説明

基板への集積回路の接続方法

【課題】ドライバIC等の集積回路に対して圧着ヘッド等の圧着部材の加圧が均等にならない状況が発生することを防止する。
【解決手段】圧着ヘッド50がドライバICに接触した後、ドライバICにおける複数の所定位置に設けられているバンプが、液晶表示パネルの第1基板11に形成されている電極パターンと導通したタイミングを、モニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148を介してそれぞれ検出し、検出したタイミングのうち最も早く電極パターンと導通した第1タイミングと、第1タイミングからの他のタイミングまでの時間差を算出し、第1タイミングに対して遅れてバンプが電極パターンと導通した位置への圧着ヘッド50の接触時期を早めるように平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着によって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法に関し、特に、液晶表示装置などの表示装置の製造に適する基板への集積回路の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、一般に、2枚のガラス基板等の基板間に液晶が封入された構造を有する。それぞれの基板には、液晶に駆動電圧を印加するための電極が設けられている。電極に駆動信号を供給する駆動回路は、ドライバIC(集積回路)として実現される。ドライバICの実装方式として、2枚の基板の一方にドライバICを実装するCOG(Chip On Glass )がある(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
COGを用いる場合、ドライバICが搭載されない第2基板のサイズよりもサイズが大きく、かつ、ドライバICが搭載される領域では第2基板と対向しない第1基板にドライバICが搭載される。図7は、特許文献2に記載されたドライバICを基板に実装する様子を示す斜視図であり、図8(A),(B)は、ドライバICを基板に実装する様子を模式的に示す断面図である。なお、図8(A),(B)において、ドライバICの周辺が拡大して示されている拡大図も記載されている。図8に示すように、液晶表示パネル10における第1基板11と第2基板12とのうちの第1基板11には、液晶に駆動電圧を印加するための電極に接続される複数の第1電極パターン131と、液晶表示パネル10の外部からの信号線が接続される第2電極パターン132とが形成されている。以下、第1電極パターン131と第2電極パターン132とを併せて電極パターンということがある。
【0004】
図7に示す従来例では、ドライバIC31が第1基板11に実装されるときに、ドライバIC31と電極パターンとを電気的に接続するために、熱硬化性樹脂等に導電性粒子が含有され接着剤として機能する異方性導電膜(ACF)32が用いられる。また、ドライバIC31の第1基板11に対向する側には接続端子としてのバンプ40が設けられている。図8(A)に示すように、第1電極パターン131と第2電極パターン132が内部に延伸しているドライバIC実装部121(図7参照)に、まず、ACF32を被せる。次に、ドライバIC31のバンプ40を第1電極パターン131および第2電極パターン132に位置合わせしつつ、ドライバIC31を加熱しながら圧着ヘッド50によってドライバIC31を第1基板11の側に押しつける。
【0005】
ACF32は加熱と加圧によって第1基板11の表面に沿って広がり、ACF32に含まれる導電性粒子によってバンプ40と第1電極パターン131および第2電極パターン132との間の電気的導通がとられつつ、ACF32における樹脂によってドライバIC31が第1基板11に機械的に接続される。
【0006】
【特許文献1】特開2005−121757号公報(段落0003−0011)
【特許文献2】特開2007−33910号公報(段落0002−0005、図5,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧着ヘッド50がドライバIC31を加圧するときに、ドライバIC31の裏面が第1基板11の表面と平行になっている状態で圧着ヘッド50がドライバIC31を加圧するように、圧着ヘッド50の加圧中心(図8(A)に示す矢印の先端に相当)はドライバIC31の中心に一致していることが好ましい。中心がずれていると、ドライバIC31に対して均等に力が加わらず、ドライバIC31のバンプ40と第1電極パターン131および第2電極パターン132との電気的接続箇所のうち接続不良になる箇所が生ずる可能性があるからである。
【0008】
