説明

地中埋設管補修方法

【課題】地中埋設管を簡単な作業で容易に補修することができる地中埋設管補修方法を提供する。
【解決手段】弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を、先端側から結合手段によって結合して管状補修材1を順次形成し、この管状補修材1の先端側を、地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材1を順次形成しながら、この管状補修材1を前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水管や内部にケーブルが布設されている保護管等の地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されている管(地中埋設管)の補修方法として、地中埋設管の内面に筒状ライニング材を固定して補修する方法が知られている。この方法は、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂或いは常温硬化性樹脂を含浸または塗布した可撓性のある材料で形成された筒状ライニング材を管路の内部に配置し、この筒状ライニング材を水圧或いは空気圧等で膨らませて管路の内面に押し付け、この筒状ライニング材内に、高温の温水、蒸気を通し、或いは紫外線を照射することにより、硬化性樹脂を硬化させてライニングするものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−4853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記筒状ライニング材を用いた地中埋設管補修方法は、付帯装置が大掛かりとなり、また作業工程も多く面倒な作業となっている。また、前記地中埋設管の内部に遮るものが無ければ適用できるが、たとえば電力線や電話線等のケーブルが、前記地中埋設管の内部に布設されている場合、ケーブルが邪魔になって適用することができず、適用しようとすれば、前記地中埋設管からケーブルを取り除かなければならず、非常に面倒な作業を強いられる。
【0004】
本発明の目的は、地中埋設管を簡単な作業で容易に補修することができる地中埋設管補修方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、地中埋設管を簡単な作業で容易に補修することができるとともに地中埋設管の内部にケーブルが布設されている場合であっても、ケーブルが布設されたままの状態で補修することができる地中埋設管補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、管状補修材を用いて地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、前記管状補修材は、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段を備えた構造になっており、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、前記管状補修材は、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段を備えた構造になっており、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、管状補修材を用いて地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の端部同士を先端側から結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1,2,3または4に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、前記管状補修材の周方向および/または軸方向に形成されたリブであることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1,2,3,4,5または6に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を前記結合手段によって結合する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部にシーリング剤を塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の地中埋設管補修方法によれば、前記円周方向に湾曲した長尺の弾性基材の湾曲方向の端部同士を、前記結合手段によって結合して形成される管状補修材が用いられ、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、大掛かりな付帯装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の地中埋設管補修方法によれば、前記円周方向に湾曲した長尺の弾性基材の湾曲方向の端部同士を、前記結合手段によって結合して形成される管状補修材が用いられ、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、大掛かりな装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管の補修を簡単な作業で容易に行うことができるとともに、前記地中埋設管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなく、前記地中埋設管の補修を行うことができる。
【0015】
請求項3に記載の地中埋設管補修方法によれば、帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の端部同士を先端側から結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、大掛かりな付帯装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の地中埋設管補修方法によれば、帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する方法をとるので、大掛かりな装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管の補修を簡単な作業で容易に行うことができるとともに、前記地中埋設管の内部にケーブルが布設されていてもケーブルに邪魔されることなく、前記地中埋設管の補修を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の地中埋設管補修方法によれば、請求項1,2,3または4に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されているので、前記地中埋設管の内周面と、この地中埋設管内へ挿入した前記管状補修材との接触面積が小さくなり、前記管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、前記管状補修材を前記地中埋設管内へ挿入しこの地中埋設管の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0018】
