを取出して毛根切断部10に供給すると、毛根茎切断刃10bにより毛根部Rと茎S側を一定の長さに切断することが可能となっている。
【0034】
毛根切断部10の球根移動体10aは、ベルトコンベアからなる地下茎受け部9に隣接して平行である横長のフレームの略中央に設けられたチェーンコンベアにチェーンコンベアの進行方向に整列して多数のバケットを取り付けてなる。
【0035】
毛根切断部10の毛根茎切断刃10bは、チェーンコンベア101の下流側の左右に設けられる回転円形刃からなる毛根カッター106と茎カッター107からなる。毛根カッター106は、バケットの根置板側で根置板側の外側に隣接して設けられ、茎カッター107より下流側にずれて設けられる。茎カッター107は、バケットの補助板側で補助板側の外側に設けられ、毛根カッター106より上流側にずれて設けられる。毛根カッター106の位置は、他の実施例ではチェーンコンベア101の進行方向の右側に設けてもよいがそのときは根置板も同じ側に設けられる。
【0036】
切断部貯留コンテナ14は、毛根切断部10の球根移動体10aの最下流側の下方に載置される上面が開放された箱状体からなり、車体1に折畳自在に設けられ開いて水平状態で支持される載置板16に着脱自在に載置される。
【0037】
受け部貯留コンテナ15は、ベルトコンベアからなる地下茎受け部9の最下流側の下方に載置される上面が開放された箱状体からなり、車体1に折畳自在に設けられ開いて水平状態で支持される載置板16に着脱自在に載置される。載置板16は、走行方向の横方向へ開閉自在の折畳部16aを設けて載置板16の幅を拡張可能である。
【0038】
収穫機後方の作業者の乗車部(座席)下方には、機体進行とともに切断されたフイルムシートFを圃場面から剥ぎ取るように案内可能なフイルムシートFの誘導ローラー40が設けてあり、誘導ローラー40は機体進行方向と直交する水平方向のガイドローラー401と、ガイドローラー401左右端にそれぞれ設けられガイドローラー外径より径大の鍔状ガイド部402とによって構成されている。図5に示すように、機体前方のシートカッター20により切断された帯状のフイルムシートFをガイドローラー401に掛け、後方端を圃場に固定すると、収穫作業により機体が進行することによりフイルムシートFがガイドローラー401により地面から持ち上げられ剥ぎ取られていく。鍔状ガイド部402は、左右にフイルムシートFが偏ったときのストッパーの働きをするとともに、フイルムシートFを収穫が終了した畝側に誘導して置きたいときに側方にフイルムシートを誘導する時のガイドに有効である。
【0039】
次にこの発明の1つの実施形態である地下茎作物の収穫機の作動について説明する。操縦席2に座った操縦者の操縦によって走行可能な車体1はクローラ装置1aを駆動させ走行し、操縦者は操作装置3を操作して収穫装置5を作動させる。収穫物を車上で処理する作業者は、座席5に走行方向に向かって座る。この実施例では左右2つの座席5を設けており2人での作業が可能である。
【0040】
車体1を矢印A方向に走行させ収穫装置4を作動させると、引抜き搬送コンベア部6の前部に設けられ土中に位置する根切刃7が前後に揺動しながら地下茎作物Cの地下茎部U近傍の土を膨軟化させるとともに毛根部Rの下方を切る。地下茎作物Cの茎葉部Lは茎葉ガイド13によってガイドされ、回転する引抜き搬送コンベア部6の左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aの対向面間に挟まれて引き抜かれ、挟まれたまま斜め上後方へ搬送される。
【0041】
斜め上後方へ搬送される地下茎作物Cは、途中に設けられた互いに逆回転する茎葉部切断部8のカッター8a間に入り茎葉部Lと地下茎部Uに切断される。切断された地下茎部Uは、そのまま下に落下して地下茎受け部9であるベルトコンベア上に落ちる。地下茎部Uを切り離した茎葉部Lは、そのまま斜め上方へ搬送され、排葉体11であるエンドレス回転チェーン11に引っ掛かり、その下流側の排葉シュート12上に落下して圃場に排出される。
【0042】
地下茎受け部9に落下した地下茎部Uは、ベルトコンベアの移動によってゆっくり移動するため同じ場所に次々落ちてくる地下茎部Uが溜まることはない。ゆっくり移動する地下茎部Uは、乗車部である座席5に座る2人の作業者によって毛根切断部10のバケット上に供給、載置される。載置されたそれぞれの地下茎部Uは、チェーンコンベア101の移動により毛根切断刃10bに至ると、毛根部Rと茎S部が一定の長さに揃えられて切断される。
【0043】
茎葉部Lと毛根部Rを切断された球根部Bは、バケット102に載ったまま搬送され下流側にある切断部貯留コンテナ13に落下して貯留される。
【0044】