しかし、圧着ヘッド50による多数のドライバIC31への加圧が行われると、圧着ヘッド50の熱歪み等に起因して、圧着ヘッド50の加圧中心がドライバIC31の中心からずれてくる可能性がある。ドライバIC31や第1基板11の製造上のばらつき等に起因して、押し込み量(ドライバIC31が電極パターンに接触してからの圧着ヘッド50の移動距離)にばらつきが生ずる可能性がある。圧着ヘッド50の押し込み量がばらつくと、ドライバIC31の第1基板11に対する接続強度がばらつくことになり、液晶パネルの性能にばらつきが生ずる可能性がある。
【0009】
また、圧着ヘッド50の加圧中心とドライバIC31の中心とが一致していても、圧着ヘッド50のドライバIC31側の面が、ドライバIC31の表面に対して傾いていると、ドライバIC31に対して均等に力が加わらず、接続不良になる箇所が生ずる可能性がでてくる。
【0010】
そこで、本発明は、ドライバIC等の集積回路に対して圧着ヘッド等の圧着部材の加圧が均等にならない状況が発生することを防止する基板への集積回路の接続方法を提供することを目的とする。また、圧着部材の押し込み量のばらつきを低減できる基板への集積回路の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による基板への集積回路の接続方法は、基板上の端子(例えば、第1電極パターン131および第2電極パターン132)に被る異方性導電膜の上に載置された集積回路(例えば、ドライバIC31)を圧着部材(例えば、圧着ヘッド50)で加圧することによって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法であって、圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における複数の所定位置に設けられているバンプが、基板に形成されている電極パターンと導通したタイミングをそれぞれ検出し、検出したタイミングのうち最も早く電極パターンと導通した第1タイミングと、第1タイミングからの他のタイミングまでの時間差を算出し、時間差が生じた場合、時間差に対応して、圧着部材の集積回路への平衡度を調整するように圧着部材の位置制御部材(例えば、平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51d)を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明による他の態様の基板への集積回路の接続方法は、圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における所定位置に設けられているバンプが、基板に形成されている電極パターンと導通したタイミングを検出し、タイミングを契機として、圧着部材を異方性導電膜側にあらかじめ決められている所定量移動させることを特徴とする。
【0013】
本発明による他の態様の基板への集積回路の接続方法は、基板上に信号印加用のモニタ端子(例えば、モニタ端子141)と信号取出用のモニタ端子(例えば、モニタ端子142)とを設け、集積回路のバンプが電極パターンと位置合わせされて基板に設置されたときに各モニタ端子のそれぞれに接触する位置にモニタ用バンプを設け、集積回路の内部に、信号印加用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプと信号取出用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプとを導通させる配線(例えば、配線45)を設け、圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における複数の所定位置に設けられているモニタ用バンプが、基板に形成されているモニタ端子と導通したタイミングを検出する場合に、信号取出用のモニタ端子からの信号にもとづいて信号印加用のモニタ端子と信号取出用のモニタ端子との間の抵抗値が変化したタイミングを検出し、検出したタイミングのうち最も早く抵抗値が変化した第1タイミングと、第1タイミングからの他のタイミングまでの時間差を算出し、時間差が生じた場合、時間差に対応して、圧着部材の集積回路への平衡度を調整するように圧着部材の位置制御部材を制御することを特徴とする。
【0014】