請求項6に記載の地中埋設管補修方法によれば、請求項5に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、前記管状補修材の周方向および/または軸方向に形成されたリブであるので、前記地中埋設管の内周面と、この地中埋設管内へ挿入した前記管状補修材との接触面積が小さくなり、前記管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、前記管状補修材を前記地中埋設管内へ挿入しこの地中埋設管の他方の開口部側へ容易に移動させることができるとともに、前記弾性基材の表面に形成されたリブが、前記管状補修材の周方向および/または軸方向の強度を向上させることになり、その分前記弾性基材の肉厚を薄くすることができ、前記管状補修材の軽量化と材料費の削減を図ることができる。
【0019】
請求項7に記載の地中埋設管補修方法によれば、請求項1,2,3,4,5または6に記載の前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を前記結合手段によって結合する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部にシーリング剤を塗布するようにしたので、前記管状補修材を構成する弾性基材の結合された端部間からの水漏れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る地中埋設管補修方法を実施するための最良の形態の一例について説明する。
図1乃至図3は本発明に係る地中埋設管補修方法で使用する管状補修材の一例を示す図であり、図1は本例の管状補修材の斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3は図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図である。
【0021】
本例の管状補修材1は、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材2で構成されている。この弾性基材2は、湾曲方向の端部3,4同士を結合して前記管状補修材1を形成する結合手段5を備えた構造になっている。
【0022】
前記管状補修材1を形成する弾性基材2は、プラスチック、金属等で形成されている。この弾性基材2にあっては、本例では湾曲方向の前記端部3,4が開いた状態、すなわち断面略C字状に形成されており(図3)、この断面略C字状の弾性基材2aを、径方向の弾発力に抗して縮径させ、前記端部3,4同士を前記結合手段5により結合して前記管状補修材1を形成している。
【0023】
前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5にあっては、本例では、一方の端部3の表面側に軸方向に沿って形成された係止突起6と、他方の端部4の裏面側に軸方向に沿って形成され前記係止突起6に径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止する係止突起7とから構成されている。そして、略C字状に形成された前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4を径方向の弾発力に抗して縮径させ、前記端部3,4に形成された前記係止突起6と前記係止突起7を径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止させると、縮径させた前記弾性基材2aの拡径方向への復元力により、前記係止突起6と前記係止突起7とがしっかりと噛み合い、前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4が結合して管状補修材1が形成されるようになっている。
【0024】
前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5は、前記構成に限定されるものでないことはもちろんである。
【0025】
前記管状補修材1を構成する弾性基材2aの表面には、多数の突起8が形成されている。本例では、前記突起8は、前記管状補修材の周方向および軸方向に形成されたリブ9,10となっている。前記周方向のリブ9と前記軸方向のリブ10にあっては、前記周方向のリブ9よりも前記軸方向のリブ10の方が高くなるように形成されている(図2)。本例では、前記突起8は、前記周方向のリブ9と前記軸方向のリブ10となっているが、前記周方向のリブ9と前記軸方向のリブ10の何れか一方であってもよい。
【0026】
また、前記突起8は、他の構成となっていてもよい。図4は前記弾性基材2の表面に形成される突起8の他例を示す管状補修材1の平面図であり、同図に示すように、前記突起8は、前記弾性基材2aの表面に所定間隔で多数突設された、略半球状の突起11であってもよい。
【0027】
図5乃至図7は本発明に係る地中埋設管補修方法で使用する管状補修材の他例を示す図であり、図5は本例の管状補修材の斜視図、図6は図5のB−B線拡大断面図、図7は図5に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図である。
【0028】
本例の管状補修材1も、前記図1乃至図3に示す管状補修材と同様に、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材2で構成されている。この弾性基材2は、湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5を備えた構造になっている。
【0029】