地下茎受け部9に落下した地下茎部のうちベルトコンベアの移動中に作業者に取られなかった地下茎部は、ベルトコンベアの下流側下方に位置する受け部貯留コンテナ14に落下して貯留される。受け部貯留コンテナ14に落下した未処理の地下茎部は、掘り上げ作業終了後、再度毛根処理部10のみを作動させて処理してもよく、また別の時期、別の場所という別工程で毛根等の除去の処理をすることも可能である。
【0045】
フイルムシートFが張られた畝の条間部をシートカッター20で切断するとともに、その未収穫側の先端部を土中に埋め込んで行くため、フイルムシート押さえ部材30が確実に次工程で作用しフイルムシートFの浮き上がりを防止し、また、フイルムシートFが張られた状態となるためシートカッター20の切り残しの発生が無く効率よく作業を行うことができる。
【0046】
シートカッター20で切断された帯状のフイルムシートFは、機体後方のガイドローラー401に掛けられるとともに、後方端を圃場に固定すると、収穫作業により機体が進行することによりフイルムシートFがガイドローラー401により地面から持ち上げられて剥ぎ取られるとともに、圃場面にひろげられた状態で置かれていく。これにより、圃場面の水分等が付着したフイルムシートFは乾燥され、回収作業も容易になり廃棄処理も容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、フイルムシートで被覆された畝に植えられたにんじんや大根等の根菜類や、ニンニク、タマネギ、ユリ根等の地下茎作物、特にニンニクを走行車体により走行しつつ畑より抜き取り収穫する地下茎作物の収穫機に利用することができる。走行可能な車体1は、操縦席2を設けていない歩行型の収穫機であっても本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 走行可能な車体
1a クローラ装置
2 操縦席
3 操作装置
4 収穫装置
5 作業者の乗車部(座席)
6 引抜き搬送コンベア部
6a 弾性エンドレスベルト
6d 引抜き搬送コンベアフレーム
7 根切刃
7a 根切フレーム
8 茎葉部切断部
8a カッター
9 地下茎受け部
10 毛根切断部
10a 球根移動体(エンドレスチェーンコンベア)
10b 毛根茎切断刃
106 毛根カッター
107 茎カッター
11 排葉体(エンドレスチェーンコンベア)
12 排葉シュート
13 茎葉ガイド
14 切断部貯留コンテナ
15 受け部貯留コンテナ
16 載置板
16a 載置板の折畳部
20 シートカッター
20a カッター回転軸
20b 駆動モータ
21 フイルムシート埋め込み体
21a 埋め込みディスク
21b フランジ部
21c 回転軸
21d スクレーパー
21e サポートアーム
22 スイングアーム
22a 左右回動軸
22b 上下回動軸
22c 揺動部材
23 サポートロッド
24 スプリング
30 フイルムシート押さえ部材
30a 押さえローラー
30b ローラーアーム
31 ゲージ輪
40 誘導ローラー
401 ガイドローラー
402 鍔状ガイド部
C 地下茎作物
U 地下茎部
R 毛根部
B 球根部
S 茎
L 茎葉部
F フイルムシート
G 畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物等の収穫装置を設けた自走収穫機において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設され圃場に植えられた作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物等の下方部を通過させ周辺の土を膨軟にするとともに根の一部を切断する根切刃と、引抜き搬送コンベア始端部より進行方向後方に位置してフイルムシートを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッターとが設けられていて、収穫機後方には、機体進行とともに切断された前記フイルムシートを圃場面から剥ぎ取るように案内可能なフイルムシートの誘導ローラーが設けてあり、誘導ローラーは機体進行方向と直交する水平方向のガイドローラーと、ガイドローラー左右端にそれぞれ設けられガイドローラー外径より径大の鍔状ガイド部とによって構成されていることを特徴とした地下茎作物の収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−193857(P2010−193857A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45735(P2009−45735)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】