本発明による他の態様の基板への集積回路の接続方法は、基板上に信号印加用のモニタ端子と信号取出用のモニタ端子とを設け、集積回路のバンプが電極パターンと位置合わせされて基板に設置されたときに各モニタ端子のそれぞれに接触する位置にモニタ用バンプを設け、集積回路の内部に、信号印加用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプと信号取出用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプとを導通させる配線を設け、圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における所定位置に設けられているモニタ用バンプが、基板に形成されているモニタ端子と導通したタイミングを検出する場合に、信号取出用のモニタ端子からの信号にもとづいて信号印加用のモニタ端子と信号取出用のモニタ端子との間の抵抗値が変化したタイミングを検出し、タイミングを契機として、圧着部材を異方性導電膜側にあらかじめ決められている所定量移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、集積回路に対して圧着部材の加圧が均等にならない状況が発生することを防止することができる。また、圧着部材の押し込み量のばらつきを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1(A)は、本発明による表示装置の製造方法を実施するためのドライバIC(LSI)のバンプが設けられている側の面を示す平面図である。図1において、バンプ40を丸印で示す。図1に示すドライバIC31には、本来のバンプ(電極パターンとの導通をとるためのバンプ)40の他に、モニタ用の信号を通過させるためのモニタ用バンプ41が設けられている。図1に示す例では、モニタ用バンプ41は、略矩形のドライバIC31の四隅に2つずつ設けられている。なお、本実施の形態では、表示装置は液晶表示装置であるとする。また、液晶表示パネルの構成は、図7に示された液晶表示パネル10の構成と同じであるとする。
【0018】
図1(B)は、図1に示すドライバIC31の右下部を拡大して示す平面図である。図1(B)には、ドライバIC31が第1基板11(図7および図8参照)に実装されたときの様子が示されている。つまり、バンプ40は、第1電極パターン131および第2電極パターン132と電気的に接続されている。また、ドライバIC31の内部において、四隅のそれぞれにおける2つのモニタ用バンプ41間には配線45が施され、2つのモニタ用バンプ41は導通している。
【0019】
また、本実施の形態では、第1基板11に、駆動信号等を伝達するための第1電極パターン131および第2電極パターン132の他に、モニタ端子141,142が形成されている。モニタ端子141は、ドライバIC31が第1基板11に実装された場合に、一方のモニタ用バンプ41に接続される位置に設けられている。モニタ端子142は、ドライバIC31が第1基板11に実装された場合に、他方のモニタ用バンプ41に接続される位置に設けられている。
【0020】
2つのモニタ用バンプ41はドライバIC31の内部において導通しているので、ドライバIC31が第1基板11に実装されると、モニタ端子141とモニタ端子142とが導通する。
【0021】
図2は、本発明による表示装置の製造方法を実施するための制御装置および圧着装置等を含む構成を示すブロック図である。圧着装置は、圧着ヘッド50と、圧着ヘッド50のドライバIC31に対する平衡度を調整するために上下動可能な4つの平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dと、圧着ヘッド50を下降させる加圧シリンダ52と、加圧シリンダ52を駆動するサーボモータ53とを含む。なお、平衡度(バランス)とは、圧着ヘッド50の少なくとも一部がドライバIC31に接触したときの圧着ヘッド50における接触面とドライバIC31の背面または第1基板11の電極パターン形成面との平衡度である。本実施の形態では、圧着ヘッド50がドライバIC31に接触するときに、ドライバIC31の背面の四隅における圧着ヘッド50とドライバIC31との距離が同じになるように制御される。換言すれば、圧着ヘッド50がドライバIC31の背面の四隅にほぼ同時に接触するように制御される。
【0022】
第1基板11におけるモニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148にはプローブ24の測定ピンが当てられる。なお、モニタ端子141,142は、図1に示されたように、ドライバIC31の背面の四隅のうちの右下の隅(図1に示すA部)の近傍に設けられているが、モニタ端子143,144は左下の隅(B部)の近傍に設けられ、モニタ端子145,146は左上の隅(C部)の近傍に設けられ、モニタ端子147,148は右上の隅(D部)の近傍に設けられているとする。
【0023】
制御装置20は、モニタ端子141,143,145,147に所定の電圧を印加するとともに、モニタ端子142,144,146,148の電圧または電流(信号)を計測する計測部23を含む。データ比較部22は、計測部23から、モニタ端子142,144,146,148の信号の値を入力する。そして、入力した値と、あらかじめ決められている値とを比較することによって、モニタ端子141−モニタ端子142間の抵抗、モニタ端子143−モニタ端子144間の抵抗、モニタ端子145−モニタ端子146間の抵抗、およびモニタ端子147−モニタ端子148間の抵抗値が変化したか否か検出する。さらに、4つの抵抗値の変化タイミングの違いを示す時間差データを作成する。