前記管状補修材1を構成する弾性基材2は、プラスチック、金属等で形成されている。この弾性基材2にあっては、本例では、前記湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態に形成されており(図7)、このように形成された弾性基材2bを、径方向の弾発力に抗して拡径させ、前記湾曲方向の端部3,4同士を前記結合手段5によって結合して前記管状補修材1を形成している。
【0030】
前記弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5にあっては、本例では、前記一方の端部3の端面に軸方向に沿って形成された係合突条12と、前記他方の端部4の端面に軸方向に沿って形成され前記係合突条12が係合する係合溝13とから構成されている。そして、径方向に重なり合った前記弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4を、径方向の弾発力に抗して拡径させ、前記一方の端部3の端面に形成された前記係合突条12を、前記他方の端部4の端面に形成された前記係合溝13に係合させると、拡径させた前記弾性基材の縮径方向への復元力により前記係合突条12が前記係合溝13にしっかりと係合し、前記弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4同士が結合して前記管状補修材1が形成されるようになっている。
その他の構成にあっては、前記図1乃至図3に示す管状補修材と同様の構成になっている。
【0031】
つぎに、前記のように構成された管状補修材1を使用して地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法を、本発明に係る地中埋設管補修方法の第一例として図8乃至図11に基づいて説明する。
【0032】
図8は地中埋設管の一方の開口部が開口するマンホール内へ前記管状補修材1を構成する弾性基材2を挿入する工程を示す縦断面図、図9は地中埋設管の一方の開口部が開口するマンホール内へ挿入した前記弾性基材2の湾曲内部へ、前記弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間からケーブルを入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を前記結合手段5により結合して管状補修材1を形成する工程を示す説明図、図10は前記地中埋設管16の内部へ一方の開口部から挿入した前記管状補修材1を、前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させる工程を示す横断面図、図11は前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した前記管状補修材1を固定した状態を示す縦断面図である。
【0033】
本例では、内部にケーブルが布設されている地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法について説明する。図に示すように、地面14の地中に、内部にケーブル15が布設されている地中埋設管16が、所定間隔で垂直に立設するマンホール17a,17bで区切られた状態で埋設されている。
【0034】
このような地中埋設管16を補修するにあたり、図8に示すように、まず前記地中埋設管16の一方の開口部が開口するマンホール17a内へ、管状補修材1を構成する長尺の弾性基材2を挿入し、前記マンホール17a内で、図9に示すように、前記弾性基材2の湾曲内部へこの弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル15を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を、先端側から前記結合手段5により結合して管状補修材1を順次形成する。
【0035】
前記のようにして管状補修材1を形成する際に、結合する前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4にシーリング剤を塗布することが好ましい。前記弾性基材2の端部3,4にシーリング剤を塗布することにより、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲方向の端部3,4の間からの水漏れを防止することができる。
【0036】
つぎに、前記のようにして形成した前記管状補修材1の先端側を、図10に示すように、前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入した後、管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル15を入れて、これら端部3,4同士を、前記マンホール17a内で、後端側へ向かって前記結合手段5により順次結合して、内部に前記ケーブル15を通した状態の管状補修材1を形成しながら、前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入した前記管状補修材1を、他方の開口部側へ移動させ、内部に前記ケーブル15を通した状態で前記管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。
【0037】
前記管状補修材1の移動は、この管状補修材1の先端部に取り付けた牽引用ロープ18を、前記地中埋設管16の他方の開口部側から引っ張ることにより行う。前記牽引用ロープ18で前記管状補修材1を引っ張るときに、前記地中埋設管16内における前記管状補修材1の移動を容易にするため、必要に応じて前記地中埋設管16の内周面に滑剤を塗布してもよい。
【0038】
また、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の表面には、多数の突起8が形成されているとよい。前記管状補修材1を構成する弾性基材2の表面に、多数の突起8が形成されていると、前記地中埋設管16の内周面と、前記地中埋設管16内へ挿入した前記管状補修材1との接触面積が小さくなり、前記管状補修材1を前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さいので、前記管状補修材1を前記地中埋設管16内へ挿入し、この地中埋設管16の他方の開口部側へ容易に移動させることができるものとなる。
【0039】
本例では、前記突起8が前記管状補修材1の周方向および軸方向に形成された前記リブ9,10になっているので、これらリブ9,10により前記管状補修材1の周方向および軸方向の強度を向上させることができるとともに、前記周方向のリブ9よりも前記軸方向のリブ10の方が高くなるように形成されているので、前記管状補修材1を前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させたときの摩擦抵抗が小さく、前記管状補修材1を前記地中埋設管16内へ挿入し、この地中埋設管16の他方の開口部側へ容易に移動させることができる。
【0040】
前記のように、前記地中埋設管16内へ挿入した前記管状補修材1を前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させ、内部に前記ケーブル15を通した状態で前記管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した後、図11に示すように、前記地中埋設管16を適宜の固定手段19により前記地中埋設管16に固定する。前記固定手段19としては、前記地中埋設管16と前記管状補修材1との間に、たとえばエポキシ樹脂やモルタル等を注入して固定する。このようにして内部にケーブル15が布設されている地中埋設管16の補修が終了する。
【0041】
このようにすることにより、大掛かりな装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管16の補修を簡単な作業で容易に行うことができるとともに、前記地中埋設管16の内部に前記ケーブル15が布設されていてもこのケーブル15に邪魔されることなく、前記地中埋設管16の補修を行うことができる。
【0042】
以上前記地中埋設管16に前記ケーブル15が布設されている場合の地中埋設管補修方法について説明したが、前記地中埋設管16に前記ケーブル15が布設されていない場合であっても、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ前記ケーブル15を入れる工程を除き、前記方法と同様にして前記地中埋設管16の補修を行う。すなわち、特に図示しないが、前記マンホール17a内へ、管状補修材1を構成する長尺の弾性基材2を挿入し、前記マンホール17a内で、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を、先端側から前記結合手段5によって結合して管状補修材1を順次形成する。そして、前記管状補修材1の先端側を、前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入した後、前記マンホール17a内で、管状補修材1を構成する弾性基材2の後端側へ向かって管状補修材1を順次形成しながら、この管状補修材1を前記地中埋設管16の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。そして、前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した前記管状補修材1を、前記固定手段19により固定し、前記地中埋設管16の補修が終了する。
【0043】
このようにすることにより、前記地中埋設管16の補修を簡単な作業で容易に行うことができる。
【0044】
以上説明した第一例の地中埋設管補修方法では、前記管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する際、前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入した前記管状補修材1の移動は、前記管状補修材1の先端部に取り付けた牽引用ロープ18を他方の開口部側から引っ張ることにより行っているが、他の方法として、前記地中埋設管16内における前記管状補修材1の移動をより一層容易にするものとして、先端部を円錐形状とする管状ガイド体を使用するとよい。以下、管状ガイド体を使用した管状補修材1の移動方法を図12乃至図18に基づいて説明する。
【0045】
図12は管状ガイド体の一例を示す斜視図、図13は図12に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図、図14は図12に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図、図15は管状ガイド体が接続される管状補修材の斜視図、図16は管状ガイド体を管状補修材に接続した状態を示す縦断面図、図17は管状ガイド体に牽引用紐を連結した状態を示す斜視図、図18は管状ガイド体を使用し、管状補修材を挿入した地中埋設管の他方の開口部から牽引用紐を引っ張って管状補修材を移動させる状態を示す説明図である。
【0046】
本例の管状ガイド体20は、図12乃至図14に示すように、前記管状補修材1よりもやや大径の本体部20aの先端部に、先端方向に向かって縮径となる円錐部20bを有する形状になっており、軸方向に半割状態で2分割された2つの分割部材21,22で構成されている。前記2つの分割部材21,22には、分割面23,24に、前記2つの分割部材21,22の分割面23,24同士を結合して前記管状ガイド体20を形成する結合手段25と、この結合手段25により前記2つの分割部材21,22が結合されて形成された管状ガイド体20の後部開口端部を前記管状補修材1の開口端部に接続する接続手段26とを備えた構造になっている。
【0047】
前記管状ガイド体20を構成する2つの分割部材21,22は、プラスチック、金属等で形成されるが、本例ではプラスチックで形成されている。また、前記2つの分割部材21,22同士を結合して前記管状ガイド体20を形成する前記結合手段25にあっては、本例では、前記一方の分割部材21の分割面23の長手方向に形成された嵌合溝部27と、前記他方の分割部材22の分割面24に長手方向に形成され、前記嵌合溝部27に嵌合する突条部28とから構成されている。ただし、前記結合手段25は、前記嵌合溝部27と前記突条部28とから構成されるものに限定されるものではない。
【0048】
前記結合手段25を構成する前記嵌合溝部27は、溝開口部より溝奥部が幅広になっており、また前記突条部28は、その頭部が前記嵌合溝部27の溝形に合わせてこの嵌合溝部27の溝開口部より幅広になっており、前記嵌合溝部27内へ前記突条部28をプラスチックの材質変形を利用して押し込み嵌合して結合するようになっている。
【0049】