【0024】
制御部21は、計測部23に対して、モニタ端子141,143,145,147に電圧を印加することを指示する。また、プローブ24がモニタ端子141,143,145,147の位置まで移動することを可能にする駆動機構を内蔵している場合には、プローブ24に移動指示を出す。
【0025】
また、制御部21は、データ比較部22が作成した時間差データにもとづいて、平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dを制御するためのデータを作成する。そして、作成したデータにもとづいて平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dを制御する。
【0026】
図3は、平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dの設置位置等を示す平面図である。図3に示す例では、圧着ヘッド50の4辺(略矩形の平面を形成する4辺)のそれぞれの辺の内側中央部に対応する位置に、4つの平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dが設置されている。図3において、長辺側に設けられている2つの平衡度調整用シリンダ51b,51dはX方向の平衡度調整用のものである。短辺側に設けられている2つの平衡度調整用シリンダ51a,51cはY方向の平衡度調整用のものである。なお、X方向とは、圧着ヘッド50の4辺のうちの短辺に沿う方向であり、Y方向とは、圧着ヘッド50の4辺のうちの長辺に沿う方向である。
【0027】
次に、図4のフローチャートを参照して、表示装置の製造方法の具体的処理例を説明する。
まず、ドライバIC31が実装されていない液晶表示パネル10を、ステージ(図2において図示せず)に載置する。ステージには、液晶表示パネル10を吸着する吸着機構が設けられている。吸着機構によって、液晶表示パネル10はステージに固定される(ステップS1)。そして、液晶表示パネル10における第1基板11の端子部(図7に示すドライバIC実装部121に相当)にACF32を貼付する(ステップS2)。次いで、ACF32の上に、ドライバIC31を置いて仮固定する(ステップS3)。
【0028】
そして、第1基板11におけるモニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148にプローブ24における測定ピンを当てる。制御部21は、計測部23に対して、電圧印加開始指示を出す(ステップS4)。また、制御部21は、圧着ヘッド50がドライバIC31に接触するように圧着ヘッド50を下降させる(ステップS5)。そのとき、制御部21は、ACF32が加熱されるように、圧着ヘッド50における加熱機構を動作させている。計測部23は、電圧印加開始指示に応じて、モニタ端子141,143,145,147に所定の電圧を印加する。なお、制御部21は、電圧印加開始指示を出すときに、サンプリング間隔を示すサンプリング指示も出す。計測部23は、サンプリング指示が示す時間間隔で、モニタ端子142,144,146,148の信号を入力するモニタを開始する(ステップS15)。
【0029】
上述したように、計測部23は、モニタ端子142,144,146,148の電圧または電流の値からモニタ端子141−モニタ端子142間の抵抗、モニタ端子143−モニタ端子144間の抵抗、モニタ端子145−モニタ端子146間の抵抗、およびモニタ端子147−モニタ端子148間の抵抗値の変化を検出することができる。また、電圧または電流の値から、抵抗値そのものを検出することもできる。計測部23は、各抵抗値をデータ比較部22に出力する。
【0030】
図1に示されたように、ドライバIC31のモニタ用バンプ41が、例えばモニタ端子141,142のそれぞれと導通すると、モニタ端子141とモニタ端子142とは導通し、モニタ端子141−モニタ端子142間の抵抗値は低下する。そのとき、図1に示すA部において、ドライバIC31のバンプ40は、電極パターンに接触したと見なすことができる。
【0031】
ドライバIC31の四隅のバンプが同時に電極パターンに接触した場合には、モニタ端子142,144,146,148からのそれぞれの信号の値にもとづく4つの抵抗値は、同時に低下する。しかし、四隅のうちのある箇所のバンプが先に電極パターンに接触し、他の箇所のバンプが遅れて電極パターンに接触するような場合には、4つの抵抗値の低下のタイミングがばらつく。制御装置20は、抵抗値の低下のタイミングがばらつくか否かによって、平衡度が高いか否かを判定することができる。また、いずれの抵抗値が遅れて低下したのかによって、平衡度がどのように劣化しているのかを判定できる。