また、前記結合手段25により前記2つの分割部材21,22が結合されて形成された管状ガイド体20の後部開口端部を前記管状補修材1の開口端部に接続する前記接続手段26にあっては、本例では後部開口端部の内周面に周方向に沿って形成された環状突条29で構成されている。一方、前記管状ガイド体20が接続される管状補修材1にあっては、図15に示すように、その先端側の開口端部に、前記管状ガイド体20の後部開口端部との接続手段30を備えている。この接続手段30は、本例では、前記管状補修材1の先端側の開口端部外周面に周方向に沿って形成され、前記管状ガイド体20の後部開口端部に形成された前記環状突条29が嵌合する環状嵌合溝31で構成されている。そして、前記管状ガイド体20の後部開口端部を、弾性変形によって若干拡径させながら、前記管状補修材1の先端側の開口端部外周へ挿入した後、前記管状ガイド体20の後部開口端部に形成された前記環状突条29を、前記管状補修材1の先端側の開口端部に形成された前記管状嵌合溝31に嵌合させて、前記管状ガイド体20と前記管状補修材1とが接続されるようになっている(図16参照)。
【0050】
また、前記管状ガイド体20の本体部20aの先端部に有する前記円錐部20bには、紐通し穴32が設けられており、牽引用紐33を連結できるようになっている
前記管状ガイド体20は、つぎのようにして使用される。まず、前記地中埋設管16の一方の開口部が開口する前記マンホール17a内で、前記管状ガイド体20を構成する一方の分割部材21の内部へ分割開口部から前記ケーブル15を入れた後、前記分割部材21の分割面23へ他方の分割部材22の分割面24を前記結合手段25により結合して、内部に前記ケーブル15を通した状態の管状ガイド体20を形成する。
【0051】
つぎに、前記マンホール17a内において、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へこの弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル15を入れた後、前記弾性基材2の湾曲方向の端部3,4同士を前記結合手段5により結合して内部に前記ケーブル15を通した状態の管状補修材1を形成した後、図16に示すように、この管状補修材1の先端側の開口端部と前記管状ガイド体20の後部開口端部とを前記接続手段26,30で接続し、この状態で前記管状ガイド体20を先頭にして前記管状補修材1を前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入する。
【0052】
この後は、前記第一例で説明したように、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル15を入れて、前記端部3,4同士を、前記マンホール17a内で、後端側へ向かって前記結合手段5により順次結合して、内部に前記ケーブル15を通した状態の管状補修材1を形成しながら、この管状補修材1を前記地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する。
【0053】
このように、前記管状ガイド体20を先頭にして前記管状補修材1を前記地中埋設管16内へ一方の開口部から挿入すると、前記地中埋設管16に曲線部分があっても、前記管状ガイド体20の先端部に有する前記円錐部20bが、前記地中埋設管16の曲線部分に応じて前記管状ガイド体20に接続されている前記管状補修材1を曲がり方向へガイドするので、前記地中埋設管16内における前記管状補修材1の移動を一層容易にすることができるものとなる。
【0054】
前記地中埋設管16内へ挿入した前記管状補修材1を、前記地中埋設管16の他方の開口部から引っ張って移動させる場合、図17に示すように前記管状ガイド体20の円錐部20bに設けられた紐通し穴32に前記牽引用紐33を連結し、図18に示すように、前記地中埋設管16の他方の開口部側から前記牽引用紐33を引っ張って、前記地中埋設管16内に一方の開口部から挿入した前記管状補修材1を移動させることができる。
【0055】
以上説明した前記管状ガイド体20は、前記地中埋設管16に前記ケーブル15が布設されていない場合にも同様にして使用することができる。
【0056】
つぎに、本発明に係る地中埋設管補修方法の第二例について、図19乃至図21に基づいて説明する。ただし、必要に応じて第一例で使用した図面を引用するものとする。図19はマンホールの地上の部分に設置されたロールスタンドに回転自在に支持されたロールから帯状の弾性基材を引き出してマンホール内へ挿入する工程を示す縦断面図、図20は図19に示す帯状の弾性基材を示す拡大斜視図、図21は帯状の弾性基材を加熱手段により加熱した後、加熱した帯状の弾性基材を成形機によって幅方向に湾曲して湾曲方向の両端部が開いた略C字形状の弾性基材を形成する工程を示す説明図である。
【0057】
図19に示すように、第一例と同様、地面40の地中に内部にケーブル41が布設されている地中埋設管42が所定間隔で垂直に立設するマンホール43a,43bで区切られた状態で埋設されている。
【0058】
本例では、帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して、第一例で説明した図3に示す弾性基材2aを形成した後、第一例と同様、前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して、図1および図2に示す管状補修材1を形成し、この管状補修材1を使用して前記地中埋設管42の補修を行う。以下詳しく説明する。
【0059】
前記帯状の弾性基材2は、前記マンホール43aの地上の部分に設置されたロールスタンド44に巻回されて、ロール45を形成している。このロール45は、前記ロールスタンド44に回転自在に支持されている。
【0060】
前記ロール45を形成する帯状の弾性基材2の幅方向の端部3a,4aには、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して形成した弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5を備えている。この結合手段5にあっては、前記帯状の弾性基材2の幅方向における一方の端部3aの一面側(後述の突起8が形成されている側)に軸方向に形成された係止突起6と、前記帯状の弾性基材2の幅方向における他方の端部4aの他面側に軸方向に沿って形成され、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して前記弾性基材2aを形成したときに、この弾性基材2aの湾曲方向の一方の端部3となる前記端部3aに形成された係止突起6に径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止する係止突起7とから構成されている。そして、帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して略C字状に形成した前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4を、径方向の弾発力に抗して縮径させ、前記端部3,4に形成された前記係止突起6と前記係止突起7を径方向に向かい合って周方向に噛み合うように係止させると、縮径させた前記弾性基材2aの拡径方向への復元力により、前記係止突起6と前記係止突起7とがしっかりと噛み合い、前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4が結合して図1および図2に示す管状補修材1が形成されるようになっている。
【0061】
本例では、前記帯状の弾性基材2の一面側に、多数の突起8が形成されている。前記突起8は、前記帯状の弾性基材2の幅方向および長手方向に形成されたリブ9a,10aとなっている。このリブ9a,10aは、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して、管状補修材1を構成する前記弾性基材2aを形成したときに、図1乃至図3に示す、前記管状補修材1の周方向および軸方向に形成されたリブ9,10となる。
【0062】
前記幅方向のリブ9aと前記長手方向のリブ10aにあっては、前記幅方向のリブ9aよりも前記長手方向のリブ10aの方が高くなるように形成されており、前記管状補修材1の周方向に形成されることになる前記リブ9よりも、前記管状補修材1の軸方向に形成されることになる前記リブ10の方が高くなるように形成されている。本例では、前記突起8が前記幅方向のリブ9aと前記長手方向のリブ10aとなっているが、前記幅方向のリブ9aと前記長手方向のリブ10aのいずれか一方であってもよい。
【0063】
前記地中埋設管42の補修にあたっては、まず前記マンホール43aの地上の部分に設置されたロールスタンドに支持されているロール45から、帯状の弾性基材2を引き出し、これを前記マンホール43a内へ挿入する。そして、前記マンホール43a内で、図21に示すように、加熱手段46により前記帯状の弾性基材2を加熱する。
【0064】
つぎに、前記加熱手段46により加熱された帯状の弾性基材2を、幅方向に湾曲して、図3に示す、湾曲方向の端部3,4が開いた略C字状の弾性基材2aを形成する。前記帯状の弾性基材2の湾曲は、成形機47によって行う。この成形機47は、長手方向の一端部(前記加熱手段46側)が緩やかに湾曲しており、この長手方向の一端部から他端側へ向かって幅方向の両端部が徐々に立ち上がるようにして形成されて、幅方向の断面形状において、長手方向の一端部から他端側へ向かって徐々に湾曲が大きくなるように湾曲しており、長手方向の他端部が断面略C字状に形成されている。このような成形機47の一端部から他端部へ、前記帯状の弾性基材2を通すことにより、この帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲させ、湾曲方向の端部3,4が開いた略C字状の弾性基材2aを形成する。
【0065】
前記弾性基材2aを形成した後は、第一例と同様、この弾性基材2aの湾曲内部へこの弾性基材2aの湾曲方向の両端部3,4間から前記ケーブル41を入れた後、これら端部3,4同士を前記結合手段5により結合して内部に前記ケーブル41を通した状態の管状補修材1を形成する。そして、この管状補修材1を、第一例と同様、前記地中埋設管42内へ、前記マンホール43aに開口する一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって順次前記ケーブル41を入れた状態の地中埋設管42を形成しながら、この地中埋設管42を前記マンホール43bに開口する他方の開口部へ移動させる。そして、第一例と同様、内部に前記ケーブル41を入れた状態の管状補修材1を、前記地中埋設管42の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した後、前記管状補修材1を前記地中埋設管42内に前記固定手段19で固定して前記地中埋設管42の補修が終了する。
【0066】
前記管状補修材1を前記地中埋設管42の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する際、前記管状補修材1の移動は、第一例で説明した前記牽引用ロープ18を使用して行ってもよいし、第一例で説明した前記管状ガイド体20を使用して行ってもよい。前記管状ガイド体20を使用する場合には、図示しないが、前記帯状の弾性基材2の先端部に、幅方向に沿って溝部を形成する。これにより、前記帯状の弾性基材2を、幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が開いた略C字状の弾性基材2aを形成し、さらにはこの弾性基材2aから前記管状補修材1を形成したときに、前記溝部が、図15に示す、前記管状補修材1の先端側の開口端部の外周面に周方向に沿って形成された前記環状嵌合溝32になる。そして、この環状嵌合溝32に前記管状ガイド体20の後部開口端部に形成された嵌合突条30を嵌合して、前記管状ガイド体20を前記管状補修材1に接続し、この管状補修材1の移動を行う。
【0067】
第二例の地中埋設管補修方法によれば、第一例と同様、大掛かりな装置が必要とならず、また従来よりも作業工程が少なくなり、前記地中埋設管42の補修を簡単な作業で容易に行うことができるとともに、前記地中埋設管42の内部に前記ケーブル41が布設されていてもこのケーブル41に邪魔されることなく、前記地中埋設管42の補修を行うことができる。また、前記帯状の弾性基材2を巻回した前記ロール45は、コンパクトに形成することができ、補修現場へは、このようにコンパクトに形成された前記ロール45を運搬すればよいので、運搬しやすい。
【0068】