【0032】
そこで、データ比較部22は、モニタを開始したら4つのモニタ値(4つの抵抗値)のうち、最初に抵抗値が所定値以下になるものを観測する(ステップS16)。いずれかのモニタ値が、抵抗値が所定値以下になったことを示したら、そのタイミングを基準にして、他の3つのモニタ値のそれぞれが、抵抗値が所定値以下になったときのタイミングを検出し、検出したタイミングまでの時間(時間差)を算出する(ステップS18)。そして、データ比較部22は、最初に抵抗値が所定値以下になった箇所を示すデータを制御部21に出力するとともに、他の3つの箇所の時間差を示すデータ、および時間差を呈したタイミングに対応する3つの箇所を示すデータを制御部21に出力する。
【0033】
制御部21は、最初に抵抗値が所定値以下になった箇所を示すデータと、3つの箇所を示すデータ、および3つの時間差を示すデータとにもとづいて、平衡度がどのようになっているのかを把握し、平衡度が劣化している場合には、劣化を是正するための補正値を算出する。例えば、制御部21には、あらかじめ、最初に抵抗値が所定値以下になった箇所と他の箇所の種々の時間差とに対応した位置補正データが設定されている平衡度の相関テーブルが設定されている。制御部21は、データ比較部22と平衡度の相関テーブルのデータとを比較して、圧着ヘッド50の平衡度を補正するための位置補正データを算出する(ステップS19)。
【0034】
例えば、図1におけるA部に近傍に設けられているモニタ端子142からの信号にもとづく抵抗値が最初に所定値以下になったとする。次いで、やや遅れて図1におけるB,D部に近傍に設けられているモニタ端子144,148からの信号にもとづく抵抗値が所定値以下になったとする。さらに遅れて、図1におけるC部に近傍に設けられているモニタ端子146からの信号にもとづく抵抗値が所定値以下になったとする。その場合、C部への圧着ヘッド50の接触(具体的には、圧着ヘッド50がバンプと電極パターンとを導通させたタイミング)が最も遅れたことになる。相関テーブルには、そのような状況に対応して、C部への圧着ヘッド50への接触時期を早めるように図3に示す平衡度調整用シリンダ51c,51dを下降させることを示すデータが設定されている。なお、データ比較部22は、例えば0.1秒以下程度の遅れについては、遅れと見なさない。
【0035】
また、データ比較部22が最初に抵抗値が所定値以下になるものを検出したときに、データ比較部22は、その旨を制御部21に通知する。制御部21は、ステップS5の処理では、ドライバIC31のバンプ40が電極パターンに接触する程度まで圧着ヘッド40が下降したときに圧着ヘッド40を停止させているのであるが、データ比較部22から通知を受けると、すなわち、バンプ40が基板に形成されている電極パターンと導通したタイミングを契機として、あらかじめ決められている押し込み量だけ圧着ヘッド40をさらに下降させる(ステップS6)。そして、あらかじめ決められている押し込み量だけ圧着ヘッド40を下降させたら、圧着処理を終了する(ステップS7)。すなわち、圧着ヘッド40を上昇させる。
【0036】
また、モニタを終了させ(ステップS17)、モニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148からプローブ24の測定ピンを離脱させる(ステップS8)。そして、液晶表示パネル10を次工程に搬送させる(ステップS9)。
【0037】
制御部21は、圧着処理を終了したときに、ステップS19の処理で算出した位置補正データにもとづいて、平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dを上下させるための制御信号を平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51dに出力する(ステップS20)。平衡度調整用シリンダ51a,51b,51c,51d、制御信号が示す分だけ上昇、下降または高さ維持する。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、モニタ端子から入力した信号にもとづいて圧着ヘッド50の平衡度を補正するフィードバック制御が実行される。よって、次の液晶表示パネル10にドライバIC31を実装するときには、圧着ヘッド50を、ドライバIC31に対して均等に加圧させることができる。また、制御部21は、データ比較部22が最初に抵抗値が所定値以下になるものを検出したときに、圧着ヘッド50の押し込みを開始する。よって、ドライバIC31や第1基板11の製造上のばらつきがあった場合、どのドライバIC31および第1基板11を使用しても、ほぼ同様の押し込み量分だけ圧着ヘッド50をドライバIC31に対して押し込むことができる。
【0039】
実施の形態2.