以上前記帯状の弾性基材2を、幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が開いた略C字状の弾性基材2aを形成し、この弾性基材2aから前記管状補修材1を形成して前記地中埋設管42の補修を行う場合について説明したが、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態の図7に示す弾性基材2bを形成し、その後、周方向に湾曲した前記弾性基材2aの湾曲方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して、図5および図6に示す管状補修材1を形成し、この管状補修材1を使用して前記地中埋設管42の補修を行ってもよい。図22は、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態の弾性基材2bを形成する帯状の弾性基材2を示す斜視図である。この図22に示す帯状の弾性基材2の一面側には、多数の突起8が多数形成されている。前記突起8は、図20に示す帯状の弾性基材2と同様、幅方向及び長手方向に形成されたリブ9a,10aとなっている。また、前記帯状の弾性基材2の幅方向の端部3a,4aには、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して形成した弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4同士を結合する結合手段5を備えている。この結合手段5にあっては、前記帯状の弾性基材2の幅方向における一方の端部3aの端面に軸方向に形成された係合突条12と、前記帯状の弾性基材2の幅方向における他方の端部4aの端面に軸方向に沿って形成され、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して前記弾性基材2bを形成したときに、この弾性基材2bの湾曲方向の一方の端部3となる前記端部3aに形成された係合突条12が係合する係合溝13とから構成されている。
【0069】
そして、帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態に形成した図7に示す弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4を、径方向の弾発力に抗して拡径させ、前記一方の端部3aの端面に形成された係合突条12を、前記他方の端部4の端面に形成された係合溝13に係合させると、拡径させた前記弾性基材2bの縮径方向への復元力により前記係合突条12が前記係合溝13にしっかりと係合し、前記弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4同士が結合して図5および図6に示す管状補修材1が形成されるようになっている。
【0070】
前記マンホール43a内で、前記帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った図7に示す弾性基材2bを形成する工程について、図23に基づいて説明する。図23は帯状の弾性基材を加熱手段により加熱した後、加熱した帯状の弾性基材を成形機によって幅方向に湾曲して湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った弾性基材を形成する工程を示す説明図である。
【0071】
前記マンホール43a内で、前記帯状の弾性基材2を湾曲して前記弾性基材2bを形成するには、まず、加熱手段46によって前記帯状の弾性基材2を加熱する。そして、加熱された前記帯状の弾性基材2を、幅方向に湾曲して、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った弾性基材2bを形成する。前記帯状の弾性基材2の湾曲は、成形機48によって行う。この成形機48は、長手方向の一端部(前記加熱手段46側)が緩やかに湾曲しており、この長手方向の一端部から他端部へ向かって幅方向の両端部が徐々に立ち上がるようにして形成されて、幅方向の断面形状において、長手方向の一端部から他端部へ向かって徐々に湾曲が大きくなるように湾曲しており、長手方向の他端部において、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った形状に形成されている。このような成形機48の一端側から他端側へ、前記帯状の弾性基材2を通すことにより、この帯状の弾性基材2を幅方向に湾曲させ、湾曲方向の端部3,4が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態に成形して、前記弾性基材2bを形成する。
【0072】
そして、このようにして形成した前記弾性基材2bの湾曲方向の端部3,4同士を、前記結合手段5により結合して、図5および図6に示す管状補修材1を形成し、この管状補修材1を使用して前記地中埋設管42の補修を行う。
【0073】
以上前記地中埋設管42に前記ケーブル41が布設されている場合の地中埋設管補修方法について説明したが、前記地中埋設管42に前記ケーブル41が布設されていない場合であっても、前記管状補修材1を構成する弾性基材2の湾曲内部へ前記ケーブル41を入れる工程を除き、前記方法と同様にして前記地中埋設管42の補修を行う。すなわち、前記マンホール43a内へ前記帯状の弾性基材2を挿入した後、前記マンホール43a内で前記帯状の弾性基材2を前記加熱手段46により加熱し、その後前記帯状の弾性基材2を前記成形機47または前記成形機48により幅方向に湾曲し、湾曲した弾性基材2の幅方向の端部3,4同士を結合手段5により結合して前記管状補修材1を形成し、この管状補修材1を前記地中埋設管42の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した後に、前記地中埋設管42内に固定して、前記地中埋設管42の補修を行う。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る地中埋設管補修方法で使用する管状補修材の一例を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線拡大断面図。
【図3】図1に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図4】表面に突起が形成された管状補修材の他例を示す平面図。
【図5】本発明に係る地中埋設管補修方法で使用する管状補修材の他例を示す斜視図。
【図6】図5のB−B線拡大断面図。
【図7】図5に示す管状補修材を構成する弾性基材の拡大断面図。
【図8】本発明に係る地中埋設管補修方法の第一例で、地中埋設管の一方の開口部が開口するマンホール内へ管状補修材を構成する弾性基材を挿入する工程を示す縦断面図。
【図9】地中埋設管の一方の開口部が開口するマンホール内へ挿入した弾性基材の湾曲内部へ、前記弾性基材の湾曲方向の両端部間からケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合して管状補修材を形成する工程を示す説明図。
【図10】地中埋設管の内部へ一方の開口部から挿入した管状補修材を、前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させる工程を示す横断面図。
【図11】地中埋設管16の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置した前記管状補修材を固定した状態を示す縦断面図。
【図12】管状補修材を移動するための他の方法で使用する管状ガイド体を示す斜視図。
【図13】図12に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した一方の分割部材の内面側平面図。
【図14】図12に示す管状ガイド体を軸方向に2分割した他方の分割部材の内面側平面図。
【図15】管状ガイド体を接続する管状補修材の斜視図。
【図16】管状ガイド体を管状補修材に接続した状態を示す縦断面図。
【図17】管状ガイド体に牽引用紐を連結した状態を示す斜視図。
【図18】管状ガイド体を使用し、管状補修材を挿入した地中埋設管の他方の開口部から牽引用紐を引っ張って管状補修材を移動させる状態を示す説明図。
【図19】本発明に係る地中埋設管補修方法の第二例で、マンホールの地上の部分に設置されたロールスタンドに回転自在に支持されたロールから帯状の弾性基材を引き出してマンホール内へ挿入する工程を示す縦断面図。
【図20】図19に示す帯状の弾性基材を示す拡大斜視図。
【図21】帯状の弾性基材を加熱手段により加熱した後、加熱した帯状の弾性基材を成形機によって幅方向に湾曲して湾曲方向の両端部が開いた略C字形状の弾性基材を形成する工程を示す説明図。
【図22】湾曲方向の端部が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った状態の弾性基材を形成する帯状の弾性基材を示す斜視図。
【図23】帯状の弾性基材を加熱手段により加熱した後、加熱した帯状の弾性基材を成形機によって幅方向に湾曲して湾曲方向の端部が閉じて上下、すなわち径方向に重なり合った弾性基材を形成する工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0075】
1 管状補修材
2,2a,2b 弾性基材
3,3a,4,4a 端部
5 結合手段
6,7 係止突起
8 突起
9,9a,10,10a リブ
11 突起
12 係合突条
13 係合溝
14,40 地面
15,41 ケーブル
16,42 地中埋設管
17a,17b,43a,43b マンホール
18 牽引用ロープ
19 固定手段
20 管状ガイド体
20a 本体部
20b 円錐部
21,22 分割部材
23,24 分割面
25 結合手段
26 接続手段
27 嵌合溝部
28 突条部
29 環状突条
30 接続手段
31 環状嵌合溝
32 紐通し穴
33 牽引用紐
44 ロールスタンド
45 ロール
46 加熱手段
47,48 成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状補修材を用いて地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、
前記管状補修材は、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段を備えた構造になっており、
前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する
ことを特徴とする地中埋設管補修方法。
【請求項2】
管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、
前記管状補修材は、円周方向に湾曲した長尺の弾性基材で構成され、この弾性基材は、湾曲方向の端部同士を結合して管状補修材を形成する結合手段を備えた構造になっており、
前記弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する
ことを特徴とする地中埋設管補修方法。
【請求項3】
管状補修材を用いて地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、
帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の端部同士を先端側から結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する
ことを特徴とする地中埋設管補修方法。
【請求項4】
管状補修材を用いて内部にケーブルが布設されている地中埋設管を補修する地中埋設管補修方法であって、
帯状の弾性基材を幅方向に湾曲した後、この弾性基材の湾曲方向の両端部間から前記弾性基材の湾曲内部へ前記ケーブルを入れた後、前記弾性基材の湾曲方向の端部同士を、先端側から前記結合手段によって結合して管状補修材を順次形成し、この管状補修材の先端側を、前記地中埋設管内へ一方の開口部から挿入した後、後端側へ向かって内部にケーブルを通した状態の前記管状補修材を順次形成しながら、この管状補修材を前記地中埋設管の他方の開口部側へ移動させ、内部にケーブルを通した状態で前記管状補修材を前記地中埋設管の一方の開口部から他方の開口部に亘って配置する
ことを特徴とする地中埋設管補修方法。
【請求項5】
前記管状補修材を構成する弾性基材の表面には、多数の突起が形成されている ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の地中埋設管補修方法。
【請求項6】
前記管状補修材を構成する弾性基材の表面に形成された突起は、前記管状補修材の周方向および/または軸方向に形成されたリブである
ことを特徴とする請求項5に記載の地中埋設管補修方法。
【請求項7】
前記管状補修材を構成する弾性基材の湾曲方向の端部同士を前記結合手段によって結合する際に、前記結合する弾性基材の湾曲方向の端部にシーリング剤を塗布する
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の地中埋設管補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−169987(P2007−169987A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367472(P2005−367472)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(302059953)株式会社メーシック (24)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(000116873)旭テック株式会社 (144)
【Fターム(参考)】