上記の実施の形態では、圧着ヘッド50の押し込み開始のタイミングを決めるためのモニタ端子として、圧着ヘッド50の平衡度を補正するためのモニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148を使用した。しかし、圧着ヘッド50の押し込み開始のタイミングを決めるためのモニタ端子を、モニタ端子141,142,143,144,145,146,147,148とは別に設けてもよい。
【0040】
例えば、図5に示すように、ドライバIC31の長辺の中央部に、モニタ用の信号を通過させるためのモニタ用バンプ46を設ける。ドライバIC31の内部において、2つのモニタ用バンプ46間には配線47が施され、2つのモニタ用バンプ46は導通している。また、第1基板11において、ドライバIC31が第1基板11に実装された場合に2つのモニタ用バンプ46のそれぞれに接続される位置に、モニタ端子を設ける。制御部21は、モニタ用バンプ46に接続されるモニタ端子からの信号にもとづく抵抗値が所定値以下になったときに、ステップS6(図4参照)の処理を行う。圧着ヘッド50の押し込みを開始する時期は、ドライバIC31の中央部が電極パターンに接触したときである方がより好ましい。そこで、本実施の形態では、ドライバIC31の長辺の中央部の近傍に設けられているモニタ端子からの信号にもとづく抵抗値が所定値以下になったときに圧着ヘッド50の押し込みを開始する。
【0041】
実施の形態3.
上記の各実施の形態では、モニタ用バンプ41やモニタ用バンプ46を導通させるために、ドライバIC31の内部において、2つのモニタ用バンプ41間や2つのモニタ用バンプ46間を接続する配線45,47が設けられていた。しかし、配線45,47を設けずに、モニタ端子の形状に工夫を施してもよい。例えば、図6に示すように、第1基板11において、モニタ端子141とモニタ端子142との間に配線パターン149を設ける。そして、配線パターン149は、一方のモニタ用バンプ41がモニタ端子141と電気的に接続し、他方のモニタ用バンプ41がモニタ端子142と電気的に接続すると、モニタ端子141とモニタ端子142とが電気的に接続されるように形成される。そのような構造によっても、上記の実施の形態の作用および効果と同様の作用および効果を発揮させることができる。
【0042】
なお、上記の各実施の形態では、表示装置として液晶表示装置を例にしたが、本発明は、液晶表示装置に限られず、熱圧着によってCOG実装が行われる他の種類の表示パネルにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明を、圧着によって表示パネルにおける基板上の端子に集積回路が接続される表示装置に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施の形態の表示装置の製造方法を実施するためのドライバICのバンプが設けられている側の面を示す平面図。
【図2】本発明による表示装置の製造方法を実施するための制御装置および圧着装置等を含む構成を示すブロック図。
【図3】平衡度調整用シリンダの設置位置等を示す平面図
【図4】表示装置の製造方法の具体的処理例を示すフローチャート。
【図5】第2の実施の形態の表示装置の製造方法を実施するためのドライバICのバンプが向けられている側の面を示す説明図。
【図6】第3の実施の形態の表示装置の製造方法を実施するためのドライバICのバンプが向けられている側の面を示す説明図。
【図7】ドライバICを基板に実装する様子を示す斜視図。
【図8】ドライバICを基板に実装する様子を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
10 液晶表示パネル
11 第1基板
12 第2基板
20 制御装置
21 制御部
22 データ比較部
23 計測部
24 プローブ
31 ドライバIC
32 ACF
40 バンプ
41,46 モニタ用バンプ
45,47 配線
50 圧着ヘッド
51a,51b,51c,51d 平衡度調整用シリンダ
52 加圧シリンダ
53 サーボモータ
131 第1電極パターン
132 第2電極パターン
141,142,143,144,145,146,147,148 モニタ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の端子に被る異方性導電膜の上に載置された集積回路を圧着部材で加圧することによって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法において、
圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における複数の所定位置に設けられているバンプが、基板に形成されている電極パターンと導通したタイミングをそれぞれ検出し、
検出したタイミングのうち最も早く電極パターンと導通した第1タイミングと、第1タイミングからの他のタイミングまでの時間差を算出し、
時間差が生じた場合、前記時間差に対応して、前記圧着部材の前記集積回路への平衡度を調整するように圧着部材の位置制御部材を制御する
ことを特徴とする基板への集積回路の接続方法。
【請求項2】
基板上の端子に被る異方性導電膜の上に載置された集積回路を圧着部材で加圧することによって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法において、
圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における所定位置に設けられているバンプが、基板に形成されている電極パターンと導通したタイミングを検出し、
前記タイミングを契機として、圧着部材を異方性導電膜側にあらかじめ決められている所定量移動させる
ことを特徴とする基板への集積回路の接続方法。
【請求項3】
基板上の端子に被る異方性導電膜の上に載置された集積回路を圧着部材で加圧することによって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法において、
基板上に信号印加用のモニタ端子と信号取出用のモニタ端子とを設け、
集積回路のバンプが電極パターンと位置合わせされて基板に設置されたときに前記各モニタ端子のそれぞれに接触する位置にモニタ用バンプを設け、
集積回路の内部に、前記信号印加用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプと前記信号取出用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプとを導通させる配線を設け、
圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における複数の所定位置に設けられているモニタ用バンプが、基板に形成されているモニタ端子と導通したタイミングを検出する場合に、前記信号取出用のモニタ端子からの信号にもとづいて前記信号印加用のモニタ端子と前記信号取出用のモニタ端子との間の抵抗値が変化したタイミングを検出し、
検出したタイミングのうち最も早く抵抗値が変化した第1タイミングと、第1タイミングからの他のタイミングまでの時間差を算出し、
時間差が生じた場合、前記時間差に対応して、前記圧着部材の前記集積回路への平衡度を調整するように圧着部材の位置制御部材を制御する
ことを特徴とする基板への集積回路の接続方法。
【請求項4】
基板上の端子に被る異方性導電膜の上に載置された集積回路を圧着部材で加圧することによって基板上の端子に集積回路を接続する接続方法において、
基板上に信号印加用のモニタ端子と信号取出用のモニタ端子とを設け、
集積回路のバンプが電極パターンと位置合わせされて基板に設置されたときに前記各モニタ端子のそれぞれに接触する位置にモニタ用バンプを設け、
集積回路の内部に、前記信号印加用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプと前記信号取出用のモニタ端子に接触するモニタ用バンプとを導通させる配線を設け、
圧着部材が集積回路に接触した後、集積回路における所定位置に設けられているモニタ用バンプが、基板に形成されているモニタ端子と導通したタイミングを検出する場合に、前記信号取出用のモニタ端子からの信号にもとづいて前記信号印加用のモニタ端子と前記信号取出用のモニタ端子との間の抵抗値が変化したタイミングを検出し、
前記タイミングを契機として、圧着部材を異方性導電膜側にあらかじめ決められている所定量移動させる
ことを特徴とする基板への集積回路の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−251828(P2008−251828A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91155(P2007−91155)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】